(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008074
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】駐車支援方法及び駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
B60R 99/00 20090101AFI20240112BHJP
【FI】
B60R99/00 321
B60R99/00 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109615
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】竹田 椋
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康啓
(57)【要約】
【課題】メモリ容量の増加を抑制することで大容量メモリの必要性をなくし、装置のコストの増大を防止する。
【解決手段】駐車支援方法は、自車両が目標駐車位置に駐車するときに目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出し、検出された物標の位置が、記憶部7に記憶された物標の位置と異なる場合には、検出された物標の位置を一時登録された物標の位置として記憶部7に記憶させ、一時登録された物標の位置の中で、所定の条件を満たした物標の位置のみを本登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。所定の条件は、一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の目標駐車位置への駐車の中で、検出された物標の位置と所定の回数以上一致することである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が過去に駐車した目標駐車位置の周辺にある物標の位置を記憶部に記憶させておき、前記記憶部に記憶された物標の位置と、前記自車両が前記目標駐車位置に駐車するときに検出した物標の位置とを比較して、前記自車両の駐車を支援する駐車支援方法であって、
前記自車両が前記目標駐車位置に駐車するときに前記目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出し、
前記検出された物標の位置が、前記記憶部に記憶された物標の位置と異なる場合には、前記検出された物標の位置を、一時登録された物標の位置として前記記憶部に記憶させ、
前記一時登録された物標の位置の中で、所定の条件を満たした物標の位置のみを本登録された物標の位置として前記記憶部に記憶させ、
前記所定の条件は、前記一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の前記目標駐車位置への駐車の中で、前記検出された物標の位置と所定の回数以上一致することであることを特徴とする駐車支援方法。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の前記目標駐車位置への駐車の中で、前記検出された物標の位置と連続して所定の回数以上一致することであることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援方法。
【請求項3】
前記自車両が前記目標駐車位置に駐車した時間帯が夜間である場合には、前記自車両が前記目標駐車位置へ駐車しても前記所定の駐車回数としてカウントしないことを特徴とする請求項1または2に記載の駐車支援方法。
【請求項4】
前記記憶部に記憶された物標の位置と、前記検出された物標の位置とを比較して、前記目標駐車位置に対する前記自車両の相対位置を算出し、算出された前記相対位置に基づいて前記自車両の現在位置から前記目標駐車位置までの目標走行軌道を算出し、算出された前記目標走行軌道に沿って前記自車両を移動させるように支援することを特徴とする請求項1または2に記載の駐車支援方法。
【請求項5】
前記一時登録された物標の位置が、前記目標走行軌道から検出できない範囲にある場合には、前記自車両が前記目標走行軌道に沿って前記目標駐車位置へ駐車しても前記所定の駐車回数としてカウントしないことを特徴とする請求項4に記載の駐車支援方法。
【請求項6】
自車両が過去に駐車した目標駐車位置の周辺にある物標の位置を記憶部に記憶させておき、前記記憶部に記憶された物標の位置と、前記自車両が前記目標駐車位置に駐車するときに検出した物標の位置とを比較して、前記自車両の駐車を支援するコントローラを備えた駐車支援装置であって、
前記コントローラは、
前記自車両が前記目標駐車位置に駐車するときに前記目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出し、
前記検出された物標の位置が、前記記憶部に記憶された物標の位置と異なる場合には、前記検出された物標の位置を、一時登録された物標の位置として前記記憶部に記憶させ、
前記一時登録された物標の位置の中で、所定の条件を満たした物標の位置のみを本登録された物標の位置として前記記憶部に記憶させ、
前記所定の条件は、前記一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の前記目標駐車位置への駐車の中で、前記検出された物標の位置と所定の回数以上一致することであることを特徴とする駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援方法及び駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車両を駐車スペースへ自動駐車させる自動運転制御装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された自動運転制御装置では、駐車スペースの周囲に配置されて構造物であると判断された特徴点を選定し、選定された特徴点の情報をメモリに記憶させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の自動運転制御装置では、駐車スペースへ駐車する度に新たに特徴点をメモリに記憶させていくので、必要となるメモリ容量が増加していくことになる。その結果、大容量のメモリが必要となるので、装置のコストが増大してしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、メモリ容量の増加を抑制することで大容量のメモリの必要性をなくし、装置のコストの増大を防止することのできる駐車支援方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る駐車支援方法及びその装置は、自車両が目標駐車位置に駐車するときに目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出する。そして、検出された物標の位置が、記憶部に記憶された物標の位置と異なる場合には、検出された物標の位置を、一時登録された物標の位置として記憶部に記憶させる。さらに、一時登録された物標の位置の中で、所定の条件を満たした物標の位置のみを本登録された物標の位置として記憶部に記憶させる。ここで、所定の条件は、一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の目標駐車位置への駐車の中で、検出された物標の位置と所定の回数以上一致することである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メモリ容量の増加を抑制できるので、大容量のメモリを必要としなくなり、装置のコストが増大することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る駐車支援装置を備えた車両システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る駐車支援装置による物標の位置の登録方法を説明するための図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る駐車支援装置による駐車支援処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0010】
[車両システムの構成]
図1は、本実施形態に係る駐車支援装置を搭載した車両の車両システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、車両システム100は、駐車支援装置1と、センサ3と、GNSS受信部5と、記憶部7を備えている。車両システム100は、自動運転が可能な車両や運転者の運転支援を行う車両に搭載されている。
【0011】
駐車支援装置1は、自車両が過去に駐車した目標駐車位置の周辺にある物標の位置を記憶部7に記憶させておき、記憶部7に記憶された物標の位置と、自車両が目標駐車位置に駐車するときに検出した物標の位置とを比較して、自車両の駐車を支援する。このとき、駐車支援装置1は、目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出し、検出された物標の位置が、記憶部7に記憶された物標の位置と異なる場合には、検出された物標の位置を一時登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。そして、一時登録された物標の位置の中で、所定の条件を満たした物標の位置のみを本登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。これにより、駐車支援に有効な物標の位置のみを記憶部7に記憶させておくことができるので、メモリ容量の増加を抑制してコストの増大を防止することができる。
【0012】
センサ3は、例えばカメラ、レーダセンサ等を備える。カメラは、例えばCCD(Charge Coupled Devices)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであればよい。また、近赤外線カメラ等の単眼カメラでもよいし、ステレオカメラであってもよい。カメラは、自車両の周囲の領域を所定のフレームレートで連続的に撮像し、逐次撮像された撮像画像は、センシング情報として駐車支援装置1へ逐次出力されて記憶部7に記録される。
【0013】
レーダセンサとしては、レーダ(Radar)やLiDAR(Light Detection and Ranging)を備えている。レーダとLiDARは、自車両に搭載され、自車両の周囲に存在する物体を検出するセンサであり、検出した物体上の各点までの距離を計測する。レーダセンサで計測された距離は駐車支援装置1に出力され、記憶部7に記録される。
【0014】
GNSS受信部5は、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からGNSS信号を受信し、駐車支援装置1へ出力する。GNSS信号は、記憶部7に記録される。
【0015】
記憶部7は、駐車支援装置1による駐車支援処理を実行するために必要な情報を記憶する記録手段であり、データベースやメモリである。特に、記憶部7は、自車両が目標駐車位置に駐車するときに検出した物標の位置を記憶する。記憶される物標の位置には、一時登録された物標の位置と本登録された物標の位置があり、それぞれタグなどを用いて区別されて記憶されている。また、記憶部7は、自車両が過去に駐車した目標駐車位置や地図情報なども記憶している。地図情報は、例えば高精度地図であり、外部のサーバから取得しても良いし、センサ3のレーダ、LiDAR等のセンシング結果に基づいて自車両で作成しても良い。
【0016】
ここで、
図1に示すように、駐車支援装置1は、駐車位置設定部11と、物標検出部13と、物標登録部15と、駐車支援部17とを備えている。
【0017】
駐車位置設定部11は、GNSS受信部5で受信したGNSS信号に基づいて自車両の現在位置を検出し、過去に駐車した駐車スペースが自車両の周囲にある場合には、その駐車スペースを目標駐車位置として設定する。目標駐車位置は、自車両から最も近くにある駐車スペースを自動的に設定してもよいし、駐車スペースが複数ある場合には運転者が手動で選択して設定してもよい。
【0018】
物標検出部13は、センサ3で取得したセンサデータに基づいて、自車両の周囲に存在する物標を検出する。特に、物標検出部13は、自車両が目標駐車位置に駐車するときに、目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出する。
【0019】
物標登録部15は、物標検出部13で検出された物標の位置を、記憶部7に記憶されている物標の位置と比較して、異なる場合には、検出された物標の位置を一時登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。すなわち、物標登録部15は、記憶部7に記憶されていない新たな物標が検出された場合には、その物標の位置を記憶部7に一時的に記憶させる。
【0020】
その後、物標登録部15は、一時登録された物標の位置の中で、所定の条件を満たした物標の位置のみを本登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。この所定の条件は、一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の目標駐車位置への駐車の中で、検出された物標の位置と所定の回数以上一致することである。例えば、目標駐車位置Xの周辺で検出されて一時登録された物標の位置x1があり、一時登録された後に自車両が目標駐車位置Xへ3回駐車したとする。この3回の駐車の中で、検出された物標の位置と一時登録された物標の位置x1が2回以上一致した場合に、本登録された物標の位置として記憶部7に記憶される。
【0021】
ここで、
図2を参照して、物標の位置の登録方法を説明する。
図2に示すように、目標駐車位置Xに自車両Aが1回目に駐車した場合に、物標の位置x11-x14が検出されると、これらの物標の位置x11-x14はまだ記憶部7に記憶されていないので、すべて一時登録される。
【0022】
その後、自車両Aが目標駐車位置Xに2回目に駐車した場合に、すでに一時登録されている物標の位置x11-x14を斜線の星で示し、2回目の駐車で検出された物標の位置x21、x22、x24、x25を白抜きの星で示す。物標の位置x11は、2回目の駐車で検出された物標の位置x21と照合されて一致すると判定されるので、物標の位置x11の一致回数は「1」にカウントされる。物標の位置x12、x14も同様に一致回数が「1」にカウントされる。
【0023】
一方、物標の位置x13は、2回目の駐車で一致する物標が検出されていないので、物標の位置x13の一致回数は「0」のままになる。さらに、物標の位置x25は、2回目の駐車で新たに検出されて一致する物標がないので、一時登録される。
【0024】
次に、自車両Aが目標駐車位置Xに3回目に駐車した場合には、物標の位置x11は、3回目の駐車で検出された物標の位置x31と照合されて一致すると判定されるので、物標の位置x11の一致回数は「2」にカウントされる。同様に、物標の位置x12、x14も一致回数が「2」にカウントされる。その結果、物標の位置x11、x12、x14は、3回の駐車の中で、検出された物標の位置と2回以上一致したので、本登録された物標の位置として記憶部7に記憶される。
【0025】
一方、物標の位置x13は、3回目の駐車でも一致する物標が検出されないので、一致回数は「0」のままになる。その結果、物標の位置x13は、3回の駐車の中で、検出された物標の位置と2回以上一致しないので、記憶部7から削除される。また、物標の位置x25は、3回目の駐車で検出された物標の位置x35と照合されて一致すると判定されるので、物標の位置x25の一致回数は「1」にカウントされる。
【0026】
尚、
図2の例では、駐車回数が3回で一致回数が2回の場合について説明したが、駐車回数と一致回数はもっと多くてもよい。例えば、駐車回数が5回で一致回数が3回であってもよい。このとき5回駐車した中で、一致する3回は連続しなくてもよい。
【0027】
一方で、5回駐車した中で、一致する3回が連続した場合に本登録されるように限定してもよい。すなわち、所定の条件を、一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の目標駐車位置への駐車の中で、検出された物標の位置と連続して所定の回数以上一致することである、と変更してもよい。
【0028】
こうして物標登録部15は、一時登録された物標の位置が、所定の条件を満たした場合に、一時登録された物標の位置を本登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。本登録された物標の位置は、正式に登録された物標の位置になるので、記憶部7から削除されることがないように設定される。
【0029】
駐車支援部17は、記憶部7に記憶された物標の位置と、物標検出部13で検出された物標の位置とを比較して、目標駐車位置に対する自車両の相対位置を算出する。そして、算出した相対位置に基づいて自車両の現在位置から目標駐車位置までの目標走行軌道を算出し、算出した目標走行軌道に沿って自車両が移動するように制御して駐車を支援する。
【0030】
駐車支援部17は、図示していないアクチュエータに制御信号を出力して、自車両のステアリングホイール、アクセル及びブレーキ装置を駆動する。その結果、駐車支援部17は、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量、自車両のアクセル開度、自車両のブレーキ装置の制動動作を制御して、自車両を駐車目標位置に駐車させる。
【0031】
尚、駐車支援装置1は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と、メモリ等の周辺機器から構成されたコントローラであり、駐車支援処理を実行するためのコンピュータプログラムがインストールされている。駐車支援装置1の各機能は、1または複数の処理回路によって実装することができる。処理回路は、例えば電気回路を含むプログラムされた処理装置を含んでおり、また実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含んでいてもよい。
【0032】
[駐車支援処理]
次に、本実施形態に係る駐車支援装置1によって実行される駐車支援処理を説明する。
図3は、本実施形態に係る駐車支援装置1による駐車支援処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
図3に示すように、ステップS101において、駐車位置設定部11は、GNSS信号に基づいて自車両の現在位置を検出し、過去に駐車した駐車スペースを検索して、自車両の周囲にある駐車スペースを目標駐車位置として設定する。
【0034】
ステップS103において、駐車位置設定部11は、ステップS101で設定された目標駐車位置の駐車回数をカウントする。具体的に、駐車位置設定部11は、今回駐車する目標駐車位置の周辺にある物標の位置の駐車回数を1回加算する。
【0035】
ただし、自車両が目標駐車位置に駐車する時間帯が夜間である場合には、駐車回数をカウントしなくてもよい。夜間では、物標を検出し難くなるため、実際は物標が存在しても検出されない場合がある。この場合に駐車回数をカウントしてしまうと、駐車支援に有効な物標が誤って削除されてしまう恐れがあるので、夜間では駐車回数をカウントしないようにしてもよい。
【0036】
ステップS105において、物標検出部13は、ステップS101で設定された目標駐車位置に自車両が駐車するときに、目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出する。
【0037】
ステップS107において、物標登録部15は、ステップS105で検出された物標の位置を、記憶部7に記憶されている本登録された物標の位置と比較して、一致するか否かを判定する。すなわち、物標登録部15は、今回の駐車で検出された物標が、すでに本登録されている物標であるか否かを判定する。そして、物標の位置が一致した場合にはステップS121へ進み、一致しなかった場合にはステップS109へ進む。
【0038】
ステップS109において、物標登録部15は、ステップS105で検出された物標の位置を、記憶部7に記憶されている一時登録された物標の位置と比較して、一致するか否かを判定する。すなわち、物標登録部15は、今回の駐車で検出された物標が、すでに一時登録されている物標であるか否かを判定する。そして、物標の位置が一致しなかった場合にはステップS111へ進み、一致した場合にはステップS113へ進む。
【0039】
ステップS111において、物標登録部15は、ステップS105で検出された物標の位置を、一時登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。すなわち、今回の駐車で検出された物標の位置は、ステップS107で本登録された物標ではないと判定され、ステップS109で一時登録された物標でもないと判定されているので、新たに検出された物標の位置となる。そこで、物標登録部15は、ステップS105で検出された物標の位置を、一時登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。
【0040】
ステップS113において、物標登録部15は、一時登録された物標の位置の一致回数をカウントする。すなわち、ステップS109において、今回の駐車で検出された物標の位置と一時登録された物標の位置が一致したので、一時登録された物標の位置の一致回数を1回加算する。
【0041】
ステップS115において、物標登録部15は、今回の目標駐車位置の周辺にある一時登録された物標の位置が所定の条件を満たすか否かを判定する。具体的に、物標登録部15は、一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の駐車の中で、検出された物標の位置と所定の回数以上一致したか否かを判定する。例えば、
図2に示すように、目標駐車位置Xへ駐車する場合に、一時登録されてから目標駐車位置Xへ3回駐車した中で、検出された物標と2回以上一致した場合に、物標の位置x11は所定の条件を満たしていると判定される。そして、所定の条件を満たしていると判定された場合にはステップS117へ進み、所定の条件を満たしていないと判定された場合にはステップS119へ進む。
【0042】
ステップS117において、物標登録部15は、ステップS115で所定の条件を満たしていると判定された物標の位置を、一時登録から本登録に変更する。本登録された物標の位置については、駐車支援のために有効な物標の位置である可能性が高いので、記憶部7から削除されることがないように設定する。
【0043】
ステップS119において、物標登録部15は、ステップS115で所定の条件を満たしていないと判定された物標の位置について、所定の駐車回数に到達したか否かを判定する。一時登録された物標の位置は、所定の駐車回数に到達するまでは、所定の条件を満たしていなくても記憶部7に記憶されている。例えば、
図2に示すように、駐車回数が2回目までは所定の条件を満たしていなくても、記憶部7に記憶されている。そこで、所定の駐車回数に到達していない場合には、一時登録された物標の位置を記憶部7に記憶したままステップS121へ進み、所定の駐車回数に到達している場合には、ステップS123へ進む。
【0044】
ステップS121において、物標登録部15は、ステップS105で検出された物標がすでに本登録または一時登録されている物標と一致するので、ステップS105で検出された物標の位置を削除する。これにより、すでに記憶部7に記憶されている物標の位置を検出した場合でも、さらに記憶することがないので、記憶部7の容量が増加することを防止できる。
【0045】
ステップS123において、物標登録部15は、一時登録された物標の位置の中で、所定の駐車回数に到達し、所定の条件を満たしていない物標の位置を削除する。所定の条件を満たしていない物標の位置については、駐車支援のために有効な物標の位置である可能性は低いので、記憶部7から削除して記憶部7の容量が増加することを防止する。
【0046】
ステップS125において、駐車支援部17は、自車両を目標駐車位置へ駐車させる駐車支援を実行する。具体的に、駐車支援部17は、記憶部7に記憶された物標の位置と、ステップS105で検出された物標の位置とを比較して、目標駐車位置に対する自車両の相対位置を算出する。そして、算出した相対位置に基づいて自車両の現在位置から目標駐車位置までの目標走行軌道を算出し、算出した目標走行軌道に沿って自車両が移動するようにアクチュエータを制御して駐車支援を実行する。
【0047】
このとき、一時登録された物標の位置が、目標走行軌道から検出できない範囲にある場合には、ステップS103の駐車回数をカウントしないようにする。自車両から検出できない範囲にあるにも関わらず駐車回数をカウントしてしまうと、駐車支援に有効な物標を誤って削除してしまう恐れがあるので、検出範囲外にある物標については駐車回数をカウントしないようにする。こうして、自車両の目標駐車位置への駐車が完了すると、本実施形態に係る駐車支援処理は終了する。
【0048】
[実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る駐車支援装置1は、自車両が目標駐車位置に駐車するときに目標駐車位置の周辺にある物標の位置を検出する。そして、検出された物標の位置が、記憶部7に記憶された物標の位置と異なる場合には、検出された物標の位置を、一時登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。さらに、一時登録された物標の位置の中で、所定の条件を満たした物標の位置のみを本登録された物標の位置として記憶部7に記憶させる。ここで、所定の条件は、一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の目標駐車位置への駐車の中で、検出された物標の位置と所定の回数以上一致することである。これにより、メモリ容量の増加を抑制できるので、大容量のメモリを必要としなくなり、装置のコストが増大することを防止できる。さらに、駐車支援に有効な物標のみを本登録して記憶部7に残すことができるので、駐車支援の精度を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る駐車支援装置1では、所定の条件は、一時登録された物標の位置が、一時登録された後に実行された所定の駐車回数の目標駐車位置への駐車の中で、検出された物標の位置と連続して所定の回数以上一致することである。これにより、連続して検出されない不安定な物標を排除できるので、駐車支援の精度をより向上させることができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る駐車支援装置1では、自車両が目標駐車位置に駐車した時間帯が夜間である場合には、自車両が目標駐車位置へ駐車しても所定の駐車回数としてカウントしないようにする。これにより、駐車支援に有効な物標を誤って削除してしまうことを防止できるので、駐車支援の精度をより向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る駐車支援装置1では、記憶部7に記憶された物標の位置と、検出された物標の位置とを比較して、目標駐車位置に対する自車両の相対位置を算出する。そして、算出された相対位置に基づいて自車両の現在位置から目標駐車位置までの目標走行軌道を算出し、算出された目標走行軌道に沿って自車両を移動させるように支援する。これにより、過去に駐車した目標駐車位置の周辺にある物標の位置を利用して、自車両の駐車を支援することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に係る駐車支援装置1では、一時登録された物標の位置が、目標走行軌道から検出できない範囲にある場合には、自車両が目標走行軌道に沿って目標駐車位置へ駐車しても所定の駐車回数としてカウントしないようにする。これにより、駐車支援に有効な物標を誤って削除してしまうことを防止できるので、駐車支援の精度をより向上させることができる。
【0053】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 駐車支援装置
3 センサ
5 GNSS受信部
7 記憶部
11 駐車位置設定部
13 物標検出部
15 物標登録部
17 駐車支援部
100 車両システム