(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080741
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】施設制御システム、および、残留故障メッセージ表示方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G08G1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193924
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 尚之
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 浩輔
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181DD01
5H181FF33
(57)【要約】
【課題】道路に設けられた設備の故障に関する残留故障メッセージ表示が設備の通信再接続にともなって消えた場合に、状況に応じて適切に復元する。
【解決手段】実施形態の施設制御システムは、道路に設けられた設備の故障信号を取得する故障信号取得部と、故障信号のうち、現在も設備故障中の故障信号の情報だけを残留故障メッセージとして表示部に表示させる制御部と、残留故障メッセージの情報を記憶部にバックアップ情報として記憶させるバックアップ処理部と、を備える。制御部は、設備が通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして表示部から設備に関する残留故障メッセージを削除し、その後に故障信号取得部が設備の同種の故障信号を取得した場合に、残留故障メッセージの復元のために設定された所定の復元条件を満たしているときには、バックアップ情報を用いて残留故障メッセージを復元して表示部に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設けられた設備の故障信号を取得する故障信号取得部と、
前記故障信号のうち、現在も設備故障中の故障信号の情報だけを残留故障メッセージとして表示部に表示させる制御部と、
前記残留故障メッセージの情報を記憶部にバックアップ情報として記憶させるバックアップ処理部と、を備え、
前記制御部は、前記設備が通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして前記表示部から前記設備に関する前記残留故障メッセージを削除し、その後に前記故障信号取得部が前記設備の同種の故障信号を取得した場合に、前記残留故障メッセージの復元のために設定された所定の復元条件を満たしているときには、前記バックアップ情報を用いて前記残留故障メッセージを復元して前記表示部に表示させる、
施設制御システム。
【請求項2】
前記所定の復元条件は、前記故障復旧からの経過時間が第1所定時間以内であって、かつ、前記同種の故障信号の取得の前後の第2所定時間内に前記故障信号取得部が前記設備の異種の故障信号を取得していないことである、
請求項1に記載の施設制御システム。
【請求項3】
前記設備は、車両感知器であり、
前記故障信号取得部は、前記車両感知器の故障信号を交通管制システムから取得し、
前記制御部は、前記車両感知器が前記交通管制システム内の複数の車両感知器中央装置の間の系切替にともなう通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして前記表示部から前記車両感知器に関する前記残留故障メッセージを削除する、
請求項1に記載の施設制御システム。
【請求項4】
前記設備は、前記施設制御システムと接続された通信装置であり、
前記制御部は、前記通信装置がチャタリングにともなう通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして前記表示部から前記通信装置に関する前記残留故障メッセージを削除する、
請求項1に記載の施設制御システム。
【請求項5】
故障信号取得部が、道路に設けられた設備の故障信号を取得する取得ステップと、
制御部が、前記故障信号のうち、現在も設備故障中の故障信号の情報だけを残留故障メッセージとして表示部に表示させる第1表示制御ステップと、
バックアップ処理部が、前記残留故障メッセージの情報を記憶部にバックアップ情報として記憶させるバックアップ処理ステップと、
前記制御部が、前記設備が通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして前記表示部から前記設備に関する前記残留故障メッセージを削除し、その後に前記故障信号取得部が前記設備の同種の故障信号を取得した場合に、前記残留故障メッセージの復元のために設定された所定の復元条件を満たしているときには、前記バックアップ情報を用いて前記残留故障メッセージを復元して前記表示部に表示させる第2表示制御ステップと、
を含む残留故障メッセージ表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、施設制御システム、および、残留故障メッセージ表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路(高速道路等)には、道路の付帯設備として、車両感知器や、各種通信装置や、情報板などの各種設備が設けられている。
【0003】
例えば、高速道路の施設制御システムの運用業務では、高速道路上に設置された各種設備の稼働状況を監視し、障害や故障発生を検知して、管制員にアラームや画面表示で知らせている。また、施設制御システムには、現在発生中の故障のみについて故障の内容や発生日時等を一覧にして、入力したコメントや対応状況(作業状況、点検状況等)設定とともに表示することで、他の管制員と故障情報を共有できる残留故障メッセージ機能がある。
【0004】
施設制御システムでは、残留故障メッセージを表示した後、該当する設備が所定の通信再接続(例えば、親装置の系切替等による通信再接続)を行ったときに故障復旧とみなして残留故障メッセージを削除してしまう。その対策として、残留故障メッセージの内容をバックアップしておき、上述のように残留故障メッセージが削除された場合は、バックアップ情報を用いて残留故障メッセージ表示を復元するという方法がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、残留故障メッセージ表示をバックアップ情報で復元するが、状況によっては復元すべきでない場合であっても復元してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本実施形態の課題は、道路に設けられた設備の故障に関する残留故障メッセージ表示が設備の通信再接続にともなって消えた場合に、状況に応じて適切に復元することができる施設制御システム、および、残留故障メッセージ表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の施設制御システムは、道路に設けられた設備の故障信号を取得する故障信号取得部と、故障信号のうち、現在も設備故障中の故障信号の情報だけを残留故障メッセージとして表示部に表示させる制御部と、残留故障メッセージの情報を記憶部にバックアップ情報として記憶させるバックアップ処理部と、を備える。制御部は、設備が通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして表示部から設備に関する残留故障メッセージを削除し、その後に故障信号取得部が設備の同種の故障信号を取得した場合に、残留故障メッセージの復元のために設定された所定の復元条件を満たしているときには、バックアップ情報を用いて残留故障メッセージを復元して表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の施設制御システム等の概略を示す全体構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態におけるトラカン通信処理装置の系切替時のデータ復元の説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態における通信装置のチャタリング発生時のデータ復元の説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態の施設制御システムによる処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、従来技術におけるトラカン通信処理装置の系切替時の残留故障メッセージの変遷の説明図である。
【
図6】
図6は、従来技術における通信装置のチャタリング発生時の残留故障メッセージの変遷の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を用いて、実施形態の施設制御システム、および、残留故障メッセージ表示方法について説明する。なお、本実施形態では、道路として高速道路の場合を例にとって説明する。
【0010】
(従来技術)
実施形態の理解を容易にするために、あらためて、従来技術について説明する。例えば、情報板やトラフィックカウンタ(車両感知器)(以下、「トラカン」とも称する。)等の交通系の設備に関しては、故障した場合、別システムである交通管制システムを経由して、施設制御システムに故障信号が送信される。以下では、まず、設備がトラカンの場合を例にとる。
【0011】
図5は、従来技術におけるトラカン通信処理装置の系切替時の残留故障メッセージの変遷の説明図である。
交通管制システム11には、交通中央処理装置12と、トラカン通信処理装置A(運用系)13と、トラカン通信処理装置B(待機系)14と、が設けられている。左図では、トラカン通信処理装置A(運用系)13が複数のトラカンTC(トラカン1、2、・・・、)と通信接続している。
【0012】
そして、トラカンTCからの故障信号に基づいて、領域D21に示すように、施設制御システム1に残留故障メッセージが表示される。ここで、残留故障メッセージの一番右はコメント、対応状況設定欄である(以下、同様)。
【0013】
そして、トラカン通信処理装置にてトラカンTCのバージョンアップなどを行うときなどに、トラカン通信処理装置の系切替が行われ、右図に示すように、トラカン通信処理装置A13が待機系になり、トラカン通信処理装置B14が運用系になる。
そうすると、施設制御システム1では、新たに運用系となったトラカン通信処理装置B14の方には故障メッセージが届かないので、トラカンTCの故障が復旧した扱いとなって、領域D22に示すように、残留故障メッセージ表示が消える。
【0014】
そして、その後に、再び、施設制御システム1がそれらのトラカンTCの故障を検知(つまり、交通管制システム11から故障信号を受信)すると、領域D23に示すように、残留故障メッセージにおいて、それらのトラカンTCについて、新たに故障を検知した日時で故障日時が表示され、また、コメント、対応状況設定は削除されたままとなる。
【0015】
また、交通管制システム11からの信号に限らず、施設制御システム1に接続された通信装置(IG(Intelligent)子局(遠方監視装置)やETC監視設備等)についても、同様に、チャタリングが発生した場合、残留故障メッセージ表示が削除されてしまう。
【0016】
図6は、従来技術における通信装置Cのチャタリング発生時の残留故障メッセージの変遷の説明図である。
施設制御システム1には、施設制御処理装置(A/B系)7と、通信処理装置(A/B系)8と、が設けられている。
そして、領域D31に示すように、通信装置Cからの故障信号に基づいて、施設制御システム1に残留故障メッセージが表示されている。
【0017】
そして、通信処理装置(A/B系)8と通信装置Cの間でチャタリングが発生した場合、施設制御システム1では、通信装置Cの故障が復旧した扱いとなって、領域D32に示すように、残留故障メッセージ表示が消える。
【0018】
そして、その後に、再び、施設制御システム1が通信装置Cの故障を検知(つまり、通信装置Cから故障信号を受信)すると、領域D33に示すように、残留故障メッセージにおいて、その通信装置Cについて、新たに故障を検知した日時で故障日時が表示され、また、コメント、対応状況設定は削除されたままとなる。
【0019】
これらの問題への対策として、残留故障メッセージの内容をバックアップしておき、上述の系切替やチャタリングの発生時に、バックアップ情報を用いて、残留故障メッセージ表示を復元するという方法がある。
【0020】
しかしながら、上述の従来技術では、残留故障メッセージ表示をバックアップ情報で復元するが、状況によっては復元すべきでない場合であっても復元してしまうという問題がある。
【0021】
復元すべきでない場合とは、例えば、系切替の場合、系切替の直後から残留故障メッセージの復元までの間に、施設制御システムが、前に故障信号を受信したトラカンから今度は異種の故障信号を受信した場合である。
【0022】
そこで、以下では、道路に設けられた設備の故障に関する残留故障メッセージ表示が設備の通信再接続にともなって消えた場合に、状況に応じて適切に復元することができる技術について説明する。
【0023】
(実施形態)
図1は、実施形態の施設制御システム1等の概略を示す全体構成図である。
管制対象である高速道路に対して、施設制御システム1と交通管制システム11が設けられる。また、高速道路には、図示していない車両感知器や、各種通信装置や、情報板などの各種設備が設置されている。
【0024】
交通管制システム11は、高速道路の車両交通を管理(監視)、制御するシステムである。交通管制システム11は、例えば、情報通信処理装置や中央処理装置等の複数のコンピュータ装置によって実現される。
【0025】
施設制御システム1は、道路の各種設備を管理(監視)、制御するシステムである。施設制御システム1は、例えば、情報通信処理装置や中央処理装置等の複数のコンピュータ装置によって実現される。
【0026】
施設制御システム1は、処理部2と、記憶部3と、入力部4と、出力部5と、通信部6と、を備える。
【0027】
記憶部3は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部3は、各種プログラム、各種データを記憶する。記憶部3は、例えば、バックアップ情報31を記憶する。
【0028】
バックアップ情報31は、残留故障メッセージの内容のバックアップ用の情報である。
【0029】
処理部2は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える処理部である。
ROMは、各種プログラムや各種データを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
【0030】
MPUは、施設制御システム1の動作を統括的に制御する。そして、MPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部3等に格納されたプログラムを実行する。
【0031】
処理部2は、機能部として、故障信号取得部21と、制御部22と、バックアップ処理部23と、を備える。
【0032】
故障信号取得部21は、外部装置(交通管制システム11、通信装置Cなど)から各種情報を取得する取得部である。故障信号取得部21は、道路に設けられた設備の故障信号を取得する。なお、故障信号取得部21による設備の故障信号の取得に関して、例えば、DI(Digital Input)定義情報であらかじめ信号種別や項目名称等を定義しておく。そして、故障信号取得部21は、他装置からDI信号を受信した場合、DI定義情報を参照することで、残留故障メッセージを管理する制御部22へ故障情報等を通知することで残留故障メッセージを表示させる。
【0033】
制御部22は、施設制御システム1内の各種制御を実行する制御部である。制御部22は、故障信号のうち、現在も設備故障中の故障信号の情報だけを残留故障メッセージとして出力部5(表示部)に表示させる。
【0034】
また、制御部22は、設備が通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして出力部5からその設備に関する残留故障メッセージを削除する。そして、制御部22は、その後に故障信号取得部21がその設備の同種の故障信号を取得した場合に、残留故障メッセージの復元のために設定された所定の復元条件を満たしているときには、バックアップ情報31を用いて残留故障メッセージを復元して出力部5に表示させる。
【0035】
ここで、所定の復元条件の一例としては、例えば、前記故障復旧からの経過時間が第1所定時間(復元の要否判定用に設定される任意の時間)以内であって、かつ、同種の故障信号の取得の前後の第2所定時間(復元の要否判定用に設定される任意の時間)内に故障信号取得部21がその設備の異種の故障信号を取得していないことである。
【0036】
バックアップ処理部23は、残留故障メッセージの内容を記憶部3にバックアップ情報31として記憶させる処理部である。
【0037】
また、設備は、一例として、車両感知器(トラカン)である。この場合について、
図2を用いて詳述する。
【0038】
図2は、実施形態におけるトラカン通信処理装置の系切替時のデータ復元の説明図である。
交通管制システム11には、交通中央処理装置12と、トラカン通信処理装置A(運用系)13と、トラカン通信処理装置B(待機系)14と、が設けられている。
左図では、トラカン通信処理装置A(運用系)13が複数のトラカンTC(トラカン1、2、・・・、)と通信接続している。故障信号取得部21は、トラカンTCの故障信号を交通管制システム11から取得する。そして、領域D1に示すように、制御部22は、出力部5に残留故障メッセージを表示する。
【0039】
そして、トラカン通信処理装置にてトラカンTCのバージョンアップを行うときなどに、トラカン通信処理装置の系切替が行われ、右図に示すように、トラカン通信処理装置A13が待機系になり、トラカン通信処理装置B14が運用系となる。
【0040】
そうすると、施設制御システム1では、トラカンTCの故障が復旧した扱いとなって、領域D2に示すように、残留故障メッセージ表示が消える。つまり、制御部22は、トラカンTCが交通管制システム11内の複数のトラカン通信処理装置の間の系切替にともなう通信再接続を行ったときに、故障復旧とみなして出力部5からトラカンTCに関する残留故障メッセージを削除する。
【0041】
そして、その後に、再び、施設制御システム1がそれらのトラカンTCの故障を検知(つまり、交通管制システム11から故障信号を受信)すると、所定の復元条件を満たしているかを判定する。もし、所定の復元条件を満たしているときには、領域D3に示すように、それらのトラカンTCについて、残留故障メッセージが復元される。つまり、故障信号取得部21がそれらのトラカンTCの同種の故障信号を取得した場合に、制御部22は、所定の復元条件を満たしているときには、バックアップ情報31を用いて残留故障メッセージを復元して、出力部5に表示させる。
このように、残留故障メッセージを復元することで、タイムスタンプ、コメント、対応状況設定が、既存の情報のまま再び表示される。
【0042】
また、制御部22は、所定の復元条件を満たしていないときには、残留故障メッセージを復元しない。例えば、故障復旧からの経過時間が第1所定時間以内でない場合は、時間が経過しすぎているため、残留故障メッセージを復元する必要がないと考えられるからである。
【0043】
また、同種の故障信号の取得の前後の第2所定時間内に、故障信号取得部21がその設備の異種の故障信号を取得している場合は、最新の故障信号を優先させるべきであるため、残留故障メッセージを復元する必要がないと考えられるからである。
【0044】
次に、他の設備の一例として、通信装置(IG子局やETC監視設備等)である。この場合について、
図3を用いて詳述する。
【0045】
図3は、実施形態における通信装置Cのチャタリング発生時のデータ復元の説明図である。なお、
図3では、施設制御システム1は、構成の一部として、施設制御処理装置(A/B系)7と、通信処理装置(A/B系)8と、を備える。
【0046】
故障信号取得部21は、通信装置Cから故障信号を取得する。そして、領域D1に示すように、制御部22は、出力部5に残留故障メッセージを表示する。
【0047】
そして、通信装置Cのチャタリングが発生すると、施設制御システム1では、通信装置Cの故障が復旧した扱いとなって、領域D12に示すように、残留故障メッセージ表示が消える。つまり、制御部22は、通信装置Cがチャタリングにともなう通信再接続を行ったときに故障復旧とみなして出力部5から通信装置Cに関する残留故障メッセージを削除する。
【0048】
そして、その後に、再び、施設制御システム1が通信装置Cの故障を検知(つまり、通信装置Cから故障信号を受信)すると、所定の復元条件を満たしているかを判定する。もし、所定の復元条件を満たしているときには、領域D13に示すように、通信装置Cについて、残留故障メッセージが復元される。つまり、故障信号取得部21が通信装置Cの同種の故障信号を取得した場合で所定の復元条件を満たしているときには、制御部22は、バックアップ情報31を用いて残留故障メッセージを復元して出力部5に表示させる。
このように、残留故障メッセージを復元することで、タイムスタンプ、コメント、対応状況設定が既存の情報のまま再び表示される。
【0049】
図1に戻って、入力部4は、施設制御システム1に対するユーザの操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0050】
出力部5は、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))や有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等の表示部や、スピーカ等の音声出力装置である。
【0051】
図4は、実施形態の施設制御システム1による処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、故障信号取得部21は、設備の故障信号を取得する。
【0052】
次に、ステップS2において、制御部22は、取得した故障信号に対応する残留故障メッセージを出力部5に表示する(
図2の領域D1、
図3の領域D11)。
【0053】
次に、ステップS3において、バックアップ処理部23は、残留故障メッセージ情報を記憶部3にバックアップ情報31として記憶させる。
【0054】
次に、処理部2は、ステップS4~S12のループ処理を実施する。
【0055】
ステップS5において、故障信号取得部21は、コメント入力情報や対応状況設定入力情報を取得する。
【0056】
次に、ステップS6において、バックアップ処理部23は、ステップS5で取得した情報を用いてバックアップ情報31を更新する。また、制御部22は、残留故障メッセージ表示も更新する。
【0057】
次に、ステップS7において、制御部22は、設備側に系切替やチャタリングによる通信再接続が発生したことを検知する。
【0058】
次に、ステップS8において、制御部22は、残留故障メッセージを削除する(
図2の領域D2、
図3の領域D12)。
【0059】
次に、ステップS9において、故障信号取得部21は、設備の故障信号を取得する。
【0060】
次に、ステップS10において、制御部22は、所定の復元条件を満たすか否かを判定し、Yesの場合はステップS11に進み、Noの場合はステップS12に進む。
【0061】
ステップS11において、制御部22は、残留故障メッセージを復元する(
図2の領域D3、
図3の領域D13)。
【0062】
次に、ステップS13において、故障信号取得部21は、設備の故障復旧信号を取得する。これにともない、制御部22は、残留故障メッセージ表示におけるその設備の表示を削除する。
【0063】
次に、ステップS14において、ステップS13からの所定時間の経過などを条件として、バックアップ処理部23は、バックアップ情報31を削除する。
【0064】
このように、本実施形態の施設制御システム1によれば、残留故障メッセージが一旦消えた後に同じ設備から同種の故障信号を取得した場合は、所定の復元条件を満たしているかを判定する。そして、所定の復元条件を満たしているときにはバックアップ情報を用いて残留故障メッセージ表示を復元し、所定の復元条件を満たしていないときには残留故障メッセージ表示を復元しない。これにより、道路に設けられた設備の故障に関する残留故障メッセージ表示が、設備の通信再接続にともなって消えた場合に、状況に応じて適切に復元することができる。
【0065】
よって、残留故障メッセージの表示内容を適切なものに維持することで、故障の情報の明確化や、管制員の業務効率化などを図ることができる。
【0066】
なお、本実施形態の施設制御システム1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。当該プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0067】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0068】
当該プログラムは、上述した施設制御システム1の処理部2における各部21~23を含むモジュール構成となっている。つまり、CPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより、各部21~23が主記憶装置上にロードされる。
【0069】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0070】
例えば、対象の道路は、高速道路に限定されず、一般道路等の他の道路に設置された道路付帯設備にも同様に適用できる。
【0071】
また、残留故障メッセージを表示させる場合に、1つの設備に関する故障信号や同種の複数の故障信号について、表示させる個数の制約がある場合はその制約にしたがうものとし、その制約がない場合は現在も設備故障中の故障信号の情報のすべてを表示させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…施設制御システム、2…処理部、3…記憶部、4…入力部、5…出力部、6…通信部、7…施設制御処理装置(A/B系)、8…通信処理装置(A/B系)、11…交通管制システム、12…交通中央処理装置、13…トラカン通信処理装置A、14…トラカン通信処理装置B、21…故障信号取得部、22…制御部、23…バックアップ処理部、31…バックアップ情報、C…通信装置、TC…トラカン