(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080742
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】道路管制システムおよび表示方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193925
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 修史
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC27
5H181DD01
5H181EE12
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF33
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】トンネルで結露による視認性悪化が発生した車両による接触事故の可能性を低減する。
【解決手段】実施形態の道路システムでは、ランプトンネルおよびトンネル外ランプにおける気温データ、湿度データに基づいて、トンネル外ランプからランプトンネルに進入する車両に視認性悪化の原因となる結露が発生するか否かを判定し、ランプトンネルおよび本線トンネルの車両感知データに基づいて、本線トンネルとランプトンネルの合流部分で車両接近があるか否かを判定し、結露が発生すると判定され、かつ、合流部分で車両接近があると判定された場合に、車両接近の対象となる車両の運転者が利用可能な情報端末に対して結露による視認性悪化と車両接近に関する注意喚起表示を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線トンネルと、前記本線トンネルに合流するランプトンネルと、前記ランプトンネルに接続されるトンネル外ランプと、を含む道路に関して、前記ランプトンネルおよび前記トンネル外ランプにおける気温データ、湿度データを取得するとともに、前記ランプトンネルおよび前記本線トンネルにおける車両感知データを取得する取得部と、
前記ランプトンネルおよび前記トンネル外ランプにおける前記気温データ、前記湿度データに基づいて、前記トンネル外ランプから前記ランプトンネルに進入する車両に視認性悪化の原因となる結露が発生するか否かを判定する結露判定部と、
前記ランプトンネルおよび前記本線トンネルの前記車両感知データに基づいて、前記本線トンネルと前記ランプトンネルの合流部分で車両接近があるか否かを判定する車両接近判定部と、
前記結露判定部によって結露が発生すると判定され、かつ、前記車両接近判定部によって前記合流部分で車両接近があると判定された場合に、前記車両接近の対象となる車両の運転者が利用可能な情報端末に対して結露による視認性悪化と車両接近に関する注意喚起表示を行う表示制御部と、
を備える道路管制システム。
【請求項2】
前記情報端末は、前記ランプトンネルおよび前記トンネル外ランプの少なくともいずれかに設置された情報板であって、
前記表示制御部は、前記情報板に対して、自車両の結露による視認性悪化と、前記合流部分での前記本線トンネルからの車両との接近に関する注意喚起表示を行う、
請求項1に記載の道路管制システム。
【請求項3】
前記情報端末は、前記本線トンネルに設置された情報板であって、
前記表示制御部は、前記情報板に対して、前記合流部分での前記ランプトンネルからの車両との接近と、当該ランプトンネルからの車両における結露による視認性悪化と、に関する注意喚起表示を行う、
請求項1に記載の道路管制システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記情報板に対して、前記車両が合流車線から残りの車線に移動するように誘導する表示を行う、
請求項3に記載の道路管制システム。
【請求項5】
取得部が、本線トンネルと、前記本線トンネルに合流するランプトンネルと、前記ランプトンネルに接続されるトンネル外ランプと、を含む道路に関して、前記ランプトンネルおよび前記トンネル外ランプにおける気温データ、湿度データを取得するとともに、前記ランプトンネルおよび前記本線トンネルにおける車両感知データを取得する取得ステップと、
結露判定部が、前記ランプトンネルおよび前記トンネル外ランプにおける前記気温データ、前記湿度データに基づいて、前記トンネル外ランプから前記ランプトンネルに進入する車両に視認性悪化の原因となる結露が発生するか否かを判定する結露判定ステップと、
車両接近判定部が、前記ランプトンネルおよび前記本線トンネルの前記車両感知データに基づいて、前記本線トンネルと前記ランプトンネルの合流部分で車両接近があるか否かを判定する車両接近判定ステップと、
表示制御部が、前記結露判定ステップによって結露が発生すると判定され、かつ、前記車両接近判定ステップによって前記合流部分で車両接近があると判定された場合に、前記車両接近の対象となる車両の運転者が利用可能な情報端末に対して結露による視認性悪化と車両接近に関する注意喚起表示を行う表示制御ステップと、
を含む表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、道路管制システムおよび表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、道路(高速道路など)には、多くのトンネルが存在する。トンネルは、県境の険しい山間部や都市高速にみられる市街地直下にも存在している。中には、全長が10kmを超えるトンネルも存在する。また、道路のトンネルには、例えば、本線トンネルと、本線トンネルに対して分岐・合流するランプトンネルと、がある。
【0003】
トンネル長によるが、これらのトンネルに関しては、監視カメラ等の監視設備や、火災用の消火設備や、災害等による通行不可時の避難設備や、吸排気を行う換気設備などの防災・環境設備などが設けられている。
【0004】
また、夏期の市街地直下トンネルに関しては、トンネル内の温度が上昇して40度近くなるケースもあることから、ドライミスト噴霧装置を設置して換気運転とともにトンネル内の温度上昇を抑止することも行っている。
【0005】
また、一部の市街地直下トンネルにおいて、1年を通して外気温度と比べてトンネル内温度のほうが高くなる傾向がある個所が存在している。外気温度が低く、湿度が高い時期には、車両が外からトンネルへ進入した際に、外気で冷やされた車両の窓ガラスやドアミラーなどに結露が発生する場合がある。
【0006】
そのような条件下では、トンネル内で本線トンネルとランプトンネルの合流部分において、ランプトンネルからの車両の窓ガラスやドアミラーなどが結露し、視認性悪化による接触事故が発生する場合がある。
【0007】
その対策として、例えば、結露が発生する可能性があるトンネルに進行する車両に対して、情報板などによって結露発生に関する注意喚起を行う従来技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2021-60632号公報
【特許文献2】特開平9-304498号公報
【特許文献3】特開昭63-228397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の従来技術では、ある程度の効果があるものの、充分な対策とは言えない。例えば、本線を走行する車両に対しては、ランプトンネルから結露して視認性が悪化している車両が合流しようとしていることは知らされておらず、そのため合流部分での接触事故を起こす可能性はまだ高い状態であると考えられる。
【0010】
そこで、本実施形態の課題は、トンネルで結露による視認性悪化が発生した車両による接触事故の可能性を低減することができる道路管制システムおよび表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の道路システムは、本線トンネルと、前記本線トンネルに合流するランプトンネルと、前記ランプトンネルに接続されるトンネル外ランプと、を含む道路に関して、前記ランプトンネルおよび前記トンネル外ランプにおける気温データ、湿度データを取得するとともに、前記ランプトンネルおよび前記本線トンネルにおける車両感知データを取得する取得部と、前記ランプトンネルおよび前記トンネル外ランプにおける前記気温データ、前記湿度データに基づいて、前記トンネル外ランプから前記ランプトンネルに進入する車両に視認性悪化の原因となる結露が発生するか否かを判定する結露判定部と、前記ランプトンネルおよび前記本線トンネルの前記車両感知データに基づいて、前記本線トンネルと前記ランプトンネルの合流部分で車両接近があるか否かを判定する車両接近判定部と、前記結露判定部によって結露が発生すると判定され、かつ、前記車両接近判定部によって前記合流部分で車両接近があると判定された場合に、前記車両接近の対象となる車両の運転者が利用可能な情報端末に対して結露による視認性悪化と車両接近に関する注意喚起表示を行う表示制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態の道路システムなどの概略を示す全体構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態における情報板への表示内容の例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態の道路管制システムによる処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を用いて、本発明の道路管制システムおよび表示方法の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、道路として高速道路の場合を例にとって説明する。
【0014】
(実施形態)
図1は、実施形態の道路システムSなどの概略を示す全体構成図である。管制対象の道路は、本線トンネルMTと、本線トンネルMTに合流するランプトンネルRTと、ランプトンネルRTに接続されるトンネル外ランプROTと、を含む。
【0015】
ここで、トンネル外ランプROTでの気温よりもランプトンネルRT内の気温のほうが高く、かつ、ランプトンネルRT内の湿度が高い場合を想定する。そうすると、車両Cがトンネル外ランプROTからランプトンネルRTに進入した際に、外気で冷やされた車両Cの窓ガラスやドアミラーなどに結露が発生し、その車両Cの運転者の視認性が悪化する場合がある。そこで、道路システムSによってその対策を講じる。
【0016】
道路システムSは、端末装置1と、端末装置2と、端末装置3と、道路管制システム4と、を備えるシステムである。
【0017】
端末装置1は、トンネル外ランプROTの路側に設けられ、温湿度センサ11と、車両感知センサ12と、情報板13と、処理部14と、を備える装置である。
【0018】
温湿度センサ11は、トンネル外ランプROTにおける温湿度(気温、湿度)を検知し、温湿度データ(気温データ、湿度データ)を出力するセンサである。
【0019】
車両感知センサ12は、トンネル外ランプROTを走行する車両に関する車両感知データとして、交通量[台/所定時間]、平均速度[km/所定時間]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報を検知し、出力するセンサである。ここで、交通量[台/所定時間]の検知間隔は、例えば、1分単位と5分単位である。そして、その取得(検知)データに基づいて、当該地点の1分間、5分間、1時間、1日間の交通量を算出している。
【0020】
情報板13は、トンネル外ランプROTを走行する車両Cに対する情報の表示手段である。
【0021】
処理部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などによって構成され、各種処理を実行する処理部である。処理部14は、例えば、温湿度センサ11による温湿度データや車両感知センサ12による車両感知データを道路管制システム4に送信する。また、処理部14は、道路管制システム4からの指示信号に基づいて、情報板13に各種情報を表示する。
【0022】
端末装置2は、ランプトンネルRT内に設けられ、温湿度センサ21と、車両感知センサ22と、情報板23と、処理部24と、を備える装置である。
【0023】
温湿度センサ21は、ランプトンネルRT内の温湿度を検知し、温湿度データを出力するセンサである。
【0024】
車両感知センサ22は、ランプトンネルRT内を走行する車両に関する車両感知データとして、交通量[台/h]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報を検知し、出力するセンサである。
【0025】
情報板23は、ランプトンネルRT内を走行する車両Cに対する情報の表示手段である。
【0026】
処理部24は、例えば、CPUなどによって構成され、各種処理を実行する処理部である。処理部24は、例えば、温湿度センサ21による温湿度データや車両感知センサ22による車両感知データを道路管制システム4に送信する。また、処理部24は、道路管制システム4からの指示信号に基づいて、情報板23に各種情報を表示する。
【0027】
端末装置3は、本線トンネルMT内に設けられ、温湿度センサ31と、車両感知センサ32と、情報板33と、処理部34と、を備える装置である。
【0028】
温湿度センサ31は、本線トンネルMT内の温湿度を検知し、温湿度データを出力するセンサである。
【0029】
車両感知センサ32は、本線トンネルMT内を走行する車両に関する車両感知データとして、交通量[台/h]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報を検知、出力するセンサである。
【0030】
情報板33は、本線トンネルMT内を走行する車両Cに対する情報の表示手段である。
【0031】
処理部34は、例えば、CPUなどによって構成され、各種処理を実行する処理部である。処理部34は、例えば、温湿度センサ31による温湿度データや車両感知センサ32による車両感知データを道路管制システム4に送信する。また、処理部34は、道路管制システム4からの指示信号に基づいて、情報板33に各種情報を表示する。
【0032】
道路管制システム4は、道路管制センタに設置されるコンピュータ装置である。道路管制センタで管制員によって行われる管制業務には、大きく、交通管制業務と施設管制業務の2つがある。
【0033】
交通管制業務は、交通に影響を及ばすイベント事象(例えば、交通事故、渋滞、落下物等)の監視や、イベント事象の発生時の対処や通行車両への情報提供等を行う業務である。
【0034】
また、施設管制業務は、道路施設に関するイベント事象(例えば、端末(各種機器)故障、災害(火災等)など)の監視や、イベント事象の発生時の対処や通行車両への情報提供等を行う業務である。
【0035】
そして、道路管制システム4は、実際には交通管制システムと施設管制システムによって構成されるが、ここでは、説明を簡潔にするために、単一のシステムとして説明する。
【0036】
また、道路管制システム4は、例えば、情報交換サーバや中央処理装置等の複数のコンピュータ装置によって実現されるが、本実施形態では、説明を簡潔にするために、1台のコンピュータ装置によって構成されているものとして説明する。
【0037】
道路管制システム4は、記憶部41と、入力部42と、出力部43と、通信部44と、処理部45と、を備えるシステムである。
【0038】
記憶部41は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部41は、各種プログラム、各種データを記憶する。記憶部41は、例えば、高速道路に関する区間、車線数、インターチェンジ、ジャンクション、パーキングエリア、サービスエリア、トンネルの場所等の情報を記憶する。
【0039】
入力部42は、道路管制システム4に対するユーザの操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0040】
出力部43は、情報を出力する装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))や有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置である。
【0041】
通信部44は、外部装置(端末装置1~3等)と通信するための通信インターフェースである。
【0042】
処理部45は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える処理部である。
【0043】
MPUは、道路管制システム4の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムや各種データを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。
【0044】
そして、MPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部41等に格納されたプログラムを実行する。処理部45は、機能部として、取得部451と、結露判定部452と、車両接近判定部453と、表示制御部454と、を備える。
【0045】
取得部451は、外部装置(端末装置1~3等)から各種情報を取得する取得部である。取得部451は、例えば、端末装置1~3から温湿度データと車両感知データを取得する。
【0046】
結露判定部452は、ランプトンネルRTおよびトンネル外ランプROTにおける気温データ、湿度データに基づいて、トンネル外ランプROTからランプトンネルRTに進入する車両Cに視認性悪化の原因となる結露が発生するか否かを判定する判定部である。
【0047】
結露判定部452は、例えば、トンネル外ランプROTの気温よりもランプトンネルRTの気温のほうが高く、かつ、湿度が閾値以上の場合に結露発生の可能性ありと判定する。具体的には、結露判定部452は、例えば、トンネル外ランプROTの気温よりもランプトンネルRTの気温のほうが10度以上高く、かつ、湿度が50%以上の場合に結露発生の可能性ありと判定する。
【0048】
また、結露判定部452は、例えば、過去データを用いた機械学習によって作成された学習モデルを用いて、当該結露が発生するか否かを判定してもよい。
【0049】
車両接近判定部453は、ランプトンネルRTおよび本線トンネルMTの車両感知データに基づいて、本線トンネルMTとランプトンネルRTの合流部分で車両接近があるか否かを判定する判定部である。
【0050】
表示制御部454は、結露判定部452によって結露が発生すると判定され、かつ、車両接近判定部453によって合流部分で車両接近があると判定された場合に、車両接近の対象となる車両Cの運転者が利用可能な情報端末に対して結露による視認性悪化と車両接近に関する注意喚起表示を行う制御部である。情報端末としては、例えば、情報板13、23、33が考えられる。
【0051】
以下、
図2も併せて参照する。
図2は、実施形態における情報板への表示内容の例を示す図である。例えば、情報端末が本線トンネルMTの情報板33で、車線誘導がある場合、
図2(a)に示すように、表示制御部454は、情報板33に対して、合流部分でのランプトンネルRTからの車両との接近と、ランプトンネルRTからの車両における結露による視認性悪化と、車両が合流車線から残りの車線に移動するように誘導する車両誘導と、に関する注意喚起表示を行う。具体的には、情報板33に「合流車両 ミラー結露あり 右に寄れ」と表示させる。なお、車線誘導がある場合とは、本線トンネルMTの合流部分付近の交通量が少ないなどの条件を満たしていて、車両Cが誘導に応じて合流車線からの残りの車線への移動が可能な場合を指し、車両接近判定部453によって判定される。
【0052】
また、情報端末が本線トンネルMTの情報板33で、車線誘導がない場合、
図2(b)に示すように、表示制御部454は、情報板33に対して、合流部分でのランプトンネルRTからの車両との接近と、ランプトンネルRTからの車両における結露による視認性悪化と、に関する注意喚起表示を行う。具体的には、情報板33に「合流車両 ミラー結露あり」と表示させる。なお、車線誘導がない場合とは、本線トンネルMTの合流部分付近の交通量が少ないなどの条件を満たしていなくて、車両Cが誘導に応じて合流車線から残りの車線への移動が可能ではない場合を指す。
【0053】
また、情報端末がランプトンネルRTの情報板23の場合、
図2(c)に示すように、表示制御部454は、情報板23に対して、自車両の結露による視認性悪化と、合流部分での本線トンネルMTからの車両との接近に関する注意喚起表示を行う。具体的には、情報板23に「ガラス・ミラー結露注意 合流時 本線車両あり」と表示させる。
【0054】
また、情報端末がランプトンネルRTの情報板23で、当該車両接近がない場合に、
図2(d)に示すように、表示制御部454は、情報板23に対して、ランプトンネルRTに進入した車両Cの結露による視認性悪化に関する注意喚起表示を行う。具体的には、情報板23に「ガラス・ミラー結露注意」と表示させる。
【0055】
また、情報端末がトンネル外ランプROTの情報板13の場合、
図2(e)に示すように、表示制御部454は、情報板23に対して、これからランプトンネルRTに進入する車両Cの結露による視認性悪化に関する注意喚起表示を行う。具体的には、情報板23に「ガラス・ミラー結露注意」と表示させる。
【0056】
なお、情報端末がトンネル外ランプROTの情報板13の場合、
図2(c)に示すように、自車両の結露による視認性悪化と、合流部分での本線トンネルMTからの車両との接近に関する注意喚起表示を行うようにしてもよい。
【0057】
図3は、実施形態の道路管制システム4による処理の内容を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、取得部451は、端末装置1~3から温湿度データを取得する。
【0058】
次に、ステップS2において、取得部451は、端末装置1~3から車両感知データを取得する。
【0059】
次に、ステップS3において、結露判定部452は、ランプトンネルRTおよびトンネル外ランプROTにおける気温データ、湿度データに基づいて、トンネル外ランプROTからランプトンネルRTに進入する車両Cに視認性悪化の原因となる結露が発生するか否かを判定し、Yesの場合はステップS4に進み、Noの場合は処理を終了する。
【0060】
ステップS4において、処理部45は、情報を提供する車線の種別を判定し、本線トンネルMTの場合はステップS5に進み、ランプトンネルRTの場合はステップS10に進み、トンネル外ランプROTの場合はステップS14に進む。
【0061】
ステップS5において、車両接近判定部453は、合流車両があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS6に進み、Noの場合は処理を終了する。
【0062】
ステップS6において、車両接近判定部453は、車両誘導が必要か否かを判定し、Yesの場合はステップS7に進み、Noの場合はステップS8に進む。
【0063】
ステップS7において、表示制御部454は、情報の提供内容を「ランプトンネルから結露車両:あり」、「車両誘導:あり」と設定する。
【0064】
ステップS8において、表示制御部454は、情報の提供内容を「ランプトンネルから結露車両:あり」、「車両誘導:なし」と設定する。
【0065】
ステップS7、S8の後、ステップS9において、表示制御部454は、本線トンネルMTへの情報提供処理を行う。具体的には、ステップS7を経由している場合、表示制御部454は、情報板33に
図2(a)のような表示を行う。また、ステップS8を経由している場合、表示制御部454は、情報板33に
図2(b)のような表示を行う。
【0066】
ステップS10において、車両接近判定部453は、本線車両があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS11に進み、Noの場合はステップS12に進む。
【0067】
ステップS11において、表示制御部454は、情報の提供内容を「結露の可能性:あり」、「合流車両:あり」と設定する。
【0068】
ステップS12において、表示制御部454は、情報の提供内容を「結露の可能性:あり」、と設定する。
【0069】
ステップS11、S12の後、ステップS13において、表示制御部454は、ランプトンネルRTへの情報提供処理を行う。具体的には、ステップS11を経由している場合、表示制御部454は、情報板23に
図2(c)のような表示を行う。また、ステップS12を経由している場合、表示制御部454は、情報板23に
図2(d)のような表示を行う。
【0070】
ステップS14において、表示制御部454は、情報の提供内容を「結露の可能性:あり」、と設定する。
【0071】
次に、ステップS15において、表示制御部454は、トンネル外ランプROTへの情報提供処理を行う。具体的には、表示制御部454は、情報板13に
図2(e)のような表示を行う。
【0072】
このように、本実施形態の道路システムSによれば、本線トンネルMT、ランプトンネルRT、トンネル外ランプROTについて結露判定と車両接近判定を行い、それらの判定結果に応じて
図2(a)~(e)に示すような表示を使い分ける。これにより、トンネルで結露による視認性悪化が発生した車両による接触事故の可能性を低減することができる。
【0073】
例えば、本線トンネルMTを走行する車両に対しても、ランプトンネルRTから結露して視認性が悪化している車両が合流しようとしていることを知らせることで、合流部分での接触事故を起こす可能性を低減できる。
【0074】
(変形例)
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、トンネル外ランプROTの情報板13、ランプトンネルRTの情報板23、および、本線トンネルMTの情報板33、のうち1つか2つがない場合でも実施可能である。
【0075】
なお、本実施形態の道路管制システム4で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。当該プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0076】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0077】
本実施形態の道路管制システム4で実行されるプログラムは、上述した処理部45における各機能部を含むモジュール構成となっている。つまり、CPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより、各機能部が主記憶装置上にロードされる。
【0078】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
例えば、対象の道路は、高速道路に限定されず、一般道路等の他の道路であってもよい。
【0080】
また、車両Cの運転者が利用可能で上述の注意喚起表示を行う情報端末は、情報板に限定されず、ほかに、例えば、運転者が携帯する携帯電話(スマートフォン)や、車両Cに搭載されたカーナビゲーションシステムなどであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…端末装置、2…端末装置、3…端末装置、4…道路管制システム、11…温湿度センサ、12…車両感知センサ、13…情報板、14…処理部、21…温湿度センサ、22…車両感知センサ、23…情報板、24…処理部、31…温湿度センサ、32…車両感知センサ、33…情報板、34…処理部、41…記憶部、42…入力部、43…出力部、44…通信部、45…処理部、451…取得部、452…結露判定部、453…車両接近判定部、454…表示制御部、C…車両、MT…本線トンネル、ROT…トンネル外ランプ、RT…ランプトンネル、S…道路システム