(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080743
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】圧縮空気除湿装置ユニット
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B01D53/26 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193926
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 允俊
(72)【発明者】
【氏名】横山 慧
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】山岸 稔秋
【テーマコード(参考)】
4D052
【Fターム(参考)】
4D052AA01
4D052AA05
4D052BA04
4D052BB02
4D052BB04
4D052BB09
4D052FA06
4D052FA08
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB02
4D052GB05
4D052GB08
4D052GB09
(57)【要約】
【課題】圧縮空気除湿装置に導入される圧縮空気を冷却させるように、凝縮器の冷却ファンによる排風を適切に利用できる圧縮空気除湿装置ユニットを提供する。
【解決手段】冷凍サイクル装置10と、圧縮空気除湿装置20とが、ケーシング50の内部に収納されている圧縮空気除湿装置ユニットであって、圧縮空気入口22及び入口配管23がケーシング50の内部の上部に配置され、凝縮器12が圧縮空気入口22よりも下側に配置されていると共に、凝縮器12の冷却ファン13がケーシング50の内部へ向けて空気を送風するように配置され、冷却ファン13の送風によって空気が凝縮器12の熱交換器部12aを通過して加熱されることで生じる排風が、圧縮空気入口22及び入口配管23が配設された空間を通過して排気されるように、排風の排気口51がケーシング50の上部に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備える冷凍サイクル装置と、
圧縮空気が導入される圧縮空気入口並びに除湿された圧縮空気が排出される圧縮空気出口が設けられた圧力容器としての除湿装置筐体、及び該除湿装置筐体に導入された圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿させるように、前記除湿装置筐体の内部に設置された前記冷凍サイクル装置の前記蒸発器を備える圧縮空気除湿装置とが、
ケーシングの内部に収納されている圧縮空気除湿装置ユニットであって、
前記圧縮空気入口及び該圧縮空気入口から延設される入口配管が前記ケーシングの内部の上部に配置され、
前記冷凍サイクル装置の前記凝縮器が前記圧縮空気入口よりも下側に配置されていると共に、該凝縮器の冷却ファンが前記ケーシングの内部へ向けて空気を送風するように配置され、
前記冷却ファンの送風によって空気が前記凝縮器の熱交換器部を通過して加熱されることで生じる排風が、前記圧縮空気入口及び前記入口配管が配設された空間を通過して排気されるように、前記排風の前記ケーシングにおける排気口が該ケーシングの上部に設けられていることを特徴とする圧縮空気除湿装置ユニット。
【請求項2】
前記圧縮空気除湿装置が、前記ケーシングの内部に縦長に設置されていることを特徴とする請求項1記載の圧縮空気除湿装置ユニット。
【請求項3】
前記凝縮器が、前記ケーシングの起立面に倣って配置され、前記圧縮機によって圧縮されることで加熱された冷媒が、該凝縮器の上側から流入されて下側から流出されるように配管されていることを特徴とする請求項2記載の圧縮空気除湿装置ユニット。
【請求項4】
前記凝縮器が、縦長に設置され、該凝縮器の前記熱交換器部に対応して上下に並んで二つの前記冷却ファンが配置されていることを特徴とする請求項3記載の圧縮空気除湿装置ユニット。
【請求項5】
前記圧縮空気出口及び該圧縮空気出口から延設される出口配管が前記ケーシングの内部の上部に配置され、
前記冷凍サイクル装置の前記凝縮器が前記圧縮空気出口よりも下側に配置されていると共に、該凝縮器の冷却ファンが前記ケーシングの内部へ向けて空気を送風するように配置され、
前記冷却ファンの送風によって空気が前記凝縮器の熱交換器部を通過して加熱されることで生じる排風が、前記圧縮空気出口及び前記出口配管が配設された空間を通過して排気されるように、前記排風の前記ケーシングにおける排気口が該ケーシングの上部に設けられていることを特徴とする請求項4記載の圧縮空気除湿装置ユニット。
【請求項6】
前記上下の冷却ファンの間に、上側の前記冷却ファンによる排風が前記圧縮空気出口及び前記出口配管を加熱するように案内され、下側の前記冷却ファンによる排風が前記圧縮空気入口及び前記入口配管を冷却するように案内される状態に、該上下の冷却ファンによる排風を分岐させる送風案内部材が配設されていること特徴とする請求項5記載の圧縮空気除湿装置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備える冷凍サイクル装置と、圧縮空気が導入される圧縮空気入口並びに除湿された圧縮空気が排出される圧縮空気出口が設けられた圧力容器としての除湿装置筐体、及び該除湿装置筐体に導入された圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿させるように、前記除湿装置筐体の内部に設置された前記冷凍サイクル装置の前記蒸発器を備える圧縮空気除湿装置とが、ケーシングの内部に収納されている圧縮空気除湿装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧縮空気除湿装置としては、圧縮空気を導入する導入口と、導入口から導入された圧縮空気を冷却させて圧縮空気内の水分を結露させて圧縮空気を除湿する冷却部と、冷却部で除湿された圧縮空気を排気する排気口とを有する除湿装置本体と、除湿装置本体内部の冷却部に配置された蒸発器、並びに除湿装置本体の外部に配置された圧縮機、凝縮器および膨張弁を有し、蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁の順に冷媒を循環させる冷却回路とを具備する圧縮空気除湿装置において、排気口から排気された圧縮空気を、冷却回路の放熱を利用して加熱させる再熱器を備える(特許文献1参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0003】
また、従来の縦置きの圧縮空気除湿装置としては、熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部の二段階に設けられ、その二つの熱交換器部が、隣り合わせに縦長に配され、外壁筒状本体に内蔵されて設けられ、二つの熱交換器部の下方に位置して第2の熱交換器部の空気出口が開口すると共に再熱用の流路の入口が開口する小室であって下端部にドレン部が設けられた第1の小室26と、二つの熱交換器部の上方に位置して排出される直前の圧縮空気を滞留させる第2の小室と、第2の熱交換器部の空気出口が再熱用の流路の入口よりも下方に位置するように下方へ延設された延長通気路部と、その延長通気路部内の下端部に配設されて圧縮空気が通過されるデミスターとを具備する(特許文献2参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0004】
さらに、従来の温度センサーを備える圧縮空気除湿装置としては、圧縮空気を導入する導入口と、導入された圧縮空気を冷却して圧縮空気内の水分を結露させて圧縮空気を除湿する冷却部と、除湿された圧縮空気を排気する排気口とを有する除湿装置本体と、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、除湿装置本体の冷却部に配置される蒸発器とを有し、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に冷媒を循環させる冷媒流通管を有する冷却回路とを具備する圧縮空気除湿装置において、蒸発器の冷媒出口側の冷媒流通管であって且つ蒸発器通過後の圧縮空気に当接する箇所に温度センサが取り付けられている(特許文献3参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0005】
さらにまた、従来の必要な露点を維持できる圧縮空気除湿装置としては、圧縮空気を導入する導入口と、導入された圧縮空気を冷却して圧縮空気内の水分を結露させて圧縮空気を除湿する冷却部と、除湿された圧縮空気を排気する排気口とを有する除湿装置本体と、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、除湿装置本体の冷却部に配置される蒸発器とを有し、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に冷媒を循環させる冷却回路とを具備する圧縮空気除湿装置において、蒸発器の冷媒出口側の冷媒温度に基づいて、圧縮機運転中に、冷媒温度が所定温度未満となった場合には、圧縮機の運転を停止し、蒸発器を通過した圧縮空気温度に基づいて、圧縮機運転停止中に、圧縮空気温度が所定温度を超えた場合には、圧縮機の運転を再開するように制御する制御部を備える(特許文献4参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-005374号公報(第1頁)
【特許文献2】特開2017-127801号公報(第1頁)
【特許文献3】特開2016-052610号公報(第1頁)
【特許文献4】特開2016-052611号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧縮空気除湿装置ユニットに関して解決しようとする問題点は、冷凍サイクル装置と圧縮空気除湿装置とが一つのケーシングに内蔵されたユニットの場合において、圧縮空気除湿装置に導入される圧縮空気を冷却させるように、凝縮器の冷却ファンによる排風を適切に利用できるものが提案されていないことにある。
【0008】
そこで本発明の目的は、圧縮空気除湿装置に導入される圧縮空気を冷却させるように、凝縮器の冷却ファンによる排風を適切に利用できる圧縮空気除湿装置ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの一形態によれば、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備える冷凍サイクル装置と、圧縮空気が導入される圧縮空気入口並びに除湿された圧縮空気が排出される圧縮空気出口が設けられた圧力容器としての除湿装置筐体、及び該除湿装置筐体に導入された圧縮空気を冷却して該圧縮空気中の水分を結露させることで除湿させるように、前記除湿装置筐体の内部に設置された前記冷凍サイクル装置の前記蒸発器を備える圧縮空気除湿装置とが、ケーシングの内部に収納されている圧縮空気除湿装置ユニットであって、前記圧縮空気入口及び該圧縮空気入口から延設される入口配管が前記ケーシングの内部の上部に配置され、前記冷凍サイクル装置の前記凝縮器が前記圧縮空気入口よりも下側に配置されていると共に、該凝縮器の冷却ファンが前記ケーシングの内部へ向けて空気を送風するように配置され、前記冷却ファンの送風によって空気が前記凝縮器の熱交換器部を通過して加熱されることで生じる排風が、前記圧縮空気入口及び前記入口配管が配設された空間を通過して排気されるように、前記排風の前記ケーシングにおける排気口が該ケーシングの上部に設けられている。
【0010】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの一形態によれば、前記圧縮空気除湿装置が、前記ケーシングの内部に縦長に設置されていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの一形態によれば、前記凝縮器が、前記ケーシングの起立面に倣って配置され、前記圧縮機によって圧縮されることで加熱された冷媒が、該凝縮器の上側から流入されて下側から流出されるように配管されていることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの一形態によれば、前記凝縮器が、縦長に設置され、該凝縮器の前記熱交換器部に対応して上下に並んで二つの前記冷却ファンが配置されていることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの一形態によれば、前記圧縮空気出口及び該圧縮空気出口から延設される出口配管が前記ケーシングの内部の上部に配置され、前記冷凍サイクル装置の前記凝縮器が前記圧縮空気出口よりも下側に配置されていると共に、該凝縮器の冷却ファンが前記ケーシングの内部へ向けて空気を送風するように配置され、前記冷却ファンの送風によって空気が前記凝縮器の熱交換器部を通過して加熱されることで生じる排風が、前記圧縮空気出口及び前記出口配管が配設された空間を通過して排気されるように、前記排風の前記ケーシングにおける排気口が該ケーシングの上部に設けられていることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの一形態によれば、前記上下の冷却ファンの間に、上側の前記冷却ファンによる排風が前記圧縮空気出口及び前記出口配管を加熱するように案内され、下側の前記冷却ファンによる排風が前記圧縮空気入口及び前記入口配管を冷却するように案内される状態に、該上下の冷却ファンによる排風を分岐させる送風案内部材が配設されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットによれば、圧縮空気除湿装置に導入される圧縮空気を冷却させるように、凝縮器の冷却ファンによる排風を適切に利用できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの形態例を模式的に示す側面側から見た縦断面模式図である。
【
図2】
図1の形態例を正面側から見た正面模式図である。
【
図3】
図1の形態例を背面側から見た縦断面模式図である。
【
図4】本発明に係る圧縮空気除湿装置システムの形態例であって圧縮空気除湿装置の縦断面と冷凍サイクルを模式的に示す説明図である。
【
図5】本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの形態例を、添付図面(
図1~5)に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットとは、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁14及び蒸発器15を備える冷凍サイクル装置10と、圧縮空気が導入される圧縮空気入口22並びに除湿された圧縮空気が排出される圧縮空気出口24が設けられた圧力容器としての除湿装置筐体21、及びその除湿装置筐体21に導入された圧縮空気を冷却してその圧縮空気中の水分を結露させることで除湿させるように、除湿装置筐体21の内部に設置された冷凍サイクル装置10の蒸発器15を備える圧縮空気除湿装置20とが、ケーシング50の内部に収納されているものである。すなわち、冷凍サイクル装置10の蒸発器15は、圧縮空気除湿装置20に内蔵され、冷凍サイクル装置10の圧縮機11、凝縮器12及び膨張弁14は、圧縮空気除湿装置20の外部に設置されていると共に、ケーシング50の内部に収納されている。
【0019】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットでは、圧縮空気出口24及びその圧縮空気出口24から延設される出口配管25がケーシング50の内部の上部に配置され、冷凍サイクル装置10の凝縮器12が、圧縮空気出口24よりも下側に配置されていると共に、その凝縮器12の冷却ファン13がケーシング50の内部へ向けて空気(外気)を送風するように配置されている。
【0020】
そして、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットでは、冷却ファン13の送風によって空気が凝縮器12の熱交換器部12aを通過して加熱されることで生じる排風が、圧縮空気出口24及び出口配管25が配設された空間を通過して排気されるように、前記排風のケーシング50における排気口51がそのケーシング50の上部に設けられている。
【0021】
本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットによれば、圧縮空気除湿装置20の圧縮空気出口24から排出される除湿された圧縮空気を再熱させるように、冷凍サイクル装置10の凝縮器12の排熱を適切に利用できるという特別有利な効果を奏する。すなわち、圧縮空気除湿装置20の圧縮空気出口24から排出される除湿された圧縮空気は、蒸発器15による冷却作用によって除湿される際に冷却された状態となるが、凝縮器12の排熱によって加熱された排風を圧縮空気出口24及び出口配管25の部分に当てることで、再熱させることができる。これによれば、圧縮空気を再熱させて所望の温度の圧縮空気を製品空気をとして排出供給できるため、凝縮器12の排熱を有効に活用でき、省エネルギーを実現できる。ところで、例えば、後述する第2の熱交換器部40のような熱交換器で冷媒によって冷却されて排出される圧縮空気は、空気出口47における相対湿度が100%になっており、再熱用の流路32を通過させて再熱させることで相対湿度が低下するが、再結露を防止するためには外気温程度まで再熱することが望ましい。本発明によれば、前述のように冷凍サイクル装置10の凝縮器12の排熱を利用できることで、再結露を防止できるように、効果的に再熱できることになる。
【0022】
また、本形態例では、圧縮空気除湿装置20が、ケーシング50の内部に縦長に設置されている。つまり、縦置きタイプであって上下に長い形態の圧縮空気除湿装置20が、縦長に形成されたケーシング50の内部に立てられた状態に収納されている。そして、本形態例のケーシング50は、縦長の直方体である箱形形状になっている。
【0023】
これによれば、凝縮器12の排風をスムースに流すことができる形態であり、設置床面積を小さくできるため、コンパクトに設置できる。つまり、縦置き形態とすることで、設置スペースを有効活用できると共に、加熱された空気は上昇気流を生じさせるため、凝縮器12の排風が、スムースに流れることができる。このため、その凝縮器12の排風を、圧縮空気出口24及び出口配管25の部分にスムースに当てることができ、圧縮空気出口24から排出される除湿された圧縮空気を効率よく加熱(再熱)させることができる。なお、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットは、圧縮空気除湿装置20が縦置きに限定されることはなく、凝縮器12と、圧縮空気入口22及び圧縮空気出口24との位置関係が本形態例のように配置されていれば、一定の効果を得ることができる。
【0024】
また、本形態例では、凝縮器12が、ケーシング50の起立面に倣って配置され、圧縮機11によって圧縮されることで加熱された冷媒が、
図1において一点鎖線で模式的に示したように、その凝縮器12の上側から流入されて下側から流出されるように配管されている。なお、上記の起立面とは、設置時に鉛直面になる形態に限定されず、実質的に縦置き形態になるように起立された状態の面であって、実際に形成された壁面であってもよいし、仮想的に設定される面であってもよい。
【0025】
これによれば、圧縮機11によって加圧されることで加熱されて最も温度が高くなっている冷媒が、凝縮器12の熱交換器部12aの上部である高温高圧域に供給されることになる。そして、その熱交換器部12aの上部(高温高圧域)を冷却するために通過した空気である上側の排風(第1の排風F1)は、熱交換器部12aの他の部分(下側の部分である中温中圧域)を通過して熱交換された下側の排風(第2の排風F2)と比較して、温度が高いことになる。周囲に比べて温度が高くなった空気は上昇気流となって流れるため、上側の排風が下側の排風よりも温度が高くなっていることから、排風の流れがスムースになり、効率的に排気できるメリットがある。
【0026】
そして、本形態例では、凝縮器12が、縦長に設置され、その凝縮器12の熱交換器部12aに対応して上下に並んで二つの冷却ファン13a、13bが配置されている。なお、本形態例では、
図1に示すように、ケーシング50が、縦長の直方体である箱形に形成されており、前面に凝縮器12の熱交換器部12aが露出した状態に面して配置されており、ケーシング50の内部の側に二つの冷却ファン13a、13bが配置されている。これによって、二つの冷却ファン13a、13bが、冷却用の空気(外気)をケーシング50の内部へ引き込むように送風し、熱交換器部12aを通過した空気である排風(第1の排風F1、第2の排風F2)を、ケーシング50の上部に設けられた排気口51から排気させる構成になっている。
【0027】
これによれば、
図1において点線で示したように、上側の冷却ファン13aによる排風である第1の排風F1を、ケーシング50のより上側で排気し、下側の冷却ファン13bによる排風ある第2の排風F2を、上側の冷却ファン13aよる排風よりもケーシング50の下側で排気するように、排風の流れを導くことができる。本形態例では、排気口51が、天面の排気口51aと背面の排気口51bとで構成されており、
図1に示すようにケーシング50の天面と背面の上部とに設けられている。このように排気口51a、51bが設けられていることで、第1の排風F1と第2の排風F2とが、可及的に干渉しないと共に、可及的に通気抵抗がかからないように排気される。また、これらの排気口51a、51bは、例えば、格子状の部材によって、なるべく通気抵抗とならないように、開口面積が広く、開口率が高い形態に設けることができる。この格子状の部材は、排気口51a、51bを保護すると共に安全性を確保するように機能する。なお、本形態例のケーシング50は、熱交換器部12aが露出した前面や、背面の排気口51bが設けられた背面の上部などを除き、側面などの起立面が、縦壁面板50aによって囲われた形態になっている。
【0028】
すなわち、本形態例では、圧縮空気出口24及び出口配管25の方が、圧縮空気入口22及び入口配管23よりも上側に配置され、出口配管25が天面から外部へ延長され、入口配管23が背面から外部へ延長される形態に設けられている。このため、ケーシング50内の圧縮空気除湿装置20の配置形態との関係において、上側の冷却ファン13aによる第1の排風F1が、圧縮空気出口24及び出口配管25の部分に当たるように誘導でき、下側の冷却ファン13bによる第2の排風F2が、圧縮空気入口22及び入口配管23の部分に当たるように誘導できる。従って、圧縮空気出口24及び出口配管25の部分を適切に加熱し、圧縮空気入口22及び入口配管23の部分を適切に冷却することができる。なお、本形態例の圧縮空気出口24は、除湿装置筐体21の側周面の最上部に設けられており、本形態例の出口配管25は、圧縮空気出口24から水平に延長された後に上方へ屈曲された形態に設けられ、これら部分が非断熱域となっており、熱交換がなされ易い構成になっている。また、本形態例の圧縮空気入口22は、除湿装置筐体21の側周面の上部で圧縮空気出口24の下側に設けられており、本形態例の入口配管23は、水平に延長された形態に設けられ、これら部分が非断熱域となっており、熱交換がなされ易い構成になっている。
【0029】
また、本形態例では、冷凍サイクル装置10の配電盤16が、凝縮器12の上側に冷却のための空気を取り込むように冷却用隙間52を空けて配置されている。なお、本形態例では、ケーシング50の前面(正面)に、凝縮器12及び配電盤16が露出した構成となっており、正面から空気が冷却ファン13によって吸引されて取り込まれることで、凝縮器12の熱交換器部12aが冷却されるように熱交換が行われると共に、その冷却ファン13によって発生する空気流の影響によって配電盤16も冷却される構成になっている。
【0030】
すなわち、冷却用隙間52が設けられていることで、凝縮器12から配電盤16への伝熱が起こりにくくなると共に、冷却ファン13によって発生する空気流(第1の排風F1)に巻き込まれるように機外の空気(外気)が誘引され、
図1に示すように二次空気流F3が生じる。その二次空気流F3が、配電盤16の裏側のインバータのヒートシンク17がある部分を含め、配電盤16を冷却する空気流となって通過することで、配電盤16を効果的に冷却することができる。
【0031】
さらに、本形態例では、配電盤16と凝縮器12との間に、冷却ファン13による排風が配電盤16に直接的に当たることを防止する遮蔽部材53が配設されている。
図1に示すように、本形態例の遮蔽部材53は、凝縮器12の上側の冷却ファン13aと配電盤16のヒートシンク17との間に、上側へ傾斜した板状に設けられて整流板として機能するように、上側の冷却ファン13aによる上方への空気(第1の排風F1)の流れを徐々に絞るように配設されている。
【0032】
これによれば、凝縮器12から生じる輻射熱を効果的に遮ると共に、空気の流れが絞られて流速が速められることで生じるベンチュリー効果によって、冷却ファン13によって発生する第1の排風F1に伴って生じる前記二次空気流F3の流れを強めることができ、冷却効果を高めることができる。
【0033】
次に、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの形態例であって、凝縮器12の排風を利用して圧縮空気除湿装置20に導入される圧縮空気を冷却する構成例について、添付図面(
図1~3)に基づいて詳細に説明する。
【0034】
本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットでは、圧縮空気入口22及びその圧縮空気入口22から延設される入口配管23がケーシング50の内部の上部に配置され、冷凍サイクル装置10の凝縮器12が、圧縮空気入口22よりも下側に配置されていると共に、その凝縮器12の冷却ファン13がケーシング50の内部へ向けて空気を送風するように配置され、冷却ファン13の送風によって空気が凝縮器12の熱交換器部12aを通過して加熱されることで生じる排風が、圧縮空気入口22及び入口配管23が配設された空間を通過して排気されるように、前記排風のケーシング50における排気口51がそのケーシング50の上部に設けられている。
【0035】
これによれば、圧縮空気除湿装置20のエアーコンプレッサから圧縮空気入口22へ導入される圧縮空気を冷却させるように、冷凍サイクル装置10の凝縮器12の排風を適切に利用できるという特別有利な効果を奏する。すなわち、圧縮空気除湿装置20へ圧縮空気入口22から導入される圧縮空気は、エアーコンプレッサの圧縮作用によって加熱された状態となっているが、凝縮器12の冷却ファン13によって送風される排風を圧縮空気入口22及び入口配管23の部分に当てることで、冷却させることができる。このため、圧縮空気除湿装置20に導入される圧縮空気を冷却でき、凝縮器12の排風を有効に活用でき、省エネルギーを実現できる。
【0036】
また、本形態例では、前述したように、圧縮空気除湿装置20が、縦置きタイプであって上下に長い形態の圧縮空気除湿装置20が、縦長に形成されたケーシング50の内部に立てられた状態に収納されている。これによれば、前述したように、設置床面積を小さくできるためコンパクトに設置できると共に、凝縮器12の排風をスムースに流すことができる形態である。このため、その凝縮器12の排風を、圧縮空気入口22及び入口配管23の部分にスムースに当てることができ、圧縮空気出口24へ導入される圧縮空気を効率よく冷却させることができる。なお、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットは、圧縮空気除湿装置20が縦置きに限定されることはなく、凝縮器12と、圧縮空気入口22及び圧縮空気出口24との位置関係が前述のように配置されていれば、一定の効果を得ることができる。
【0037】
また、本形態例では、上下の冷却ファン13a、13bの間に、上側の冷却ファン13aによる排風が圧縮空気出口24及び出口配管25を加熱するように案内され、下側の冷却ファン13bによる排風が圧縮空気入口22及び入口配管23を冷却するように案内される状態に、その上下の冷却ファン13a、13bによる排風を分岐させる送風案内部材55が配設されている。なお、
図1及び3に示した本形態例の送風案内部材55は平板状に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上下の冷却ファン13a、13bによる排風を、排気口51との位置関係で可及的且つ効果的に分岐させる形態を適宜選択的に設定してもよいのは勿論である。
【0038】
これによれば、温度の高い上側の冷却ファン13aによる排風によって、圧縮空気出口24及び出口配管25を通って排出される圧縮空気(製品圧縮空気)を効率よく加熱(再熱)することができ、適切に乾燥されて温度調整された製品圧縮空気を空気圧機器へ供給することができる。また、上側の冷却ファン13aによる排風よりも低温の下側の冷却ファン13bによる排風によって、圧縮空気入口22及び入口配管23を通って圧縮空気除湿装置20に導入される圧縮空気を効率よく冷却することができ、圧縮空気除湿装置20の除湿効率を高めることができる。このため、本装置システムの熱効率が向上し、省エネルギーを実現できる。
【0039】
次に、具体的な実施例として、各部の温度の事例を示し、各部で熱交換がなされる状況について説明する。例えば、外気温度が30℃であって、圧縮空気除湿装置20に導入される導入圧縮空気の温度が最大で80℃程度、上側の冷却ファン13aの排風の温度が60~70℃、下側の冷却ファン13bの排風の温度が40~60℃、圧縮空気出口24から排出される排出圧縮空気の温度が20℃の場合、上側の冷却ファン13aの高い温度の排風によって排出圧縮空気を効率よく加熱(再熱)できると共に、下側の冷却ファン13bの比較的低い温度の排風によって導入圧縮空気を効率よく冷却できる。また、配電盤16に配設されたインバータのヒートシンク17は、その温度が例えば50~60℃になり、前述の二次空気流F3が外気であって例えば30℃であるため、効果的に冷却されることになる。
【0040】
次に、本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例を添付図面(
図4、5)に基づいて詳細に説明する。
【0041】
本発明に係る圧縮空気除湿装置20は、エアーコンプレッサなどの圧縮空気装置(圧縮空気源)から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を空気圧機器へ排出(供給)するように、除湿装置筐体の内部に熱交換器が第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40の二段階に設けられ、第1の熱交換器部30が、一次側の圧縮空気の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気の再熱を行うように、一次側の圧縮空気に係る予冷用の流路と二次側の圧縮空気に係る再熱用の流路32とが交錯するように配されることによって設けられ、第2の熱交換器部40が、前記第1の熱交換器部30で予冷された圧縮空気を冷却用媒体で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられている。
【0042】
そして、第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40とが、隣り合わせに縦長に配され、縦長な圧力容器としての除湿装置筐体21に内蔵されて設けられている。本形態例の除湿装置筐体21は、両端が下端鏡板28a及び上端鏡板28bによって塞がれた筒体状のボディの形態に設けられている。また、本形態例では、除湿装置筐体21の上部には、圧縮空気装置から導入される一次側の圧縮空気の導入口(圧縮空気入口22)と、除湿された二次側の圧縮空気を空気圧機器へ排出する排出口(圧縮空気出口24)が設けられている。圧縮空気出口24が、圧縮空気入口22よりも上側で、後述する第2の小室27に開口するように設けられている。なお、21a及び21bは隔壁部であり、第2の熱交換器部40を除湿装置筐体21の内部に支持すると共に、隔壁部21aが第1の熱交換器部30と後述する第1の小室26とを区画し、隔壁部21bが第1の熱交換器部30と第2の小室27とを区画するように設けられている。
【0043】
このように圧縮空気入口22と圧縮空気出口24とを、除湿装置筐体21の上部に配することで、熱交換の各工程について、上部側が圧縮空気の温度の高い側となるように流路を構成できることから、温度の高い方が軽くなる空気(圧縮空気)の比重の性質によって、圧縮空気の流れがよりスムースになりやすく、効率良く熱交換を行うことができ、その結果、効率良く圧縮空気の除湿を行うことができる。
【0044】
26は第1の小室であり、第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40との下方に位置し、第2の熱交換器部の空気出口47が開口すると共に再熱用の流路の入口34が開口する小室であって、結露によって生じたドレン水が下端部に設けられたドレン排出口29から排出されるように設けられている。
【0045】
すなわち、この第1の小室26は、除湿装置筐体21の一方の端部側である下端部側に設けられており、第2の熱交換器部40から排出された圧縮空気を第1の熱交換器部30の再熱用の流路32へ案内する滞留空間となっている。また、本形態例の第1の小室26の下端部であって、圧力容器用鏡板(下端鏡板28a)によって形成された凹面状内面の底部中央にはドレン排出口29のドレン孔が設けられており、ドレン排出装置に接続されるように設けられている。これによって、結露して生じた結露水(ドレン水)を、除湿装置筐体21の下側端板である下端鏡板28aの底部から好適に排水することができる。
【0046】
また、27は第2の小室であり、第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40との上方に位置し、再熱用の流路の出口35が開口すると共に二次側の圧縮空気を空気圧機器へ排出するための圧縮空気出口24が開口する小室であって、排出される直前の圧縮空気を滞留させるように設けられている。
【0047】
すなわち、この第2の小室27は、除湿装置筐体21の他方の端部側である上端部側に設けられており、第1の熱交換器部30の再熱用の流路32から排出された圧縮空気を圧縮空気出口24へ案内する滞留空間となっている。このように、第1の小室26と第2の小室27、及び再熱用の流路32が設けられているため、圧縮空気は再熱用の流路32を下から上へ向って流れることになり、これによって圧縮空気が再加熱されて第2の小室27へ流れて圧縮空気出口24から排出されることになる。
【0048】
そして、本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例では、第1の小室26の側であって第2の熱交換器部40の空気出口47の部位にセンシング部61が配設された温度センサー60を備えている。すなわち、本形態例の温度センサー60は、除湿装置筐体21の内部における下部であって、圧縮空気が第2の熱交換器部40において冷却用媒体によって冷却されて最も温度が低下した状態となっている空間に、センシング部61が配置される構成になっている。
【0049】
これによれば、温度センサー60が、圧縮空気が最も冷やされてその圧縮空気中の水分を結露させることで除湿された状態の温度(露点温度)を、直接的に計測することになり、その露点温度を最も正確に検知することができる。そして、例えば本形態例の圧縮空気除湿装置システムの運転状況が低レベルになった場合又は停止した場合、最も温度が低下した低温の圧縮空気は、密度が高く重いため、沈降した状態を維持することになる。また、除湿装置筐体21が、縦長であるため、対流現象がおよびにくく、低温の圧縮空気は沈降した状態を維持しやすい。このため、その低温の圧縮空気は、温度センサー60が配された第1の小室26内の第2の熱交換器部40の空気出口47又はその近傍において安定的に滞留することになり、外乱を受けにくい状態となる。従って、本形態例のように配置された温度センサー60は、露点温度を、正確且つ安定的にモニターすることができ、安定的な装置システムの運転を継続させるために、好適に機能させることできる。
【0050】
そして、本形態例では、第1の小室26において、第2の熱交換器部の空気出口47が再熱用の流路の入口34よりも下方に位置するように下方へ延設された延長通気路部45が設けられている。また、本形態例では、その延長通気路部45内の下端部に配設されて第2の熱交換器部の空気出口47において排出される圧縮空気を通過させることでその圧縮空気中の水分を分離するデミスター48を備えている。なお、本形態例に使用されるデミスター48は、ステンレススチールなどの細い金属線材を原材料として、粗い空隙が均一に設けられるように、編むことによって通気性の高い粗塵フィルター状に形成されたものを適宜に積層及び成形することで設けられている。
【0051】
このデミスター48によれば、圧縮空気中の水分が金属線材に衝突することで、圧縮空気から水分を凝集させて水の粒子として分離させることや、その水の粒子同士をより大きな水滴にすること、さらに水を集めて水の流れを生じさせるように作用することができる。これによれば、圧縮空気から分離した水がより大きな塊となって、第2の熱交換器部の空気出口47から滴り落ちることになり、一旦分離された水分が除湿された二次側の圧縮空気中へ戻ることを防止し、除湿効果を高めることができる。
【0052】
また、延長通気路部45によって、第2の熱交換器部の空気出口47が、再熱用の流路の入口34よりも下方に位置するため、その再熱用の流路の入口34との間隔をより長くすることができる。そして、第2の熱交換器部の空気出口47から第1の小室26へ圧縮空気が出た時点で、その圧縮空気の流れの速度を十分に低下させることができ、水の粒子や流れがその圧縮空気の流れから効率良く分離される。このため、一旦分離された水分が、巻き上がって、除湿された二次側の圧縮空気中へ引き込まれるように戻ることを防止し、除湿効果を高めることができる。さらに、延長通気路部45によって、圧縮空気の流れを曲げる(反転を含む)ことで水分が慣性力によって分離され、除湿効果を高めることができる。
【0053】
以上の効果によれば、比較的シンプルな構成である延長通気路部45の形態とデミスター48との相乗効果によって、圧縮空気と水分を、通気抵抗(圧力損失)の上昇を抑制して、効率よく分離することができる。
【0054】
そして、本形態例では、温度センサー60の先端のセンシング部61が、デミスター48を構成する部材と接触するようにそのデミスター48の内部に挿入されている。本形態例のデミスター48は、前述したように金属線材によって粗塵フィルター状に形成されており、その金属線材に、温度センサー60のセンシング部61が接触した状態に配置されている。
【0055】
これによれば、温度センサー60が、露点温度をより正確に且つ安定的に検知することができる。すなわち、デミスター48は、第2の熱交換器部40によって冷却されて最も温度が低下した状態の低温の圧縮空気が通過することで冷却され、その低温の圧縮空気と同一の温度になる。そして、圧縮空気に比べて固体であるため熱伝導率の高いデミスター48を構成する部材にセンシング部61が接触していることで、温度センサー60は、不均一になり易い気流の影響を受けにくく、平均化された温度をより正確且つ安定的に検知することができる。
【0056】
また、本形態例では、
図5に示すように、温度センサー60が、第1の小室26を形成する除湿装置筐体21の部位に、温度センサー60の根元部62が固定されていることで装着されている。すなわち、本形態例の温度センサー60では、センシング部61が除湿装置筐体21の外部から挿入され、根元部62で除湿装置筐体21に設けられた雌螺子部に螺合することで、その除湿装置筐体21を構成する部材に着脱できる構造になっている。これによれば、温度センサー60を、容易に装着及び脱着ができ、容易に保守管理ができる。
【0057】
また、本形態例では、温度センサー60による検知情報(モニター情報)に基づいて、冷凍サイクル装置10の運転を制御する制御装置(図示せず)を備えることができる。例えば、温度センサー60による検知情報に基づいて、冷凍サイクル装置10の圧縮機11の運転中に、検知温度(圧縮空気温度)が所要の温度よりも低下した場合には、インバータ制御によって圧縮機11を駆動させる電動モータの回転数を低減させ、圧縮空気温度が所要の温度を超えた場合には、インバータ制御によって圧縮機11を駆動させる電動モータの回転数を増大させるように制御する制御装置を設けることができる。つまり、本発明に係る温度センサー60による精密なモニター情報に基づいて、冷凍サイクル装置10による冷却負荷を、より精密に制御することができる。また、例えば、温度センサー60による検知情報に基づいて、冷凍サイクル装置10の圧縮機11の運転中に、検知温度(圧縮空気温度)が所定の温度よりも低下した場合には、圧縮機11の運転を停止し、その圧縮機11の運転停止中に、圧縮空気温度が所定の温度を超えた場合には、圧縮機11の運転を再開するように制御する制御装置であってもよい。なお、冷凍サイクル装置10の運転を一旦停止すると、再開させるためにエネルギーロスが生じ易いため、インバータ制御によって電動モータの回転数を制御することの方が好ましい。また、冷凍サイクル装置10の運転の制御とは、圧縮機11の制御に限らず、凝縮器12の冷却ファン13の制御など、他の構成の制御も含むものである。ところで、例えば、センシング部61が除湿装置筐体21の上部にある場合に、装置システムの運転が停止して圧縮空気の供給が止まることで無負荷の状況では、次第に熱が除湿装置筐体21の上部に上昇して滞留してしまうため、所要の温度を超えたと誤検知する可能性がある。これに対して、本発明によれば、センシング部61が除湿装置筐体21の下部に配置されることによって、その誤検知の可能性を排除できる。
【0058】
次に、
図4、5に示す形態例に係る圧縮空気除湿装置のより具体的な構成例について説明する。
本形態例では、第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40の形態について、第2の熱交換器部40が上端の塞がれた円筒状に形成され、その円筒状の側周壁を片側から三日月状に取り囲んで配置された複数のパイプ(再熱用の流路32を構成する再熱用パイプ33)を構成要素とする第1の熱交換器部30が、第2の熱交換器部40と共に並立された状態に配されることで、隣り合わせに縦長に配され、縦長な容器状に設けられた除湿装置筐体21に内蔵されて設けられている。
【0059】
本形態例の第1の熱交換器部30では、圧縮空気入口22が開口すると共に第2の熱交換器部の空気入口44へ開口する空間によって構成される圧縮空気についての予冷用の流路31と、その予冷用の流路31内を上下方向に通る再熱用の流路32とを備える。その再熱用の流路32は、パイプ状に設けられた複数の再熱用パイプ33によって構成されており、第1の小室26と第2の小室27とを連通するように設けられている。なお、この第1の熱交換器部30では、熱交換性能を高めるために、実際的には
図5に示すように多数本の再熱用パイプ33が配設されている。
【0060】
また、本形態例では、第2の熱交換器部40が、除湿装置筐体21の内部で偏心位置に縦長に内蔵されて配された内蔵筒状本体41と、その内蔵筒状本体41の内部で冷却用媒体を通過させる冷媒用配管15aと、その冷媒用配管15aに装着された熱交換用のフィン15bとを備えている。なお、
図4に示すように、41bは内蔵筒状本体の上端鏡板部であり、内蔵筒状本体41を塞いでいる。
【0061】
さらに、本形態例の第2の熱交換器部40では、冷却用媒体の流通させる複数の冷媒用配管15aと、その冷媒用配管15aに取り付けられた多数の熱交換用のフィン15bとを備えると共に、被冷却流路42内の圧縮空気の流れをジグザグに屈曲させるために間隔を置いて配された複数のプレート43を備える。また、この第2の熱交換器部40の冷媒用配管15aと熱交換用のフィン15bとによる構成は、例えば本形態例のように、冷凍機(冷凍サイクル装置10(
図4参照))の蒸発器15とすることができ、冷媒用配管15a内を循環する冷媒によって効率的に圧縮空気を冷却することができる。
【0062】
すなわち、本形態例では、その冷却用媒体が、冷凍サイクル装置10の冷媒であり、第2の熱交換器部40の構成要素として蒸発器15が配設された構成になっている。但し、発明は、これに限定されるものではなく、冷水源から供給される冷却水を冷却用媒体とする場合も、温度センサー60による検知情報によって、流量制御弁などを介して冷却水の第2の熱交換器部40への供給量を適宜に制御することで、圧縮空気除湿装置20の運転(冷却負荷)を適宜に制御できるのは勿論である。
【0063】
そして、延長通気路部45が、冷媒用配管15aが外部へ連続するように延設される部位を除いて内蔵筒状本体41を下方へ延設させて下端部で開口する形態であって、除湿装置筐体21の内壁に近接するように偏心して位置する側が切り欠かれた形態の水平断面がD字状に設けられている(特許文献2の
図3参照)。本形態例の延長通気路部45は、水平断面がD字状の筒体状部材46によって形成されており、下端面となる面のデミスター48を受けた状態に支持する支持部を除いて開口している。なお、本形態例のデミスター48を支持する支持部は、格子状に形成され、開口率を高めるように設けられている。
【0064】
この延長通気路部45によれば、除湿装置筐体21の内部から外部へ延長しなければならない冷媒用配管15aを好適に配置することができる。また、この延長通気路部45を形成するD字状の筒体状部材46は、水平断面がD字状の弧の部位にあたる側壁周面部46aと、水平断面がD字状の弦の部位にあたる側壁平面部46bによって構成されており、圧縮空気の流れを適切に案内することで、除湿効果を高めることができる形態になっている。なお、41aは仕切板であり、内蔵筒状本体41の下端の一部を塞ぐ端板部になっており、これによって水平断面がD字状の延長通気路部45を合理的に形成できる。
【0065】
さらに、本形態例の延長通気路部45によれば、水平断面がD字状の延長通気路部45における弦の部位を形成する側壁平面部46bであってその側壁平面部46bの下端部側(特許文献2の
図4参照)に、第2の熱交換器部の空気出口47の一部を構成する側面開口部47bを備えるように、適切に構成することができる。
【0066】
このように、D字状の筒体状部材46の下端面の下端開口部47aに加えて、側壁平面部46bに側面開口部47bを適切に形成することができるため、第2の熱交換器部の空気出口47を大きくできることになり、通気抵抗の上昇を適切に抑制することができ、性能を向上できる。
【0067】
なお、側面開口部47bは、再熱用の流路の入口34からなるべく離れた位置に形成されるように、複数の再熱用パイプ33が配された位置とは反対側となる面(第2の熱交換器部40が除湿装置筐体21内で偏心位置に設けられることで、その除湿装置筐体21の内周面に内蔵筒状本体41の外周面が最も近接する側の面)に形成されている。これによれば、側面開口部47bが、D字状に切り欠かれた側の側壁平面部46bに形成されていることで、除湿装置筐体21の内周面との間隔が十分に保てるため、吹き出す圧縮空気の流速が高まることを防止できる。従って、水の粒子が圧縮空気の流れに引き込まれて巻き上がることで再飛散することを防止でき、除湿性能を向上させることができる。
【0068】
また、本形態例の圧縮空気除湿装置では、以上のように除湿性能を所要の水準以上に高めつつ縦置きにすることができると共に、縦置きの形態となることで除湿装置筐体21の軸心を中心に圧縮空気入口22や圧縮空気出口24の方向に関する設置位置について自由に選択することができる。このため、圧縮空気入口22や圧縮空気出口24に連結する配管の自由度が向上し、例えば、本形態例の圧縮空気除湿装置を二台連結する形態を構成する場合、従来の横置きのものと比較して連結する配管を短くすることが可能になるなど、より合理的な構成が可能になるというメリットがある。
【0069】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0070】
10 冷凍サイクル装置
11 圧縮機
12 凝縮器
12a 熱交換器部
13 冷却ファン
13a 上側の冷却ファン
13b 下側の冷却ファン
14 膨張弁
15 蒸発器
15a 冷媒用配管
15b 熱交換用のフィン
16 配電盤
17 ヒートシンク
20 圧縮空気除湿装置
21 除湿装置筐体
21a 隔壁部
21b 隔壁部
22 圧縮空気入口
23 入口配管
24 圧縮空気出口
25 出口配管
26 第1の小室
27 第2の小室
28a 下端鏡板
28b 上端鏡板
29 ドレン排出口
30 第1の熱交換器部
31 予冷用の流路
32 再熱用の流路
33 再熱用パイプ
34 再熱用の流路の入口
35 再熱用の流路の出口
40 第2の熱交換器部
41 内蔵筒状本体
41a 仕切板
41b 内蔵筒状本体の上端鏡板
42 被冷却流路
43 プレート
44 第2の熱交換器部の空気入口
45 延長通気路部
46 D字状の筒体状部材
46a 側壁周面部
46b 側壁平面部
47 第2の熱交換器部の空気出口
47a 下端開口部
47b 側面開口部
48 デミスター
50 ケーシング
50a 縦壁面板
51 排気口
51a 天面の排気口
51b 背面の排気口
52 冷却用隙間
53 遮蔽部材
55 送風案内部材
60 温度センサー
61 センシング部
62 根元部
F1 第1の排風
F2 第2の排風
F3 二次空気流