(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080747
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】圧縮空気除湿装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20240610BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20240610BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20240610BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F28D9/02
F28F3/00 311
F28F3/08 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193934
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128794
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 庸悟
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 航太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 則久
【テーマコード(参考)】
3L103
4D052
【Fターム(参考)】
3L103AA31
4D052AA01
4D052AA05
4D052BA01
4D052BA03
4D052BA04
4D052BB00
4D052BB01
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB02
4D052GB09
(57)【要約】
【課題】除湿装置筐体の内部に熱交換器部が二段階に設けられ、露点温度を検知できる温度センサーが適切な位置に配設されている圧縮空気除湿装置を提供する。
【解決手段】第2の熱交換器部40が、上側から一次側の圧縮空気11を導入し、下側へ二次側の圧縮空気22を排出するように設けられ、第2の熱交換器部40から第1の熱交換器部30へ二次側の圧縮空気22を連通させる二次側連通路55と、第2の熱交換器部40の下側の空間であって、結露によって生じたドレン液70を滴下させて下部に滞留させることができると共に、二次側の圧縮空気22を二次側連通路55に連通させるように形成された気液分離流路部45と、下端部に設けられたドレン排出口71と、気液分離流路部45の空間における前記ドレン水70が滞留しない上側の部位に、温度を検知するセンシング部61が配置された温度センサー60とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気装置から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を空気圧機器へ排出するように、除湿装置筐体の内部に熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部との二段階に設けられ、前記第1の熱交換器部が、一次側の圧縮空気の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気の再熱を行うように、一次側の圧縮空気に係る予冷用の流路と二次側の圧縮空気に係る再熱用の流路とが交錯するように配されることによって設けられ、前記第2の熱交換器部が、前記第1の熱交換器部で予冷された圧縮空気を冷却用媒体で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられている圧縮空気除湿装置において、
前記第2の熱交換器部が、上側から一次側の圧縮空気を導入し、下側へ二次側の圧縮空気を排出するように設けられ、
前記第2の熱交換器部から前記第1の熱交換器部へ二次側の圧縮空気を連通させる二次側連通路と、
前記第2の熱交換器部の下側の空間であって、結露によって生じたドレン水を滴下させて下部に滞留させることができると共に、二次側の圧縮空気を前記二次側連通路に連通させるように形成された気液分離流路部と、
該気液分離流路部又は前記二次側連通路の下端部に前記ドレン水を排出させるように設けられたドレン排出口と、
前記気液分離流路部の空間における前記ドレン水が滞留しない上側の部位に、温度を検知するセンシング部が配置された温度センサーとを備えることを特徴とする圧縮空気除湿装置。
【請求項2】
前記第1の熱交換器部と前記第2の熱交換器部とが、前記除湿装置筐体の水平方向の一方端側と他方端側とに配設され、
前記第1の熱交換器部が、一次側の圧縮空気を下側から上側へ連通させ、二次側の圧縮空気を上側から下側へ連通させるように設けられ、
前記二次側連通路が、前記第1の熱交換器部と前記第2の熱交換器部との間である除湿装置筐体の水平方向の中間部に設けられ、二次側の圧縮空気を下側から上側へ連通させるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項3】
前記第1の熱交換器部及び前記第2の熱交換器部がプレート式の熱交換器であることを特徴とする請求項1記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項4】
前記センシング部に、滴下した前記ドレン水が付着しないように、撥水性且つ撥油性の表面処理がなされていることを特徴とする請求項3記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項5】
前記センシング部が、滴下した前記ドレン水が直接的に当たらないように、保護部材によって保護されていることを特徴とする請求項3記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項6】
前記温度センサーの検知情報に基づいて運転を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の圧縮空気除湿装置。
【請求項7】
前記温度センサーが、除湿装置筐体の部位に、該温度センサーの根元部が固定されていることで装着されていることを特徴とする請求項6記載の圧縮空気除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気装置から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を空気圧機器へ排出するように、除湿装置筐体の内部に熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部との二段階に設けられ、前記第1の熱交換器部が、一次側の圧縮空気の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気の再熱を行うように、一次側の圧縮空気に係る予冷用の流路と二次側の圧縮空気に係る再熱用の流路とが交錯するように配されることによって設けられ、前記第2の熱交換器部が、前記第1の熱交換器部で予冷された圧縮空気を冷却用媒体で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられている圧縮空気除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の温度センサーを備える圧縮空気除湿装置としては、冷媒の圧縮機と凝縮器とキャピラリチューブと蒸発器とアキュムレータとを循環接続して冷凍サイクルを構成し、圧縮空気の流路を構成する冷却タンク内に前記蒸発器を設置することにより、該タンク内を流れる空気を露点以下の温度に冷却して除湿するように構成した圧縮空気除湿装置において、高圧冷媒配管と低圧冷媒配管とを常閉の電磁開閉弁を介して接続し、蒸発器出口部の冷媒温度及び/又は冷却タンク出口部の空気温度を介して圧縮空気の負荷を検出して圧縮機を起動・停止させるセンサを設けると共に、圧縮機の起動時に前記電磁弁を所定時間だけ開弁作動させるタイマを設けた(特許文献1参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0003】
また、従来の温度センサーを備える圧縮空気除湿装置としては、圧縮空気を導入する導入口と、導入された圧縮空気を冷却して圧縮空気内の水分を結露させて圧縮空気を除湿する冷却部と、除湿された圧縮空気を排気する排気口とを有する除湿装置本体と、圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、除湿装置本体の冷却部に配置される蒸発器とを有し、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に冷媒を循環させる冷媒流通管を有する冷却回路とを具備する圧縮空気除湿装置において、蒸発器の冷媒出口側の冷媒流通管であって且つ蒸発器通過後の圧縮空気に当接する箇所に温度センサが取り付けられている(特許文献2参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0004】
また、従来の縦置きの圧縮空気除湿装置としては、熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部の二段階に設けられ、その二つの熱交換器部が、隣り合わせに縦長に配され、外壁筒状本体に内蔵されて設けられ、二つの熱交換器部の下方に位置して第2の熱交換器部の空気出口が開口すると共に再熱用の流路の入口が開口する小室であって下端部にドレン部が設けられた第1の小室と、二つの熱交換器部の上方に位置して排出される直前の圧縮空気を滞留させる第2の小室と、第2の熱交換器部の空気出口が再熱用の流路の入口よりも下方に位置するように下方へ延設された延長通気路部と、その延長通気路部内の下端部に配設されて圧縮空気が通過されるデミスターとを具備する(特許文献3参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【0005】
また、圧縮空気除湿装置のドレン排出口に接続されるドレン排出装置の一部であって、ドレン排出回路装置として、ドレン受け槽の底部に設けられたドレン出口(ドレン排出口)に連通してドレン液を下方へ誘導して排出させるドレン排出流路と、ドレン排出流路を開閉させるドレン排出開閉弁と、ドレン受け槽の気体空間部とドレン排出流路の圧気体溜り部との間を連通して圧気体溜り部の圧気体を抜くように、気体空間部に一端口が配され、圧気体溜り部に他端口が配される圧気体抜き管路とを備え、ドレン排出流路のドレン排出開閉弁までの中途部であって、圧気体抜き管路の他端口よりもドレン排出開閉弁の側にドレン液を溜めることができるように、流路を拡大させる部位としてのドレンタンクが接続されている(特許文献4参照)ものが、本出願人によって提案されている。なお、このドレン排出回路装置には、例えば、気液分離槽と吸着処理槽(油水分離器)とを備えるドレン処理機が接続される。そのドレン処理機では、例えば圧縮空気除湿装置で発生して圧縮空気と共に圧送されるドレン液(ドレン水)が、前記ドレン排出回路装置を介して被処理水として導入され、その被処理水に含まれる油が油水分離器で吸着されて浄化処理がなされる。
【0006】
さらに、従来のプレート式熱交換器の例としては、水素ガス通過用溝が形成された溝形成領域を有する水素ガスプレートと、ブライン通過用溝が形成された溝形成領域を有するブラインプレートとを含む複数の板体が積層された状態で各板体の接合面同士が接合され、水素ガス通過用溝を通過する水素ガスを、ブライン通過用溝を通過するブラインとの熱交換によって冷却可能に構成され、プレートは、別個独立して設けられたN1=2個の領域を有して各領域内の通過用溝を通過する水素ガス同士を混合させずに冷却可能に構成されると共に、隣接する領域の間に一方の領域内の通過用溝を通過する水素ガスと他方の領域内の通過用溝を通過する水素ガスとを断熱するスリットが形成された断熱部形成領域が設けられている(特許文献5参照)ものが、本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58-14931号公報(特許請求の範囲、
図2)
【特許文献2】特開2016-052610号公報(第1頁)
【特許文献3】特開2017-127801号公報(第1頁)
【特許文献4】特開2019-55347号公報(第1頁)
【特許文献5】特開2020-12584号公報(第1頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
圧縮空気除湿装置に関して解決しようとする問題点は、除湿装置筐体の内部に熱交換器部が二段階に設けられ、圧縮空気を冷却用媒体で冷却することで結露を生じさせて除湿する装置において、前記冷却用媒体による冷却負荷の調整・制御を適切に行うことができるように、露点温度を検知(モニター)できる温度センサーについて、より適切な配設形態に関する提案がなされていないことにある。
【0009】
そこで本発明の目的は、除湿装置筐体の内部に熱交換器部が二段階に設けられている構成において、露点温度を検知できる温度センサーが適切な位置に配設されている圧縮空気除湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、圧縮空気装置から導入される一次側の圧縮空気について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気を空気圧機器へ排出するように、除湿装置筐体の内部に熱交換器が第1の熱交換器部と第2の熱交換器部との二段階に設けられ、前記第1の熱交換器部が、一次側の圧縮空気の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気の再熱を行うように、一次側の圧縮空気に係る予冷用の流路と二次側の圧縮空気に係る再熱用の流路とが交錯するように配されることによって設けられ、前記第2の熱交換器部が、前記第1の熱交換器部で予冷された圧縮空気を冷却用媒体で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられている圧縮空気除湿装置において、前記第2の熱交換器部が、上側から一次側の圧縮空気を導入し、下側へ二次側の圧縮空気を排出するように設けられ、前記第2の熱交換器部から前記第1の熱交換器部へ二次側の圧縮空気を連通させる二次側連通路と、前記第2の熱交換器部の下側の空間であって、結露によって生じたドレン水を滴下させて下部に滞留させることができると共に、二次側の圧縮空気を前記二次側連通路に連通させるように形成された気液分離流路部と、該気液分離流路部又は前記二次側連通路の下端部に前記ドレン水を排出させるように設けられたドレン排出口と、前記気液分離流路部の空間における前記ドレン水が滞留しない上側の部位に、温度を検知するセンシング部が配置された温度センサーとを備える。
【0011】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記第1の熱交換器部と前記第2の熱交換器部とが、前記除湿装置筐体の水平方向の一方端側と他方端側とに配設され、前記第1の熱交換器部が、一次側の圧縮空気を下側から上側へ連通させ、二次側の圧縮空気を上側から下側へ連通させるように設けられ、前記二次側連通路が、前記第1の熱交換器部と前記第2の熱交換器部との間である除湿装置筐体の水平方向の中間部に設けられ、二次側の圧縮空気を下側から上側へ連通させるように設けられていることを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記第1の熱交換器部及び前記第2の熱交換器部がプレート式の熱交換器であることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記センシング部に、滴下した前記ドレン水が付着しないように、撥水性且つ撥油性の表面処理がなされていることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記センシング部が、滴下した前記ドレン水が直接的に当たらないように、保護部材によって保護されていることを特徴とすることができる。
【0015】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の一形態によれば、前記温度センサーの検知情報に基づいて運転を制御する制御装置を備えることを特徴とすることができる。
【0016】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置ユニットの一形態によれば、前記温度センサーが、除湿装置筐体の部位に、該温度センサーの根元部が固定されていることで装着されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る圧縮空気除湿装置によれば、除湿装置筐体の内部に熱交換器部が二段階に設けられている構成において、露点温度を検知できる温度センサーを適切な位置に配設できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例を模式的に示す断面模式図である。
【
図2】本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例を模式的に示す正面模式図である。
【
図3】
図2の形態例を一方の側面側から見た側面模式図である。
【
図4】
図2の形態例を他方の側面側から見た側面模式図である。
【
図5】本発明に係る圧縮空気除湿装置の他の形態例を、一部内部構造を含めて、模式的に示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る圧縮空気除湿装置の形態例を添付図面(
図1~5)に基づいて詳細に説明する。
【0020】
本発明に係る圧縮空気除湿装置は、エアーコンプレッサなどの圧縮空気装置(圧縮空気源)10から導入される一次側の圧縮空気11(
図1の黒矢印参照)について熱交換によって除湿を行い、除湿された二次側の圧縮空気22(
図1の白矢印参照)を空気圧機器20へ排出(供給)するように、除湿装置筐体50の内部に熱交換器が第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40の二段階に設けられ、第1の熱交換器部30が、一次側の圧縮空気11の予冷を行うと共に二次側の圧縮空気22の再熱を行うように、一次側の圧縮空気11に係る予冷用の流路31と二次側の圧縮空気22に係る再熱用の流路32とが交錯するように配されることによって設けられ、第2の熱交換器部40が、前記第1の熱交換器部30で予冷された圧縮空気を冷却用媒体で冷却することで結露を生じさせて除湿するように設けられている。
【0021】
そして、本発明に係る圧縮空気除湿装置では、第2の熱交換器部40が、上側から一次側の圧縮空気11を導入し、下側へ二次側の圧縮空気22を排出するように設けられ、第2の熱交換器部40から第1の熱交換器部30へ二次側の圧縮空気22を連通させる二次側連通路55と、第2の熱交換器部40の下側の空間であって、結露によって生じたドレン水70を滴下させて下部に滞留させることができると共に、二次側の圧縮空気22を二次側連通路55に連通させるように形成された気液分離流路部45と、その気液分離流路部45又は二次側連通路55の下端部にドレン水を排出させるように設けられたドレン排出口71と、気液分離流路部45の空間におけるドレン水70が滞留しない上側の部位に、温度を検知するセンシング部61が配置された温度センサー60とを備える。
【0022】
すなわち、本形態例の温度センサー60は、除湿装置筐体50の内部における下部(底部)であって、圧縮空気が、第2の熱交換器部40において冷却用媒体によって冷却され、最も温度が低下した状態となっている空間(流路スペース)に、センシング部61が配置される構成になっている。なお、ドレン排出口71には、例えば、ドレン排出装置75の構成要素であるドレン排出回路装置(特許文献4参照)が接続される。そのドレン排出回路装置には、例えば、気液分離槽と吸着処理槽(油水分離器)とを備えるドレン処理機が接続される。
【0023】
本発明に係る圧縮空気除湿装置によれば、温度センサー60が、圧縮空気が最も冷やされてその圧縮空気中の水分を結露させることで除湿された状態の温度(露点温度)を、直接的に計測することになり、その露点温度を最も正確に検知することができる。そして、例えば、本形態例の圧縮空気除湿装置を構成要素とする装置システムの運転状況が低レベルになった場合又は停止した場合(低負荷時又は無負荷時)、最も温度が低下した低温の圧縮空気は、密度が高く重いため、底部に沈降した状態を維持することになる。このため、その低温の圧縮空気は、温度センサー60のセンシング部61が配された第2の熱交換器部40の下側の気液分離流路部45において安定的に滞留することになり、外乱を受けにくく昇温しにくい状態となる。従って、本形態例のように配置された温度センサー60によれば、露点温度を正確且つ安定的にモニターすることができ、装置システムの運転を安定的に制御できる。
【0024】
すなわち、本発明に係る圧縮空気除湿装置によれば、除湿装置筐体50の内部に熱交換器部が二段階(第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40)に設けられている構成において、露点温度を検知できる温度センサー60を適切な位置に配設できるという特別有利な効果を奏する。さらに説明すれば、温度センサー60のセンシング部61が気液分離流路部45の空間のドレン水70が滞留しない上側の部位に配置されている。この部位は、運転時には最も冷却された二次側の圧縮空気が流動し、運転が停止された場合(無負荷時)には最も冷却された二次側の圧縮空気が沈降した状態で安定的に滞留できる除湿装置筐体50の最下部(底部)の部位であり、センシング部61によって、最も冷却された二次側の圧縮空気の温度(露点温度)を正確且つ安定的に検知できる。例えば、無負荷状態でも、滞留した圧縮空気が昇温すると、圧縮空気除湿装置を構成要素とする装置システム(例えば冷凍サイクル装置の圧縮機)が運転を開始し、その運転の発停が繰り返されてしまうことがあるが、そのような現象を本発明によれば防止できる。
【0025】
また、本形態例では、第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40とが、除湿装置筐体50の水平方向の一方端側51と他方端側52とに配設され、第1の熱交換器部30が、一次側の圧縮空気11を下側から上側へ連通させ、二次側の圧縮空気22を上側から下側へ連通させるように設けられ、二次側連通路55が、第1の熱交換器部30と第2の熱交換器部40との間である除湿装置筐体50の水平方向の中間部に設けられ、二次側の圧縮空気22を下側から上側へ連通させるように設けられている。
【0026】
これによれば、二次側連通路55が、第1の熱交換器部30と前記第2の熱交換器部40とを分離する中間の空間(セパレータ部)として好適に配設された形態となっている。このため、この二次側連通路55が緩衝部となり、気液分離流路部45の空間(センシング部61が配置された部位)は、第1の熱交換器部30からの熱的影響を受けにくい形態になっている。例えば、本形態例の圧縮空気除湿装置を構成要素とする装置システムの運転が停止した場合でも、気液分離流路部45の空間では、第1の熱交換器部30からの影響による対流現象がおよびにくく、低温の圧縮空気が沈降した状態を維持しやすい。従って、二次側の圧縮空気22の温度(露点温度)を正確に検知できるというメリットがある。なお、二次側連通路55が設けられていることで、圧縮空気の流れは第2の熱交換器部40の被冷却流路42では下降流であって二次側連通路55では上昇流であるから、その圧縮空気の流れが反転するため、二次側の圧縮空気22とドレン水70とを効果的に分離できる効果がある。
【0027】
また、
図1~5に示す形態例では、第1の熱交換器部30及び第2の熱交換器部40がプレート式の熱交換器によって設けられている。これによれば、圧縮空気除湿装置を、コンパクト且つ簡素な形態に構成できる。また、このプレート式の熱交換器では、箱形の形状となるため、設置空間を効率的に利用できる装置形態になっている。
【0028】
次に、
図1~5に示す形態例の圧縮空気除湿装置内での圧縮空気の流れについて説明する。
第1の熱交換器部30が配された側である除湿装置筐体50の一方端側51の端面を形成する一端壁部51aの下部には、圧縮空気入口13と圧縮空気出口23が設けられている。また、二次側連通路55の上部には、一次側の圧縮空気11を、第1の熱交換器部30の予冷用の流路31から第2の熱交換器部40へ連通させる第2の熱交換器部入口40aが設けられている。また、気液分離流路部45と二次側連通路55とは、二次側連通路入口55aによって接続されている。さらに、二次側連通路55の上部には、二次側の圧縮空気22を、二次側連通路55から第1の熱交換器部30の再熱用の流路32へ連通させる二次側連通路出口55bが設けられている。
【0029】
これによれば、一次側の圧縮空気11が、圧縮空気装置10から圧縮空気入口13を介して第1の熱交換器部30へ導入され、第1の熱交換器部30から第2の熱交換器部入口40aを介して第2の熱交換器部40へ導入される。そして、第2の熱交換器部40を通過して生じた二次側の圧縮空気22を、二次側連通路入口55aを介して二次側連通路55へ連通させ、二次側連通路出口55bを介して第1の熱交換器部30へ連通させる。本形態例の圧縮空気は、
図2に二点鎖線の矢印で示すように、第1の熱交換器部30の予冷用の流路31では下から上へ流れ、第2の熱交換器部40の被冷却流路42では上から下へ流れ、二次側連通路55では下から上へ流れ、第1の熱交換器部30の再熱用の流路32では上から下へ流れる。
【0030】
そして、第2の熱交換器部40が配された側である除湿装置筐体50の他方端側52の端面を形成する他端壁部52aであって、その下部には第2の熱交換器部40における冷却用媒体(冷媒)の入口81が設けられ、その上部には第2の熱交換器部40における冷却用媒体(冷媒)の出口82が設けられている。冷却用媒体の入口81には、冷媒供給源80(
図1参照)から冷媒が供給される。第2の熱交換器部40では、冷媒流路41(
図2の第2の熱交換器部40内一点鎖線の矢印参照)と、被冷却流路42(
図2の第2の熱交換器部40内の二点鎖線参照)とが交錯して設けられていることで、第2の熱交換器部40の被冷却流路42に流入された圧縮空気を冷却し、その圧縮空気中の水分を結露させる。被冷却流路42を流れる圧縮空気は、下降流となり、重力が作用する方向と同一になる。このため、結露によって生じたドレン水70を、スムースに押し流し、気液分離流路部45の方向へ排出・滴下させることができる。
【0031】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置の露点センサーとして機能する温度センサー60では、センシング部61に、滴下したドレン水70が付着しないように、撥水性且つ撥油性の表面処理がなされている形態とすることができる。このセンシング部61を含むセンサー本体への表面処理としては、例えば、シリコーンレジン又はフッ素レジン(撥水性且つ撥油性の物)や、ガラスコーティング(撥水性且つ撥油性の物)の処理を行うことができる。
【0032】
このセンサー本体に係る表面処理によれば、センシング部61においてドレン水70がスムースに流れ去るように作用させることができ、そのセンシング部61の表面にドレン水70に含まれる油分などが凝固・固着して一種の断熱層を作ることを防止し、温度検出に係る正確性を阻害することを可及的に防止することができる。また、そのセンサー本体に係る表面処理が、温度センサー60の防水、防油の対策になり、錆の発生防止や油汚れ低減を図ることができ、その温度センサー60を適切に保護することができる。
【0033】
さらに、本発明に係る圧縮空気除湿装置の露点センサーとして機能する温度センサー60では、センシング部61が、滴下したドレン水70が直接的に当たらないように、保護部材によって保護されている形態とすることができる。この保護部材としては、
図2に示すようなセンシング部61を含むセンサー本体を覆う長さの保護管(ソケット65)を溶接した形態や、
図5に示すような傘型のドレン水よけ66を追加した形態とすることができる。また、
図2に示したソケット65では、そのソケット65内に水が溜まることを防止するために、下側に水抜き孔65aが設けられている。なお、温度センサー60を、傾斜させた形態に取り付ける構造であっても良く、これによれば、ドレン水70や油分などがさらに固着しにくい構成になる。
【0034】
このように、センサー本体を保護部材によって保護することで、センシング部61の表面にドレン水70に含まれる油分などが凝固・固着して一種の断熱層を作って温度検出に係る正確性を阻害することを、可及的に防止することができる。また、そのセンサー本体に係る保護部材が、温度センサー60の防水、防油の対策になり、錆の発生防止や油汚れ低減を図ることができ、その温度センサー60を適切に保護することができる。
【0035】
また、本発明に係る圧縮空気除湿装置では、温度センサー60の検知情報に基づいて前記冷却用媒体による冷却負荷に係る運転を制御する制御装置(図示せず)を備えることができる。この冷却用媒体による冷却負荷に係る運転の例としては、冷凍サイクル装置(図示せず)に係る運転がある。例えば、温度センサー60による検知情報に基づいて、冷凍サイクル装置の圧縮機の運転中に、検知温度(圧縮空気温度)が所要の温度よりも低下した場合には、インバータ制御によって圧縮機を駆動させる電動モータの回転数を低減させ、圧縮空気温度が所要の温度を超えた場合には、インバータ制御によって圧縮機を駆動させる電動モータの回転数を増大させるように制御する制御装置を設けることができる。つまり、本発明に係る温度センサー60による精密なモニター情報に基づいて、冷凍サイクル装置による冷却負荷を、より精密に制御することができる。
【0036】
また、例えば、温度センサー60による検知情報に基づいて、冷凍サイクル装置の圧縮機の運転中に、検知温度(圧縮空気温度)が所定の温度よりも低下した場合には、圧縮機の運転を停止し、その圧縮機の運転停止中に、圧縮空気温度が所定の温度を超えた場合には、圧縮機の運転を再開するように制御する制御装置であってもよい。なお、冷凍サイクル装置の運転を一旦停止すると、再開させるためにエネルギーロスが生じ易いため、インバータ制御によって電動モータの回転数を制御することの方が好ましい。また、冷凍サイクル装置の運転の制御とは、圧縮機の制御に限らず、凝縮器の冷却ファンの制御など、他の構成の制御も含むものである。
【0037】
すなわち、本形態例に係る冷却用媒体とは、例えば、冷凍サイクル装置の冷媒であり、第2の熱交換器部40の構成要素として蒸発器が配設された構成になっている。但し、本発明は、これに限定されるものではなく、冷水源から供給される冷却水を冷却用媒体とする場合も、温度センサー60による検知情報によって、流量制御弁などを介して冷却水の第2の熱交換器部40への供給量を適宜に制御することで、圧縮空気除湿装置の運転(冷却負荷)を適宜に制御できるのは勿論である。
【0038】
また、本形態例では、温度センサー60が、除湿装置筐体50の部位に、温度センサー60の根元部62が固定されていることで装着されている。本形態例の温度センサー60では、センシング部61が除湿装置筐体50の外部から挿入され、根元部62が、除湿装置筐体50の他方端側52の壁部下側部(第2の熱交換器部40の側の端面を形成する壁部材の下部)に設けられた雌螺子部に螺合することで、その除湿装置筐体50を構成する部材に着脱できる構造になっている。これによれば、温度センサー60を、容易に装着及び脱着ができ、容易に保守管理ができる。
【0039】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0040】
10 圧縮空気装置
11 一次側の圧縮空気
13 圧縮空気入口
20 空気圧機器
22 二次側の圧縮空気
23 圧縮空気出口
30 第1の熱交換器部
31 予冷用の流路
32 再熱用の流路
40 第2の熱交換器部
40a 第2の熱交換器部入口
41 冷媒流路
42 被冷却流路
45 気液分離流路部
50 除湿装置筐体
51 一方端側
51a 一端壁部
52 他方端側
52a 他端壁部
55 二次側連通路
55a 二次側連通路入口
55b 二次側連通路出口
60 温度センサー
61 センシング部
62 根元部
65 ソケット
65a 水抜き孔
66 傘型のドレン水よけ
70 ドレン水
71 ドレン排出口
75 ドレン排出装置
80 冷媒供給源(冷凍サイクル)
81 冷却用媒体の入口
82 冷却用媒体の出口