(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008075
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】電池モジュールと該電池モジュール同士の連結方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/262 20210101AFI20240112BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20240112BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20240112BHJP
【FI】
H01M50/262 S
H01M50/264
H01M50/262 M
H01M50/209
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109618
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】糸川 信一
(72)【発明者】
【氏名】刑部 友敬
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA01
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC14
5H040CC34
5H040CC38
5H040GG27
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】エンドプレートの軽量化を図ることができる、電池モジュール同士の連結体の小型化を図ることができる、の少なくとも一方を達成できる、電池モジュールと該電池モジュールの連結方法の提供。
【解決手段】エンドプレート30が内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32を有しており、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32が、ともに樹脂製である。そのため、外側エンドプレート部材32が金属製である場合に比べて、エンドプレート30の軽量化を図ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された積層体と、前記積層体の積層方向の両外側に配置される一対のエンドプレートと、一対の前記エンドプレート同士を連結する拘束バンドと、を有する電池モジュールであって、
一対の前記エンドプレートは、それぞれ、前記積層体の積層方向の外側に配置される内側エンドプレート部材と、該内側エンドプレート部材の前記積層体と反対側に配置され該内側エンドプレート部材に連結される外側エンドプレート部材と、を有しており、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、樹脂製であり、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の一方には、複数の挿込ボスが設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の他方には、前記挿込ボスが挿し込まれる複数の挿込穴が設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、前記挿込ボスを前記挿込穴に挿込むことで連結されている、電池モジュール。
【請求項2】
複数の電池セルが積層された積層体と、前記積層体の積層方向の両外側に配置される一対のエンドプレートと、一対の前記エンドプレート同士を連結する拘束バンドと、を有する電池モジュールであって、
一対の前記エンドプレートは、それぞれ、前記積層体の積層方向の外側に配置される内側エンドプレート部材と、該内側エンドプレート部材の前記積層体と反対側に配置され該内側エンドプレート部材に着脱可能に連結される外側エンドプレート部材と、を有しており、
前記拘束バンドは、一対の前記エンドプレートの前記内側エンドプレート部材同士を連結しており、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、樹脂製であり、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の一方には、複数の挿込ボスが設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の他方には、前記挿込ボスが挿し込まれる複数の挿込穴が設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、前記挿込ボスを前記挿込穴に挿込むことで連結されており、
前記積層方向に互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士は、該電池モジュール同士の一方における片方のエンドプレートから前記外側エンドプレート部材を外して、該外側エンドプレート部材が外された前記内側エンドプレート部材を、前記電池モジュール同士の他方における片方のエンドプレートの前記外側エンドプレート部材に連結することで、互いに連結可能となっている、電池モジュール。
【請求項3】
前記挿込ボスと前記挿込穴は、前記積層方向から見たとき、前記拘束バンドとラップしない位置に設けられている、請求項1または請求項2記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の一方に設けられる係合部を、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の他方に設けられる係合受け部に係合させることで、固定される、請求項1または請求項2記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記挿込ボスは、前記内側エンドプレート部材に設けられており、前記挿込穴は、前記外側エンドプレート部材に設けられており、
前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材が、前記電池モジュール同士の他方における前記外側エンドプレート部材に連結されているとき、前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスと、前記電池モジュール同士の他方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスとは、前記外側エンドプレート部材の互いに異なる前記挿込穴に挿し込まれている、請求項2記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記挿込ボスは、前記内側エンドプレート部材に設けられており、前記挿込穴は、前記外側エンドプレート部材に設けられており、
前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材が、前記電池モジュール同士の他方における前記外側エンドプレート部材に連結されているとき、前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスと、前記電池モジュール同士の他方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスとは、前記外側エンドプレート部材の同じ前記挿込穴に挿し込まれている、請求項2記載の電池モジュール。
【請求項7】
互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士を連結する、電池モジュール同士の連結方法であって、
電池モジュールを作製する電池モジュール作製工程と、
電池モジュール同士の一方における片方のエンドプレートから外側エンドプレート部材を外して、外側エンドプレート部材が外された内側エンドプレート部材を、電池モジュール同士の他方における片方のエンドプレートの外側エンドプレート部材に連結させる、連結工程と、
を有する、電池モジュール同士の連結方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールと、該電池モジュール同士を連結する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2は、従来の電池モジュールを開示している。
【0003】
(a)特許文献1(特開2011-113706号公報)
特許文献1は、複数の電池セルが積層された積層体と、積層体の積層方向の両外側に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレート同士を連結する拘束バンドと、を有する電池モジュールを開示している。
図13、
図14に示すように、一対のエンドプレート3は、それぞれ、絶縁材料で樹脂製の内側エンドプレート部材3aと、エンドプレート3の強度および剛性を確保するために設けられており内側エンドプレート部材3aに固定される金属製の外側エンドプレート部材3bと、を有している。
【0004】
(b)特許文献2(特表2020-513664号公報)
特許文献2は、複数の電池セルが積層された積層体と、積層体の積層方向の両外側に配置される一対のエンドプレート(サイドプレート)と、を有する電池モジュールを開示している。そして、積層体の積層方向に互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士は、電池モジュール同士の一方におけるエンドプレートを、電池モジュール同士の他方におけるエンドプレートに連結することで、互いに連結可能となっている。
【0005】
しかし、上記特許文献1,2に開示の技術には、つぎの問題点がある。
(a)特許文献1
図13、
図14に示すように、外側エンドプレート部材3bが金属製であるため、エンドプレート3の軽量化を図る点で改善の余地がある。
(b)特許文献2
互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士を連結するにあたり、電池モジュール同士の一方におけるエンドプレートを、電池モジュール同士の他方におけるエンドプレートにそのまま連結しているため、電池モジュール同士の連結体の小型化を図る点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-113706号公報
【特許文献2】特表2020-513664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、エンドプレートの軽量化を図ることができる、電池モジュール同士の連結体の小型化を図ることができる、の少なくとも一方を達成できる、電池モジュールと該電池モジュールの連結方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 複数の電池セルが積層された積層体と、前記積層体の積層方向の両外側に配置される一対のエンドプレートと、一対の前記エンドプレート同士を連結する拘束バンドと、を有する電池モジュールであって、
一対の前記エンドプレートは、それぞれ、前記積層体の積層方向の外側に配置される内側エンドプレート部材と、該内側エンドプレート部材の前記積層体と反対側に配置され該内側エンドプレート部材に連結される外側エンドプレート部材と、を有しており、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、樹脂製であり、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の一方には、複数の挿込ボスが設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の他方には、前記挿込ボスが挿し込まれる複数の挿込穴が設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、前記挿込ボスを前記挿込穴に挿込むことで連結されている、電池モジュール。
(2) 複数の電池セルが積層された積層体と、前記積層体の積層方向の両外側に配置される一対のエンドプレートと、一対の前記エンドプレート同士を連結する拘束バンドと、を有する電池モジュールであって、
一対の前記エンドプレートは、それぞれ、前記積層体の積層方向の外側に配置される内側エンドプレート部材と、該内側エンドプレート部材の前記積層体と反対側に配置され該内側エンドプレート部材に着脱可能に連結される外側エンドプレート部材と、を有しており、
前記拘束バンドは、一対の前記エンドプレートの前記内側エンドプレート部材同士を連結しており、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、樹脂製であり、
前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の一方には、複数の挿込ボスが設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の他方には、前記挿込ボスが挿し込まれる複数の挿込穴が設けられており、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、前記挿込ボスを前記挿込穴に挿込むことで連結されており、
前記積層方向に互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士は、該電池モジュール同士の一方における片方のエンドプレートから前記外側エンドプレート部材を外して、該外側エンドプレート部材が外された前記内側エンドプレート部材を、前記電池モジュール同士の他方における片方のエンドプレートの前記外側エンドプレート部材に連結することで、互いに連結可能となっている、電池モジュール。
(3) 前記挿込ボスと前記挿込穴は、前記積層方向から見たとき、前記拘束バンドとラップしない位置に設けられている、(1)または(2)記載の電池モジュール。
(4) 前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材は、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の一方に設けられる係合部を、前記内側エンドプレート部材と前記外側エンドプレート部材の他方に設けられる係合受け部に係合させることで、固定される、(1)または(2)記載の電池モジュール。
(5) 前記挿込ボスは、前記内側エンドプレート部材に設けられており、前記挿込穴は、前記外側エンドプレート部材に設けられており、
前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材が、前記電池モジュール同士の他方における前記外側エンドプレート部材に連結されているとき、前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスと、前記電池モジュール同士の他方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスとは、前記外側エンドプレート部材の互いに異なる前記挿込穴に挿し込まれている、(2)記載の電池モジュール。
(6) 前記挿込ボスは、前記内側エンドプレート部材に設けられており、前記挿込穴は、前記外側エンドプレート部材に設けられており、
前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材が、前記電池モジュール同士の他方における前記外側エンドプレート部材に連結されているとき、前記電池モジュール同士の一方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスと、前記電池モジュール同士の他方における前記内側エンドプレート部材に設けられる前記挿込ボスとは、前記外側エンドプレート部材の同じ前記挿込穴に挿し込まれている、(2)記載の電池モジュール。
(7) 互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士を連結する、電池モジュール同士の連結方法であって、
電池モジュールを作製する電池モジュール作製工程と、
電池モジュール同士の一方における片方のエンドプレートから外側エンドプレート部材を外して、外側エンドプレート部材が外された内側エンドプレート部材を、電池モジュール同士の他方における片方のエンドプレートの外側エンドプレート部材に連結させる、連結工程と、
を有する、電池モジュール同士の連結方法。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)または(2)の電池モジュールでは、エンドプレートが内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材を有しており、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材が、ともに樹脂製であるため、外側エンドプレート部材が金属製である場合に比べて、エンドプレートの軽量化を図ることができる。
【0010】
また、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材の一方には、複数の挿込ボスが設けられており、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材の他方には、挿込ボスが挿し込まれる複数の挿込穴が設けられており、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材が、挿込ボスを挿込穴に挿込むことで連結されているため、つぎの効果を得ることができる。
電池セルが膨張する際、内側エンドプレート部材は、電池セルの膨張による荷重を受けて内側エンドプレート部材に設けられる挿込ボス同士または挿込穴同士の間隔が大になる方向に変形しようとする(外に開こうと変形する)が、外側エンドプレート部材に設けられる挿込穴または挿込ボスによってその変形を抑制することができる。そのため、電池セルの膨張によるエンドプレートの変形を抑制できる。その結果、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材を樹脂で作製した場合であっても、従来の樹脂と金属の組合せのエンドプレートと同等の厚みで同等の剛性、強度を確保できる。
【0011】
上記(2)の電池モジュールでは、さらに、積層方向に互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士が、電池モジュール同士の一方における片方のエンドプレートから外側エンドプレート部材を外して、外側エンドプレート部材が外された内側エンドプレート部材を、電池モジュール同士の他方における片方のエンドプレートの外側エンドプレート部材に連結することで、互いに連結可能となっているため、電池モジュール同士を連結するとき、電池モジュール同士の一方における外側エンドプレート部材を省略できる。よって、一枚の外側エンドプレート部材の厚み分だけ、電池モジュール同士の連結体を小型化できる。
【0012】
上記(3)の電池モジュールでは、挿込ボスと挿込穴が、積層方向から見たとき、拘束バンドとラップしない位置に設けられているため、拘束バンドで変形を抑制することが困難なエンドプレート部位の変形を、挿込ボスと挿込穴とで抑制できる。
【0013】
上記(4)の電池モジュールでは、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材が、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材の一方に設けられる係合部を、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材の他方に設けられる係合受け部に係合させることで、固定されるため、係合部を係合受け部に係合させることで、挿込ボスが挿込穴から抜けることを抑制できる。また、内側エンドプレート部材と外側エンドプレート部材を簡易な構造で固定できる。
【0014】
上記(5)の電池モジュールでは、挿込ボスが内側エンドプレート部材に設けられており、挿込穴が外側エンドプレート部材に設けられており、電池モジュール同士の一方における内側エンドプレート部材に設けられる挿込ボスと、電池モジュール同士の他方における内側エンドプレート部材に設けられる挿込ボスとが、外側エンドプレート部材の互いに異なる挿込穴に挿し込まれているため、電池モジュール同士の一方における内側エンドプレート部材に設けられる挿込ボスと、電池モジュール同士の他方における内側エンドプレート部材に設けられる挿込ボスとが、それぞれの長さを外側エンドプレート部材の厚みと同程度にしても互いに干渉し合うことを抑制できる。
【0015】
上記(6)の電池モジュールでは、挿込ボスが内側エンドプレート部材に設けられており、挿込穴が外側エンドプレート部材に設けられており、電池モジュール同士の一方における内側エンドプレート部材に設けられる挿込ボスと、電池モジュール同士の他方における内側エンドプレート部材に設けられる挿込ボスとが、外側エンドプレート部材の同じ挿込穴に挿し込まれているため、外側エンドプレート部材の互いに異なる挿入穴に挿し込まれる場合に比べて、挿入穴の数を削減できる。
【0016】
上記(7)の電池モジュールでは、電池モジュール同士の一方における片方のエンドプレートから外側エンドプレート部材を外して、外側エンドプレート部材が外された内側エンドプレート部材を、電池モジュール同士の他方における片方のエンドプレートの外側エンドプレート部材に連結させる、連結工程を有するため、電池モジュール同士の一方における内側エンドプレート部材を、電池モジュール同士の他方における外側エンドプレート部材に連結させることで、電池モジュール同士を連結することができる。この構造では、電池モジュール同士を連結するとき、電池モジュール同士の一方における外側エンドプレート部材を省略できる。よって、一枚の外側エンドプレート部材の厚み分だけ、電池モジュール同士の連結体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明実施例の電池モジュールの、拘束バンドを省略した斜視図である。
【
図2】本発明実施例の電池モジュールにおける、内側エンドプレート部材の斜視図である。
【
図3】本発明実施例の電池モジュールにおける、外側エンドプレート部材の斜視図である。
【
図4】本発明実施例の電池モジュールの断面図である。なお、図面の明瞭化を図るために、積層体の断面表示は省略している(以下同じ)。
【
図5】本発明実施例の電池モジュールにおける、内側エンドプレート部材と電池セルの、エンドプレートが内側エンドプレート部材のみで外側エンドプレート部材を有さない場合の断面図である。
【
図6】本発明実施例の電池モジュールにおける、エンドプレートと電池セルの断面図である。
【
図7】互いに隣り合う位置に配置される本発明実施例の電池モジュール同士の、外側エンドプレート部材のみを分解して示す分解斜視図である。
【
図8】互いに隣り合う位置に配置される本発明実施例の電池モジュール同士におけるエンドプレートの、電池モジュール同士の一方における挿込ボスと電池モジュール同士の他方における挿込ボスとが外側エンドプレート部材の互いに異なる挿込穴に挿し込まれる場合の断面図である。
【
図9】互いに隣り合う位置に配置される本発明実施例の電池モジュール同士におけるエンドプレートの、電池モジュール同士の一方における挿込ボスと電池モジュール同士の他方における挿込ボスとが外側エンドプレート部材の同じ挿込穴に挿し込まれる場合の断面図である。
【
図10】互いに隣り合う位置に配置される本発明実施例の電池モジュール同士におけるエンドプレートの、挿込ボスが外側エンドプレート部材に設けられ挿込穴が内側エンドプレート部材に設けられる場合の断面図である。
【
図11】互いに隣り合う位置に配置される本発明実施例の電池モジュール同士の側面図である。
【
図12】本発明実施例の比較例(本発明実施例ではない)を示す図であり、互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール同士の側面図である。
【
図13】従来の電池モジュールにおける、エンドプレートの斜視図である。
【
図14】従来の電池モジュールにおける、エンドプレートの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の電池モジュール10を説明する。
【0019】
本発明実施例の電池モジュール10が搭載される車両は、BEV(Battery Electric Vehicle)である。ただし、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、またはFCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)であってもよい。
【0020】
(電池モジュール)
電池モジュール10は、
図1、
図4に示すように、複数の電池セル21が積層された積層体20と、積層体20の積層方向Lの両外側に配置される一対のエンドプレート30と、一対のエンドプレート30同士を連結する拘束バンド40(
図4)と、を有する。
【0021】
積層体20は、発熱体である複数の電池セル21だけでなく、各電池セル21間に配置される枠部材22も有している。そのため、積層体20は、電池セル21と枠部材22とが交互に積層されたものとなっている。
【0022】
電池セル21は、上部に設けられる端子21aを除いて、積層方向Lから見たときに(正面視で)略矩形の角形電池である。電池セル21は、たとえばリチウムイオン電池、ニッケル水素電池等の二次電池である。各電池セル21は、直列接続されている。
【0023】
枠部材22は、絶縁材料で構成されており、樹脂製であり、型成形品である。枠部材22は、積層方向Lから見たときに(正面視で)略矩形である。
【0024】
エンドプレート30は、積層体20を積層方向Lの両側から挟んでいる。エンドプレート30は、積層体20の積層方向Lの外側に配置される内側エンドプレート部材31と、内側エンドプレート部材31の積層体20と反対側に配置され内側エンドプレート部材31に着脱可能に連結される外側エンドプレート部材32と、を有している。
【0025】
内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32は、いずれも、絶縁材料で構成されており、樹脂製であり、型成形品である。内側エンドプレート部材31には、
図2に示すように、拘束バンド40が取付けられる拘束バンド取付け部33が設けられている。拘束バンド取付け部33は、積層方向Lから見たときに内側エンドプレート部材31の上端部と下端部にそれぞれ設けられている。
【0026】
図4、
図10に示すように、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32の一方には、複数の挿込ボス31aが設けられており、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32の他方には、挿込ボス31aが挿し込まれる複数の挿込穴32aが設けられている。なお、
図4は、複数の挿込ボス31aが内側エンドプレート部材31に設けられ、複数の挿込穴32aが外側エンドプレート部材32に設けられる場合を示しており、
図10は、複数の挿込穴32aが内側エンドプレート部材31に設けられ、複数の挿込ボス31aが外側エンドプレート部材32に設けられる場合を示している。
【0027】
図4に示すように、複数の挿込ボス31aは、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32のうち挿込穴32aが設けられている方の部材に向って突出して設けられている。複数の挿込ボス31aは、積層方向Lと直交する方向に互いに間隔をおいて設けられている。挿込ボス31aは、積層方向Lから見たときに上下方向と左右方向にそれぞれ複数設けられている。
【0028】
複数の挿込穴32aは、積層方向Lと直交する方向に互いに間隔をおいて設けられている。挿込穴32aは、積層方向Lから見たときに上下方向と左右方向にそれぞれ複数設けられている。
【0029】
挿込ボス31aと挿込穴32aは、積層方向Lから見たとき、拘束バンド40とラップしない位置に設けられている。すなわち、挿込ボス31aと挿込穴32aは、積層方向Lから見たとき、上下の拘束バンド40間に設けられている。
【0030】
内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32は、挿込ボス31aを挿込穴32aに挿込むことで互いに連結されており、挿込ボス31aを挿込穴32aから外す(抜く)ことで連結解除される。
【0031】
図2、
図3に示すように、内側エンドプレート部材31には、係合部31bが設けられており、外側エンドプレート部材32には、係合部31bが係脱可能な係合受け部32bが設けられている。ただし、内側エンドプレート部材31に係合受け部32bが設けられ、外側エンドプレート部材32に係合部31bが設けられていてもよい。
【0032】
内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32は、係合部31bを係合受け部32bに係合させることで、互いに固定される。係合部31bは、挿込ボス31aを挿込穴32aに挿込む作業を行うことで、この作業中に、係合部31bおよび/または係合受け部32bが弾性変形して復元し、係合受け部32bに係合する。このため、係合部31bを係合受け部32bに係合させるためだけの作業は不要である。係合部31bと係合受け部32bとの係合解除は、係合部31bおよび/または係合受け部32bを作業者が手または工具を用いて弾性変形させることで行われる。
【0033】
係合部31bが係合受け部32bに係合しているとき、挿込穴32aに挿し込まれている挿込ボス31aを挿込穴32aから抜くことができなくなっており、係合部31bと係合受け部32bとの係合を解除することで、挿込穴32aに挿し込まれている挿込ボス31aを挿込穴32aから抜くことができるようになっている。
【0034】
積層体20の積層方向Lの一側に位置する内側エンドプレート部材31と他側に位置する内側エンドプレート部材31とは、形状に違いがあり、係合部31bが設けられる位置(上下方向位置)が互いに異なっている。それに対し、積層体20の積層方向Lの一側に位置する外側エンドプレート部材31と他側に位置する外側エンドプレート部材31とは同一形状となっている。そのため、積層体20の積層方向Lの一側に位置する内側エンドプレート部材31の係合部31bだけでなく他側に位置する内側エンドプレート部材31の係合部31bも係合できるように、外側エンドプレート部材32には係合受け部32bが係合部31bの倍の数、設けられている。
【0035】
拘束バンド40は、たとえば金属製である。
図4に示すように、拘束バンド40は、一対のエンドプレート30の内側エンドプレート部材31同士を連結している。すなわち、拘束バンド40は、外側エンドプレート部材32同士を連結していない。拘束バンド40は、積層体20の上側と下側で積層方向Lに延びて設けられている。積層体20の上側と下側を通る拘束バンド40は、それぞれ、一本であってもよく、複数本であってもよい。拘束バンド40は、積層方向両端部41が上下方向に積層体20側に折れ曲がって所定量延びており、該積層方向両端部41で内側エンドプレート部材31の拘束バンド取付け部33(
図2)に図示略のリベット、クリップ、ねじ、ビス、ボルト等を用いて固定されている。
【0036】
(電池モジュール同士の連結体)
図7に示すように、積層方向Lに互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール10同士は、電池モジュール10同士の一方10aにおける片方のエンドプレート30から外側エンドプレート部材32を外して、該外側エンドプレート部材32が外された内側エンドプレート部材31を、電池モジュール10同士の他方10bにおける片方のエンドプレート30の外側エンドプレート部材32に連結することで、互いに連結可能となっている。
【0037】
複数の挿込ボス31aが内側エンドプレート部材31に設けられ、複数の挿込穴32aが外側エンドプレート部材32に設けられる場合において、電池モジュール10同士の一方10aにおける内側エンドプレート部材31が電池モジュール10同士の他方10bにおける外側エンドプレート部材32に連結されているとき、一方10aにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aと他方10bにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aとは、(a)
図8に示すように、外側エンドプレート部材32の互いに異なる挿込穴32aに(互い違いに)挿し込まれていてもよく、(b)
図9に示すように、外側エンドプレート部材32の同じ挿込穴32aに挿し込まれていてもよい。
【0038】
互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール10同士を連結する方法は、
(i)電池モジュール10を作製する電池モジュール作製工程と、
(ii)電池モジュール10同士の一方10aにおける片方のエンドプレート30から外側エンドプレート部材32を外して、外側エンドプレート部材32が外された内側エンドプレート部材31を、電池モジュール10同士の他方10bにおける片方のエンドプレート30の外側エンドプレート部材32に連結させる、連結工程と、
をこの順に有する。
【0039】
上記(ii)の連結工程では、外側エンドプレート部材32が外された内側エンドプレート部材31を、電池モジュール10同士の他方10bにおける片方のエンドプレート30の外側エンドプレート部材32に連結させるとき、係合部31bが係合受け部32bに係合する。
【0040】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
(A)エンドプレート30が内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32を有しており、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32が、ともに樹脂製であるため、外側エンドプレート部材32が金属製である場合に比べて、エンドプレート30の軽量化を図ることができる。
【0041】
(B)内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32の一方には、複数の挿込ボス31aが設けられており、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32の他方には、挿込ボス31aが挿し込まれる複数の挿込穴32aが設けられており、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32が、挿込ボス31aを挿込穴32aに挿込むことで連結されている。そのため、
図5に示すように電池セル21が膨張する際、内側エンドプレート部材31は、電池セル21の膨張による荷重を受けて内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31a同士または挿込穴32a同士の間隔が大になる方向(
図5の矢印D方向)に変形しようとする(外に開こうと変形する)が、
図6に示すように外側エンドプレート部材32に設けられる挿込穴32aまたは挿込ボス31aによってその変形を抑制することができる。そのため、電池セル21の膨張によるエンドプレート30の変形を抑制できる。その結果、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32を樹脂で作製した場合であっても、従来の樹脂と金属の組合せのエンドプレートと同等の厚みで同等の剛性、強度を確保できる。
【0042】
(C)積層方向に互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール10同士が、電池モジュール10同士の一方10aにおける片方のエンドプレート30から外側エンドプレート部材32を外して、外側エンドプレート部材32が外された内側エンドプレート部材31を、電池モジュール10同士の他方10bにおける片方のエンドプレート30の外側エンドプレート部材32に連結することで、互いに連結可能となっているため、電池モジュール10同士を連結するとき、電池モジュール10同士の一方10aにおける外側エンドプレート部材32を省略できる。よって、一枚の外側エンドプレート部材32の厚み分だけ、電池モジュール10同士の連結体を小型化できる。
なお、電池モジュール10同士の一方10aにおけるエンドプレート30から外した外側エンドプレート部材32は、他の電池モジュール10の作製、他の電池モジュール10同士の連結に再利用可能である。
【0043】
(D)挿込ボス31aと挿込穴32aが、積層方向Lから見たとき、拘束バンド40とラップしない位置に設けられているため、拘束バンド40で変形を抑制することが困難なエンドプレート30部位の変形を、挿込ボス31aと挿込穴32aとで抑制できる。
【0044】
(E)内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32が、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32の一方に設けられる係合部31bを、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32の他方に設けられる係合受け部32bに係合させることで、固定されるため、係合部31bを係合受け部32bに係合させることで、挿込ボス31aが挿込穴32aから抜けることを抑制できる。また、内側エンドプレート部材31と外側エンドプレート部材32を簡易な構造で固定できる。
【0045】
(F)挿込ボス31aが内側エンドプレート部材31に設けられており、挿込穴32aが外側エンドプレート部材32に設けられており、電池モジュール10同士の一方10aにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aと、電池モジュール10同士の他方10bにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aとが、外側エンドプレート部材32の互いに異なる挿込穴32aに挿し込まれている場合、電池モジュール10同士の一方10aにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aと、電池モジュール10同士の他方10bにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aとが、それぞれの長さを外側エンドプレート部材32の厚みと同程度にしても互いに干渉し合うことを抑制できる。
【0046】
(G)挿込ボス31aが内側エンドプレート部材31に設けられており、挿込穴32aが外側エンドプレート部材32に設けられており、電池モジュール10同士の一方10aにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aと、電池モジュール10同士の他方10bにおける内側エンドプレート部材31に設けられる挿込ボス31aとが、外側エンドプレート部材32の同じ挿込穴32aに挿し込まれている場合、外側エンドプレート部材32の互いに異なる挿入穴32aに挿し込まれる場合に比べて、挿入穴32aの数を削減できる。
【0047】
(H)電池モジュール10同士の連結方法が、電池モジュール10同士の一方10aにおける片方のエンドプレート30から外側エンドプレート部材32を外して、外側エンドプレート部材32が外された内側エンドプレート部材31を、電池モジュール10同士の他方10bにおける片方のエンドプレート30の外側エンドプレート部材32に連結させる、連結工程を有するため、電池モジュール10同士の一方10aにおける内側エンドプレート部材31を、電池モジュール10同士の他方10bにおける外側エンドプレート部材32に連結させることで、電池モジュール10同士を連結することができる。この構造では、電池モジュール10同士を連結するとき、電池モジュール10同士の一方10aにおける外側エンドプレート部材32を省略できる。よって、一枚の外側エンドプレート部材32の厚み分だけ、電池モジュール10同士の連結体を小型化できる。
【0048】
(I)一枚の外側エンドプレート部材32の厚み分だけ、電池モジュール10同士の連結体を小型化できるため、たとえば、工場などでの置き場を小スペース化できる。
【0049】
(J)
図12は、本発明実施例の比較例(本発明実施例ではない)を示している。
比較例では、本発明実施例と同一または類似する構成部分には、本発明実施例の対応する部材の符号に´(ダッシュ)を付した符号を付してある。比較例では、本発明実施例と異なり、外側エンドプレート部材32´が金属製であり、積層体20´の積層方向L´に互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール10´同士が、外側エンドプレート部材32´を外すことなく連結される場合を示している。
【0050】
比較例にあっては、積層方向L´に互いに隣り合う位置に配置される電池モジュール10´同士を連結させて自動車に搭載したとき、電池モジュール10´間に隙間S´を設けないと車両振動により電池モジュール10´同士が干渉し、異音が発生するおそれがある。そのため、各電池モジュール10´が216mm、隙間S´が10mmの場合、
(216×2)+10=442mm
の積層方向スペースが必要であった。
【0051】
それに対し、本発明実施例では、各電池モジュール10が216mm、一枚の外側エンドプレート部材32の厚みが19mmの場合、外側エンドプレート部材32が一枚不要になることと電池モジュール10間の隙間が不用になるため、
(216×2)-19=413mm
の積層方向スペースで済み、比較例に比べて積層方向Lのサイズダウンが可能になる。
【符号の説明】
【0052】
10、10a、10b 電池モジュール
20 積層体
21 電池セル
21a 端子
22 枠部材
30 エンドプレート
31 内側エンドプレート部材
31a 挿込ボス
31b 係合部
32 外側エンドプレート部材
32a 挿込穴
32b 係合受け部
33 拘束バンド取付け部
40 拘束バンド
L 積層方向