(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080757
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 7/293 20060101AFI20240610BHJP
G01B 7/16 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01B7/293
G01B7/16 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193954
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上原 利範
(72)【発明者】
【氏名】中野 史掘
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063AA42
2F063BB01
2F063CA21
2F063CB12
2F063DA08
2F063DA11
2F063DD06
2F063EC22
2F063EC25
2F063HA01
2F063HA14
2F063LA21
2F063LA22
2F063LA23
(57)【要約】
【課題】始点の座標点と終点の座標点とを一致させることが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、長方形のフレキシブル基板上の長手方向に複数のひずみセンサを等間隔で配列したセンサ基板を有し、各々隣接するひずみセンサ間の曲率半径は先のひずみセンサの値に基づいて算出し、前記複数のひずみセンサのうち一方端の第1ひずみセンサの位置を始点ノードとしたとき、前記複数のひずみセンサの相対的な位置は、始点ノードの前記第1ひずみセンサから順に隣接するひずみセンサ間の曲率半径に基づいて、順次相対位置を加算していくことで求め、始点ノードの前記第1ひずみセンサとn番目にある第2ひずみセンサとが重なったとき、前記第1ひずみセンサと前記第2ひずみセンサの相対的な空間上の位置は同一であるとみなし、順次相対位置を加算して求められた前記第2ひずみセンサの計算上の位置と、実際の位置との差に基づいて、各ひずみセンサの位置を補正する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形のフレキシブル基板上の長手方向に複数のひずみセンサを等間隔で配列したセンサ基板を有し、
各々隣接するひずみセンサ間の曲率半径は先のひずみセンサの値に基づいて算出し、
前記複数のひずみセンサのうち一方端の第1ひずみセンサの位置を始点ノードとしたとき、前記複数のひずみセンサの相対的な位置は、始点ノードの前記第1ひずみセンサから順に隣接するひずみセンサ間の曲率半径に基づいて、順次相対位置を加算していくことで求め、
始点ノードの前記第1ひずみセンサとn番目にある第2ひずみセンサとが重なったとき、前記第1ひずみセンサと前記第2ひずみセンサの相対的な空間上の位置は同一であるとみなし、
順次相対位置を加算して求められた前記第2ひずみセンサの計算上の位置と、実際の位置との差に基づいて、各ひずみセンサの位置を補正する、検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記第2ひずみセンサの計算上の位置と実際の位置との差の値を前記第1ひずみセンサと前記第2ひずみセンサの間の円弧数で除算し、除算したその値を各ノードから差し引くことで補正を行う、検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の検出装置であって、
前記フレキシブル基板は、前記第1ひずみセンサと前記第2ひずみセンサの位置合わせの目盛りを有する、検出装置。
【請求項4】
長方形のフレキシブル基板上の長手方向に複数のひずみセンサを等間隔で配列したセンサ基板を有し、
各々隣接するひずみセンサ間の曲率半径は先のひずみセンサの値に基づいて算出し、
前記複数のひずみセンサのうち一方端の第1ひずみセンサの位置を始点ノードとしたとき、前記複数のひずみセンサの相対的な位置は、始点ノードの前記第1ひずみセンサから順に隣接するひずみセンサ間の曲率半径に基づいて、順次相対位置を加算していくことで求め、
始点ノードの前記第1ひずみセンサと前記フレキシブル基板上の所定の位置が、n番目にある第2ひずみセンサとn+1番目にある第3ひずみセンサとの間の前記フレキシブル基板上の第1位置が重なったとき、前記第1ひずみセンサと前記第1位置の相対的な空間上の位置は同一であるとみなし、
順次相対位置を加算して求められた前記第1位置の計算上の位置と、実際の位置との差に基づいて、各ひずみセンサの位置を補正する、検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検出装置であって、
前記第1位置の計算上の位置と実際の位置との差の値を前記第1ひずみセンサと前記第2ひずみセンサの間の円弧数で除算し、除算したその値を各ノードから差し引き、前記第2ひずみセンサの位置を計算することで補正を行う、検出装置。
【請求項6】
請求項4に記載の検出装置であって、
前記第1位置は、前記フレキシブル基板に設けられた目盛りにより設定する、検出装置。
【請求項7】
請求項4に記載の検出装置であって、
前記第1位置は、前記第1ひずみセンサと各ひずみセンサ間の静電容量を検出することで、求める、検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の検出装置であって、
前記第1ひずみセンサと各ひずみセンサ間の静電容量を検出するときは、前記第1ひずみセンサを駆動し、各ひずみセンサからの電気的な信号を検出する相互容量方式にて検出を行う、検出装置。
【請求項9】
請求項4に記載の検出装置であって、
前記第1位置は、前記第1ひずみセンサと各ひずみセンサ間に配置された複数の静電容量検出電極間の静電容量を検出することで求める、検出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検出装置であって、
前記第1ひずみセンサと各静電容量検出電極間の静電容量の検出は、前記第1ひずみセンサを駆動し、各静電容量測定電極からの電気的な信号を検出する相互容量方式にて検出を行う、検出装置。
【請求項11】
請求項4に記載の検出装置であって、
前記複数のひずみゲージは前記フレキシブル基板の両面に配置される、検出装置。
【請求項12】
請求項11に記載の検出装置であって、
前記フレキシブル基板の両面に配置されるひずみゲージの容量値をセルフ容量検出で検出し、
容量値が小さい面の前記第1ひずみセンサと容量値が大きい面の前記第2ひずみセンサとを検出する、検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検出装置に関し、特に、複数のひずみゲージを備えた検出装置に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
物体または人体等の被計測対象の形態を計測するために、複数のひずみゲージを用いた計測用検出器がある。この種の計測用検出器の提案として、特開昭60-67804号公報や特開平2-80902号公報がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60-67804号公報
【特許文献2】特開平2-80902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
曲率半径を測定するノードを複数備え、各ノードにセンサとしてひずみゲージを配置したセンサアレイシートを用いて、例えば、環状の測定対象の曲面を計測する場合を検討する。この場合、センサの特定ノードを始点として隣接ノードの座標値を逐次計算する。この際、曲率半径には測定誤差が生じるため、計算始点から離れたノードになる程、逐次計算により誤差が累積されて、計算された座標値と真値のずれが増大する。そのため、各座標点の累積誤差により、本来的には一致するはずの「始点のノードの座標点(始点座標点)」と「終点のノードの座標点または終点の座標点(終点座標点)」とでズレが発生する。
【0005】
本開示の目的は、始点の座標点と終点の座標点とを一致させることが可能な検出装置を提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0008】
一実施の形態によれば、検出装置は、
長方形のフレキシブル基板上の長手方向に複数のひずみセンサを等間隔で配列したセンサ基板を有し、
各々隣接するひずみセンサ間の曲率半径は先のひずみセンサの値に基づいて算出し、
前記複数のひずみセンサのうち一方端の第1ひずみセンサの位置を始点ノードとしたとき、前記複数のひずみセンサの相対的な位置は、始点ノードの前記第1ひずみセンサから順に隣接するひずみセンサ間の曲率半径に基づいて、順次相対位置を加算していくことで求め、
始点ノードの前記第1ひずみセンサとn番目にある第2ひずみセンサとが重なったとき、前記第1ひずみセンサと前記第2ひずみセンサの相対的な空間上の位置は同一であるとみなし、
順次相対位置を加算して求められた前記第2ひずみセンサの計算上の位置と、実際の位置との差に基づいて、各ひずみセンサの位置を補正する。
【0009】
また、他の一実施の形態によれば、検出装置は、
長方形のフレキシブル基板上の長手方向に複数のひずみセンサを等間隔で配列したセンサ基板を有し、
各々隣接するひずみセンサ間の曲率半径は先のひずみセンサの値に基づいて算出し、
前記複数のひずみセンサのうち一方端の第1ひずみセンサの位置を始点ノードとしたとき、前記複数のひずみセンサの相対的な位置は、始点ノードの前記第1ひずみセンサから順に隣接するひずみセンサ間の曲率半径に基づいて、順次相対位置を加算していくことで求め、
始点ノードの前記第1ひずみセンサと前記フレキシブル基板上の所定の位置が、n番目にある第2ひずみセンサとn+1番目にある第3ひずみセンサとの間の前記フレキシブル基板上の第1位置が重なったとき、前記第1ひずみセンサと前記第1位置の相対的な空間上の位置は同一であるとみなし、
順次相対位置を加算して求められた前記第1位置の計算上の位置と、実際の位置との差に基づいて、各ひずみセンサの位置を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るセンサアレイシートを説明する図である。
【
図3】
図3は、曲率半径による曲面再構築を説明する図である。
【
図4】
図4は、曲率半径r
nと曲率半径r
n+1の符号が等しい場合を説明する図である。
【
図5】
図5は、曲率半径r
nと曲率半径r
n+1の符号が異なる場合を説明する図である。
【
図6】
図6は、計算誤差を改善する補正計算方法を用いた場合を説明する図である。
【
図7】
図7は、終点座標の取得方法を説明する図である。
【
図8】
図8は、終点座標P
Nの円弧長さL′の取得方法1を説明する図である。
【
図9】
図9は、終点座標の円弧長さL′の取得方法2を説明する図である。
【
図10】
図10は、各ノードで検出容量から終点座標P
Nを求める例を説明する図である。
【
図11】
図11は、静電容量の測定方法を概念的に説明する図である。
【
図12】
図12は、曲率半径による曲面再構築計算方法を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、フレキシブル基板に配置した静電容量測定用の電極を用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
【
図14】
図14は、各ひずみゲージで用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
【
図15】
図15は、フレキシブル基板に配置した静電容量測定用の電極を用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
【
図16】
図16は、各ひずみゲージで用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
【
図17】
図17は、両面ひずみゲージのセンサアレイシートにおいて測定対象曲面の内側および測定対象曲面の外側を判定する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
(実施形態)
(センサアレイシートの構成例)
まず、最初に、各ノードにセンサとしてひずみゲージを配置したセンサアレイシートの構成例および課題について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るセンサアレイシートを説明する図である。
【0013】
図1に示すように、センサアレイシート1は、樹脂シート、例えば、長方形のフレキシブル基板10の上の長手方向LLに、センサとして複数のひずみゲージG(G1,G2,G3,・・・、Gn,Gb1,・・・、Gbn-2,Gbn-1,Gbn)を配列したセンサ基板により構成されている。複数のひずみゲージG1,G2,G3,・・・,Gnは、フレキシブル基板10の表面側(第1面側)に、等間隔(ここでは、間隔L)で配置されている。また、複数のひずみゲージGb1,・・・,Gbn-2,Gbn-1,Gbnは、フレキシブル基板10の裏面側(第2面側)に、等間隔(ここでは、間隔L)で配置されている。ひずみゲージは、ひずみセンサと言い変えることができる。
【0014】
この例では、ひずみゲージG1がセンサアレイシート1の表面側に配置され、ひずみゲージG1に対応するセンサアレイシート1の裏面側に、ひずみゲージGb1が配置される様に構成されている。同様にして、ひずみゲージGn-1,Gnがセンサアレイシート1の表面側に配置され、ひずみゲージGn-1,Gnに対応するセンサアレイシート1の裏面側に、ひずみゲージGbn-1、Gbnが配置される様に構成されている。このようなセンサアレイシート1を環状の測定対象の曲面に沿うように設置することで、環状の測定対象の曲面を計測することができる。つまり、センサアレイシート1は、曲率半径を測定するノードを複数備え、各ノードにセンサとしてひずみゲージGが配置されている。
【0015】
各ひずみゲージは、ひずみゲージG1を代表として示すように、例えば、半導体基板CHに、一対の接続端子Ta,Tbと、接続端子Taと接続端子Tbとの間に設けられた歪ゲージ配線LHGとを有する。歪ゲージ配線LHGは、長手方向LLに、複数回折り返して設けられた配線により構成されている。そして、歪ゲージ配線LHGが、長手方向LLに伸びたりまたは縮んだりすることにより、歪ゲージ配線LHGの抵抗値RG1が変化する。この抵抗値RG1の変化が接続端子Ta,Tbに金属配線などを介して電気的に接続された演算装置PEにより検出できるようにされている。つまり、複数のひずみゲージGを用いて、センサアレイシート1の長手方向LLの曲げ応力のみ抽出することができる。
【0016】
演算装置PEは、複数のひずみゲージG(G1,G2,G3,・・・,Gbn-2,Gbn-1,Gbn)に電気的に接続された選択回路SCと、選択回路SCに電気的に接続されたプロセッサ装置PUとを含む。選択回路SCは、複数のひずみゲージGの1つが選択的にプロセッサ装置PUに接続するように制御して、プロセッサ装置PUが接続されたひずみゲージGの歪ゲージ配線LHGの抵抗値(RG)の変化を検出できるように構成されている。選択回路SCは、例えば、複数のひずみゲージG(G1,G2,G3,・・・,Gbn-2,Gbn-1,Gbn)を順番に1つずつ選択するように構成されている。なお、選択回路SCは、複数のひずみゲージG(G1,G2,G3,・・・,Gbn-2,Gbn-1,Gbn)を一括して選択して、複数のひずみゲージGのすべてから各ひずみゲージGの抵抗値(RG)の変化を検出するように構成してもよい。
【0017】
ひずみゲージG1を代表として示すように、プロセッサ装置PUは、3つの抵抗素子(抵抗値はR1,R2,R3)とひずみゲージG1とで構成されるブリッジを用いて、ひずみゲージG1の抵抗値RG1の変化を検出する。つまり、ブリッジの点aと点bの間に所定の電圧Vを印加して、ブリッジの点c、点dの間に電圧差ΔVを計測する。抵抗値R1,R2,R3とひずみゲージGbnの抵抗値RG1は、センサアレイシート1に歪が発生していない直線状の状態では、同一の値となるように構成されている(R1=R2=R3=RG1)。一方、センサアレイシート1に歪が発生すると、抵抗値R1,R2,R3とひずみゲージG1の抵抗値RG1とが異なる(大きくなる(R1=R2=R3>RG1)、または、小さくなる(R1=R2=R3<RG1)。これにより、電圧差ΔVが変化するので、抵抗値RG1の値に基づいて、ひずみゲージG1に発生した歪が測定でき、これにより、環状の測定対象の曲面を計測することができる。
【0018】
(曲率半径による曲面再構築計算方法1)
次に、曲率半径による曲面再構築計算方法について
図2、
図3、
図4、
図5を用いて説明する。
図2は、課題を説明する図である。
図3は、曲率半径による曲面再構築を説明する図である。
図4は、曲率半径r
nと曲率半径r
n+1の符号が等しい場合を説明する図である。
図5は曲率半径r
nと曲率半径r
n+1の符号が異なる場合を説明する図である。
【0019】
図3において、ひずみゲージは等間隔Lで配置されているものとする。各々隣接するひずみセンサ間の曲率半径は先のひずみセンサの値に基づいて算出することができる。ここで、r
nは曲率半径であり、符号は反時計回りを正、時計回りを負とする。Lは、円弧の長さであり、一定とする。Φnは円弧の角度であり、符号は反時計回りを正、時計回りを負とする。P
nは曲面座標を示す。C
nは曲率半径の中心座標であり、ユーザが設定することができる。この明細書では、曲率半径の中心座標C
nの点から曲面座標P
nの点へ向かうベクトルを、ベクトル(C
nP
n)として表すこととする。
【0020】
円弧の長さは一定なので、曲率半径から円弧の角度が求まる(式1)。
Φn=L/rn (式1)
ひずみゲージG1の始点のノードのパラメータを以下で定義する。
P0=(0,0)
C0=(0,r0)
次のノードの曲面座標Pn+1は、ベクトル(CnPn)を、円弧角度Φnを用いた2次元の回転行列R(Φn)(式3)で回転することで求まる(式2)。
【0021】
ベクトル(Cn+1Pn+1)=R(Φn)*ベクトル(CnPn) (式2)
【0022】
【0023】
ここで、曲面座標Pn+1で円弧は滑らかに接続すると仮定する。即ち、曲面座標Pn+1において、円弧の法線ベクトル(CnPn+1)と法線ベクトル(Cn+1Pn+1)の傾きは等しく、大きさは両者の比となる。従って、次のノードのパラメータは以下のとおり求まる。
【0024】
ベクトル(C
n+1P
n+1)=((r
n+1)/(r
n))*(ベクトル(C
nP
n+1))
=((r
n+1)/(r
n))*R(Φn)*ベクトル(C
nP
n)
ここで、曲率半径の定義に正負の符号が含まれている。曲率半径r
nと曲率半径r
n+1の符号が等しいことは、法線ベクトル(C
nP
n+1)と法線ベクトル(C
n+1P
n+1)で円弧の法線ベクトルの向きが同じであること意味する(
図4参照)。一方、曲率半径r
nと曲率半径r
n+1の符号が異なることは、法線ベクトル(C
nP
n+1)と法線ベクトル(C
n+1P
n+1)で円弧の法線ベクトルの向きが反対であること意味する(
図5参照)。
【0025】
つまり、複数のひずみセンサGのうち一方端の第1ひずみセンサG1の位置を始点ノードとしたとき、複数のひずみセンサGの相対的な位置は、始点ノードの第1ひずみセンサG1から順に隣接センサ間の曲率半径rに基づいて、順次相対位置を加算していくことで求める。
【0026】
この際、曲率半径には測定誤差が生じるため、計算始点から離れたノードになる程、逐次計算により誤差(ノイズ)が累積されて、計算された座標値と真値のずれが増大することになる。そのため、
図2に「ノイズあり」として示す線22のように、本来的には一致するはずの「始点のノードの座標点(始点座標点)PS1」と「終点のノードの座標点または終点の座標点(終点座標点)PE1」とは、ズレが発生する。
図2に「ノイズ無し」として示す線21は、「始点のノードの座標点(始点座標点)PS0」と「終点のノードの座標点または終点の座標点(終点座標点)PE0」とは、ズレが発生していない状態を示している。
【0027】
そこで、始点ノード(始点のノードの座標点(始点座標点))と終点ノード(終点のノードの座標点または終点の座標点(終点座標点))を一致させることで、計算誤差を改善する補正計算を実施する必要がある。
【0028】
(曲率半径による曲面再構築計算方法2)
次に、計算誤差を改善する補正計算方法について説明する。
図6は、計算誤差を改善する補正計算方法を用いた場合を説明する図である。
図6において「ノイズ無し」として示す線21は、
図2と同様に、「始点のノードの座標点(始点座標点)PS0」と「終点のノードの座標点または終点の座標点(終点座標点)PE0」とは、ズレが発生していない状態を示している。
図6において「ノイズあり循環補正」として示す線62は、以下で説明する計算誤差を改善する補正計算方法に基づいて「始点のノードの座標点(始点座標点)PS6」と「終点のノードの座標点または終点の座標点(終点座標点)PE6」とのズレを循環補正により改善した状態を示している。
【0029】
曲率半径による曲面再構築計算方法1の計算で求まった曲面ノードm-1と曲面ノードmの座標値の差分をxmと定義する。定義により、ノードnの座標Pnはxmの積算により次の(式4)で求まる。
【0030】
【0031】
ここで、実空間では始点X0と終点XNの座標を一致させるものとする。曲面ノードの計算結果の始点X0と終点XNのずれをCと定義すると、次の(式5)となる。
【0032】
【0033】
終点座標のずれCを解消するため、ずれCをxmの総数Nで除算した値δ(デルタ)(δ=C/N)を各xmから減算する(式6)。この計算により、終点座標のずれCは曲面の各ノードに分散される。つまり、計算誤差を改善する補正計算方法では、終点座標のずれCを各ノードに分散して始点の座標と終点の座標とのずれCを補正するものである。言い換えると、終点座標のずれCを、第1ひずみセンサG1と第2ひずみセンサGnの間の円弧数Nで除算し、その値(δ=C/N)を各ノードから差し引くことで補正を行うものである。
【0034】
【0035】
以上の処理で求まったP′Nを改めて曲面座標として次の(式7)に用いることで、始点と終点の座標は一致し、曲面の各ノードの座標ずれも補正される。本明細書では、終点座標のずれCを各ノードに分散して始点の座標と終点の座標とのずれCを補正する補正方法を、循環補正ということとする。
【0036】
【0037】
つまり、始点ノードのひずみセンサG1とn番目にある第2ひずみセンサGnが重なったとき、第1ひずみセンサG1と第2ひずみセンサGnの相対的な空間上の位置は同一であるとみなすことができる。そして、順次相対位置を加算して求められた第2ひずみセンサGnの計算上の位置と、実際の位置(第1ひずみセンサG1と同一の位置)との差に基づいて、各ひずみセンサGの位置(各ノードの位置)を補正する。これにより、始点の座標点と終点の座標点とを一致させることが可能な検出装置を提供することができる。
【0038】
一方、実空間においては始点と終点が一致しない場合が多いと考えられる。そこで、次に終点座標の取得方法を説明する。
【0039】
(実空間で始点と終点が一致しない場合の終点座標の取得方法)
以上では始点ノードと終点ノードが実空間で一致する前提であるが、測定対象毎に全周長さが変化すると、始点ノードと終点ノードが実空間で完全に一致させることは難しいことがある。そのため、以下の方法で終点座標を求めるのが好ましい。
図7は、終点座標の取得方法を説明する図である。
【0040】
まず、始点ノード0の座標P
0はノードN-1とノードNの間の円弧上に存在し、何等かの測定方法(
図8、
図9、
図10、
図11)を用いて、ノードNから始点ノード0までの円弧長さL′を取得する。ここで、円弧長さL′を用いるとノードN-1から終点座標(=始点ノード)までの円弧角度は以下のとおり表現出来る。
【0041】
ΦN-1=(L′/rN-1)
従って、曲面計算における終点座標PNは以下の(式8)の計算で求まり、補正計算の際はこのP′Nを終点座標として用いる。
【0042】
ベクトル(C
NP
N)=R(Φ
N-1)*ベクトル(C
NP
Nー1) (式8)
(終点座標の円弧長さL′の取得方法1)
図8は、終点座標P
Nの円弧長さL′の取得方法1を説明する図である。この例では、目視にて始点ノード0の始点位置P
0に近接した終点座標(第1位置)P
Nを取得する。終点座標P
Nは、第1位置と言い変えることもできる。フレキシブル基板10の表面側や裏面側に、ノード位置を定量評価するため目盛りSCLを設ける。つまり、フレキシブル基板は始点ノードの第1ひずみセンサG1とn番目にある第2ひずみセンサGnの位置合わせの目盛りを有す。この目盛りSCLを目EYにより確認することで、ノードN-1から終点座標P
N(=第1位置:始点ノード0の開始座標P
0)まで距離である円弧長さL′が取得できる。
【0043】
フレキシブル基板10の端部側には、演算装置PEへ各ひずみセンサGの信号を送信するための接続部20が設けられている。
【0044】
(終点座標の円弧長さL′の取得方法2)
図9は、終点座標の円弧長さL′の取得方法2を説明する図である。
図10は、各ノードで検出容量から終点座標P
Nを求める例を説明する図である。この例では、始点ノード0の始点位置P
0に対する各ノードのひずみセンサの静電容量の測定を行い、検出した静電容量(検出容量)のピーク座標から終点座標P
Nを取得する。この例では、静電容量を測定する複数のノードとして、ノードN-1のひずみセンサGn-1、ノードNのひずみセンサGn、および、ノードN+1のひずみセンサGn+1を用いた例を示している。静電容量を測定する複数のノードの数は、これに限定されるわけではなく、静電容量のピーク値が計測できるノードの数であれば良い。
【0045】
図10に示すように、各ノード(N-1、N、N+1)の検出容量を円弧長Lに対してプロットし、近似曲線より求めたピーク容量の座標を終点座標P
Nとする。これにより、ノードN-1から終点座標P
N(=第1位置:始点ノード0の開始座標P
0)まで距離である円弧長さL′が取得できる。
【0046】
尚、実空間で始点と終点とでひずみセンサの位置が一致しない場合に、ノードN-1から終点座標PN(=第1位置:始点ノード0の開始座標P0)までの距離である円弧長さをL′としたとき、値δ(デルタ)は、δ=C/{(N-1)+(L′/L)}としてもよい。
【0047】
(ミューチュアル検出方式)
図11は、静電容量の測定方法を概念的に説明する図である。ここでは、静電容量の測定方法として、相互容量方式(ミューチュアル検出方式)を用いて検出を行う。相互容量方式は、
図11に示すように、センサとしては、複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとが利用される。
【0048】
複数の駆動電極Txは、この例では、ストライプ状とされる。この複数の駆動電極Tx(Tx1,Tx2、Tx3・・・・)が走査(駆動)方向(Y方向またはX方向)に配列されている。一方、複数の検出電極Rxは、複数の検出電極Rx(Rx1,Rx2,Rx3,・・・・)(駆動電極よりも細い)を含む。複数の検出電極Rxは、この例では、ストライプ状とされる。この複数の検出電極Rx(Rx1,Rx2,Rx3,・・・・)は、複数の駆動電極Txと直交あるいは交差する方向(X方向またはY方向)に配列されている。複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxは、間隔を置いて配置される。このため、複数の駆動電極Txと複数の検出電極Rxとの間には、基本的に静電容量としての容量Ccが存在する。
【0049】
複数の駆動電極Txは、静電容量の検出期間にはパルス状の駆動パルス(交流信号)が印加される。すなわち、検出期間において、複数の駆動電極Tx(Tx1、Tx2、Tx3、・・・・)のおのおのは所定の周期で駆動パルス(Sig)により走査される。例えば、ユーザの指が検出電極Rx2と駆動電極Tx2の交差部に近接して存在するものとする。この時、駆動電極Tx2に駆動パルス(Sig)が供給されると検出電極Rx(Rx1、Rx2、Rx3、・・・・)にはパルス状の波形が得られ、検出電極Rx2からは、他の検出電極から得られるパルスよりも振幅レベルの低いパルスが得られる。複数の検出電極Rx(Rx1、Rx2、Rx3、・・・・)は複数の駆動電極Tx(Tx1、Tx2、Tx3・・・・)からのフリンジ電界を監視しており、指のような導電物が近接すると、このフリンジ電界を遮蔽する効果がある。フリンジ電界が遮蔽されることで、検出電極Rxの検出電位が低下する。
【0050】
ミューチャル検出方式では、この検出電位の差を、ポジションDETPの検出パルス(検出値)として取り扱うことができる。図示される容量Cxは、ユーザの指が検出電極Rxに近い場合と、遠い場合とで異なる。このため、検出パルスのレベルもユーザの指が検出電極Rxに近い場合と、遠い場合とで異なる。よって、タッチパネルの平面に対する指の近接度を検出パルスの振幅レベルで判断することができる。駆動パルスSigによる電極駆動タイミングと、検出パルスの出力タイミングにより、タッチパネルの平面上の指の2次元上の位置を検出することができる。
【0051】
この技術を応用し、駆動電極Txを第1ひずみセンサG1とし、検出電極RxをノードN-1のひずみセンサGn-1、ノードNのひずみセンサGn、および、ノードN+1のひずみセンサGn+1とする。そして、第1ひずみセンサG1と各ひずみセンサ(Gn-1,Gn,Gn+1)間の静電容量Cn-1,Cn,Cn+1を検出する。つまり、第1ひずみセンサG1と各ひずみセンサ間(Gn-1,Gn,Gn+1)の静電容量Cn-1,Cn,Cn+1を検出するときは、第1ひずみセンサ(TX)を駆動し、各ひずみセンサ(RX)からの電気的な信号を検出する相互容量方式にて検出を行う(ミューチュアル検出)。これにより、検出した静電容量Cn-1,Cn,Cn+1から、
図10で説明した方法により、終点座標P
Nが検出でき、終点座標P
Nを求めることができる。さらに、ノードN-1から終点座標P
Nまで距離である円弧長さL′が取得できる。
【0052】
以上の説明の様に、始点ノードと終点ノードが実空間で完全に一致しない場合においては、始点ノードのひずみセンサG1とフレキシブル基板10上の所定の位置が、n番目にある第2ひずみセンサGnとn+1番目にある第3ひずみセンサGn+1との間のフレキシブル基板10上の第1位置が重なったとき、第1ひずみセンサG1と第1位置(終点座標P
N)の相対的な空間上の位置は同一であるとみなす。そして、順次、相対位置を加算して求められた第1位置の計算上の位置と、実際の位置(第1ひずみセンサG1と同一の位置)との差に基づいて、各ひずみセンサGの位置(各ノードの位置)を補正する。ここで、第1位置はフレキシブル基板10に設けられた目盛りにより設定する(
図8)。あるいは、第1位置は、第1ひずみセンサG1と各ひずみセンサ間の静電容量を検出することで、求める(
図9-
図11)。
【0053】
(曲面再構築計算方法のフローチャート)
次に、
図12を用いて実施形態に係る曲面再構築計算方法のフローチャートを説明する。
図12は、曲率半径による曲面再構築計算方法を示すフローチャートである。
図12は上記で説明した曲面再構築計算方法1,2をまとめて示したものに対応しており、
図12のステップS10-S15の横側に、そのステップに関連する数式を記載している。説明が重複するので、以下では簡単に、各ステップについて説明する。
ステップS10:各ノードの曲率半径r
n、ノード終点の円弧長さL′を測定する。
ステップS11:各ノードの曲面座標P
nを計算する。
ステップS12:各ノード間の座標差分x
mを計算する。
ステップS13:始点ノード0の始点位置P
0と終点座標(第1位置)P
Nの座標差分をNで除算した値δを計算する。
ステップS14:各座標差分x
mからδを減算した値x′
mを計算する。
ステップS15:始点ノードからx′
mを累積加算した値P′
nを各曲面座標として出力する。
【0054】
以上により、始点の座標点と終点の座標点とを一致させることが可能な検出装置を提供することができる。
【0055】
(片面ひずみゲージのセンサアレイシート)
次に、
図13,14を用いて、フレキシブル基板10の表面側または裏面側の一方のみに、複数のひずみゲージGが設けられた場合(片面ひずみゲージのセンサアレイシート1という)において、容量の検出を行う方法を説明する。
図13は、フレキシブル基板に配置した静電容量測定用の電極を用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
図14は、各ひずみゲージで用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
図13、
図14において、35は測定対象曲面であり、フレキシブル基板10が測定対象曲面35に沿って設けられる。
【0056】
図13に示すように、フレキシブル基板10の表面側には、複数のひずみゲージG(G1,G2,・・・、Gn-1,Gn、Gn+1)が配置されており、さらに、各ひずみゲージGn-1,Gn、Gn+1の間のフレキシブル基板10の表面側に、1つのひずみゲージが2個の静電容量測定用の電極(静電容量検出電極とも言う)30で挟まれる様に、複数の静電容量測定用の電極30が配置されている。ここで、駆動電極Txを第1ひずみゲージG1とし、検出電極Rxを複数の静電容量測定用の電極30として、第1ひずみゲージG1と複数の静電容量測定用の電極30との間の相互容量(容量値)を相互容量方式にて測定する。この構成により、計測された静電容量の値から、終点座標P
Nが検出でき、終点座標P
Nを求めることができる。さらに、ノードN-1から終点座標P
Nまで距離である円弧長さL′が取得できる。
【0057】
図14に示すように、フレキシブル基板10の表面側には、複数のひずみゲージG(G1,G2,・・・、Gn-1,Gn、Gn+1)が配置されている。ここで、駆動電極Txを第1ひずみゲージG1とし、検出電極RxをひずみゲージGn-1,Gn、Gn+1として、第1ひずみゲージG1とひずみゲージGn-1,Gn、Gn+1との間の相互容量(容量値)を相互容量方式にて測定する。この構成により、計測された静電容量の容量値から、終点座標P
Nが検出でき、終点座標P
Nを求めることができる。さらに、ノードN-1から終点座標P
Nまで距離である円弧長さL′が取得できる。
【0058】
(両面ひずみゲージのセンサアレイシート)
次に、
図15,16を用いて、フレキシブル基板10の表面側および裏面側の両方に、複数のひずみゲージGが設けられた場合(両面ひずみゲージのセンサアレイシート1という)において、容量の検出を行う方法を説明する。
図15は、フレキシブル基板に配置した静電容量測定用の電極を用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
図16は、各ひずみゲージで用いて容量の検出を行う場合を説明する図である。
図15、
図16において、35は測定対象曲面であり、フレキシブル基板10が測定対象曲面35に沿って設けられる。
【0059】
図15に示すように、フレキシブル基板10の表面側には、複数のひずみゲージG(G1,G2、・・・、Gn-1,Gn,Gn+1)が配置され、フレキシブル基板10の裏面側には、複数のひずみゲージG(Gb1,Gb2、・・・、Gbn-1,Gbn、Gbn+1)が配置されている。さらに、各ひずみゲージGn-1,Gn、Gn+1の間のフレキシブル基板10の表面側に、1つのひずみゲージが2個の静電容量測定用の電極30で挟まれる様に、複数の静電容量測定用の電極30が配置されている。ここで、駆動電極Txを第1ひずみゲージG1の曲面外側(フレキシブル基板10の裏面側)のひずみゲージGb1とし、検出電極Rxを複数の静電容量測定用の電極30として、ひずみゲージGb1と複数の静電容量測定用の電極30との間の相互容量(容量値)を相互容量方式にて測定する。この構成により、計測された静電容量の容量値から、終点座標P
Nが検出でき、終点座標P
Nを求めることができる。さらに、ノードN-1から終点座標P
Nまで距離である円弧長さL′が取得できる。
【0060】
図16に示すように、フレキシブル基板10の表面側には、複数のひずみゲージG(G1,G2、・・・、Gn-1,Gn,Gn+1)が配置され、フレキシブル基板10の裏面側には、複数のひずみゲージG(Gb1,Gb2、・・・、Gbn-1,Gbn、Gbn+1)が配置されている。ここで、駆動電極Txを第1ひずみゲージG1の曲面外側(フレキシブル基板10の裏面側)のひずみゲージGb1とし、検出電極RxをひずみゲージGn-1,Gn、Gn+1として、第1ひずみゲージG1とひずみゲージGn-1,Gn、Gn+1との間の相互容量(容量値)を相互容量方式にて測定する。なお、容量の測定に使用しない各面のひずみゲージは、例えば、接地電位GND(0V)に接続するのが良い。
【0061】
図17は、両面ひずみゲージのセンサアレイシートにおいて測定対象曲面の内側および測定対象曲面の外側を判定する方法を説明する図である。
図18は、セルフ容量検出方式を説明する図である。
【0062】
両面ひずみゲージのセンサアレイシート1を用いて測定対象曲面35の形状を測定する場合、どのひずみゲージが測定対象曲面35の内側(曲面35の近傍に)設置されているひずみゲージか、測定対象曲面35の外側(曲面35から離れて)設置されているひずみゲージか、を判定する必要がある。そこで、
図17に示すように、フレキシブル基板10の表面および裏面の各面のひずみゲージGi、Gbiについて自己容量CGi、CGbiの容量値を測定し、測定対象36との容量結合により、測定結果の自己容量CGi、CGbiの大きい面を内側の面(センサアレイシート1において、測定対象36と対向する面:表面側)と判定する。測定結果の自己容量CGi、CGbiの小さい面を外側の面(センサアレイシート1において、測定対象36と対向する面に対向する面:裏面側)と判定する。
【0063】
(セルフ(Self)検出方式)
図18に示すように、自己容量の測定は、セルフ容量検出方式(セルフ(Self)検出方式)で検出することができる。セルフ容量検出方式では、ひずみゲージGi、Gbiが所定のインピーダンスR1,R2を介して自己検出用駆動パルス(交流信号)Sig1,Sig2により駆動され、測定対象36とひずみゲージGi、Gbiの静電容量が自己検出用駆動パルスSig1,Sig2により充電される。そして、自己検出用駆動パルスSig1,Sig2により充電されたひずみゲージGi、Gbiの静電容量の容量値を検出回路DET1、DET2により検出することで、自己容量CGi、CGbiの容量値の大きさを計測することができる。
【0064】
図11、
図18には図示されないが、スイッチ等によりミューチャル(Mutual)検出方式と、セルフ(Self)検出方式とを切り替え可能な構成にしてもよい。また、
図18に示すセルフ検出方式の構成は一例であり、これに限定されるものではない。演算装置PEは、ミューチャル(Mutual)検出方式を実施可能な回路構成、および、セルフ(Self)検出方式を実施可能な回路構成を含むことができる。
【0065】
本開示の実施の形態として上述した検出装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての検出装置も、本開示の要旨を包含する限り、本開示の範囲に属する。
【0066】
本開示の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本開示の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本開示の要旨を備えている限り、本開示の範囲に含まれる。
【0067】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【0068】
上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の開示を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:センサアレイシート、10:フレキシブル基板、30:静電容量測定用の電極(静電容量検出電極)、G:ひずみゲージ(ひずみセンサ)、SCL:目盛り、PE:演算装置、SC:選択回路、PU:プロセッサ装置