(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080772
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】製函治具及び製函方法
(51)【国際特許分類】
B31B 50/26 20170101AFI20240610BHJP
B31B 50/99 20170101ALI20240610BHJP
【FI】
B31B50/26
B31B50/99
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193991
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】永島 慶士
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA05
3E075BA02
3E075CA01
3E075DC03
3E075DC43
3E075DC44
3E075DD02
3E075DD43
3E075DD49
3E075GA03
(57)【要約】
【課題】8角形断面を有するケース体を手作業によって容易にかつ精度よく組み立てることが可能な製函治具及び製函方法を提供する。
【解決手段】製函治具100は、シート材20が巻き付けられる第1治具101と、第1治具に対して離間した第1位置と接近した第2位置P2とに配置可能な第2治具102と、を有する。第1治具は、第2治具が第1位置に配置され、第3本体パネル部43が第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって挟持された状態において、第2本体パネル部42、第3コーナーパネル部33、第3本体パネル部、第4コーナーパネル部34、及び第4本体パネル部44のそれぞれのパネル部間に形成された折り曲げ線50を折り曲げることができる。第2治具は、第2位置に配置された状態において、第2本体パネル部及び第4本体パネル部のそれぞれの外面に第2外面支持部172が接触することによってシート材を保持できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コーナーパネル部、第1本体パネル部、第2コーナーパネル部、第2本体パネル部、第3コーナーパネル部、第3本体パネル部、第4コーナーパネル部、第4本体パネル部、及び第5コーナーパネル部が一の方向に沿って連続して配列された平坦なシート材を、隣り合う前記コーナーパネル部と前記本体パネル部との間に形成された折り曲げ線に沿って折り曲げ、前記第1コーナーパネル部と前記第5コーナーパネル部とを重ね合わせて貼り合わせることによって、4個のコーナー面と4個の本体面とを有するケース体を製函するときに使用する製函治具において、
前記シート材が巻き付けられる第1治具と、前記第1治具に対して離間した第1位置と接近した第2位置とに配置可能な第2治具と、を有し、
前記第1治具は、
前記シート材の前記第1本体パネル部、前記第2本体パネル部、前記第3本体パネル部、及び前記第4本体パネル部のそれぞれの内面に接触可能な第1内面支持部、第2内面支持部、第3内面支持部、及び第4内面支持部と、
前記第3本体パネル部の外面に接触可能であり、前記第3内面支持部との間に前記第3本体パネル部を挟持可能な第1外面支持部と、を有し、
前記第2治具は、
前記第2本体パネル部及び前記第4本体パネル部のそれぞれの外面に接触可能な第2外面支持部を有し、
前記第1内面支持部、前記第2内面支持部、前記第3内面支持部、及び前記第4内面支持部のそれぞれは、少なくとも2個の突状部材を有し、少なくとも2個の前記突状部材の第1エッジ部は、前記折り曲げ線を越えて隣り合う前記コーナーパネル部に接触しない位置において前記折り曲げ線に沿うことが可能に配置され、
前記第1治具は、前記第2治具が前記第1位置に配置され、前記第3本体パネル部が前記第3内面支持部と前記第1外面支持部とによって挟持された状態において、前記第2本体パネル部、前記第3コーナーパネル部、前記第3本体パネル部、前記第4コーナーパネル部、及び前記第4本体パネル部のそれぞれのパネル部間に形成された前記折り曲げ線を折り曲げることが可能に構成され、
前記第2治具は、前記第2位置に配置された状態において、前記第2本体パネル部及び前記第4本体パネル部のそれぞれの外面に前記第2外面支持部が接触することによって折り曲げられた前記シート材を保持可能に構成されてなる、製函治具。
【請求項2】
前記第1治具は、重ね合わされた前記第1コーナーパネル部と前記第5コーナーパネル部とを内面側において支持可能な第1支持部をさらに有する、請求項1に記載の製函治具。
【請求項3】
前記シート材の前記第1本体パネル部、前記第2本体パネル部、前記第3本体パネル部、及び前記第4本体パネル部のそれぞれは、前記一の方向に直交する方向に連続するフラップ部と、隣り合う前記本体パネル部と前記フラップ部との間に形成されたフラップ用折り曲げ線とを有しており、
前記突状部材の第2エッジ部は、前記フラップ用折り曲げ線を越えて隣り合う前記フラップ部に接触しない位置において前記フラップ用折り曲げ線に沿うことが可能に配置され、
前記第1治具は、前記フラップ用折り曲げ線に沿って折り曲げられた前記フラップ部のそれぞれを内面側において支持可能な第2支持部をさらに有する、請求項1又は請求項2に記載の製函治具。
【請求項4】
前記第1治具は、前記第3内面支持部と前記第1外面支持部とによって挟持される前記第3本体パネル部の前記一の方向に直交する方向の位置を調節可能に規制する規制部材をさらに有する、請求項1又は請求項2に記載の製函治具。
【請求項5】
前記第1治具は、前記第1内面支持部、前記第3内面支持部のそれぞれの少なくとも2個の前記突状部材が離間する長さ、及び/又は、前記第2内面支持部、前記第4内面支持部のそれぞれの少なくとも2個の前記突状部材が離間する長さを調節可能な第1長さ調節機構をさらに有する、請求項1又は請求項2に記載の製函治具。
【請求項6】
前記第1治具は、前記突状部材の外接する間隔を調節可能な第2長さ調節機構をさらに有する、請求項1又は請求項2に記載の製函治具。
【請求項7】
前記第1内面支持部、前記第2内面支持部、前記第3内面支持部、及び前記第4内面支持部の少なくとも1つは、少なくとも2個の前記突状部材に加えて、他の突状部材を有する、請求項1又は請求項2に記載の製函治具。
【請求項8】
請求項1に記載の製函治具を用いて、平坦な前記シート材を前記折り曲げ線に沿って折り曲げることによって前記ケース体を製函する製函方法であって、
前記第2治具を前記第1位置に配置し、前記第3本体パネル部を前記第3内面支持部と前記第1外面支持部とによって挟持し、
前記第3内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材に前記第3本体パネル部の内面を押し当てながら前記第3コーナーパネル部及び前記第4コーナーパネル部のそれぞれを前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第2内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第3コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第2本体パネル部を押し当てながら前記第2本体パネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第4内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第4コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第4本体パネル部を押し当てながら前記第4本体パネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第2治具を前記第2位置に配置し、折り曲げられた前記第2本体パネル部及び前記第4本体パネル部のそれぞれの外面を前記第2外面支持部によって保持し、
その後、前記第2内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第2コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第2本体パネル部を押し当てながら前記第2コーナーパネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第1内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第2コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第1本体パネル部を押し当てながら前記第1本体パネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第1内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第1コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第1本体パネル部を押し当てながら前記第1コーナーパネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
折り曲げた前記第1コーナーパネル部の外面に接着材を配置した後に、前記第4内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第5コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第4本体パネル部を押し当てながら前記第5コーナーパネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、前記第1コーナーパネル部に重ね合わせて貼り合わせる、製函方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製函治具及び製函方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、段ボールなどの紙資源の使用量の削減、製造コストの削減、及びケース体の輸送効率化などの観点から、8角形断面を有するケース体(段ボール箱とも称する)の採用が進んでいる。8角形断面を有する段ボール箱は手作業や一般的な起函機では正しく起函するのは困難である。このため、一般に、生産工場では、専用の製函機が用いられる(特許文献1,特許文献2を参照)。当該製函機は、シート(平板)状の段ボールを受け入れ、マンドレル又は芯金と称される支持体にシート段状の段ボールを巻き付けて、8角形断面を有する段ボール箱を成形する。
【0003】
専用の製函機が使えないにも関わらず、8角形断面を有する段ボール箱を製造する必要が生じることがある。例えば、製品を流通段階や倉庫に保管している場合に、荷崩れ、湿気による膨れや潰れ、雨漏りや洪水などによる水浸し、ケース体内の収容物からの中身の漏れなどに起因して、当該製品の外囲器である段ボール箱に汚損が生じたときである。このようなときには、8角形断面を有する段ボール箱を交換する必要がある。しかし、このような一時的な、または喫緊の場合、専用の製函機を設置し用いることは極めて困難である。
【0004】
一般的な長方形の段ボール箱を手作業によって組み立てる場合と異なり、8角形断面を有する段ボール箱を手作業によって組み立てようとしても、箱にするのに手間及び作業に長時間を要する。また、断面形状が所定の形状から歪んでしまい、使い物にならないという不具合が生じる。
【0005】
なお、特許文献3-5にも8角形断面を有する段ボール箱を成形する技術が開示されている。しかしながら、これらの文献に開示された技術は何れも機械力を必要とするものであり、8角形断面を有する段ボール箱を手作業によって組み立てることについては開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-239442号公報
【特許文献2】特開平11-262961号公報
【特許文献3】特開2010-222024号公報
【特許文献4】特開2010-240980号公報
【特許文献5】特開2010-240981号公報
【特許文献6】特開2010-222020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような実情に鑑み、本発明は、8角形断面を有するケース体を手作業によって容易にかつ精度よく組み立てることが可能な製函治具及び製函方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記(1)~(7)の何れか1つの製函治具、及び下記(8)の製函方法によって達成される。
【0009】
(1)第1コーナーパネル部、第1本体パネル部、第2コーナーパネル部、第2本体パネル部、第3コーナーパネル部、第3本体パネル部、第3コーナーパネル部、第4本体パネル部、及び第5コーナーパネル部が一の方向に沿って連続して配列された平坦なシート材を、隣り合う前記コーナーパネル部と前記本体パネル部との間に形成された折り曲げ線に沿って折り曲げ、前記第1コーナーパネル部と前記第5コーナーパネル部とを重ね合わせて貼り合わせることによって、4個のコーナー面と4個の本体面とを有するケース体を製函するときに使用する製函治具において、
前記シート材が巻き付けられる第1治具と、前記第1治具に対して離間した第1位置と接近した第2位置とに配置可能な第2治具と、を有し、
前記第1治具は、
前記シート材の前記第1本体パネル部、前記第2本体パネル部、前記第3本体パネル部、及び前記第4本体パネル部のそれぞれの内面に接触可能な第1内面支持部、第2内面支持部、第3内面支持部、及び第4内面支持部と、
前記第3本体パネル部の外面に接触可能であり、前記第3内面支持部との間に前記第3本体パネル部を挟持可能な第1外面支持部と、を有し、
前記第2治具は、
前記第2本体パネル部及び前記第4本体パネル部のそれぞれの外面に接触可能な第2外面支持部を有し、
前記第1内面支持部、前記第2内面支持部、前記第3内面支持部、及び前記第4内面支持部のそれぞれは、少なくとも2個の突状部材を有し、少なくとも2個の前記突状部材の第1エッジ部は、前記折り曲げ線を越えて隣り合う前記コーナーパネル部に接触しない位置において前記折り曲げ線に沿うことが可能に配置され、
前記第1治具は、前記第2治具が前記第1位置に配置され、前記第3本体パネル部が前記第3内面支持部と前記第1外面支持部とによって挟持された状態において、前記第2本体パネル部、前記第3コーナーパネル部、前記第3本体パネル部、前記第4コーナーパネル部、及び前記第4本体パネル部のそれぞれのパネル部間に形成された前記折り曲げ線を折り曲げることが可能に構成され、
前記第2治具は、前記第2位置に配置された状態において、前記第2本体パネル部及び前記第4本体パネル部のそれぞれの外面に前記第2外面支持部が接触することによって折り曲げられた前記シート材を保持可能に構成されてなる、製函治具。
【0010】
(2)前記第1治具は、重ね合わされた前記第1コーナーパネル部と前記第5コーナーパネル部とを内面側において支持可能な第1支持部をさらに有する、上記(1)に記載の製函治具。
【0011】
(3)前記シート材の前記第1本体パネル部、前記第2本体パネル部、前記第3本体パネル部、及び前記第4本体パネル部のそれぞれは、前記一の方向に直交する方向に連続するフラップ部と、隣り合う前記本体パネル部と前記フラップ部との間に形成されたフラップ用折り曲げ線とを有しており、
前記突状部材の第2エッジ部は、前記フラップ用折り曲げ線を越えて隣り合う前記フラップ部に接触しない位置において前記フラップ用折り曲げ線に沿うことが可能に配置され、
前記第1治具は、前記フラップ用折り曲げ線に沿って折り曲げられた前記フラップ部のそれぞれを内面側において支持可能な第2支持部をさらに有する、上記(1)又は(2)に記載の製函治具。
【0012】
(4)前記第1治具は、前記第3内面支持部と前記第1外面支持部とによって挟持される前記第3本体パネル部の前記一の方向に直交する方向の位置を調節可能に規制する規制部材をさらに有する、上記(1)~(3)の何れか1つに記載の製函治具。
【0013】
(5)前記第1治具は、前記第1内面支持部、前記第3内面支持部のそれぞれの少なくとも2個の前記突状部材が離間する長さ、及び/又は、前記第2内面支持部、前記第4内面支持部のそれぞれの少なくとも2個の前記突状部材が離間する長さを調節可能な第1長さ調節機構をさらに有する、上記(1)~(4)の何れか1つに記載の製函治具。
【0014】
(6)前記第1治具は、前記突状部材の外接する間隔を調節可能な第2長さ調節機構をさらに有する、上記(1)~(5)の何れか1つに記載の製函治具。
【0015】
(7)前記第1内面支持部、前記第2内面支持部、前記第3内面支持部、及び前記第4内面支持部の少なくとも1つは、少なくとも2個の前記突状部材に加えて、他の突状部材を有する、上記(1)~(6)の何れか1つに記載の製函治具。
【0016】
(8)上記(1)に記載の製函治具を用いて、平坦な前記シート材を前記折り曲げ線に沿って折り曲げることによって前記ケース体を製函する製函方法であって、
前記第2治具を前記第1位置に配置し、前記第3本体パネル部を前記第3内面支持部と前記第1外面支持部とによって挟持し、
前記第3内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材に前記第3本体パネル部の内面を押し当てながら前記第3コーナーパネル部及び前記第4コーナーパネル部のそれぞれを前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第2内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第3コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第2本体パネル部を押し当てながら前記第2本体パネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第4内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第4コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第4本体パネル部を押し当てながら前記第4本体パネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第2治具を前記第2位置に配置し、折り曲げられた前記第2本体パネル部及び前記第4本体パネル部のそれぞれの外面を前記第2外面支持部によって保持し、
その後、前記第2内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第2コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第2本体パネル部を押し当てながら前記第2コーナーパネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第1内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第2コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第1本体パネル部を押し当てながら前記第1本体パネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
前記第1内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第1コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第1本体パネル部を押し当てながら前記第1コーナーパネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、
折り曲げた前記第1コーナーパネル部の外面に接着材を配置した後に、前記第4内面支持部の少なくとも2個の前記突状部材のうち前記第5コーナーパネル部側の前記突状部材に前記第4本体パネル部を押し当てながら前記第5コーナーパネル部を前記折り曲げ線に沿って折り曲げ、前記第1コーナーパネル部に重ね合わせて貼り合わせる、製函方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、8角形断面を有するケース体を手作業によって容易にかつ精度よく組み立てることが可能な製函治具及び製函方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態の製函治具を折り曲げ作業中のシート材と共に示す斜視図である
【
図2】シート材を、内面を表面に向けて示す平面図である。
【
図3】ケース体を、天面部を上方に向けて示す斜視図である。
【
図4】ケース体を、底面部を上方に向けて示す斜視図である。
【
図5】製函治具を、正面側を上方に向けて示す斜視図である。
【
図6】
図5に示される製函治具の第1治具を、正面側を上方に向けて示す斜視図である。
【
図7】
図5に示される製函治具の第2治具を、正面側を上方に向けて示す斜視図である。
【
図8】製函治具を、シート材を折り曲げた状態にて示す正面図である。
【
図9】突状部材の第1エッジ部の説明に使用する模式図である。
【
図10】突状部材の第1エッジ部及び第2エッジ部の説明に使用する模式図である。
【
図11】シート材を第1治具に差し込んだ状態を示す斜視図である。
【
図12】第2治具を第1位置に配置し、シート材を第1治具に差し込んだ状態を模式的に示す正面図である。
【
図13】第3コーナーパネル部及び第4コーナーパネル部を折り曲げた状態を模式的に示す正面図である。
【
図14】第2本体パネル部及び第4本体パネル部を折り曲げた状態を模式的に示す正面図である。
【
図15】第2治具を第2位置に配置し、折り曲げられた第2本体パネル部及び第4本体パネル部を保持した状態を模式的に示す正面図である。
【
図16】第2コーナーパネル部を折り曲げた状態を模式的に示す正面図である。
【
図17】第1本体パネル部を折り曲げた状態を模式的に示す正面図である。
【
図18】第1コーナーパネル部を折り曲げた状態を模式的に示す正面図である。
【
図19】第5コーナーパネル部を折り曲げ、第1コーナーパネル部に重ね合わせて貼り合わせた状態を模式的に示す正面図である。
【
図20】第2治具を第1治具から分離し、ケース体の底面部を構成するフラップ部を折り曲げる前の状態を示す斜視図である。
【
図21】第1下フラップ部及び第3下フラップ部を折り曲げた状態を示す斜視図である。
【
図22】第2下フラップ部及び第4下フラップ部を折り曲げた状態を示す斜視図である。
【
図23】製函したケース体を第1治具から引き抜いた状態を示す斜視図である。
【
図24】
図24(A)、
図24(B)、
図24(C)は、第1治具に巻き付けるシート材の高さ方向の位置を調節可能にした変形例1の説明に使用する図である。
【
図25】2個の突状部材が離間する長さを調節可能にした変形例2の説明に使用する図である。
【
図26】変形例2の第1治具を示す斜視図であり、長側面の長さが長いシート材に対応するときの状態を示す斜視図である。
【
図27】変形例2の第1治具を示す斜視図であり、長側面の長さが短いシート材に対応するときの状態を示す斜視図である。
【
図29】第2治具を第1治具に対してヒンジ部を介して移動可能に接続した変形例5の要部を示す正面図である。
【
図30】
図30(A)、
図30(B)は、第2治具を第1治具に対してスライド式に移動可能に接続した変形例6の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者等により考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0020】
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のし易さの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状等について、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0021】
なお、本明細書において、「第1」、「第2」などの序数詞を付すこともある。しかしながら、これら序数詞に関する特段の説明がない限りは、説明の便宜上、構成要素を識別するために付したものであって、数又は順序を特定するものではない。また、「端部」とは、軸方向の端から一定の範囲を含む領域を意味する。
【0022】
本明細書において、正面視とは、第1治具101の第2支持部142側から製函治具100及び製函治具100における各部材を見ることを意味する(
図1を参照)。
【0023】
[実施形態]
本実施形態に係る製函治具100について、
図1~
図23を参照しながら説明する。製函治具100は、4個のコーナー面と4個の本体面とを有するケース体10(
図3、
図4を参照)を製函するときに使用する。特に、本実施形態に係る製函治具100は、このような8角形断面を有するケース体10を手作業によって容易にかつ精度よく組み立てることができる。ケース体10は、複数のコーナーパネル部及び複数の本体パネル部を有する略平坦なシート材20を、折り曲げ線に沿って折り曲げ、両端に位置するコーナーパネル部同士を重ね合わせて貼り合わせることによって形成される。
図1に示すように、製函治具100は、シート材20が巻き付けられる第1治具101と、第1治具101に対して離間した第1位置P1(
図12をも参照)と接近した第2位置P2(
図15をも参照)とに配置可能な第2治具102と、を有する。
【0024】
<シート材20>
図2に示すように、シート材20は、第1コーナーパネル部31、第1本体パネル部41、第2コーナーパネル部32、第2本体パネル部42、第3コーナーパネル部33、第3本体パネル部43、第4コーナーパネル部34、第4本体パネル部44、及び第5コーナーパネル部35が一の方向(図において右向き矢印A)に沿って連続して配列されている。第1~第5のコーナーパネル部31~35を総称して、単に、「コーナーパネル部30」ともいう。また、第1~第4の本体パネル部41~44を総称して、単に、「本体パネル部40」ともいう。
【0025】
シート材20は、平坦な形状を有する。ただし、シート材20は完全に平坦である必要はなく、略平坦な形状を有していればよい。シート材20は、隣り合うコーナーパネル部30と本体パネル部40との間に折り曲げ線50(後述する折り曲げ線51~58の総称)が形成されている。シート材20を折り曲げ線50に沿って折り曲げ、第1コーナーパネル部31と第5コーナーパネル部35とを重ね合わせて貼り合わせることによって、4個のコーナー面と4個の本体面とを有するケース体10が形成される。シート材20の形成素材は特に限定されないが、例えば、段ボール紙を挙げることができる。
【0026】
説明の便宜上、第1コーナーパネル部31と第1本体パネル部41との間の折り曲げ線を第1折り曲げ線51という。以下同様に、第1本体パネル部41と第2コーナーパネル部32との間の折り曲げ線を第2折り曲げ線52、第2コーナーパネル部32と第2本体パネル部42との間の折り曲げ線を第3折り曲げ線53、第2本体パネル部42と第3コーナーパネル部33との間の折り曲げ線を第4折り曲げ線54、第3コーナーパネル部33と第3本体パネル部43との間の折り曲げ線を第5折り曲げ線55、第3本体パネル部43と第4コーナーパネル部34との間の折り曲げ線を第6折り曲げ線56、第4コーナーパネル部34と第4本体パネル部44との間の折り曲げ線を第7折り曲げ線57、第4本体パネル部44と第5コーナーパネル部35との間の折り曲げ線を第8折り曲げ線58という。
【0027】
シート材20の第1本体パネル部41、第2本体パネル部42、第3本体パネル部43、及び第4本体パネル部44のそれぞれは、一の方向(矢印A)に直交する方向(図において下向き矢印B)に連続するフラップ部60(後述するフラップ部61~64の総称)と、隣り合う本体パネル部とフラップ部60との間に形成されたフラップ用折り曲げ線70(後述するフラップ用折り曲げ線71~74の総称)とを有する。フラップ部60は、折り曲げることによってケース体10の底面部を構成する。
【0028】
同様に、シート材20の第1本体パネル部41、第2本体パネル部42、第3本体パネル部43、及び第4本体パネル部44のそれぞれは、一の方向(矢印A)に直交する方向(図において上向き矢印C)に連続するフラップ部80(後述するフラップ部81~84の総称)と、隣り合う本体パネル部とフラップ部80との間に形成されたフラップ用折り曲げ線90(後述するフラップ用折り曲げ線91~94の総称)とを有する。フラップ部80は、折り曲げることによってケース体10の天面部を構成する。
【0029】
説明の便宜上、ケース体10の底面部を構成するフラップ部60について、矢印Aに沿って順に、第1下フラップ部61、第2下フラップ部62、第3下フラップ部63、第4下フラップ部64という。また、フラップ用折り曲げ線70について、矢印Aに沿って順に、第1下フラップ用折り曲げ線71、第2下フラップ用折り曲げ線72、第3下フラップ用折り曲げ線73、第4下フラップ用折り曲げ線74という。
【0030】
同様に、ケース体10の天面部を構成するフラップ部80について、矢印Aに沿って順に、第1上フラップ部81、第2上フラップ部82、第3上フラップ部83、第4上フラップ部84という。また、フラップ用折り曲げ線90について、矢印Aに沿って順に、第1上フラップ用折り曲げ線91、第2上フラップ用折り曲げ線92、第3上フラップ用折り曲げ線93、第4上フラップ用折り曲げ線94という。
【0031】
図3に示すように、ケース体10の天面部においては、大きい方の第2上フラップ部82及び第4上フラップ部84が折り曲げられ、その後に、小さい方の第1上フラップ部81及び第3上フラップ部83が折り曲げられる。第1上フラップ部81及び第3上フラップ部83は、第2上フラップ部82及び第4上フラップ部84の上に重ね合わせて貼り合わされる。したがって、ケース体10の天面部には、第1上フラップ部81及び第3上フラップ部83によって、凸部が形成されている。
【0032】
図4に示すように、ケース体10の底面部においては、小さい方の第1下フラップ部61及び第3下フラップ部63が折り曲げられ、その後に、大きい方の第2下フラップ部62及び第4下フラップ部64が折り曲げられる。第2下フラップ部62及び第4下フラップ部64は、第1下フラップ部61及び第3下フラップ部63の上に重ね合わせて貼り合わされる。したがって、ケース体10の底面部には、第2下フラップ部62及び第4下フラップ部64によって、切り欠かれた段差部が形成されている。
【0033】
ケース体10を上下に積層した場合には、下段側ケース体10の天面部における凸部(第1上フラップ部81及び第3上フラップ部83)が、上段側ケース体10の底面部における段差部に嵌り合う。このため、それぞれのケース体10が正しい8角形断面に製函できていない場合には、ケース体10を上下に積層したときに凸部と段差部とを嵌め合うことができない。さらに、部分的にシート材20の1枚分の厚さが余計に挟まることになるため、ガタが生じ、積載が不安定になる。しかも、角部の位置がズレるため、圧縮強度が下がってケース体10の素材が潰れる恐れも生じる。したがって、8角形断面を有するケース体10は、一般的な長方形の段ボール箱に比較して、高精度な精度で製函することが求められる。
【0034】
<第1治具101>
図1、
図5、
図6、
図8に示すように、第1治具101は、本体部110と、本体部110の外面に配置される第1内面支持部121、第2内面支持部122、第3内面支持部123、及び第4内面支持部124と、第1外面支持部131とを有する。第1~第4の内面支持部121~124を総称して、単に、「内面支持部120」ともいう。
【0035】
本体部110の輪郭は、ケース体10の8角形断面に相似した形状を有する。
【0036】
第1内面支持部121、第2内面支持部122、第3内面支持部123、及び第4内面支持部124は、シート材20の第1本体パネル部41、第2本体パネル部42、第3本体パネル部43、及び第4本体パネル部44のそれぞれの内面に接触可能に構成されている。
【0037】
第1内面支持部121、第2内面支持部122、第3内面支持部123、及び第4内面支持部124のそれぞれは、少なくとも2個の突状部材125を有する。少なくとも2個の突状部材125の第1エッジ部125aは、折り曲げ線50を越えて隣り合うコーナーパネル部30に接触しない位置において折り曲げ線50に沿うことが可能に配置されている。突状部材125の第2エッジ部125bは、フラップ用折り曲げ線70を越えて隣り合うフラップ部60に接触しない位置においてフラップ用折り曲げ線70に沿うことが可能に配置されている。
【0038】
図9、
図10に示すように、突状部材125の第1エッジ部125aは、折り曲げ線50に平行に伸びる2つのエッジ部のうち折り曲げ線50に近接する側のエッジ部である。例えば、第3内面支持部123の2個の突状部材125を例に挙げて説明すると、
図8において左側の突状部材125は、第5折り曲げ線55に近接する左側のエッジ部が第1エッジ部125aであり、右側の突状部材125は、第6折り曲げ線56に近接する右側のエッジ部が第1エッジ部125aである。
【0039】
図10に示すように、突状部材125の第2エッジ部125bは、フラップ用折り曲げ線70に平行に伸びるエッジ部である。
【0040】
図9、
図10に示すように、突状部材125の第1エッジ部125aと折り曲げ線50との間の離間距離d1は、特に限定されないが、0~20mm、好ましくは2~10mmである。離間距離d1が0未満になると、突状部材125の第1エッジ部125aは、折り曲げ線50を越えて隣り合うコーナーパネル部30に接触するため、折り曲げ線50に沿った折り曲げが阻害される。シート材20の図面寸法と製造寸法との間にズレが生じ得ることを考慮すると、離間距離d1は、2mm以上であることが好ましい。その一方、折り曲げ線50から大きく離れると、第1エッジ部125aと折り曲げ線50との間の領域のうち、折り曲げ線50以外の部位で折れが生じることがある。したがって、離間距離d1は、0~20mmとするのがよい。好ましくは、離間距離d1は、2~10mmである。
【0041】
図10に示すように、突状部材125の第2エッジ部125bとフラップ用折り曲げ線70との間の離間距離d2は、特に限定されないが、離間距離d1と同様に、0~20mm、好ましくは2~10mmである。
【0042】
図9に示すように、突状部材125の幅Wは、特に限定されないが、2~30mm、好ましくは3~15mmである。幅wは、小さい方が第1治具101を軽量にでき、手作業するときの作業性が良くなる。その一方、過度に細くすると突状部材125が折れ曲がったり、シート材20に刺さったりするといった不具合が生じる。したがって、幅Wは、2~30mmとするのがよい。好ましくは、幅Wは、3~15mmである。
【0043】
内面支持部120は、1枚のプレート状部材から構成することもできるが、シート材20の折り曲げに寄与する部位はプレート状部材の両端部である。また、プレート状部材の場合にはシート材20との接触面積が増えるため、製函後に第1治具101を引き抜き難くなる。このため、
図1、
図5、
図6、
図8に示すように、本実施形態では、第1治具101の軽量化及び第1治具101の引き抜きやすさ向上を図るために、上記したように内面支持部120を少なくとも2個の突状部材125から構成している。突状部材125が伸びている方向つまりシート材20と接触する方向を第1治具101の引き抜き方向に合わせているため、この点からも、第1治具101の引き抜きやすさ向上を図ることができる。
【0044】
第1外面支持部131は、第3本体パネル部43の外面に接触可能である。第1外面支持部131は、第3内面支持部123との間に第3本体パネル部43を挟持可能に構成されている。第1外面支持部131は、第3内面支持部123に向かい合う位置に配置されている。第1外面支持部131は、1枚のプレート状部材から構成することもできるが、第3内面支持部123との間に第3本体パネル部43を挟持できればよい。上記したように、本実施形態では、第1治具101の軽量化を図るために、第3内面支持部123を少なくとも2個の突状部材125から構成した。第1治具101の軽量化を図る観点から、第1外面支持部131は、第3内面支持部123の少なくとも2個の突状部材125のそれぞれに向かい合う位置に配置されている。第1外面支持部131は、突状部材125の断面形状とほぼ同じ断面形状を有する。
【0045】
図6に示すように、本実施形態においては、本体部110の側方プレート111は、前面から背面側に向けて長孔112が形成されている。第3内面支持部123は長孔112の上側部位から構成され、第1外面支持部131は長孔112の下側部位から構成されている。長孔112の前面開口は、シート材20を差し込む差込口113を形成する。長孔112は、差込口113が若干広くなるようにテーパ部が形成されている。テーパ部にシート材20を沿わせることによって、シート材20を差込口113に容易に差し込むことができる。長孔112の底面は、シート材20を突き当てるストッパ114を形成する。長孔112のストッパ114に第3上フラップ部83を突き当て、さらにシート材20の位置を左右に調節する。これによって、シート材20の第5折り曲げ線55は、
図8において左側の突状部材125の第1エッジ部125aに対して平行に配置され、シート材20の第6折り曲げ線56は、右側の突状部材125の第1エッジ部125aに対して平行に配置される。
【0046】
第3内面支持部123と第1外面支持部131との間の間隔t(
図6を参照)は、特に限定されないが、シート材20の厚み+1~5mm、好ましくはシート材20の厚み+1~3mmである。間隔tが小さいと、シート材20を挟持するときに凹みや擦過痕が生じる。その一方、間隔tが広すぎると、シート材20のがたつきが生じ、作業性が悪くなってしまう。間隔tが著しく広いと、正しく製函できなくなる。したがって、間隔tは、シート材20の厚み+1~5mmとするのがよい。好ましくは、間隔tは、シート材20の厚み+1~3mmである。
【0047】
図11、
図12,
図13に示すように、第1治具101は、第2治具102が第1位置P1に配置され、第3本体パネル部43が第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって挟持された状態において、第2本体パネル部42、第3コーナーパネル部33、第3本体パネル部43、第4コーナーパネル部34、及び第4本体パネル部44のそれぞれのパネル部間に形成された折り曲げ線50を折り曲げることが可能に構成されている。
【0048】
図1、
図18,
図19に示すように、第1治具101は、重ね合わされた第1コーナーパネル部31と第5コーナーパネル部35とを内面側において支持可能な第1支持部141をさらに有する。製函時には、第1コーナーパネル部31は、折り曲げられ、第1支持部141の上に重ねられる。接着剤150は、折り曲げられた第1コーナーパネル部31の外面に配置される(
図18を参照)。折り曲げた第5コーナーパネル部35は、第1コーナーパネル部31に重ね合わされる。第1支持部141に向けて第5コーナーパネル部35を押し付けることによって、第1コーナーパネル部31と第5コーナーパネル部35とは、接着剤150によって貼り合わされる(
図19を参照)。
【0049】
使用する接着剤150の種類や材質は、特に限定されないが、汎用されているホットメルトを例示できる。ホットメルトは、メルトガンから押し出されて、第1コーナーパネル部31の上に塗布又は乗せるようにして配置される。接着剤150を配置する具体的な態様は、適用する接着剤150の種類や材質に応じて適宜選択できる。液体や霧状、気体状の接着剤150を塗布又は噴霧することによって配置してもよいし、テープ状の接着剤150を貼り付けることによって配置してもよい。
【0050】
図1、
図5,
図6、
図8に示すように、第1治具101は、フラップ用折り曲げ線70に沿って折り曲げられたフラップ部60のそれぞれを内面側において支持可能な第2支持部142をさらに有する。
【0051】
第1治具101の形成材料は、特に限定されないが、例えば、木材、合板、中質繊維板(MDF)、樹脂、及び金属から選択される材料である。第1治具101のハンドリングを容易にし、製函作業の作業性を向上させるために、強度を確保しつつ軽量化を図ることができる材料を選択することが好ましい。複数の形成材料を組み合わせることができる。金属材料の場合、中空形状を有する部材を使用することが望ましい。
【0052】
さらに、第1治具101は、さらなる軽量化を図るために、強度を確保し得る限度において、形成材料の使用量を減じる肉盗み部を形成することが好ましい。肉盗み部は、窪みや貫通孔などである。
【0053】
<第2治具102>
図1、
図5,
図7、
図8に示すように、第2治具102は、支持部160と、支持部160に配置される第2外面支持部172とを有する。
【0054】
支持部160は、前後方向に離間して配置される支持プレート161を有する(
図5、
図7を参照)。支持プレート161は、床面などに配置可能な基部161aと、基部161aの左右両側から上方に立ち上がる左右一対の縦壁部161bとを有する。第2外面支持部172は、縦壁部161bから構成される。
図8に示すように、正面から見て、支持部160の内側の輪郭は、ケース体10の8角形断面の約半分に相似した形状を有する。前後一対の支持プレート161によって形成される内側の空間に、第1治具101を保持することができる。
【0055】
第2外面支持部172は、折り曲げられた第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44のそれぞれの外面に接触可能である。
【0056】
第2外面支持部172は、第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44の側面長(
図8において上下方向の長さ)を被覆する長さLは、特に限定されないが、側面長の1/5から2/3、好ましくは1/3~1/2である。長さLが短すぎると、被覆範囲が狭いため、シート材20を十分に支持できない。その一方、長さLが長すぎると、被覆範囲が広すぎるため、第1治具101やシート材20を把持するときの邪魔になる等の作業性の悪化を招いてしまう。したがって、長さLは、側面長の1/5から2/3とするのがよい。好ましくは、長さLは、側面長の1/3~1/2である。
【0057】
図1、
図8に示すように、第2治具102は、第2位置P2に配置された状態において、第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44のそれぞれの外面に第2外面支持部172が接触することによって、折り曲げられたシート材20を保持可能に構成されている。
【0058】
本実施形態においては、第2治具102は、第1位置P1と第2位置P2とに配置可能に、第1治具101に対して分離して設けられている。
【0059】
第2治具102の形成材料は、特に限定されないが、第1治具101の形成材料と同様に、例えば、木材、合板、中質繊維板(MDF)、樹脂、及び金属から選択される材料である。第2治具102のハンドリングを容易にし、製函作業の作業性を向上させるために、強度を確保しつつ軽量化を図ることができる材料を選択することが好ましい。複数の形成材料を組み合わせることができる。金属材料の場合、中空形状を有する部材を使用することが望ましい。
【0060】
さらに、第2治具102は、さらなる軽量化を図るために、強度を確保し得る限度において、形成材料の使用量を減じる肉盗み部を形成することが好ましい。肉盗み部は、窪みや貫通孔などである。
【0061】
本実施形態においては、第2治具102は、第1治具101に対して離間した第1位置P1と、第1治具101に対して接近した第2位置P2とに配置可能に、第1治具101に対して分離して設けられている。第2治具102を第2位置P2に配置する形態として、ケース体10の高さ方向(第1治具101の正面及び背面に直行する方向)から配置する形態と、ケース体10の高さ方向に交差する周方向から配置する形態とがある。何れの方向から配置する形態をも採用できる。ただし、第2治具102の第2外面支持部172によって支持する必要がある部位は、ケース体10のうち胴部のみであり。天地のフラップ部60、80を支持する必要はない。これより、第2治具102は、ケース体10の高さ方向に交差する周方向(
図5の矢印Aを参照)から、第1治具101に対して装着する形態が好ましい。この場合、第2治具102は、第1外面支持部131のある側から第1治具101に対して装着される。第2治具102は、第1外面支持部131との干渉を避けるため、切り欠き162を有することが望ましい。
【0062】
<製函方法>
次に、製函治具100を用いて、平坦なシート材20を折り曲げ線50に沿って折り曲げることによってケース体10を製函する製函方法を説明する。
【0063】
まず、
図11、
図12に示すように、第2治具102を第1位置P1に配置し、第3本体パネル部43を第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって挟持する。
【0064】
図13に示すように、第2本体パネル42又は第3コーナーパネル部33を第2内面支持部122に向けて押し、第4本体パネル44又は第4コーナーパネル部34を第4内面支持部124に向けて押す。第3内面支持部123の突状部材125に第3本体パネル部43の内面を押し当てながら第3コーナーパネル部33及び第4コーナーパネル部34のそれぞれを第5折り曲げ線55及び第6折り曲げ線56に沿って折り曲げる。第3本体パネル部43は、第3内面支持部123の突状部材125と、第1外面支持部131とによって挟持されている。第5折り曲げ線55及び第6折り曲げ線56を折るとき、第3本体パネル部43には、第3内面支持部123に向かって押し当てる力と、第1外面支持部131に向かって押し当てる力とが生じる。このため、作業者は、第1治具101を動かないように保持することなく、第5折り曲げ線55及び第6折り曲げ線56を2本の腕のみで折ることができる。この点において、作業者は、製函治具100を使用することによって一人で製函作業を実施できる。
【0065】
第3コーナーパネル部33を第5折り曲げ線55に沿って折り曲げた後に、第4コーナーパネル部34を第6折り曲げ線56に沿って折り曲げることができる。これとは逆に、第4コーナーパネル部34を第6折り曲げ線56に沿って折り曲げた後に、第3コーナーパネル部33を第5折り曲げ線55に沿って折り曲げることができる。さらに、第5折り曲げ線55に沿う第3コーナーパネル部33の折り曲げと、第6折り曲げ線56に沿う第4コーナーパネル部34の折り曲げとを同時に行うことができる。この場合、第3本体パネル部43を挟持した状態で第2本体パネル42又は第3コーナーパネル部33及び第4本体パネル44又は第4コーナーパネル部34のそれぞれを同時に第2内面支持部122及び第4内面支持部124に向けて押す。これによって、第3コーナーパネル部33及び第4コーナーパネル部34のそれぞれを第5折り曲げ線55及び第6折り曲げ線56に沿って折り曲げる。
【0066】
図14に示すように、第2内面支持部122の突状部材125のうち第3コーナーパネル部33側の突状部材125に第2本体パネル部42を押し当てながら第2本体パネル部42を第4折り曲げ線54に沿って折り曲げる。
【0067】
第4内面支持部124の突状部材125のうち第4コーナーパネル部34側の突状部材125に第4本体パネル部44を押し当てながら第4本体パネル部44を第7折り曲げ線57に沿って折り曲げる。
【0068】
第2本体パネル部42を第4折り曲げ線54に沿って折り曲げた後に。第4本体パネル部44を第7折り曲げ線57に沿って折り曲げたが、これとは逆に、第4本体パネル部44を第7折り曲げ線57に沿って折り曲げた後に、第2本体パネル部42を第4折り曲げ線54に沿って折り曲げることができる。さらに、第4折り曲げ線54に沿う第2本体パネル部42の折り曲げと、第7折り曲げ線57に沿う第4本体パネル部44の折り曲げとを同時に行うことができる。この場合、第2内面支持部122の第3コーナーパネル部33側の突状部材125に第2本体パネル部42が接触し、第4内面支持部124の第4コーナーパネル部34側の突状部材125に第4本体パネル部44が接触した後も、さらに第2本体パネル42を第2内面支持部122に向けて押し、これと同時に、第4本体パネル44を第4内面支持部124に向けて押す。これによって、第4折り曲げ線54に沿う第2本体パネル部42の折り曲げと、第7折り曲げ線57に沿う第4本体パネル部44の折り曲げとを同時に行うことができる。
【0069】
次に、
図15に示すように、第2治具102を第2位置P2に配置し、折り曲げられた第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44のそれぞれの外面を第2治具102の第2外面支持部172によって保持する。
【0070】
その後、
図16に示すように、第2内面支持部122の突状部材125のうち第2コーナーパネル部32側の突状部材125に第2本体パネル部42を押し当てながら第2コーナーパネル部32を第3折り曲げ線53に沿って折り曲げる。
【0071】
図17に示すように、第1内面支持部121の突状部材125のうち第2コーナーパネル部32側の突状部材125に第1本体パネル部41を押し当てながら第1本体パネル部41を第2折り曲げ線52に沿って折り曲げる。
【0072】
図18に示すように、第1内面支持部121の突状部材125のうち第1コーナーパネル部31側の突状部材125に第1本体パネル部41を押し当てながら第1コーナーパネル部31を第1折り曲げ線51に沿って折り曲げる。
【0073】
図18、
図19に示すように、折り曲げた第1コーナーパネル部31の外面に接着剤150を配置した後に、第4内面支持部124の突状部材125のうち第5コーナーパネル部35側の突状部材125に第4本体パネル部44を押し当てながら第5コーナーパネル部35を第8折り曲げ線58に沿って折り曲げ、第1コーナーパネル部31に重ね合わせて貼り合わせる。
【0074】
その後、
図20に示すように、第2治具102を第1治具101から分離する。シート材20が巻き付けられた第1治具101を、第2支持部142が上方を向くように倒す。ケース体10の底面部を構成するフラップ部60は上方に向けて伸びている状態となる。
【0075】
図21に示すように、第1本体パネル部41に連続する第1下フラップ部61を第1下フラップ用折り曲げ線71に沿って折り曲げる。第3本体パネル部43に連続する第3下フラップ部63を第3下フラップ用折り曲げ線73に沿って折り曲げる。折り曲げた第1下フラップ部61及び第3下フラップ部63の外面に接着剤150を配置する。
【0076】
その後、
図22に示すように、第2本体パネル部42に連続する第2下フラップ部62を第2下フラップ用折り曲げ線72に沿って折り曲げる。第4本体パネル部44に連続する第4下フラップ部64を第4下フラップ用折り曲げ線74に沿って折り曲げる。第2、第4の下フラップ部62、64を第1、第3の下フラップ部61、63に重ね合わせて貼り合わせる。
【0077】
そして、
図23に示すように、ケース体10を第1治具101から上方に引き抜くことによって、8角形断面を有するケース体10の製函が終了する。
【0078】
その後、ケース体10に物品等を収納し、天面側のフラップ部80を閉じる。第2上フラップ部82を第2上フラップ用折り曲げ線92に沿って折り曲げ、第4上フラップ部84を第4上フラップ用折り曲げ線84に沿って折り曲げる。折り曲げた第2上フラップ部82及び第4上フラップ部84の外面に接着剤150を配置する。その後、第1上フラップ部81を第1上フラップ用折り曲げ線91に沿って折り曲げ、第3上フラップ部83を第3上フラップ用折り曲げ線93に沿って折り曲げる。第1、第3の上フラップ部81、83を第2、第4上フラップ部82、84に重ね合わせて貼り合わせる。これによって梱包が完了する。
【0079】
<作用・効果>
上記の製函治具100及び製函方法の作用、効果について説明する。
【0080】
製函治具100は、シート材20が巻き付けられる第1治具101と、第1治具101に対して離間した第1位置P1と接近した第2位置P2とに配置可能な第2治具102と、を有する。第1治具101の第1内面支持部121、第2内面支持部122、第3内面支持部123、及び第4内面支持部124のそれぞれは、少なくとも2個の突状部材125を有する。少なくとも2個の突状部材125の第1エッジ部125aは、折り曲げ線50を越えて隣り合うコーナーパネル部30に接触しない位置において折り曲げ線50に沿うことが可能に配置されている。第1治具101は、第2治具102が第1位置P1に配置され、第3本体パネル部43が第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって挟持された状態において、第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44のそれぞれを折り曲げることが可能に構成されている。第2治具102は、第2位置P2に配置された状態において、第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44のそれぞれの外面に第2外面支持部172が接触することによって折り曲げられたシート材20を保持可能に構成されている。
【0081】
このように構成することによって、シート材20の折り曲げは、第1治具101の第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって第3本体パネル部43を挟持した状態から開始できる。予備折りしていないシート材20であっても折り曲げ作業によりシート材20と第1治具101との位置関係がずれることなく、内面支持部120の突状部材125によって折り曲げ線50に沿って正しく折り曲げることができる。第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44の折り曲げられた状態は、第2治具102の第2外面支持部172によって保持することができる。このため、シート材20を、予備折りすることなく第1治具101に精度よく(正しい形状に)巻き付けることができる。シート材20にズレが生じることもない。第1コーナーパネル部31と第5コーナーパネル部35とを重ね合わせて貼り合わせる周貼りを行うときに、作業員がシート材20から片手を放しても、シート材20が大きく開くことがない。このため、折り曲げたシート材20を押さえておく補助作業員を必要とせず、周貼りを簡単に行うことができ、一人で製函作業を実施できる。さらに、第1治具101にシート材20が過剰な力できつく巻き付くことがないこと、及びシート材20と接するのは突出部材125のみとなるため(接触面積が小さくなるため)、製函後にケース体10から第1治具101を簡単に抜き取って分離することができる。また、製函治具100は小型で軽量化を図ることができるため、作業員は容易に操作でき、大きな操作力を必要としない。したがって、本実施形態の製函治具100によれば、第1に、一人で製函作業を実施できる、第2に、予備折りが不要である、第3に、製函後にケース体10から製函治具100を容易に分離できる、という効果を奏する。これにより、8角形断面を有するケース体10を手作業によって容易にかつ精度よく組み立てることが可能な製函治具100を提供できる。
【0082】
また、第1治具101は、重ね合わされた第1コーナーパネル部31と第5コーナーパネル部35とを内面側において支持可能な第1支持部141をさらに有する。このように構成すれば、第1支持部141によって、第1コーナーパネル部31と第5コーナーパネル部35との周貼りを容易に行うことができる。
【0083】
また、第1治具101は、フラップ用折り曲げ線70に沿って折り曲げられたフラップ部60のそれぞれを内面側において支持可能な第2支持部142をさらに有する。このように構成すれば、第2支持部142によって、フラップ部60を重ね合わせて貼り合わせる作業を容易に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態の製函方法によれば、第1に、一人で製函作業を実施できる、第2に、予備折りが不要である、第3に、製函後にケース体10から製函治具100を容易に分離できる、という効果を奏する。これにより、8角形断面を有するケース体10を手作業によって容易にかつ精度よく組み立てることが可能な製函方法を提供できる。
【0085】
[変形例1]
図24(A)、
図24(B)、
図24(C)は、第1治具101に巻き付けるシート材20の高さ方向の位置を調節可能した変形例1の説明に使用する図である。
【0086】
8角形断面を有するいくつかのケース体10は、8角形の断面形状が同じで、内容物の高さに合わせてケース体10の高さのみが異なるものがある。8角形の断面形状が同じ場合、シート材20は、天地のフラップ部60、80の寸法形状は同一で、胴部の高さのみが異なる。周方向の条件が同一であっても、第1治具101へのシート材20の差し込み深さは、シート材20の高さに合わせて調節する必要がある。
【0087】
そこで、第1治具101は、第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって挟持される第3本体パネル部43の一の方向に直交する方向(高さ方向)の位置を調節可能に規制する規制部材200をさらに有することができる。
【0088】
図24(A)に示すように、第1治具101は、本体部110の側方プレート111に長孔112が形成されている。長孔112の底面は、シート材20を突き当てるストッパ114を形成する。長孔112のストッパ114は、第3上フラップ部83の端部が突き当てられる。
【0089】
8角形の断面形状が同じで、高さが低いシート材20を折り曲げる場合、第3上フラップ部83の端部がストッパ114に突き当たるまでシート材20を長孔112に差し込んでしまうと、内面支持部120がフラップ部60に重なるため折り曲げ作業を行うことができない。シート材20を長孔112に差し込む深さを調節し、内面支持部120がフラップ部60に重ならないようにすれば折り曲げ作業を行うことはできる。しかしながら、シート材20を差し込む深さを調節したり、折り曲げ線50を突状部材125の第1エッジ部125aに対して平行となるように位置を調節したりする作業が煩雑である。このため、折り曲げ作業の作業性が非常に悪くなる。
【0090】
図24(B)に示すように、規制部材200は、側方プレート111の長孔112に嵌め込み可能な駒201から構成されている。駒201は、長孔112の所望の位置に嵌め込むことが可能であり、長孔112から取り外すことも可能である。駒201の端面は、シート材20を突き当てるストッパ202を形成する。
【0091】
図24(C)に示すように、シート材20の高さに合わせて、駒201を長孔112に嵌め込む。そして、第3上フラップ部83の端部が駒201のストッパ202に突き当たるまでシート材20を長孔112に差し込む。このように、駒201によって、第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって挟持される第3本体パネル部43の高さ方向の位置を調節可能に規制できる。したがって、高さが低いシート材20であっても、折り曲げ作業を容易に行うことができる。
【0092】
このように、周形状は同一で高さのみが異なるシート材20であっても、規制部材200を準備するだけで、同じ製函治具100を使用して、折り曲げ作業を行うことができる。このため、ケース体10の高さ違いに容易に対応できる。また、複数種類の製函治具100を準備する必要がないため、保管スペースも少なくて済む。
【0093】
規制部材200は、駒201に限られるものではなく、第3内面支持部123と第1外面支持部131とによって挟持される第3本体パネル部43の高さ方向の位置を調節可能に規制できる限りにおいて適宜改変できる。規制部材200は、シート材20の差し込み深さを制約する突起部を備え、伸縮、移設又は追加可能な構成とすることによって、ケース体10の高さ違いに対応可能なものであればよい。
【0094】
[変形例2]
図25は、内面支持部120における2個の突状部材が離間する長さを調節可能にした変形例2の説明に使用する図である。
図26、
図27は、変形例2の第1治具101Aを示す斜視図である。
図26は、長側面の長さが長いシート材20に対応するときの状態を示し、
図27は、長側面の長さが短いシート材20に対応するときの状態を示している。
【0095】
8角形断面を有するいくつかのケース体10は、長側面(第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44)の長さが異なるもの、短側面(第1本体パネル部41及び第3本体パネル部43)の長さが異なるもの、長側面及び短側面の長さが異なるものがある。長側面及び/又は短側面の長さが異なる場合、周方向の条件が異なるため、少なくとも2対4個の突状部材125が離間する長さを調節する必要がある。
【0096】
そこで、第1治具101Aは、第1内面支持部121、第3内面支持部123のそれぞれの少なくとも2個の突状部材125が離間する長さa(
図25を参照)、及び/又は、第2内面支持部122、第4内面支持部124のそれぞれの少なくとも2個の突状部材125が離間する長さb(
図25を参照)を調節可能な第1長さ調節機構210をさらに有することができる。
【0097】
図26、
図27は、長側面(第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44)の長さが異なる8角形断面を有するシート材20に対応する第1治具101Aを示している。第1治具101Aは、第1外面支持部131を含む下側ユニット211と、第1支持部141を含む上側ユニット212とを有する。第2内面支持部122における2個の突状部材125は、一方(正面視において下側の突状部材125)が下側ユニット211に含まれ、他方(正面視において上側の突状部材125)が上側ユニット212に含まれる。また、第4内面支持部124における2個の突状部材125は、一方(正面視において下側の突状部材125)が下側ユニット211に含まれ、他方(正面視において上側の突状部材125)が上側ユニット212に含まれる。
【0098】
下側ユニット211と上側ユニット212とは、第1長さ調節機構210を介して、相対的に接近離反移動可能に接続されている。第1長さ調節機構210は、ケース体10の高さ方向に2対、ケース体10の天底面と平行に2対設けられている。それぞれの第1長さ調節機構210は、下側ユニット211に設けられた摺動子213と、上側ユニット212に設けられ摺動子213を挟み込む固定子214とを有する。摺動子213は、長孔215が形成されている。固定子214は、2つの丸穴216が形成され、各丸穴216にネジ(不図示)が挿通されている。ネジを緩めた状態では、固定子214に対して摺動子213をずらすことができる。ネジを締めることによって、摺動子213と固定子214との位置関係が固定される。これによって、第2内面支持部122、第4内面支持部124のそれぞれの少なくとも2個の突状部材125が離間する長さb(
図25を参照)が調節される。摺動子213に長孔215を設けることによって、2個の突状部材125が離間する長さを任意の長さに調節可能となる。
【0099】
変形例2の第1長さ調節機構210は、第2内面支持部122、第4内面支持部124のそれぞれの2個の突状部材125が離間する長さb(
図25を参照)のみを調節可能としているが、同様の機構を短側面側にもさらに設けて、第1内面支持部121、第3内面支持部123のそれぞれの2個の突状部材125が離間する長さa(
図25を参照)をさらに調節可能とすることができる。あるいは、第1長さ調節機構210は、短側面側のみに設けて、第1内面支持部121、第3内面支持部123のそれぞれの2個の突状部材125が離間する長さa(
図25を参照)のみを調節可能とすることができる。
【0100】
このように第1長さ調節機構210を設けることによって、ケース体10の長さ(L)寸法及び/又は幅(W)寸法が異なるケース体10を、低コストかつ容易に製函できる。また、複数種類の製函治具100を準備する必要がないため、保管スペースも少なくて済む。
【0101】
第1長さ調節機構210は、上記の構成に限定されるものではなく、2個の突状部材125が離間する長さを調節できる限りにおいて適宜改変できる。例えば、特定の寸法のみに対応する場合には、長孔215に代えて、摺動子213に対応する複数の穴を設けることができる。特定の長さ群に対応することによって、微妙な寸法のズレが生じる不具合を防止できる。また、第1長さ調節機構210は、複数のノッチと、ノッチに嵌り合う爪部とを有することによって、2個の突状部材125が離間する長さを調節できる。さらに、第1長さ調節機構210は、ネジとナットとの組み合わせ、ネジとスプリングとの組み合わせによって、2個の突状部材125が離間する長さを調節できる。
【0102】
[変形例3]
第1治具101は、突状部材125の外接する間隔を調節可能な第2長さ調節機構をさらに有することができる。「突状部材125の外接する間隔」とは、
図11において符号hによって示されるように、ケース体10の高さ方向に沿う突状部材125の長さと定義される。
【0103】
第2長さ調節機構は、上記の第1長さ調節機構210と同様な構成を有する。第2長さ調節機構を設けることによって、突状部材125の外接する間隔を調節できる。
【0104】
[変形例4]
図28は、内面支持部120が2個の突状部材125に加えて、他の突状部材220を有する変形例4の第1治具101Bを示す模式図である。
【0105】
第2治具102を第1治具101に対して接近した第2位置P2に配置するときなどにおいて、シート材20が巻き付けられた第1治具101を持ち上げることがある。このようなときに、内面支持部120の2個の突状部材125から離れた部位においてシート材20を強く押すと、シート材20が折り曲げ線50以外の部位において折れ曲がってしまうことがある。このため、製函できなくなったり、外観が不良になったり、内容物に損傷を与えたりするなどの不具合を引き起こすことが懸念される。
【0106】
そこで、第1治具101Bの第1内面支持部121、第2内面支持部122、第3内面支持部123、及び第4内面支持部124の少なくとも1つは、少なくとも2個の突状部材125に加えて、他の突状部材220を有することができる。
【0107】
図28に示す変形例4では、長側面(第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44)を支持する第2内面支持部122及び第4内面支持部124は、2個の突状部材125に加えて、他の突状部材220を有する。隣り合う突状部材125、220の間隔は、50~100mm程度にするのが望ましい。
【0108】
このように、他の突状部材220を追加することによって、シート材20が巻き付けられた第1治具101Bを持ち上げるときに、内面支持部120から外れた部位に力をかけすぎて、シート材20が折れてしまう不良の発生を防ぐことができる。さらに、作業者が安心して把持できる範囲を広くできるため、作業性の改善を図ることができる。
【0109】
追加する他の突状部材220は1個に限られない。2個以上の他の突状部材220を追加できる。
【0110】
[変形例5、6]
図29は、第2治具102を第1治具101に対してヒンジ部230を介して移動可能に接続した変形例5の要部を示す正面図であり、第2内面支持部122に向かい合う第2外面支持部172のみを示している。
図30(A)、
図30(B)は、第2治具102を第1治具101に対してスライド式に移動可能に接続した変形例6の要部を示す正面図であり、第2内面支持部122に向かい合う第2外面支持部172のみを示している。
【0111】
第2治具102が第1治具101に対して分離して設けられている実施形態について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。
【0112】
図29に示すように、第2治具102は、第1治具101に対して離間した第1位置P1と、第1治具101に対して接近した第2位置P2とに配置可能に、第1治具101に対して移動可能に接続して設けることができる。第2治具102の第2外面支持部172は、第1治具101の第1外面支持部131に対して、ヒンジ部230を介して接続されている。第2外面支持部172は、第1位置P1と第2位置P2との間で回動自在である。第2外面支持部172は、第1位置P1において、第2内面支持部122に対して少なくとも略直交するように開いた状態となる。この状態において、シート材20が差し込まれる。第2外面支持部172は、第2位置P2において、第2内面支持部122と略平行に保持される閉じた状態となる。この状態で、第1治具101に巻き付けた第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44が保持される。第2外面支持部172は、磁石の吸引力や引っ掛け部材などによって、第1位置P1への配置状態又は第2位置P2への配置状態が維持される。
【0113】
なお、第2外面支持部172は、第1位置P1において、第2内面支持部122に対して略直交以上に開くことも可能である。ただし、シート材20の差し込みやすさが向上するわけではなく、シート材20を第1治具101に巻き付ける工程では作業の邪魔になる可能性が高くなる。したがって、第2外面支持部172は、第1位置P1において、第2内面支持部122に対して少なくとも略直交するように開いていれば足りる。
【0114】
図30(A)、
図30(B)に示すように、第2治具102は、第1治具101に対して離間した第1位置P1と、第1治具101に対して接近した第2位置P2とに配置可能に、第1治具101に対して移動可能に接続して設けることができる。第2治具102の第2外面支持部172は、第1治具101の第1外面支持部131に対して、スライド式に接続されている。第1外面支持部131は、第2外面支持部172をスライド移動自在に支持する支持プレート240が接続されている。第2外面支持部172は、第1位置P1と第2位置P2との間でスライド移動自在である。
図30(A)に示すように、第2外面支持部172は、第1位置P1において、第2内面支持部122から退避した状態となる。この状態において、シート材20が差込口113に差し込まれる。
図30(B)に示すように、第2外面支持部172は、第2位置P2において、第2内面支持部122と略平行に保持される状態となる。この状態で、第1治具101に巻き付けた第2本体パネル部42及び第4本体パネル部44が保持される。第2外面支持部172は、磁石の吸引力や引っ掛け部材などによって、第1位置P1への配置状態又は第2位置P2への配置状態が維持される。
【0115】
[その他の変形例]
以上、実施形態及び変形例を通じて本発明を説明したが、本発明は説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0116】
例えば、実施形態においては、シート材20を天面部用のフラップ部80を先端にして差込口113に差し込み、底面部用のフラップ部60を第2支持部142によって支えながら折り曲げる形態を示した。天面部用のフラップ部80を第1治具101にて折り曲げることも可能である。この場合には、シート材20を底面部用のフラップ部60を先端にして差込口113に差し込み、天面部用のフラップ部80を第2支持部142によって支えながら折り曲げることができる。
【0117】
明細書内において説明した各部の構造や部材の配置等は適宜変更することができ、また図示により説明した付加的な部材の使用の省略や、その他の付加的な部材の使用等も適宜に行いうる。
【符号の説明】
【0118】
10 ケース体
20 シート材
30 コーナーパネル部
31 第1コーナーパネル部
32 第2コーナーパネル部
33 第3コーナーパネル部
34 第4コーナーパネル部
35 第5コーナーパネル部
40 本体パネル部
41 第1本体パネル部
42 第2本体パネル部
43 第3本体パネル部
44 第4本体パネル部
50 折り曲げ線
51 第1折り曲げ線
52 第2折り曲げ線
53 第3折り曲げ線
54 第4折り曲げ線
55 第5折り曲げ線
56 第6折り曲げ線
57 第7折り曲げ線
58 第8折り曲げ線
60 フラップ部
61 第1下フラップ部
62 第2下フラップ部
63 第3下フラップ部
64 第4下フラップ部
64 フラップ部
70 フラップ用折り曲げ線
71 第1下フラップ用折り曲げ線
72 第2下フラップ用折り曲げ線
73 第3下フラップ用折り曲げ線
74 第4下フラップ用折り曲げ線
80 フラップ部
81 第1上フラップ部
82 第2上フラップ部
83 第3上フラップ部
84 第4上フラップ部
90 フラップ用折り曲げ線
91 第1上フラップ用折り曲げ線
92 第2上フラップ用折り曲げ線
93 第3上フラップ用折り曲げ線
94 第4上フラップ用折り曲げ線
100 製函治具
101、101A、101B 第1治具
102 第2治具
110 本体部
111 側方プレート
112 長孔
113 差込口
114 ストッパ
120 内面支持部
121 第1内面支持部
122 第2内面支持部
123 第3内面支持部
124 第4内面支持部
125 突状部材
125a 第1エッジ部
125b 第2エッジ部
131 第1外面支持部
141 第1支持部
142 第2支持部
150 接着剤
160 支持部
161 支持プレート
161a 基部
161b 縦壁部
162 切り欠き
172 第2外面支持部
200 規制部材
210 第1長さ調節機構
220 他の突状部材
230 ヒンジ部
240 支持プレート
P1 第1位置
P2 第2位置