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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080779
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】携帯端末用充電器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193999
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】桜井 龍裕
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503FA01
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】磁力吸着型のホルダの難点である携帯端末着脱時の支持状態の不安定性を解消することのできる携帯端末用充電器を提供する。
【解決手段】携帯端末を保持する第1主面に磁力吸着機能を有すると共に、第1主面と反対側に位置する第2主面に係合部14bを有する充電器本体12と、係合部14bに係合する係合部28cを有し、充電器本体12への給電経路を構成するアクセサリープラグ28と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を保持する第1主面に磁力吸着機能を有すると共に、前記第1主面と反対側に位置する第2主面に第1係合部を有する充電器本体と、
前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記充電器本体への給電経路を構成するアクセサリープラグと、を備えることを特徴とする携帯端末用充電器。
【請求項2】
前記アクセサリープラグを介した前記充電器本体への給電には、5Vよりも高い電圧による給電を可能とする充電方式を採用したことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末用充電器。
【請求項3】
前記第2主面には、給電時の電圧変化を示す発光インジケータを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末用充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末用充電器に係り、特に、端末保持を磁力により行う車載用充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高機能型携帯電話(いわゆるスマートフォン)やタブレット端末(以下、総称として携帯端末と称す)では、携帯端末に対する充電器として非接続型のものが普及してきている(例えば特許文献1参照)。このような充電器では、ホルダに設けられた爪により携帯端末を挟み込んで固定する構成とすることで、移動や振動を伴う車両内であっても、携帯端末を安定保持した状態で給電を実施することが可能となる。
【0003】
しかし、爪により携帯端末を挟み込む動作は、それ自体が煩わしかったり、爪による保持力が強い場合には、携帯端末側面の操作ボタン等が押下されてしまい、誤作動を招くなどの不具合も間々報告されていた。そうした中、爪に頼らずに磁力により携帯端末を保持するタイプのホルダが提案され、このホルダに充電機能を付帯させるといった取り組みが進んできている。
【0004】
ここで、磁力により安定して携帯端末を保持するには、比較的強力な磁力吸引が必要となる。このため、携帯端末を簡易に着脱するためには、ホルダ自体を強固に固定する事が前提とされており、その方法が種々検討されてきている。なお近年では、端子の小型化と接続形式の自由度の高さから、給電端子にUSB端子が採用される事が多く、特許文献2に開示されているようなアクセサリーソケットを介してホルダに給電を行う形態が減りつつある。この傾向は、近年リリースされている車両におけるアクセサリーソケットの位置が、必ずしも携帯端末を配置するのに適した位置に存在しない場合も多くなってきていることにも起因する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-97229号公報
【特許文献2】実開平5-54097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、磁力吸着型のホルダの難点である携帯端末着脱時の支持状態の不安定性を解消することのできる携帯端末用充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る携帯端末用充電器は、携帯端末を保持する第1主面に磁力吸着機能を有すると共に、前記第1主面と反対側に位置する第2主面に第1係合部を有する充電器本体と、前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記充電器本体への給電経路を構成するアクセサリープラグと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、上記のような特徴を有する携帯端末用充電器では、前記アクセサリープラグを介した前記充電器本体への給電には、5Vよりも高い電圧による給電を可能とする充電方式を採用することが望ましい。このような特徴を有する事によれば、給電時の電圧を向上させ、急速充電を行う事が可能となる。
【0009】
さらに、上記のような特徴を有する携帯端末用充電器における前記第2主面には、給電時の電圧変化を示す発光インジケータを備えるようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、インジケータの発光は、車両構造物に反射することになる。このため、充電器本体により携帯端末を保持した状態であっても、充電時の電圧変化、すなわち充電状態を知る事が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
上記のような特徴を有する携帯端末用充電器によれば、アクセサリープラグの使用状態における安定性という新たな見地を見出し、磁力吸着型のホルダを車内で使用する際の難点を解消した。これにより、携帯端末着脱時の支持状態の不安定性を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る携帯端末用充電器の正面、右側面、及び上面を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る携帯端末用充電器の背面、右側面、及び上面を示す斜視図である。
図3】実施形態に係る携帯端末用充電器の分解斜視図である。
図4】実施形態に係る携帯端末用充電器の充電器本体とアクセサリーソケットとを分解した状態を示す側面図である。
図5】実施形態に係る携帯端末用充電器における可動領域を説明するための図である。
図6】アクセサリーソケット近傍に車内構造物が存在する場合の例を示す図である。
図7】アクセサリープラグを回転させ、携帯端末用充電器の向きを変えることで、車内構造物を回避した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の携帯端末用充電器に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上での好適な形態の一部であり、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部に変更を加えたとしても、本発明に含まれるものとする。
【0013】
[構成]
まず、図1から図5を参照して、本実施形態に係る携帯端末用充電器の構成について説明する。なお、図面において、図1は、実施形態に係る携帯端末用充電器の正面、右側面、及び上面を示す斜視図であり、図2は、同背面、右側面、及び上面を示す斜視図である。また、図3は、実施形態に係る携帯端末用充電器の分解斜視図である。また、図4は、実施形態に係る携帯端末用充電器の寸法的特徴を説明するための図であり、図5は、実施形態に係る携帯端末用充電器における可動領域を説明するための図である。
【0014】
本実施形態に係る携帯端末用充電器(以下、単に充電器10と称す)は、充電器本体12と、アクセサリープラグ28とを基本として構成される。充電器本体12は、リアケース14と、充電基板16、拡散板18、磁石アッセンブリ20、フロントケース22、充電用コイル24、及びフロントカバー26を基本として構成されている。
【0015】
リアケース14は、詳細を後述する充電基板16と拡散板18、磁石アッセンブリ20を収容するケースであり、詳細を後述するアクセサリープラグ28と充電器本体12を係合させるための要素でもある。このため、リアケース14には少なくとも、充電基板16と拡散板18、磁石アッセンブリ20を収容するための収容部14aと、アクセサリープラグ28との係合を成すための係合部14bが設けられている。ここで、収容部14aには、充電基板16に対する給電を行うための給電用ケーブル16aを挿通させるための開口部14cが設けられている。また、係合部14bは、一対の板状部材により構成され、その先端を円弧状に形成している。円弧状に形成された部位の中心には、回転軸(不図示)を挿通させるための貫通孔が形成されている。なお、実施形態に係る充電器10では、係合部14bを充電器本体12の中心からずらして配置するようにしている。また、実施形態に係る係合部14bには、化粧カバー14b1が備えられ、回転軸を配置した係合部14bを覆うことが可能な構成とされている。さらに、実施形態に係るリアケース14には、詳細を後述する充電基板16の発光を外部に通知するための透光窓14dが備えられている。
【0016】
充電基板16は、図示しない携帯端末を充電するための電力制御を主体とする役割を担う要素である。このため、充電基板16には、給電のためのケーブル(給電用ケーブル16a)が付帯されている。また、実施形態に係る充電基板16には、その表裏にLED16bが付帯されており、電源の状態や、給電時の情報などを発光状態の変化により知らせることを可能としている。なお、充電基板16には、電力制御やLED16bの発光状態制御を行うための図示しない集積回路が備えられている。
【0017】
拡散板18は、上述したLED16bからの発光を導光、拡散するための要素である。このため、拡散板18については、その機能を発揮する事ができるものであれば、その材質や形態を厳密に定めるものでは無いが、図3に示す例では、充電基板16に備えられたLED16bの配置形態に合わせた円環状としている。
【0018】
磁石アッセンブリ20は、携帯端末を吸着保持するための役割を担う要素であり、複数の永久磁石20aと、その永久磁石20aを所定位置に固定するためのベース20bとから成る。本実施形態では、複数の永久磁石20aを円環状に配置するために、ベース20b形状を円環状に形成している。
【0019】
フロントケース22は、充電基板16や拡散板18、及び磁石アッセンブリ20などをリアケース14との間に収容する蓋体であり、詳細を後述する充電用コイル24の収容部としての役割も担う要素である。このため、フロントケース22の中央には、充電用コイル24を収容するための収容部22aが設けられている。また、フロントケース22の外縁部22bには、透光性素材が採用されており、充電基板16に配されたLED16bの発光状態を視認可能な構成とされている。
【0020】
充電用コイル24は、携帯端末の充電を行うための要素である。充電用コイル24は、図示しない配線を介した給電により、携帯端末に備えられた充電機器に対して電磁誘導を生じさせることができれば良く、例えば渦巻状に形成されていれば良い。
【0021】
フロントカバー26は、充電用コイル24を収容したフロントケース22の収容部22aを封止すると共に、携帯端末に当接する部位となる要素である。フロントカバー26は、樹脂や非磁性体など、磁力による影響を受けない素材により構成すると良い。また、携帯端末への当接面には、滑り加工や滑り止め加工など、所望される作用に応じた加工を施すようにしても良い。
【0022】
アクセサリープラグ28は、車両に備えられたアクセサリーソケット40(図6図7参照)に挿入されることで、充電器本体12を安定支持すると共に、充電器本体12への給電を行う役割を担う要素である。アクセサリープラグ28には、アクセサリーソケット40内の端子(不図示)に接触する金属端子30a,30bの他、給電電圧の制御を行う制御基板32、及び図示しないヒューズ等が備えられている。ここで、制御基板32には、USBパワーデリバリー形式(以下、単にPDと称す)や、クイックチャージ方式(以下、単にQCと称す)等の5V以上の高い電圧での給電も可能とする制御機能が備えられており、アクセサリーソケット40から供給される12Vの電圧を直接、あるいは5V程度まで低減させて供給する事を可能としている。
【0023】
アクセサリープラグ28の外形を成すケーシングには、挿入部28aと支持部28b、及び係合部28cが設けられることとなる。挿入部28aは、アクセサリーソケット40へ挿入される部位であり、当該箇所の外部に、プラス側とマイナス側の金属端子30a,30bの一部が露出することとなる。また、支持部28bは、挿入部28aと係合部28cの間に位置する要素である。支持部28bの長さを適正に設けることで、挿入部28aをアクセサリーソケット40に挿入した際、車両構造物と充電器本体12とが干渉することを避けることができる。また、係合部28cは、充電器本体12における係合部14bと係合するための要素であり、本実施形態では、先端を円弧状とした半円状の被挟持板を構成し、この被挟持板を構成する円弧の中心に貫通孔を設けるようにしている。
【0024】
[作用・効果]
上記実施形態に係る充電器10は、アクセサリープラグ28を車両に搭載、固定されているアクセサリーソケット40に挿入して使用される。アクセサリーソケット40にアクセサリープラグ28を挿入することで、アクセサリープラグ28が車両に固定され、アクセサリープラグ28に係合されている充電器本体12が安定支持されることとなる。また、実施形態に係る充電器10は図5に示すように、アクセサリープラグ28が回転中心Pを基点として、上方にθ1、下方にθ2(θ1<θ2)だけ回動可能な構成とされている。このため充電器10は、アクセサリープラグ28をアクセサリーソケット40に挿入した状態で、充電器10の角度(携帯端末に当接するフロントカバー26を向ける方向)を変化させる事ができる。
【0025】
アクセサリープラグ28をアクセサリーソケット40に挿入した状態でイグニッションをONとすることで、アクセサリーソケット40への通電が成され、アクセサリープラグ28を介して充電器本体12に電力が供給される。充電器本体12に電力が供給されると、充電基板16の表側主面に配されたLED16bが発光し、フロントケース22の外縁部22bを介して通電状態である事を確認することが可能となる。
【0026】
この状態で、磁力吸着による被保持機能を備えた携帯端末をカバーに近接させることで、携帯端末は充電器本体12のフロントカバー26に吸着されて保持されることとなる。フロントカバー26に携帯端末が保持されると、充電用コイル24の作用により携帯端末の充電が開始される。この時、充電基板16の集積回路、あるいはアクセサリープラグ28の制御基板32では、携帯端末の充電容量の確認が成され、充電に適用する電圧の選択が成される。充電電圧は、複数のパターンに分ける事ができ、パターン分けを3つするならば、例えば、その電圧の振り分けは、5V、9V、12Vなどとすることができる。
【0027】
給電電圧が高いほど、携帯端末に対する充電を急速に行う事ができる。このため、例えば、携帯端末のバッテリー容量が30%未満の場合には12V、30%以上、50%未満の場合には9V、50%以上の場合には、5Vなどとすると良い。本実施形態では、充電基板16の裏側主面にも、LED16bが備えられている。また、このLED16bは、少なくとも3種類に発光色を変化させることができ、給電時の電圧変化を示すインジケータとして機能させることができる。このため、供給電力の電圧が低い場合は、5Vの電圧に合った発光色(例えば緑)、9Vの電圧での充電が必要な場合にはその電圧に合った発光色(例えば青)、12Vの電圧で急速充電を行う場合には、その電圧に合った発光色(例えば赤)で発光する構成とすることができる。そして、LED16bによる発光は、リアケース14に設けられた透光窓14dを介して、充電器本体12の裏面側を照らすこととなる。充電器本体12の裏面側が発光することにより、光は車両側のアクセサリーソケット40が挿入固定される場所の近傍に照射されることとなる。これにより、充電器本体12に携帯端末を支持固定している状態であっても、発光色の変化、すなわち充電状況を知る事が可能となる。
【0028】
また、実施形態に係る充電器10では、アクセサリープラグ28と充電器本体12が直接接続することにより、両者を接続する給電経路(配線)を短くすることができる。このため、アクセサリーソケット40から充電用コイル24までの給電経路も短くなることにより、抵抗値が小さくなり、充電効率を向上させることができる。さらに、実施形態に係る充電器10には、PDやQCの制御機能が備えられているため、充電器本体12(充電用コイル24)へ給電する際の電力を向上させ、急速充電することも可能となる。
【0029】
また、実施形態に係る充電器10では、充電器本体12に対するアクセサリープラグ28の支持位置を中心からずらしているため、図6に示すようにアクセサリーソケット40の近傍に存在する車内構造物が、設置の際の障害物となるような場合であっても、図7に示すようにアクセサリープラグ28を回転させることで、車内構造物を回避して、アクセサリーソケット40にアクセサリープラグ28を挿入することができるようになる。
【符号の説明】
【0030】
10………充電器、12………充電器本体、14………リアケース、14a………収容部、14b………係合部、14b1………化粧カバー、14c………開口部、14d………透光窓、16………充電基板、16a………給電用ケーブル、16b………LED、18………拡散板、20………磁石アッセンブリ、20a………永久磁石、20b………ベース、22………フロントケース、22a………収容部、22b………外縁部、24………充電用コイル、26………フロントカバー、28………アクセサリープラグ、28a………挿入部、28b………支持部、28c………係合部、30a………金属端子、30b………金属端子、32………制御基板、40………アクセサリーソケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7