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  • 特開-痩身用食品組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080780
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】痩身用食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240610BHJP
【FI】
A23L33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194000
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】522473999
【氏名又は名称】有限会社イマジン
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100096105
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 広
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】篠田 卓
(72)【発明者】
【氏名】林田 学
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE03
4B018MD08
4B018MD33
4B018ME01
4B018MF02
(57)【要約】
【課題】クロロゲン酸による痩身効果を増大させることができる添加成分を含有する痩身用の食品組成物を提供する。
【解決手段】クロロゲン酸(例えば、コーヒー豆由来クロロゲン酸)にグルカン(例えば、大麦由来グルカン)を加えることにより痩身効果は増大する。クロロゲン酸とグルカンの最適な配合比率は27:150(重量比)である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロゲン酸とグルカンとを含有する痩身用の食品組成物。
【請求項2】
前記クロロゲン酸はコーヒー豆由来クロロゲン酸であることを特徴とする請求項1に記載の痩身用の食品組成物。
【請求項3】
前記グルカンは大麦由来グルカンであることを特徴とする請求項2に記載の痩身用の食品組成物。
【請求項4】
コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを27:150(重量比)の割合で含有することを特徴とする請求項3に記載の痩身用の食品組成物。
【請求項5】
コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを27:142.5乃至27:157.5(重量比)の割合で含有することを特徴とする請求項3に記載の痩身用の食品組成物。
【請求項6】
コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを27:50(重量比)の割合で含有することを特徴とする請求項3に記載の痩身用の食品組成物。
【請求項7】
コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを27:47.5乃至27:52.5(重量比)の割合で含有することを特徴とする請求項3に記載の痩身用の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は痩身用食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロゲン酸が痩身効果を有していることは従来から知られている(非特許文献1及び2を参照)。
クロロゲン酸とはポリフェノールの一種であり、コーヒー豆に多く含まれている。
しかしながら、実際にはクロロゲン酸による痩身効果はそれほど大きいものではなく、その痩身効果を増大させることができる添加成分の発見が望まれていたが、今日に至るまで発見されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】https://onlinestore.tailoredcafe.jp/blogs/blog/kuroro 「コーヒーに含まれるクロロゲン酸が身体に与える効果・効能」
【非特許文献2】https://himitsu.wakasa.jp/contents/chlorogenic-acid/ 「わかさの秘密」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような経緯に鑑みてなされたものであり、クロロゲン酸の他に、クロロゲン酸による痩身効果を増大させることができる添加成分を含有する痩身用の食品組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、クロロゲン酸(例えば、コーヒー豆由来クロロゲン酸)に大麦(具体的には、グルカン。例えば、大麦由来グルカン)を加えることにより、クロロゲン酸の痩身効果が増大することを見いだした。
さらに、テストを繰り返して行うことにより、クロロゲン酸とグルカンの最適な配合比率をも見いだした。
本発明はクロロゲン酸とグルカンとを含有する痩身用の食品組成物を提供する。
前記クロロゲン酸はコーヒー豆由来クロロゲン酸であることが好ましく、前記グルカンは大麦由来グルカンであることが好ましい。
【0006】
コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを27:150(重量比)の配合比率で含有することが好ましい。さらに、その配合比率は27:142.5乃至27:157.5(重量比)の範囲にまで拡大することが可能である。
また、コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを27:50(重量比)の配合比率で含有することも好ましい。また、その配合比率は47.5乃至27:52.5(重量比)の範囲にまで拡大することが可能である。
【発明の効果】
【0007】
クロロゲン酸(特に、コーヒー豆由来クロロゲン酸)にグルカン(特に、大麦由来グルカン)を混合することにより、クロロゲン酸単独での痩身効果よりも大きな痩身効果を得ることが可能である。
特に、コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを重量比で27:150あるいは27:142.5乃至27:157.5の割合で配合することにより、痩身効果を最大化することができる。
また、コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを重量比で27:50あるいは27:47.5乃至27:52.5の割合で配合することによっても、痩身効果を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第二の検証の結果を示す表である。
図2】第二の検証の結果を示す表である。
図3】第二の検証の結果を示す表である。
図4】第二の検証の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の検証)
最初に、クロロゲン酸のみを用いた場合(すなわち、大麦は含まない場合)に体重の改善(減少)効果がどの程度あるかを測定するための第一の検証を行った。
検証は、BMIが23乃至30kg/m2の健常ではあるが肥満気味の日本人男女を被験者として、12週間にわたってコーヒー由来クロロゲン酸を摂取したときの体重及びBMIに対する有効性を検証した。1回目の検証(検証番号01)においては、コーヒー由来クロロゲン酸の摂取量は297mg/日とし、被験者は12週間続けて摂取した。2回目の検証(検証番号02)においては、コーヒー由来クロロゲン酸の摂取量は369mg/日とし、被験者は12週間続けて摂取した。摂取前と摂取後にそれぞれ被験者の体重及びBMIを測定した。
【0010】
【0011】
【0012】
t検定を行い、介入群平均差のp値が0.05以下であるか否かによって有意な結果か否かを判定した。
検証番号01は体重及びBMIの双方について有意な差があるものと認められる。
これに対して、検証番号02は体重及びBMIの双方について有意な差があるとは認められない。
これら2個の検証結果から総合的に言えることは、クロロゲン酸のみを12週間継続して摂取しても体重は有意には減少しない、ということである。
これに対して、以下の第二の検証の結果から導かれるように、クロロゲン酸に大麦を追加して摂取した場合には体重及びBMIは有意に改善される(減少する)。
【0013】
(第二の検証)
クロロゲン酸に大麦を追加した食品組成物の痩身効果を確認するために以下の検証を行った。
(1)検証対象物
検証対象物の食品組成物(粉末状)は以下の成分を含む。
(A)コーヒー豆由来クロロゲン酸(グリーンコーヒー豆エキス末)
(B)大麦抽出物(大麦由来グルカン)
(C)コーヒー粉末(市販のインスタントコーヒー粉末)
【0014】
上記の成分を含む検証対象物(重量:2500mg)を5種類作成した。5種類の検証対象物の配合比率は以下の通りである。
(A)5種類の検証対象物においてコーヒー豆由来クロロゲン酸の含有量は270mg(一定量)とした。コーヒー豆由来クロロゲン酸(270mg)の配合比率を重量%で示せば10.8%である。
(B)大麦由来グルカンの含有率は250mg(10重量%)、500mg(20重量%)、875mg(35重量%)、1250mg(50重量%)、1500mg(60重量%)の5通りとした。
(C)5種類の検証対象物が同じ重量(2500mg)になるように、残りをコーヒー粉末とした。
【0015】
検証は以下のように行った。
(1)被験者:25人(男性13人、女性12人)
(2)検証期間:4週間
(3)検証項目:臍部周囲径、臀囲(尻周り)、体重及びBMIの4項目
(4)検証方法:被験者を5個のグループに分け、各グループに属する被験者はそれぞれ大麦由来グルカン10重量%、20重量%、35重量%、50重量%及び60重量%を含む検証対象物を4週間にわたって毎日摂取する。4個の検証項目の各々について検証開始時(摂取前の状態)及び4週間経過後(摂取後の状態)の値を測定する。
(5)測定結果の解析方法:大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループの測定値(平均値)と大麦由来グルカン20重量%、35重量%、50重量%及び60重量%を摂取したグループの測定値(平均値)とを相対的に比較し、どの配合比率が最も効果的であるかを判定する。
【0016】
図1は大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループの測定値と大麦由来グルカン20重量%を摂取したグループの測定値との比較を示す表である。
大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループには有意な変化は見られなかった。
大麦由来グルカン20重量%を摂取したグループは、摂取前との比較において、体重及びBMIに有意な減少がみられた。
摂取前と摂取後との間の変化量に関しては、20重量%グループは4項目の全てにおいて10重量%グループよりも改善の方向に推移した。
全体的に見れば、大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループと比較して、大麦由来グルカン20重量%を摂取したグループには4項目に関して有意な差(減少)は見られなかった。
【0017】
図2は大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループの測定値と大麦由来グルカン35重量%を摂取したグループの測定値との比較を示す表である。
大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループには有意な変化は見られなかった。
同様に、大麦由来グルカン35重量%を摂取したグループにも有意な変化は見られなかった。
摂取前と摂取後との間の変化量に関しては、35重量%グループは4項目の全てにおいて10重量%グループよりも改善の方向に推移した。
全体的に見れば、大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループと比較して、大麦由来グルカン35重量%を摂取したグループには4項目に関して有意な差(減少)は見られなかった。
【0018】
図3は大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループの測定値と大麦由来グルカン50重量%を摂取したグループの測定値との比較を示す表である。
大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループには有意な変化は見られなかった。
大麦由来グルカン50重量%を摂取したグループは摂取前との比較において体重及びBMIに有意な減少が見られた。
摂取前と摂取後との間の変化量に関しては、10重量%グループは、臍部周囲径及び臀囲の項目において、50重量%グループよりも改善の方向に推移した。
全体的に見れば、大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループと比較して、大麦由来グルカン50重量%を摂取したグループは体重及びBMIにおいて有意な減少が見られた。
【0019】
図4は大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループの測定値と大麦由来グルカン60重量%を摂取したグループの測定値との比較を示す表である。
大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループには有意な変化は見られなかった。
大麦由来グルカン60重量%を摂取したグループは摂取前との比較において体重及びBMIに有意な減少が見られた。
摂取前と摂取後との間の変化量に関しては、60重量%グループは全4項目において10重量%グループよりも改善の方向に推移した。
【0020】
全体的に見れば、大麦由来グルカン10重量%を摂取したグループと比較して、大麦由来グルカン60重量%を摂取したグループは臀囲、体重及びBMIにおいて有意な減少が見られた。
表3は、大麦由来グルカン10,20,35,50及び60重量%を摂取したときの臀囲、体重及びBMIの変化量(減少量)をまとめたものである。
【0021】
【0022】
表3から明らかであるように、大麦由来グルカン60重量%を摂取したグループは、臀囲、体重及びBMIの3項目について、他のグループより有意な結果(減少)が得られている。
また、大麦由来グルカン20重量%を摂取したグループは、臀囲、体重及びBMIの3項目について、60重量%の結果には及ばないが、他のグループより有意な結果(減少)が得られている。
大麦由来グルカン50重量%を摂取したグループは、体重及びBMIの2項目については、60重量%の結果には及ばないが、他のグループより有意な結果(減少)が得られている。しかしながら、臀囲に関して、逆行する結果(増大)となっているため、全体的には大麦由来グルカン50重量%は有意な結果を示しているとは言えない。
【0023】
大麦由来グルカン20重量%及び35重量%を摂取したグループについては、4項目の全てにおいて有意な結果は得られなかった。
以上のように、大麦由来グルカン60重量%の検証対象物が最も良い結果を示し、次いで、大麦由来グルカン20重量%の検証対象物が2番目に良い結果を示した。
大麦由来グルカン60重量%の検証対象物が示した結果と同等の結果を示す重量%の範囲を測定するため、55重量%の大麦由来グルカンを含む検証対象物及び65重量%の大麦由来グルカンを含む検証対象物を作成し、これらの検証対象物について第二の検証と同様の検証を行ったところ、大麦由来グルカン60重量%の検証対象物とほぼ同様の結果(有意な減少)が見られた。
【0024】
このため、大麦由来グルカンを60±5重量%(55乃至65重量%)の範囲で含む検証対象物が痩身効果(臀囲、体重及びBMIの減少の効果)に有効であることが判明した。
さらに、大麦由来グルカン20重量%の検証対象物が示した結果と同等の結果を示す重量%の範囲を測定するため、大麦由来グルカン60重量%の検証対象物の場合と同様に、15重量%の大麦由来グルカンを含む検証対象物及び25重量%の大麦由来グルカンを含む検証対象物を作成し、これらの検証対象物について第二の検証と同様の検証を行ったところ、大麦由来グルカン20重量%の検証対象物とほぼ同様の結果(有意な減少)が見られた。
【0025】
このため、大麦由来グルカンを20±5重量%(15乃至25重量%)の範囲で含む検証対象物が痩身効果(臀囲、体重及びBMIの減少の効果)に有効であることが判明した。
このように、コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを270:1500=27:150または27:142.5乃至27:157.5(重量比)の割合で含有する食品組成物が最も大きな痩身効果を示した。
次いで、コーヒー豆由来クロロゲン酸と大麦由来グルカンとを270:500=27:50または27:47.5乃至27:52.5(重量比)の割合で含有する食品組成物がその次に大きな痩身効果を示す。
本実施形態においては、クロロゲン酸としてはコーヒー豆由来クロロゲン酸を、グルカンとしては大麦由来グルカンを用いたが、クロロゲン酸及びグルカンはこれらには限定されない。他の食物由来のクロロゲン酸及びグルカンを用いることも可能である。
図1
図2
図3
図4