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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080783
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】非溶接固定構造および非溶接固定方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/60 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194007
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮下 浩行
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011KC01
2E011KC09
2E011KD25
2E011KD28
2E011KD35
(57)【要約】
【課題】容易に躯体と枠体とを非溶接で固定することができる非溶接固定構造および非溶接固定方法を提供することである。
【解決手段】非溶接固定構造100は、建築開口に対して開口部材600を固定するための非溶接固定構造100であって、建築開口に設けられた枠体500のアンカー板550と、開口部材600に固定される断面コ字状の受け部材200と、アンカー板550に交差し、嵌め合い可能なスリット310、320、330、340が形成された一対の固定プレート300と、を含み、スリット310、320、330、340は、アンカー板550の厚みT51よりも大きな幅T1、T2を有し、受け部材200に螺子固定されるものである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築開口に対して枠体を固定するための非溶接固定構造であって、
前記建築開口側に設けられた前記枠体のアンカー板と、
前記建築開口に固定される受け部材と、
前記アンカー板に交差し、係止可能なスリットが形成されたプレートと、を含み、
前記スリットは、前記アンカー板の厚みよりも大きな幅を有し、前記スリットを前記アンカー板に差し込み、かつ前記プレートを前記スリットの延在方向を軸として回転させて前記スリットを前記アンカー板の表裏面の両方と接触させることにより係止させ、前記プレートが前記受け部材に螺子固定される、非溶接固定構造。
【請求項2】
前記プレートは、
略矩形状からなり、第1辺と、前記第1辺に隣接する第2辺との長さが異なり、
前記第1辺に前記スリットである第1スリットが形成され、
前記第2辺に前記スリットである第2スリットが形成された、請求項1記載の非溶接固定構造。
【請求項3】
前記受け部材は、断面コ字状からなり、かつ前記建築開口に固定される、
または、
前記受け部材は、複数の断面L字状の部材からなり、
前記複数の断面L字状の部材が対向して前記建築開口にそれぞれ固定され、
複数の前記プレートは、前記受け部材の複数の箇所において螺子固定される、請求項1記載の非溶接固定構造。
【請求項4】
前記受け部材は、
前記断面コ字状または前記断面L字状を形成する少なくとも1つの角が、鈍角で形成され、
複数の前記プレートは、平板から形成され、
前記プレートと前記受け部材との角度差が螺子固定により減少される、請求項3記載の非溶接固定構造。
【請求項5】
前記受け部材は、
前記断面コ字状または前記断面L字状を形成する少なくとも1つの角が、直角または鋭角で形成され、
複数の前記プレートは、湾曲板または、くの字状板から形成され、
前記プレートと前記受け部材との角度差が前記螺子固定により減少される、請求項3記載の非溶接固定構造。
【請求項6】
建築開口に対して枠体を固定するための非溶接固定方法であって、
前記建築開口に受け部材を固定する固定工程と、
前記建築開口側に設けられた前記枠体のアンカー板に、前記アンカー板の厚みよりも大きな幅を有し、交差係止可能なスリットが形成されたプレートの前記スリットを差し込む係合工程と、
前記プレートを前記スリットの延在方向を軸として回転させて前記スリットを前記アンカー板の表裏面の両方と接触させることにより係止させる係止工程と、
前記係止工程の前記プレートと、前記固定工程により固定された前記受け部材とを螺子固定する螺子工程と、を含む、非溶接固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築開口に対して枠体を固定するための非溶接固定構造および非溶接固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開平8-114063号公報)には、開き戸の厚さを調整でき、戸当りの固定溝で縦枠と横枠とを強固に連結し、連結部材でもって縦枠と横枠を簡単に連結できるようにする開き戸のドア枠が開示されている。
【0003】
文献1に記載の開き戸のドア枠は、立て枠(1T)及び横枠(1Y)からなる枠体(1)と、建枠(1T)と横枠(1Y)とを螺子(2B)で連結している連結部材(2)と、枠体(1)に固定される戸当り(3)とを備え、縦枠(1T)と横枠(1Y)は金属板を折曲して製造されたもので、折曲された縦枠(1T)と横枠(1Y)は、中央部分を横断面コ字状に折曲して、枠体(1)の縦方向に延長して、戸当り(3)を嵌着する固定溝(4)を有し、固定溝(4)の両側には平面部(5)を有し、平面部(5)の両側に折曲凸条(6)を有し、さらに、この固定溝(4)は縦枠(1T)と横枠(1Y)の内側に開口されており、この枠体(1)の固定溝(4)に、木製またはプラスチック製の戸当り(3)が、一部を挿入して固定されており、さらに、縦枠(1T)と横枠(1Y)の連結部は、一方の枠体(1)に設けられた固定溝(4)が端部から突出し、この突出部(4A)が他方の枠体(1)の固定溝(4)に嵌入して連結されており、かつ、一方の枠体(1)に設けられた折曲凸条(6)も端部から突出し、この突出部(6A)が他方の枠体(1)に設けられた折曲凸条(6)に嵌入して連結されており、さらにまた、連結部材(2)はL金具(2A)と止ネジ(2B)とを備え、L金具(2A)は、一方の枠体(1)の固定溝(4)の側面と、他方の枠体(1)の平面部(5)とに止ネジ(2B)で固定されて、縦枠(1T)と横枠(1Y)とを直角に連結してなるものである。
【0004】
例えば、特許文献2(特開2002-121855号公報)には、フレーム等の中間部材を用いて取り付けられる面材と、用いないで取り付けられる面材とがある場合でも、これらの面材が取り付けられる部材の共通化を図ってコストを確実に削減できるカーテンウォールが開示されている。
【0005】
文献2に記載のカーテンウォールは、それぞれ複数の縦材および横材で形成された区画部分に取り付けられる第1面材と、当該区画部分に中間部材を介して取り付けられる第2面材とを備えたカーテンウォールであって、縦材および横材には、第1面材の室外側面を保持する外押縁が係止される係止部と、第1面材の室内側面に密着するシール部材が取り付けられる取付部とが設けられ、横材に設けられた取付部は、第2面材用の中間部材を取り付けるために兼用されるものである。
【0006】
例えば、特許文献3(特開平5-156733号公報)には、建築物の壁構造を簡単にすると共に部材数を少なくし、建築物の壁部を容易にかつ低コストで施工できるようにする建築物の壁構造が開示されている。
【0007】
文献3に記載の建築物の壁構造は、溝底板1の両側に溝側板2およびフランジ3を順次屈折連設して、上下方向に延長する支持部材4を構成し、その支持部材4における溝底板1をフランジ3よりも建築物の外壁側に位置するように配置し、支持部材4を鉄骨骨組に対し連結部材5を介して連結し、フランジ3の外面にセメント系材料製壁板6の端部を配置してクリップ7および締付具8により固定し、上下方向に延長する溝形断面の支持杆9における溝底板10を支持部材4の溝底板1に固定し、支持杆9の各溝側板11に、上下方向に間隔をおいて配置した複数の横ピン12を固定し、外壁仕上げパネル13の側部の上部および下部に設けた係止用スリット14を、横ピン12に上方から嵌込係止したものである。
【0008】
例えば、特許文献4(特開2013-2126号公報)には、建物の躯体に対するサッシなどの開口部装置の設置に関し、溶接作業の必要のない設置構造が開示されている。
【0009】
文献4に記載の開口部装置の設置構造は、建物の躯体の開口部に開口部装置を設置するための開口部装置の設置構造において、躯体側に固定される第一固定部材と、開口部装置の枠体側に固定される第二固定部材と、を用い、第一固定部材が第一面部を有し、第二固定部材が第二面部を有し、第一面部と第二面部の相対位置が調整可能に構成され、第一面部と第二面部が互いに固定されるものである。
【0010】
例えば、特許文献5(特開平11-30076号公報)には、固定枠内へのドア外枠の固定において、固定金具の折り曲げを必要とすることなく嵌め込み作業が行え、固定作業の簡略化と能率向上が図れる枠体の取り付け方法が開示されている。
【0011】
文献5に記載の枠体の取り付け方法と装置は、固定枠内に嵌合する枠体を該固定枠内に固定するための取り付け方法であって、枠体の外周面に固定するアンカープレートと、端部に該アンカープレート側とで一対となる差込み結合部が設けられ、固定枠の外面に重ねて固定する固定プレートとを用い、外面にアンカープレートを固定した枠体を固定枠内に嵌め込み、固定枠と枠体の嵌合隙間に固定プレートの一部を挿入し、この隙間の長さ方向に沿って該固定プレートを移動させることにより上記差込み結合部を結合させ、この後固定プレートを固定枠に止着具で固定するものである。
【0012】
例えば、特許文献6(特開2018-115441号公報)には、躯体に形成されている開口部の内側に、出入口等のためのドア枠等の開口枠を躯体に取り付けて配置するための作業を、躯体の設置現場で溶接作業を行うことなく実施できるようになる開口枠の取付構造及びその取付施工方法が開示されている。
【0013】
文献6に記載の開口枠の取付構造は、躯体に形成された開口部の内側に配置される開口枠を躯体に取り付けるための開口枠の取付構造であって、躯体と開口枠とのうち、一方の側に配設された係止部材と、他方の側に配設された被係止部材とを有し、係止部材が被係止部材に係止していることにより、開口部の内側に配置された開口枠が、係止部材と被係止部材を介して躯体に取り付けられているものである。
【0014】
例えば、特許文献7(特開2014-218839号公報)には、溶接作業を伴うことなく、鋼板製の枠体10を建物駆体の開口部Wに装着する枠体の固定構造が開示されている。
【0015】
文献7に記載の枠体の固定構造は、下地材を介して建物駆体の開口部に鋼板製の枠体を装着するときの枠体の固定構造であって、下地材の枠体側の側面に固定する一対の取付材と、下地材に向けて突出するように形成する枠体の固定リブと、枠体の下地材側の開口部分を所定ピッチごとに横切る複数の固定板にそれぞれ対応する接続プレートとを備えてなり、固定リブは、取付材の一方にねじ止めし、各接続プレートは、対応の固定板に係止させるとともに取付材の他方にねじ止めするものである。
【0016】
例えば、特許文献8(特開平7-268990号公報)には、がたつきの発生や組立時の困難さを解消する簡単な構造のパネル固定構造が開示されている。
【0017】
文献8に記載のパネル固定構造は、支柱のパネル取付面に弾性挾持片を、その上端部がパネル取付面に接離可能に弾接又は近接するようにして添設するとともに、その支柱に取り付けるべきパネルの内面側に開口部を設けておき、そのパネルの開口部の上端開口縁部分を弾性挾持片とパネル取付面間に挿入して弾性的に挾持させ得るように構成したものである。
【0018】
例えば、特許文献9(特開平10-159224号公報)には、柱に螺子孔等の断面欠損を生じさせることなくコ-ナ-パネルを取り付けることができるコ-ナ-パネルの取付構造が開示されている。
【0019】
文献9に記載の建物用コ-ナ-パネルの取付構造は、断面視L形状のコ-ナ-パネルの裏面側に設けたファスナ-を躯体側に設けられた固定アングルに連結固定するに、当該アングルは、コ-ナ-支柱のベ-スプレ-ト上に載置し、かつベ-スプレ-ト固定ボルトを兼用して固定される平面部と、ファスナ-との締結用立上り部とで構成されているものである。
【0020】
例えば、特許文献10(特開昭54―108441号公報)には、建築物の開口部用枠構造について開示されている。
【0021】
文献10に記載の建築物の開口部用枠構造は、上枠、左右の建枠および下枠を枠組した枠体の各枠外面に、二次アンカーの受け部を長さ方向に構成し、躯体に開設した開口部の上面、左右の側面および下面に一次アンカーを設け、各枠の受け部に嵌め付けた長さ方向に移動自在な二次アンカーの支持片を一次アンカーの支持片にあてがって締着し、二次アンカーを介して一次アンカーに枠体を固定するものである。
【0022】
例えば、特許文献11(実用昭61-144111号公報)には、組立式壁枠装置が開示されている。
【0023】
文献11に記載の組立式壁枠装置は、室内を仕切る組立式壁枠のコーナー部における支柱を、その前後面に上下長手の開口部が形成されるように構成し、該支柱における前後面と略直角方向の左右両側面には、支柱の上下方向中途部に係止孔を穿設し、左右いずれか一方の側面の係止孔に係止するパネル連結体を介して壁パネルを支柱の前後面に沿わせて装着する一方、断面コ字状のコーナーパネルを支柱の左または右の他側面の係止孔に係止し、支柱と、該支柱の前後いずれか一方の上下長手の開口部に沿わせて配設する側支柱とを、その開口部内に挿通する取付け手段にて一方の壁パネルとコーナーパネルとを挟んで固定し、側支柱には平面視において支柱における壁パネルと略直角方向に壁パネルを装着するものである。
【0024】
例えば、特許文献12(実用昭61-136074号公報)には、組立式壁枠における窓枠取付装置が開示されている。
【0025】
文献12に記載の組立式壁枠における窓枠取付装置は、室内に配設した天レールと地レールとの間医に、支柱を両レールの長手方向に適宜隔てて立設し、該左右支柱間にその前面又は後面に沿わせて壁面パネルを装着できるようにする壁枠において、各支柱の上下方向中途部には、地レールの長手方向に開口する係止孔を穿設し、窓枠における左右立枠をその枠内面に突設する下向き係止鉤片を係止孔に係止することにより各支柱に取付する一方、窓枠における上下横枠を、支柱の前後面に沿って装着する壁面パネル上下端面に沿設けするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開平8-114063号公報
【特許文献2】特開2002-121855号公報
【特許文献3】特開平5-156733号公報
【特許文献4】特開2013-2126号公報
【特許文献5】特開平11-30076号公報
【特許文献6】特開2018-115441号公報
【特許文献7】特開2014-218839号公報
【特許文献8】特開平7-268990号公報
【特許文献9】特開平10-159224号公報
【特許文献10】特開昭54-108441号公報
【特許文献11】実用昭61-144111号公報
【特許文献12】実用昭61-136074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
特許文献1から特許文献12までに示すように、種々の建築開口と枠体との接続構造が開示されている。
しかしながら、安全かつ安心な施工、環境に配慮したエコな施工、資材削減に貢献する施工である、溶接を用いずに施工を行う、非溶接施工が多く実施されている。
近年、非溶接施工が実施されているが、作業者は躯体と枠体とのずれのみならず、躯体に取り付けた部材と、枠体に取り付けた部材との調整を行いながら、施工を行っているという問題がある。特に、躯体と枠体とのずれは生じてはならないものの、それらを結合する部材の位置がずれることにより作業のやり直し、または部品のロスが生じているという問題がある。
【0028】
本発明の目的は、それらの問題に鑑み、容易に躯体と枠体とを非溶接で固定することができる非溶接固定構造および非溶接固定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
(1)
一局面に従う非溶接固定構造は、建築開口に対して枠体を固定するための非溶接固定構造であって、建築開口側に設けられた枠体のアンカー板と、建築開口に固定される受け部材と、アンカー板に交差し、係止可能なスリットが形成されたプレートと、を含み、スリットは、アンカー板の厚みよりも大きな幅を有し、スリットをアンカー板に差し込み、かつプレートをスリットの延在方向を軸として回転させてスリットをアンカー板の表裏面の両方と接触させることにより係止させ、プレートが受け部材に螺子固定されるものである。
【0030】
この場合、アンカー板にプレートのスリットが係合する。また、スリット幅が、アンカー板の厚みよりも大きな幅を有するので、アンカー板と係合しつつアンカー板の上を移動することができる。そのため、受け部材とプレートとを螺子固定しやすくなる。また、建築開口に固定された受け部材の位置決めが数ミリずれても問題が生じにくく、施工に問題が生じにくい。
【0031】
(2)
第2の発明にかかる非溶接固定構造は、一局面に従う非溶接固定構造において、プレートは、略矩形状からなり、第1辺と、第1辺に隣接する第2辺との長さが異なり、第1辺にスリットである第1スリットが形成され、第2辺にスリットである第2スリットが形成されてもよい。
【0032】
この場合、第1辺と第2辺とが異なる長さからなるので、アンカー板と枠体との距離が長い場合には、第1辺に形成されたスリットを用いて、アンカー板と枠体との距離が短い場合には、第2辺に形成されたスリットを用いて螺子固定を行うことができる。その結果、1つのプレートでアンカー板と枠体との距離差を埋めることができる。
【0033】
(3)
第3の発明にかかる非溶接固定構造は、一局面に従う非溶接固定構造において、受け部材は、断面コ字状からなり、建築開口に固定される、または、受け部材は、複数の断面L字状の部材からなり、複数の断面L字状の部材が対向して建築開口にそれぞれ固定され、複数のプレートは、受け部材の複数の箇所において螺子固定されてもよい。
【0034】
この場合、断面コ字状の部材を建築開口の受け部材とすることができる、または断面L字状の部材を対向させて配置し、建築開口の受け部材とすることができる。また、プレートを複数用いて、枠体と建築開口とを確実に固定することができる。また、断面コ字状は、断面ハット状、断面つばなしハット状等を含むものである。
【0035】
(4)
第4の発明にかかる非溶接固定構造は、第3の発明にかかる非溶接固定構造において、受け部材は、断面コ字状または断面L字状を形成する少なくとも1つの角が、鈍角で形成され、複数のプレートは、平板から形成され、プレートと受け部材との角度差が螺子固定により減少されてもよい。
【0036】
この場合、アンカー板に係合されたプレートと、受け部材との角度差を螺子固定により固定する。その結果、プレートのスリット内側の幅方向端部が、アンカー板の表裏を保持し、さらにプレートの弾性力を維持しつつ受け部材に固定される。その結果、アンカー板と枠体とを強固に固定することができる。
なお、プレートと受け部材との角度が1度以上45度以下の角度差であってよく、1度以上10度以下の角度差が好ましく、螺子固定により、プレートと受け部材との角度差が1度未満となってもよい。
【0037】
(5)
第5の発明にかかる非溶接固定構造は、第3の発明にかかる非溶接固定構造において、受け部材は、断面コ字状または断面L字状を形成する少なくとも1つの角が、直角または鋭角で形成され、複数のプレートは、湾曲板または、くの字状板から形成され、プレートと受け部材との角度差が螺子固定により減少されてもよい。
【0038】
この場合、アンカー板に係合されたプレートと、受け部材との角度差を螺子固定により固定する。その結果、プレートのスリット内側の幅方向端部が、アンカー板の表裏を保持し、さらにプレートの弾性力を維持しつつ受け部材に固定される。その結果、アンカー板と枠体とを強固に固定することができる。
なお、プレートと受け部材との角度が1度以上45度以下の角度差であってよく、1度以上10度以下の角度差が好ましく、螺子固定により、プレートと受け部材との角度差が1度未満となってもよい。
【0039】
(6)
他の局面に従う非溶接固定方法は、建築開口に対して枠体を固定するための非溶接固定方法であって、建築開口に受け部材を固定する固定工程と、建築開口側に設けられた枠体のアンカー板に、アンカー板の厚みよりも大きな幅を有し、交差係止可能なスリットが形成されたプレートのスリットを差し込む係合工程と、プレートをスリットの延在方向を軸として回転させてスリットをアンカー板の表裏面の両方と接触させることにより係止させる係止工程と、係止工程のプレートと、固定工程により固定された受け部材とを螺子固定する螺子工程と、を含むものである。
【0040】
この場合、アンカー板にプレートのスリットが係合する。また、スリット幅が、アンカー板の厚みよりも大きな幅を有するので、アンカー板と係合しつつアンカー板の上を移動することができる。そのため、受け部材とプレートとを螺子固定しやすくなる。また、建築開口に固定された受け部材の位置決めが数ミリずれても問題が生じにくく、施工に問題が生じにくい。
【0041】
(A)
一局面に従う非溶接固定構造は、建築開口に対して枠体を固定するための非溶接固定構造であって、建築開口側に設けられた枠体のアンカー板と、建築開口に固定される受け部材と、アンカー板に交差し、係止可能なスリットが形成されたプレートと、を含み、スリットは、アンカー板の厚みTよりも大きく厚みTの2倍以下までの範囲内の幅を有し、プレート板が受け部材に螺子固定されるものである。
【0042】
この場合、アンカー板にプレートのスリットが係合する。また、スリット幅が、アンカー板の厚みよりも大きく厚みの2倍以下の範囲内の幅を有し、受け部材とプレートとを螺子固定することで、弾性変形を利用して確実に固定することができる。また、建築開口に固定された受け部材の位置決めが数ミリずれても問題が生じにくく、施工に問題が生じにくい。
【0043】
(B)
第2の発明にかかる非溶接固定構造は、一局面に従う非溶接固定構造において、アンカー板は、メッキ処理により表面に凹凸が形成されてもよく、メッキ処理鋼板であってもよく、塗装処理したメッキ処理鋼板であってもよい。
【0044】
この場合、アンカー板の表面には、凹凸が形成されているので、プレート板のスリットがアンカー板の表裏に確実に係止される。その結果、固定後のプレート板の移動を抑止することができる。
【0045】
(C)
第3の発明にかかる非溶接固定構造は、一局面の発明にかかる非溶接固定構造において、受け部材は、断面コ字状または断面L字状を形成する少なくとも1つの角が、鈍角で形成され、複数のプレートは、平板から形成され、プレートと受け部材との角度が1度以上10度以下の角度差を有し、螺子固定により、プレートと受け部材との角度差が1度未満となってもよい。
【0046】
この場合、アンカー板に係合されたプレートと、受け部材との角度差を螺子固定により固定する。その結果、プレートのスリット内側の幅方向端部が、アンカー板の表裏を保持し、さらにプレートの弾性力を維持しつつ受け部材に固定される。その結果、アンカー板と枠体とを強固に固定することができる。
【0047】
(D)
第4の発明にかかる非溶接固定構造は、一局面の発明にかかる非溶接固定構造において、受け部材は、断面コ字状または断面L字状を形成する少なくとも1つの角が、直角または鋭角で形成され、複数のプレートは、湾曲板または、くの字状板から形成され、プレートと受け部材との角度が1度以上10度以下の角度差を有し、螺子固定により、プレートと受け部材との角度差が1度未満となってもよい。
【0048】
この場合、アンカー板に係合されたプレートと、受け部材との角度差を螺子固定により固定する。その結果、プレートのスリット内側の幅方向端部が、アンカー板の表裏を保持し、さらにプレートの弾性力を維持しつつ受け部材に固定される。その結果、アンカー板と枠体とを強固に固定することができる。
【0049】
(E)
他の局面に従う非溶接固定方法は、建築開口に対して枠体を固定するための非溶接固定方法であって、建築開口に受け部材を固定する固定工程と、建築開口側に設けられた枠体のアンカー板に、アンカー板の厚みTよりも大きく厚みTの2倍以下までの範囲内の幅を有し、交差係止可能なスリットが形成されたプレートのスリットを差し込む係合工程と、プレートをスリットの延在方向を軸として回転させてスリットをアンカー板の表裏面の両方と接触させることにより係止させる係止工程と、係止工程のプレートと、固定工程により固定された受け部材と、を螺子固定する螺子工程と、を含むものである。
【0050】
この場合、アンカー板にプレートのスリットが係合する。また、スリット幅が、アンカー板の厚みよりも大きく厚みの2倍以下の範囲内の幅を有し、受け部材とプレートとを螺子固定することで、弾性変形を利用して確実に固定することができる。また、建築開口に固定された受け部材の位置決めが数ミリずれても問題が生じにくく、施工に問題が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本実施の形態にかかる非溶接固定構造の一例を示す模式的斜視図である。
図2】固定プレートの一例を示す模式的側面図および模式的平面図である。
図3】躯体に設けられたアンカー板を説明するための模式的斜視図である。
図4】アンカー板を説明するための模式的説明図である。
図5】本実施の形態にかかる非溶接固定構造の一例を示す模式的断面図である。
図6】本実施の形態にかかる非溶接固定構造の一例を示す模式的断面図である。
図7】本実施の形態にかかる非溶接固定構造の一例を示す模式的断面図である。
図8】本実施の形態にかかる非溶接固定構造の他の例を示す模式的断面図である。
図9】アンカー板および受け部材を固定プレートで固定する場合の詳細を説明するための模式的説明図である。
図10】固定プレートの他の例を示す模式的側面図および模式的平面図である。
図11】アンカー板および受け部材を固定プレートで固定する場合の他の例の詳細を説明するための模式的説明図である。
図12】固定プレートのさらに他の例を示す模式的側面図および模式的平面図である。
図13】アンカー板および受け部材を固定プレートで固定する場合のさらに他の例の詳細を説明するための模式的説明図である。
図14】固定プレートのさらに他の例を示す模式的側面図および模式的平面図である。
図15】アンカー板および受け部材を固定プレートで固定する場合のさらに他の例の詳細を説明するための模式的説明図である。
図16】受け部材を一対の部材から形成した場合を説明するための模式図である。
図17】固定プレートを千鳥状に配置して固定した一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0053】
[本実施の形態]
図1は、本実施の形態にかかる非溶接固定構造100の一例を示す模式的斜視図であり、図2は、固定プレート300の一例を示す模式的側面図および模式的平面図である。
【0054】
図1に示すように、非溶接固定構造100は、主に受け部材200、固定プレート300、枠体500および枠体500に取り付けられたアンカー板550から形成される。
枠体500に取り付けられたアンカー板550と、受け部材200との間に、固定プレート300が設けられる。固定プレート300は、アンカー板550に固定プレート300のスリット310により係止され、受け部材200に対して固定プレート300の孔350を用いて螺子締結される。
【0055】
(固定プレート300)
図2に示すように、本実施の形態に係る固定プレート300は、矩形状の金属板からなる。固定プレート300の一辺は、距離L1からなり、隣接する辺は、距離L2(L1>L2)からなる。
本実施の形態においては、距離L1は、30mm以上50mm以下であり、距離L2は、20mm以上40mm以下である。それらの理由については、後述する。
【0056】
また、距離L1からなる辺には、距離L2の辺と平行な方向に、幅T1のスリット310が形成されている。さらに、距離L2からなる辺には、距離L1の辺と平行な方向に、幅T2のスリット320が形成されている。スリット310は、強度の観点から距離L2に対して60%以下の深さ(スリット長さ)であることが望ましく、スリット320は、強度の観点から距離L1に対して60%以下の深さ(スリット長さ)であることが望ましい。変形しない強度面とのバランスを維持するためである。
本実施の形態においては、幅T1は、2.3mmよりも大きく3.5mm以下であり、幅T2は、2.3mmよりも大きく3.5mm以下である。それらの理由については、後述する。
【0057】
また、固定プレート300には、螺子締結用の孔350が複数形成されている。本実施の形態において、固定プレート300は、厚みT30が2.3mmの溶融亜鉛メッキ鋼板などの鋼板から形成される。
【0058】
(枠体500およびアンカー板550)
図3は、枠体500に設けられたアンカー板550を説明するための模式的斜視図であり、図4は、アンカー板550を説明するための模式的説明図である。
【0059】
図3および図4に示すように、断面が略コ字状で長手方向に延在して形成された枠体500が設けられる。枠体500の略コ字状部にアンカー板550が所定の間隔H1で取り付けられる。具体的に所定の間隔H1は、400mm以上500mm以下で等間隔に設けられる。
【0060】
図4に示すようにアンカー板550は、防錆処理が施された溶融亜鉛メッキ鋼板からなる。図4の拡大図に示すように、防錆処理が施された溶融亜鉛メッキ鋼板からなるアンカー板550は、亜鉛部552が中央部の鉄部551の表裏および全周囲に対して形成されている。そのため、亜鉛部552は、非常に凹凸のざらつきがあり、表面粗さの大きな素材であるため、固定プレート300のスリット310またはスリット320と嵌合させた場合に、滑りにくい構造となっている。なお、溶融亜鉛メッキ鋼板のみならず、亜鉛メッキ鋼板または塗装されたメッキ鋼板を用いてもよい。
【0061】
また、アンカー板550は、単なる鋼板を使用し、アンカー板500の形状を平板ではなく、段差または凹凸を形成し、固定プレート300のスリット310またはスリット320と嵌合または係止させるようにしてもよい。
【0062】
また、本実施の形態にかかるアンカー板550の厚みT51は、ばらつきがあるが、固定プレート300の幅T1および幅T2の関係上、幅T1、T2が最大の値の3.5mmである場合、アンカー板の厚みT51は、1.6mm以上3.5mm未満であり、固定プレート300の幅T1および幅T2の関係上、幅T1、T2が最小の値の2.3mmである場合、アンカー板550の厚みT51は、1.6mm以上2.3mm未満である。
また、一般的には、固定プレート300の幅T1および幅T2の関係上、幅T1、T2が一般的な値の2.5mm以上3mm以下前後である場合、アンカー板550の厚みT51は2.3mm前後である。
【0063】
(非溶接固定構造の一例および他の例)
図5図6および図7は、本実施の形態にかかる非溶接固定構造100の一例を示す模式的断面図であり、図8は、本実施の形態にかかる非溶接固定構造100の他の例を示す模式的断面図である。
【0064】
図5に示すように、まず、開口部材(補強スタッドとも呼ばれる。以下、開口部材と呼ぶ。)600と軽量スタッド700とが配置される。
次に、図6に示すように、受け部材200は、開口部材600に螺子B2で固定される。当該図6においては、断面であるが、受け部材200は、開口部材600の縦方向に沿って延在し、所定の距離の長さを有する部材である。そのため、複数個所において、螺子B2で固定されることが好ましい。
【0065】
(ずれ距離Z1)
ここで、本実施の形態においては、開口部材600の中央と受け部材200との中心を合わせることが好ましい。しかしながら、本発明においては、開口部材600と受け部材200との中心部が、図6に示したずれ距離Z1が数mmから数十mm以内であれば、仮にずれたとしても、問題なく非溶接固定構造100を実現することができる。
そのため、施工業者がずれ距離Z1をゼロにしなければならないという従来の手間を大きく削減することができる。特に、従来の施工方法では、現実に施工のやり直しが発生し、部材のロスおよび施工時間のロス等が多く発生しているという問題があったが、本発明においては、部材のロスおよび施工時間のロスを削減することができるという大きな効果がある。
【0066】
次いで、図7に示すように、一対の固定プレート300のスリット310をアンカー板550の上部から差し込み、孔350を用いて螺子B1により受け部材200に固定する。
この場合、拡大図に示すように、スリット310の端部がアンカー板550の表裏と嵌合または係止する。アンカー板550と固定プレート300との固定方法、固定プレート300と受け部材200との固定方法の詳細については後述する。
また、図5から図7においては、枠体500と開口部材600との距離はL10であるとする。この距離L10は、例えば、250mm以上400mm以下の距離である。この場合、図2に示した固定プレート300の距離L1およびスリット310を用いて固定を行う。
この場合に、枠体500と開口部材600との中心をあわせておくことが好ましい。その結果、施工業者がずれ距離Z1をゼロにしなければならないという従来の手間を大きく削減することができる。
【0067】
次に、図8に示すように、非溶接固定構造100の他の例は、枠体500と開口部材600との距離L20が、距離L10よりも短い場合である。この場合、図2に示した固定プレート300の距離L2およびスリット320を用いて固定を行う。その結果、距離L20が、例えば、100mm以上300mm以下の距離であった場合でも、一例と同じ固定プレート300を用いることで、非溶接固定構造100を実現することができる。その結果、部品ロスを大きく削減することができる。また、部品の管理数を削減することができ、施工時に持ち運ぶ部品の個数を削減することができる。
【0068】
(アンカー板550と固定プレート300との固定方法、固定プレート300と受け部材200との固定方法の詳細)
図9は、アンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合の詳細を説明するための模式的説明図である。
【0069】
図9(a)および図9(b)に示すように、アンカー板550に固定プレート300のスリット310またはスリット320を差し込む。この場合、固定プレート300のスリット310の幅T1およびスリット320の幅T2は、アンカー板550の厚みT51よりも大きいため、固定プレート300の挟持させる位置を調整することができる。
図9(a)に示すように、アンカー板550に固定プレート300のスリット310またはスリット320を差し込んで、アンカー板550を挟持した場合、受け部材200との間に角度Θ1の差ができるように設定する。ここで、角度Θ1は、1度以上10度以下であることが好ましい。
また、図9(b)に示すように、アンカー板550に固定プレート300のスリット310またはスリット320を差し込んで、アンカー板550を挟持した場合、受け部材200との間に角度Θ2の差ができるように設定する。ここで、角度Θ2は、1度以上10度以下であることが好ましい。
【0070】
図9(a)および図9(b)のいずれの場合であっても、図9(c)に示すように、固定プレート300の螺子B1により孔350を用いて受け部材200に螺子固定する。
その結果、図9(a)から図9(c)の場合には、固定プレート300に力Faが加わり、アンカー板550に力F5の力を加えることができる。
また、図9(b)から図9(c)の場合には、固定プレート300に力Fbが加わり、アンカー板550に力F5の力を加えることができる。
なお、図9(c)においては、簡略説明のために一対の固定プレート300のうち片方にだけ、力Faと力Fbとを記載しているが、図9(a)から図9(c)の場合には、一対の固定プレート300の両方に、力Faが加わり、図9(b)から図9(c)の場合には、一対の固定プレート300の両方に、力Fbが加わる。
また、力Fa、力Fbおよび力F5は、固定プレート300およびアンカー板550を弾性変形させるのみの力であり、塑性変形させる力未満である。
また、角度Θ1および角度Θ2は、1度以上10度以下であるとしたが、これに限定されず、0度以上10度以下であってもよい。
【0071】
(他の例)
次に、図10および図11は、固定プレート300の他の例を示すための模式図である。図10は、固定プレート300の他の例を示す模式的側面図および模式的平面図であり、図11は、アンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合の他の例の詳細を説明するための模式的説明図である。
なお、図10に示す固定プレート300が、図2に示した固定プレート300と異なる点についてのみ説明を行い、図11に示すアンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合が図9に示したアンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合と異なる点についてのみ説明を行う。
【0072】
(他の例の固定プレート300)
他の例に係る固定プレート300では、距離L1からなる辺には、距離L2の辺と平行な方向に、幅T1のスリット330が形成されている。さらに、距離L2からなる辺には、距離L1の辺と平行な方向に、幅T2のスリット340が形成されている。
スリット330およびスリット340は、固定プレート300の表側から裏側に対して、所定の角度をつけて形成されている。
【0073】
次に、図11(a)に示すように、アンカー板550に対して固定プレート300のスリット330またはスリット340を差し込み、嵌合または係止させてから、図11(b)のように略コ字状の断面を有する受け部材200に螺子B1により螺子固定する。
この場合、スリット330またはスリット340に形成された所定の角度によりアンカー板550を挟持することができる。
【0074】
この結果、図9と同様に、弾性変形のみの力を固定プレート300およびアンカー板550に生じさせることができる。
【0075】
(さらに他の例)
次に、図12および図13は、固定プレート300のさらに他の例を示すための模式図である。図12は、固定プレート300のさらに他の例を示す模式的側面図および模式的平面図であり、図13は、アンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合のさらに他の例の詳細を説明するための模式的説明図である。
なお、図12に示す固定プレート300が、図2に示した固定プレート300と異なる点についてのみ説明を行い、図13に示すアンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合が図9に示したアンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合と異なる点についてのみ説明を行う。
【0076】
(さらに他の例の固定プレート300)
図12に示すように、さらに他の例に係る固定プレート300では、距離L1からなる辺には、距離L2の辺と平行な方向に、幅T1のスリット310が形成されている。なお、幅T2のスリット320は、形成されていない。
また、固定プレート300には、螺子締結用の孔350が1個形成されている。なお、孔350は、複数形成されていてもよい。
【0077】
さらに、図12に示すように、固定プレート300は、距離L11までは平板で形成され、距離L11で所定の角度で傾斜された平板で形成されている。
【0078】
次に、図13(a)に示すように、アンカー板550に対して固定プレート300のスリット310を差し込み、嵌合または係止させてから、図13(b)のように略コ字状の断面を有する受け部材200に螺子B1により螺子固定する。
この場合、固定プレート300の距離L11において傾斜された平板によりアンカー板550を挟持することができる。
【0079】
この結果、図9と同様に、弾性変形のみの力を固定プレート300およびアンカー板550に生じさせることができる。
【0080】
(さらに他の例)
次に、図14および図15は、固定プレート300のさらに他の例を示すための模式図である。図14は、固定プレート300のさらに他の例を示す模式的側面図および模式的平面図であり、図15は、アンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合のさらに他の例の詳細を説明するための模式的説明図である。
なお、図14に示す固定プレート300が、図2に示した固定プレート300と異なる点についてのみ説明を行い、図15に示すアンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合が図9に示したアンカー板550および受け部材200を固定プレート300で固定する場合と異なる点についてのみ説明を行う。
【0081】
(さらに他の例の固定プレート300)
図14に示すように、さらに他の例に係る固定プレート300では、距離L1からなる辺には、距離L2の辺と平行な方向に、幅T1のスリット310が形成されている。なお、幅T2のスリット320は、形成されていない。
また、固定プレート300には、螺子締結用の孔350が1個形成されている。なお、孔350は、複数形成されていてもよい。
【0082】
さらに、図14に示すように、固定プレート300は、スリット310が形成された部分において所定の角度で傾斜され、スリット310が形成されていない固定プレート300の両端側が平行となるよう、所定の距離オフセットした状態で形成されている。
【0083】
次に、図15(a)に示すように、アンカー板550に対して固定プレート300のスリット310を差し込み、嵌合または係止させてから、図15(b)のように略コ字状の断面を有する受け部材200に螺子B1により螺子固定する。
この場合、固定プレート300のスリット310において形成された傾斜によりアンカー板550を挟持することができる。
この結果、図9と同様に、弾性変形のみの力を固定プレート300およびアンカー板550に生じさせることができる。
【0084】
図16は、受け部材200を一対の部材から形成した場合を説明するための模式図であり、図17は、固定プレート300を千鳥状に配置して固定した一例を示す模式図である。
【0085】
図16に示すように、受け部材200を複数の部材から形成しても本発明と同様の効果を得ることができる。また、図17に示すように、固定プレート300を千鳥状に配置固定してもよく、ランダムに配置固定してもよい。
【0086】
以上のように、本発明にかかる非溶接固定構造100および非溶接固定方法においては、アンカー板550に一対の固定プレート300が係合する。また、一対の固定プレート300のスリット310、または、スリット320、または、スリット330、またはスリット340が、アンカー板の厚みT51よりも大きな幅T1または幅T2を有するので、アンカー板550と係合しつつアンカー板550の上を移動することができる。そのため、受け部材200と一対の固定プレート300とを螺子固定しやすくなる。また、開口部材600に固定された受け部材200の位置決めが数ミリずれても問題が生じにくく、施工に問題が生じにくいという効果がある。
【0087】
以上のように、本発明にかかる非溶接固定構造100および非溶接固定方法によれば、安全かつ安心な施工、環境に配慮したエコな施工、資材削減に貢献する施工を行うことができ、近隣または道路に近い環境でも安心して施工でき、工程の維持が容易になり、安全性の向上が企業イメージ向上につながり、断熱材の残る改修工事でも安全に施工できる。また、サッシ施工に伴う動力電源が不要となり、節電省エネに貢献し、無火気施工により現場周辺環境および作業者の健康に配慮できる。さらに、RC造の場合において、躯体に先付けする埋込アンカーが不要となり、躯体とサッシ枠固定に必要だった連結筋が不要となり、動力電源が不要で現場における電力消費を削減でき、付帯部品不要さらに電源不要で、建築工事会社のサッシ施工に関わる資材・資源を削減できる。
【0088】
本発明においては、非溶接固定構造100が「非溶接固定構造」に相当し、枠体500が「枠体」に相当し、アンカー板550が「アンカー板」に相当し、受け部材200が「受け部材」に相当し、スリット310、320、330、340が「スリット」に相当し、スリット310、330が「第1スリット」に相当し、スリット320、340が「第2スリット」に相当し、固定プレート300が「プレート、複数のプレート」に相当し、角度Θ1、Θ2が「プレートと受け部材との角度差」に相当し、図5から図7が「非溶接固定方法」に相当する。
【0089】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施の形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施の形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0090】
100 非溶接固定構造
200 受け部材
300 固定プレート
310、320、330、340 スリット
500 枠体
550 アンカー板
Θ1、Θ2 角度



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17