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  • 特開-櫛及び櫛組体 図1
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  • 特開-櫛及び櫛組体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080784
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】櫛及び櫛組体
(51)【国際特許分類】
   A45D 24/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
A45D24/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194008
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521219316
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 衛
(72)【発明者】
【氏名】坂本 学
(57)【要約】
【課題】多数個をコンパクトに集積して保管できる櫛を提供する。
【解決手段】長板状の櫛10の長手方向の手元端に柄部11を形成し、柄部11から長手方向の先端側へ櫛部20を延ばす。櫛部20の長手方向へ一列に並ぶ複数の歯31及び先端の親歯32の根元を棟部21にて連ねる。柄部11と櫛部20との間における、歯先31eが向く側縁13には、親歯32より大きいか又は親歯32と同一の大きさの櫛手元凹部42を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長板状の櫛であって、
長手方向の手元端に形成された柄部と、
前記柄部から前記長手方向の先端側へ延びる櫛部と、
を備え、前記櫛部が、前記長手方向へ一列に並ぶ複数の歯と、前記櫛部の先端部に前記歯と並ぶように設けられた親歯と、これら複数の歯及び親歯の根元を連ねるように前記長手方向へ延びる棟部を有し、前記複数の歯及び前記親歯の隣接するものどうし間に歯間隙間が形成され、
前記柄部と前記櫛部との間における、前記歯の歯先が向く側縁には、前記親歯より大きいか又は前記親歯と同一の大きさの櫛手元凹部が形成されていることを特徴とする櫛。
【請求項2】
前記長手方向へ一列に並ぶ複数の前記歯間隙間及び前記櫛手元凹部からなる櫛内空間が、前記複数の歯及び前記親歯からなる櫛歯を反転させた形状を有している請求項1に記載の櫛。
【請求項3】
請求項2に記載の櫛によってそれぞれ構成された第1櫛及び第2櫛を備え、これら第1櫛及び第2櫛が互いに反転され、前記第1櫛の歯間隙間に前記第2櫛の歯が挿し込まれ、前記第1櫛の櫛手元凹部に前記第2櫛の親歯が挿し込まれてなる櫛組体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛及び2つの櫛を組み合わせた櫛組体に関し、特に長板状の櫛及び2つの長板状の櫛をからなる櫛組体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の長板状の櫛は、長手方向へ一列に並んだ複数本の歯を有している。これら歯の根元どうしが長手方向へ延びる棟部で連ねられている。棟部の手元端には平らな柄部が設けられている。棟部の先端には太い親歯が前記歯と並ぶように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3084915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の櫛の隣接する歯どうしの間には歯間隙間が形成されている。複数の櫛を集積して保管、運搬等する際、歯間隙間がデッドスペースとなる。集積数が多ければ多いほど、デッドスペースが増大し、それだけ所要の集積スペースが嵩増しされてしまい、保管、運搬のコストが増える。
本発明は、かかる事情に鑑み、集積する際のデッドスペースを小さくでき、コンパクトに集積可能な櫛を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、長板状の櫛であって、
長手方向の手元端に形成された柄部と、
前記柄部から前記長手方向の先端側へ延びる櫛部と、
を備え、前記櫛部が、前記長手方向へ一列に並ぶ複数の歯と、前記櫛部の先端部に前記歯と並ぶように設けられた親歯と、これら複数の歯及び親歯の根元を連ねるように前記長手方向へ延びる棟部を有し、前記複数の歯及び前記親歯の隣接するものどうし間に歯間隙間が形成され、
前記柄部と前記櫛部との間における、前記歯の歯先が向く側縁には、前記親歯より大きいか又は前記親歯と同一の大きさの櫛手元凹部が形成されていることを特徴とする。
【0006】
当該特徴を有する2つの櫛を互いに180度反転させて、一方の櫛の歯間隙間に他方の櫛の歯を挿し込む。一方の櫛の櫛手元凹部には他方の櫛の親歯を挿し込む。これによって、双方の櫛のデッドスペースを互いに埋め合うことができる。したがって、多数の櫛を集積する場合、所要の集積スペースが抑えられ、コンパクトに集積できる。これによって、保管、運搬等のコストが低減される。
【0007】
好ましくは、前記長手方向へ一列に並ぶ複数の前記歯間隙間及び前記櫛手元凹部からなる櫛内空間が、前記複数の歯及び前記親歯からなる櫛歯を反転させた形状を有している。これによって、前記デッドスペースを確実に小さくできる。
【0008】
本発明に係る櫛組体は、前記櫛によってそれぞれ構成された第1櫛及び第2櫛を備え、これら第1櫛及び第2櫛が互いに反転され、前記第1櫛の歯間隙間に前記第2櫛の歯が挿し込まれ、前記第1櫛の櫛手元凹部に前記第2櫛の親歯が挿し込まれてなる。当該櫛組体によれば、櫛の製造、保管、運搬等する際におけるコストダウン等のメリットが得られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る櫛によれば、集積する際のデッドスペースを小さくしてコンパクトに集積できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る櫛の正面図である。
図2図2は、前記櫛の斜視図である。
図3図3は、集積のために、2つの櫛を組み合わせた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る櫛10は、柄部11と、櫛部20を一体に含み、平らな長板状になっている。櫛10の材質は、例えばリサイクル性の紙材ないしはセルロース系材料であるが、これに限らず、樹脂でもよく金属でもよい。
【0012】
櫛10の長手方向の手元端(図1において右端)に柄部11が形成されている。柄部11は、概略四角形状に形成されているが、細長の板状ないしは棒状であってもよい。柄部11から長手方向の先端側(図1において左側)へ櫛部20が延びている。柄部11と櫛部20が一体に連なっている。
【0013】
櫛部20は、棟部21と、櫛歯30を含む。棟部21が、柄部11の幅方向の一側縁12(図1において上側縁)から長手方向に沿って延び出ている。棟部21は、略直線状であるが、多少湾曲されていてもよい。
【0014】
櫛歯30は、長手方向へ一列に並ぶ複数の歯31と、長手方向の先端の親歯32を含む。これら歯31及び親歯32の根元が、棟部21によって連ねられている。各歯31は、互いの並び方向と直交する細長形状に形成され、かつ歯先31eへ向かって先細になっている。複数の歯31の根元31dは、互いに一直線上に配置されるように揃えられている。複数の歯31の歯先31eは、互いに一直線上に配置されるように揃えられている。好ましくは、櫛歯30のすべての歯31が互いに同一の形状寸法になっている。
【0015】
櫛部21の先端に親歯32が設けられている。親歯32は、歯31より幅広の概略台形状ないしは三角形状に形成されて、歯31と並んで配置されている。親歯32によって、櫛10の先端部が構成されている。
【0016】
複数の歯31及び親歯32の隣接するものどうし間にそれぞれ歯間隙間41が形成されている。複数の歯間隙間41が、櫛10の長手方向へ一列に並んでいる。各歯間隙間41は、歯31を反転させた細長形状をなし、棟部21側から歯先31e側へ向かって広がりながら歯先31eの先方向(図1において下方)へ開口されている。好ましくは、すべての歯間隙間41が互いに同一の形状寸法になっている。
【0017】
柄部11と櫛部20との間における、歯先31eが向く側縁13には、櫛手元凹部42が形成されている。櫛手元凹部42は、親歯32と同一の大きさすなわち親歯32と実質的に同一の寸法形状になっている。詳しくは、櫛手元凹部42は、歯間隙間41より幅広の概略台形状ないしは三角形状に形成されて、歯先側縁13へ開口されている。複数の歯間隙間41と櫛手元凹部42とによって櫛内空間40が構成されている。櫛内空間40は、櫛歯30を反転させた形状を有している。
なお、柄部11の歯先側縁13には、例えば半円形状の切り欠き状の凹部14が形成されている。凹部14は、例えば、櫛10の使用時に指を引っ掛けるのに利用できる。
【0018】
図3に示すように、本発明においては同一形状の櫛10を2つ組み合わせることで、櫛組体1が構成される。2つの櫛10を互いに区別するときは、一方を第1櫛10Aと称し、他方を第2櫛10Bと称す。また、第1櫛10Aの構成要素には符号に「A」を付し、第2櫛10Bの構成要素には符号に「B」を付す。櫛組体1においては、櫛10A及び第2櫛10Bが互いに180°反転されて、各々の櫛歯30どうしが噛み合わされている。
【0019】
詳しくは、第1櫛10Aの櫛内空間40Aに第2櫛10Bの櫛歯30Bが嵌め込まれている。かつ、第2櫛10Bの櫛内空間40Bに第1櫛10Aの櫛歯30Aが嵌め込まれている。
更に詳しくは、第1櫛10Aの歯間隙間41Aに第2櫛10Bの対応する歯31Bが挿し込まれるとともに、第1櫛10Aの歯31Aが第2櫛10Bの対応する歯間隙間41Bに挿し込まれている。かつ、第1櫛10Aの櫛手元凹部42Aに第2櫛10Bの親歯32Bが挿し込まれるとともに、第1櫛10Aの親歯32Aが第2櫛10Bの櫛手元凹部42Bに挿し込まれている。
好ましくは、各櫛10A,10Bの櫛内空間40A,40Bに相手側の櫛歯30B,30Aがほとんど隙間無くぴったり嵌め込まれている。
【0020】
これによって、双方の櫛10A,10Bの櫛内空間40A,40B(デッドスペース)を互いに埋め合うことができる。
したがって、多数の櫛10を集積する場合、所要の集積スペースが抑えられ、コンパクトに集積できる。これによって、多数の櫛10を保管、運搬等する際のコストを低減できる。
【0021】
櫛組体1の第1櫛10A及び第2櫛10Bどうしを分離する際は、櫛組体1の面内において、第1櫛10A及び第2櫛10Bを互いの対向方向とは逆側へ引くか、第1櫛10A及び第2櫛10Bを面外方向(図3の紙面直交方向)の互いに逆側へ押す。これによって、第1櫛10A及び第2櫛10Bの櫛歯30A,30Bどうしの噛み合いが解除されて、第1櫛10A及び第2櫛10Bを互いに分離できる。
【0022】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、櫛手元凹部42が親歯32より大きくてもよい。
櫛組体1における、第1櫛10Aの櫛手元凹部42Aの内縁と第2櫛10Bの親歯32Bの外縁の間に多少の隙間が形成されていてもよく、第1櫛10Aの親歯32Aの外縁と第2櫛10Bの櫛手元凹部42Bの内縁との間に多少の隙間が形成されていてもよい。
さらに、櫛組体1における第1櫛10A及び第2櫛10Bの互いに噛み合う櫛歯30A,30Bどうしの間に多少の隙間が形成されていてもよい。
櫛10における櫛歯30の複数の歯31どうしの形状寸法が多少異なっていてもよい。複数の歯間隙間41どうしの形状寸法が多少異なっていてもよい。例えば、櫛10の長手方向の両側の歯間隙間41の深さ(根元31dの位置)が、長手方向の両側の歯間隙間41の深さより浅くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、髪を梳いたり整えたりする櫛の製造、保管、運搬等に適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 櫛組体
10 櫛
10A 第1櫛
10B 第2櫛
11 柄部
12 棟側縁
13 歯先側縁(歯先が向く側縁)
14 半円形状の切り欠き状の凹部
20 櫛部
21 棟部
30 櫛歯
31 歯
31d 根元
31e 歯先
32 親歯
40 櫛内空間(デッドスペース)
41 歯間隙間
42 櫛手元凹部
図1
図2
図3