(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080787
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】給油認証システム
(51)【国際特許分類】
B67D 7/32 20100101AFI20240610BHJP
【FI】
B67D7/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194018
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】田中 和則
(72)【発明者】
【氏名】瀧 小緒里
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA01
3E083AB15
3E083AB20
3E083AC28
3E083AD29
3E083AD30
(57)【要約】
【課題】燃料油を容器に給油する際に必要な本人確認等の手間を省きつつ、信頼性の高い認証を行うことのできる給油認証システムを提供する。
【解決手段】本人確認情報が入力され、認証キー取得要求と、給油所内に存在することを示す識別情報を出力する携帯端末2と、携帯端末から認証キー取得要求が入力されると、識別情報に基づいて認証キー情報を生成して携帯端末に出力するサーバ5とを備える給油認証システム1。携帯端末はサーバより出力された認証キー情報を表示し、携帯端末に表示された認証キー情報は給油所機器(給油許可装置3等)で読み取られてサーバへ出力され、給油所機器で読み取った認証キー情報が、携帯端末からの認証キー取得要求により生成された認証キー情報と一致しており、かつ、生成された認証キー情報が有効期限内である場合に、サーバ内において認証を許可することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人確認情報が入力され、認証キー取得要求と、給油所内に存在することを示す識別情報を出力する携帯端末と、
該携帯端末から前記認証キー取得要求が入力されると、前記識別情報に基づいて認証キー情報を生成して前記携帯端末に出力するサーバとを備えることを特徴とする給油認証システム。
【請求項2】
前記携帯端末は前記サーバより出力された前記認証キー情報を表示し、
前記携帯端末に表示された前記認証キー情報は給油所機器で読み取られて前記サーバへ出力され、
前記給油所機器で読み取った前記認証キー情報が、前記携帯端末からの前記認証キー取得要求により生成された認証キー情報と一致しており、かつ、前記生成された認証キー情報が有効期限内である場合に、前記サーバ内において認証を許可することを特徴とする請求項1に記載の給油認証システム。
【請求項3】
前記サーバ内において認証が許可されると、前記給油所機器は給油装置に給油許可信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の給油認証システム。
【請求項4】
前記給油所機器は、給油許可装置、POS、給油装置又は外設機であることを特徴とする請求項2又は3に記載の給油認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行缶等への給油の際に必要な本人確認等の手間を省きつつ、信頼性の高い認証を行うことのできる給油認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料油を携行缶等の容器に給油する装置として、本出願人は特許文献1、2において、長年の使用によっても油漏れを起こす虞が少ないノズル機構を備えた給油装置や、効率よく携行缶等へ給油ができる給油装置を提案している。
【0003】
一方、令和元年7月に発生した京都府京都市伏見区の爆発火災を受け、同様の事案の発生を抑止するため、危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令(令和元年総務省令第67号)により、ガソリンを販売するため容器に詰め替えるときは、顧客の本人確認、使用目的の確認及び販売記録の作成を行うこととされたが、令和3年12月に大阪市北区において、多数の死傷者を伴うビル火災が発生するなど、不審者への販売を完全には防ぎきれていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-264999号公報
【特許文献2】特開平11-91887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、燃料油(特にガソリン)を容器(携行缶等)に給油する際に必要な本人確認等の手間を省きつつ、信頼性の高い認証を行うことのできる給油認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は給油認証システムであって、本人確認情報が入力され、認証キー取得要求と、給油所内に存在することを示す識別情報を出力する携帯端末と、該携帯端末から前記認証キー取得要求が入力されると、前記識別情報に基づいて認証キー情報を生成して前記携帯端末に出力するサーバとを備えることを特徴とする。ここで、本人確認情報は顧客の住所、氏名等である。また、識別情報にはGPS情報の他、会員コード情報、今回使用目的等を含めることができる。
【0007】
本発明によれば、予め顧客の携帯端末に本人確認情報を入力しておくことで燃料油を容器に給油する際に必要な本人確認等の手間を省くことができると共に、識別情報と認証キー情報の活用により、他人になりすまして不正な給油を行うことを防止し、信頼性の高い認証が可能となる。
【0008】
上記給油認証システムにおいて、前記携帯端末は前記サーバより出力された前記認証キー情報を表示し、前記携帯端末に表示された前記認証キー情報は給油所機器で読み取られて前記サーバへ出力され、前記給油所機器で読み取った前記認証キー情報が、前記携帯端末からの前記認証キー取得要求により生成された認証キー情報と一致しており、かつ、前記生成された認証キー情報が有効期限内である場合に、前記サーバ内において認証を許可することができ、これによってより信頼性の高い認証を行うことができる。
【0009】
また、前記サーバ内において認証が許可されると、前記給油所機器が給油装置に給油許可信号を出力してもよく、前記給油所機器には給油許可装置、POS、給油装置又は外設機が含まれる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、燃料油を容器に給油する際に必要な本人確認等の手間を省きつつ、信頼性の高い認証を行うことのできる給油認証システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る給油認証システムの一実施形態の構成及び動作の説明図である。
【
図2】
図1の給油認証システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る給油認証システムの一実施の形態を示し、この給油認証システム1は、顧客が所持する携帯端末2と、給油所スタッフが所持する給油許可装置3と、POS端末(以下「POS」という。)4と、クラウドを構成するサーバ5と、給油装置6とで構成される。
【0014】
携帯端末2には、この給油認証システム用のアプリケーションソフト(以下「アプリ」という。)がインストールされ、インストールされたアプリを用いて顧客は購入する油の使用目的や、希望購入数量等を入力する。また、後述する認証キー情報等の表示もアプリ上で行うことができる。
【0015】
給油許可装置3は、携帯端末等であって、携帯端末2の認証キー情報を読み取ったり、サーバ5から認証許可を受けた際に給油装置6に給油許可信号を出力するために設けられる。
【0016】
POS4は、給油所の事務所内に配置され、給油毎の売上げ管理や、日報及び月報の管理、給油許可管理等を行う。
【0017】
サーバ5は、インターネットを介して携帯端末2、給油許可装置3及びPOS4と通信可能であって、サーバ5には、表1に示すように、会員情報として、顧客の会員コード、氏名、住所、本人確認情報、販売履歴、パスワード情報、パスワード発行日時、今回の使用目的が記録される。本人確認情報には運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、社員証等の情報が含まれ、販売履歴には年月日、使用目的等が含まれる。
【0018】
【0019】
給油装置6は、顧客が燃料油を携行缶等の容器に給油するために給油所に設置され、給油操作等を行うための外設機が外設され、燃料油の給油系統等の他、給油の際に必要な表示器等を備え、POS4に接続される。
【0020】
次に、上記構成を有する給油認証システム1の動作について、
図2を中心に参照しながら説明する。尚、
図2のルートが分岐するステップにおいては、下方向がYes、横方向がNoに対応する。
【0021】
顧客は、事前に携帯端末2を用いて自分の住所、氏名、本人確認情報(運転免許証等の情報)を入力してサーバ5に出力することで、これらの情報はサーバ5上で管理される。
【0022】
顧客の携帯端末2のステップS1において、使用目的及び希望数量の入力があると(ステップS1;Yes)、携帯端末2は、認証キーの取得要求と共に、GPS情報、会員コード情報、今回の使用目的に関する情報をサーバ5に出力する(ステップS2)。これによって、省令で定められている顧客の本人確認、使用目的の確認を行うことができる。
【0023】
サーバ5のステップS21において、携帯端末2から認証キー取得要求等が入力されると(ステップS21;Yes)、サーバ5はデータベースに登録情報が存在するか否かを判断し(ステップS22)、登録情報が存在する場合には(ステップS22;Yes)、今回の使用目的情報が存在するか否かを判断する(ステップS23)。ステップS23で今回の使用目的情報が存在する場合には(ステップS23;Yes)、携帯端末2からのGPS情報から、携帯端末2の現在位置が給油所内にあるか否かを判断し(ステップS24)、現在位置が給油所内の場合には(ステップS24;Yes)、認証キー情報を生成して携帯端末2に出力する(ステップS25)。携帯端末2の現在位置が給油所内にあること、すなわち顧客が給油所内にいることを確認した上で認証キー情報を生成することで、なりすましを防止することができる。
【0024】
一方、ステップS22において、サーバ5のデータベースに携帯端末2から登録情報が存在しない場合には(ステップS22;No)、サーバ5は携帯端末2にアプリへの登録要求を出力し(ステップS31)、動作を終了する。また、ステップS23で携帯端末2からの情報に今回の使用目的情報が存在しない場合には(ステップS23;No)、携帯端末2に使用目的の入力要求を出力し(ステップS32)、動作を終了する。さらに、ステップS24において、携帯端末2の現在位置が給油所内にない場合には(ステップS24;No)、携帯端末2に給油所内で作業を行うように要求する信号を出力し(ステップS33)、動作を終了する。また、上記各要求が入力された携帯端末2は、その旨を顧客に報知し(ステップS7)、動作を終了する。
【0025】
携帯端末2のステップS3において、サーバ5から認証キー情報が入力されると(ステップS3;Yes)、携帯端末2は、認証キー情報、今回使用目的及び希望購入数量を表示部に表示する(ステップS4)。給油許可装置3は、携帯端末2に表示された認証キー情報を読み取り(ステップS11;Yes)、読み取った認証キー情報をサーバ5に出力する(ステップS12)。
【0026】
サーバ5は、給油許可装置3から認証キー情報の入力があると(ステップS26;Yes)、その認証キー情報がステップS25で生成したものと一致しているか、またその認証キー情報が有効期限内用に発行されたものか否かを判断し(ステップS27)、認証キー情報が一致しており、有効期限内用に発行されたものである場合には(ステップS27;Yes)、給油許可装置3に認証許可を出力する(ステップS28)。上記有効期限は、例えば認証キー情報の生成から10分に設定される。
【0027】
一方、認証キー情報が一致していないか、有効期限内用に発行されたものでない場合には(ステップS27;No)、サーバ5は認証キー再発行要求を給油許可装置3と携帯端末2に出力し(ステップS34)、動作を終了する。給油許可装置3は、サーバ5から認証キー再発行要求が入力されると、認証不許可を報知し(ステップS19)、動作を終了する。また、携帯端末2は、サーバ5から認証キー再発行要求が入力されると(ステップS5;Yes)、顧客に認証キーを再発行するよう報知し(ステップS6)、動作を終了する。
【0028】
給油許可装置3のステップS13において、サーバ5からの認証許可が入力されると(ステップS13;Yes)、給油許可装置3は給油許可ボタンを表示し(ステップS14)、給油許可ボタンが押下されると(ステップS15;Yes)、給油装置6に給油許可信号を出力する(ステップS16)。給油装置6は、給油許可装置3からの給油許可信号が入力されると(ステップS41;Yes)、給油を開始し(ステップS42)、給油が終わると、給油許可装置3に給油量を含む給油終了情報を出力し(ステップS43)、動作を終了する。
【0029】
給油許可装置3は、給油装置6から給油終了情報が入力されると(ステップS17;Yes)、サーバ5に販売確定情報を出力する(ステップS18)。給油許可装置3から販売確定情報が入力されたサーバ5は(ステップS29;Yes)、販売履歴を更新し、認証キー情報、認証キー発行日時、今回の使用目的をクリアし(ステップS30)、動作を終了する。サーバ5上に保存される販売履歴は、販売日、用途、販売量、給油所名である。
【0030】
尚、上記動作説明ではPOS4に関する動作を省略し、給油許可装置3からサーバ5へ販売確定情報が出力されているが、これと同時に給油許可装置3からPOS4へも販売確定情報を出力し、POS4にて販売日、用途、販売量、販売金額等の売上データを管理することができる。
【0031】
また、給油装置6から給油許可装置3へ給油終了情報が出力されているが、従来の給油所システム同様に給油装置6からPOS4へも給油終了情報を出力し、POS4にて販売日、用途、販売量、販売金額等の売上データを管理することもできる。
【0032】
以上のように、これまでは給油所ごとに本人確認情報や販売履歴を保存し、各給油所で本人か否かの確認を毎回行ったり、販売履歴の管理をする必要があったが、本発明では、本人確認情報がサーバ5上に保存されているため、本発明の給油認証システム1を利用している給油所であれば、どこでも本人確認書類の提示を毎回行う必要はなく、また、給油所内で販売履歴の保存が不要となったため、販売履歴の管理が容易となり、給油所スタッフの業務負荷軽減が期待される。また、給油所スタッフの本来業務である給油作業や給油許可作業等に専念することができ、給油所の安全性がさらに向上する。
【0033】
さらに、本発明の給油認証システム1を利用している給油所であればどこでも本人確認のための書類等への記入が不要となるため、顧客の利便性の向上にもつながり、サーバ5で管理されているデータに行政システムからアクセスすることで、犯罪の抑制や早期解決にもつながる。
【0034】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0035】
1 給油認証システム
2 (顧客の)携帯端末
3 (給油所スタッフの)給油許可装置
4 POS
5 サーバ
6 給油装置