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  • 特開-古紙再生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080789
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】古紙再生装置
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/732 20120101AFI20240610BHJP
【FI】
D04H1/732
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194021
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】堀子 由季浩
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA08
4L047AB02
4L047AB06
(57)【要約】
【課題】漏水の発生を抑制する古紙再生装置を提供すること。
【解決手段】古紙再生装置1は、古紙CからシートP3を製造し、古紙Cを解繊して繊維にする解繊部31と、繊維を堆積させて圧縮し、帯状のシートP1にする第3ユニット群103と、古紙再生装置1の所定の領域を加湿する第2加湿部66と、堆積部50にて堆積された繊維を加湿する第1加湿部65と、を備え、第1加湿部65は、第2加湿部66の上方に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
古紙から再生紙を製造する古紙再生装置であって、
前記古紙を解繊して繊維にする乾式解繊機と、
前記繊維を堆積させて圧縮し、前記再生紙にするシート形成部と、
前記古紙再生装置の所定の領域を加湿する気化式加湿器と、
前記シート形成部にて堆積された前記繊維を加湿するミスト式加湿器と、を備え、
前記ミスト式加湿器は、前記気化式加湿器の上方に配置される、ことを特徴とする古紙再生装置。
【請求項2】
解繊される前記古紙を貯留するバッファータンクと、
解繊された前記繊維を分別する分離部と、
前記シート形成部に含まれ、分別された前記繊維を堆積させる堆積部と、を備え、
前記所定の領域は、前記バッファータンク、前記分離部、および前記堆積部のうちの1つ以上である、請求項1に記載の古紙再生装置。
【請求項3】
前記ミスト式加湿器の直下、および前記気化式加湿器の下方のうち、少なくとも1箇所に防水パンを備える、請求項1に記載の古紙再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古紙再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繊維を含む古紙などを空気中で解繊して再生する古紙再生装置が知られていた。該装置には、解繊された繊維の帯電抑制や成形に用いる結着材への加湿などの用途で、加湿器を備えるものがある。例えば、特許文献1には、気化式加湿ユニットとミスト式加湿ユニットとを備える古紙再生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2018/043065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、ミスト式加湿ユニットに起因する漏水の発生を抑制することが難しいという課題があった。詳しくは、気化式加湿器は、含水させたフィルターなどに風を当てて蒸気を発生させる。ミスト式加湿器は、超音波素子の振動によってミストを発生させる。そのため、ミスト式加湿器は、気化式加湿器と比べて、加湿器周辺に結露が発生し易い。結露が過度に発生すると、漏水が発生し易くなる可能性があった。すなわち、漏水の発生を抑制する古紙再生装置が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
古紙再生装置は、古紙から再生紙を製造する古紙再生装置であって、前記古紙を解繊して繊維にする乾式解繊機と、前記繊維を堆積させて圧縮し、前記再生紙にするシート形成部と、前記古紙再生装置の所定の領域を加湿する気化式加湿器と、前記シート形成部にて堆積された前記繊維を加湿するミスト式加湿器と、を備え、前記ミスト式加湿器は、前記気化式加湿器の上方に配置される、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る古紙再生装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の実施形態では、乾式にて古紙から再生紙を製造する古紙再生装置1を例示し、図面を参照して説明する。本明細書において乾式とは、液体中で実施されずに、大気などの空気中で実施されることをいう。
【0008】
以下の図においては、相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。Z軸は鉛直方向に沿う仮想軸であって+Z方向を上方とし、-Z方向を下方とする。-Z方向は重力が作用する方向である。また、古紙再生装置1において、原料、ウェブ、およびシートなどの搬送方向の先を下流、搬送方向を遡る側を上流ということもある。図示の便宜上、各部材の大きさを実際とは異ならせている。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る古紙再生装置1は、第1ユニット群101、第2ユニット群102、および第3ユニット群103を有する。第1ユニット群101、第2ユニット群102、および第3ユニット群103は、図示しないフレームに支持される。なお、図1において、古紙C、シートP3、スリット片S、および端材などが移動する方向を白抜きの矢印で示している。
【0010】
古紙再生装置1は古紙CからシートP3を製造する。古紙再生装置1では、-X方向からの側面視にて、-Y方向から+Y方向に向かって、第1ユニット群101、第3ユニット群103、および第2ユニット群102が配置される。
【0011】
古紙Cは、第1ユニット群101から、第3ユニット群103内を横断する配管21を介して第2ユニット群102へ搬送される。そして古紙Cは、第2ユニット群102にて解繊などが施されて繊維と成ってから、結着材などを含む混合物とされる。混合物は、配管24を介して第3ユニット群103へ搬送される。混合物は、第3ユニット群103にてウェブWとされてから、帯状のシートP1に成形される。帯状のシートP1は、第1ユニット群101にて切断されてシートP3と成る。
【0012】
第1ユニット群101は、バッファータンク13、定量供給部15、合流部17、および配管21を有する。第1ユニット群101では、上流から下流に向かって、これらの構成が上記の順番にて配置される。また、第1ユニット群101は、第1切断部81、第2切断部82、トレイ91、および細断部95も有する。第1切断部81および第2切断部82は、帯状のシートP1を所定の形状のシートP3に切断する。さらに、第1ユニット群101は給水部67を有する。給水部67は貯水タンクである。給水部67は、後述する第1加湿部65および第2加湿部66の各々へ、図示しない給水管にて加湿用の水を供給する。
【0013】
古紙Cは、原料投入口11からバッファータンク13へ投入される。古紙Cは、セルロースなどの繊維を含み、例えば細断された古紙の紙片である。バッファータンク13の内部には、第3ユニット群103に備わる第2加湿部66から、加湿された空気が供給される。
【0014】
解繊される古紙Cは、バッファータンク13にて一時的に貯留された後、古紙再生装置1の稼働に応じて定量供給部15へ搬送される。古紙再生装置1は、バッファータンク13の上流側に、古紙などを細断するシュレッダーを備えてもよい。
【0015】
定量供給部15は、計量器15a、および図示しない供給機構を有する。計量器15aは古紙Cの質量を計量する。供給機構は、計量器15aにて計量された古紙Cを、下流の合流部17に供給する。すなわち、定量供給部15は、計量器15aにて古紙Cを所定の質量毎に計量して、供給機構にて下流の合流部17へ供給する。
【0016】
計量器15aには、デジタル式およびアナログ式の何れの計量機構も適用可能である。具体的には、計量器15aとして、ロードセルなどの物理センサー、およびバネ秤や天秤などが挙げられる。本実施形態では計量器15aとしてロードセルを用いる。計量器15aが古紙Cを計量する所定の質量とは、例えば、数gから数10g程度である。
【0017】
供給機構には、振動式フィーダーなどの公知の技術を適用可能である。供給機構は、計量器15aに含まれる構成であってもよい。
【0018】
定量供給部15での古紙Cの計量および供給はバッチ処理である。すなわち、定量供給部15から合流部17への古紙Cの供給は、間欠的に実施される。定量供給部15は、計量器15aを複数有してもよく、複数の計量器15aを時差稼働させて、計量の効率を向上させてもよい。
【0019】
合流部17では、定量供給部15から供給される古紙Cに対して、細断部95から供給されるスリット片Sの細断片が合流して混合される。スリット片Sおよび細断部95については後述する。上記細断片が混合された古紙Cは、合流部17から配管21へと流入する。
【0020】
配管21は、図示しないブロアーが発生させる気流によって、古紙Cを第1ユニット群101から第2ユニット群102へ搬送する。
【0021】
第2ユニット群102は、乾式解繊機である解繊部31、分離部32、配管23、混合部33、および配管24を有する。第2ユニット群102では、上流から下流に向かって、これらの構成が上記の順番にて配置される。また、第2ユニット群102は、分離部32に接続される配管25、回収部35、コンプレッサー38、および電源部39も有する。
【0022】
配管21を搬送された古紙Cは、解繊部31に流入する。解繊部31は、定量供給部15から供給される古紙Cを乾式にて解繊して繊維にする。解繊部31には、公知の解繊機構が適用可能である。
【0023】
解繊部31としては、例えば以下の構成が挙げられる。解繊部31は、ステーターおよびローターを備える。ステーターは略円筒状の内側面を有する。ローターは、ステーターの内部に設置されて、ステーターの内側面に沿って回転する。古紙Cの細片は、ステーターの内側面とローターとの間に挟まれて、これらの間に生じるせん断力によって解繊される。これにより、古紙Cは、紙片に含まれる絡まった繊維が解きほぐされる。古紙Cは繊維とされて分離部32に搬送される。
【0024】
分離部32は解繊された繊維を分別する。詳しくは、分離部32は、繊維に含まれる、シートP3の製造に不要な成分を取り除く。具体的には、分離部32は、比較的に長い繊維と、比較的に短い繊維とを分別する。比較的に短い繊維は、シートP3の強度低下を招く場合があるため、分離部32にて分別される。また、分離部32は、古紙Cに含まれる色材や添加剤なども分別して排除する。分離部32には、円盤メッシュ方式などの公知の技術が適用可能である。
【0025】
分離部32の内部には、第3ユニット群103の第2加湿部66から加湿された空気が供給される。
【0026】
解繊された繊維は、比較的に短い繊維などが排除されて、配管23を介して混合部33へ搬送される。比較的に短い繊維や色材などの不要分は、配管25を介して回収部35へ排出される。
【0027】
混合部33は、繊維に結着材などを空気中で混合して混合物とする。図示を省略するが、混合部33は、繊維が搬送される流路、ファン、ホッパー、供給管、およびバルブを備える。
【0028】
ホッパーは、供給管を介して繊維の流路に連通する。バルブは、ホッパーと流路との間の供給管に設けられる。ホッパーは、でんぷんなどの結着材を流路内へ供給する。バルブは、ホッパーから流路に供給される結着材の質量を調整する。これにより、繊維と結着材との混合比が調整される。
【0029】
混合部33は、結着材を供給する上記構成の他に、色材や添加剤などを供給する同様な構成を備えてもよい。
【0030】
混合部33のファンは、発生させる気流により、繊維を下流へ搬送しながら結着材などを空気中で混入させて混合物とする。混合物は、混合部33から配管24へ流入する。
【0031】
回収部35は、図示しないフィルターを備える。フィルターは、配管25を気流にて搬送された比較的に短い繊維などの不要分を濾し取る。
【0032】
コンプレッサー38は圧縮空気を生成する。上記フィルターでは、不要分のうちの微細な粒子などによって目詰まりが生じる場合がある。コンプレッサー38が生成する圧縮空気をフィルターに吹き付けて、付着した粒子を吹き飛ばしてフィルターをクリーニングすることが可能である。
【0033】
電源部39は、図示しない制御部、および古紙再生装置1に電力を供給する電力供給装置を含む。電源部39は、外部から供給される電力を古紙再生装置1の各構成に分配する。制御部は、古紙再生装置1の各構成の稼働を統合的に制御する。
【0034】
第3ユニット群103は、繊維を含む混合物を堆積させて圧縮し、再生紙である帯状のシートP1に成形する。第3ユニット群103は、本発明のシート形成部の一例である。
【0035】
第3ユニット群103は、堆積部50、第1搬送部61、第2搬送部62、気化式加湿器である第1加湿部65、ミスト式加湿器である第2加湿部66、排水部68、および成形部70を含む。第3ユニット群103では、上流から下流に向かって、堆積部50、第1搬送部61、第2搬送部62、第1加湿部65、および成形部70が、上記の順番にて配置される。第2加湿部66は、第1加湿部65の下方に配置される。
【0036】
堆積部50は、分別された繊維が含まれる混合物を空気中で堆積させてウェブWを生成する。堆積部50は、ドラム部材53、ドラム部材53内に設置される羽根部材55、ドラム部材53を収容するハウジング51、吸引部59を有する。混合物は、配管24からドラム部材53の内部に取り込まれる。
【0037】
堆積部50の下方には、第1搬送部61が配置される。第1搬送部61は、メッシュベルト61a、メッシュベルト61aを張架する図示しない5つの張架ローラーを有する。吸引部59は、Z軸に沿う方向において、メッシュベルト61aを挟んでドラム部材53と対向する。
【0038】
羽根部材55は、ドラム部材53の内部にあって、図示しないモーターによって回転駆動される。ドラム部材53は半円柱状の篩である。ドラム部材53の下方を向く側面には、篩の機能を有する網が設けられる。ドラム部材53は、篩の網の目開きの大きさより小さい繊維や混合物などの粒子を、内部から外側に通過させる。
【0039】
混合物は、ドラム部材53内において、回転する羽根部材55に撹拌されながらドラム部材53の外側に放出される。ドラム部材53の内部には、第2加湿部66から加湿された空気が供給される。
【0040】
吸引部59はドラム部材53の下方に配置される。吸引部59は、メッシュベルト61aが有する複数の穴を介して、ハウジング51内の空気を吸引する。メッシュベルト61aの複数の穴は、空気を通し、混合物に含まれる繊維や結着材などを通し難い。これにより、ドラム部材53の外側に放出された混合物は、空気と共に下方に吸引される。吸引部59はブロアーなどの公知の吸引装置である。
【0041】
混合物は、ハウジング51内の空気中に分散されて、重力と吸引部59の吸引によって、メッシュベルト61aの上方の面に堆積してウェブWとなる。
【0042】
メッシュベルト61aは、無端ベルトであって、5つの張架ローラーによって張り架けられる。メッシュベルト61aは、張架ローラーの自転によって、図1において反時計回りに回動する。これにより、メッシュベルト61aに連続して混合物が堆積し、ウェブWが形成される。ウェブWは、空気を比較的に多く含み、柔らかく膨らんでいる。第1搬送部61は、形成されたウェブWを、メッシュベルト61aの回動により下流へ搬送する。
【0043】
第2搬送部62は、第1搬送部61の下流において、第1搬送部61に代わってウェブWを搬送する。第2搬送部62は、メッシュベルト61aの上方の面からウェブWを剥離させて、成形部70に向けて搬送する。第2搬送部62は、ウェブWの搬送経路の上方にあって、メッシュベルト61aのリターン側の起点よりもやや上流側に配置される。第2搬送部62の+Y方向と、メッシュベルト61aの-Y方向とは、鉛直方向において一部が重なる。
【0044】
第2搬送部62は、図示しない輸送ベルト、複数のローラー、およびサクション機構を有する。輸送ベルトには空気を通す複数の穴が設けられる。輸送ベルトは、複数のローラーによって張り架けられ、ローラーの回転により回動する。
【0045】
第2搬送部62は、サクション機構が発生させる負圧により、ウェブWの上方の面を輸送ベルトの下方の面に吸着させる。この状態にて輸送ベルトが回動することによって、ウェブWは、輸送ベルトに吸着されて下流へ搬送される。
【0046】
第1加湿部65は、第3ユニット群103の堆積部50にて堆積された繊維が含まれるウェブWを加湿する。詳しくは、第1加湿部65は、第2搬送部62によって搬送されるウェブWへ下方からミストMを供給して加湿する。第1加湿部65は、第2搬送部62の下方に配置され、第2搬送部62が搬送するウェブWとZ軸に沿う方向に対向する。第1加湿部65には、例えば超音波式などの公知の加湿装置が適用可能である。
【0047】
第1加湿部65では、ミスト式加湿器に由来して過飽和状態の水分が発生する。そのため、ミストMが生じる付近の部材に結露が生じ易い。結露が顕著となると、部材の隙間などを伝って水滴が古紙再生装置1の底部へ降下する場合がある。また、超音波式の加湿装置では、水槽中に振動子が設置されるため、振動子が取り付けられる部位のシール性が低下すると、上記部位から漏水が発生する可能性もあった。これに対して、古紙再生装置1では、第1加湿部65の下方に第2加湿部66が配置されるため、水滴の降下や漏水が発生しても第2加湿部66にてせき止められる。
【0048】
ウェブWがミストMにて加湿されることにより、でんぷんの結着材としての機能が促進されて、シートP3の強度が向上する。また、ウェブWに対して下方から加湿するため、ミスト由来の雫のウェブWへの落下が防止される。さらに、輸送ベルトとウェブWとの接触面の反対側から加湿するため、輸送ベルトに対するウェブWの貼り付きが低減される。第2搬送部62はウェブWを成形部70へ搬送する。
【0049】
成形部70は、ウェブWを加熱および加圧して帯状のシートP1に成形する。成形部70は、一対の加熱ローラー71,72を有する。一対の加熱ローラー71,72の各々は、電熱ヒーターを内蔵し、ローラー表面を加熱する機能を有する。
【0050】
一対の加熱ローラー71,72の間へ、ウェブWを連続的に通過させることにより、ウェブWが加熱されながらプレス加工される。これにより、比較的に空気を多く含んで柔らかいウェブWから、内包する空気が低減されると共に結着材によって繊維同士が結着されて、帯状のシートP1が成形される。帯状のシートP1は、図示しない搬送ローラーにより、第1ユニット群101へ搬送される。
【0051】
第2加湿部66は、第1加湿部65の下方に配置される。第2加湿部66には、公知の気化式の加湿装置が適用可能である。気化式の加湿装置としては、例えば、湿らせた不織布などに風をあてて水分を気化させ、加湿した空気を発生させるものが挙げられる。第2加湿部66にて加湿された空気は、水分が過飽和状態ではないため、周辺の部材に結露が発生し難い。
【0052】
第2加湿部66は、古紙再生装置1の所定の領域を加湿する。所定の領域とは、バッファータンク13、分離部32,および堆積部50のドラム部材53内のうちの1つ以上である。具体的には、図示しない複数の管を介して、第2加湿部66から上記領域へ加湿された空気が供給される。加湿された空気は、上記の各構成において、古紙Cや繊維などの帯電を抑制して、これらの静電気による部材への付着を抑える。
【0053】
古紙再生装置1は、第1加湿部65の直下、および第2加湿部66の下方のうち、少なくとも1箇所以上に防水パンを備えてもよい。詳しくは、第1加湿部65の直ぐ下方に防水パン105を設置してもよく、第2加湿部66の下方に防水パン106を設置してもよい。防水パン105,106は、一定量の液体の貯留が可能な、上方が解放された箱である。これにより、漏水の発生をさらに抑えることができる。なお、防水パン105,106には漏水センサーが付設されてもよい。
【0054】
排水部68は排水タンクである。排水部68は、第1加湿部65および第2加湿部66などで使用され、古くなった水分を集めて貯留する。排水部68は、必要に応じて古紙再生装置1から取り外して、溜まった水を廃棄することが可能である。排水部68には、防水パン105,106に溜まった水が集められてもよい。
【0055】
第1ユニット群101に搬送される帯状のシートP1は、第1切断部81に至る。第1切断部81は、帯状のシートP1を搬送方向と交差する方向、例えばX軸に沿う方向に切断する。帯状のシートP1は、第1切断部81にて単票状のシートP2に切断される。単票状のシートP2は、第1切断部81から第2切断部82へ搬送される。
【0056】
第2切断部82は、単票状のシートP2を搬送方向、例えばY軸に沿う方向に切断する。詳しくは、第2切断部82は、単票状のシートP2において、X軸に沿う方向の両側の辺近傍を切断する。これにより、単票状のシートP2は、A4判やA3判などの所定の形状のシートP3と成る。シートP3は、斜め上方に搬送されてトレイ91に集積される。シートP3は、例えばコピー用紙などの代替品として適用可能である。
【0057】
第2切断部82にて、単票状のシートP2をシートP3に切断する際に、端材であるスリット片Sが生じる。スリット片Sは、略-Y方向へ搬送されてシュレッダーである細断部95に至る。細断部95は、スリット片Sを細断して細断片として、合流部17へ供給する。細断部95と合流部17との間には、スリット片Sの細断片を計量して合流部17へ供給する機構が設置されてもよい。
【0058】
本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0059】
漏水の発生を抑制することができる。詳しくは、第1加湿部65の周辺に発生した結露が滴となって垂れても、第2加湿部66によって受け止められる。そのため、第2加湿部66より下方に滴が垂れ難くなり、古紙再生装置1の底部からの漏水の発生が抑えられる。したがって、漏水の発生を抑制する古紙再生装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…古紙再生装置、13…バッファータンク、31…乾式解繊機としての解繊部、32…分離部、50…堆積部、65…ミスト式加湿器としての第1加湿部、66…気化式加湿器としての第2加湿部、103…シート成形部としての第3ユニット群、105,106…防水パン、C…古紙、P1…帯状のシート。
図1