(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080790
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】オプションバルブおよびバルブユニット
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
F16K27/00 B
F16K27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194022
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝
(72)【発明者】
【氏名】畑 直希
(72)【発明者】
【氏名】田中 良和
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA10
3H051BB02
3H051CC11
3H051CC14
3H051FF07
(57)【要約】
【課題】コンパクトなバルブブロックを実現することができる電磁比例弁を含むオプションバルブを提供する。
【解決手段】一実施形態に係るオプションバルブ4Aは、バルブブロック5と、バルブブロック5のスプール穴51内に位置するスプール52を含む。バルブブロック5は、第1接合面5a上の第1ドレンポート9aと、第2接合面5b上の第2ドレンポート9bを含む。さらに、オプションバルブ4Aは、バルブブロック5に取り付けられてスプール52の一端面が面する受圧室53を形成するバルブカバー61と、バルブカバー61に取り付けられた、受圧室53へ二次圧を出力する電磁比例弁7Aを含む。バルブブロック5およびバルブカバー61には、第1ドレンポート9aから電磁比例弁7Aを経由して第2ドレンポート9bに至るドレン通路9が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチコントロールバルブに取り付けられるオプションバルブであって、
特定方向に沿って互いに反対側を向く第1接合面および第2接合面、前記特定方向と直交する方向に延びるスプール穴、前記第1接合面上の第1ドレンポート、ならびに前記第2接合面上の第2ドレンポート、を含み、前記第1ドレンポートと前記第2ドレンポートとが前記特定方向において同じ位置に位置するバルブブロックと、
前記スプール穴内に位置するスプールと、
前記バルブブロックに取り付けられて前記スプールの一端面が面する受圧室を形成するバルブカバーと、
前記バルブカバーに取り付けられた、前記受圧室へ二次圧を出力する電磁比例弁と、を備え、
前記バルブブロックおよび前記バルブカバーには、前記第1ドレンポートから前記電磁比例弁を経由して前記第2ドレンポートに至るドレン通路が形成され、
前記電磁比例弁は、前記ドレン通路と連通するドレンポートを含む、オプションバルブ。
【請求項2】
前記受圧室は第1受圧室、前記バルブカバーは第1バルブカバー、前記電磁比例弁は第1電磁比例弁であり、
前記バルブブロックに取り付けられて、前記スプールの他端面が面する第2受圧室を形成する第2バルブカバーと、
前記第1バルブカバーに取り付けられた、前記第2受圧室へ二次圧を出力する第2電磁比例弁であって、前記ドレン通路と連通するドレンポートを含む第2電磁比例弁と、をさらに備える、請求項1に記載のオプションバルブ。
【請求項3】
少なくとも1つのバルブブロックおよび複数のスプールを含むマルチコントロールバルブと、
前記マルチコントロールバルブに取り付けられた、請求項1または2に記載のオプションバルブと、
を備える、バルブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オプションバルブに関するとともに、前記オプションバルブを含むバルブユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械では、標準仕様としての油圧アクチュエータ用のマルチコントロールバルブに、特別仕様としての油圧アクチュエータ用のオプションバルブが取り付けられることがある。例えば、走行式の油圧ショベルでは、標準仕様としての油圧アクチュエータは一対の走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ、アームシリンダおよびバケットシリンダであり、特別使用としての油圧アクチュエータは破砕機である。
【0003】
例えば、特許文献1には、
図7に示すように、マルチコントロールバルブ200とカバー400との間にオプションバルブ300が配置されたバルブユニット100が開示されている。なお、特許文献1では、バルブユニット100が「多連方向切換弁」、オプションバルブ300が「追加方向切換弁」と呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のオプションバルブ300は、マルチコントロールバルブ200のバルブブロック210と当接する第1接合面311およびカバー400と当接する第2接合面312を有するバルブブロック310を含む。つまり、第1接合面311および第2接合面312は特定方向に沿って互いに反対側を向いている。なお、特許文献1では、バルブブロック210が「弁本体」、バルブブロック310が「ハウジング」と呼ばれている。
【0006】
一般的に、バルブブロック310には、第1接合面311および第2接合面312と平行に延びる、換言すれば前記特定方向と直交する方向に延びるスプール穴が設けられ、前記スプール穴内にスプールが位置する。
【0007】
近年では、スプールを駆動する電磁比例弁を含むオプションバルブもある。この場合、オプションバルブのバルブブロックに、ドレン通路として第1接合面から第2接合面へ至るように貫通穴を設けることがある。このようにドレン通路を貫通穴で構成すれば、第1接合面上の第1ドレンポートと第2接合面上の第2ドレンポートが前記特定方向において同じ位置に位置するため、複数のオプションバルブを積み重ねたときに連続したドレン通路が形成される。
【0008】
しかし、ドレン通路を貫通穴で構成する場合であって貫通穴をスプール穴と立体交差するようにバルブブロックに設ける場合には、貫通穴とスプール穴の間の距離をある程度確保することが望まれる。このため、バルブブロックが大型化することがある。
【0009】
そこで、本開示は、コンパクトなバルブブロックを実現することができる電磁比例弁を含むオプションバルブ、および前記オプションバルブを含むバルブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、マルチコントロールバルブに取り付けられるオプションバルブであって、
特定方向に沿って互いに反対側を向く第1接合面および第2接合面、前記特定方向と直交する方向に延びるスプール穴、前記第1接合面上の第1ドレンポート、ならびに前記第2接合面上の第2ドレンポート、を含み、前記第1ドレンポートと前記第2ドレンポートとが前記特定方向において同じ位置に位置するバルブブロックと、前記スプール穴内に位置するスプールと、前記バルブブロックに取り付けられて前記スプールの一端面が面する受圧室を形成するバルブカバーと、前記バルブカバーに取り付けられた、前記受圧室へ二次圧を出力する電磁比例弁と、を備え、前記バルブブロックおよび前記バルブカバーには、前記第1ドレンポートから前記電磁比例弁を経由して前記第2ドレンポートに至るドレン通路が形成され、前記電磁比例弁は、前記ドレン通路と連通するドレンポートを含む、オプションバルブを提供する。
【0011】
また、本開示は、少なくとも1つのバルブブロックおよび複数のスプールを含むマルチコントロールバルブと、前記マルチコントロールバルブに取り付けられた、上記のオプションバルブと、を備える、バルブユニットを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、コンパクトなバルブブロックを実現することができる電磁比例弁を含むオプションバルブ、および前記オプションバルブを含むバルブユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係るオプションバルブを含むバルブユニットの分解斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係るオプションバルブを含むバルブユニットの断面図である。
【
図6】その他の実施形態に係るオプションバルブを含むバルブユニットの断面図である。
【
図7】従来のオプションバルブを含むバルブユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
図1および
図2に、第1実施形態に係るオプションバルブ4Aを2つ含むバルブユニット1Aを示す。ただし、バルブユニット1Aは、オプションバルブ4Aを1つだけ含んでもよいし、3つ以上のオプションバルブ4Aを含んでもよい。
【0015】
バルブユニット1Aは、オプションバルブ4Aの他にマルチコントロールバルブ2とエンドプレート11を含む。2つのオプションバルブ4Aはマルチコントロールバルブ2とエンドプレート11の間に積み重ねられた状態で配置されている。つまり、マルチコントロールバルブ2に隣接するオプションバルブ4Aはマルチコントロールバルブ2に直接的に取り付けられ、マルチコントロールバルブ2から離れたオプションバルブ4Aはマルチコントロールバルブ2に隣接するオプションバルブ4Aを介してマルチコントロールバルブ2に取り付けられる。
【0016】
マルチコントロールバルブ2は、少なくとも1つのバルブブロック21と、バルブブロック21に設けられた複数のスプール穴22内にそれぞれ位置する複数のスプール23を含む。本実施形態では、マルチコントロールバルブ2が1つのバルブブロック21を含み、バルブブロック21に、特定方向に沿って二列で並ぶようにスプール穴22が設けられている。ここでいう特定方向とは、
図2における左右方向である。つまり、スプール穴22は前記特定方向と直交する方向に延びている。
【0017】
ただし、マルチコントロールバルブ2は、本実施形態のバルブブロック21を前記特定方向に分割したような複数のバルブブロックを含んでもよい。また、スプール穴22は特定方向に沿って一列で並ぶようにバルブブロック21に設けられてもよい。
【0018】
図1中に二点鎖線で示すようにバルブブロック21をスプール穴22の間で区分けされた複数のセクションの集合体と考えると、1つのセクションおよびこれに対応するスプール23は、1つの油圧アクチュエータ用の1つのコントロールバルブを構成する。本実施形態では、全てのコントロールバルブが、双方向に作動する油圧アクチュエータ用である。ただし、コントロールバルブのうちの少なくとも1つが一方向に作動する油圧アクチュエータ用であってもよい。
【0019】
バルブブロック21は、前記特定方向に沿って互いに反対側を向く第1端面21aおよび第2端面21bと、スプール23の軸方向に沿って互いに反対側を向く第1側面21cおよび第2側面21dと、前記特定方向およびスプール23の軸方向と直交する方向に沿って互いに反対側を向く第3側面21eおよび第4側面21fを有する。
【0020】
第1端面21aには1つのポンプポート2aと1つのタンクポート2bが設けられており、第2端面21bには1つのポンプポート2aと2つのタンクポート2bが設けられている。第1端面21a上のポンプポート2aはポンプ接続用であり、第2端面21b上のポンプポート2aはオプションバルブ4Aへの作動油供給用である。同様に、第1端面21a上のタンクポート2bはタンク接続用であり、第2端面21b上のタンクポート2bはオプションバルブ4Aからの作動油排出用である。
【0021】
バルブブロック21には、第1端面21a上のポンプポート2aから第2端面21b上のポンプポート2aに至るポンプ通路が形成されているとともに、第1端面21a上のタンクポート2bから途中で分岐して第2端面21b上のタンクポート2bに至るタンク通路が形成されている。
【0022】
さらに、第3側面21eには一方の列のスプール穴22のそれぞれに対応して一対のアクチュエータポート2cが設けられているとともに、第4側面21fには他方の列のスプール穴22のそれぞれに対応して一対のアクチュエータポート2cが設けられている。各スプール20は、中立位置では対応する一対のアクチュエータポート2cをポンプ通路およびタンク通路から遮断し、中立位置から一方または他方に移動したときに、一対のアクチュエータポート2cの一方をポンプ通路と連通させるとともに他方をタンク通路と連通させる。
【0023】
本実施形態では、スプール穴22が第1側面21cと第2側面21dの間でバルブブロック21を貫通している。バルブブロック21の第1側面21cには、互いに平行に前記特定方向に延びる2つの第1バルブカバー31が取り付けられ、第2側面21dには、スプール穴22と同数の第2バルブカバー32が取り付けられている。
【0024】
各第1バルブカバー31は、対応する列のスプール穴22に挿入されたスプール23の一端面が面する複数の第1受圧室24を形成する。各第2バルブカバー32は、対応するスプール穴22に挿入されたスプール23の他端面が面する第2受圧室25を形成する。各第2受圧室25内には、スプール23を中立位置に維持するためのスプリング26が配置されている。なお、スプリング26回りの構成は公知のため、その詳細な説明は省略する。
【0025】
本実施形態では、スプール23ごとに一対の電磁比例弁33が第1バルブカバー31に取り付けられている。一方の電磁比例弁33は第1受圧室24へ二次圧を出力し、他方の電磁比例弁33は第2受圧室25へ二次圧を出力する。各電磁比例弁33は、一次圧ポート、二次圧ポートおよびドレンポートを含む。
【0026】
第1バルブカバー31におけるバルブブロック21の第1端面21aと同方向を向く端面には、パイロットポンプ接続用の一次圧ポート3aが設けられているとともに、タンク接続用のドレンポート3cが設けられている。さらに、バルブブロック21の第2端面21bには、オプションバルブ4Aへのパイロット油供給用の一次圧ポート3bが設けられているとともに、オプションバルブ4Aからのパイロット油排出用のドレンポート3dが設けられている。
【0027】
ただし、一次圧ポート3aおよびドレンポート3cの位置は適宜変更可能である。例えば、一次圧ポート3aおよびドレンポート3cは、第1バルブカバー31ではなく、バルブブロック21のいずれかの面に設けられてもよい。
【0028】
第1バルブカバー31およびバルブブロック21には、一次圧ポート3aから電磁比例弁33を経由して一次圧ポート3bに至る一次圧通路34が形成されているとともに、ドレンポート3cから電磁比例弁33を経由してドレンポート3dに至るドレン通路35が形成されている。電磁比例弁33の上述した一次圧ポートおよびドレンポートはそれぞれ一次圧通路34およびドレン通路35と連通する。また、スプール23ごとの一対の電磁比例弁33の上述したパイロットポートは、それぞれパイロット通路を介して第1受圧室24および第2受圧室25と連通する。
【0029】
本実施形態では、各オプションバルブ4Aもマルチコントロールバルブ2の各コントロールバルブと同様に、双方向に作動する油圧アクチュエータ用である。
【0030】
各オプションバルブ4Aは、バルブブロック5と、バルブブロック5に設けられたスプール穴51内に位置するスプール52を含む。スプール穴51は、マルチコントロールバルブ2のスプール穴22と平行であり、スプール穴22の並び方向である前記特定方向と直交する方向に延びている。
【0031】
バルブブロック5は、前記特定方向に沿って互いに反対側を向く第1接合面5aおよび第2接合面5bを有する。マルチコントロールバルブ2に隣接するオプションバルブ4Aのバルブブロック5の第1接合面5aはマルチコントロールバルブ2のバルブブロック21の第2端面21bと当接し、マルチコントロールバルブ2に隣接するオプションバルブ4Aのバルブブロック5の第2接合面5bはマルチコントロールバルブ2から離れたオプションバルブ4Aのバルブブロック5の第1接合面5aと当接する。また、マルチコントロールバルブ2から離れたオプションバルブ4Aのバルブブロック5の第2接合面5bはエンドプレート11と当接する。
【0032】
バルブブロック5は、さらに、スプール52の軸方向に沿って互いに反対側を向く第1側面5cおよび第2側面5dと、前記特定方向およびスプール52の軸方向と直交する方向に沿って互いに反対側を向く第3側面5eおよび第4側面5fを有する。
【0033】
第1接合面5aおよび第2接合面5bのそれぞれには1つのポンプポート4aと2つのタンクポート4bが設けられている。第1接合面5a上のポンプポート4aと第2接合面5b上のポンプポート4aとは前記特定方向において同じ位置に位置し、第1接合面5a上のタンクポート4bと第2接合面5b上のタンクポート4bとは前記特定方向において同じ位置に位置する。また、第1接合面5a上のポンプポート4aおよびタンクポート4bは、オプションバルブ4Aがマルチコントロールバルブ2に直接的に取り付けられたときに、マルチコントロールバルブ2のポンプポート2aおよびタンクポート2bとそれぞれ合致する。第2接合面5b上のポンプポート4aおよびタンクポート4bは、オプションバルブ4Aにエンドプレート11が直接的に取り付けられたときに、エンドプレート11で閉塞される。
【0034】
バルブブロック5には、第1接合面5a上のポンプポート4aから第2接合面5b上のポンプポート4aに至るポンプ通路が形成されているとともに、第1接合面5a上のタンクポート4bから第2接合面5b上のタンクポート4bに至る2つのタンク通路が形成されている。
【0035】
さらに、第3側面5eには一対のアクチュエータポート4cが設けられている。スプール52は、中立位置では一対のアクチュエータポート4cをポンプ通路およびタンク通路から遮断し、中立位置から一方または他方に移動したときに、一対のアクチュエータポート4cの一方をポンプ通路と連通させるとともに他方を一方のタンク通路と連通させる。
【0036】
本実施形態では、スプール穴51が第1側面5cと第2側面5dの間でバルブブロック5を貫通している。バルブブロック5の第1側面5cには第1バルブカバー61が取り付けられ、第2側面5dには第2バルブカバー62が取り付けられている。
【0037】
第1バルブカバー61はスプール52の一端面が面する第1受圧室53を形成し、第2バルブカバー62はスプール52の他端面が面する第2受圧室54を形成する。第2受圧室54内には、スプール52を中立位置に維持するためのスプリング55が配置されている。なお、スプリング55回りの構成は公知のため、その詳細な説明は省略する。
【0038】
本実施形態では、第1受圧室53へ二次圧を出力する第1電磁比例弁7Aと、第2受圧室54へ二次圧を出力する第2電磁比例弁7Bが第1バルブカバー61に取り付けられている。
図3および
図4に示すように、第1電磁比例弁7Aと第2電磁比例弁7Bのそれぞれは、一次圧ポート71、二次圧ポート72およびドレンポート73を含む。
【0039】
バルブブロック5の第1接合面5aには第1一次圧ポート8aおよび第1ドレンポート9aが設けられているとともに、第2接合面5bには第2一次圧ポート8bおよび第2ドレンポート9bが設けられている。
【0040】
第1接合面5a上の第1一次圧ポート8aと第2接合面5b上の第2一次圧ポート8bとは前記特定方向において同じ位置に位置し、第1接合面5a上の第1ドレンポート9aと第2接合面5b上の第2ドレンポート9bとは前記特定方向において同じ位置に位置する。また、第1接合面5a上の第1一次圧ポート8aおよび第1ドレンポート9aは、オプションバルブ4Aがマルチコントロールバルブ2に直接的に取り付けられたときに、マルチコントロールバルブ2の一次圧ポート3bおよびドレンポート3dとそれぞれ合致する。第2接合面5b上の第2一次圧ポート8bおよび第2ドレンポート9bは、オプションバルブ4Aにエンドプレート11が直接的に取り付けられたときに、エンドプレート11で閉塞される。
【0041】
バルブブロック5および第1バルブカバー61には、第1一次圧ポート8aから第2一次圧ポート8bに至る一次圧通路8が形成されている。第1電磁比例弁7Aおよび第2電磁比例弁7Bの上述した一次圧ポート71は一次圧通路8と連通する。
【0042】
本実施形態では、一次圧通路8が、両端が第1一次圧ポート8aおよび第2一次圧ポート8bを構成する、前記特定方向に平行な横穴81と、第1電磁比例弁7Aおよび第2電磁比例弁7Bの一次圧ポート71と対応する位置に存する横穴83と、横穴81,83同士を接続する縦穴82を含む。
【0043】
さらに、バルブブロック5および第1バルブカバー61には、第1ドレンポート9aから第1電磁比例弁7Aおよび第2電磁比例弁7Bを経由して第2ドレンポート9bに至るドレン通路9が形成されている。第1電磁比例弁7Aおよび第2電磁比例弁7Bの上述したドレンポート73はドレン通路9と連通する。
【0044】
本実施形態では、ドレン通路9が、第1ドレンポート9aから窪む横穴91と、第2ドレンポート9bから窪む横穴95と、第1電磁比例弁7Aおよび第2電磁比例弁7Bのドレンポート73と対応する位置に存する横穴93と、横穴91,93同士を接続する縦穴92と、横穴91,95同士を接続する縦穴94を含む。縦穴94は横穴93から横穴95を超えて第2側面5d近くまで延びており、ドレン通路9が、スプール穴51の両端近くでスプール穴51と縦穴94とを接続する2つの横穴96も含む。
【0045】
さらに、
図4に示すように、第1バルブカバー61には、第1電磁比例弁7Aの二次圧ポート72を第1受圧室53と連通させるパイロット通路74が形成されており、第1バルブカバー61およびバルブブロック5には、第2電磁比例弁7Bの二次圧ポート72を第2受圧室54と連通させるパイロット通路75が形成されている。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のオプションバルブ4Aでは、第1電磁比例弁7Aおよび第2電磁比例弁7Bが取り付けられる第1バルブカバー61を利用してドレン通路9が形成されるので、ドレン通路9がスプール穴51と立体交差しないようにレイアウトされる。従って、コンパクトなバルブブロック5を実現することができる。しかも、第1ドレンポート9aと第2ドレンポート9bが同じ位置に位置するため、複数のオプションバルブ4Aを積み重ねることが可能である。
【0047】
また、本実施形態では、第1バルブカバー61に第1電磁比例弁7Aおよび第2電磁比例弁7Bが取り付けられているので、第2バルブカバー62にはドレン通路が不要である。従って、第2バルブカバー62を単純な形状とすることができる。
【0048】
<第2実施形態>
図5に、第二実施形態に係るオプションバルブ4Bを2つ含むバルブユニット1Bを示す。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0049】
本実施形態では、各オプションバルブ4Bが一方向に作動する油圧アクチュエータ用である。また、本実施形態では、スプール穴51がバルブブロック5を貫通しておらず、第2側面5dのみに開口している。
【0050】
バルブブロック5の第2側面5dには、スプール52の一端面に面する受圧室56を形成するバルブカバー63が取り付けられている。スプール52の他端面とスプール穴51の底との間にはドレン室57が形成されている。受圧室56内には、スプール52を中立位置に維持するためのスプリング55が配置されている。なお、スプリング55回りの構成は公知のため、その詳細な説明は省略する。
【0051】
バルブカバー63には、受圧室56へ二次圧を出力する電磁比例弁7Cが取り付けられている。バルブブロック5およびバルブカバー63には、第1実施形態と同様に、第1接合面5a上の第1ドレンポート9aから電磁比例弁7Cを経由して第2接合面5b上の第2ドレンポート9bに至るドレン通路9が形成されており、電磁比例弁7Cのドレンポート73がドレン通路9と連通する。
【0052】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、コンパクトなバルブブロック5を実現することができる。
【0053】
<その他の実施形態>
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、第2実施形態において、
図6に示す変形例のバルブユニット1Cのように、各オプションバルブ4Cにおいてスプール穴51がバルブブロック5を貫通しており、バルブブロック5の第1側面5cに、当該第1側面5cとの間にドレン室57を形成するバルブカバー64が取り付けられてもよい。そして、バルブブロック5に、第1接合面5a上の第1ドレンポート9aからドレン室57に至る第1ドレン通路9Aと、ドレン室57から第2ドレンポート9bに至る第2ドレン通路9Bが形成されるとともに、バルブブロック5およびバルブカバー63に、第2ドレン通路9Bと電磁比例弁7Cのドレンポートとに連通する第3ドレン通路9Cが形成されてもよい。
【0055】
<まとめ>
第1の態様として、本開示は、マルチコントロールバルブに取り付けられるオプションバルブであって、
特定方向に沿って互いに反対側を向く第1接合面および第2接合面、前記特定方向と直交する方向に延びるスプール穴、前記第1接合面上の第1ドレンポート、ならびに前記第2接合面上の第2ドレンポート、を含み、前記第1ドレンポートと前記第2ドレンポートとが前記特定方向において同じ位置に位置するバルブブロックと、前記スプール穴内に位置するスプールと、前記バルブブロックに取り付けられて前記スプールの一端面が面する受圧室を形成するバルブカバーと、前記バルブカバーに取り付けられた、前記受圧室へ二次圧を出力する電磁比例弁と、を備え、前記バルブブロックおよび前記バルブカバーには、前記第1ドレンポートから前記電磁比例弁を経由して前記第2ドレンポートに至るドレン通路が形成され、前記電磁比例弁は、前記ドレン通路と連通するドレンポートを含む、オプションバルブを提供する。
【0056】
上記の構成によれば、電磁比例弁が取り付けられるバルブカバーを利用してドレン通路が形成されるので、ドレン通路がスプール穴と立体交差しないようにレイアウトされる。従って、コンパクトなバルブブロックを実現することができる。しかも、第1ドレンポートと第2ドレンポートが同じ位置に位置するため、複数のオプションバルブを積み重ねることが可能である。
【0057】
第2の態様として、第1の態様において、前記受圧室は第1受圧室、前記バルブカバーは第1バルブカバー、前記電磁比例弁は第1電磁比例弁であり、上記のオプションバルブは、前記バルブブロックに取り付けられて、前記スプールの他端面が面する第2受圧室を形成する第2バルブカバーと、前記第1バルブカバーに取り付けられた、前記第2受圧室へ二次圧を出力する第2電磁比例弁であって、前記ドレン通路と連通するドレンポートを含む第2電磁比例弁と、をさらに備えてもよい。この構成によれば、第2バルブカバーにはドレン通路が不要である。従って、第2バルブカバーを単純な形状とすることができる。
【0058】
また、本開示は、少なくとも1つのバルブブロックおよび複数のスプールを含むマルチコントロールバルブと、前記マルチコントロールバルブに取り付けられた、第1または第2の態様のオプションバルブと、を備える、バルブユニットを提供する。
【符号の説明】
【0059】
1A,1B,1C バルブユニット
2 マルチコントロールバルブ
4A,4B,4C オプションバルブ
5 バルブブロック
5a 第1接合面
5b 第2接合面
51 スプール穴
52 スプール
53 第1受圧室
54 第2受圧室
56 受圧室
61 第1バルブカバー
62 第2バルブカバー
63 バルブカバー
7A 第1電磁比例弁
7B 第2電磁比例弁
7C 電磁比例弁
73 ドレンポート
9 ドレン通路
9a 第1ドレンポート
9b 第2ドレンポート