(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080791
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/037 20060101AFI20240610BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B60R16/037
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194023
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】石黒 雅也
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022CA07
3D022CB01
3D022CC19
3D022CD05
3D022CD09
(57)【要約】
【課題】ドライバーに応じた装備品の自動調整において、コンソールボックスを用いてドライバーを特定し、装備品を制御する車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両に対し脱着可能な収納部21と、車両内に設けられ収納部21を設置する設置部10と、ドライバー情報を有する記憶部24と、記憶部24の情報を読取可能な読取部31と、読取部31が読み取ったドライバー情報に基づいて車両の装備品を制御する制御装置32とを備え、記憶部24は収納部21に取り付けられ、且つ、読取部31は、収納部21が設置部10に設置された状態において、記憶部24を読取可能な場所に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対し脱着可能な収納部と、
前記車両内に設けられ前記収納部を設置する設置部と、
ドライバー情報を有する記憶部と、
前記記憶部の情報を読取可能な読取部と、
前記読取部が読み取った前記ドライバー情報に基づいて前記車両の装備品を制御する制御装置と、を備え、
前記記憶部は前記収納部に取り付けられ、且つ、
前記読取部は、前記収納部が前記設置部に設置された状態において、前記記憶部を読取可能な場所に設けられていることを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラックなどの車両は、1台の車両を複数のドライバーが交代で使用することがある。この場合、どのドライバーが運転したか分かるように、例えば、下記特許文献1のようにデジタルタコグラフで用いられるICカードなどでドライバーを識別することが行われている。また、下記特許文献2のようにドライバーに応じ、シート位置を自動調整する技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-199328号公報
【特許文献2】特開2018-188082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、1台の車両を複数のドライバーが使用する場合、ドライバーの個人荷物は乗降する度に、コンソールボックスに入れ替える必要がある。そのため、コンソールボックスを車両に対し脱着式とし、ドライバー毎にコンソールボックスを交換できるようにする要望がある。
【0005】
そこで本発明は、このような要望に着目し、ドライバーに応じた装備品の自動調整において、コンソールボックスを用いてドライバーを特定し、装備品を制御する車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
【0007】
本適用例に係る車両制御装置は、車両に対し脱着可能な収納部と、前記車両内に設けられ前記収納部を設置する設置部と、ドライバー情報を有する記憶部と、前記記憶部の情報を読取可能な読取部と、前記読取部が読み取った前記ドライバー情報に基づいて前記車両の装備品を制御する制御装置と、を備え、前記記憶部は前記収納部に取り付けられ、且つ、前記読取部は、前記収納部が前記設置部に設置された状態において、前記記憶部を読取可能な場所に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本適用例によれば、上記の収納部と設置部とを備えることにより、車両のドライバーの交代を円滑にすることができる。具体的には、車両のドライバーは、自己の荷物を収納部に収納し、車両の運転開始前に収納部を設置部に設置し、車両の運転終了後に収納部を設置部から脱着して持ち運ぶことができる。これにより、車両のドライバーは、車両の運転終了後において、収納部から自己の荷物を取り出す手間を省くことができるため、次のドライバーに円滑に交代することができる。
【0009】
また、本適用例によれば、さらに上記の記憶部と読取部と制御装置とを備えることにより、車両のドライバー個々人に応じて車両の装備品を自動調整することができる。具体的には、車両のドライバーが車両の運転開始前に収納部を設置部に設置すると、収納部に取り付けられた記憶部から読取部がドライバー情報を読み取り、読み取ったドライバー情報に基づいて制御装置が車両の装備品を自動調整するようになっている。
【0010】
このように、本発明によれば、ドライバーに応じた装備品の自動調整において、コンソールボックスを用いてドライバーを特定し、装備品を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る車両制御装置の一実施形態を適用した車両を示す説明図である。
【
図4】
図3に示す記憶部と読取部との形状を説明するための部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、
図1~
図4を適宜参照しつつ、本発明に係る車両制御装置の一実施形態について説明する。
【0013】
(車両制御装置の構成)
本発明に係る車両制御装置の一実施形態の構成について説明する。
図1~
図3に示すように、車両制御装置1は、大型トラックである車両100の運転席S1における左隣(付近)であるセンターコンソールに配置され、設置部10とコンソールボックス20と車両インテリア30とを備えている。なお、理解しやすくするために
図3では各部を中実な断面で示しているが、実際には中空であったり、内部に各種装置が内蔵されていてもよい。
【0014】
図1~
図3に示すように、設置部10は、車両100の内部に設けられ、コンソールボックス20を設置するための土台として機能する。また、設置部10は、コンソールボックス20の左右側面及び後面を覆う枠部11を有している。枠部11はコンソールボックス20の設置時に、コンソールボックス20の水平方向の移動を規制する。
【0015】
図1~
図3に示すように、コンソールボックス20は、車両100のドライバーの個人荷物を収納するための直方体の箱状部材であり、収納部21と蓋部22と取手部23と記憶部24とを備えている。収納部21は、上面が開口した概略直方体に形成されている。収納部21には、個人荷物を収納するための収納空間Rが形成されている。収納部21は、
図1に示す車両100の設置部10に対して脱着可能なものである。蓋部22は、収納部21の開口を塞ぐためのものである。取手部23は、蓋部22の上面に取り付けられており、ドライバーがコンソールボックス20を持ち運ぶための取っ手である。記憶部24は、収納部21の延在方向(車両前後方向)における一端側において収納部21に取り付けられている。記憶部24は、車両100のドライバー情報を有しており、例えばICチップ及びその固定部材から構成されるものである。記憶部24がICチップを備える場合、ICチップの破損を抑制するためにはICチップを固定部材により覆っていることが好ましい。
【0016】
ドライバー情報とは、例えば、個人情報、車両状態情報及び車両運転情報である。個人情報とは、例えば、ドライバーの管理番号及び氏名である。車両状態情報とは、例えば、ドライバーにより設定された運転席S1の状態(背もたれの角度等)、空調設備Fの状態(冷房、暖房及び送風等の選択、もしくは、車内設定温度等)、及び回動可能なサイドミラーMの位置である。車両運転情報とは、例えば、ドライバーごとの車両走行時間、車両稼働時間、アイドリング時間及び燃費等である。
【0017】
図1~
図3に示すように、車両インテリア30は、読取部31と制御装置32とを備えている。読取部31は、コンソールボックス20(具体的には収納部21)が設置部10に設置された状態において、記憶部24に記憶されているドライバー情報を読取可能な場所に設けられている。制御装置32は、読取部31が読み取ったドライバー情報に基づいて車両100の装備品を制御するためのものである。装備品とは、例えば、運転席S1、空調設備F及びサイドミラーM等である。具体的に、制御装置32は、例えば、運転席S1の状態(背もたれの角度等)、空調設備Fの状態(冷房、暖房及び送風等の選択、もしくは、車内設定温度等)、及び回動可能なサイドミラーMの位置を調整する。
【0018】
図3及び
図4に示すように、本実施形態では、記憶部24がコンソールボックス20の前面を形成しており、記憶部24の一端面(前面)には凹部Dが形成されている。一方、車両インテリア30において、読取部31の一端面(後面)には凸部Cが形成されている。凹部Dと凸部Cとは嵌合可能な形状をなしており、凹部Dと凸部Cとを合わせることにより、読取部31が記憶部24のドライバー情報を読み取れるようにコンソールボックス20の位置合わせがなされる。また、凹部Dと凸部Cとを合わせることにより、コンソールボックス20が設置部10に固定される。
【0019】
(車両制御装置の動作)
本発明に係る車両制御装置の一実施形態における動作を説明する。
ドライバー乗車時において、ドライバーは自分用のコンソールボックス20を所持した状態で、車両100に乗り込む。そして、ドライバーはコンソールボックス20を設置部10に設置する。
【0020】
車両インテリア30の読取部31は、設置部10に設置されたコンソールボックス20の記憶部24からドライバー情報を読み取る。すると、車両インテリア30の制御装置32は、読取部31から読み取ったドライバー情報に基づいて車両100の装備品を制御する。
【0021】
一方、ドライバー降車時には、ドライバーはコンソールボックス20を設置部20から取り外して、コンソールボックス20を所持して車両100から降りる。
【0022】
(車両制御装置の効果)
車両制御装置1によれば、コンソールボックス20と設置部10とを備えることにより、車両100のドライバーの交代を円滑にすることができる。具体的には、車両100のドライバーは、自己の荷物をコンソールボックス20の収納部21に収納し、車両100の運転開始前にコンソールボックス20を設置部10に設置し、車両100の運転終了後に収納部21を設置部10から脱着して持ち運ぶことができる。これにより、車両100のドライバーは、車両100の運転終了後において、収納部21から自己の荷物を取り出す手間を省くことができるため、次のドライバーに円滑に交代することができる。
【0023】
さらに記憶部24と読取部31と制御装置32とを備えることにより、車両100のドライバー個々人に応じて車両100の装備品を自動調整することができる。具体的には、車両100のドライバーが車両100の運転開始前に収納部21を設置部10に設置すると、収納部21に取り付けられた記憶部24から読取部31がドライバー情報を読み取り、読み取ったドライバー情報に基づいて制御装置32が車両100の装備品を自動調整するようになっている。
【0024】
(その他)
以上で本発明に係る車両制御装置の一実施形態についての説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限定されるものではない。
【0025】
上記一実施形態の説明においては、車両制御装置1を大型トラックである車両100に適用する場合を例にとって説明したが、車両制御装置1を大型トラック以外の車両(例えば大型バス又は乗用車)に適用することもできる。
【0026】
車両100においては、車両制御装置1が運転席S1の左隣(付近)であるセンターコンソールに配置されているが、車両制御装置1は、車両の運転席の前方(例えばダッシュボードの上部)に配置されてもよい。車両制御装置1をダッシュボードの上部に配置すれば、制御装置32に接続されるハーネスをダッシュボードに収納することができるため、車両制御装置1を設置する車両の内部における美観を高めることができる。
【0027】
上記一実施形態においては、コンソールボックス20の形状が直方体であるが、コンソールボックス20の形状を直方体以外の形状(例えば立方体又は台形断面を有する四角柱)にしてもよい。
【0028】
上記一実施形態においては、収納部21の側面側に記憶部24を取り付けているが、この側面側以外の箇所(例えば下面側)に記憶部24を取り付けることもできる。この場合、読取部31が設置部10の上面に配置され、設置部10の上面に設置される収納部21の下面側に位置する記憶部24から読取部31がドライバー情報を読み取る。
【0029】
上記一実施形態においては、記憶部24に凹部Dが形成されて読取部31に凸部Cが形成されているが、記憶部24に凸部Cが形成されて読取部31に凹部Dが形成されていてもよいし、凹部D及び凸部Cが形成されていなくてもよい。また、
図3、4のような記憶部24と読取部31がそれぞれ側面視で凹凸になっている構造に限らず、上面視で記憶部24と読取部31のそれぞれに凹部または凸部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 車両制御装置
10 設置部
11 枠部
20 コンソールボックス
21 収納部
22 蓋部
23 取手部
24 記憶部
30 車両インテリア
31 読取部
32 制御装置
100 車両
C 凸部
D 凹部
F 空調設備
H ハンドル
M サイドミラー
R 収納空間
S1 運転席
S2 助手席