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特開2024-80795光学装置の製造装置 光学装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080795
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】光学装置の製造装置 光学装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/447 20060101AFI20240610BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B41J2/447 101Z
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194028
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松林 誠
【テーマコード(参考)】
2C162
【Fターム(参考)】
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE40
2C162AE47
2C162FA04
2C162FA45
2C162FA70
(57)【要約】
【課題】台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅して光学部材を貫通孔に挿入する場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度が低下するのを抑制することである。
【解決手段】光学装置の製造装置は、貫通方向に対して直交する一方向に延びる貫通孔が形成された一方向に延びる樹脂製の筐体を載せる台と、台から貫通孔の一方向の中央部分に突出して、一方向及び貫通方向とは直交する直交方向に対向し、近接離隔する一対の爪と、筐体の上向き面を貫通方向から支持する支持部と、一対の爪の離隔により拡幅した貫通孔に光学部材を挿入する挿入部とを備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通方向に対して直交する一方向に延びる貫通孔が形成された該一方向に延びる樹脂製の筐体を載せる台と、
該台から該貫通孔の該一方向の中央部分に突出して、該一方向及び該貫通方向とは直交する直交方向に近接離隔する一対の爪と、
該筐体の上向き面を該貫通方向から支持する支持部と、
該一対の爪の離隔により拡幅した該貫通孔に光学部材を挿入する挿入部と、
を備える光学装置の製造装置。
【請求項2】
前記爪において前記貫通孔を構成する内側面と前記直交方向で対向する対向面は、前記貫通方向から見て前記内側面側が凸となるように湾曲しており、一対の前記爪の離隔により前記貫通孔が拡幅した状態で、前記一方向における前記対向面の端部が前記内側面と離隔するように、前記対向面の曲率が決められており、
前記対向面の端部は、R面取りされている、
請求項1に記載の光学装置の製造装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記筐体の前記一方向の両端部分を支持するように夫々設けられ、
一対の前記支持部は、前記一方向において前記貫通孔を構成する内側面のうち前記一方向で対向する対向内側面が配置される位置を含んだ部分の前記上向き面を支持、又は前記一方向において前記対向内側面が配置される位置に対して外側の部分の前記上向き面を支持する、
請求項1に記載の光学装置の製造装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記貫通孔の前記一方向の中央部分の前記上向き面だけを支持する、
請求項1に記載の光学装置の製造装置。
【請求項5】
前記筐体には前記直交方向の外側を向いた一対の外側面が形成されており、
前記一方向において前記筐体の両端部分に夫々配置され、前記直交方向の両側から前記外側面に接触すると共に前記筐体の前記直交方向の移動を規制する規制部を備える、
請求項1に記載の光学装置の製造装置。
【請求項6】
前記規制部は、前記一方向において前記貫通孔を構成する内側面のうち前記一方向で対向する対向内側面の外側に夫々配置されている、
請求項5に記載の光学装置の製造装置。
【請求項7】
前記筐体には、前記上向き面に対して上方に位置する上端面が形成されており、
前記貫通方向において、前記支持部の全体が、前記上端面に対して下方に配置されている、
請求項1に記載の光学装置の製造装置。
【請求項8】
前記上向き面は、前記直交方向において前記貫通孔の両側に形成されており、かつ、前記直交方向の外側が下方となるように傾斜しており、
前記支持部は、前記直交方向において、前記貫通孔を間に置いて一対設けられており、
一対の前記支持部は、一対の前記上向き面を前記直交方向から挟んで前記筐体を前記台に押し付けることで前記上向き面を前記貫通方向から支持する、
請求項1に記載の光学装置の製造装置。
【請求項9】
前記支持部において前記上向き面と接触する部分は、湾曲している、
請求項8に記載の光学装置の製造装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の光学装置の製造装置を用いて筐体に光学部材を取り付ける工程と、
前記光学部材を透過する光を発光又は受光する素子が実装された基板を前記筐体に取り付ける工程と、
を備える光学装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置の製造装置、及び光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の光書き込み装置は、出射光を被照射体上に結像させる長尺の光学部材と、光学部材を保持する枠状の保持部材とを備え、保持部材は、光学部材の短尺方向の側壁面に対向する内壁面を側壁面に接着することによって、光学部材を枠内に保持し、側壁面は長尺方向全長に亘って連続的に内壁面に接着され、内壁面と側壁面との接着領域は、長尺方向中央部において側壁面よりも光学部材の光軸方向に幅狭になっており、かつ、接着領域における内壁面の表面積は、長尺方向における単位長さ当たりで、長尺方向中央部よりも両端部の方が大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-144247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂材料を用いて成形された筐体の貫通孔にレンズ等の光学部材を挿入するための光学装置の製造装置がある。この貫通孔は、貫通方向に対して直交する一方向へ延びている。このような形状の筐体では、貫通方向及び一方向に対して直交する直交方向における貫通孔の幅が、成形時の成形収縮等で狭くなる。
【0005】
筐体を台に載せて筐体の貫通孔を拡幅させた状態で、貫通孔に光学部材を挿入する場合がある。しかし、貫通孔を拡幅させると筐体が台から浮き上がってしまう場合があり、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度が低下してしまう。
【0006】
本開示の課題は、台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅して光学部材を貫通孔に挿入する場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度が低下するのを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る光学装置の製造装置は、貫通方向に対して直交する一方向に延びる貫通孔が形成された該一方向に延びる樹脂製の筐体を載せる台と、該台から該貫通孔の該一方向の中央部分に突出して、該一方向及び該貫通方向とは直交する直交方向に近接離隔する一対の爪と、該筐体の上向き面を該貫通方向から支持する支持部と、該一対の爪の離隔により拡幅した該貫通孔に光学部材を挿入する挿入部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の第2態様に係る光学装置の製造装置は、第1態様に記載の光学装置の製造装置において、前記爪において前記貫通孔を構成する内側面と前記直交方向で対向する対向面は、前記貫通方向から見て前記内側面側が凸となるように湾曲しており、一対の前記爪の離隔により前記貫通孔が拡幅した状態で、前記一方向における前記対向面の端部が前記内側面と離隔するように、前記対向面の曲率が決められており、前記対向面の端部は、R面取りされていることを特徴とする。
【0009】
本開示の第3態様に係る光学装置の製造装置は、第1態様に記載の光学装置の製造装置において、前記支持部は、前記筐体の前記一方向の両端部分を支持するように夫々設けられ、一対の前記支持部は、前記一方向において前記貫通孔を構成する内側面のうち前記一方向で対向する対向内側面が配置される位置を含んだ部分の前記上向き面を支持、又は前記一方向において前記対向内側面が配置される位置に対して外側の部分の前記上向き面を支持することを特徴とする。
【0010】
本開示の第4態様に係る光学装置の製造装置は、第1態様に記載の光学装置の製造装置において、前記支持部は、前記貫通孔の前記一方向の中央部分の前記上向き面だけを支持することを特徴とする。
【0011】
本開示の第5態様に係る光学装置の製造装置は、第1態様に記載の光学装置の製造装置において、前記筐体には前記直交方向の外側を向いた一対の外側面が形成されており、前記一方向において前記筐体の両端部分に夫々配置され、前記直交方向の両側から前記外側面に接触すると共に前記筐体の前記直交方向の移動を規制する規制部を備えることを特徴とする。
【0012】
本開示の第6態様に係る光学装置の製造装置は、第5態様に記載の光学装置の製造装置において、前記規制部は、前記一方向において前記貫通孔を構成する内側面のうち前記一方向で対向する対向内側面の外側に夫々配置されていることを特徴とする。
【0013】
本開示の第7態様に係る光学装置の製造装置は、第1態様に記載の光学装置の製造装置において、前記筐体には、前記上向き面に対して上方に位置する上端面が形成されており、前記貫通方向において、前記支持部の全体が、前記上端面に対して下方に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本開示の第8態様に係る光学装置の製造装置は、第1態様に記載の光学装置の製造装置において、前記上向き面は、前記直交方向において前記貫通孔の両側に形成されており、かつ、前記直交方向の外側が下方となるように傾斜しており、前記支持部は、前記直交方向において、前記貫通孔を間に置いて一対設けられており、一対の前記支持部は、一対の前記上向き面を前記直交方向から挟んで前記筐体を前記台に押し付けることで前記上向き面を前記貫通方向から支持することを特徴とする。
【0015】
本開示の第9態様に係る光学装置の製造装置は、第8態様に記載の光学装置の製造装置において、前記支持部において前記上向き面と接触する部分は、湾曲していることを特徴とする。
【0016】
本開示の第10態様に係る光学装置の製造方法は、第1~第9態様の何れか1態様に記載の光学装置の製造装置を用いて筐体に光学部材を取り付ける工程と、前記光学部材を透過する光を発光又は受光する素子が実装された基板を前記筐体に取り付ける工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本開示の第1態様の光学装置の製造装置によれば、台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅して光学部材を貫通孔に挿入する場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度が低下するのを抑制することができる。
【0018】
本開示の第2態様の光学装置の製造装置によれば、対向面が平面で、かつ、対向面の端部がピン角の場合と比して、筐体の貫通孔を拡幅するときに、筐体が爪によって削られるのを抑制することができる。
【0019】
本開示の第3態様の光学装置の製造装置によれば、支持部が一方向において対向内側面が配置される位置に対して内側の部分の上向き面を支持する場合と比して、貫通孔を拡幅するときの筐体の姿勢を安定させることができる。
【0020】
本開示の第4態様の光学装置の製造装置によれば、筐体の両端部を夫々支持する場合と比して、部品点数を削減することができる。
【0021】
本開示の第5態様の光学装置の製造装置によれば、両端部分が直交方向に移動可能な筐体の貫通孔に光学部材を挿入する場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度の低下を抑制することができる。
【0022】
本開示の第6態様の光学装置の製造装置によれば、規制部が一方向において対向内側面の内側に配置されている場合と比して、規制部が貫通孔の拡幅を阻害するのを抑制することができる。
【0023】
本開示の第7態様の光学装置の製造装置によれば、支持部が上端面に対して上方にも配置されている場合と比して、支持部が挿入部の動作を阻害するのを抑制することができる。
【0024】
本開示の第8態様の光学装置の製造装置によれば、支持部が直交方向に移動する構成において、支持部が上方向を向いた面を支持する場合と比して、筐体が台から浮くのを抑制することができる。
【0025】
本開示の第9態様の光学装置の製造装置によれば、支持部がピン角で上向き面と接触する場合と比して、筐体が傷付くのを抑制することができる。
【0026】
本開示の第10態様の光学装置の製造方法によれば、台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅して光学部材を貫通孔に挿入する製造装置を用いる場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度が低下するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態に係る光学装置の製造装置によって製造された光学装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施形態に係る光学装置の製造装置によって製造された光学装置の分解斜視図である。
図3】本実施形態に係る光学装置の製造装置によって製造された光学装置の斜視図である。
図4】本実施形態に係る光学装置の製造装置によって製造された光学装置の筐体の断面図である。
図5】本実施形態に係る光学装置の製造装置によって製造された光学装置の断面図である。
図6】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置によって製造された光学装置の断面図である。
図7】本実施形態に係る光学装置の製造装置によって製造された光学装置の平面図である。
図8】本実施形態に係る光学装置の製造装置を示した斜視図である。
図9】本実施形態に係る光学装置の製造装置の爪を示した斜視図である。
図10】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置を用いて光学装置を製造する工程を示した図面である。
図11】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置を用いて光学装置を製造する工程を示した図面である。
図12】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置を用いて光学装置を製造する工程を示した図面である。
図13】本実施形態に係る光学装置の製造装置の支持部を示した斜視図である。
図14】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置を用いて光学装置を製造する工程を示した図面である。
図15】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置を用いて光学装置を製造する工程を示した図面である。
図16】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置の規制部を示した斜視図である。
図17】(A)(B)本実施形態に係る光学装置の製造装置の挿入部を示した動作図である。
図18】本実施形態に係る光学装置の製造装置の制御部を示したブロック図である。
図19】本実施形態に係る光学装置の製造装置における製造フローを示したフロー図である。
図20】本実施形態に係る光学装置の製造装置を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態に係る光学装置の製造装置及び光学装置の製造方法の一例について図1図20に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは、光学装置の製造装置によって製造された光学装置を備えた画像形成装置の装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。なお、装置上下方向は上下方向、装置幅方向は幅方向、装置奥行方向は奥行き方向と表現する。
【0029】
先ず、光学装置の製造装置によって製造された光学装置を備えた画像形成装置について説明する。
【0030】
(画像形成装置10の全体構成)
図1に示されるように、画像形成装置10の装置本体10aには、転写ユニット32を構成すると共に、複数のローラ12に張架され、モータ(図示省略)の駆動により矢印A方向に搬送される無端ベルト状の転写ベルト14が設けられている。
【0031】
この画像形成装置10は、カラー画像の形成に対応しており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応するトナー画像を形成する画像形成ユニット28Y、28M、28C、28Kが、転写ベルト14の長手方向に沿って配置され、装置本体10aに脱着可能に支持されている。
【0032】
なお、各色に設けられた部材については、符号の末尾に各々の色を示すアルファベット(Y/M/C/K)を付与して示すが、特に色を区別せずに説明する場合は、この末尾のアルファベットを省略して説明する。
【0033】
〔画像形成ユニット28〕
画像形成ユニット28は、図1に示されるように、時計方向へ回転する像保持体16を備えている。さらに、像保持体16の周面には、像保持体16の表面を所定の電位に一様に帯電させる帯電ローラ18が配置されているまた、像保持体16の回転方向において帯電ローラ18よりも下流側の周面には、像保持体16上に光を照射して静電潜像を形成する露光装置20が像保持体16の軸方向に延びている。なお、露光装置20については詳細を後述する。
【0034】
さらに、像保持体16の回転方向において露光装置20よりも下流側の周面には、像保持体16上に形成された静電潜像を各色のトナーによって現像してトナー画像を形成させる現像装置22が配置されている。また、像保持体16の回転方向において後述する転写ローラ30よりも下流側の周面には、像保持体16上の残留トナーを回収するクリーニングブレード26が配置されている。
【0035】
〔転写ユニット32〕
転写ユニット32は、図1に示されるように、転写ベルト14を挟んで像保持体16の反対側に配置されている転写ローラ30を備えている。転写ローラ30は、像保持体16上のトナー画像を転写ベルト14上に転写させるようになっている。
【0036】
さらに、転写ベルト14の搬送方向において各色の像保持体16よりも下流側には、対向する2つのローラ34a、34bを含んで構成される転写装置34が配置されている。そして、画像形成装置10の底部に設けられた用紙トレイ36から取り出されて、このローラ34a、34bの間に搬送されてきたシート部材Pに、転写ベルト14上に形成された最終トナー画像が転写されるようになっている。
【0037】
一方、転写ベルト14の搬送方向において転写装置34よりも下流側には、転写ベルト14上に残留したトナーを回収するクリーナ42が設けられている。
【0038】
〔定着装置40〕
定着装置40は、図1に示されるように、トナー画像が転写されたシート部材Pの搬送経路に配置されている。また、定着装置40は、加熱ローラ40aと加圧ローラ40bとを含んで構成される。そして、加熱ローラ40aと加圧ローラ40bとによってシート部材Pが挟持搬送されることで、シート部材P上のトナーが、溶融すると共にシート部材Pに圧着されてシート部材Pに定着されるようになっている。
【0039】
(全体構成の作用)
この画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0040】
先ず、帯電ローラ18が、像保持体16の表面を一様にマイナス帯電する。さらに、帯電された像保持体16上の画像部分が予定の露光部電位になるように露光装置20で露光を行ない像保持体16上に静電潜像が形成される。また、像保持体16上の静電潜像が現像装置22を通過すると、静電潜像はトナー画像として可視化される。
【0041】
可視化されたトナー画像は、転写ローラ30の静電気力で転写ベルト14へ順次転写され、転写ベルト14上にカラーの最終トナー画像が形成される。
【0042】
この最終トナー画像は転写装置34に設けられたローラ34a、34bの間に送り込まれる。そして、この最終トナー画像は、用紙トレイ36から取り出されてローラ34a、34bの間に搬送されてきたシート部材Pに転写される。
【0043】
さらに、シート部材Pに転写されたトナー画像は定着装置40でシート部材Pに定着され、シート部材Pは装置外へ排出される。
【0044】
(露光装置20)
図1に示す露光装置20は、奥行き方向に延びた長尺形状とされている。そして、露光装置20は、装置本体10aに取り付けられた状態で、像保持体16の回転軸方向(奥行き方向)に沿って延びるように配置されている。露光装置20は、光学装置の一例である。
【0045】
また、図2図3に示されるように、奥行き方向に延びる露光装置20は、発光ダイオードアレイ62(LEDアレイ)が実装されているプリント配線基板52(以下「基板52」)を備えている。発光ダイオードアレイ62は、発光素子の一例である。
【0046】
さらに、露光装置20は、発光ダイオードアレイ62の発光点から発光された光が透過する円柱状のロッドレンズ54が複数整列され、奥行き方向に延びるレンズアレイ56を備えている。また、露光装置20は、基板52及びレンズアレイ56が固定される奥行き方向に延びる筐体58を備えている。レンズアレイ56は、光学部材の一例である。
【0047】
〔基板52〕
基板52は、図2に示されるように、奥行き方向に延び、基板52の板厚方向は、上下方向とされ、基板52は、板厚方向から見て矩形状とされている。そして、基板52の一方の面には、図2図5に示されるように、複数(例えば、128個)の発光ダイオード(LED)が直線状に設けられている発光ダイオードアレイ62が千鳥状に複数実装されている。これに対して、基板52の他方の面には、発光ダイオードアレイ62を制御する電子部品64が実装されている。
【0048】
〔レンズアレイ56〕
レンズアレイ56は、図2図3に示されるように、奥行き方向に延びる直方体形状とされ、このレンズアレイ56には、発光ダイオードアレイ62から出射された光が透過する複数個のロッドレンズ54が千鳥状に配置されている。これにより、発光ダイオードアレイ62から出射されてロッドレンズ54を透過した光は、像保持体16(図1参照)に結像するようになっている。
【0049】
〔筐体58〕
筐体58は、液晶ポリマー等の樹脂材料を用いて射出成形等の方法によって成形されており、図2に示されるように、奥行き方向に延びている。さらに、奥行き方向に対して交差する筐体58の断面は、図4に示されるように、幅方向で対称形状とされている。なお、図4に示す筐体58については、設計の狙いの形状が示されている。換言すれば、図4に示す、レンズアレイ56の取り付けを許容する形状が示されている。
【0050】
また、筐体58には、図2図4に示されるように、奥行き方向に延びると共に上下方向に筐体58を貫通する貫通孔76が形成されている。奥行き方向は、一方向の一例であり、上下方向は、貫通方向の一例であり、幅方向は、直交方向の一例である。
【0051】
さらに、筐体58は、図4に示されるように、上下方向の上端部分に形成され、レンズアレイ56が固定されるレンズ固定部74と、上下方向の下端部分に形成され、基板52が固定される基板固定部72と、基板固定部72とレンズ固定部74との間に形成される本体部70と、を備えている。
【0052】
そして、図5に示されるように、この貫通孔76における上端部分にレンズアレイ56が固定され、貫通孔76における下端部分に基板52が固定されている。
【0053】
また、図5に示されるように、筐体58にレンズアレイ56及び基板52が固定された状態で、レンズアレイ56のロッドレンズ54と、基板52に実装された発光ダイオードアレイ62とが、上下方向で対向するようになっている。
【0054】
ここで、本実施形態では、樹脂材料を用いて成形された筐体58は、成形時の成形収縮等で貫通孔76の幅が狭くなっている。具体的には、レンズアレイ56及び基板52が筐体58に固定されていない状態で、図2に示されるように、貫通孔76における奥行き方向の中央側での幅方向の寸法が、貫通孔76における奥行き方向の両端側での幅方向の寸法より小さくされている。換言すれば、貫通孔76における奥行き方向の中央側の幅方向の寸法が、レンズアレイ56における幅方向の寸法より小さくされている。なお、貫通孔76における奥行き方向の両端側の幅方向の寸法は、レンズアレイ56における幅方向の寸法と同等、同様若しくは同一、または当該寸法よりも大きくされている。
【0055】
つまり、レンズアレイ56及び基板52が筐体58に固定されていない状態で、上下方向から見て、貫通孔76は、奥行き方向の中央側が窄まった形状とされている。一方、レンズアレイ56及び基板52が筐体58に固定されている状態で、図3に示されるように、上下方向から見て、貫通孔76は、奥行き方向に延びる矩形状とされている。
【0056】
-本体部70-
本体部70は、図3図4に示されるように、奥行き方向に延び、奥行き方向に対して交差する本体部70の断面は、レンズ固定部74側が基板固定部72側に対して幅狭の台形形状とされている。
【0057】
さらに、本体部70には、図4図5に示されるように、発光ダイオードアレイ62からロッドレンズ54に向けて出射された光が通過すると共に貫通孔76の一部を構成する貫通部76aが形成されている。貫通部76aの上端開口の全体が上方へ開放され、貫通部76aの下端開口の全体が下方へ開放されている。
【0058】
そして、貫通部76aにおける基板固定部72側の開口縁78を囲むように形成された本体部70の端面70aが、基板52の板面と接触するようになっている。さらに、本体部70には、図6(A)に示されるように、貫通部76aを間において奥行き方向に対向する対向内側面77が形成されている。
【0059】
-レンズ固定部74-
レンズ固定部74は、図3図4に示されるように、奥行き方向に延びる枠体とされ、段差面84を介して本体部70に接続されている。そして、レンズ固定部74には、上下方向の上端側が開放されると共に貫通孔76の一部を構成し、レンズアレイ56が配置される空洞部76b(図4図5参照)が形成されている。
【0060】
この空洞部76bは、幅方向と奥行き方向とから、後述する突起86及び突起88によって囲まれることで形成されている。
【0061】
詳細には、レンズ固定部74は、図6(A)に示されるように、本体部70の奥行き方向の両端部分から上方に夫々突出する一対の突起86を備えている(図6では片側だけを示す)。さらに、レンズ固定部74は、図4に示されるように、本体部70の幅方向の両端部分から上方に夫々突出する一対の突起88を備えている。そして、夫々の突起88の奥行き方向の両端部は、夫々の突起86(図6参照)の幅方向の両端部と連結されている。これにより、前述したように、レンズ固定部74は、奥行き方向に延びる枠体とされている。そして、突起86、88の上端には、上方を向いた上端面86a、88aが形成されている。
【0062】
また、段差面84は、図4に示されるように、幅方向において突起88の外側に夫々配置されており、幅方向の外側が幅方向の内側に対して下方となるように傾斜している。ここで、幅方向の外側とは、幅方向において、筐体58の中心から離れる方向であって、幅方向の内側とは、幅方向において、筐体58の中心に近づく方向である。段差面84は、上向き面の一例である。
【0063】
さらに、レンズ固定部74に固定されたレンズアレイ56の奥行き方向の端部と、突起86とは、図6(B)、図7に示されるように、奥行き方向で離隔しており、離隔部位92が形成されている(図6図7においては片側だけを示す)。そして、レンズ固定部74を構成する部分の筐体58とレンズアレイ56との隙間を封止する封止材94を塗布する際に用いられるノズル(図示省略)の先端部が、この離隔部位92に挿入されるようになっている。
【0064】
-基板固定部72-
基板固定部72は、図3図4に示されるように、奥行き方向に延びる枠体とされている。そして、基板固定部72には、下端部が開放されると共に貫通孔76の一部を構成し、基板52が配置される空洞部76cが形成されている。
【0065】
この空洞部76cは、幅方向と奥行き方向とから、後述する突起80及び突起82によって囲まれることで形成されている。
【0066】
詳細には、基板固定部72は、図6(A)に示されるように、本体部70の奥行き方向の両端部分から下方に夫々突出する一対の突起80を備えている。さらに、基板固定部72は、図4に示されるように、本体部70の幅方向の両端部分から下方に夫々突出する一対の突起82を備えている。そして、夫々の突起82の奥行き方向の両端部は、夫々の突起80(図6参照)の幅方向の両端部分と連結されている。また、突起82及び突起80と本体部70とには、段差が形成されており、この段差が、基板52の板面と接触する前述した端面70aとされている。
【0067】
そして、突起82には、幅方向において空洞部76cを間において対向する内側面90が形成されている。
【0068】
-その他-
筐体58において奥行き方向の両端部分には、図2に示されるように、本体部70及び基板固定部72から奥行き方向に延びる延長部96が夫々形成されている。この延長部96は、奥行き方向に延びる直方体状とされている。
【0069】
(光学装置の製造装置100)
次に、露光装置20を製造するために用いる光学装置の製造装置100(以下単に「製造装置100」と記載することがある)について説明する。なお、製造装置100ついては、露光装置20の方向を用いて説明する。
【0070】
製造装置100は、図8に示されるように、筐体58が載せられる載せ面102aが形成された台102と、載せ面102aから突出する一対の爪110と、載せ面102aから突出し、載せ面102aに載せられた筐体58を支持する支持部120とを備えている。さらに、製造装置100は、載せ面102aから突出し、載せ面102aに載せられた筐体58が幅方向へ移動するのを規制する規制部140と、レンズアレイ56を筐体58の貫通孔76に挿入する挿入部150と、各部を制御する制御部170とを備えている。
【0071】
〔台102、爪110〕
台102には、図8に示されるように、上方を向いた平面状の載せ面102aが形成されている。
【0072】
爪110は、図8図9に示されるように、載せ面102aに形成された矩形状の貫通孔104から上方へ突出し、幅方向に離隔して一対設けられている。成形時の成形収縮等で貫通孔76の幅が狭くなった筐体58を載せ面102aに載せた状態で、後述する近接位置に配置された爪110は、図10(A)に示されるように、筐体58の内側面90と幅方向で対向するようになっている。
【0073】
そして、一対の爪110は、図9に示されるように、幅方向で対称とされおり、図示せぬ駆動源からの駆動力により、幅方向において近接離隔するようになっている。また、爪110には、筐体58の内側面90と幅方向で対向する対向面112と、奥行き方向を向いた一対の側面114と、上方を向いた天面116とが形成されている。
【0074】
さらに、対向面112は、幅方向の外側を向いて凸状に湾曲した湾曲面とされている。そして、対向面112の曲率については、一対の爪110が離隔して筐体58の貫通孔76を拡幅させた状態で、筐体58の内側面90と、奥行き方向において対向面112の両端部が離隔するように決められている(図12(B)参照)。
【0075】
さらに、対向面112において側面114側の端部は、R面取りされており、かつ、対向面112において天面116側の端部は、R面取りされている。さらに、天面116において側面114側の端部は、R面取りされている。換言すれば、対向面112と側面114の稜線部と、対向面112と天面116の稜線部と、天面116と側面114の稜線部は、それぞれR面取りされている。
【0076】
この構成において、一対の爪110を近接位置に配置し、成形時の成形収縮等で貫通孔76の幅が狭くなった筐体58を載せ面102aに載せる。そうすると、一対の爪110の対向面112は、図10(A)、図12(A)に示されるように、奥行き方向の中央部分の内側面90と幅方向において隙間を有した状態で対向する。さらに(その後)、一対の爪110を離隔位置に向けて移動させることで、図10(B)、図12(B)に示されるように、筐体58の貫通孔76が幅方向に拡幅される。ここで、奥行き方向の中央部分の内側面90とは、内側面90の奥行き方向の長さを100とすると、内側面90の奥行き方向一端から25より大きく75未満の範囲である。
【0077】
〔支持部120〕
支持部120は、図8に示されるように、奥行き方向において爪110を間において一方側と他方側とに夫々設けられている。一方側及び他方側には、支持部120が夫々一対配置されており、一方側の一対の支持部120と他方側の一対の支持部120とは、奥行き方向で対称とされている。以下、一方側の一対の支持部120について説明する。
【0078】
一対の支持部120は、幅方向で対称とされており、載せ面102aに形成された矩形状の貫通孔106から上方へ突出し、幅方向に離隔している。そして、図示せぬ駆動源からの駆動力により、一対の支持部120は、幅方向において近接離隔するようになっている。この近接離隔は、一方側の一対の支持部120と他方側の一対の支持部120で同等、同様若しくは同一の動作をするようになっている。
【0079】
支持部120は、図13に示されるように、奥行き方向から見て、載せ面102aから突出した部分がL字状とされており、上下方向に延びる上下部122と、上下部122の上端から幅方向の内側に延びる幅部124とを有している。幅部124は、奥行き方向から見て幅方向に延びる矩形状とされており、幅部124において、幅方向の内側で、かつ、下側の端部には、R面取りされた面取り部124aが形成されている。換言すれば、幅部124において、幅方向の内側で、かつ、下側の端部は、湾曲している。
【0080】
この構成において、一対の支持部120を離隔位置に配置し、成形時の成形収縮等で貫通孔76の幅が狭くなった筐体58を載せ面102aに載せる。そうすると、一対の支持部120の幅部124は、図14(A)、図15(A)に示されるように、幅方向で筐体58を間において対向する。そして、一対の支持部120を近接位置に向けて移動させることで、幅部124は、図14(B)、図15(B)に示されるように、筐体58を挟み込む。具体的には、幅部124の面取り部124aが、図14(B)に示されるように、筐体58の段差面84と接触する。また、この状態で、上下方向において、支持部120の全体が、突起88の上端面88aに対して下方に配置されている。
【0081】
さらに、幅部124の面取り部124aが筐体58の段差面84に接触した状態で、幅部124は、図15(B)に示されるように、奥行き方向において、対向内側面77の外側の部分の段差面84と接触している。つまり、一対の支持部120は、奥行き方向において、対向内側面77が配置される位置に対して外側の部分の段差面84を支持している。換言すれば、支持部120は、筐体58の奥行き方向の両端部分を支持するように夫々設けられている。ここで、筐体58の奥行き方向の両端部分とは、筐体58の奥行き方向の長さ100とすると、筐体58の奥行き方向の一端から25以内の範囲、又は筐体58の奥行き方向の他端から25以内の範囲である。
【0082】
〔規制部140〕
規制部140は、図8に示されるように、奥行き方向において爪110を間において一方側と他方側に夫々設けられている。一方側及び他方側には、規制部140が夫々一対配置されており、一方側の一対の規制部140と他方側の一対の規制部140とは、奥行き方向で対称とされている。以下、一方側の一対の規制部140について説明する。
【0083】
一対の規制部140は、幅方向で対称とされており、載せ面102aから上方へ突出し、幅方向に離隔している。そして、規制部140は、図16(A)に示されるように、上下方向に延びる円柱状とされている。
【0084】
この構成において、成形時の成形収縮等で貫通孔76の幅が狭くなった筐体58を載せ面102aに載せる。そうすると、図16(A)、図16(B)に示されるように、一対の規制部140の間に、筐体58の延長部96が挟まれる。換言すれば、延長部96において幅方向の外側を向いた一対の外側面96aに、一対の規制部140が夫々接触する。これにより、筐体58の幅方向の移動が規制される。
【0085】
〔挿入部150〕
挿入部150は、図8に示されるように、本体部152と、本体部152に一端が連結されると共に三次元ロボットの一部を構成する腕部154とを備えている。
【0086】
本体部152は、奥行き方向に延びる直方体状とされており、本体部152の奥行き方向の両端部分には、レンズアレイ56を把持する把持部156が設けられている。
【0087】
把持部156は、図17(A)、図17(B)に示されるように、図示せぬ駆動源からの駆動力が伝達されて幅方向に近接離隔する一対の挟持部158を備えている。
【0088】
この構成において、一対の挟持部158を離隔位置に配置し、三次元ロボットを稼働させて腕部154を介して本体部152を移動させることで、図17(A)に示されるように、一対の挟持部158の間に、レンズアレイ56の上方部分が配置される。さらに、一対の挟持部158を近接位置へ移動させると、把持部156が、図17(B)に示されるように、レンズアレイ56を把持する。
【0089】
〔制御部170〕
制御部170は、図18に示されるように、CPU(Central Processing Unit)171、ROM(Read Only Memory)172、RAM(Random Access Memory)173、ストレージ174、及び通信インタフェース(I/F)175を有する。そして、各構成は、バス179を介して相互に通信可能に接続されている。
【0090】
CPU171は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU171は、ROM172またはストレージ174からプログラムを読み出し、RAM173を作業領域としてプログラムを実行する。CPU171は、ROM172またはストレージ174に記録されているプログラムにしたがって、各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0091】
ROM172は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM173は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ174は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。通信インタフェース175は、制御部170が、爪110、支持部120、及び挿入部150等と通信するためのインタフェースである。
【0092】
(光学装置の製造方法)
次に、製造装置100を用いて露光装置20を製造する製造方法について、図19のフロー図を用いて各工程を説明する。製造装置100に備えられた一対の爪110は、近接位置に配置され、一対の支持部120は、離隔位置に配置されている(図8図9図13参照)。
【0093】
先ず、ステップS100で、成形時の成形収縮等で貫通孔76の幅が狭くなった筐体58を載せ面102aに載せる(図20図10(A)、図12(A)、図14(A)、図15(A)参照)。この状態で、筐体58において奥行き方向の両端部分の延長部96が、一対の規制部140に挟まれ、筐体58の幅方向の移動が規制される(図16(B)参照)。さらに、一方の延長部96の端部を奥行き方向で図示せぬ位置決め部に突き当て、筐体58の奥行き方向の位置が決められる。例えば、他方の延長部96の奥行き方向を向く端面をエアーシリンダ等の駆動源を用いて奥行き方向に押し、一方の延長部96の奥行き方向を向く端面を載せ面102aから突出したブロック(図示せぬ位置決め部)に突き当てるなどである。
【0094】
次に、ステップS200で、一対の支持部120を近接位置へ移動させる(図14(B)、図15(B)参照)。この状態で、面取り部124aが、段差面84に接触し、一対の支持部120は、傾斜する一対の段差面84を幅方向から挟んで筐体58を台102に押し付けることで段差面84を上方から支持する。
【0095】
次に、ステップS300で、一対の爪110を離隔位置へ移動させる(図10(B)、図12(B)参照)。これにより、貫通孔76が拡幅される。
【0096】
次に、ステップS400で、挿入部150の把持部156にレンズアレイ56を把持させ(図17参照)、挿入部150の把持部156によって把持されたレンズアレイ56を、貫通孔76の空洞部76bに挿入させる(図11(A)参照)。
【0097】
次に、ステップS500で、一対の爪110を近接位置へ移動させる(図11(B)参照)。この状態で、レンズアレイ56は筐体58により挟持されるため、レンズアレイ56と筐体58との相対位置が決められる。
【0098】
次に、ステップS600で、一対の支持部120を離隔位置へ移動させる(図14(A)参照)。この状態で、筐体58は、台102からの取り外しが可能となる。
【0099】
次に、ステップS700で、筐体58を台102から取り外し、UV接着剤を用いてレンズアレイ56を筐体58に取り付ける。具体的には、レンズアレイ56の幅方向を向く側面と、筐体58の上端面88aとを跨るようにUV接着剤を奥行き方向の複数箇所に塗布した後、塗布したUV接着剤に紫外線を照射してUV接着剤を硬化させる。
【0100】
次に、ステップS800で、筐体58に取り付けられたレンズアレイ56が下方を向くように筐体58の天地を逆にして、治具等を用いて空洞部76cを幅方向に拡幅し、基板52の板面を本体部70の端面70aに接触させる。その後、前記した空洞部76cの幅方向の拡幅を解除する(図5参照)。さらに、前記したレンズアレイ56の取り付けと同様の手段でUV接着剤を用いて基板52を筐体58に取り付けた後、封止材を用いて基板52の周囲を封止する。
【0101】
次に、ステップS900で、筐体58に取り付けられたレンズアレイ56が上方を向くように筐体58の天地を逆にして、封止材を用いてレンズアレイ56の周囲を封止する。
【0102】
(まとめ)
以上説明したように、製造装置100においては、支持部120が段差面84を上方から支持している。この状態で、一対の爪110が貫通孔76を拡幅する。そして、拡幅された貫通孔76にレンズアレイ56を挿入する。これにより、台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅してレンズアレイを貫通孔に挿入する場合と比して、筐体が台から浮くのが抑制されることで、貫通孔76に挿入されたレンズアレイ56と筐体58との相対位置精度の低下が抑制される。
【0103】
また、製造装置100においては、爪110の対向面112は、幅方向の外側に凸となる凸状の湾曲面とされている。そして、対向面112の曲率については、一対の爪110が離隔位置に配置されて筐体58の貫通孔76が拡幅された状態で、筐体58の内側面90と、奥行き方向において対向面112の端部とが離隔するように決められている。さらに、対向面112の端部は、R面取りされている。これにより、対向面が平面で、かつ、対向面の端部がピン角の場合と比して、筐体58の貫通孔76を拡幅するときに、筐体58が爪110によって削られるのが抑制される。
【0104】
また、製造装置100においては、一対の支持部120は、奥行き方向において、対向内側面77が配置される位置に対して外側の部分の段差面84を支持している。つまり、一対の支持部120は、筐体58における幅方向の強度が高い部分を支持することになる。これにより、奥行き方向において対向内側面が配置される位置に対して内側の部分の段差面を支持する場合と比して、貫通孔76を拡幅するときの筐体58の姿勢が安定する。さらに、奥行き方向において対向内側面が配置される位置に対して内側の部分の段差面を支持する場合と比して、一対の爪110が貫通孔76を拡幅する際に、一対の支持部120が当該拡幅を阻害することが抑制される。
【0105】
また、製造装置100においては、一対の規制部140は、延長部96において幅方向の外側を向いた一対の外側面96aに夫々接触する。これにより、両端部分が幅方向に移動可能な筐体の貫通孔にレンズアレイを挿入する場合と比して、貫通孔76に挿入されたレンズアレイ56と筐体58との相対位置精度の低下が抑制される。
【0106】
また、製造装置100においては、規制部140は、奥行き方向において、対向内側面77の外側に配置されている。これにより、規制部が奥行き方向において対向内側面の内側に配置されている場合と比して、規制部140が一対の爪110による貫通孔76の拡幅を阻害するのが抑制される。
【0107】
また、製造装置100においては、上下方向において、支持部120の全体が、突起88の上端面88aに対して下方に配置されている。これにより、支持部が上端面に対して上方にも配置されている場合と比して、支持部120が挿入部150の動作を阻害するのが抑制される。
【0108】
また、製造装置100においては、一対の支持部120は、傾斜する一対の段差面84を幅方向から挟んで筐体58を台102に押し付けることで段差面84を上方から支持する。これにより、支持部120が幅方向に移動する構成において、支持部が上方向を向いた面(水平面)を支持する場合と比して、筐体58が台102から浮くのが抑制される。
【0109】
また、製造装置100においては、支持部120における幅部124の面取り部124aが、段差面84と接触する。このため、ピン角で段差面と接触する場合と比して、筐体58の傷付きが抑制される。
【0110】
また、光学部材の製造方法においては、製造装置100を用いることで、台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅してレンズアレイを貫通孔に挿入する製造装置を用いる場合と比して、貫通孔76に挿入されたレンズアレイ56と筐体58との相対位置精度の低下が抑制される。
【0111】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、支持部120は、奥行き方向において、対向内側面77が配置される位置に対して外側の部分の段差面84を支持しているが、支持部が、奥行き方向において対向内側面が配置される位置を含んだ部分の上向き面を支持してもよい。これにより、一対の支持部120は、少なくとも筐体58における幅方向の強度が高い部分を支持することになるため、奥行き方向において対向内側面が配置される位置に対して内側の部分の段差面を支持する場合と比して、貫通孔76を拡幅するときの筐体58の姿勢が安定する。
【0112】
また、上記実施形態では、支持部120は、奥行き方向において、対向内側面77が配置される位置に対して外側の部分の段差面84を支持しているが、支持部が、貫通孔の奥行き方向の中央部分の段差面だけを支持してもよい。これにより、貫通孔76を拡幅するときの筐体58の姿勢が安定する。この場合には、貫通孔の拡幅に伴って支持部を幅方向に移動させる機構が必要となる場合がある。
【0113】
また、上記実施形態では、支持部120は、幅方向に移動して段差面84を支持したが、支持部が上下方向に移動して段差面を支持してもよい。
【0114】
また、上記実施形態では、光学装置としての露光装置20によって実施形態を説明したが、光学装置が読取装置(Contact Image Sensor:CIS)であってもよい。なお、読取装置の場合は、基板に受光素子が実装される。
【0115】
また、上記実施形態では、一対の支持部120は、奥行き方向において、対向内側面77が配置される位置に対して外側の部分の段差面84を支持したが、支持部が、奥行き方向において対向内側面が配置される位置に対して内側の部分の段差面を支持してもよい。しかし、この場合には、対向内側面77が配置される位置に対して外側の部分の段差面84を支持部120が支持することで奏する作用は奏しない。
【0116】
また、上記実施形態では、一対の規制部140は、延長部96において幅方向の外側を向いた一対の外側面96aに夫々接触したが、規制部を備えてなくてもよい。しかし、この場合は、規制部が備えることで奏する作用は奏しない。
【0117】
また、上記実施形態では、一対の支持部120は、全体が上端面88aの下方に配置されたが、支持部の一部が上端面の上方に位置してもよい。しかし、この場合には、支持部120の全体が上端面88aの下方に配置されることで奏する作用は奏しない。
【0118】
(((1)))
貫通方向に対して直交する一方向に延びる貫通孔が形成された該一方向に延びる樹脂製の筐体を載せる台と、
該台から該貫通孔の該一方向の中央部分に突出して、該一方向及び該貫通方向とは直交する直交方向に近接離隔する一対の爪と、
該筐体の上向き面を該貫通方向から支持する支持部と、
該一対の爪の離隔により拡幅した該貫通孔に光学部材を挿入する挿入部と、
を備える光学装置の製造装置。
【0119】
(((2)))
前記爪において前記貫通孔を構成する内側面と前記直交方向で対向する対向面は、前記貫通方向から見て前記内側面側が凸となるように湾曲しており、一対の前記爪の離隔により前記貫通孔が拡幅した状態で、前記一方向における前記対向面の端部が前記内側面と離隔するように、前記対向面の曲率が決められており、
前記対向面の端部は、R面取りされている、
(((1)))に記載の光学装置の製造装置。
【0120】
(((3)))
前記支持部は、前記筐体の前記一方向の両端部分を支持するように夫々設けられ、
一対の前記支持部は、前記一方向において前記貫通孔を構成する内側面のうち前記一方向で対向する対向内側面が配置される位置を含んだ部分の前記上向き面を支持、又は前記一方向において前記対向内側面が配置される位置に対して外側の部分の前記上向き面を夫々する、
(((1)))又は(((2)))に記載の光学装置の製造装置。
【0121】
(((4)))
前記支持部は、前記貫通孔の前記一方向の中央部分の前記上向き面だけを支持する、
(((1)))又は(((2)))に記載の光学装置の製造装置。
【0122】
(((5)))
前記筐体には前記直交方向の外側を向いた一対の外側面が形成されており、
前記一方向において前記筐体の両端部分に夫々配置され、前記直交方向の両側から前記外側面に接触すると共に前記筐体の前記直交方向の移動を規制する規制部を備える、
(((1)))~(((4)))の何れか1に記載の光学装置の製造装置。
【0123】
(((6)))
前記規制部は、前記一方向において前記貫通孔を構成する内側面のうち前記一方向で対向する対向内側面の外側に夫々配置されている、
(((5)))に記載の光学装置の製造装置。
【0124】
(((7)))
前記筐体には、前記上向き面に対して上方に位置する上端面が形成されており、
前記貫通方向において、前記支持部の全体が、前記上端面に対して下方に配置されている、
(((1)))~(((6)))の何れか1に記載の光学装置の製造装置。
【0125】
(((8)))
前記上向き面は、前記直交方向において前記貫通孔の両側に形成されており、かつ、前記直交方向の外側が下方となるように傾斜しており、
前記支持部は、前記直交方向において、前記貫通孔を間に置いて一対設けられており、
一対の前記支持部は、一対の前記上向き面を前記直交方向から挟んで前記筐体を前記台に押し付けることで前記上向き面を前記貫通方向から支持する、
(((1)))~(((7)))の何れか1に記載の光学装置の製造装置。
【0126】
(((9)))
前記支持部において前記上向き面と接触する部分は、湾曲している、
(((8)))に記載の光学装置の製造装置。
【0127】
(((10)))
(((1)))~(((9)))の何れか1に記載の光学装置の製造装置を用いて筐体に光学部材を取り付ける工程と、
前記光学部材を透過する光を発光又は受光する素子が実装された基板を前記筐体に取り付ける工程と、
を備える光学装置の製造方法。
【0128】
(((1)))の光学装置の製造装置によれば、台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅して光学部材を貫通孔に挿入する場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度が低下するのを抑制することができる。
【0129】
(((2)))の光学装置の製造装置によれば、対向面が平面で、かつ、対向面の端部がピン角の場合と比して、筐体を台に載せるときに、筐体が爪によって削られるのを抑制することができる。
【0130】
(((3)))の光学装置の製造装置によれば、支持部が一方向において対向内側面が配置される位置に対して内側の部分の上向き面を支持する場合と比して、貫通孔を拡幅するときの筐体の姿勢を安定させることができる。
【0131】
(((4)))の光学装置の製造装置によれば、筐体の両端部を夫々支持する場合と比して、部品点数を削減することができる。
【0132】
(((5)))の光学装置の製造装置によれば、両端部分が直交方向に移動可能な筐体の貫通孔に光学部材を挿入する場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度の低下を抑制することができる。
【0133】
(((6)))の光学装置の製造装置によれば、規制部が一方向において対向内側面の内側に配置されている場合と比して、規制部が貫通孔の拡幅を阻害するのを抑制することができる。
【0134】
(((7)))の光学装置の製造装置によれば、支持部が上端面に対して上方にも配置されている場合と比して、支持部が挿入部の動作を阻害するのを抑制することができる。
【0135】
(((8)))の光学装置の製造装置によれば、支持部が直交方向に移動する構成において、支持部が上方向を向いた面を支持する場合と比して、筐体が台から浮くのを抑制することができる。
【0136】
(((9)))の光学装置の製造装置によれば、支持部がピン角で上向き面と接触する場合と比して、筐体が傷付くのを抑制することができる。
【0137】
(((10)))の光学装置の製造方法によれば、台に載せただけの筐体の貫通孔を拡幅して光学部材を貫通孔に挿入する製造装置を用いる場合と比して、貫通孔に挿入された光学部材と筐体との相対位置精度が低下するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0138】
58 筐体
76 貫通孔
77 対向内側面
84 段差面(上向き面の一例)
88a 上端面
90 内側面
96a 外側面
100 光学装置の製造装置
102 台
110 爪
112 対向面
120 支持部
140 規制部
150 挿入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図20