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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080799
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】紡糸引取設備及び糸掛けロボット
(51)【国際特許分類】
   D01D 7/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
D01D7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194032
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】岩木 孝之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 保伸
【テーマコード(参考)】
4L045
【Fターム(参考)】
4L045AA05
4L045BA03
4L045DA41
4L045DA46
4L045DB07
4L045DC03
4L045DC09
4L045DC28
4L045DC31
(57)【要約】
【課題】エアセパレータ内の液体を効率良く排出する。
【解決手段】紡糸引取設備1は、紡糸引取装置に糸掛け作業を行う糸掛けロボット3と、糸掛けロボット3に圧縮空気を供給するための圧空供給部5と、圧縮空気によって駆動させられるエアシリンダ124と、圧空供給部5からの圧縮空気をエアシリンダ124に供給するための分岐供給経路90と、分岐供給経路90に配置されたエアセパレータ92と、を含む。エアセパレータ92は、分岐供給経路90を通る圧縮空気に含まれる液体を分離する分離部92aと、分離部92aによって分離された液体を貯留する貯留部92bとを有する。紡糸引取設備1は、貯留部92b内に貯留された液体を吸引可能なロボット側廃糸経路82をさらに含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡糸引取装置と、
前記紡糸引取装置に対して糸掛け作業を行う糸掛けロボットと、
前記糸掛けロボットに圧縮空気を供給するための圧空供給部と、
前記圧縮空気によって駆動させられる被駆動部と、
前記圧空供給部からの前記圧縮空気を前記被駆動部に供給するための供給経路と、
前記供給経路を通る前記圧縮空気に含まれる液体を分離する分離部と、前記分離部によって分離された液体を貯留する貯留部とを有し、前記供給経路に配置されたエアセパレータと、
前記貯留部内に貯留された前記液体を吸引可能な吸引部と、
を備えている紡糸引取設備。
【請求項2】
前記糸掛けロボットは、複数の糸を吸引保持するサクションを有し、
前記サクションに前記複数の糸を吸引させるための負圧を生じさせるために、前記圧空供給部から供給される圧縮空気が通過する圧空通過部をさらに備え、
前記吸引部は、前記圧空通過部である請求項1に記載の紡糸引取設備。
【請求項3】
前記圧空通過部は、前記圧空供給部からの圧縮空気を前記サクションに供給するための圧空供給経路を有し、
前記供給経路は、前記圧空供給経路の途中部分に接続されたものである請求項2に記載の紡糸引取設備。
【請求項4】
前記吸引部は、前記圧空供給経路のうちの前記供給経路が接続された前記途中部分よりも下流側の部分である請求項3に記載の紡糸引取設備。
【請求項5】
前記圧空通過部は、前記サクションによって吸引される前記複数の糸を吸引する廃糸部を有し、
前記吸引部は、前記廃糸部である請求項2又は3に記載の紡糸引取設備。
【請求項6】
前記被駆動部は、前記サクションを移動させるためのエアシリンダである請求項2~5の何れか1項に記載の紡糸引取設備。
【請求項7】
前記紡糸引取装置は、所定方向に複数並べられており、
前記糸掛けロボットは、前記所定方向に沿って移動可能であり、前記複数の紡糸引取装置に対して糸掛け作業を行う請求項1~6の何れか1項に記載の紡糸引取設備。
【請求項8】
紡糸引取装置に対して糸掛け作業を行う糸掛けロボットであって、
外部の圧空供給部から供給される圧縮空気によって駆動させられる被駆動部と、
前記圧空供給部からの圧縮空気を前記被駆動部に供給するための供給経路と、
前記供給経路を通る前記圧縮空気に含まれる液体を分離する分離部と、前記分離部によって分離された液体を貯留する貯留部とを有し、前記供給経路に配置されたエアセパレータと、
を備え、
前記貯留部は、前記貯留部内に貯留された前記液体を吸引可能な吸引部と接続されている糸掛けロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡糸引取設備及び糸掛けロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、紡出された複数の糸を巻き取ってパッケージを形成する紡糸引取装置に対して糸掛け作業を行う糸掛けロボットが開示されている。糸掛けロボットは、先端部に取り付けられたサクションによって複数の糸を吸引保持しながら動作することで、紡糸引取装置のローラ等に糸掛けを行う。サクションは、糸掛けロボットの外部に設けられた圧空供給部から供給される圧縮空気によって、複数の糸を吸引保持する。
【0003】
このような糸掛けロボットは、サクションとは別に、圧空供給部から供給される圧縮空気によって駆動させられる被駆動部を有する。被駆動部には、例えば、圧空供給部からサクションに送られる圧縮空気の一部を分岐させた圧縮空気が供給される。被駆動部は、例えば、糸掛け作業の際にサクションを動作させるためのエアシリンダが挙げられる。
【0004】
ここで、エアシリンダに供給される圧縮空気に水分や油分などの液体が含まれていると、エアシリンダの駆動部分がさび付いてしまう。そうすると、エアシリンダがサクションを適切に動作させることができないという問題が起こり得る。このため、一般に、エアシリンダに供給される圧縮空気から液体を分離するためのエアセパレータが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-66087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、エアセパレータによって圧縮空気から分離された液体は、エアセパレータ内に蓄積される。エアセパレータ内に蓄積される液体の量は、糸掛けロボットによる糸掛け作業が行われるたびに増え続け、やがてエアセパレータから溢れてしまう。このため、エアセパレータ内の液体を定期的に排出させる必要がある。
【0007】
従来、エアセパレータから液体を排出させる作業は作業員の人手によって行われており、手間がかかる。加えて、作業員による液体の排出作業中は、安全性を考慮して糸掛けロボットの動作を停止させなければならず、糸掛け作業自体のタイムロスにつながっている。
【0008】
本発明の目的は、エアセパレータ内の液体を効率良く排出することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の紡糸引取設備は、紡糸引取装置と、前記紡糸引取装置に対して糸掛け作業を行う糸掛けロボットと、前記糸掛けロボットに圧縮空気を供給するための圧空供給部と、前記圧縮空気によって駆動させられる被駆動部と、前記圧空供給部からの前記圧縮空気を前記被駆動部に供給するための供給経路と、前記供給経路を通る前記圧縮空気に含まれる液体を分離する分離部と、前記分離部によって分離された液体を貯留する貯留部とを有し、前記供給経路に配置されたエアセパレータと、前記貯留部内に貯留された前記液体を吸引可能な吸引部と、を備えているものである。
【0010】
本発明では、圧空供給部からの圧縮空気が被駆動部に供給されるのに伴ってエアセパレータの貯留部に蓄積された液体は、吸引部によって吸引される。このため、作業員が手作業で貯留部内の液体を排出させることが不要となる。したがって、エアセパレータの貯留部内の液体を効率良く排出することができる。
【0011】
本発明の紡糸引取設備において、前記糸掛けロボットは、複数の糸を吸引保持するサクションを有し、前記サクションに前記複数の糸を吸引させるための負圧を生じさせるために、前記圧空供給部から供給される圧縮空気が通過する圧空通過部をさらに備え、前記吸引部は、前記圧空通過部であることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、サクションに前記複数の糸を吸引させるための負圧を生じさせるための圧縮空気が通る圧空通過部を吸引部として利用することで、エアセパレータの貯留部内の液体を吸引するための構成を別途設けることが不要となる。これにより、装置構成を簡略化できる。
【0013】
本発明の紡糸引取設備において、前記圧空通過部は、前記圧空供給部からの圧縮空気を前記サクションに供給するための圧空供給経路を有し、前記供給経路は、前記圧空供給経路の途中部分に接続されたものであることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、圧空供給経路の途中部分に接続された供給経路によって、サクションに供給される圧縮空気の一部が被駆動部に供給される。よって、単一の圧空供給部によって被駆動部とサクションに圧縮空気を供給することができ、被駆動部とサクションに圧縮空気を供給するために2つの圧空供給部を設けることが不要となる。これにより、装置全体の大型化を抑制できる。
【0015】
本発明の紡糸引取設備において、前記吸引部は、前記圧空供給経路のうちの前記供給経路が接続された前記途中部分よりも下流側の部分であることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、圧空供給経路のうちの供給経路が接続された途中部分よりも下流側の部分を吸引部として利用している。このため、一度吸引部に吸引された貯留部内の液体が、再び途中部分を通過して貯留部に入り込むことがない。これにより、貯留部内の液体をより効率的に排出することができる。
【0017】
本発明の紡糸引取設備において、前記圧空通過部は、前記サクションによって吸引される前記複数の糸を吸引する廃糸部を有し、前記吸引部は、前記廃糸部であることが好ましい。
【0018】
廃糸部は、サクションによって吸引される糸を吸引する部分である。このような廃糸部には、サクションによって吸引される糸とともに、サクションを通過した後の圧縮空気が通る。このため、廃糸部に吸引された液体は、その後、サクションを通過することがなく、液体によってサクションが汚れることを防止できる。
【0019】
本発明の紡糸引取設備において、前記被駆動部は、前記サクションを移動させるためのエアシリンダであることが好ましい。
【0020】
サクションを動作させるためのエアシリンダに供給される圧縮空気に含まれる液体を分離するエアセパレータについて、貯留部に蓄積された液体を効率良く排出することができる。
【0021】
本発明の紡糸引取設備において、前記紡糸引取装置は、所定方向に複数並べられており、前記糸掛けロボットは、前記所定方向に沿って移動可能であり、前記複数の紡糸引取装置に対して糸掛け作業を行うことが好ましい。
【0022】
糸掛けロボットが所定方向に移動する構成において、作業員がエアセパレータ内の液体を排出しようとすると、作業員が糸掛けロボットのある位置まで移動しなければならない。そうすると、液体の排出作業がさらに手間となる。このような構成において、エアセパレータ内の液体を吸引する吸引部を設ける本発明は、より効果的である。
【0023】
本発明の糸掛けロボットは、紡糸引取装置に対して糸掛け作業を行う糸掛けロボットであって、外部の圧空供給部から供給される圧縮空気によって駆動させられる被駆動部と、前記圧空供給部からの圧縮空気を前記被駆動部に供給するための供給経路と、前記供給経路を通る前記圧縮空気に含まれる液体を分離する分離部と、前記分離部によって分離された液体を貯留する貯留部とを有し、前記供給経路に配置されたエアセパレータと、を備え、前記貯留部は、前記貯留部内に貯留された前記液体を吸引可能な吸引部と接続されているものである。
【0024】
本発明では、圧空供給部からの圧縮空気が被駆動部に供給されるのに伴ってエアセパレータの貯留部に蓄積された液体は、吸引部によって吸引される。このため、作業員が手作業でエアセパレータ内の液体を排出させることが不要となる。したがって、エアセパレータ内の液体を効率良く排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る紡糸引取設備の概略構成図である。
図2】紡糸引取装置及び糸掛けロボットの正面図である。
図3】紡糸引取装置及び糸掛けロボットの側面図である。
図4】紡糸引取設備の電気的構成を示すブロック図である。
図5】サクションの断面図である。
図6】カップリング装置の側面図である。
図7】糸掛けロボットに供給される圧縮空気の流れを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(紡糸引取設備の全体構成)
図1は、本実施形態に係る紡糸引取設備1の概略構成図である。紡糸引取設備1は、水平な一方向に並んだ複数の紡糸引取装置2と、複数の紡糸引取装置2に対して糸掛け作業を行う糸掛けロボット3と、各紡糸引取装置2や糸掛けロボット3の動作を制御する集中制御装置4と、糸掛けロボット3に圧縮空気を供給するための圧空供給部5と、糸掛けロボット3からの糸が廃棄される廃糸ボックス6と、を有する。本実施形態では、紡糸引取設備1に設けられた全ての紡糸引取装置2に対して、1台の糸掛けロボット3と、1つずつの圧空供給部5及び廃糸ボックス6が設けられているものとする。また、紡糸引取設備1には、圧空供給部5から糸掛けロボット3のサクション37に圧縮空気を供給するための圧空供給経路7と、サクション37から廃糸ボックス6に糸Yを廃棄するための廃糸経路8と、が設けられている。圧空供給経路7は、図1に二点鎖線で示す。廃糸経路8は、図1に一点鎖線で示す。なお、図1では、図が煩雑になることを避けるため、糸の図示は省略している。以下の説明においては、複数の紡糸引取装置2が並んでいる方向を左右方向、水平で且つ左右方向と直交する方向を前後方向と定義する。また、重力の作用する方向を上下方向と定義する。
【0028】
(紡糸引取装置)
紡糸引取装置2の詳細について説明する。図2は、紡糸引取装置2及び糸掛けロボット3の正面図であり、図3は、紡糸引取装置2及び糸掛けロボット3の側面図である。また、図4は、紡糸引取設備1の電気的構成を示すブロック図である。
【0029】
紡糸引取装置2は、不図示の紡糸装置から紡出される複数の糸Yを引き取り、複数のボビンBにそれぞれ巻き取って複数のパッケージPを形成する。より具体的には、紡糸引取装置2は、不図示の紡糸装置から紡出された複数の糸Yを、第1ゴデットローラ11及び第2ゴデットローラ12によって巻取ユニット13へ送り、巻取ユニット13で複数のボビンBにそれぞれ巻き取って複数のパッケージPを形成する。
【0030】
第1ゴデットローラ11は、軸方向が左右方向と略平行なローラであり、巻取ユニット13の前端部の上方に配置されている。第1ゴデットローラ11は、第1ゴデットモータ111(図4参照)によって回転駆動される。
【0031】
第2ゴデットローラ12は、軸方向が左右方向と略平行なローラであり、第1ゴデットローラ11よりも上方且つ後方に配置されている。第2ゴデットローラ12は、第2ゴデットモータ112(図4参照)によって回転駆動される。また、第2ゴデットローラ12は、ガイドレール14に移動可能に支持されている。ガイドレール14は、後方に向かうほど上方に位置するように斜めに延びている。第2ゴデットローラ12は、シリンダ113(図4参照)によって、ガイドレール14に沿って移動させることができるように構成されている。これにより、第2ゴデットローラ12は、糸Yの巻取りを行うときの巻取位置(図3の実線参照)と、第1ゴデットローラ11に近接して配置される、糸掛けを行うときの糸掛け位置(図3の一点鎖線参照)との間で移動可能となっている。
【0032】
紡糸引取装置2は、さらに、アスピレータ15及び糸規制ガイド16を有する。アスピレータ15は、糸掛けロボット3による糸掛け作業の前に、紡糸装置から紡出されてきた複数の糸Yを予め吸引保持する。アスピレータ15は、左右方向に沿って延びており、その右端部に糸Yを吸引する吸引口15aが形成されている。アスピレータ15は、吸引口15aが複数の糸Yの近傍に位置するように、第1ゴデットローラ11のやや上方に配置されている。
【0033】
糸規制ガイド16は、上下方向において第1ゴデットローラ11とアスピレータ15との間に配置されている。糸規制ガイド16は、例えば、公知の櫛歯状の糸ガイドであって、複数の糸Yが掛けられたときに、隣接する糸Y同士の間隔を規定する。また、糸規制ガイド16は、シリンダ114(図4参照)によって、左右方向(第1ゴデットローラ11の軸方向)に移動させることができるように構成されている。これにより、糸規制ガイド16は、左右方向において、第1ゴデットローラ11の先端部よりも突出した突出位置と、第1ゴデットローラ11が配置されている範囲内に収まった退避位置との間で移動可能となっている。
【0034】
巻取ユニット13は、複数の支点ガイド21と、複数のトラバースガイド22と、ターレット23と、2本のボビンホルダ24と、コンタクトローラ25とを含む。
【0035】
複数の支点ガイド21は、複数の糸Yに対して個別に設けられ、前後方向に配列されている。複数のトラバースガイド22は、複数の糸Yに対して個別に設けられ、前後方向に配列されている。複数のトラバースガイド22は、共通のトラバースモータ116(図4参照)によって駆動され、前後方向に往復移動する。これにより、トラバースガイド22に掛けられた糸Yが、支点ガイド21を中心にトラバースされる。
【0036】
ターレット23は、軸方向が前後方向と略平行な円板状の部材である。ターレット23は、ターレットモータ117(図4参照)によって回転駆動される。2本のボビンホルダ24は、それぞれ、軸方向が前後方向と略平行であり、ターレット23の上端部及び下端部に回転自在に支持されている。各ボビンホルダ24には、複数の糸Yに対して個別に設けられた複数のボビンBが前後方向に並んで装着されている。また、2つのボビンホルダ24は、それぞれ、個別の巻取モータ118(図4参照)によって回転駆動される。
【0037】
上側のボビンホルダ24を回転駆動させると、トラバースガイド22によってトラバースされた糸YがボビンBに巻き取られてパッケージPが形成される。また、パッケージPが満巻きとなると、ターレット23を回転させることにより、2本のボビンホルダ24の上下の位置を入れ換える。これにより、それまで下側に位置していたボビンホルダ24が上側に移動し、このボビンホルダ24に装着されたボビンBに糸Yを巻き取ってパッケージPを形成することができる。また、それまで上側に位置していたボビンホルダ24が下側に移動し、不図示のパッケージ回収装置によってパッケージPが回収される。
【0038】
コンタクトローラ25は、軸方向が前後方向と略平行なローラであり、上側のボビンホルダ24のすぐ上方に配置されている。コンタクトローラ25は、上側のボビンホルダ24に支持されている複数のパッケージPの表面に接触することで、巻取中のパッケージPの表面に接圧を付与して、パッケージPの形状を整える。
【0039】
糸掛けロボット3は、複数の紡糸引取装置2に対して糸掛け作業を行うものである。糸掛けロボット3の詳細な構成については後述する。
【0040】
(集中制御装置)
集中制御装置4は、紡糸引取設備1は設備全体の制御を行うための装置である。図4は、紡糸引取設備1の電気的構成を示す図である。集中制御装置4は、オペレータが各種の設定を行うための操作部4aと、設定を補助する画面や各部の状態を示す画面を表示する表示部4bとを有する(図1参照)。また、図4に示すように、各紡糸引取装置2には巻取制御装置101が設けられており、巻取制御装置101が、紡糸引取装置2に設けられた各駆動部の動作を制御する。また、糸掛けロボット3にはロボット制御装置102が設けられており、ロボット制御装置102が、糸掛けロボット3に設けられた各駆動部の動作を制御する。
【0041】
集中制御装置4は、各巻取制御装置101及びロボット制御装置102と、無線又は有線によって通信可能に接続されている。また、集中制御装置4には、糸掛けロボット3に設けられたエンコーダ123からの検出信号が入力される。また、集中制御装置4は、設備側圧空供給経路71の各サブホース71bに設けられた開閉弁75の開閉を制御する。
【0042】
(圧空供給経路及び廃糸経路)
紡糸引取設備1には、圧空供給部5から糸掛けロボット3のサクション37に圧縮空気を供給するための圧空供給経路7と、サクション37から廃糸ボックス6に糸Yを廃棄するための廃糸経路8と、が設けられている。圧空供給経路7は、図1に二点鎖線で示す。廃糸経路8は、図1に一点鎖線で示す。
【0043】
圧空供給経路7は、圧空供給部5から複数の紡糸引取装置2まで延びる設備側圧空供給経路71と、糸掛けロボット3に配設されたロボット側圧空供給経路72と、に分けられている。同様に、廃糸経路8は、複数の紡糸引取装置2から廃糸ボックス6まで延びる設備側廃糸経路81と、糸掛けロボット3に配設されたロボット側廃糸経路82と、に分けられている。そして、設備側圧空供給経路71とロボット側圧空供給経路72との着脱、及び、設備側廃糸経路81とロボット側廃糸経路82との着脱は、設備側連結ユニット40とロボット側連結ユニット34とからなるカップリング装置9によって行われる。カップリング装置9については後述する。
【0044】
図1に示すように、設備側圧空供給経路71は、圧空供給部5に接続されたメインホース71aと、メインホース71aから複数の紡糸引取装置2に向けて分岐する複数のサブホース71bとによって構成されている。各サブホース71bの下流端には、設備側連結ユニット40が設けられており、ロボット側圧空供給経路72の上流端には、ロボット側連結ユニット34が設けられている。また、各サブホース71bの途中には、集中制御装置4によって制御可能な開閉弁75が設けられている。なお、メインホース71a内の圧縮空気の圧力は、例えば、1.4MPaである。
【0045】
図1に示すように、設備側廃糸経路81は、廃糸ボックス6に接続されたメインホース81aと、メインホース81aから複数の紡糸引取装置2に向けて分岐する複数のサブホース81bとによって構成されている。各サブホース81bの上流端には、設備側連結ユニット40が設けられており、ロボット側廃糸経路82の下流端には、ロボット側連結ユニット34が設けられている。なお、メインホース81a内の圧縮空気の圧力は、例えば、0.6MPaである。
【0046】
糸掛けロボット3に設けられたロボット側連結ユニット34が、各紡糸引取装置2に対応する位置に設けられた設備側連結ユニット40の何れかと連結されると、設備側圧空供給経路71とロボット側圧空供給経路72とが接続されるとともに、設備側廃糸経路81とロボット側廃糸経路82とが接続される。これによって、圧空供給部5からサクション37に圧縮空気が供給可能になるとともに、サクション37から廃糸ボックス6に糸Yを廃棄可能となる。
【0047】
本実施形態では、ロボット側連結ユニット34と何れかの設備側連結ユニット40とが連結されたとき、圧空供給部5からサクション37に供給される圧縮空気は、圧空供給経路7、廃糸経路8、の順に通過して、廃糸ボックス6まで送られる。より具体的には、圧空供給部5から供給される圧縮空気は、設備側圧空供給経路71、ロボット側圧空供給経路72、ロボット側廃糸経路82、設備側廃糸経路81、の順に通過して廃糸ボックス6に送られる。よって、圧空供給経路7及び廃糸経路8は、サクション37の吸引口37cに負圧を生じさせるために、圧空供給部5から供給される圧縮空気が通過する部分である。すなわち、圧空供給経路7及び廃糸経路8は、本発明の圧空通過部に相当する。
【0048】
また、本実施形態において、サクション37によって吸引される複数の糸Yは、廃糸経路8を通って廃糸ボックス6に送られる。言い換えれば、廃糸経路8は、サクション37の吸引口37cに吸引される複数の糸Yを吸引している。すなわち、廃糸経路8は、本発明の廃糸部に相当する。
【0049】
(カップリング装置)
次に、カップリング装置9について説明する。図1に示すように、カップリング装置9は、設備側連結ユニット40とロボット側連結ユニット34とを有して構成される。設備側連結ユニット40は、各紡糸引取装置2に対応して複数設けられている。各設備側連結ユニット40は、各紡糸引取装置2の近傍に配置されている。より詳細には、各設備側連結ユニット40は、各紡糸引取装置2の巻取ユニット13の上方において、前後2本のガイドレール35の間に配置された状態でガイドレール35に固定されている。この2本のガイドレール35は、複数の紡糸引取装置2の前方において前後方向に間隔を空けて配置されており、複数の紡糸引取装置2にわたって左右方向にそれぞれ延びている。ロボット側連結ユニット34は、設備側連結ユニット40よりも下方に位置するように、糸掛けロボット3の本体部31(後述)の上面に取り付けられている(図3参照)。
【0050】
図6は、カップリング装置9の側面図である。設備側連結ユニット40には、設備側圧空供給経路71が接続された設備側ジョイント73と、設備側廃糸経路81が接続された設備側ジョイント83とが設けられる。一方、ロボット側連結ユニット34には、ロボット側圧空供給経路72が接続されたロボット側ジョイント74と、ロボット側廃糸経路82が接続されたロボット側ジョイント84とが設けられる。そして、設備側ジョイント73とロボット側ジョイント74とが連結することで、設備側圧空供給経路71とロボット側圧空供給経路72とが接続される。また、設備側ジョイント83とロボット側ジョイント84とが連結することで、設備側廃糸経路81とロボット側廃糸経路82とが接続される。
【0051】
設備側連結ユニット40は、ガイドレール35にそれぞれ固定される2つの固定部材41と、2つの固定部材41の間にわたって略水平に設けられ、固定部材41に固定された板状の固定ベース42と、固定ベース42に取り付けられた設備側ジョイント73、83と、を有する。
【0052】
設備側ジョイント73、83は、それぞれの軸方向が上下方向と略平行となるように、固定ベース42に形成された不図示の取付孔に挿入された状態で固定されている。設備側ジョイント73、83のうち、固定ベース42から下方に突出する部分は、ロボット側ジョイント74、84にそれぞれ挿入され連結される部分である。設備側ジョイント73、83のうち、固定ベース42から上方に突出する部分は、設備側圧空供給経路71(サブホース71b)及び設備側廃糸経路81(サブホース81b)がそれぞれ接続される部分である。
【0053】
ロボット側連結ユニット34は、糸掛けロボット3の本体部31の上面に固定される板状のベース部材51と、ベース部材51から上方に延設された2本の棒状のガイド部材52と、上下方向に移動可能に2本のガイド部材52に外嵌された2つのスライド部材53と、2つのスライド部材53に略水平に固定された板状の第1支持部材54と、第1支持部材54から上方に延設された2本のピン部材55と、2本のピン部材55に略水平に固定された板状の第2支持部材56と、第1支持部材54の下面に取り付けられたシリンダ57とを有する。
【0054】
ロボット側ジョイント74、84は、それぞれの軸方向が上下方向と略平行となるように、第2支持部材56に形成された不図示の取付孔に挿入された状態で固定されている。ロボット側ジョイント74、84のうち、第2支持部材56から上方に突出する部分は、設備側ジョイント73、83がそれぞれ挿入され連結される部分である。ロボット側ジョイント74、84のうち、第2支持部材56から下方に突出する部分は、ロボット側圧空供給経路72及びロボット側廃糸経路82がそれぞれ接続される部分である。
【0055】
そして、設備側ジョイント73とロボット側ジョイント74とが互いに対向するとともに、設備側ジョイント83とロボット側ジョイント84とが互いに対向する状態で、シリンダ57によって第1支持部材54を上方に移動させると、第1支持部材54と一体的に、第2支持部材56に固定されたロボット側ジョイント74、84が上方に移動する。これにより、設備側ジョイント73、83がロボット側ジョイント74、84に相対的に挿入される。その結果、設備側ジョイント73とロボット側ジョイント74とが連結するとともに、設備側ジョイント83とロボット側ジョイント84とが連結する。
【0056】
(糸掛けロボット)
次に、糸掛けロボット3について説明する。糸掛けロボット3は、本体部31と、ロボットアーム32と、糸掛けユニット33とを有する。
【0057】
本体部31は、略直方体形状に構成されている。本体部31内部には、ロボットアーム32や糸掛けユニット33の動作を制御するためのロボット制御装置102(図4参照)等が搭載されている。図2及び図3に示すように、本体部31は、2本のガイドレール35に吊り下げられており、2本のガイドレール35に沿って左右方向に移動可能となっている。前述したように、2本のガイドレール35は、複数の紡糸引取装置2の前方において前後方向に間隔を空けて配置されており、複数の紡糸引取装置2にわたって左右方向にそれぞれ延びている。つまり、糸掛けロボット3は、複数の紡糸引取装置2の前方において左右方向に移動可能に構成されている。
【0058】
図3に示すように、本体部31の上端部には、4つの車輪36が設けられている。そして、これら4つの車輪36のうち2つずつが、各ガイドレール35の上面に配置されている。また、4つの車輪36は、移動モータ121(図4参照)によって回転駆動され、4つの車輪36が回転駆動されることで、本体部31が、2本のガイドレール35に沿って左右方向に移動する。なお、糸掛けロボット3が左右方向においてどの位置にあるかを把握するため、糸掛けロボット3には、糸掛けロボット3の左右方向の位置を検出するエンコーダ123(図4参照)が設けられている。
【0059】
ロボットアーム32は、本体部31の下面に取り付けられている。ロボットアーム32は、複数のアーム32aとアーム32a同士を連結する複数の関節部32bとを有する。各関節部32bにはアームモータ122(図4参照)が内蔵されており、アームモータ122が駆動されると、アーム32aが関節部32bを中心に揺動する。これにより、ロボットアーム32を3次元的に動作させることができる。
【0060】
糸掛けユニット33は、ロボットアーム32の先端部に取り付けられている。糸掛けユニット33には、糸Yを吸引して保持するためのサクション37と、糸Yを切断するためのカッター38とが設けられている。
【0061】
図5は、サクション37の断面図である。サクション37は、直線的に延びる吸引管37aと、吸引管37aの途中部分に一体的に接続された圧空管37bと、を有する。吸引管37aの一端部は、糸Yを吸引する吸引口37cとなっている。吸引管37aの他端部には、ロボット側廃糸経路82が接続されている。また、圧空管37bの一端部は、連通孔37dを介して吸引管37aと連通している。圧空管37bの他端部には、ロボット側圧空供給経路72が接続されている。連通孔37dは、吸引管37aに近づくほど吸引管37aの他端側に位置するように、吸引管37aに対して斜めに形成されている。
【0062】
このように構成されたサクション37では、図5において矢印で示すように、圧空管37bから吸引管37aに流れ込む圧縮空気は、吸引管37aの一端側から他端側に向かって流れる。この流れによって吸引口37cに負圧が生じ、吸引口37cから糸Yを吸引することが可能となる。吸引口37cから吸引された糸Yは、そのまま、吸引管37a内における空気の流れにより、ロボット側廃糸経路82へと排出される。糸掛けロボット3は、サクション37で糸Yを吸引保持しながら糸掛け作業を行う。
【0063】
さらに、糸掛けロボット3は、上述したカップリング装置9の一部を構成するロボット側連結ユニット34を有する。
【0064】
また、糸掛けロボット3は、図7に示すように、サクション37を移動させるためのエアシリンダ124と、圧空供給部5からの圧縮空気をエアシリンダ124に供給するための分岐供給経路90(本発明の供給経路)と、を有する。エアシリンダ124は、圧縮空気によって駆動させられるものであって、本発明の被駆動部に相当する。エアシリンダ124が駆動することで、不図示のレールに沿ってサクション37を摺動させる。これにより、サクションガン37は、不図示のレールの延在方向に沿って伸縮可能となる。なお、図7では、紡糸引取装置2の記載は省略する。また、図7では、説明のため、複数のサブホース71bのうち1つのサブホース71bのみを記載し、複数のサブホース81bのうち1つのサブホース81bのみを記載している。さらに、図7では、ロボットアーム32の記載を省略している。
【0065】
図7に示すように、分岐供給経路90は、ロボット側圧空供給経路72の途中部分に接続されている。すなわち、分岐供給経路90の一端部はロボット側圧空供給経路72の途中部分に接続され、分岐供給経路90の他端部はエアシリンダ124に接続されている。
【0066】
分岐供給経路90には、レギュレータ91と、エアセパレータ92とが配置されている。レギュレータ91は、エアセパレータ92の下流側に配置されている。レギュレータ91は、分岐供給経路90を通る圧縮空気の圧力を調節するためのものである。具体的には、レギュレータ91は、圧縮空気の圧力を一定の圧力に下げるためのものである。例えば、分岐供給経路90内のレギュレータ91よりも下流側を通る圧縮空気の圧力は、レギュレータ91によって0.1MPaに調節される。
【0067】
エアセパレータ92は、分離部92aと、貯留部92bと、を有する。分離部92aは、分岐供給経路90を通る圧縮空気に含まれる液体とゴミを分離するためのものである。分離部92aは、例えば、サイクロン効果によって空気から液体と比較的大きなゴミを分離し、内部エレメントによって微細な異物を除去することで、清浄な圧縮空気を下流へ送り出す。貯留部92bは、分離部92aによって分離された液体とゴミを貯留するものである。貯留部92bの下部には、貯留部92b内の液体を外部に排出するための排出口92cが設けられている。分離部92aによって分離される液体とゴミは、例えば、水分及び油分や圧縮空気中の粉塵を含む。
【0068】
貯留部92bは、接続経路93を介して、ロボット側廃糸経路82の途中部分に接続されている。具体的には、接続経路93の一端部は排出口92cと接続され、接続経路93の他端部はロボット側廃糸経路82の途中部分に接続されている。なお、図示はしていないが、接続経路93の一端部は、他端部よりも上方に位置していることが好ましい。接続経路93は、例えば、樹脂製のチューブである。上述したように、廃糸経路8は、サクション37の吸引口37cに吸引される複数の糸Yを吸引している。言い換えれば、廃糸経路8であるロボット側廃糸経路82は、上流側の圧縮空気を吸引する吸引力を有する。このため、ロボット側廃糸経路82に接続された貯留部92b内に貯留された液体は、ロボット側廃糸経路82の吸引力によって吸引される。すなわち、本実施形態のロボット側廃糸経路82は、貯留部92b内に貯留された液体を吸引可能であって、本発明の吸引部に相当する。また、本実施形態の吸引部は、貯留部92b内に貯留されたゴミを液体とともに吸引することが可能である。
【0069】
(効果)
本実施形態の紡糸引取設備1は、紡糸引取装置2と、糸掛けロボット3と、糸掛けロボット3に圧縮空気を供給するための圧空供給部5と、圧縮空気によって駆動させられるエアシリンダ124(被駆動部)と、圧空供給部5からの圧縮空気をエアシリンダ124に供給するための分岐供給経路90(供給経路)と、分岐供給経路90に配置されたエアセパレータ92と、を含む。エアセパレータ92は、分岐供給経路90を通る圧縮空気に含まれる液体を分離する分離部92aと、分離部92aによって分離された液体を貯留する貯留部92bとを有する。紡糸引取設備1は、貯留部92b内に貯留された液体を吸引可能な吸引部としてのロボット側廃糸経路82をさらに含む。本実施形態によれば、圧空供給部5からの圧縮空気がエアシリンダ124に供給されるのに伴ってエアセパレータ92の貯留部92bに蓄積された液体は、ロボット側廃糸経路82によって吸引される。このため、作業員が手作業でエアセパレータ92内の液体を排出させることが不要となる。したがって、エアセパレータ92内の液体を効率良く排出することができる。
【0070】
また、本実施形態の紡糸引取設備1では、糸掛けロボット3は、複数の糸Yを吸引保持するサクション37を有し、サクション37に複数の糸Yを吸引させるための負圧を生じさせるために、圧空供給部5から供給される圧縮空気が通過する圧空供給経路7及び廃糸経路8(圧空通過部)を有する。そして、貯留部92b内に貯留された液体を吸引可能な吸引部は、ロボット側廃糸経路82である。これによれば、サクション37に複数の糸Yを吸引させるための負圧を生じさせるための圧縮空気が通るロボット側廃糸経路82を吸引部として利用することで、エアセパレータ92の貯留部92b内の液体を吸引するための構成を別途設けることが不要となる。これにより、装置構成を簡略化できる。
【0071】
また、本実施形態の紡糸引取設備1では、吸引部は、サクション37によって吸引される複数の糸Yを吸引する廃糸経路8のロボット側廃糸経路82である。ロボット側廃糸経路82は、サクション37によって吸引される糸Yを吸引する部分である。このようなロボット側廃糸経路82には、サクション37によって吸引される糸Yとともに、サクション37を通過した後の圧縮空気が通る。このため、ロボット側廃糸経路82に吸引された液体は、その後、サクション37を通過することがなく、液体によってサクション37が汚れることを防止できる。
【0072】
また、本実施形態の紡糸引取設備1では、被駆動部は、サクション37を動作させるためのエアシリンダ124である。これによれば、サクション37を動作させるためのエアシリンダ124に供給される圧縮空気に含まれる液体を分離するエアセパレータ92について、貯留部92bに蓄積された液体を効率良く排出することができる。
【0073】
さらに、本実施形態の紡糸引取設備1は、圧空供給部5からの圧縮空気をサクション37に供給するための圧空供給経路7を有する。分岐供給経路90は、圧空供給経路7のロボット側圧空供給経路72の途中部分に接続されたものである。本実施形態によれば、圧空供給経路7のロボット側圧空供給経路72の途中部分に接続された分岐供給経路90によって、サクションに供給される圧縮空気の一部が被駆動部に供給される。よって、単一の圧空供給部5によってエアシリンダ124とサクション37に圧縮空気を供給することができ、エアシリンダ124とサクション37に圧縮空気を供給するために2つの圧空供給部5を設けることが不要となる。これにより、装置全体の大型化を抑制できる。
【0074】
さらに、本実施形態の紡糸引取設備1では、紡糸引取装置2は、左右方向に複数並べられている。糸掛けロボット3は、左右方向に沿って移動可能であり、複数の紡糸引取装置2に対して糸掛け作業を行う。糸掛けロボット3が左右方向に移動する構成において、作業員がエアセパレータ92内の液体を排出しようとすると、作業員が糸掛けロボット3のある位置まで移動しなければならない。そうすると、液体の排出作業がさらに手間となる。このような構成において、エアセパレータ92内の液体を吸引するロボット側廃糸経路82を設ける本実施形態は、より効果的である。
【0075】
(変形例)
以下に、前記実施形態に変更を加えた変形例について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0076】
上記実施形態では、貯留部92bは、ロボット側廃糸経路82の途中部分に接続されている。そして、ロボット側廃糸経路82が、貯留部92b内に貯留された液体を吸引可能である。しかしながら、貯留部92bは、ロボット側圧空供給経路72の途中部分に接続されていてもよい。この場合、貯留部92bは、ロボット側圧空供給経路72のうち、分岐供給経路90との接続部分よりも下流側の部分に接続される。そして、この場合、ロボット側圧空供給経路72が、本発明の吸引部に相当する。ロボット側圧空供給経路72のうちの分岐供給経路90との接続部分(本発明の途中部分)よりも下流側の部分を吸引部として利用することによって、一度ロボット側圧空供給経路72に吸引された貯留部92b内の液体が、再び接続部分を通過して貯留部92bに入り込むことがない。これにより、貯留部92b内の液体をより効率的に排出することができる。また、貯留部92bは、圧空供給経路7及び廃糸経路8とは別に設けられた、貯留部92b内の液体を吸引するための吸引部に接続されていてもよい。
【0077】
上記実施形態では、分岐供給経路90は、圧空供給部5からの圧縮空気を、サクション37を移動させるためのエアシリンダ124に供給するための経路である。すなわち、上記実施形態では、分岐供給経路90によって圧縮空気を供給される被駆動部は、エアシリンダ124である。しかしながら、本発明の被駆動部はこれに限られない。例えば、被駆動部は、ロボットアーム32の先端部に取り付けられ、複数の支点ガイド21に糸掛けを行う際に使用される櫛ガイドを動作させるためのエア駆動アクチュエータであってもよい。または、被駆動部は、ロボットアーム32の先端部に取り付けられ、紡糸引取装置2の複数のローラ等に糸掛けを行う際にサクション37に吸引されている糸Yを一旦預けるコンタクトローラを動作させるためのエア駆動アクチュエータであってもよい。エア駆動アクチュエータには、エアシリンダが含まれる。さらに、分岐供給経路90は、圧空供給部5からの圧縮空気を複数の被駆動部に供給するものであってもよい。例えば、分岐供給経路90は、サクションガンを移動させるためのエアシリンダ124と、櫛ガイドを動作させるエアシリンダとのそれぞれに圧縮空気を供給するものであってもよい。この場合、分岐供給経路90は、途中でさらに分岐しており、それぞれの分岐先が複数の被駆動部に接続される。
【0078】
上記実施形態では、分岐供給経路90は、ロボット側圧空供給経路72の途中部分に接続されている。しかしながら、本発明の供給経路の構成はこれに限られない。例えば、以下のような構成が考えられる。すなわち、圧空供給部5からの圧縮空気をエアシリンダ124に供給するための第2圧空供給経路が、圧空供給経路7とは別に設けられる。そして、第2圧空供給経路は、圧空供給部5から複数の紡糸引取装置2まで延びる設備側第2圧空供給経路と、糸掛けロボット3に配設されたロボット側第2圧空供給経路と、に分けられている。このような構成の場合、本発明の供給経路は、ロボット側第2圧空供給経路である。なお、この場合において、設備側第2圧空供給経路とロボット側第2圧空供給経路との着脱は、上記実施形態のカップリング装置9によって行われる。また、エアシリンダ124に圧縮空気を供給するための供給経路が、ロボット側圧空供給経路72の途中部分に接続されていない構成の場合、レギュレータ91は配置されていなくてもよい。
【0079】
上記実施形態では、接続経路93は、一端部が貯留部92bと接続され、他端部がロボット側廃糸経路82と接続されており、一端部が他端部よりも上方に位置している。しかしながら、一端部が他端部よりも下方に位置していてもよい。
【0080】
上記実施形態の紡糸引取設備1は、紡糸引取装置2が左右方向に複数並べられている。しかしながら、紡糸引取設備1は、紡糸引取装置2が1つのみ配置されている構成でもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 紡糸引取設備
2 紡糸引取装置
3 糸掛けロボット
5 圧空供給部
7 圧空供給経路(圧空通過部)
8 廃糸経路(圧空通過部、廃糸部)
37 サクション
72 ロボット側圧空供給経路(圧空通過部)
82 ロボット側廃糸経路(圧空通過部、廃糸部)
90 分岐供給経路(供給経路)
91 レギュレータ
92 エアセパレータ
92a 分離部
92b 貯留部
93 接続経路
Y 糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7