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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080802
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】配車管理装置及び配車管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240610BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240610BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194038
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古城 直樹
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA03
5H181AA15
5H181FF05
5H181FF13
5H181MA04
5H181MA05
5H181MA48
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】 車両の運行台数をある程度確保したいエリアから必要以上に車両が流出することを防止し、配車サービスの質を向上させる。
【解決手段】 本発明は、複数の車両に対するオンデマンド方式による配車サービスを管理する配車管理装置である。前記配車管理装置は、乗降地が指定されたユーザからの配車要求を取得する配車要求取得部と、前記配車要求に応答して前記複数の車両の中から候補車両を抽出し、抽出された前記候補車両の中から選択される一の車両に対する配車計画を作成する配車計画作成部と、前記配車計画に基づく配車指示を前記一の車両に送信する配車指示部とを備える。前記配車計画作成部は、前記配車要求が指定する乗降地のいずれかが優先エリア以外の通常エリア内である場合、前記優先エリア内にいる前記車両の台数を算出し、前記台数が一定数以下である場合に、前記通常エリア内にいる前記車両を前記候補車両として抽出する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両に対するオンデマンド方式による配車サービスを管理する配車管理装置であって、
乗車地及び降車地が指定されたユーザからの配車要求を取得する配車要求取得部と、
取得された前記配車要求に応答して前記複数の車両の中から候補車両を抽出し、抽出された前記候補車両の中から選択される一の車両に対する配車計画を作成する配車計画作成部と、
前記配車計画に基づく配車指示を前記一の車両に送信する配車指示部と、を備え、
前記配車計画作成部は、
前記配車要求が指定する前記乗車地及び前記降車地の少なくとも一方が優先エリア以外の通常エリア内である場合に、前記優先エリア内にいる前記車両を特定し、
前記優先エリア内にいると特定された前記車両の台数を算出し、
前記台数が第1の下限値を下回っている場合に、前記通常エリア内にいる前記車両を前記候補車両として抽出する、
配車管理装置。
【請求項2】
前記配車計画作成部は、抽出された前記候補車両の台数が第2の下限値を上回っていない場合に、前記通常エリア内にいる前記車両に代えて、前記優先エリア内にいる前記車両を前記候補車両として抽出する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記配車計画作成部は、前記車両ごとに既に作成された前記配車計画に従った該車両の運行ルートに基づいて、該車両が前記優先エリア内にいるか又は前記通常エリア内にいるかを判断する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記配車計画作成部は、前記車両の前記運行ルートにおける前記乗車地及び前記降車地の少なくとも1つが前記通常エリア内である場合に、該車両が前記優先エリア内にいないと判断する、
請求項3に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記配車計画作成部は、前記車両の前記運行ルートに従った直近の目的地が前記通常エリア内である場合に、前記優先エリア内にいないと判断する、
請求項3に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記配車計画作成部は、前記車両ごとに既に作成された運行ルートに従った所定の時間帯における前記車両の位置に基づいて、前記優先エリア内にいる前記車両であるか否かを判断する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項7】
前記配車計画作成部は、所定の時間帯に対応する前記車両の需要量に基づいて、前記第1の下限値を変更する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項8】
前記配車計画作成部は、前記通常エリア内の前記車両の需要量が前記優先エリア内の前記車両の需要量よりも多い場合に、前記第1の下限値を第1の値から前記第1の値よりも低い第2の値に変更する、
請求項7に記載の配車管理装置。
【請求項9】
所定の時間帯における前記優先エリア内の滞留人口及び前記通常エリア内の滞留人口に基づいて前記車両の需要量を算出する需要情報取得部を更に備える、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項10】
前記需要情報取得部は、前記優先エリア内の前記滞留人口に対する前記通常エリア内の前記滞留人口の比が所定の基準値を上回る場合に、前記通常エリア内の前記需要量が多いと判断する、
請求項9に記載の配車管理装置。
【請求項11】
前記配車計画作成部は、前記優先エリアにおける特定の施設の営業時間における前記車両の需要量に基づいて、前記第1の下限値を第1の値よりも高い第3の値に変更する、
請求項7に記載の配車管理装置。
【請求項12】
前記優先エリアは、
(i) 特定の施設の集積度が一定値以上であるエリア;
(ii) 日中の時間帯の滞留人口が夜間の時間帯における滞留人口よりも多いエリア;及び
(iii) 前記車両の前記台数の密度が一定値以上であるエリア;
の少なくともいずれかである、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項13】
複数の車両に対するオンデマンド方式による配車サービスを管理する配車管理装置による配車管理方法であって、
乗車地及び降車地が指定されたユーザからの配車要求を取得することと、
取得された前記配車要求に応答して前記複数の車両の中から候補車両を抽出し、抽出された前記候補車両の中から選択される一の車両に対する配車計画を作成することと、
前記配車計画に基づく配車指示を前記一の車両に送信することと、を含み、
前記配車計画を作成することは、
前記配車要求が指定する前記乗車地及び前記降車地の少なくとも一方が優先エリア以外の通常エリア内である場合に、前記優先エリア内にいる前記車両を特定することと、
前記優先エリア内にいると特定された前記車両の台数を算出することと、
前記台数が第1の下限値を下回っている場合に、前記通常エリア内にいる前記車両を前記候補車両として抽出することと、を含む、
配車管理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車管理技術に関し、特に、車両のオンデマンド方式による配車を管理する配車管理装置及び配車管理方法に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
モビリティサービスは、車両による乗客及び/又は荷物の輸送をスムーズに提供するサービスとして知られている。近年では、人口減少に伴う輸送需要の減少や労働力不足等を背景に、一つの車両で乗客と荷物とを同時に輸送するモビリティサービスが提案されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、目的地を含むサービス要求を受信して、該目的地がサービス提供者端末に関連付けられたエリア内にある確率を求め、該目的地が該エリア内にある確率が閾値よりも大きい場合に、該サービス提供者端末を候補サービス提供者端末として決定する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018-538584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に開示されたシステムは、サービス提供者端末に対応付けられた車両の履歴運転経路から複数の履歴位置を抽出し、該抽出された複数の履歴位置に基づいて分布モデルを求め、更に、該分布モデルに基づいてサービス要求の目的地がサービス提供者端末に関連付けられたエリア内にある確率を求めている。したがって、履歴位置によっては、車両が様々なエリアに分散してしまい、結果として、必要な台数の車両を特定のエリア内に留めておくことができず、サービスレベル(LoS:Level Of Service)を担保することができなかった。
【0006】
とりわけ、人口の少ない地方では、提供される車両の台数が比較的少ないため、ある程度の運行台数を確保したい特定のエリアに対しては、該特定のエリア内に車両が留まるように意図的に配車しておかないと、LoSが低下してしまうという問題があった。したがって、例えば、人流・物流によって街の中心部の活性化を図ろうとするためには、中心部を含むエリア内に車両が留まるように配車しておく必要があった。
【0007】
そこで、本発明は、配車要求によって車両の運行台数をある程度確保したい特定のエリアから必要以上に車両が流出することを防止し、LoSを向上させる配車管理装置及び配車管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
【0009】
ある観点に従う本発明は、複数の車両に対するオンデマンド方式による配車サービスを管理する配車管理装置である。前記配車管理装置は、乗車地及び降車地が指定されたユーザからの配車要求を取得する配車要求取得部と、取得された前記配車要求に応答して前記複数の車両の中から候補車両を抽出し、抽出された前記候補車両の中から選択される一の車両に対する配車計画を作成する配車計画作成部と、前記配車計画に基づく配車指示を前記一の車両に送信する配車指示部と、を備える。前記配車計画作成部は、前記配車要求が指定する前記乗車地及び前記降車地の少なくとも一方が優先エリア以外の通常エリア内である場合に、前記優先エリア内にいる前記車両を特定し、前記優先エリア内にいると特定された前記車両の台数を算出する。そして、前記配車管理装置は、前記台数が第1の下限値を下回っている場合に、前記通常エリア内にいる前記車両を前記候補車両として抽出する。
【0010】
また、別の観点に従う本発明は、複数の車両に対するオンデマンド方式による配車サービスを管理する配車管理装置による配車管理方法である。前記配車管理方法は、乗車地及び降車地が指定されたユーザからの配車要求を取得することと、取得された前記配車要求に応答して前記複数の車両の中から候補車両を抽出し、抽出された前記候補車両の中から選択される一の車両に対する配車計画を作成することと、前記配車計画に基づく配車指示を前記一の車両に送信することと、を含む。前記配車計画を作成することは、前記配車要求が指定する前記乗車地及び前記降車地の少なくとも一方が優先エリア以外の通常エリア内である場合に、前記優先エリア内にいる前記車両を特定することと、前記優先エリア内にいると特定された前記車両の台数を算出することと、前記台数が第1の下限値を下回っている場合に、前記通常エリア内にいる前記車両を前記候補車両として抽出することと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配車要求によって車両の運行台数をある程度確保したい特定のエリアから、必要以上に車両が流出することを防止することができ、オンデマンド方式による配車サービスのLoSを向上させることができるようになる。
【0012】
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る配車管理システムの一例を説明する図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る配車管理システムにおけるルートパターンの導出を説明するための図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による配車管理処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による配車管理処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置により作成された配車計画による運行ルートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る配車管理システムの一例を説明する図である。同図に示すように、配車管理システム1は、配車管理装置10と、端末装置20と、車両Vを含み、これらは通信ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。本開示の配車管理システム1は、例えば、ある地域を対象にした、複数の車両Vを用いたオンデマンド方式による配車サービスを提供する。
【0016】
本開示では、配車サービスの対象地域は、車両Vの運行台数が優先的に確保される優先エリアとそれ以外の通常エリアとを含んでいる。優先エリアは、例えば、人が集中し賑わいのある街の中心部を含むエリアであって、通常エリアに対して車両Vが優先的に確保されるエリアである。優先エリアは、例えば商業施設やイベント会場のような特定の施設が集まるエリアを含み得る。また、優先エリアは、常に一定ではなく、例えば、時間帯ごとの滞留人口に応じて変動するように設定されても良い。これにより、柔軟な配車サービスを行うことができる。優先エリア及び/又は通常エリアは、1つであっても良いし、複数あっても良い。
【0017】
本開示において、「オンデマンド方式による配車サービス」は、ユーザからの配車要求に即時に応答して、該ユーザに所定の車両を割り当てる(配車する)サービスである。つまり、オンデマンド方式による配車サービスでは、ユーザが指定する配車予約時刻は存在しない。また、「即時に応答」とは、ユーザからの配車要求に対して間髪入れずに配車するだけでなく、ユーザが通常許容し得るようなある程度の幅をもった時間を含む概念である。本開示の配車管理システム1は、このような「オンデマンド方式による配車サービス」を前提としている。
【0018】
配車管理装置10は、対象地域における複数の車両Vによる配車サービスを統括的に管理するコンピューティングデバイスである。配車管理装置10は、例えば配車管理サーバプログラムを実装し、プロセッサの制御の下、配車管理サーバプログラムを実行することにより、本開示の配車サービスを実現する。
【0019】
配車管理装置10は、かかる配車サービスを実現するために必要なデータを管理する各種のデータベース12を含む。データベース12は、例えば、稼働実績データベース12aと、ユーザ情報データベース12bと、地図データベース12cと、車両情報データベース12dと、配車計画データベース12eとを含み構成される(図2参照)。本例では、データベース12は、配車管理装置10の一部として構成されているが、これに限られず、その全部又は一部が配車管理装置10とは別体に構成されても良い。
【0020】
概略的には、配車管理装置10は、配車を希望するユーザから車両Vの配車要求を受け付け又は取得して、該配車要求に対して選択的に割り当てられた一の車両Vに対する配車計画を作成して確定し、確定した配車計画に従った配車指示を一の車両Vに行う。配車計画の確定は、例えば、ユーザの承諾に応答して行われる。
【0021】
本開示では、乗客である一般ユーザからの乗車のための配車要求を例に説明されるが、配車要求は、荷主(荷物配送事業者又は一般ユーザ)であるユーザからの荷物配送のための配車要求であっても良い。したがって、荷物配送事業者でない一般ユーザもまた、自身の荷物を配送してもらうために荷物配送の配車要求を行い得る。配車要求は、例えば、ユーザ名、配車要求の種別、乗車地及び降車地(発着地)、運送内容(人数等)等に関する情報を含む。
【0022】
配車計画は、車両Vが待機する場所(起点となる待機場所)から、ユーザが乗降を行う途中のいくつかの地点(乗降地)を経由して、終点となる待機場所(最初の待機場所と同じとは限らない。)までを定めた運行ルートを含む。本開示の配車管理装置10は、対象地域内の通常エリアよりも優先エリアに優先的に車両Vの台数が確保されるように配車計画を作成する。各車両Vは、配車計画に従った運行ルートに従って対象地域内を走行する。
【0023】
なお、優先エリアは、例えば、
(i) 特定の施設の集積度が一定値以上であるエリア;
(ii) 日中の時間帯の滞留人口が夜間の時間帯における滞留人口よりも多いエリア;及び
(iii) 前記車両の台数の密度が一定値以上であるエリア;
の少なくともいずれかであり得るが、これらに限られない。
このように、滞留人口の多いエリアを優先エリアに設定することで、ユーザに優先エリア内でのスムーズな乗車予約を提供できるようになる。
【0024】
車両Vは、ユーザの利用に供される、車両情報データベース12dに登録された車両である。車両Vの車種(例えば、セダン、ミニバン、SUV等)は問わない。車両Vは、車載バッテリーを動力源とする電気自動車(EV)であっても良い。また、車両Vは、完全な自律走行可能な自動運転車であっても良く、いわゆる自動運転化レベルを問わない。車両Vは、配車管理装置10による指示に従って車両V自体又はその搭載機器(例えばナビゲーション装置)を制御する制御装置300を備える(図2参照)。制御装置300は、例えば、GPSシステムを介して車両Vの位置情報を取得し、これを配車管理装置10に送信するとともに、配車管理装置10から配車指示を受け付けて、車両Vの各種の機器又は装置の動作を制御する。制御装置300は、例えば、配車計画に従った運行ルートを提示するナビゲーション機能や、完全自動運転車であれば車両Vの運行ルートに沿った自律走行制御機能を含む。
【0025】
端末装置20は、例えば、乗車を希望するユーザがユーザインターフェースを操作して配車要求を行うためのコンピューティングデバイスである。端末装置20は、例えばスマートフォンやパッドコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型コンピュータ等であるが、これらに限られない。端末装置20は、例えば、配車管理クライアントプログラム(いわゆる配車アプリ)を実装する。端末装置20は、プロセッサの制御の下、配車アプリを実行することにより、ユーザによる配車管理装置10の配車サービスの利用を可能にする。例えば、ユーザは、端末装置20のユーザインターフェース上の配車要求画面(図示せず)から配車要求を行い、これに応答して配車管理装置10が作成した配車計画を承諾することで、車両Vの乗車予約を行い得る。
【0026】
このように、本開示の配車管理システム1では、オンデマンド方式による配車サービスにおいて、対象地域内の優先エリア内に所定の台数以上の車両Vが確保されるように配車計画を作成するので、ユーザは優先エリア内でのスムーズな乗車予約が可能になり、その結果、LoSが向上する。また、優先エリア内でのユーザの配車サービスの利便性が向上するため、更なる人の流入を促し、優先エリアの活性化が図られるようになる。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置の機能構成モデルの一例を示すブロックダイアグラム図である。同図に示すように、配車管理装置10は、例えば、フロントエンド処理部110と、需要情報取得部120と、配車要求取得部130と、乗降地決定部140と、配車計画作成部150と、走行ルート計画部160と、車両通信インターフェース部170といった機能構成要素を含む機能構成モデルとして構成される。また、配車管理装置10は、上述したように、各種のデータベース12を含む。かかる機能モデルは、配車管理装置10が、プロセッサの制御の下、配車管理サーバプログラムを実行し、これにより、各種のハードウェア資源と協働することにより、実現される。ここに示す機能構成モデルは一例であって、ある機能構成要素における全部又は一部の機能が、他の機能構成要素によって実現されても良い。なお、同図では、説明の便宜上、ユーザの端末装置20、及び車両Vにおける制御装置300の一部の構成もまた示されている。
【0028】
稼働実績データベース12aは、例えば車両Vごとの過去の稼働実績に関する情報(稼働実績情報)を格納する。稼働実績情報は、例えば、車両Vごとの稼働時刻(運行開始時刻及び終了時刻)、運行ルート、及び走行距離等の各種の諸元情報を含む。稼働実績情報は、車両Vごとの稼働時刻に基づいて、ある時間帯及び/又はある地域における車両Vの需要実績を示し得る。
【0029】
ユーザ情報データベース12bは、配車サービスを利用するユーザに関するユーザ情報を格納する。ユーザ情報は、例えば、ユーザID及びパスワード、個人属性、並びにサービス利用状況に関する情報を含む。ユーザ情報は、例えば配車アプリの最初の起動時にユーザが所定の情報を入力することにより、配車管理装置10の制御の下、ユーザ情報データベース12bに登録される。
【0030】
地図データベース12cは、少なくとも配車サービスの対象地域における地図データを格納する。地図データは、例えば、住所、地名、道路、乗降地、及び施設名等に関する情報を含む。乗降地は、ユーザが実際に乗降可能な場所である。また、地図データは、優先エリア及び通常エリアに関する情報を含む。優先エリアは、対象地域における、例えば人が集中し賑わいのある街の中心部を含むエリアであり、通常エリアは、優先エリア以外のエリアである。地図データは、各乗降地が、優先エリア及び通常エリアのいずれに属するかに関する情報を含む。更に、地図データは、ルート探索に必要な情報や道路渋滞状況等の環境情報を含み得る。地図データは、既知のものを利用することができ、例えば、APIを介して接続可能な外部の地図データベースであってもよい。
【0031】
車両情報データベース12dは、ユーザの利用に供される車両Vに関する情報(車両情報)を格納する。車両情報は、例えば、車両ID、車両属性(車両登録番号、車種、及び最大乗車人員/最大積載量等)、現在の配車計画、現在位置、及び現在状態(サービス状態、バッテリー残容量、乗車人員、及び荷物積載量等)等に関する情報を含む。車両Vの現在位置は、後述するように、車両Vから送信される位置情報に基づいて随時に更新される。
【0032】
配車計画データベース12eは、配車要求に基づく車両Vごとの配車計画を格納する。配車計画は、起点となる待機場所からいくつかの地点を経由して終点となる待機場所までの運行ルートを含む。
【0033】
フロントエンド処理部110は、ユーザの端末装置20との間での各種の処理を行う。一例として、フロントエンド処理部110は、ユーザの端末装置20上の配車アプリからのログイン要求に従って、ユーザ情報データベース12bを参照し、ログイン認証処理を行う。他の例として、フロントエンド処理部110は、ユーザの端末装置20上の配車アプリからの配車要求を受け付けて、これを配車要求取得部130に引き渡し、これに応答して配車計画作成部150により作成された配車計画に対するユーザの諾否を受けるために、端末装置20とやり取りする。
【0034】
需要情報取得部120は、所定のタイミングで、車両Vの需要量に関する需要情報を取得する。例えば、需要情報取得部120は、車両情報データベース12dを参照し、現時点においていずれの配車計画も割り当てられていない待機中の車両Vの台数(待機台数)に基づいて、現在の需要量を算出し、これを需要情報として出力する。本開示では、需要情報取得部120は、所定の時間帯での優先エリア及び通常エリアの各々の車両Vの現在の需要量を算出する。このように、需要情報取得部120が取得する需要情報を用いることにより、配車計画を最適化することができるようになる。
【0035】
また、需要情報取得部120は、車両Vの現在の需要量に加えて、将来の需要量を算出するように構成されても良い。例えば、需要情報取得部120は、稼働実績データベース12aを参照し、過去の稼働実績情報等に基づいて、車両Vの将来の需要量を予測して、これを需要情報として出力する。例えば、将来の需要量は、基準時刻(例えば現在時刻)から10分後、20後、30分後、及び1時間後等といった特定の時刻又はその時間帯において需要が見込まれるであろう車両Vの台数であり得る。また、需要情報取得部120は、稼働実績情報に加えて、例えば、時間的・季節的要因やイベント開催といった環境的要因を考慮して、将来の需要量を予測しても良い。需要情報取得部120は、例えば稼働実績情報等を説明変数とし、予測需要量を目的変数として、所定の機械学習アルゴリズムに従って機械学習が施された需要予測モデルを含み得る。このように、需要情報取得部120が将来の需要量を予測することで、現在の需要のみならず将来の需要を考慮して最適な車両計画を作成することができ、車両Vの効率的な運用が可能になる。
【0036】
また、需要情報取得部120は、所定の時間帯における優先エリア内の滞留人口及び通常エリア内の滞留人口に基づいて車両Vの需要量を算出し得る。このような滞留人口は、例えば、携帯電話会社等による携帯基地局運用データに基づいて推定され得る。需要情報取得部120は、滞留人口及びその変化動向並びに過去の稼働実績データに基づいて、所定の時間帯ごとの車両Vの需要量を算出し得る。また、需要情報取得部120は、優先エリア内の滞留人口に対する通常エリア内の前記滞留人口の比が所定の基準値を上回る場合に、通常エリア内の車両Vの需要量が多いと判断しても良い。このように、所定の時間帯ごとの各エリア内の滞留人口を利用することにより、より精度の高い車両Vの需要量が算出される。
【0037】
或いは、需要情報取得部120は、例えば、優先エリアにおける特定の施設の営業時間における車両Vの需要量を算出し得る。つまり、特定の施設の営業時間(その前後の時間を含む)は、そこを訪れる人が多いため、車両Vの需要が高く見込まれる。
【0038】
配車要求取得部130は、フロントエンド処理部110を介して、ユーザからの配車要求を受け付け、取得する。配車要求取得部130が配車要求を受け付けた時刻は、後述するような各種の限界時間の計時開始時刻となる。配車要求取得部130は、取得した配車要求を乗降地決定部140及び配車計画作成部150の各々に引き渡す。
【0039】
乗降地決定部140は、引き渡された配車要求に基づいて、地図データベース12cを参照し、地図上に示される実際にユーザが乗降可能な予め定められた乗降地(例えば停留所)を決定する。すなわち、乗降地決定部140は、配車要求によって指定される乗車地及び降車地に対して、地図データベース12cを参照し、対象地域においてユーザが実際に乗降可能な地理的位置を示す乗車地及び降車地を決定する。乗降地決定部140は、決定した乗降地を配車計画作成部150に引き渡す。
【0040】
配車計画作成部150は、与えられた配車要求に基づいて、対象地域の車両Vの中から候補となる車両(候補車両v)を抽出し、候補車両vの中から選択される最適な一の車両Vに対する配車計画を作成して確定し、確定した配車計画に従った配車指示を一の車両Vに行う。配車計画作成部150は、候補車両vの抽出のため、走行ルート計画部160にルートパターンの導出を依頼する。本開示では、配車計画作成部150は、乗車地又は降車地の少なくとも一方が通常エリア内である配車要求に対して、優先エリア内に所定の台数以上の車両Vが維持又は確保されるように候補車両vを抽出し、その中から選択される最適な一の車両Vに対する配車計画を作成する。したがって、優先エリア内には所定の台数以上の車両Vが確保されるように配車計画が作成されるので、ユーザは優先エリア内でのスムーズな乗車予約が可能になる。配車計画作成部150は、作成された配車計画をユーザに提案し、ユーザの承諾を受けてこれを確定する。配車計画作成部150は、確定した配車計画を配車計画データベース12eに格納するとともに、車両Vに配車指示するように配車指示部172に通知する。
【0041】
より具体的には、配車計画作成部150は、取得された配車要求に従って、まず、走行ルート計画部160にルートパターンの導出を依頼する。ルートパターンは、決定済みの乗降地(経由地)を通る経路に対して新たな乗降地を追加した場合にこれら全ての乗降地を通るルートを示す。走行ルート計画部160は、ルートパターンの導出依頼に応答して、地図データベース12c及び車両情報データベース12dを参照して、配車要求に適合し得る1又はそれ以上の車両Vを候補車両vとして抽出し、抽出された候補車両vの各々について、乗降地に従ったルートパターンを導出し、導出したルートパターンを配車計画作成部150に引き渡す。
【0042】
例えば、図3に示すように、配車要求が指定する乗車地Req_PU及び降車地Req_DOとの地理的関係から、候補車両v(1)~v(3)が抽出されたとする。候補車両v(1)は、地点P(0)~P(1)~P(2)を通るルートが既に設定された車両である。また、候補車両v(2)は、待機場所Sで待機している車両である。また、候補車両v(3)は、地点P(0)~P(1)を通るルートが既に設定された車両である。今、候補車両v(1)についてみると、地点P(0)~P(2)に乗車地Req_PU及び降車地Req_DOが追加されるパターン(ルートパターン)は、全部で6パターンとなる。同様に、候補車両v(2)及びV(3)のルートパターンは、各々、1パターン及び3パターンとなる。
【0043】
図2に戻り、配車計画作成部150は、次に、走行ルート計画部160により導出された候補車両vの各ルートパターンに基づいて配車計画の作成を試みる。配車計画は、ルートパターンに対して起点となる待機場所及び終点となる待機場所を加えた運行ルートを含む。配車計画作成部150は、作成した配車計画のうち、所定の除外条件に従って、優先エリア内に所定台数の車両Vが確保されなくなる候補車両vの配車計画を削除又は除外することにより、配車計画を絞り込む。
【0044】
この場合、配車計画作成部150は、例えば、運行ルートにおける乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内である車両vは、優先エリア内にいない車両Vとして判断する。言い換えれば、配車計画作成部150は、運行ルートにおける全ての乗車地及び降車地の両方が優先エリア内である車両vのみ、優先エリア内にいる車両Vとして判断する。配車計画作成部150は、優先エリア内にいると判断された車両Vの台数を算出し、算出された台数が第1の下限値を下回っているか否かを判断する。配車計画作成部150は、算出された台数が第1の下限値を下回っていると判断する場合、そのような配車要求については、優先エリア内にいる候補車両vを配車計画の対象から除外する。配車計画作成部150は、後述するように、所定の状況に応じて、第1の下限値を変更し得る。
【0045】
或いは、配車計画作成部150は、運行ルートにおける直近の目的地が通常エリア内である車両Vについて、優先エリア内にいない車両Vとして判断し、優先エリア内にいると判断された車両Vの台数を算出しても良い。また、配車計画作成部150は、車両Vごとに既に設定された配車計画の運行ルートに従った所定の時間帯における車両Vの予定位置に基づいて、優先エリア内にいる車両であるか否かを判断し、優先エリア内にいると判断された車両Vの台数を算出しても良い。
【0046】
更に、配車計画作成部150は、以下の(i)~(iv)に例示されるような所定の除外条件に該当する配車計画を削除又は除外して配車計画を絞り込んでも良い。
(i) 乗車人員に関する条件
乗車人員が、新規の配車要求によって規定の人員を超過する場合、該配車計画は除外される。
(ii) 乗車時の遅延限界時間に関する条件
関連ユーザ(車両Vへの予約が確定しているユーザ)の乗車時間が新規の配車要求によって乗車遅延限界時間を超える場合、該配車計画は除外される。乗車遅延限界時間は、乗車予定時刻からユーザが許容し得る乗車限界時刻までの時間である。
(iii) 降車時の遅延限界時間に関する条件
関連ユーザの降車時間が新規の配車要求によって降車遅延限界時間を超える場合、該配車計画は除外される。降車遅延限界時間は、出発予定時刻から降車限界時刻までの時間であり、乗車地から降車地まで車両Vが直行した場合の時間の例えば1.2倍の時間に設定される。
(iv) 新規の配車要求を行ったユーザの配車遅延限界時間に関する条件
新規の配車要求を行ったユーザの乗車時間が配車遅延限界時間を超える場合、該配車計画は除外される。配車遅延限界時間は、配車要求受付時刻から乗車予定時刻までの時間である。
【0047】
更に、配車計画作成部150は、需要情報取得部120によって取得される所定の時間帯ごとの車両Vの需要量に基づいて、優先エリア内の車両Vの確保台数を示す第1の下限値を変更し得る。例えば、配車計画作成部150は、ある時間帯において、通常エリア内の車両Vの需要量が優先エリア内の車両Vの需要量よりも多い場合に、第1の下限値を第1の値からこれよりも低い第2の値に変更する。例えば、通勤・通学等の朝の時間帯は、中心部からはずれた通常エリア内での車両Vの需要が高くなる傾向があるため、配車計画作成部150は、第1の下限値を低く設定する。また、配車計画作成部150は、優先エリア内の滞留人口に対する通常エリア内の滞留人口の比が所定の基準値を上回るために、需要情報取得部120によって、通常エリア内の車両Vの需要量が多いと判断される場合に、第1の下限値を低く設定しても良い。代替的に又は追加的に、配車計画作成部150は、例えば、優先エリアにおける特定の施設の営業時間における車両Vの需要量が高いことが見込まれる場合、第1の下限値を第1の値よりも高い第3の値に変更しても良い。これにより、通常エリア内の車両Vの需要が多い時間帯においては、通常エリア内の車両Vの台数をある程度確保することができ、需給のバランスを調整することができる。
【0048】
なお、配車計画作成部150は、対象エリアにおける候補車両vの台数が第2の下限値を下回る場合には、そもそもの候補車両vの台数が少ないことから、通常どおり、優先エリア内にいる候補車両vを配車計画の対象に含め得る。第2の下限値は、第1の下限値と同じであっても良いし、第1の下限値よりも低い値であっても良い。
【0049】
また、配車計画作成部150は、優先エリアの範囲を可変に設定し得る。配車サービスの対象地域において、優先エリアの範囲が広くなると、これに応じて通常エリアの範囲は狭くなる。
【0050】
車両通信インターフェース部170は、通信ネットワークNを介して、車両Vとの間で各種の情報をやり取りする。例えば、車両通信インターフェース部170は、車両Vの位置情報を含む車両情報を取得する車両情報取得部171と、配車計画に従って車両Vに移動を指示する配車指示部172とを備える。
【0051】
車両情報取得部171は、制御装置300の通信部310との間で通信を行い、位置情報取得部320によって取得された位置情報等を取得する。また、配車指示部172は、配車計画作成部150の指示に従い、配車計画データベース12fを参照し、対応する配車計画を特定し、特定された配車計画に従って車両Vに運行指示を送信する。運行指示を受信した車両Vの制御装置300は、ナビゲーション機能により、例えばユーザインターフェース(図中「UI」と表示)330上に、配車計画に従った走行ルートを表示する。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による配車管理処理の一例を説明するためのフローチャートである。かかる処理は、配車管理装置10が、プロセッサの制御の下、配車管理サーバプログラムを実行することにより、各種のハードウェア資源との協働がなされ、実現される。
【0053】
同図に示すように、配車管理装置10は、ユーザからの新規の配車要求があるまで待機している(S401)。一方で、例えば、乗車を希望するユーザは、端末装置20のユーザインターフェース上で配車アプリを操作して、配車要求を入力する。配車管理装置10は、ユーザからの配車要求があると(S401のYes)、該配車要求が指定する乗車地及び降車地に基づいて、地図データベース12cを参照し、ユーザが実際に乗降するための乗車地及び降車地(乗降地)を決定する(S402)。
【0054】
次に、配車管理装置10は、決定された乗車地又は降車地に従って1又はそれ以上の候補車両vを抽出する(S403)。例えば、配車管理装置10は、乗車地の近傍で運行中の車両Vを候補車両vとして抽出する。運行中の車両Vとは、待機場所においてサービス提供可能な状態で待機している又は実際に乗客を運送中の車両である。これにより、例えば、乗車地又は降車地から遠く離れた位置にいる車両Vを候補車両vから除外することができ、導出すべきルートパターンの数を減らすことができる。
【0055】
次に、配車管理装置10は、抽出された各候補車両vについて、地図データベース12cを参照して、ルートパターンを導出する(S404)。上述したように、ルートパターンは、決定済みの乗降地(経由地)を通る経路に対して新たな乗降地を追加した場合にこれら全ての乗降地を通るルートを示す。続いて、配車管理装置10は、導出されたルートパターンに基づいて配車計画を作成する(S405)。配車計画は、ルートパターンに対して起点となる待機場所及び終点となる待機場所を加えた運行ルートを含む。待機場所で待機している車両Vの配車計画は、新たに作成される。また、既に設定された配車計画に従って運行中の車両Vの配車計画は、導出されたルートパターンに基づいて配車計画が新たに作成又は更新される。
【0056】
次に、配車管理装置10は、作成された配車計画のうち、所定の除外条件に該当するたさない配車計画を除外して配車計画を絞り込む(S406)。すなわち、配車管理装置10は、乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内を指定する配車要求について、優先エリア内にいる車両Vを特定し、その台数を算出する。そして、配車管理装置10は、算出された台数が第1の下限値を下回っているか否かを判断し、算出された台数が第1の下限値を下回っていると判断する場合、そのような配車要求については、優先エリア内にいる候補車両vを配車計画の対象から除外する。更に、例えば、配車管理装置10は、新規の配車要求を行ったユーザの乗車時間が配車遅延限界時間を超える場合、該配車計画を除外する。
【0057】
次に、配車管理装置10は、絞り込まれた配車計画について、所定の評価関数に従って評価値を算出し、算出された評価値が最大となる一の配車計画を選定する(S407)。所定の評価関数は、例えば、乗車の配車要求であれば、乗車時刻から降車時刻までの乗車時間が短いほど評価値が高く、また、荷物配送の配車要求であれば、走行距離に基づく移動コストが小さいほど評価値が高くなるように定義された関数である。
【0058】
続いて、配車管理装置10は、選定された該配車計画の内容をユーザに提案する(S408)。すなわち、配車管理装置10は、作成した現在の配車計画の内容を端末装置20に送信し、これに応答して、端末装置20は、ユーザインターフェース上にその内容を表示して、ユーザに配車計画の諾否を促す。
【0059】
配車管理装置10は、配車計画の提案に対してユーザから承諾を受け付けたか否かを判断する(S409)。配車管理装置10は、配車計画の提案に対してユーザから承諾を受け付けた場合(S409のYes)、配車管理装置10は、現在の配車計画を確定する(S410)。配車管理装置10は、確定した配車計画を配車計画データベース12eに格納する。続いて、配車管理装置10は、配車予約の確定通知を端末装置20に送信するとともに、配車計画に基づく配車指示を車両Vに送信する(S411)。
【0060】
これに対して、配車管理装置10は、配車計画の提案に対してユーザから不承諾(拒否)を受け付けた場合(S409のNo)、該ユーザの配車要求に基づく現在の配車計画をキャンセルする(S412)。この場合、配車管理装置10は、配車計画の再作成のために使用された一時的に保留されていた配車計画を元の保留中の配車計画に戻す。ユーザは、別の配車サービスを希望する場合には、新たな配車要求を行うことになる。
【0061】
図5は、本発明の一実施形態に係る配車管理装置による配車管理処理の一例を説明するためのフローチャートである。より具体的には、同図は、図4に示す配車計画の絞り込み処理(S406)の詳細を示すフローチャートである。
【0062】
同図に示すように、配車管理装置10は、取得された配車要求が指定する乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内であるか否かを判断する(S501)。配車管理装置10は、取得された配車要求が指定する乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内であると判断する場合(S501のYes)、配車管理装置10は、車両Vの配車計画に従って、該車両Vが優先エリア内にいる車両Vであるか又は通常エリアにいるかを判断し、優先エリア内にいる車両Vを特定する(S502)。例えば、配車管理装置10は、運行ルートにおける乗降地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内である車両Vは、優先エリア内にいない車両Vとして判断する。
【0063】
次に、配車管理装置10は、特定された車両Vの台数を算出し(S503)、続いて、特定された車両Vの台数が第1の下限値を下回っているか否かを判断する(S504)。つまり、配車管理装置10は、優先エリア内にいる車両Vの台数を一定数以上確保できているか否かを判断する。配車管理装置10は、特定された車両Vの台数が第1の下限値を下回っていないと判断する場合(S504のNo)、配車管理装置10は、更に、所定の除外条件を適用することにより配車計画を絞り込むために、S507の処理に進む。
【0064】
一方、配車管理装置10は、特定された車両Vの台数が第1の下限値を下回っていると判断する場合(S504のYes)、配車管理装置10は、続いて、絞り込まれた候補車両vの台数が第2の下限値を上回っているか否かを判断する(S505)。つまり、配車管理装置10は、優先エリア内の車両Vを候補車両vから除外した結果、通常エリア内にいる車両V(候補車両v)の台数が足りているか否かを判断する。第2の下限値は、第1の下限値と同じであっても良いし、第1の下限値よりも低い値であっても良い。これにより、そもそも、候補車両vの台数が過度に足りていない場合に、通常エリア内にいる候補車両vに更に配車予約が入ることを防止し、通常エリア内に最低限の台数の車両Vを確保することができる。
【0065】
配車管理装置10は、絞り込まれた候補車両vの台数が第2の下限値を上回っていると判断する場合(S505のYes)、優先エリア内にいる車両Vを候補車両vから除外することにより、配車計画を絞り込む(S506)。
【0066】
次に、配車管理装置10は、所定の除外条件を適用して更に配車計画を絞り込む(S507)。例えば、配車管理装置10は、例えば、配車管理装置10は、新規の配車要求を行ったユーザの乗車時間が配車遅延限界時間を超える場合、該配車計画を除外する。
【0067】
一方、配車管理装置10は、絞り込まれた候補車両vの台数が第2の下限値を上回っていないと判断する場合(S505のNo)、優先エリア内にいる車両Vを候補車両vから除外することなく、所定の除外条件を適用して配車計画を絞り込む(S507)。これにより、通常エリア内にいる車両V(候補車両v)の台数が足りなくなって、通常エリアでの配車サービスに影響が出ることを抑制することができる。
【0068】
なお、配車管理装置10は、取得された配車要求が指定する乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内でないと判断する場合(S501のNo)、配車管理装置10は、優先エリア内にいる車両Vの台数に拘わらず、所定の除外条件を適用することにより配車計画を絞り込むために、S507の処理に進む。
【0069】
上述した例では、配車管理装置10は、配車要求を受け付けたタイミングで、運行ルートにおける乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内である車両Vを優先エリア内にいない車両Vとして判断している。例えば、図6は、配車計画の運行ルートに従って地点P(0)~P(4)までを運行される車両V(1)と、待機場所Sにて待機中の車両V(2)とを示している。現時点において優先エリア内にいる車両V(1)は、運行ルートにおいて通常エリア内の乗降地P(2)を経由するように運行される。
【0070】
配車管理装置10は、乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内である配車要求を受け付けると、各車両Vの運行ルートをチェックし、各車両が優先エリア内にいる車両であるか否かを判断する。すなわち、同図に示す例では、配車管理装置10は、車両V(1)を優先エリア内にいない車両Vであると判断し、車両V(2)を優先エリア内にいる車両Vであると判断する。上述したように、優先エリア内にいる車両Vの台数が第1のしきい値を下回っていない場合、配車管理装置10は、車両V(2)を候補車両vから除外し、車両V(1)を含む通常エリア内にいる候補車両vについて、配車計画の作成を試みる。このように、運行ルートにおける乗車地及び降車地の少なくとも一方が通常エリア内であるか否かで車両Vが優先エリア内にいるか否かで判断するので、優先エリア内にいると判断される車両Vの割合を相対的に低く抑えることができる。
増加する。
【0071】
変形例として、配車管理装置10は、配車要求を受け付けたタイミングで、各車両Vの運行ルートにおける直近の(次の)目的地(乗降地)が通常エリア内である車両Vを優先エリア内にいない車両Vとして判断しても良い。すなわち、図6に示した例では、配車管理装置10は、車両V(1)を優先エリア内にいる車両Vであると判断するとともに、車両V(2)も優先エリア内にいる車両Vであると判断する。上述したように、優先エリア内にいる車両Vの台数が第1のしきい値を下回っていない場合、配車管理装置10は、車両V(1)及び車両V(2)を含む通常エリア内にいる候補車両vについて、配車計画の作成を試みる。このように、直近の乗降地に基づいて車両Vが優先エリア内にいるか否かで判断するので、優先エリア内にいると判断される車両Vの割合が相対的に増加する。
【0072】
他の変形例として、配車管理装置10は、配車要求を受け付けたタイミングで、車両Vごとに既に設定された配車計画の運行ルートに従った所定の時間帯における車両Vの予定位置に基づいて、優先エリア内にいる車両であるか否かを判断し、優先エリア内にいると判断された車両Vの台数を算出しても良い。より具体的には、配車管理装置10は、ある一定の先の時間(例えば2時間先)までの所定の時間帯(例えば10分単位の時間帯)ごとに、運行ルート上の車両Vが優先エリア内にいるか又は通常エリア内にいるかを判断し、その台数を算出する。この場合、所定の時間帯において優先エリアから通常エリアに向かっている又は通常エリアから優先エリアに向かっている車両Vは、優先エリア内にいないと判断される。更に、配車管理装置10は、算出された台数が第1の下限値を下回る特定の時間帯がある場合、そのような運行ルートを持つ候補車両vの配車計画を除外する。図6に示した例では、配車管理装置10は、車両V(1)が通常エリア内にいる車両Vであると判断される場合、車両V(1)は候補車両vとなる。一方、配車管理装置10は、車両V(2)が所定の時間帯ごとに、候補車両vとなり、又は候補車両vから除外される。このように、所定の時間帯ごとに優先エリア内にいる車両Vの台数が確保されているか否かを判断するので、例えば配車要求が連続的にあった場合であっても、車両Vの台数を精度良く確保することができるようになる。
【0073】
以上のように、本実施形態によれば、オンデマンド方式による配車サービスにおいて、対象地域内の優先エリア内に所定の台数以上の車両Vが確保されるように配車計画が作成される。したがって、優先エリア内での車両Vの供給余力を担保することができ、ユーザは優先エリア内でのスムーズな乗車予約が可能になり、その結果、LoSが向上する。また、優先エリア内でのユーザの配車サービスの利便性が向上するため、更なる人の流入を促し、優先エリアの活性化が図られるようになる。一方で、通常エリア内にいる車両Vの過度に台数が足りていない場合には、通常エリア内にいる車両Vに更に配車予約が入ることを防止し、通常エリア内に最低限の台数の車両Vを確保することができ、通常エリア内での配車サービスの低下を抑制することができる。
【0074】
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0075】
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
【0076】
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…配車管理システム
10…配車管理装置
110…フロントエンド処理部
120…需要情報取得部
121…現在需要算出部
122…需要予測部
130…配車要求取得部
140…乗降地決定部
150…配車計画作成部
160…走行ルート計画部
170…車両通信インターフェース部
171…車両情報取得部
172…配車指示部
12…データベース
12a…稼働実績データベース
12b…ユーザ情報データベース
12c…地図データベース
12d…車両情報データベース
12e…配車計画データベース
20…端末装置
N…通信ネットワーク
V…車両
300…制御装置
310…通信部
320…位置情報取得部
330…ユーザインターフェース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6