(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080814
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】充填用器具及び充填方法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/38 20060101AFI20240610BHJP
E21D 11/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
E21D11/38 A
E21D11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194065
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】591140813
【氏名又は名称】株式会社カテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】浅井 勉
(72)【発明者】
【氏名】稲川 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】中森 ▲祥▼博
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BB02
2D155CA02
2D155HA01
2D155JA02
2D155LA17
(57)【要約】
【課題】防水シート背面に生じた空隙を確実かつ効率的に充填する充填用器具及び充填方法を提供する。
【解決手段】本充填用器具1は、コンクリート地下構造物の施工の際に被覆対象(一次覆工コンクリート24)と該被覆対象に展張した防水シート21との間に生じる空隙Cを充填材Fで充填する。そして、本充填用器具1は、防水シートの切取り部21aに接合され、貫通孔2aを設けられた防水シート体2と、防水シート体の被覆対象側に設けられ、貫通孔を挿通する注入管6が立ち上げられた背面プレート3と、防水シート体の被覆対象と反対側に設けられ、防水シート体を背面プレートとの締結によって挟み込む前面プレート4と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート地下構造物の施工の際に被覆対象と該被覆対象に展張した防水シートとの間に生じる空隙を充填材で充填する充填用器具であって、
前記防水シートの切取り部に接合され、貫通孔を設けられた防水シート体と、
前記防水シート体の前記被覆対象側に設けられ、前記貫通孔を挿通する注入管が立ち上げられた背面プレートと、
前記防水シート体の前記被覆対象と反対側に設けられ、前記防水シート体を前記背面プレートとの締結によって挟み込む前面プレートと、を備えることを特徴とする充填用器具。
【請求項2】
前記背面プレートと前記防水シート体および前記前面プレートと前記防水シート体の各隙間には防水材が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の充填用器具。
【請求項3】
前記注入管は中空ボルトにより構成されており、
前記背面プレートと前記前面プレートは、前記中空ボルトの螺合によって前記防水シート体を挟んで締結されていることを特徴とする請求項1に記載の充填用器具。
【請求項4】
トンネル掘削面に吹付けた一次覆工コンクリートと該一次覆工コンクリートに展張した防水シートとの間に生じる空隙を充填材で充填する方法において、
前記展張した防水シートの任意の位置を切り取り、前記切り取った位置に請求項1乃至3のいずれか一項に記載の充填用器具を設置し、前記充填用器具を通じて前記一次覆工コンクリートと前記防水シートとの間に生じた空隙を充填材で充填することを特徴とする充填方法。
【請求項5】
地山と該地山に展張した防水シートとの間に生じる空隙を充填材で充填する方法において、
前記展張した防水シートの任意の位置を切り取り、前記切り取った位置に請求項1乃至3のいずれか一項に記載の充填用器具を設置し、前記充填用器具を通じて前記地山と前記展張した防水シートとの間に生じた空隙を充填材で充填することを特徴とする充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルやボックスカルバート等のコンクリート地下構造物の施工に際し、地下構造物や地山などの被覆対象と防水シートとの間に生じた空隙を充填材により充填する充填用器具およびそれを用いた充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル等の地下構造物の施工において、コンクリートの打設後に生じる防水シートと地山の間の空隙を充填材によって充填する方法が知られている。この方法としてあらかじめ防水シートに充填材を注入するための注入孔を設置する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のようにあらかじめ防水シートに充填材を注入する注入孔を設置する方法ではシートの加工コストが増大し、また、充填が不要な箇所にも防水シートの注入孔が設置されるため加工ロスが多くなっていた。
【0005】
本発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、防水シート背面に生じた空隙を確実かつ効率的に充填する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の通りである。
1.コンクリート地下構造物の施工の際に被覆対象と該被覆対象に展張した防水シートとの間に生じる空隙を充填材で充填する充填用器具であって、
前記防水シートの切取り部に接合され、貫通孔を設けられた防水シート体と、
前記防水シート体の前記被覆対象側に設けられ、前記貫通孔を挿通する注入管が立ち上げられた背面プレートと、
前記防水シート体の前記被覆対象と反対側に設けられ、前記防水シート体を前記背面プレートとの締結によって挟み込む前面プレートと、を備えることを特徴とする充填用器具。
2.前記背面プレートと前記防水シート体および前記前面プレートと前記防水シート体の各隙間には防水材が設置されていることを特徴とする上記1.に記載の充填用器具。
3.前記注入管は中空ボルトにより構成されており、
前記背面プレートと前記前面プレートは、前記中空ボルトの螺合によって前記防水シート体を挟んで締結されていることを特徴とする上記1.に記載の充填用器具。
4.トンネル掘削面に吹付けた一次覆工コンクリートと該一次覆工コンクリートに展張した防水シートとの間に生じる空隙を充填材で充填する方法において、
前記展張した防水シートの任意の位置を切り取り、前記切り取った位置に上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の充填用器具を設置し、前記充填用器具を通じて前記一次覆工コンクリートと前記防水シートとの間に生じた空隙を充填材で充填することを特徴とする充填方法。
5.地山と該地山に展張した防水シートとの間に生じる空隙を充填材で充填する方法において、
前記展張した防水シートの任意の位置を切り取り、前記切り取った位置に上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の充填用器具を設置し、前記充填用器具を通じて前記地山と前記展張した防水シートとの間に生じた空隙を充填材で充填することを特徴とする充填方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一次覆工コンクリートや地山などの被覆対象に空隙が生じた任意の位置で防水シートを切り取り、切り取った位置に充填用器具を設置して空隙に充填材を充填することが可能となるため、あらかじめ注入孔を設置した防水シートを準備する必要がなくなり、汎用の防水シートを使用できるためコスト低減が可能となる。さらに充填が必要な箇所のみに充填をすることができるため、確実かつ効率的な充填が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部材を示す。
【
図1】実施形態に係る充填用器具の説明図であり、(a)は側面図を示し、(b)はb矢視図を示す。
【
図4】実施形態に係る防水シートの展張方法の説明図であり、(a)は二次覆工コンクリートの打設後の状態を示し、(b)は一次覆工コンクリートに防水シートを展張した状態を示す。
【
図5】実施形態に係る充填方法の説明図であり、(a)は一次覆工コンクリートに防水シートを展張した状態を示し、(b)は防水シートの一部を切り取った状態を示し、(c)はc矢視図を示す。
【
図6】実施形態に係る充填方法の説明図であり、(a)は防水シートに充填用器具を設置した状態を示し、(b)はb矢視図を示し、(c)は空隙に充填材を充填した状態を示す。
【
図7】実施形態に係る充填方法の説明図であり、(a)(b)は
図5(a)の各要部拡大図であり、(c)は
図5(b)の要部拡大図であり、(d)は
図6(a)の要部拡大図であり、(e)は充填用器具に注入アダプタを取り付けた状態を示し、(f)は空隙に充填材を充填した状態を示す。
【
図8】他の実施形態に係る充填方法の説明図であり、(a)は地山に防水シートを展張した状態を示し、(b)は地山に空隙が生じた状態を示し、(c)は防水シートの一部を切り取った状態を示し、(d)は防水シートに充填用器具を設置した状態を示し、(e)は充填用器具に注入アダプタを取り付けた状態を示し、(f)は空隙に充填材を充填した状態を示す。
【
図9】更なる他の実施形態に係る充填方法の説明図であり、(a)はトンネルの上下半とインバートの接合部の空隙に充填材を充填する形態を示し、(b)はインバートコンクリートの裏側に充填材を充填する形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
以下、図面を用いて実施形態により本発明を具体的に説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る「被覆対象」として、トンネル掘削面23に吹付けた一次覆工コンクリート24を例示する(
図4参照)。
【0011】
本実施形態の充填用器具1は、
図1~
図3及び
図7(d)に示すように、防水シート21の切取り部21aに接合され、貫通孔2aを設けられた防水シート体2と、防水シート体2の一次覆工コンクリート24側に設けられ、貫通孔2aを挿通する注入管6が立ち上げられた背面プレート3と、防水シート体2の一次覆工コンクリート24と反対側(即ち、トンネル内側)に設けられ、防水シート体2を背面プレート3との締結によって挟み込む前面プレート4と、を備えている。
【0012】
防水シート体2は防水シート21の切取り部21aに熱溶着により接合される(
図7(d)参照)。ただし、熱溶着に代えて又は加えて接着材を用いて接合してもよい。また、防水シート体2には、背面プレート3の注入管6が挿通可能な貫通孔2aが形成されている。具体的に、防水シート体2は、中央に径30mm程度の貫通孔2aをあけた200mm~300mm角に形成されている。さらに、防水シート体2は可撓性を有している。具体的に、防水シート体2はエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱溶着樹脂などが使用され、厚さは0.8~2.0mm程度のものが好適に使用される。なお、防水シート体2は、防水シート21と同じ材質、厚さ等であってもよいし、異なる材質、厚さ等であってもよい。
【0013】
背面プレート3は、充填用器具1を防水シート21に設置したときに、防水シート21の一次覆工コンクリート24側を向く表面に設けられている(
図7(d)参照)。また、背面プレート3は、防水シート体2より小さな平面形状に形成されている。また、背面プレート3には、貫通した穴3aが形成されているとともに、該穴3aに注入管6が取り付けられている。具体的に、背面プレート3は150mm角、厚さ5mm程度の鋼製で、中央に径30mm程度の穴3aが開いており、この孔3aに鋼製の注入管6が溶接されている。注入管6は中空ボルトにより構成されている。中空ボルト6は長さ50mm程度で外周がネジ形状になっている。なお、背面プレート3や注入管6の材質等は特に限定されず、例えば、鋼以外の金属製であってもよいし、合成樹脂製であってもよい。さらに、背面プレート3と注入管6が一体成形されていてもよい。
【0014】
前面プレート4は、充填用器具1を防水シート21に設置したときに、防水シート21の一次覆工コンクリート24と反対側を向く表面に設けられている(
図7(d)参照)。また、前面プレート4は、防水シート体2より小さな平面形状に形成されている。また、前面プレート4には、注入管6が挿通可能な貫通した穴4aが形成されている。具体的に、前面プレート4は径100mm、厚さ3mm程度で中央に径30mm程度の穴4aを開けた鋼製である。なお、前面プレート4の材質等は特に限定されず、例えば、鋼以外の金属製であってもよいし、合成樹脂製であってもよい。
【0015】
前面プレート4は中空ボルト6に螺合されたナット7により背面プレート3および防水シート体2と組み合わせている。すなわち防水シート体2は背面プレート3と前面プレート4によって挟みこまれた構造となっている。なお、各プレート3、4の締結形態(一体化形態)は特に限定されず、中空ボルト6及びナット7による螺合の他に、例えば、各プレート3、4の平面部での螺合、リベット止め等を利用することができる。
【0016】
背面プレート3と防水シート体2および前面プレート4と防水シート体2の各隙間にはテープ状のブチルゴムを挟み込むなどにより防水材(シール材)9が設置されている。防止材9は防水シート体2の貫通孔2aを囲むように環状に配置されている(
図1参照)。なお、
図1中の符号11は中空ボルト6に取り付けられる注入アダプタを示し、符号12は注入アダプタ11に接続される注入ホースを示す。
【0017】
次に、上記構成の充填用器具1を用いた充填方法について説明する。ここで、本実施形態の防水シート展張方法では、
図4(a)に示すように、掘削したトンネルの外周壁面23に沿って一次覆工コンクリート24を吹付け、該一次覆工コンクリート24の表面に沿って防水シート21を展張して定着し、型枠(セントル)設置後に二次覆工コンクリート25を打設する。また、防水シート21は一次覆工コンクリート24にコンクリート釘(図示省略)で止着し、端部を熱溶着等の溶着手段で接着して一次覆工コンクリート24の全面にわたって展張する(
図4(b)参照)。なお、
図4中の符号27はシート架台台車を示し、符号SLはトンネルのスプリングラインを示す。
【0018】
防水シート21を展張したのち、地山からの湧水が発生している箇所や地山が脆弱で崩壊性が高いと考えられる箇所に展張した防水シート21の一部を切り取る(
図5及び
図7(b)(c)参照)。防水シート21の一部の切り取りにより切取り部21aが形成される。防水シート21を切り取る大きさは充填用器具1に設置された防水シート体2の大きさより小さいことが必要となり、好適には200mm角以下もしくは径200mm以下であることが望ましい。
【0019】
その後、充填用器具1に設置された防水シート体2を防水シート21の切り取った箇所(即ち、切取り部21a)と溶着する(
図6(a)(b)及び
図7(d)参照)。充填用器具1と切り取った箇所との溶着を確認した後、充填用器具1の中空ボルト6の外周ネジ部に注入アダプタ11を螺合し、充填材Fの充填を開始する(
図7(e)参照)。所定の充填量もしくは圧力に達した時点で充填材Fの充填を終了する(
図6(c)及び
図7(f)参照)。
【0020】
なお、充填材Fはセメントミルク、水ガラスなどの無機系充填材やウレタン止水材、高強度ウレタンなど、止水や岩盤補強など目的によって適宜選択できる。さらに、充填材Fの充填は二次覆工コンクリート25の打設後に行われてもよい。この場合、打設後の躯体より注入ホース12(
図1参照)を突出させることとなるため、打設時に充填用器具1に排水の役割を兼用させることができる。
【0021】
以上より、本実施形態によれば、トンネル掘削面23に吹付けた一次覆工コンクリート24と防水シート21の間に空隙Cが生じた任意の位置で防水シート21を切り取り、切り取った位置に充填用器具1を設置して空隙Cに充填材Fを充填することが可能となるため、あらかじめ注入孔を設置した防水シートを準備する必要がなくなり、汎用の防水シート21を使用できるためコスト低減が可能となる。さらに充填が必要な箇所のみに充填をすることができるため、確実かつ効率的な充填が可能となる。さらに湧水の多い個所に充填用器具1を設置することで、注入管6(具体的に中空ボルト6)により防水シート21背面に滞留する湧水を抜くことができる。
【0022】
また、本実施形態では、背面プレート3と防水シート体2および前面プレート4と防水シート体2の各隙間には防水材9が設置されているため、地山からの湧水が多い箇所においても湧水や充填材が漏洩することはない。
【0023】
さらに、本実施形態では、注入管6は中空ボルトにより構成されており、背面プレート3と前面プレート4は、中空ボルト6の螺合によって防水シート体2を挟んで締結されているため、簡易且つ安価な構造の充填用器具1を提供できる。
【0024】
尚、本発明においては、実施形態に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更することができる。すなわち、上記実施形態では、一次覆工コンクリート24(被覆対象)と防水シート21との間に生じる空隙Cを充填材Fで充填する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、
図8に示すように、地山29(被覆対象)と該地山29に展張した防水シート21との間に生じる空隙Cを充填材Fで充填する形態としてもよい。具体的には、展張した防水シート21の任意の位置を切り取り、切り取った位置に充填用器具1を設置し、充填用器具1を通じて地山29と展張した防水シート21との間に生じた空隙Cを充填材Fで充填する。
【0025】
また、上記実施形態では、防水シート21においてトンネルの上下半と対応する位置に充填用器具1を設置する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、
図9に示すように、防水シート21においてインバートと対応する位置に充填用器具1を設置してもよい。なお、
図9中の符号37は掘削支払線を示し、符号38はインバート支払線を示す。さらに、
図9中の充填用器具1は実際の大きさより誇張して拡大されている。
【0026】
具体的には、例えば、
図9(a)に示すように、防水シート21においてトンネルの上下半とインバートの接合部31と対応する位置に充填用器具1を設置し、接合部31で生じる空間(空隙)Cに充填材Fを充填してもよい。吹付けコンクリート32やインバート吹付けコンクリート34と防水シート21の間にモルタル等の裏込め注入材36を充填する形態では、上下半とインバートの接合部31の約700mm間は裏込め注入できず空間Cとなるが、充填用器具1を用いることで空間Cに充填材Fを充填できる。さらに、覆工コンクリート33やインバートコンクリート35の打設前に充填用器具1を設置することで、打設時に充填用器具1に排水の役割を兼用させることができる。
【0027】
また、例えば、
図9(b)に示すように、防水シート21においてインバート吹付けコンクリート34と対応する位置に充填用器具1を設置し、インバート裏に充填材Fを充填してもよい。これにより、インバートコンクリート35の打設の品質向上を図ることができる。また、覆工コンクリート33やインバートコンクリート35の打設前に充填用器具1を設置することで、打設時に充填用器具1に排水の役割を兼用させることができる。さらに、防水シート21の複数個所に充填用器具1を設置することで、インバートコンクリート35の打設前に湧水を効果的に減少させることもできる。
【0028】
さらに、上記実施形態では、中空ボルト6に螺合するナット7を前面プレート4と別体に設ける形態を例示したが、これに限定されず、例えば、ナット7を前面プレート4と一体に設けてもよい。
【0029】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明はコンクリート構造物の施工の際に防水シート背面に生じた空隙を充填材により充填する技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0031】
1;充填用器具、2;防水シート体、2a;貫通孔、3;背面プレート、4;前面プレート、6;注入管(中空ボルト)、9;防水材、21;防水シート、21a;切取り部、23;トンネル掘削面、24;一次覆工コンクリート(被覆対象)、29;地山(被覆対象)、C;空隙、F;充填材。