(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080815
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】表面可変システム手摺
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194067
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】502430541
【氏名又は名称】株式会社シンドウ工業
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 将晃
(72)【発明者】
【氏名】吉原 美里
(72)【発明者】
【氏名】▲塚▼原 繁典
(72)【発明者】
【氏名】冨木 昌史
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301GG09
2E301HH03
2E301KK04
2E301KK05
(57)【要約】
【課題】多くの種類の意匠面を安価に提供可能であり、交換時の作業が容易であり、さらに、交換時の環境負荷が低減可能な表面可変システム手摺を提供する。
【解決手段】表面可変システム手摺10は、手摺芯材21と、前記手摺芯材21を被覆する筒状の手摺被覆体31と、前記手摺被覆体31の表面を着脱自在に被覆する表皮材41と、を備えて構成される手摺本体11と、前記手摺本体11の長手方向における端部を、前記表皮材41を外側から覆った状態で閉鎖する端部閉鎖体61と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺芯材と、前記手摺芯材を被覆する筒状の手摺被覆体と、前記手摺被覆体の表面を着脱自在に被覆する表皮材と、を備えて構成される手摺本体と、
前記手摺本体の長手方向における端部を、前記表皮材を外側から覆った状態で閉鎖する端部閉鎖体と、を備える表面可変システム手摺。
【請求項2】
前記端部閉鎖体の外周面は、前記手摺本体との境界部において前記手摺本体の外周面と面一とされている請求項1に記載の表面可変システム手摺。
【請求項3】
前記手摺被覆体は、長手方向の端部に段差部を介して径小とされた径小部と、当該径小部から前記端部側に向けて先細りとされた傾斜部とを備えており、
前記端部閉鎖体は、前記傾斜部および前記径小部を覆った状態で前記径小部に外嵌されている請求項1または請求項2に記載の表面可変システム手摺。
【請求項4】
前記手摺被覆体は、当該手摺被覆体の主体となる主部材と、前記主部材とは分割され、前記径小部および前記傾斜部を含んで構成される端部部材とを備えて構成されている請求項3に記載の表面可変システム手摺。
【請求項5】
前記手摺芯材は、当該手摺芯材を断面視した場合に、前記主部材の内面と当接する当接部と、前記主部材の内面から隙間を隔てて配される離隔部とを備えており、
前記端部部材は、前記主部材に向けて延びる延出部が前記主部材と前記手摺芯材の前記離隔部との間の前記隙間に挿入された状態とされることにより、前記手摺芯材および前記主部材に対して取り付けられている、請求項4に記載の表面可変システム手摺。
【請求項6】
前記手摺被覆体は、長手方向に沿って延びるとともに外側に向けて開口する溝部を備えており、
前記表皮材は長手方向に沿う両側部が前記溝部内に折り込まれた状態で前記手摺被覆体を覆っており、
前記溝部の開口を塞ぐように前記開口に取り付けられた軟質樹脂からなる係止部材により、前記表皮材が前記手摺被覆体に係止されている請求項1または請求項2に記載の表面可変システム手摺。
【請求項7】
前記表皮材は、合成樹脂からなる薄肉シート状を呈するものであって、その表面に適宜図面、文字、数字、色彩等を印刷したものである請求項1または請求項2に記載の表面可変システム手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋上、ベランダ、階段、廊下、トイレ、浴室等に装着して、人が墜落するのを防止したり、人が歩行、移動、動作等する際の補助をする表面可変システム手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
屋上、ベランダの外周部には人が墜落するのを防止するため、又、階段、廊下の壁面部には人が歩行、移動し易いようにするため、手摺が設置されている。さらに、トイレ、浴室の壁面部にも人が起立し易いようにするため、手摺が設置されている。
【0003】
通常、手摺1は、
図15および
図16に示すように、適宜壁面に複数のブラケット2を適宜間隔で固定し、これらブラケット2の先端部に手摺芯材3を架け渡し、この手摺芯材3を合成樹脂製で筒状の手摺被覆体4で覆って、壁面に沿って連続する手摺本体5を形成、設置するようになっている。
【0004】
また、手摺1の端部においては端部閉鎖体6を嵌着し、手摺本体5の端部を閉鎖するようになっている。あるいは、ブラケット2と端部閉鎖体6とが一体とされている場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、建造物の意匠性を高めるために、手摺の色や模様等をたくさんの種類の中から自由に選択したいという要望がある。しかし、従来は手摺被覆体の選択肢が少なく、所望の意匠を有するものが見つからない場合があった。このように、手摺被覆体の種類が少ないのは、供給側に種類を簡単に増やしづらい事情があるためである。具体的には、筒状の手摺被覆体を製造する際には、所定の色や模様等をムラがない状態で安定的に製造できるようになるまで時間を要する。このため、多種類の手摺被覆体を製造しようとすると、種類を変更する度に時間がかかるとともに材料ロスが生じることとなり、ひいては、コスト高につながるという事情があるためである。
【0007】
また、公共の場において、イベント等に合わせて手摺に宣伝広告や案内、注意喚起を表示させたり、適宜図形、図柄、文字、数字等を表示させたいという要望がある。しかし、所望の意匠を有する筒状の手摺被覆体を新たに製造し直す必要がある上、製造後に手摺被覆体を付け替える作業自体も、手間とコストがかかるという問題があった。これは、設置されている手摺被覆体を新しいものに付け替える際には、新たに製造された長尺な筒状の手摺被覆体を折り曲げない状態で現場まで搬送し、すでに設置されている手摺被覆体を手摺芯材から取り外して新しいものに付け替え、不要となった長尺な筒状の手摺被覆体を搬送して廃棄する必要があるためである。
【0008】
このように、従来の手摺は意匠の選択肢が少なく、付け替える際の作業は大掛かりでコストがかかった。また、手摺被覆体を製造する際の材料ロスや、付け替えの際の多量の廃棄物の発生等、環境的にも好ましくなく、改善の余地があった。
【0009】
本発明はこのような従来の問題点に鑑みて為されたものであって、多くの種類の意匠面を安価に提供可能であり、交換時の作業が容易であり、さらに、環境負荷が低減可能な表面可変システム手摺を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の表面可変システム手摺は、手摺芯材と、前記手摺芯材を被覆する筒状の手摺被覆体と、前記手摺被覆体の表面を着脱自在に被覆する表皮材と、を備えて構成される手摺本体と、前記手摺本体の長手方向における端部を、前記表皮材を外側から覆った状態で閉鎖する端部閉鎖体と、を備える。
【0011】
上記構成によれば、手摺本体の意匠面は表皮材により構成されるため、従来のように筒状の手摺被覆体の外面が意匠面とされる構成と比較して、多くの種類の意匠面を安価に提供可能である。つまり、表皮材は材料自体を着色したり表面に印刷を行うことが容易であるため、色や模様のバリエーションに富んだ多種類の表皮材を安価に製造することが可能となり、意匠の選択肢を大幅に増加させることができる。また、表皮材の素材として、手摺被覆体に通常使用される合成樹脂に限らず、布や皮革、紙、不織布、ゴム等を使用できるため、手摺本体に質感を持たせることが可能となる。これにより、壁紙やインテリアに合わせて手摺の意匠を多種多様にアレンジすることが可能となり、建造物のデザイン性が向上する。さらに、防水性や防汚性、抗菌性等の機能を比較的に簡単に付与することも可能となる。
【0012】
また、公共の場において、手摺に表示する宣伝広告や案内、図柄、色等を変更する際には、端部閉鎖体を取り外し、表皮材を剥がして、新しい表皮材に付け替えるだけでよい。つまり、従来のように工場で新たな長尺な筒状の手摺被覆体を製造し、製造された手摺被覆体を折り曲げない状態で現場まで搬送し、設置されている手摺被覆体を手摺芯材から取り外して付け替え、不要となった手摺被覆体を搬送して廃棄するという一連の工程が、簡略化される。また、手摺被覆体は取り替えることなく、シート状の表皮材を付け替えるだけで済むから、従来と比較して廃棄物の量も低減する。
【0013】
また、上記構成によれば、手摺被覆体の表面は表皮材に覆われることにより人目につかないから、手摺被覆体自体を美しく、視た目が均一になるように製造する必要がなく、リサイクル材等を使用することができる。しかも、色ムラ等が関係なくなるため、安定的な製品を得るための材料ロスを大幅に低減することができ、環境的に優れている。
【0014】
さらに、表皮材の長手方向における端部は端部閉鎖体により覆われる構成であるから、使用中に表皮材が端から剥がれることがなく、視た目も美しい。しかも、表皮材の端部は端部閉鎖体を手摺本体に嵌めることで固定可能であり、表皮材の取り付け作業がより簡単である。
【0015】
前記端部閉鎖体の外周面は、前記手摺本体との境界部において前記手摺本体の外周面と面一とされていてもよい。
【0016】
従来の手摺にあっては、手摺本体の端部に端部閉鎖体を取り付けた際に、手摺本体と端部閉鎖体との境界部に段差が発生し、視た目が良くないという問題があった。上記構成によれば、手摺の視た目を改善し、デザイン性に優れたものとすることができる。
【0017】
前記手摺被覆体は、長手方向の端部に段差部を介して径小とされた径小部と、当該径小部から前記端部側に向けて先細りとされた傾斜部とを備えており、前記端部閉鎖体は、前記傾斜部および前記径小部を覆った状態で前記径小部に外嵌されていてもよい。
【0018】
上記構成によれば、手摺本体と端部閉鎖体との境界部の段差を改善または解消することが可能な具体的構成を実現できる。また、傾斜部を設けることにより、端部閉鎖体を手摺本体に取り付ける際に、傾斜部が案内部として機能するとともに、表皮材の端部を傾斜部に沿ってすぼめた状態とすることができるから、取付作業が容易になる。しかも、表皮材を手摺被覆体と端部閉鎖体との間に段差部を介して挟み込むことになるから、段差部が設けられない構成と比較して、表皮材の手摺被覆体に対する位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0019】
前記手摺被覆体は、当該手摺被覆体の主体となる主部材と、前記主部材とは分割され、前記径小部および前記傾斜部を含んで構成される端部部材とを備えて構成されていてもよい。
【0020】
手摺被覆体に径小部および傾斜部を設ける方法として、手摺被覆体の製造時に製造現場で切削加工を行い、設置前の段階で予め形成しておく方法がある。しかし、手摺の取付現場で実際に表皮材を取り付ける際に、あるいは、交換する際に、表皮材の厚みに応じて、径小部あるいは端部閉鎖体の径を微調整したい場合がある。しかし、取付現場で加工を行うには、作業に手間と時間がかかる。
【0021】
上記構成によれば、表皮材の厚みに応じて予め所定の寸法に加工(微調整)した端部部材を付け替えるだけで、径小部の径を変更可能である。つまり、端部部材を予め工場で製造しておくことにより、取付現場での調整作業が不要となる。また、端部部材を工場で生産する方法では、簡単に量産可能であり、ストックする際も比較的に場所を取らないため、コストを抑えることができる。
【0022】
前記手摺芯材は、当該手摺芯材を断面視した場合に、前記主部材の内面と当接する当接部と、前記主部材の内面から隙間を隔てて配される離隔部とを備えており、前記端部部材は、前記主部材に向けて延びる延出部が前記主部材と前記手摺芯材の前記離隔部との間の前記隙間に挿入された状態とされることにより、前記芯材および前記主部材に対して取り付けられていてもよい。
【0023】
上記構成によれば、端部部材の芯材および主部材に対する具体的な一取付構造が実現可能である。また、少なくとも延出部が主部材と重畳した状態で配置されるから、単に主部材と端部部材とを突き合わせて接着部材等で連結する構成と比較して、主部材と端部部材との連結強度が高くなる。
【0024】
前記手摺被覆体は、長手方向に沿って延びるとともに外側に向けて開口する溝部を備えており、前記表皮材は長手方向に沿う両側部が前記溝部内に折り込まれた状態で前記手摺被覆体を覆っており、前記溝部の開口を塞ぐように前記開口に取り付けられた軟質樹脂からなる係止部材により、前記表皮材が前記手摺被覆体に係止されていてもよい。
【0025】
上記構成によれば、表皮材の手摺被覆体に対する具体的な一取付構造が実現可能である。またこのような構成によれば、表皮材の両側部が手摺の外側に露出しないため、表皮材が使用中に剥がれ難い。さらに、溝部の開口を塞ぐための部材を、表皮材を係止するための係止部材として兼用することができるから、部品点数を増加させることなく、表皮材を手摺被覆体に対して係止することができる。
【0026】
前記表皮材は、合成樹脂からなる薄肉シート状を呈するものであって、その表面に適宜図面、文字、数字、色彩等を印刷したものであってもよい。表皮材の材料として合成樹脂を使用する場合には、他の材料を使用する場合と比較して、より簡単に着色や印刷が可能となるとともに、製造コストを抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、多くの種類の意匠面を安価に提供可能であり、交換時の作業が容易であり、さらに、環境負荷が低減可能な表面可変システム手摺を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態1の手摺被芯材に端部部材を取り付ける様子を示す手摺の一部分解斜視図
【
図2】手摺被覆体を表皮材で覆う様子を示す手摺の一部分解斜視図
【
図3】手摺本体に係止部材および端部閉鎖体を取り付ける様子を示す手摺の一部分解斜視図
【
図9】実施形態2の手摺被芯材に端部部材を取り付ける様子を示す手摺の一部分解斜視図
【
図15】従来の手摺被芯材に手摺被覆体を取り付ける様子を示す手摺の一部分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0029】
<実施形態1>
実施形態1について、
図1から
図8を参照して詳細に説明する。本施形態においては、
図5の左右方向を長さ方向または長手方向とし、
図6の上下方向を上下方向、左右方向を幅方向として説明する。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0030】
本実施形態の手摺(表面可変システム手摺の一例)10は、
図3に示すように、手摺本体11と、端部閉鎖体61と、を備えて構成されている。また、手摺本体11は、手摺芯材21と、手摺被覆体31と、表皮材41と、を備えて構成されている。
【0031】
手摺芯材21は、アルミニウムを押出成形によって所定形状に成形したものであって、全体として下方に向けて開口する長尺なチャンネル構造をなしている。詳細には、手摺芯材21は、
図1および
図7等に示すように、水平方向に延びる長尺な帯状の底壁22と、底壁22の幅方向における両側部から下方に向けて互いに対向するように延びる2つの立壁23と、を備えるチャンネル構造をなしている。
【0032】
底壁22と立壁23との間の角部には、幅方向に張り出して後述する手摺被覆体31の内面と当接する第1当接部24が設けられている。第1当接部24の外面は、手摺被覆体31の内面に沿う曲面状とされている。また、立壁23の下端(先端)には、同じく幅方向に張り出して手摺被覆体31の内面と当接する第2当接部25が設けられている。第2当接部25は、立壁23の下端から外側かつ下側に向けて延びる段差状をなしており、張り出し方向における先端側の外面は、手摺被覆体31の内面に沿う曲面状とされている。
【0033】
以下、手摺芯材21のうち、底壁22と立壁23とで囲まれた溝状の空間を、芯材側溝部26とする。
【0034】
手摺被覆体31は、硬質ポリ塩化ビニル等の機械的強度の高い合成樹脂を押出成形によって所定形状に成形したものであって、
図2に示すように、全体として手摺芯材21を被覆可能な長尺な円筒状とされている。手摺被覆体31の下端部には、壁面を貫通して長手方向に延びるスリット38が設けられている。スリット38の開口幅は、芯材側溝部26の開口幅より僅かに大きい幅とされている。スリット38の各開口縁部には、全体に亘って、上方(手摺被覆体31の内側)に向けて互いに平行に延びる嵌合壁39が設けられている(
図7参照)。
【0035】
手摺被覆体31は、
図1および
図2に示すように、その長手方向における中央部分に配されて手摺被覆体31の主体となる主部材32と、両端部に配される端部部材33と、に分割されている。
【0036】
このうち端部部材33は、主部材32と同等の内径および外径を有する筒状の基部34と、基部34と同等の内径を有するとともに、外径が基部34の外周から段差部35を介して径小とされた径小部36と、基部34および径小部36と同等の内径を有するとともに、外径が径小部36から端部側に向けて先細りとされた傾斜部37と、を備えて構成されている。なお、傾斜部37の径小部36に対する傾斜角度θは、2~4°程度であることが好ましい。
【0037】
手摺被覆体31は、主部材32と端部部材33の基部34とが隙間なく突き当てられた状態で連なり、手摺芯材21を被覆している。手摺被覆体31は、手摺芯材21に対して、そのスリット38が芯材側溝部26と一致するよう取り付けられている(
図7参照)。手摺被覆体31の長さ寸法(主部材32および2つの端部部材33の合計長さ寸法)は、
図5に示すように、手摺芯材21の長さ寸法と同等寸法とされている。
【0038】
手摺被覆体31が手摺芯材21を被覆した状態において、手摺被覆体31の内面には、
図7に示すように、手摺芯材21の第1当接部24および第2当接部25が当接している。また、手摺被覆体31の嵌合壁39の先端(上端)は、手摺芯材21の階段状とされた第2当接部25の上段の下面に当接している。このような構成により、手摺被覆体31はその強度が手摺芯材21により補強されている。
【0039】
手摺被覆体31の外面は、表皮材41により被覆されている。表皮材41は、可撓性及び伸縮性が高い合成樹脂をシート状に成形したものであって、その厚み寸法は3mm以下であることが好ましい。表皮材41は、
図5に示すように、手摺被覆体31の長手方向における両端部からややはみ出す長さ寸法とされている。表皮材41は、所定の色に着色されている。なお、表皮材41の表面には、図形、図柄、文字、数字等が印刷されていてもよい。
【0040】
表皮材41は、手摺被覆体31の表面(外面)に対して、着脱自在とされている。表皮材41は、
図7に示すように、幅方向における両側端部がスリット38から嵌合壁39に沿うように手摺被覆体31内に折り込まれる形で、手摺被覆体31を覆っている。
【0041】
なお、手摺芯材21を手摺被覆体31が被覆し、手摺被覆体31を表皮材41が被覆した状態において、
図7に示すように、手摺芯材21の2つの立壁23の内面と、手摺被覆体31の2つの嵌合壁39の内面に沿って折り込まれた表皮材41の表面とは、それぞれ略面一に連なるように設定されている。以下、嵌合壁39の内面に沿った表皮材41の表面と、立壁23と、底壁22と、で囲まれた外側に向けて開口する溝状の空間を、嵌合溝部12と称することとする。嵌合溝部12には、係止部材51が装着されている。
【0042】
係止部材51は、軟質ポリ塩化ビニル等の軟質樹脂を押出成形により所定形状に成形したものであって、
図3および
図7に示すように、薄肉中空の筒状の隆起部52と、隆起部52の周方向の一部において円弧状を呈する鍔状部53と、から構成されている。係止部材51は、隆起部52が若干潰されつつ、表皮材41の両側部を押し込むように嵌合溝部12内(2つの嵌合壁39の間)に嵌め入れられるとともに、鍔状部53がスリット38の開口縁部に係止することにより、表皮材41を手摺被覆体31に対して係止可能としている。
【0043】
このように、手摺芯材21と、手摺被覆体31(主部材32および端部部材33)と、表皮材41と、係止部材51と、を組み付けることにより、手摺本体11が構成されている。
【0044】
手摺本体11の長手方向の両端部には、端部閉鎖体61が取り付けられている。
【0045】
端部閉鎖体61は、硬質ポリ塩化ビニル等の機械的強度の高い合成樹脂を所定形状に成形したものであって、
図3から
図5に示すように、円筒状をなす円筒状部62と、円筒状部62の開口の一端側を球面状に塞ぐ球面状部63と、から構成されている。円筒状部62の外径は、端部部材33の基部34(手摺被覆体31)の外径に表皮材41の厚み寸法を加えたものとされ、その内径は、端部部材33の径小部36の外径に表皮材41の厚み寸法を加えたものと略同一とされている。すなわち、内径は、表皮材41が被覆された径小部36にぴったり外嵌される径に設定されている。
【0046】
端部閉鎖体61は、端部部材33の傾斜部37および径小部36を先端側から覆った状態で円筒状部62が径小部36に外嵌されることにより、手摺本体11に対して取り付けられている。
【0047】
本実施形態の手摺10は以上のような構成であって、次に、手摺10の組み立て手順について説明する。先ず、手摺芯材21の端部から手摺被覆体31を嵌装させる。より詳細には、手摺芯材21の端部から、端部部材33と、主部材32と、端部部材33とが順に連なるように嵌装させる。この時、手摺芯材21の芯材側溝部26の開口と、手摺被覆体31(端部部材33および主部材32)のスリット38の位置とが一致するように、両者の周方向の向きを揃える。
【0048】
なお、必要であれば、端部部材33と主部材32との間に隙間ができないように、両者をテープT等で互いに固定してもよい(
図2参照)。
【0049】
手摺被覆体31が手摺芯材21を覆うように装着された状態において、手摺芯材21の第1当接部24および第2当接部25は、手摺被覆体31の内面に当接している。また、嵌合壁39の先端は、階段状とされた第2当接部25の段部にスリット38の開口部側から当接している(
図7参照)。この状態においてて、手摺芯材21の端部は、手摺被覆体31の端部(傾斜部37の先端)まで延びている(
図5参照)。このような構成により、手摺被覆体31の強度が補強されている。
【0050】
次に、表面に色彩が印刷された表皮材41を
図2に示すように若干湾曲させ、手摺被覆体31の外面に被覆させる。この時、表皮材41のうち手摺被覆体31の外面を被覆する部分の裏面には、両面テープや接着剤を付着させておいてもよい。そして、表皮材41の両側部をスリット38に沿って折曲して、手摺被覆体31の嵌合壁39に沿った状態とする。
【0051】
この状態において、手摺被覆体31の嵌合壁39に沿う表皮材41の表面と、手摺芯材21の立壁23の内面とは面一に連なっており、嵌合溝部12が外側に向けて開口している。
【0052】
次に、
図7に示すように、係止部材51の隆起部52を嵌合溝部12内(2つの嵌合壁39の間)に押し込んで嵌合させ、鍔状部53を嵌合溝部12(スリット38)の開口縁部に係止する。これにより、表皮材41の両側部が嵌合溝部12の溝壁と係止部材51との間に挟持され、もって、表皮材41が手摺被覆体31に係止された状態となる。
【0053】
なお、本実施形態の手摺10は、当該手摺10を壁面Wに取り付けるためのブラケットBを備えており、ブラケットBは、一端側が嵌合溝部12内に嵌め入れられている。上述した係止部材51は、嵌合溝部12のうち、ブラケットBが嵌め入れられていない部分を塞ぐように、複数に分割されて設けられている。なお、係止部材51の鍔状部53の表面は、表皮材41の表面と段差なく連なるように、側端部の厚み寸法が先細りとされている。
【0054】
次に、手摺本体11の長手方向における両端部に、端部閉鎖体61を取り付ける。端部閉鎖体61を取り付ける際には、
図3に示すように、表皮材41の先端部分を傾斜部37に沿って径方向の内側に向けてすぼめる。そして、表皮材41を端部閉鎖体61の円筒状部62により径小部36に対して押圧すると共に、基部34と径小部36との間の段差部35に押し付けることで、段差部35に沿って屈曲させる。なお、端部閉鎖体61を取り付ける際に、手摺本体11の端部には傾斜部37が設けられているから、傾斜部37が案内部として機能する。
【0055】
端部閉鎖体61が手摺本体11に装着された状態において、端部閉鎖体61の円筒状部62の外周面は、手摺本体11の外周面(表皮材41の表面)と面一に連なっている(
図5参照)。
【0056】
なお、通常、手摺10の使用中に端部閉鎖体61が手摺本体11の端部から簡単に逸脱することはないが、より確実に装着させるために、端部閉鎖体61の円筒状部62の端部と手摺被覆体31(端部部材33)の段差部35との間の若干の間隙から接着剤を流し込んで、端部閉鎖体61を手摺本体11に接着するようにしてもよい。
【0057】
このようにして、本実施形態の手摺10の組み立てが完了する。
【0058】
一方、表皮材41を手摺被覆体31から取り外すには、上記と逆の手順で、先ず、端部閉鎖体61を強く引っ張って手摺本体11の端部から取り外す。端部閉鎖体61を手摺本体11に接着している場合には、固化した接着剤を若干液化させる溶液等を使用して接着状態を弱化させた後、手摺本体11の端部から取り外す。
【0059】
次に、係止部材51を嵌合溝部12から取り外し、表皮材41の側端部の嵌合溝部12に対する係止状態を解除する。このようにして、表皮材41を手摺被覆体31から取り外すことが可能となる。
【0060】
このように、本実施形態の手摺10によれば、表皮材41を手摺被覆体31に対し簡単に取り付けたり、取り外したりすることができる。つまり、表皮材41を簡単に交換することができる。
【0061】
次に、作用効果について説明する。
【0062】
本実施形態の手摺10は、手摺芯材21と、手摺芯材21を被覆する筒状の手摺被覆体31と、手摺被覆体31の表面を着脱自在に被覆する表皮材41と、を備えて構成される手摺本体11と、手摺本体11の長手方向における端部を、表皮材41を外側から覆った状態で閉鎖する端部閉鎖体61と、を備えている。
【0063】
上記構成によれば、手摺本体11の意匠面は表皮材41により構成されるため、従来のように筒状の手摺被覆体の外面が意匠面とされる構成と比較して、多くの種類の意匠面を安価に提供可能である。つまり、表皮材41は材料自体を着色したり表面に印刷を行うことが容易であるため、色や模様のバリエーションに富んだ多種類の表皮材41を安価に製造することが可能となり、意匠の選択肢を大幅に増加させることができる。また、表皮材41の素材として、手摺被覆体31に通常使用される合成樹脂に限らず、布や皮革、紙、不織布、ゴム等を使用できるため、手摺本体11に質感を持たせることが可能となる。これにより、壁紙やインテリアに合わせて手摺10の意匠を多種多様にアレンジすることが可能となり、建造物のデザイン性が向上する。さらに、防水性や防汚性、抗菌性等の機能を比較的に簡単に付与することも可能となる。
【0064】
また、公共の場において、表示する宣伝広告や案内、図柄、色等を変更する際には、端部閉鎖体61を取り外し、表皮材41を剥がして、新しい表皮材41に付け替えるだけでよい。つまり、従来のように工場で新たな長尺な筒状の手摺被覆体31を製造し、製造された手摺被覆体31を折り曲げない状態で現場まで搬送し、設置されている手摺被覆体31を手摺芯材21から取り外して付け替え、不要となった手摺被覆体31を搬送して廃棄するという一連の工程が、簡略化される。また、手摺被覆体31は取り替えることなく、シート状の表皮材41を付け替えるだけで済むから、従来と比較して廃棄物の量も低減する。
【0065】
また、上記構成によれば、手摺被覆体31の表面は表皮材41に覆われることにより人目につかないから、手摺被覆体31自体を美しく、視た目が均一になるように製造する必要がなく、リサイクル材等を使用することができる。しかも、色ムラ等が関係なくなるため、安定的な製品を得るための材料ロスを大幅に低減することができ、環境的に優れている。
【0066】
さらに、表皮材41の長手方向における端部は端部閉鎖体61により覆われる構成であるから、使用中に表皮材41が端から剥がれることがなく、視た目も美しい。しかも、表皮材41の端部は端部閉鎖体61を手摺本体11に嵌めることで固定可能であり、表皮材41の取り付け作業がより簡単である。
【0067】
また、端部閉鎖体61の外周面は、手摺本体11との境界部において手摺本体11の外周面と面一とされている。このような構成によれば、手摺10の視た目を改善し、デザイン性に優れたものとすることができる。
【0068】
また、手摺被覆体31は、長手方向の端部に段差部35を介して径小とされた径小部36と、径小部36から端部側に向けて先細りとされた傾斜部37とを備えており、端部閉鎖体61は、傾斜部37および径小部36を覆った状態で径小部36に外嵌されている。
【0069】
このような構成によれば、手摺本体11と端部閉鎖体61との境界部の段差を改善または解消することができる。また、傾斜部37を設けることにより、端部閉鎖体61を手摺本体11に取り付ける際に、傾斜部37が案内部として機能するとともに、表皮材41の端部を傾斜部37に沿ってすぼめた状態とすることができるから、取付作業が容易になる。しかも、表皮材41を手摺被覆体31と端部閉鎖体61との間に段差部35を介して挟み込むことになるから、段差部35が設けられない構成と比較して、表皮材41の手摺被覆体31に対する位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0070】
また、手摺被覆体31は、当該手摺被覆体31の主体となる主部材32と、主部材32とは分割され、基部34、径小部36、および傾斜部37を含んで構成される端部部材33とを備えて構成されている。
【0071】
手摺被覆体31に径小部36および傾斜部37を設ける方法として、手摺被覆体31の製造時に製造現場で切削加工を行い、設置前の段階で予め形成しておく方法がある。しかし、手摺10の取付現場で実際に表皮材41を取り付ける際に、あるいは、交換する際に、表皮材41の厚みに応じて、径小部36あるいは端部閉鎖体61の径を微調整したい場合がある。しかし、取付現場で加工を行うには、作業に手間と時間がかかる。
【0072】
上記構成によれば、表皮材41の厚みに応じて予め所定の寸法に加工(微調整)した端部部材33を付け替えるだけで、径小部36の径を変更可能である。つまり、端部部材33を予め工場で製造しておくことにより、取付現場での調整作業が不要となる。また、端部部材33を工場で生産する方法では、簡単に量産可能であり、ストックする際も比較的に場所を取らないため、コストを抑えることができる。
【0073】
また、手摺芯材21および手摺被覆体31の組付体は、長手方向に沿って延びるとともに外側に向けて開口する嵌合溝部12を備えており、表皮材41は長手方向に沿う両側部が嵌合溝部12内に折り込まれた状態で手摺被覆体31を覆っており、嵌合溝部12の開口を塞ぐように取り付けられた軟質樹脂からなる係止部材51により、表皮材41が手摺被覆体31に係止されている。
【0074】
このような構成によれば、表皮材41の両側部が手摺10の外側に露出しないため、表皮材41が使用中に剥がれ難い。さらに、嵌合溝部12の開口を塞ぐための部材を、表皮材41を係止するための係止部材51として兼用することができるから、部品点数を増加させることなく、表皮材41を手摺被覆体に対して係止することができる。
【0075】
また、表皮材41は、合成樹脂からなる薄肉シート状を呈するものであって、その表面に適宜図面、文字、数字、色彩等を印刷したものとされている。このような構成により、表面の意匠のバリエーションに富んだ手摺10を安価に提供することができる。
【0076】
<実施形態2>
次に、実施形態2を
図9から
図12によって説明する。本実施形態の手摺(表面可変システム手摺の一例)100は、手摺被覆体131を構成する端部部材71の構成が、上記実施形態1と相違している。なお、以下においては実施形態1と異なる構成についてのみ説明するものとし、実施形態1と同様の構成には同一符号を付すこととし、重複する説明を省略する。
【0077】
本実施形態の端部部材71は、主部材32と同等の内径を有するとともに、外径が主部材32の外径より径小とされた筒状の径小部72と、径小部72と同等の肉厚とされて径小部72から手摺被覆体131の端部(以下、傾斜部側端部71Aとする)側に向けて先細りとされた傾斜部73と、径小部72の内側から主部材32に向けて延びる第1延出部74および第2延出部75と、を備えて構成されている。端部部材71の下端部には、上記実施形態1と同様に、壁面を貫通して長手方向に延びる端部側スリット138Bが設けられている。端部側スリット138Bの2つの開口縁部には、実施形態1と同様に、全体に亘って、上方(端部部材71の内側)に向けて互いに平行に延びる端部側嵌合壁139Bが設けられている。
【0078】
手摺被覆体131の長手方向(以下、端部部材71の延び方向とする)において傾斜部73に対応する部分には、
図9および
図10に示すように、2つ端部側嵌合壁139Bからそれぞれ上方に向けて端部側立壁76が互いに平行に延出されており、それらの延出方向における先端部(上端)は、傾斜部73の内面に突き当たる位置まで延びている。また、これら2つの端部側立壁76の先端部を架け渡すように、端部側底壁77が設けられている。つまり、傾斜部73に対応する部分には、
図9に示すように、端部側嵌合壁139Bと、端部側嵌合壁139Bから延出された端部側立壁76と、端部側底壁77とで囲まれて端部側スリット138Bの開口により外側(下方)に向けて開口する溝状の空間が形成されている。以下、この溝状の空間を、端部側嵌合溝部112Bとする。端部側嵌合溝部112Bは、主部材側の嵌合溝部112と連なるようになっている。
【0079】
この端部側嵌合溝部112Bは、端部部材71が主部材32とともに手摺芯材21に取り付けられた状態において、手摺被覆体131の一端側から他端側まで延びて外側(下方)に向けて開口する1本の嵌合溝部112を形成するようになっている。この嵌合溝部112のうち主部材32側の部分は、上記実施形態と同一の構成とされている。
【0080】
端部部材71の延び方向における傾斜部73側の端部(上述した傾斜部側端部71A)は、塞ぎ部78により一部が塞がれている。具体的には、塞ぎ部78は、端部側嵌合溝部112Bを傾斜部側端部71A側に開口させる形で、端部側嵌合溝部112B以外の部分を塞いでいる。
【0081】
図10に示すように、2つの各端部側立壁76と、筒状とされた傾斜部73との間には、それぞれ塞ぎ部78から主部材32側に向けて延びる第1延出部74が設けられている。第1延出部74は、傾斜部73および径小部72の内面に沿って延びる断面円弧状の円弧状部74Aと、円弧状部74Aの両側部から端部部材71の内側に向けて互いに平行に立ち上がる支持壁74Bとからなる、断面門型をなしている。
【0082】
また、端部側底壁77と、筒状とされた傾斜部73との間には、塞ぎ部78から主部材32側に向けて延びる第2延出部75が設けられている。第2延出部75は、傾斜部73および径小部72の内面に沿って延びる円弧状に湾曲した板状とされている。
【0083】
これら第1延出部74および第2延出部75は、径小部72よりも主部材32側に突出する位置まで延びている。またこれらの主部材32側の先端部は、外面が先端側に向けて先細りとなるように傾斜している。
【0084】
端部部材71は、
図11に示すように、径小部72が主部材32と隙間なく突き当てられた状態で手摺芯材21に対して取り付けられる。この取付状態において、第1延出部74は、筒状の主部材32と手摺芯材21の立壁(離隔部の一例)23との間の隙間に挿入された状態とされる。また、第2延出部75は、主部材32と手摺芯材21の底壁(離隔部の一例)22との間の隙間に挿入された状態とされる(
図11および
図12参照)。
【0085】
またこの取付状態において、端部側嵌合壁139Bは、その板面が主部材側の嵌合壁39と連続するようになっており、主部材32のスリット38と端部部材71の端部側スリット138Bとが一本に連なっている。
【0086】
また、端部部材71が手摺芯材21に取り付けられた状態において、
図12に示すように、第1延出部74の支持壁74Bの端部は、手摺芯材21の立壁23の板面に当接あるいは近接して、立壁23を側方から支持可能に設定されている。また、第2延出部75は、手摺芯材21の底壁22の板面に当接あるいは近接して、底壁22を上方から支持可能に設定されている。さらに、端部側立壁76および端部側底壁77の主部材32側の端面は、手摺芯材21の立壁23および底壁22の端面と当接あるいは近接するようになっている。
【0087】
このように、本実施形態の手摺芯材21は、断面視した場合に、主部材32の内面と当接する第1当接部24および第2当接部25と、主部材32の内面から隙間を隔てて配される立壁23および底壁22とを備えており、端部部材33は、主部材32に向けて延びる第1延出部74が主部材32と手摺芯材21の立壁23との間の隙間に挿入されるとともに、第2延出部75が主部材32と手摺芯材21の底壁22との間の隙間に挿入された状態とされることにより、手摺芯材21および主部材32に対して取り付けられている。
【0088】
このような構成によれば、上記実施形態1と同様の作用効果に加え、第1延出部74および第2延出部75が主部材32と重畳した状態で配置されるとともに、手摺芯材21と手摺被覆体131との間の隙間の一部を埋めるから、単に主部材と端部部材とを突き合わせて接着部材等で連結する構成と比較して、主部材32と端部部材33との連結強度および手摺被覆体の径方向の強度が高くなる。
【0089】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0090】
(1)上記実施形態では、手摺被覆体31,131を主部材32と端部部材33,71とに分割して構成する形態を示したが、手摺被覆体は、
図13に示すように、一部材で構成してもよい。そのような場合には、手摺の設置現場において電動切削工具を使用して手摺被覆体の端部を加工することにより、径小部236や傾斜部237の径を微調整することができる。
【0091】
(2)また上記実施形態では、端部部材33,71が、径小部36、72から先細りとなるように傾斜する傾斜部37、73を有する構成を示したが、端部部材は、傾斜部以外の先細りの構成としてもよい。例えば、
図14に示すように、端部部材81に先細りとなる複数の段部82を設けることにより、先細りの構成とすることができる。要は、端部閉鎖体を手摺本体に取り付ける際に、先細りとされた部分が案内部として機能するとともに、表皮材の端部をすぼめた状態とすることができる構成であればよい。
【0092】
(3)上記実施形態では、端部閉鎖体61を円筒状部62と球面状部63とで構成したドーム型とした形態を示したが、端部閉鎖体は上記実施形態に限るものではない。例えば、
図13に示すように、一の手摺本体211と他の手摺本体(図示せず)とを連結する継手状のものや、L字形状に屈曲された端部閉鎖体261も技術的範囲に含まれ、要は、表皮材41を外側から覆った状態で手摺本体211の端部に取り付けられるものであればよい。
【0093】
(4)また、端部閉鎖体の外周面は、手摺本体との境界部において、手摺本体の外周面と必ずしも面一とされていなくてもよい。
【0094】
(5)上記実施形態では、可撓性および伸縮性が高い合成樹脂からなる表皮材41を使用する形態を示したが、表皮材として、硬質PVCシートやメタリック調の特殊PVCシート(合成樹脂シート)、帆布やデニム等の布、天然あるいは合成皮革、紙、不織布、ゴム等、用途に応じて様々な材料のものを使用することにより、手摺本体に質感を持たせることができる。また、防水性や防汚性、抗菌性等の機能を付与した表皮材を使用することも可能である。
【0095】
(6)上記実施形態では、手摺芯材21および手摺被覆体31が組み付けられることにより形成された嵌合溝部12内に、表皮材41の側部を折り込むとともに、係止部材51により係止する形態を示したが、例えば、手摺芯材21に芯材側溝部26を設けず、単に、手摺被覆体31に設けたスリット38内に表皮材41の側部を折り込んで、係止する構成とすることもできる。
【0096】
(7)また、表皮材41は手摺被覆体31の内側に折り込まず、単に、両面テープや接着剤等により手摺本体の表面に係止する構成としてもよい。
【0097】
(8)あるいは、表皮材41は、両面テープや接着剤を使用せず、係止部材51および端部閉鎖体61、261のみで手摺被覆体31、131に対して係止する構成とすることもできる。
【0098】
(9)上記実施形態2では、端部部材71が2つの第1延出部74および1つの第2延出部75を備える構成を示したが、延出部の数や位置は上記実施形態に限るものではない。
【符号の説明】
【0099】
10、100: 手摺(表面可変システム手摺)
11、211: 手摺本体
12、112: 嵌合溝部(溝部)
21: 手摺芯材
22: 底壁(離隔部)
23: 立壁(離隔部)
24: 第1当接部
25: 第2当接部
26: 芯材側溝部
31、131: 手摺被覆体
32: 主部材
33、71、81: 端部部材
35: 段差部
36、72、236: 径小部
37、73、237: 傾斜部
38: スリット
39: 嵌合壁
41: 表皮材
51: 係止部材
61、261: 端部閉鎖体
74: 第1延出部
75: 第2延出部