(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080818
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】端子台、バスバー装置及び電池パック
(51)【国際特許分類】
H01R 9/22 20060101AFI20240610BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20240610BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240610BHJP
【FI】
H01R9/22
H01M50/507
H01M50/588 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194077
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】松浦 守崇
【テーマコード(参考)】
5E086
5H043
【Fターム(参考)】
5E086CC46
5E086DD04
5E086DD35
5E086DD37
5E086LL06
5E086LL16
5H043AA04
5H043AA13
5H043AA20
5H043FA04
5H043GA23
5H043JA03F
(57)【要約】
【課題】バスバーを安定に支持する。
【解決手段】端子台400は、バスバーを通過させる第1溝412が設けられた構造体410を備えている。第1溝412は、互いに交差する複数の方向に向けて開口されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーを通過させる溝が設けられた構造体を備え、
前記溝が互いに交差する複数の方向に向けて開口されている、端子台。
【請求項2】
複数の前記バスバーを通過させる複数の前記溝が前記構造体に設けられている、請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記複数のバスバーの前記複数の溝から引き出された部分を互いに隔てる隔壁をさらに備える、請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記バスバーの少なくとも一部分を固定するための固定構造をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の端子台。
【請求項5】
請求項1に記載の端子台と、
前記溝を通過する前記バスバーと、
を備えるバスバー装置。
【請求項6】
前記バスバーに電気的に接続された他のバスバーをさらに備え、
前記バスバー及び前記他のバスバーの接続部が前記端子台に固定されている、請求項5に記載のバスバー装置。
【請求項7】
電池モジュールと、
請求項5に記載のバスバー装置と、
前記バスバーを介して前記電池モジュールに電気的に接続されたディスコネクトスイッチと、
を備える電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台、バスバー装置及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の様々な用途に用いられる電池パックが開発されている。例えば特許文献1に記載されているように、電池パックは、燃料電池スタック、バスバー及びサービスプラグを備えている。燃料電池スタック及びサービスプラグは、バスバーを介して互いに電気的に接続されている。特許文献1に記載の電池パックでは、バスバーの一部分が端子台に固定されている。
【0003】
特許文献2には、複数のバスバーの一例について記載されている。各バスバーの一端は、IPM(インデリジェントパワーモジュール)に接続されている。各バスバーの他端は、端子台に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-247084号公報
【特許文献2】特開2004-140933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バスバーは、単に直線状に延在しているだけでなく、例えば略L字状等の非直線状に延在していることがある。バスバーが非直線状に延在している場合、バスバーの曲げ部によってバスバーの角部が形成されている。しかしながら、バスバーの角部は安定に支持することが難しいことがある。
【0006】
本発明の目的の一例は、バスバーを安定に支持することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
バスバーを通過させる溝が設けられた構造体を備え、
前記溝が互いに交差する複数の方向に向けて開口されている、端子台。
[2]
複数の前記バスバーを通過させる複数の前記溝が前記構造体に設けられている、[1]に記載の端子台。
[3]
前記複数のバスバーの前記複数の溝から引き出された部分を互いに隔てる隔壁をさらに備える、[2]に記載の端子台。
[4]
前記バスバーの少なくとも一部分を固定するための固定構造をさらに備える、[1]~[3]のいずれか一に記載の端子台。
[5]
[1]~[4]のいずれか一に記載の端子台と、
前記溝を通過する前記バスバーと、
を備えるバスバー装置。
[6]
前記バスバーに電気的に接続された他のバスバーをさらに備え、
前記バスバー及び前記他のバスバーの接続部が前記端子台に固定されている、[5]に記載のバスバー装置。
[7]
電池モジュールと、
[5]又は[6]に記載のバスバー装置と、
前記バスバーを介して前記電池モジュールに電気的に接続されたディスコネクトスイッチと、
を備える電池パック。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、バスバーを安定に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係る電池パックの一部分の回路図である。
【
図3】実施形態に係るバスバー装置の背面図である。
【
図4】実施形態に係るバスバー装置の右側面図である。
【
図12】実施形態に係る端子台にカバーが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
図1は、実施形態に係る電池パック10の斜視図である。
図2は、実施形態に係る電池パック10の一部分の回路図である。
【0012】
実施形態において、電池パック10は、自動車に搭載されている。具体的には、電池パック10は、自動車の前輪及び後輪の間に搭載されている。以下、特に断りがない限り、電池パック10が自動車に搭載されているものとして説明する。ただし、電池パック10は、自動車以外の用途にも適用可能である。
【0013】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が示されている。X方向は、電池パック10の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池パック10の左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池パック10の上下方向を示している。X方向を指し示す矢印、Y方向を指し示す及びZ方向を指し示す矢印は、それぞれ、電池パック10の前方向、左方向及び上方向を示している。ただし、X方向、Y方向及びZ方向と、電池パック10の前後方向、左右方向及び上下方向と、の関係はこの例に限定されない。
【0014】
実施形態において、電池パック10の前後方向、左右方向及び上下方向は、電池パック10が搭載される自動車によって決定されている。X方向、Y方向及びZ方向は、それぞれ、自動車の前後方向、左右方向及び上下方向を示している。X方向を指し示す矢印、Y方向を指し示す矢印及びZ方向を指し示す矢印は、それぞれ、自動車の前方向、左方向及び上方向を示している。ただし、電池パック10の前後方向、左右方向及び上下方向と、自動車の前後方向、左右方向及び上下方向と、の関係はこの例に限定されない。
【0015】
以下、必要に応じて、Z方向に垂直な方向を水平方向という。
【0016】
図1及び
図2に示すように、電池パック10は、複数の電池モジュール100、ディスコネクトスイッチ110及び収容体200を備えている。複数の電池モジュール100は、直列又は並列に接続されている。複数の電池モジュール100は、収容体200に収容されている。ディスコネクトスイッチ110は、概して、例えば、サービスディスコネクトスイッチ又はサービスプラグとも称されることがある。収容体200は、ロアケース210及びアッパケース220を有している。
【0017】
各電池モジュール100は、所定方向に積層された複数の電池セルを有している。例えば、各電池モジュール100では、並列に接続された複数の電池セルを含む電池セル群が複数直列に接続されている。或いは、単一の電池セルが複数直列に接続されていてもよい。
【0018】
図2に示すように、一部の電池モジュール100同士は、ディスコネクトスイッチ110を介して互いに電気的に接続されている。
図2に示す例では、一方の電池モジュール100及びディスコネクトスイッチ110が後述する第1接続バスバー310を介して電気的に互いに接続されている。また、他方の電池モジュール100及びディスコネクトスイッチ110が後述する第2接続バスバー320を介して電気的に互いに接続されている。ディスコネクトスイッチ110は、電池モジュール100同士を接続する回路を遮断する機能を有している。実施形態において、電池モジュール100同士を接続する回路は、高電圧回路となっていることがある。このため、電池パック10のメンテナンス作業、電池パック10の緊急停止等の所定の条件下では、電池パック10の作業者の安全性を確保するため、電池モジュール100同士を接続する回路を遮断する必要がある。実施形態では、ディスコネクトスイッチ110を動作させることで、電池モジュール100同士を接続する回路を遮断することができる。
【0019】
ロアケース210の前方には、一対のターミナル122が設けられている。一対のターミナル122は、Y方向に略平行に並んでいる。各ターミナル122の前端部は、ロアケース210の前面から前方に向けて突出している。一対のターミナル122は、収容体200に収容された複数の電池モジュール100に電気的に接続されている。
【0020】
ロアケース210は、複数の電池モジュール100を収容する収容空間を画定している。アッパケース220は、複数の電池モジュール100を上方から覆っている。
図1に示すように、ディスコネクトスイッチ110の前面は、アッパケース220から露出されている。したがって、電池パック10の作業者は、電池パック10の前方からディスコネクトスイッチ110を操作することができる。
【0021】
図3は、実施形態に係るバスバー装置30の背面図である。
図4は、実施形態に係るバスバー装置30の右側面図である。
図5は、実施形態に係る端子台400の斜視図である。
図6は、実施形態に係る端子台400の正面図である。
図7は、実施形態に係る端子台400の背面図である。
図8は、実施形態に係る端子台400の左側面図である。
図9は、実施形態に係る端子台400の右側面図である。
図10は、実施形態に係る端子台400の平面図である。
図11は、実施形態に係る端子台400の底面図である。
【0022】
バスバー装置30は、第1接続バスバー310、第2接続バスバー320及び端子台400を有している。バスバー装置30は、収容体200に収容されている。
【0023】
まず、
図3~
図5を参照して、端子台400について説明する。
【0024】
端子台400の底部のY方向の両側には、一対の突起402が設けられている。各突起402には、下方貫通孔402aが設けられている。下方貫通孔402aには、不図示のねじ等の締結具が貫通可能になっている。したがって、当該締結具によって、各突起402をロアケース210の底面に固定することができる。これによって、端子台400をロアケース210に固定することができる。ただし、端子台400をロアケース210に固定する方法は、この例に限定されない。
【0025】
端子台400の後面側には、構造体410が設けられている。構造体410には、第1溝412及び第2溝414が設けられている。第1溝412及び第2溝414は、Y方向に略平行に延在している。第2溝414は、第1溝412より後方に位置している。第2溝414のY方向の長さは、第1溝412のY方向の長さより長くなっている。第1溝412の左端及び第2溝414の左端は、Y方向に略揃っている。第2溝414の右端は、第1溝412の右端より右側へずれている。第1溝412と、第2溝414の左側部と、は下方隔壁416によって互いに隔てられている。下方隔壁416は、例えば、樹脂等の絶縁体である。
【0026】
端子台400の後面は、第1傾斜面422及び第2傾斜面424を有している。第1傾斜面422及び第2傾斜面424は、構造体410よりも高い位置に存在している。第1傾斜面422は、第1傾斜面422の下端から上端に向かうにつれて前方に向けて斜めに傾いている。第2傾斜面424は、第2傾斜面424の下端から上端に向かうにつれて前方に向けて斜めに傾いている。第1傾斜面422及び第2傾斜面424は、上方隔壁426によって互いに隔てられている。上方隔壁426は、例えば、樹脂等の絶縁体である。第1傾斜面422は、上方隔壁426の左側に位置している。第2傾斜面424は、上方隔壁426の右側に位置している。
【0027】
次に、
図3~
図5を参照して、第1接続バスバー310及び第2接続バスバー320について説明する。第1接続バスバー310及び第2接続バスバー320は、例えば、金属等の導体からなっている。
【0028】
図3に示すように、第1接続バスバー310は、第1下方バスバー310L及び第1上方バスバー310Uを有している。第1下方バスバー310Lは、第1下方延在部312L及び第1引出部314Lを含んでいる。第1下方バスバー310Lは、第1下方延在部312L及び第1引出部314Lの間で略L字状に延在している。第1上方バスバー310Uは、第1下方固定端312U、第1上方固定端314U及び第1上方延在部316Uを含んでいる。第1上方バスバー310Uは、第1下方固定端312U及び第1上方固定端314Uの間で略L字状に延在している。
【0029】
図3に示すように、第2接続バスバー320は、第2下方バスバー320L及び第2上方バスバー320Uを有している。第2下方バスバー320Lは、第2下方延在部322L及び第2引出部324Lを含んでいる。第2下方バスバー320Lは、第2下方延在部322L及び第2引出部324Lの間で略L字状に延在している。第2上方バスバー320Uは、第2下方固定端322U、第2上方固定端324U及び第2上方延在部326Uを含んでいる。第2上方バスバー320Uは、第2下方固定端322U及び第2上方固定端324Uの間で略アーチ状に延在している。
【0030】
第1接続バスバー310の表面の少なくとも一部分と、第2接続バスバー320の表面の少なくとも一部分と、の少なくとも一方は、絶縁体であってもよい。例えば、第1接続バスバー310の表面の少なくとも一部分及び第2接続バスバー320の表面の少なくとも一部分は、絶縁膜によって覆われている。この場合、第1接続バスバー310及び第2接続バスバー320の間の電気的絶縁を確保しやすくすることができる。
【0031】
図3~
図5を参照して、第1下方バスバー310L及び第2下方バスバー320Lについて説明する。
【0032】
第1下方延在部312Lは、Y方向に略平行に延在している。第1下方延在部312Lは、部分的に屈曲していてもよい。第1下方延在部312Lは、X方向に略平行な厚みを有する略板形状となっている。
【0033】
第1引出部314Lは、第1下方延在部312Lの右端部から前上方に向けて引き出されている。第1引出部314Lの上端部は、端子台400の第1傾斜面422に対して略平行に配置されている。すなわち、第1引出部314Lの上端部は、第1傾斜面422に略垂直な厚みを有する略板形状となっている。一例において、第1引出部314Lの上端部は、第1下方延在部312Lから引き出された引出部を折り曲げることで、第1下方延在部312Lに対して傾きを有している。ただし、第1下方延在部312L及び第1引出部314Lの形成方法はこの例に限定されない。例えば、第1下方延在部312L及び第1引出部314Lは、溶接によって互いに接合されていてもよい。
【0034】
第1下方バスバー310Lにおける第1下方延在部312L及び第1引出部314Lの間の角部は、第1溝412の内部に配置されている。これによって、第1下方バスバー310Lの当該角部を安定に支持することができる。具体的には、第1溝412の左端部は、左方に向けて開口されている。第1溝412の上端部は、上方に向けて開口されている。したがって、第1下方バスバー310Lは、第1溝412の左端部の開口と、第1溝412の上端部の開口と、の間で第1溝412を通過可能になっている。実施形態において、第1下方延在部312Lは、第1溝412の左端部の開口を通じて左方に向けて引き出されている。第1引出部314Lは、第1溝412の上端部の開口を通じて上方に向けて引き出されている。
【0035】
第1溝412の複数の開口の位置は、第1下方バスバー310Lの形状に応じて異ならせることができる。すなわち、第1溝412は、第1下方延在部312Lの延在方向及び第1引出部314Lの延在方向に応じて、互いに交差する複数の方向に向けて開口させることができる。例えば、第1下方延在部312Lが第1溝412から左下方に向けて引き出される場合、第1溝412は左下方向に向けて開口させることができる。第1引出部314Lが第1溝412から右上方に向けて引き出される場合、第1溝412は右上方向に向けて開口させることができる。
【0036】
第2下方延在部322Lは、Y方向に略平行に延在している。第2下方延在部322Lは、部分的に屈曲していてもよい。第2下方延在部322Lは、X方向に略平行な厚みを有する略板形状となっている。
【0037】
第2引出部324Lは、第2下方延在部322Lの右端部から前上方に向けて引き出されている。第2引出部324Lの上端部は、端子台400の第2傾斜面424に対して略平行に配置されている。すなわち、第2引出部324Lの上端部は、第2傾斜面424に略垂直な厚みを有する略板形状となっている。
【0038】
第2下方バスバー320Lにおける第2下方延在部322L及び第2引出部324Lの間の角部は、第2溝414の内部に配置されている。これによって、第1下方バスバー310Lの上述の角部と同様にして、第2下方バスバー320Lの当該角部を安定に支持することができる。第2溝414は、第1溝412と同様にして、互いに交差する複数の方向に向けて開口されている。
【0039】
第2下方延在部322L及び第2引出部324Lは、下方隔壁416によって互いに隔てられている。したがって、第2下方延在部322L及び第2引出部324Lの接触及び短絡を下方隔壁416によって抑制することができる。実施形態において、下方隔壁416のZ方向の高さは、第1下方延在部312LのZ方向の幅及び第2下方延在部322LのZ方向の幅の少なくとも一方以上となっている。具体的には、下方隔壁416の高さは、これらの幅の双方より高くなっている。したがって、下方隔壁416の高さがこれらの幅の双方より低い場合と比較して、第1下方延在部312L及び第1引出部314Lの接触及び短絡をより抑制することができる。ただし、下方隔壁416のZ方向の高さは、第1下方延在部312LのZ方向の幅又は第1引出部314LのZ方向の幅の双方より低くてもよい。
【0040】
図3~
図5を参照して、第1上方バスバー310U及び第2上方バスバー320Uについて説明する。
【0041】
第1下方固定端312Uは、第1上方延在部316Uの下端部から後下方に向けて引き出されている。第1下方固定端312Uは、端子台400の第1傾斜面422に対して略平行に配置されている。すなわち、第1下方固定端312Uは、第1傾斜面422に略垂直な厚みを有する略板形状となっている。一例において、第1下方固定端312Uは、第1上方延在部316Uの下端部を折り曲げることで、第1上方延在部316Uに対して傾きを有している。ただし、第1下方固定端312U及び第1上方延在部316Uの形成方法はこの例に限定されない。第1下方固定端312Uと、第1引出部314Lの上端部と、は互いに電気的に接続されている。第1下方固定端312U及び第1引出部314Lの接続部は、第1締結具510によって、第1傾斜面422に固定されている。実施形態において、第1締結具510はボルトである。ただし、第1締結具510は、ボルト以外の締結具であってもよい。第1締結具510は、第1下方固定端312Uと、第1引出部314Lの上端部と、を順に貫通して、第1傾斜面422の第1締結孔422aに挿通されている。これによって、第1締結孔422a及び第1締結具510は、第1下方固定端312Uと、第1引出部314Lの上端部と、を第1傾斜面422に固定するための固定構造の少なくとも一部分となっている。
【0042】
第1上方固定端314Uは、第1上方延在部316Uの上端部から右方に向けて引き出されている。第1上方固定端314Uは、ディスコネクトスイッチ110の取付面112に対して略平行に配置されている。すなわち、第1上方固定端314Uは、取付面112に略垂直な厚みを有する略板形状となっている。実施形態において、取付面112は、後下方に向けられた略平坦な面となっている。第1上方固定端314Uは、不図示のボルト等の締結具によって、取付面112に固定されている。当該締結具は、第1上方固定端314Uの第1上方貫通孔314Uaを貫通して、取付面112の締結孔に挿通されている。これによって、当該締結具及び取付面112の当該締結孔は、第1上方固定端314Uを取付面112に固定するための固定構造の少なくとも一部分となっている。
【0043】
第1上方延在部316Uは、第1下方固定端312U及び第1上方固定端314Uの間でZ方向に略平行に延在している。第1上方延在部316Uは、部分的に屈曲していてもよい。第1上方延在部316Uは、X方向に略平行な厚みを有する略板形状となっている。
【0044】
第2下方固定端322Uは、第2上方延在部326Uの下端部から左方に向けて引き出されている。第2下方固定端322Uは、端子台400の第2傾斜面424に対して略平行に配置されている。すなわち、第2下方固定端322Uは、第2傾斜面424に略垂直な厚みを有する略板形状となっている。一例において、第2下方固定端322Uは、第2上方延在部326Uの下端部を折り曲げることで、第2上方延在部326Uに対して略垂直になっている。ただし、第2下方固定端322U及び第2上方延在部326Uの形成方法はこの例に限定されない。第2下方固定端322Uと、第2引出部324Lの上端部と、は互いに電気的に接続されている。第2下方固定端322U及び第2引出部324Lの接続部は、第2締結具520によって、第2傾斜面424に固定されている。実施形態において、第2締結具520はボルトである。ただし、第2締結具520は、ボルト以外の締結具であってもよい。第2締結具520は、第2下方固定端322Uと、第2引出部324Lの上端部と、を順に貫通して、第2傾斜面424の第2締結孔424aに挿通されている。これによって、第2締結孔424a及び第2締結具520は、第2下方固定端322Uと、第2引出部324Lの上端部と、を第2傾斜面424に固定するための固定構造の少なくとも一部分となっている。
【0045】
第2上方固定端324Uは、第2上方延在部326Uの上端部から左方に向けて引き出されている。第2上方固定端324Uは、ディスコネクトスイッチ110の取付面112に対して略平行に配置されている。すなわち、第2上方固定端324Uは、取付面112に略垂直な厚みを有する略板形状となっている。一例において、第2上方固定端324Uは、第2上方延在部326Uの上端部を折り曲げることで、第2上方延在部326Uに対して略垂直になっている。ただし、第2上方固定端324U及び第2上方延在部326Uの形成方法はこの例に限定されない。第2上方固定端324Uは、不図示のボルト等の締結具によって、取付面112に固定されている。当該締結具は、第2上方固定端324Uの第2上方貫通孔324Uaを貫通して、取付面112の締結孔に挿通されている。これによって、当該締結具及び取付面112の当該締結孔は、第2上方固定端324Uを取付面112に固定するための固定構造の少なくとも一部分となっている。
【0046】
第2上方延在部326Uは、第2下方固定端322U及び第2上方固定端324Uの間でZ方向に略平行に延在している。第2上方延在部326Uは、部分的に屈曲していてもよい。第2上方延在部326Uは、Y方向に略平行な厚みを有する略板形状となっている。
【0047】
実施形態において、第1締結具510及び第2締結具520は、Y方向に略平行に並んでいる。第1上方貫通孔314Ua、第2上方貫通孔324Ua及び第2締結具520は、Y方向に略垂直な共通の仮想平面内に配置されている。第2上方貫通孔324Uaは、第2締結具520の略上方に位置している。第2上方貫通孔324Uaは、取付面112に沿って第1上方貫通孔314Uaの前下方に位置している。
【0048】
第1下方固定端312U及び第1引出部314Lの接続部と、第2下方固定端322U及び第2引出部324Lの接続部と、は上方隔壁426によって互いに隔てられている。したがって、これらの接続部の接触及び短絡を上方隔壁426によって抑制することができる。実施形態において、上方隔壁426の高さは、第1下方固定端312U及び第1引出部314Lの接続部の厚みと、第2下方固定端322U及び第2引出部324Lの接続部の厚みと、の少なくとも一方以上となっている。具体的には、上方隔壁426の高さは、これらの厚みの双方より高くなっている。したがって、上方隔壁426の高さがこれらの厚さの双方より低い場合と比較して、これらの接続部の接触及び短絡をより抑制することができる。ただし、上方隔壁426の高さは、これらの接続部の厚みの双方より低くてもよい。
【0049】
図3に示すように、第1上方延在部316Uは、第1締結具510からディスコネクトスイッチ110に向けて延在している。第2上方延在部326Uは、Y方向において第2締結具520に対して第1締結具510の反対側にずれた位置からディスコネクトスイッチ110に向けて延在している。したがって、第2上方延在部326U及び第2締結具520がY方向に揃っている場合と比較して、第1上方延在部316U及び第2上方延在部326Uの間のY方向の距離を大きくすることができる。このため、上述した場合と比較して、第1上方延在部316U及び第2上方延在部326Uの間の電気的絶縁を確保しやすくすることができる。
【0050】
図3に示すように、第1上方延在部316Uは、第1上方貫通孔314Uaに対して左側にずれた位置から端子台400に向けて延在している。第2上方延在部326Uは、第2上方貫通孔324Uaに対して右側にずれた位置から端子台400に向けて延在している。したがって、第2上方延在部326U及び第2上方貫通孔324UaがY方向に揃っている場合と比較して、第1上方延在部316U及び第2上方延在部326Uの間のY方向の距離を大きくすることができる。このため、上述した場合と比較して、第1上方延在部316U及び第2上方延在部326Uの間の電気的絶縁を確保しやすくすることができる。
【0051】
第1上方バスバー310U及び第2上方バスバー320Uの各々の形状は、実施形態に係る形状に限定されない。例えば、第2上方延在部326Uは、第2締結具520及び第2上方貫通孔324UaとY方向に揃っていてもよい。
【0052】
図12は、実施形態に係る端子台400にカバー450が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0053】
カバー450は、後方から見て、第1締結孔422aの少なくとも一部分と、第2締結孔424aの少なくとも一部分と、を覆っている。したがって、第1接続バスバー310及び第2接続バスバー320が端子台400に設置された状態において、カバー450は、後方から見て、第1下方固定端312U及び第1引出部314Lの接続部と、第2下方固定端322U及び第2引出部324Lの接続部と、を、第1締結具510及び第2締結具520とともに覆うことができる。したがって、第1下方固定端312U及び第1引出部314Lの接続部と、第2下方固定端322U及び第2引出部324Lの接続部と、をカバー450によって周囲の部材から電気的に絶縁することができる。
【0054】
カバー450は、端子台400に対して着脱自在となっている。具体的には、カバー450は、一対の軸452の周りに回転可能になっている。カバー450は、一対の軸452に対して着脱自在となっている。一対の軸452は、端子台400のY方向の両側面に設けられている。カバー450は、一対の係合部454に係合可能になっている。一対の係合部454は、端子台400のY方向の両側面に設けられている。
【0055】
実施形態においては、カバー450が端子台400から取り外された状態で、第1下方固定端312U及び第1引出部314Lの接続部を第1締結具510によって第1傾斜面422に固定することができ、第2下方固定端322U及び第2引出部324Lの接続部を第2締結具520によって第2傾斜面424に固定することができる。この場合、これらの接続部をこれらの傾斜面に固定した後、カバー450を端子台400に取り付けることができる。したがって、第1接続バスバー310及び第2接続バスバー320を端子台400に設置するための作業性を向上させることができる。
【0056】
次に、バスバー装置30を電池パック10に搭載する方法の一例を説明する。
【0057】
まず、端子台400をロアケース210の底面に固定する。具体的には、一対の突起402の各々の下方貫通孔402aにねじ等の締結具を貫通させて、一対の突起402をロアケース210の底面に固定する。次いで、端子台400に第1下方バスバー310L及び第2下方バスバー320Lを設置する。具体的には、第1下方バスバー310Lにおける第1下方延在部312L及び第1引出部314Lの間の角部を第1溝412の内部に配置する。第2下方バスバー320Lにおける第2下方延在部322L及び第2引出部324Lの間の角部を第2溝414の内部に配置する。
【0058】
上述した工程と同時に、又は上述した工程の前後において、第1上方バスバー310U及び第2上方バスバー320Uをディスコネクトスイッチ110の取付面112に取り付ける。具体的には、第1上方固定端314Uの第1上方貫通孔314Uaにボルト等の締結具を貫通させて、第1上方固定端314Uを取付面112に固定する。同様に、第2上方固定端324Uの第2上方貫通孔324Uaにボルト等の締結具を貫通させて第2上方固定端324Uを取付面112に固定する。
【0059】
次いで、ディスコネクトスイッチ110を端子台400の略上方に配置させる。この状態において、第1下方固定端312Uと第1引出部314Lの上端部とを重ねて、第1締結具510によって第1下方固定端312U及び第1引出部314Lを第1傾斜面422に固定する。同様にして、第2下方固定端322Uと第2引出部324Lの上端部とを重ねて、第2締結具520によって第2下方固定端322U及び第2引出部324Lを第2傾斜面424に固定する。
【0060】
次いで、カバー450を端子台400に取り付ける。これによって、第1下方固定端312U及び第1引出部314Lの接続部と、第2下方固定端322U及び第2引出部324Lの接続部と、がカバー450によって覆われる。
【0061】
実施形態において、第1接続バスバー310は、第1下方バスバー310L及び第1上方バスバー310Uに分離可能になっている。第2接続バスバー320は、第2下方バスバー320L及び第2上方バスバー320Uに分離可能になっている。したがって、第1下方バスバー310L及び第2下方バスバー320Lの端子台400への設置作業と、第1上方バスバー310U及び第2上方バスバー320Uのディスコネクトスイッチ110への取り付け作業と、を互いに独立して行うことができる。このため、バスバー装置30を電池パック10に搭載するための作業性を向上させやすくすることができる。
【0062】
第1接続バスバー310の構造は、実施形態に係る構造に限定されない。例えば、第1下方バスバー310L及び第1上方バスバー310Uは一体であってもよい。同様にして、第2下方バスバー320L及び第2上方バスバー320Uは、一体であってもよい。
【0063】
図13は、変形例に係る端子台400Aの斜視図である。変形例に係る端子台400Aは、以下の点を除いて、実施形態に係る端子台400と同様である。
【0064】
変形例に係る構造体410Aには、第1溝412A及び第2溝414Aが設けられている。第1溝412A及び第2溝414Aは、Y方向に略平行に並んでいる。
【0065】
第1溝412Aの上端部は、上方に向けて開口されている。したがって、第1溝412Aの上端部の開口を通じて不図示のバスバーを上方に向けて引き出すことができる。第1溝412Aの左端部は、左方に向けて開口されている。したがって、第1溝412Aの左端部の開口を通じて当該バスバーを左方に向けて引き出すことができる。このため、変形例においても、実施形態と同様にして、当該バスバーの角部を第1溝412Aの内部に配置することができる。これによって、変形例においても、実施形態と同様にして、当該バスバーを安定に支持することができる。
【0066】
第2溝414Aの上端部は、上方に向けて開口されている。したがって、第2溝414Aの上端部の開口を通じて不図示のバスバーを上方に向けて引き出すことができる。第2溝414Aの右端部は、右方に向けて開口されている。したがって、第2溝414Aの右端部の開口を通じて当該バスバーを右方に向けて引き出すことができる。このため、変形例においても、実施形態と同様にして、当該バスバーの角部を第2溝414Aの内部に配置することができる。これによって、変形例においても、実施形態と同様にして、当該バスバーを安定に支持することができる。
【0067】
第1溝412Aから上方に引き出されたバスバーは、実施形態と同様にして、第1締結孔422aAに挿通されるボルト等の締結具によって第1傾斜面422Aに固定することができる。第2溝414Aから上方に引き出されたバスバーは、実施形態と同様にして、第2締結孔424aAに挿通されるボルト等の締結具によって第2傾斜面424Aに固定することができる。変形例においては、実施形態と同様にして、第1傾斜面422A及び第2傾斜面424Aは、隔壁426Aによって互いに隔てられている。変形例において、隔壁426Aの下端部は、第1溝412Aの右端部と、第2溝414Aの左端部と、を互いに隔てている。したがって、第1溝412Aに設置されたバスバーと、第2溝414Aに設置されたバスバーと、の接触及び短絡を抑制することができる。
【0068】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0069】
例えば、端子台の構造体に設けられる溝の数は2つに限定されない。構造体に設けられる溝の数は、構造体によって支持されるバスバーの数に応じて異ならせることができる。例えば、構造体によって支持されるバスバーの数が1つのみの場合、溝の数は1つのみであってもよい。或いは、構造体によって支持されるバスバーの数が3つ以上の場合、溝の数は3つ以上であってもよい。
【0070】
本明細書に開示された発明の一態様は、以下のとおりである。
[1.1]
バスバーを通過させる溝が設けられた構造体を備え、
前記溝が互いに交差する複数の方向に向けて開口されている、端子台。
[1.2]
複数の前記バスバーを通過させる複数の前記溝が前記構造体に設けられている、[1.1]に記載の端子台。
[1.3]
前記複数のバスバーの前記複数の溝から引き出された部分を互いに隔てる隔壁をさらに備える、[1.2]に記載の端子台。
[1.4]
前記バスバーの少なくとも一部分を固定するための固定構造をさらに備える、[1.1]~[1.3]のいずれか一に記載の端子台。
[1.5]
[1.1]~[1.4]のいずれか一に記載の端子台と、
前記溝を通過する前記バスバーと、
を備えるバスバー装置。
[1.6]
前記バスバーに電気的に接続された他のバスバーをさらに備え、
前記バスバー及び前記他のバスバーの接続部が前記端子台に固定されている、[1.5]に記載のバスバー装置。
[1.7]
電池モジュールと、
[1.5]又は[1.6]に記載のバスバー装置と、
前記バスバーを介して前記電池モジュールに電気的に接続されたディスコネクトスイッチと、
を備える電池パック。
【0071】
本明細書に開示された発明の他の一態様は、以下のとおりである。
[2.1]
所定方向に並ぶ第1固定構造及び第2固定構造を有する端子台と、
前記第1固定構造に固定され、少なくとも一部分が前記第1固定構造からディスコネクトスイッチに向けて延在した第1バスバーと、
前記第2固定構造に固定され、少なくとも一部分が前記所定方向において前記第2固定構造に対して前記第1固定構造の反対側にずれた位置から前記ディスコネクトスイッチに向けて延在した第2バスバーと、
を備えるバスバー装置。
[2.2]
所定方向に並ぶ第3固定構造及び第4固定構造を有するディスコネクトスイッチと、
前記第3固定構造に固定され、少なくとも一部分が前記所定方向に交わる方向において前記第3固定構造に対してずれた位置から端子台に向けて延在した第1バスバーと、
前記第4固定構造に固定され、少なくとも一部分が前記所定方向に交わる前記方向において前記第4固定構造に対して前記第1バスバーの反対側にずれた位置から前記端子台に向けて延在した第2バスバーと、
を備えるバスバー装置。
[2.3]
電池モジュールと、
[2.1]又は[2.2]に記載のバスバー装置と、
前記バスバー装置を介して前記電池モジュールに電気的に接続されたディスコネクトスイッチと、
を備える電池パック。
【符号の説明】
【0072】
10 電池パック
30 バスバー装置
100 電池モジュール
110 ディスコネクトスイッチ
112 取付面
122 ターミナル
200 収容体
210 ロアケース
220 アッパケース
310 第1接続バスバー
310L 第1下方バスバー
310U 第1上方バスバー
312L 第1下方延在部
312U 第1下方固定端
314L 第1引出部
314U 第1上方固定端
314Ua 第1上方貫通孔
316U 第1上方延在部
320 第2接続バスバー
320L 第2下方バスバー
320U 第2上方バスバー
322L 第2下方延在部
322U 第2下方固定端
324L 第2引出部
324U 第2上方固定端
324Ua 第2上方貫通孔
326U 第2上方延在部
400,400A 端子台
402 突起
402a 下方貫通孔
410,410A 構造体
412,412A 第1溝
414,414A 第2溝
416 下方隔壁
422,422A 第1傾斜面
422a,422aA 第1締結孔
424,424A 第2傾斜面
424a,424aA 第2締結孔
426 上方隔壁
426A 隔壁
450 カバー
452 軸
454 係合部
510 第1締結具
520 第2締結具