(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080823
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】把持装置および把持方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194089
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 秀和
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 安直
(72)【発明者】
【氏名】池内 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 祥平
(72)【発明者】
【氏名】金田 侑
(72)【発明者】
【氏名】石川 一輝
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS04
3C707ET08
3C707EU04
3C707EV26
3C707HT22
3C707MT09
(57)【要約】
【課題】対象物の取り残しを抑制することが可能な把持装置および把持方法を提供する。
【解決手段】把持装置は、基部と、基部から延び、基部から先端までの長さを変更可能な複数の把持部と、対象物を把持するように複数の把持部を制御する制御部と、を備え、制御部は、対象物の姿勢に応じて、複数の把持部のうちの少なくとも1つの長さを制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部から延び、前記基部から先端までの長さを変更可能な複数の把持部と、
対象物を把持するように前記複数の把持部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記対象物の姿勢に応じて、前記複数の把持部のうちの少なくとも1つの前記長さを制御する、
把持装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象物の計測情報に基づいて、前記対象物の姿勢を推定する、
請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記対象物の計測情報に基づいて前記複数の把持部のそれぞれによる前記対象物の把持位置をそれぞれ推定し、
各把持位置の高低差に応じて、前記複数の把持部のそれぞれの前記長さを決定する、
請求項1に記載の把持装置。
【請求項4】
前記基部を支持し、前記基部および前記複数の把持部を移動させるロボットアームをさらに備え、
前記制御部は、前記複数の把持部が鉛直方向に平行になるように、前記基部の姿勢を維持しつつ、前記対象物の真上の位置から前記対象物を把持可能な位置まで前記基部および前記複数の把持部を下降させるように前記ロボットアームを制御する、
請求項1に記載の把持装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の把持部が前記対象物を把持した後、前記対象物の姿勢が基準姿勢になるように、前記複数の把持部のうちの少なくとも1つの前記長さを制御する、
請求項1に記載の把持装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数の把持部により把持された前記対象物の姿勢から、前記基準姿勢に至るまでの必要回転量を推定し、
前記必要回転量に基づいて、前記対象物を回転させるように、前記複数の把持部のうちの少なくとも1つの前記長さを制御する、
請求項5に記載の把持装置。
【請求項7】
前記複数の把持部は、水平方向に移動可能に構成されることで、前記対象物への把持力を調整可能であり、
前記制御部は、前記対象物の姿勢を変更する際、前記把持力が一定になるように、前記複数の把持部のうちの少なくとも1つの前記水平方向への移動を制御する、
請求項5に記載の把持装置。
【請求項8】
前記把持部の表面は、可動するベルト部材で構成され、
前記制御部は、前記複数の把持部が前記対象物を把持した後、前記対象物の姿勢が基準姿勢になるように、前記ベルト部材の可動を制御する、
請求項1に記載の把持装置。
【請求項9】
基部と、前記基部から延び、前記基部から先端までの長さを変更可能な複数の把持部と、を備える把持装置の把持方法であって、
対象物の姿勢に応じて、前記複数の把持部のうちの少なくとも1つの前記長さを制御するステップと、
前記対象物を把持するように前記複数の把持部を制御するステップと、
を有する、
把持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、把持装置および把持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を把持する複数の把持部を備える把持装置が知られている。例えば、特許文献1には、容器内に配置された対象物を、容器と干渉することなくピッキング可能か否かを事前に判断することが可能な装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、対象物は、様々な姿勢で配置されているので、2つ以上の把持部で対象物を把持する際に、対象物の姿勢によっては、把持することができず、対象物の取り残しが発生するおそれがあった。また、特許文献1に記載の構成は、ピッキング時に容器と干渉すると判断された対象物はピッキングされないので、対象物の取り残しを抑制する構成として改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的は、対象物の取り残しを抑制することが可能な把持装置および把持方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る把持装置は、
基部と、
前記基部から延び、前記基部から先端までの長さを変更可能な複数の把持部と、
対象物を把持するように前記複数の把持部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記対象物の姿勢に応じて、前記複数の把持部のうちの少なくとも1つの前記長さを制御する。
【0007】
本開示に係る把持方法は、
基部と、前記基部から延び、前記基部から先端までの長さを変更可能な複数の把持部と、を備える把持装置の把持方法であって、
対象物の姿勢に応じて、前記複数の把持部のうちの少なくとも1つの前記長さを制御するステップと、
前記対象物を把持するように前記複数の把持部を制御するステップと、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、対象物の取り残しを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示の実施の形態に係るロボット装置が適用されたロボットシステムの概略構成を示す図である。
【
図1B】本開示の実施の形態に係るロボット装置が適用されたロボットシステムの概略構成を示す図である。
【
図4A】従来例において、対象物の取り残しの発生例を示す図である。
【
図4B】本実施の形態におけるロボットハンドによる把持例を示す図である。
【
図5A】対象物の3次元形状データにおける把持候補部分の一例を示す図である。
【
図5B】対象物の3次元形状データを実際の対象物の姿勢に合わせた例を示す図である。
【
図6】把持部の長さの調整について説明するための図である。
【
図7】把持部の長さの調整により、対象物の姿勢を変更することについて説明するための図である。
【
図8】ベルト部の可動により、対象物の姿勢を変更することについて説明するための図である。
【
図9】ロボット装置における把持制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図10A】従来例において、対象物の取り残しの発生例を示す図である。
【
図10B】本実施の形態におけるロボットハンドによる把持例を示す図である。
【
図11A】対象物の姿勢変更の一例について説明するための図である。
【
図11B】対象物の姿勢変更の一例について説明するための図である。
【
図12A】対象物の姿勢変更の一例について説明するための図である。
【
図12B】対象物の姿勢変更の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態)
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1Aおよび
図1Bは、本開示の実施の形態に係るロボット装置1が適用されたロボットシステム2の概略構成を示す図である。なお、
図1A等の説明においては、直交座標系(X,Y)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y)で示している。例えば、X方向が左右方向を示し、Y方向が上下方向を示している。
【0011】
図1Aに示すように、ロボットシステム2は、ロボット装置1を用いて部品箱3内の対象物Oを把持して、部品箱3外の場所に搬送するためのシステムである。ロボットシステム2は、ロボット装置1と、3次元計測装置4と、物体認識装置5と、把持姿勢計測装置6とを有する。
【0012】
ロボット装置1は、例えば産業用ロボット等の、人の手を模したロボット装置であり、所定の場所に配置された対象物Oを把持して、別の場所に搬送する機能を有する。ロボット装置1は、本開示の「把持装置」に対応する。
【0013】
図1Aおよび
図1Bに示すように、ロボット装置1は、ロボットアーム10、制御部20およびロボットハンド100を備える。
【0014】
ロボットアーム10は、例えば、垂直多関節ロボット、スカラロボット等であり、基端がステージ等に固定され、先端が、対象物Oを把持可能なロボットハンド100に接続されている。ロボットアーム10は、上下左右前後等、あらゆる方向にロボットハンド100を移動させることが可能に構成されている。
【0015】
制御部20は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力回路を備えている。制御部20は、ケーブル30を介してロボットアーム10およびロボットハンド100に制御信号を送信して、ロボットアーム10およびロボットハンド100の動作を制御する。
【0016】
ロボットハンド100は、対象物Oを把持するための装置であり、基部110と、リンク部120と、一対の把持部130とを有する。
【0017】
基部110は、ロボットアーム10の先端に支持される部分であり、直動駆動部111を内部に収容している。直動駆動部111は、例えば、モータ、動力伝達機構、直動ガイドレール等から構成される公知の駆動機構であり、リンク部120を介して複数の把持部130をX方向(水平方向)に移動させる。
【0018】
リンク部120は、基部110内の直動駆動部111と一対の把持部130とを接続するリンク機構であり、一対の把持部130のそれぞれに対応して1つずつ設けられている。リンク部120は、直動駆動部111により、各把持部130を近づけたり遠ざけたりする開閉動作を行うことが可能に構成されている。
【0019】
図1Aには、対象物Oを把持するために、リンク部120により、各把持部130を開いている状態が示されている。
図1Bには、リンク部120により、各把持部130を閉じて対象物Oを把持した状態が示されている。
【0020】
一対の把持部130は、X方向で対向しており、対象物Oを挟むことにより、対象物Oを把持する部分である。把持部130の詳細については後述する。
【0021】
3次元計測装置4および物体認識装置5は、ロボット装置1で把持する部品箱3内の対象物Oの位置、姿勢の情報をロボット装置1に伝達するために設けられる。
【0022】
3次元計測装置4は、部品箱3内の各対象物Oの3次元情報を計測可能な装置(例えば、パターン投影方式のステレオ計測装置)であり、部品箱3内の全範囲が計測範囲に入るように、例えば、部品箱3の上方に設置される。
【0023】
物体認識装置5は、例えば、パーソナルコンピュータ等であり、3次元計測装置4が計測した3次元情報を取得して、3次元情報に基づいて、対象物Oの位置、姿勢等を算出することで、対象物Oを認識する。
【0024】
具体的に、物体認識装置5は、取得した3次元情報と、予め登録されている対象物Oの3次元形状データとを照合することで(例えば、ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズム)、部品箱3内の対象物Oの姿勢、位置を算出する。
【0025】
把持姿勢計測装置6は、ロボット装置1で把持した後の対象物Oの姿勢を計測する装置である。把持姿勢計測装置6は、例えば、カメラ6Aと画像計測装置6Bとで構成される。
【0026】
把持姿勢計測装置6のカメラ6Aは、ロボット装置1のロボットハンド100が部品箱3内の対象物Oを把持して、部品箱3から出た際に、ロボットハンド100が把持した対象物Oを撮影可能な位置に配置されている。
【0027】
把持姿勢計測装置6の画像計測装置6Bは、カメラ6Aで撮影した撮影画像から対象物Oを抽出して、ロボットハンド100により把持された対象物Oの姿勢を計測する。具体的には、画像計測装置6Bは、予め登録された、基準姿勢となった状態の対象物Oの画像と、撮影画像から抽出した対象物Oの画像とのパターンマッチング処理を行う。そして、把持姿勢計測装置6は、ロボット装置1により把持された対象物Oの基準姿勢からのズレ量を算出する。
【0028】
ロボット装置1は、把持姿勢計測装置6から、対象物Oの姿勢の情報を取得することにより、把持した対象物Oの姿勢を所望の姿勢にすることが可能である。
【0029】
次に、把持部130の詳細について説明する。
図2は、本実施の形態に係る把持部130を示す図である。
【0030】
図2に示すように、把持部130は、把持対象の対象物Oの姿勢に応じて、長さ(基部110から先端までの長さ)を調整可能に構成されている。また、把持部130は、把持中の対象物Oの姿勢に応じて、把持中の対象物Oの姿勢を調整可能に構成されている。把持部130は、本体部131と、直動部132と、ヘラ部133と、ベルト接続部134と、引っ張り部135と、ガイドローラ136と、ベルト部137と、を有する。
【0031】
なお、各把持部130は、同一の構成を有しており、以下の説明では、特に断りがない場合、X方向の-側に位置する把持部130について説明し、X方向の+側に位置する把持部130については説明を省略する。また、各把持部130は、X方向において対称に配置されているので、X方向の+側に位置する把持部130における、X方向の+側および-側の関係が、X方向の-側に位置する把持部130における、X方向の+側および-側の関係と逆となる。
【0032】
本体部131は、把持部130の本体部分を構成する部品である。本体部131は、例えば、板状に構成されており、本実施の形態では、Y方向に沿って配置されている。本体部131における、X方向の+側には、直動部132が取り付けられている。直動部132のX方向の+側には、ヘラ部133が取り付けられている。
【0033】
直動部132は、ヘラ部133を本体部131に沿った方向に直線運動させるための直動装置(例えば、ラックアンドピニオン機構)であり、制御部20の制御の下、図示しないモータ等により作動してヘラ部133を直線的に移動させる。
【0034】
ヘラ部133は、薄板状に構成された部材であり、直動部132により、本体部131に沿った方向に移動可能である。ヘラ部133は、直動部132よりもX方向の+側に配置されており、直動部132とベルト部137との間に挟まれている。
【0035】
図3に示すように、直動部132により、ヘラ部133が移動することで、把持部130の先端部の位置をY方向で変更して、把持部130の長さを変更することが可能となっている。
【0036】
本実施の形態の場合、一対の把持部130の直動部132は、制御部20の制御の下、互いに独立して動作可能に構成されている。よって、ロボットハンド100は、一方(X方向の-側)の把持部130のヘラ部133の先端の位置と、他方(X方向の+側)の把持部130のヘラ部133の先端の位置とを異ならせることにより、一方の把持部130の把持面137Aの長さと、他方の把持部130の把持面137Aの長さとを異ならせることができる。
【0037】
各把持部130は、制御部20の制御の下、長さを調整することにより、部品箱3内の対象物Oの姿勢に応じた把持、および、把持後の対象物Oの姿勢変更等を行うことが可能である。把持部130の長さの調整に関する、制御部20の制御については後述する。
【0038】
ベルト接続部134は、ベルト部137の一端に接続されたローラー部材であり、本体部131のY方向の+側の端部に設けられている。ベルト接続部134は、制御部20の制御の下、図示しないモータにより回転可能に構成されている。ベルト接続部134が正回転または逆回転することで、ベルト部137がベルト接続部134に巻き取られ、または、ベルト接続部134から送り出されるようになっている。
【0039】
引っ張り部135は、ベルト部137の他端が接続されたローラー部材であり、図示しないゼンマイバネにより、ベルト部137を巻き取る側に引っ張る。引っ張り部135は、本体部131におけるX方向の-側の面から突出する支持部135Aに回転可能に支持されている。
【0040】
ガイドローラ136は、ベルト部137の移動をガイドするローラー部材であり、本体部131におけるX方向の+側の面から突出する支持部136Aに回転可能に支持されている。
【0041】
ベルト部137は、ベルト接続部134に一端が接続され、引っ張り部135に他端が接続された拮抗構造となっており、本体部131、直動部132およびヘラ部133を囲うように配置されている。具体的には、ベルト部137は、ベルト接続部134、ガイドローラ136、ヘラ部133の先端部、引っ張り部135に張架されて配置されている。
【0042】
ベルト部137は、例えば、ベルト接続部134側にモータ、引っ張り部135にゼンマイバネを配設することで、ベルト部137に張力を付与することが可能となる。例えば、モータ制御により、ゼンマイバネの弾性力より大きな力でベルト部137を巻き取る方向にモータを駆動すると、当該方向に張力差が発生し、ベルト接続部134にベルト部137が巻き取られる。また、ゼンマイバネの弾性力より小さな力で上記の巻き取る方向にモータを駆動すると、ベルト接続部134からベルト部137を送り出す方向に張力差が発生し、ベルト接続部134からベルト部137が送り出される。
【0043】
ベルト部137は、把持部130の長さを調整する際に、ベルト接続部134から送り出される量が調整される。
【0044】
また、ベルト部137は、制御部20の制御の下、ベルト接続部134と引っ張り部135との間で可動することで、把持部130で把持中の対象物Oを回転させて、対象物Oの姿勢を変更することが可能である。ベルト部137の可動に関する、制御部20の制御については後述する。
【0045】
次に、制御部20によるロボット装置1の制御について説明する。まず、部品箱3内の対象物Oをロボット装置1により把持する際の制御について説明する。なお、
図4A以下では、把持部130は簡易的に示されている。
【0046】
対象物Oは、把持される前において、様々な姿勢で置かれている場合がある。例えば、
図4Aには、複数の対象物Oが同じ場所に置かれている例が示されている。対象物Oは、四角柱形状の物体である。対象物O1は、平面上に配置された対象物Oの例であり、対象物O2は、対象物O1に立てかけられた姿勢で配置された対象物Oの例である。
【0047】
この場合、ロボット装置1において、平面上に配置された対象物O1と同様の方法で、対象物O2を把持しようとすると、例えば、片方(
図4Aでは、X方向の-側)の把持部130が対象物O2にとどかず、対象物O2を把持することができないおそれがある。
【0048】
本実施の形態では、
図4Bに示すように、制御部20は、対象物Oの姿勢に応じて、複数の把持部130のそれぞれの長さを制御する。把持部130の長さは、基部110から把持部130の先端までの長さである。
【0049】
具体的には、制御部20は、対象物Oの把持位置に応じて、複数の把持部130のぞれぞれの長さを異ならせるように制御する。
【0050】
図4Bでは、X方向の-側の把持部130の長さをX方向の+側の把持部130の長さよりも長くして、対象物O2を把持している例が示されている。
【0051】
このようにすることで、対象物Oの姿勢に関わらず、対象物Oを確実に把持することが可能となる。
【0052】
また、把持部130の長さを制御する場合、対象物Oの位置、姿勢を制御部20が把握する必要がある。本実施の形態では、制御部20は、物体認識装置5から取得した対象物Oの計測情報に基づいて、対象物Oの位置および姿勢を推定する。部品箱3の中に複数の対象物Oがある場合、制御部20は、各対象物Oの計測情報に基づいて、例えば、最も高い位置にある対象物Oの位置および姿勢を推定するようにしても良い。
【0053】
そして、制御部20は、推定した対象物Oの姿勢に基づいて、複数の把持部130のそれぞれによる対象物Oの把持位置をそれぞれ決定する。
【0054】
具体的には、制御部20は、Y方向から観測した際の、対象物Oの外形におけるX方向の最も+側の第1位置および最も-側の第2位置を把持位置として抽出することで把持位置を決定する。第1位置は、X方向の+側の把持部130による把持位置である。第2位置は、X方向の-側の把持部130による把持位置である。
【0055】
把持位置の決定方法としては、例えば、次に示す方法が挙げられる。まず、制御部20は、物体認識装置5のメモリ上で構築された仮想空間内で、対象物Oの3次元形状データを、実際の対象物Oの姿勢、位置に合うように配置して、複数の把持部130の把持位置をそれぞれ決定するようにしても良い。さらに、制御部20は、予め登録された、対象物Oにおける把持候補部分の中から、各把持位置を抽出するようにしても良い。
【0056】
図5Aに示すように、把持候補部分は、例えば、対象物Oが四角形状である場合の、対象物Oの角部分A,B,C,D等、傾いた状態で対象物Oが配置された際に、把持部130が把持することで、対象物Oと把持部130とが接触する部分である。ここで、角部分A,B,C,Dはそれぞれ、対象物Oの右上、右下、左下、左上の角部分である。
【0057】
そして、制御部20は、把持候補部分を有する対象物Oの3次元形状データを、実際の対象物Oの姿勢に合うように配置して、X方向の両端部に対応する把持候補部分を把持位置として決定する。
【0058】
例えば、
図5Bに示すように、右側部分が左側部分よりも上に位置するように、対象物Oが傾いている場合、X方向の両端部に対応する角部分は、右下の角部分に対応するBおよび、左上の角部分に対応するDとなる。そのため、角部分Bおよび角部分Dが、把持位置である第1位置および第2位置として決定される。
【0059】
制御部20は、例えば、第1位置および第2位置の各座標情報等から、Y方向における第1位置と第2位置との間の距離(各把持位置の高低差)およびX方向における第1位置と第2位置との間の距離(2つの把持部130の間の距離)を算出する。
【0060】
制御部20は、Y方向における第1位置と第2位置との間の距離、つまり、各把持位置の高低差に応じて、複数の把持部130のそれぞれの長さを決定する。具体的に、制御部20は、各把持位置の高低差と、各把持部130の長さの差とが等しくなるように、各把持部130の長さをそれぞれ制御する。
【0061】
例えば、
図6に示すように、四角形状の対象物Oが、第1位置が第2位置よりも高くなるように傾いて配置されていた場合について説明する。この場合、例えば、X方向の-側の把持部130の長さを、各把持位置の高低差の分だけ、X方向の+側の把持部130の長さより長くなるように、制御部20は、X方向の-側の把持部130のヘラ部133を、X方向の+側の把持部130のヘラ部133よりも進出させる。
【0062】
そして、制御部20は、ロボットアーム10を制御して、把持対象となる対象物Oの真上の位置から、複数の把持部130がY方向(鉛直方向)に平行になるように、基部110の姿勢を維持しつつ、基部110および複数の把持部130を下降させる。その後、制御部20は、算出したX方向における第1位置と第2位置との間の距離に基づいて、直動駆動部111を制御することで、2つの把持部130のそれぞれをX方向の+側または-側に移動させて、対象物Oを把持させる。
【0063】
また、2つの把持部130のX方向における距離は、一定の把持力により、対象物Oが把持されるような距離に設定されても良い。一定の把持力は、複数の把持部130により対象物Oを把持した際に、対象物Oを落下させず、かつ、対象物Oを押しつぶさない程度の圧力に設定される。なお、複数の把持部130の把持力は、公知の圧力センサ等により、検出可能にしても良い。
【0064】
これにより、対象物Oの姿勢に関わらず、把持部130により、対象物Oを確実に把持することが可能となる。
【0065】
次に、把持部130により、把持した対象物Oの姿勢を調整する制御について説明する。
【0066】
把持部130により対象物Oを把持した後、制御部20は、ロボットハンド100を上昇させて、所定の場所に対象物Oを搬送するようにロボットアーム10を制御するが、対象物Oを傾けたまま、対象物Oを所定の場所で解放すると、所定の場所で、所望の姿勢(基準姿勢)にならない可能性がある。
【0067】
そこで、制御部20は、複数の把持部130が対象物Oを把持した後、対象物Oの姿勢が基準姿勢になるように、複数の把持部130のそれぞれの長さを制御する。
【0068】
基準姿勢は、任意に定められた対象物Oの姿勢であり、例えば平面上に配置された対象物Oの姿勢であっても良いし、ロボット装置1による搬送先である所定の場所で使用される際の対象物Oの姿勢であっても良い。
【0069】
具体的には、制御部20は、対象物Oの姿勢が基準姿勢と一致しない場合、対象物Oの姿勢を把持中の姿勢から変更するように、複数の把持部130のそれぞれの長さを制御する。
【0070】
例えば、制御部20は、2つの把持部130の長さの差と、2つの把持部130の間の幅とに基づいて、2つの把持部130により把持された対象物Oの姿勢が、2つの把持部130の長さの差を0にしたときの姿勢となるまでの、対象物Oの回転量(第1推定回転量)を推定する。第1推定回転量は、以下の式(1)で算出される。
【0071】
第1推定回転量=2・Lf/Wf ・・・(1)
【0072】
第1推定回転量の単位は、ラジアンである。Wfは、2つの把持部130の間の距離であり、2つの把持部130の長さの差を0にするまで対象物Oを回転させた際の対象物Oが描く円弧の直径に相当する。Lfは、2つの把持部130の長さの差であり、このような長さの差がある状態から、2つの把持部130の長さの差が0になる状態まで対象物Oを回転させた際の対象物Oが描く円弧の長さの近似値である。
【0073】
制御部20は、算出した第1推定回転量を上記の把持姿勢計測装置6により算出される必要回転量と比較する。把持姿勢計測装置6による計測は、把持部130により対象物Oを把持した後に行われる。
【0074】
必要回転量は、ロボット装置1により把持された対象物Oを回転させて、基準姿勢に至るまでに必要となる回転角度(ラジアン)であり、例えば、上述の把持姿勢計測装置6により算出される、ロボット装置1により把持された対象物Oの基準姿勢からのズレ量であっても良い。
【0075】
制御部20は、把持部130により、対象物Oを把持した後、ロボットハンド100を上昇させて、把持姿勢計測装置6で対象物Oを計測可能な位置まで移動させる。制御部20は、把持姿勢計測装置6から、把持部130により把持された対象物Oの姿勢情報(必要回転量)を取得する。
【0076】
そして、制御部20は、把持姿勢計測装置6から取得した必要回転量と、第1推定回転量とを比較して、その比較結果に基づいて、複数の把持部130のそれぞれの長さを制御する。
【0077】
具体的には、必要回転量が、第1推定回転量以下である場合、制御部20は、2つの把持部130のうち、長さが短い方の把持部130の長さの調整量を算出する。把持部130の長さの調整量は、例えば、以下の式(2)で算出される。
【0078】
把持部130の長さの調整量=Wf・(必要回転量)/2 ・・・(2)
【0079】
制御部20は、2つの把持部130のうち、長さが短い方の把持部130の長さを、算出した調整量だけ延ばすように、把持部130の長さを制御する。
【0080】
例えば、
図6に示す例の把持部130の長さを制御する場合、
図7に示すように、制御部20は、X方向の+側の把持部130の長さを、
図6に示す例よりも長くするように、制御する。
【0081】
こうすることで、対象物Oが、X方向の+側の把持部130が延びることに伴って回転する。その結果、対象物Oの姿勢が、
図7に破線で示す対象物Oの姿勢から
図7に実線で示す対象物Oの姿勢(つまり、基準姿勢)に変更される。このように、必要回転量が第1推定回転量以下である場合には、把持部130の長さの制御のみで、対象物Oの姿勢を基準姿勢に変更できる。
【0082】
また、必要回転量が第1推定回転量より大きい場合、制御部20は、2つの把持部130のうち、長さが短い方の把持部130の長さを、長さが長い方の把持部130の長さに合わせるように、把持部130の長さを制御する。つまり、制御部20は、長さが短い方の把持部130の長さを、上記のLfだけ延ばすように、把持部130の長さを制御する。
【0083】
そして、制御部20は、把持部130の長さの制御に加えて、ベルト部137を回転させることで、対象物Oの姿勢を変更する。言い換えると、制御部20は、対象物Oの姿勢が基準姿勢になるように、2つの把持部130の長さおよびベルト部137の可動を制御する。
【0084】
具体的には、
図8に示すように、制御部20は、2つの把持部130のそれぞれのベルト部137を互いに逆方向に回転させることで、対象物Oを回転させる。制御部20は、ベルト部137を用いて対象物Oを基準姿勢に至るまでの回転量(第2推定回転量)を推定する。第2推定回転量は、以下の式(3)で算出される。
【0085】
第2推定回転量=2・Lv/Wf ・・・(3)
【0086】
Lvは、対象物Oが基準姿勢に至るまでに対象物Oを回転させるのに必要なベルト部137の回転量(移動量)であり、ベルト部137が回転する前の対象物Oの姿勢から、対象物Oが基準姿勢に至るまで対象物Oを回転させた際の対象物Oが描く円弧の長さの近似値である。Lvは、式(1)、(2)に基づいて、例えば、以下の式(4)で算出される。
【0087】
Lv=Wf・(必要回転量-第1推定回転量)/2 ・・・(4)
【0088】
制御部20は、式(4)のLvの量だけ、各ベルト部137を互いに逆回転させることで、対象物Oの姿勢を変更する。
【0089】
このようにすることで、把持部130の長さを制御するだけで対象物Oの姿勢を基準姿勢に変更しきれない場合、ベルト部137で補助することができ、ひいては確実に、対象物Oを基準姿勢とすることができる。
【0090】
また、対象物Oを把持部130で回転させる際に、対象物Oが円形の物体ではない場合、対象物Oの把持幅が変化する。この場合、制御部20は、2つの把持部130の間の距離を、対象物Oの把持幅に合わせて変化させる。
【0091】
具体的には、制御部20は、対象物Oの姿勢を変更する際、2つの把持部130による把持力が一定になるように、複数の把持部130のそれぞれのX方向の+側または-側(水平方向)への移動を制御する。
【0092】
このようにすることで、対象物Oの姿勢を変更している間に、対象物Oの把持幅が変わっても、把持力を維持することができるので、対象物Oを落下させることなく、対象物Oの姿勢を変更することができる。
【0093】
なお、ここでは把持部130が2つである場合について説明したが、把持部130が3つ以上である場合にも、それらの把持部130のうち対象物Oを回転させる2つの把持部130に対して上記制御を行うことにより、対象物Oを落下させることなく、対象物Oの姿勢を変更することができる。
【0094】
次に、ロボット装置1の動作例について説明する。
図9は、ロボット装置1における把持制御の動作例を示すフローチャートである。
【0095】
図9に示すように、制御部20は、対象物Oの位置、姿勢の情報を物体認識装置5から取得し(ステップS101)、対象物Oの姿勢に基づいて把持部130の長さを制御する(ステップS102)。
【0096】
制御部20は、ロボットハンド100を移動させて、対象物Oの把持可能位置まで下降させる(ステップS103)。そして、制御部20は、対象物Oをロボットハンド100に把持させ、対象物Oを把持したロボットハンド100を上昇させる(ステップS104)。
【0097】
次に、制御部20は、推定回転量を算出しつつ、把持姿勢計測装置6により計測された必要回転量を取得し(ステップS105)、算出した第1推定回転量が必要回転量以上であるか否かについて判定する(ステップS106)。
【0098】
判定の結果、第1推定回転量が必要回転量以上である場合(ステップS106、YES)、制御部20は、把持部130の長さの調整量を算出し(ステップS107)、把持部130の長さを調整することで対象物Oを回転させる(ステップS108)。
【0099】
一方、第1推定回転量が必要回転量より小さい場合(ステップS106、NO)、制御部20は、ベルト部137の移動量を算出し(ステップS109)、把持部130の長さを調整しつつ、ベルト部137を可動させる(ステップS110)。
【0100】
ステップS108またはステップS110の後、制御部20は、所定の場所で対象物Oを解放し(ステップS111)、本制御は終了する。
【0101】
以上のように構成された本実施の形態によれば、制御部20が、対象物Oの姿勢に応じて、複数の把持部130のそれぞれの長さを制御する。これにより、対象物Oが、所望の姿勢で配置されていなくても、把持部130の長さを、対象物Oの姿勢に合わせた長さとすることができる。その結果、ロボットハンド100による対象物Oの取り残しを抑制することができる。
【0102】
また、制御部20が、物体認識装置5から取得した対象物Oの計測情報に基づいて、対象物Oの姿勢を推定するので、把持対象となる対象物Oの姿勢をロボット装置1で容易に把握することができる。
【0103】
また、制御部20が、対象物Oの計測情報に基づいて、複数の把持部130による対象物Oの把持位置をそれぞれ推定し、その高低差に基づいて、各把持部130の長さを決定するので、把持部130の長さを決定しやすくすることができる。
【0104】
ところで、例えば、
図10Aに示すように、傾いて配置された対象物Oを、把持部130の長さを調整せずに把持しようとする場合、対象物Oの傾斜に合わせて、ロボットハンド100を傾ける必要がある。そうすると、対象物Oの配置面とロボットハンド100とのX方向における重複範囲が広がるので、対象物Oが部品箱3の壁付近の位置にある場合、ロボットハンド100が部品箱3と干渉し、ひいては対象物Oの取り残しが発生するおそれがある。
【0105】
それに対して、本実施の形態では、制御部20が、複数の把持部の把持面がY方向に平行になるように、基部110の姿勢を維持しつつ、対象物Oの真上の位置から対象物Oを把持可能位置までロボットハンド100を下降させる。
【0106】
そのため、
図10Bに示すように、対象物Oの配置面と、ロボットハンド100とのX方向における重複範囲が常に一定となる。その結果、ロボットハンド100が部品箱3と干渉することを抑制し、ひいては対象物Oの取り残しを抑制することができる。
【0107】
また、制御部20が、複数の把持部130が対象物Oを把持した後、対象物Oの姿勢が基準姿勢になるように、複数の把持部130のそれぞれの長さを制御する。具体的には、制御部20が、必要回転量に基づいて、対象物Oを回転させるように、複数の把持部130のそれぞれの長さを制御する。
【0108】
例えば、円柱状の物体の端部に半円状の切欠き(ハッチ部分)がある対象物Oにおいて、切欠き部分の直線部分をX方向に平行にして、解放する必要がある状況があったとする。しかし、対象物Oは円柱状であるため、部品箱3内で所望の姿勢で配置されていない可能性がある。
【0109】
そのため、本実施の形態では、
図11Aに示すように、把持部130の長さを制御して、所望の姿勢ではない状態で対象物Oを把持し、
図11Bに示すように、対象物Oを回転させることで、対象物Oを所望の姿勢(基準姿勢)にすることができる。
【0110】
これにより、把持した対象物Oの姿勢を基準姿勢にした上で、ロボットハンド100から解放することができる。
【0111】
また、対象物Oを回転させると、対象物Oの把持幅が変わることがあるので、制御部20は、対象物Oの姿勢を変更する際、把持力が一定になるように、複数の把持部130のそれぞれのX方向の+側または-側(水平方向)への移動を制御する。
【0112】
例えば、
図12Aに示すように、長方形状の四角柱等、回転させることで把持幅が変動する対象物Oである場合、X方向の+側または-側に移動できない(つまり、対象物Oの把持幅を変えられない)把持部130では、対象物Oを回転させられない可能性がある。
【0113】
本実施の形態では、
図12Bに示すように、対象物Oの姿勢を変更する際、2つの把持部130のそれぞれのX方向の+側または-側への移動を制御するので、対象物Oを回転させることができる。
図12Bには、2つの把持部130を
図12Aに示す位置(破線参照)よりも、把持幅が広がるように、各把持部130が移動した例が示されている。
【0114】
また、この場合、把持力を一定としながら、複数の把持部130のそれぞれのX方向への移動を制御するので、把持力を変えることなく、対象物Oを安定して把持することができる。
【0115】
また、必要回転量が第1推定回転量よりも大きい場合、把持部130の長さを調整するだけでは、対象物Oを基準姿勢にすることが困難であるので、本実施の形態では、制御部20がベルト部137を可動させることで、対象物Oを基準姿勢になるように変更する。
【0116】
これにより、対象物Oを確実に基準姿勢にすることができる。
【0117】
なお、上記実施の形態では、ヘラ部133が直動部132の範囲内で移動することで、把持部130の長さが変更されていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、一定の長さを有する把持部が、基部の内部から進退することにより、把持部の基部から先端までの長さを変更可能な構成であっても良い。
【0118】
また、上記実施の形態では、ベルト部が、ベルト接続部134と引っ張り部135とに張架された構成であったが、本開示はこれに限定されず、無端状のベルト部を有する構成であっても良い。
【0119】
また、上記実施の形態では、複数の把持部のうち、短い方の把持部の長さを、把持時点の長さより長くするようにして、把持部の長さを調整していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、必要に応じて、複数の把持部のうち、長い方の把持部の長さを、把持時点の長さより短くするようにして、把持部の長さを調整しても良いし、短い方の把持部の長さと、長い方の把持部の長さとの両方を調整しても良い。
【0120】
また、上記実施の形態では、必要回転量が第1推定回転量より大きい場合、把持部の長さを調整しつつ、ベルト部を可動させて対象物の姿勢を変更していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、把持部の長さを変更せずに、ベルト部の可動のみで対象物の姿勢を変更しても良い。
【0121】
また、上記実施の形態では、把持部により把持された対象物の姿勢を変更可能な構成であったが、本開示はこれに限定されず、把持部により把持された対象物の姿勢を変更不能な構成であっても良い。
【0122】
また、上記実施の形態では、把持部の先端部分で対象物を把持していたが、対象物を把持可能である限り、把持面における把持の位置は先端部分に限定されない。この場合、例えば、把持後に対象物の姿勢を変更して、対象物の把持箇所がずれることを考慮して、把持部の把持面におけるY方向の中央付近の位置で対象物を把持するようにしても良い。
【0123】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本開示の把持装置は、対象物の取り残しを抑制することが可能な把持装置および把持方法として有用である。
【符号の説明】
【0125】
1 ロボット装置
3 部品箱
4 3次元計測装置
5 物体認識装置
6 把持姿勢計測装置
10 ロボットアーム
20 制御部
30 ケーブル
100 ロボットハンド
110 基部
120 リンク部
130 把持部
131 本体部
132 直動部
133 ヘラ部
134 ベルト接続部
135 引っ張り部
136 ガイドローラ
137 ベルト部