(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080841
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】面間距離導出システム及び面間距離判定システム
(51)【国際特許分類】
B62D 65/08 20060101AFI20240610BHJP
B62D 65/06 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B62D65/08
B62D65/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194128
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】村上 国夫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 章
(72)【発明者】
【氏名】小林 文紀
【テーマコード(参考)】
3D114
【Fターム(参考)】
3D114AA01
3D114BA13
3D114BA21
(57)【要約】
【課題】ウェザーストリップが取り付けられる面と、ウェザーストリップが当接される面との間の最短距離を自動で且つ精度良く導出することができる。
【解決手段】システムは、基準点Pを通るとともに断面基準線Lsに直交する断面Cの図面を作成する。断面C上におけるウェザーストリップ60の重心Gを取得し、基準点Pと重心Gとの位置関係に基づいて断面C上における取付面F1を所定の幅を有する線分として設定する。取付面F1に直交する測定方向線Lmを設定する。取付面F1の両端から測定方向線Lmを重心G側に向けてそれぞれ伸ばすとともに、測定方向線Lmの各々が干渉する部品の線を当接面F2として設定する。測定方向線Lmに沿う方向における取付面F1と当接面F2との間の距離のうち取付面F1の両端間における最小値を最短距離dminとして導出する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するボディと、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開口部の内周縁及び前記開閉体の外周縁のいずれか一方に取り付けられる取付部及び他方に当接可能な当接部を有し、前記内周縁と外周縁との間をシールするウェザーストリップと、を備える移動体の設計において前記取付部が取り付けられる面と前記当接部が当接される面との間の最短距離を導出する装置であって、
前記ボディ及び前記開閉体のうち前記取付部が取り付けられるものを取付対象とし、前記当接部が当接されるものを当接対象とし、前記取付対象に前記ウェザーストリップが取り付けられ、且つ前記開閉体が前記開口部を閉塞している状態における前記取付部上の位置を通るとともに前記ウェザーストリップの延在方向に沿って延在する線を断面基準線とするとき、
入力操作に基づき設定される前記断面基準線及び前記断面基準線上の基準点と、前記ウェザーストリップの3次元データと、に基づき、前記基準点を通るとともに前記断面基準線に直交する断面の図面を作成し、前記断面上における前記ウェザーストリップの重心を取得し、前記基準点と前記重心との位置関係に基づいて前記断面上における前記取付部が取り付けられる取付面を所定の幅を有する線分として設定する取付面設定部と、
前記断面上に位置するとともに前記取付面に直交する測定方向線を設定する測定方向線設定部と、
前記断面上における前記取付面の両端から前記測定方向線を前記重心側に向けてそれぞれ伸ばすとともに、前記測定方向線の各々が干渉する部品の線を前記当接対象の当接面として設定する当接面設定部と、
前記測定方向線に沿う方向における前記取付面と前記当接面との間の距離のうち前記取付面の両端間における最小値を前記最短距離として導出する最短距離導出部と、を備える、
面間距離導出システム。
【請求項2】
1つの前記基準点の位置と、前記断面基準線上において隣り合う前記基準点同士の間隔と、を入力する入力操作に基づき、複数の前記基準点が前記断面基準線上において等間隔にて設定される、
請求項1に記載の面間距離導出システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の面間距離導出システムと、
前記最短距離導出部により導出された前記最短距離が基準範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を表示する表示部と、を備える、
面間距離判定システム。
【請求項4】
前記表示部は、前記判定結果と併せて、前記最短距離と、前記基準範囲と、前記基準点の位置に関する情報と、前記断面の図面と、を表示する、
請求項3に記載の面間距離判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェザーストリップが取り付けられる面とウェザーストリップが当接される面との間の最短距離を導出する面間距離導出システム及び同最短距離が基準範囲内であるか否かを判定する面間距離判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両は、ボディの側面を構成するとともに乗降口を有するサイドパネルと、乗降口を開閉するスライドドアとを備えている。また、スライドドアの外周縁には、ウェザーストリップが取り付けられている。ウェザーストリップは、スライドドアの外周縁に取り付けられる取付部と、乗降口の内周縁に当接可能な当接部とを有している。ウェザーストリップは、スライドドアが乗降口を閉塞している状態においてスライドドアの外周縁と乗降口の内周縁との間をシールする(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来、こうした車両の設計においては、作業者は、スライドドアの外周縁のうちウェザーストリップの取付部が取り付けられる面と、乗降口の内周縁のうち当接部が当接される面との間の最短距離を導出し、最短距離が基準範囲内であるか否かを判定する。詳しくは、作業者は、ウェザーストリップの延在方向に延在する断面基準線を手動で作成する。続いて、作業者は、断面基準線上の複数の基準点を手動で設定する。続いて、作業者は、基準点を通るとともに断面基準線に直交する断面の図面を作成する。続いて、作業者は、上記図面上において上記最短距離となると考えられる位置を自らの経験に基づき選択するとともに、選択した位置でのウェザーストリップの取付部が取り付けられる面と、当接部が当接される面との間の距離を最短距離として導出する。そして、作業者は、導出された最短距離が基準範囲外であった場合には、サイドパネルあるいはスライドドアの設計の修正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の方法では、上記最短距離を導出するための各工程及び導出された最短距離が基準範囲内であるか否かの判定が作業者による手動で行われているため、多大な手間及び時間を要する。また、上記最短距離となると考えられる位置が作業者によって選択されるため、導出された最短距離が作業者によってばらつくおそれがある。その結果、上記判定結果の精度も作業者によってばらつくおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための面間距離導出システムの各態様及び面間距離判定システムの各態様を記載する。
[態様1]
開口部を有するボディと、前記開口部を開閉する開閉体と、前記開口部の内周縁及び前記開閉体の外周縁のいずれか一方に取り付けられる取付部及び他方に当接可能な当接部を有し、前記内周縁と外周縁との間をシールするウェザーストリップと、を備える移動体の設計において前記取付部が取り付けられる面と前記当接部が当接される面との間の最短距離を導出する装置であって、
前記ボディ及び前記開閉体のうち前記取付部が取り付けられるものを取付対象とし、前記当接部が当接されるものを当接対象とし、前記取付対象に前記ウェザーストリップが取り付けられ、且つ前記開閉体が前記開口部を閉塞している状態における前記取付部上の位置を通るとともに前記ウェザーストリップの延在方向に沿って延在する線を断面基準線とするとき、
入力操作に基づき設定される前記断面基準線及び前記断面基準線上の基準点と、前記ウェザーストリップの3次元データと、に基づき、前記基準点を通るとともに前記断面基準線に直交する断面の図面を作成し、前記断面上における前記ウェザーストリップの重心を取得し、前記基準点と前記重心との位置関係に基づいて前記断面上における前記取付部が取り付けられる取付面を所定の幅を有する線分として設定する取付面設定部と、
前記断面上に位置するとともに前記取付面に直交する測定方向線を設定する測定方向線設定部と、
前記断面上における前記取付面の両端から前記測定方向線を前記重心側に向けてそれぞれ伸ばすとともに、前記測定方向線の各々が干渉する部品の線を前記当接対象の当接面として設定する当接面設定部と、
前記測定方向線に沿う方向における前記取付面と前記当接面との間の距離のうち前記取付面の両端間における最小値を前記最短距離として導出する最短距離導出部と、を備える、
面間距離導出システム。
【0007】
同態様によれば、作業者の入力操作により、断面基準線が設定されるとともに断面基準線上の基準点が設定されると、取付面設定部により、基準点を通るとともに断面基準線に直交する断面の図面が作成される。そして、上記断面上におけるウェザーストリップの重心が取得され、基準点と重心との位置関係に基づいて上記断面上における取付面が所定の幅を有する線分として設定される。また、測定方向線設定部により、上記断面上に位置するとともに上記取付面に直交する測定方向線が設定される。また、当接面設定部により、上記断面上における上記取付面の両端から重心側に向けてそれぞれ延ばされた測定方向線の各々が干渉する部品の線が当接対象の当接面として設定される。そして、最短距離導出部により、測定方向線に沿う方向における取付面と当接面との間の距離のうち取付面の両端間の最短距離が導出される。したがって、ウェザーストリップが取り付けられる面と、ウェザーストリップが当接される面との間の最短距離を自動で且つ精度良く導出することができる。
【0008】
[態様2]
1つの前記基準点の位置と、前記断面基準線上において隣り合う前記基準点同士の間隔と、を入力する入力操作に基づき、複数の前記基準点が前記断面基準線上において等間隔にて設定される、
態様1に記載の面間距離導出システム。
【0009】
同態様によれば、作業者は、作業者は、1つの基準点の位置と、断面基準線上において隣り合う基準点同士の間隔とを入力することで、複数の基準点を断面基準線上において等間隔にて設定することができる。したがって、複数の基準点を手動で1つ1つ設定する手間を省略できる。
【0010】
[態様3]
態様1または態様2に記載の面間距離導出システムと、
前記最短距離導出部により導出された前記最短距離が基準範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を表示する表示部と、を備える、
面間距離判定システム。
【0011】
同構成によれば、作業者は、導出された最短距離が基準範囲内であるか否かの判定結果を、表示部を介して視覚的に把握することができる。したがって、ウェザーストリップが取り付けられる面と、ウェザーストリップが当接される面との間の最短距離が基準範囲内であるか否かを容易に把握することができる。
【0012】
[態様4]
前記表示部は、前記判定結果と併せて、前記最短距離と、前記基準範囲と、前記基準点の位置に関する情報と、前記断面の図面と、を表示する、
態様3に記載の面間距離判定システム。
【0013】
同構成によれば、作業者は、判定結果と併せて、最短距離と、基準範囲と、基準点の位置情報と、断面の図面とを視覚的に把握することができる。したがって、作業者は、表示部に表示される各種の情報に基づいて、ボディ及び開閉体の設計の修正を行う際の具体的な示唆を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る面間距離導出システムによれば、ウェザーストリップが取り付けられる面と、ウェザーストリップが当接される面との間の最短距離を自動で且つ精度良く導出することができる。また、本発明に係る面間距離判定システムによれば、ウェザーストリップが取り付けられる面と、ウェザーストリップが当接される面との間の最短距離が基準範囲内であるか否かを容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、面間距離導出システム及び面間距離判定システムの一実施形態について、システム全体のブロック図である。
【
図2】
図2は、面間距離導出処理の実行手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、面間距離判定処理の実行手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、サイドパネル、ウェザーストリップ、及びスライドドアの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、ウェザーストリップが取り付けられたスライドドアによりサイドパネルの開口部が閉塞されている状態の斜視図である。
【
図6】
図6は、ウェザーストリップの斜視断面図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(e)は、面間距離導出システムによる処理手順を説明するためのウェザーストリップを中心とした断面図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(c)は、表示部に表示される各基準点における判定結果等の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図8を参照して、面間距離導出システム及び面間距離判定システムを具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、面間距離導出システム及び面間距離判定システムは、移動体の設計において用いられるものである。
【0017】
<移動体>
図4及び
図5に示すように、本実施形態の移動体は、ボディ40と、開閉体50と、ウェザーストリップ60とを備える自動車である。詳しくは、移動体は、スライドドアを備える自動車である。
【0018】
ボディ40は、自動車のサイドパネルであり、乗降口として機能する開口部41を有している。
開閉体50は、スライドドアであり、自動車の前後方向にスライド移動することで開口部41を開閉する。
【0019】
図4及び
図6に示すように、ウェザーストリップ60は、開閉体50の外周縁51に取り付けられる取付部61及び開口部41の内周縁42に当接可能な当接部62を有している。ウェザーストリップ60は、開閉体50が開口部41を閉塞している状態において内周縁42と外周縁51との間をシールする。
【0020】
本実施形態の取付部61及び当接部62が、それぞれ[課題を解決するための手段]欄における取付対象及び当接対象に相当する。
面間距離導出システムは、ウェザーストリップ60が取り付けられる面とウェザーストリップ60が当接される面との間の最短距離dminを導出するものである。また、面間距離判定システムは、導出された最短距離dminが基準範囲内であるか否かを判定するものである。
【0021】
面間距離導出システム及び面間距離判定システムは、端末装置10と、入力部18と、表示部19とを備えている。
<端末装置10>
図1に示すように、端末装置10は、種々の制御プログラムを記憶する記憶部11を備えている。また、端末装置10は、上記制御プログラムに従って各種の演算を行う取付面設定部12、測定方向線設定部13、当接面設定部14、最短距離導出部15、及び判定部16などを備えている。
【0022】
端末装置10には、図示しないサーバに対して通信可能に接続されている。サーバには、移動体に関する各種のデータが保存されている。端末装置10には、上記各種のデータがサーバから入力される。各種のデータとしては、ボディ40、開閉体50、及びウェザーストリップ60の各々の3次元データなどである。
【0023】
端末装置10には、入力部18及び表示部19が電気的に接続されている。入力部18は、マウスやキーボードなどである。表示部19は、液晶ディスプレイなどである。
次に、
図2を参照して、面間距離導出処理の実行手順について説明する。なお、以下の処理は、端末装置10によって実行される。
【0024】
図2に示すように、この一連の処理では、まず、ステップ1(S1)において、端末装置10に各種のデータが読み込まれる。
次に、ステップ2(S2)において、入力部18による入力操作に基づき設定される断面基準線Ls及び基準点Pが読み込まれる。
【0025】
ここで、
図5及び
図6に示すように、断面基準線Lsは、取付部61上の位置を通るとともにウェザーストリップ60の延在方向に沿って延在する線である。詳しくは、開閉体50にウェザーストリップ60が取り付けられ、且つ開閉体50が開口部41を閉塞している状態における線である。本実施形態では、断面基準線Lsは、取付部61の幅方向における中心を通るように、作業者により手動で設定されている。
【0026】
基準点Pは、断面基準線Ls上の点である。基準点Pは、断面基準線Ls上において互いに間隔をあけて複数設定される。本実施形態では、1つの基準点Pの位置と、断面基準線Ls上において隣り合う基準点P同士の間隔ΔL(例えば10mm)とを入力する入力操作に基づき、複数の基準点Pが断面基準線Ls上において等間隔にて設定される。
【0027】
次に、ステップ3(S3)において、取付面設定部12により、断面基準線Lsと、基準点Pと、ウェザーストリップ60の3次元データとに基づき、基準点Pを通るとともに断面基準線Lsに直交する断面Cの図面が作成される(
図7(a)参照)。また、断面C上におけるウェザーストリップ60の重心Gが取得される。そして、基準点Pと重心Gとの位置関係に基づいて上記断面C上における取付部61が取り付けられる取付面F1が設定される。
【0028】
詳しくは、
図7(b)に示すように、断面C上において基準点Pの付近に位置する開閉体50の2本の線50a,50b(開閉体50の外面及び内面をそれぞれ示す線)のうち重心G側に位置する線50a上に取付面F1が所定の長さを有する線分として設定される。そして、取付面F1を示す線分が断面C上に作成される。ここで、取付面F1の幅は、基準点Pが中心に位置するように設定される。なお、取付面F1の幅は、ウェザーストリップ60の品番毎に予め設定されている。
【0029】
次に、ステップ4(S4)において、測定方向線設定部13により、断面C上に位置するとともに取付面F1に直交する測定方向線Lmが設定される(
図7(c)の一点鎖線参照)。
【0030】
次に、ステップ5(S5)において、当接面設定部14により、断面C上における取付面F1の両端から測定方向線Lm(
図7(d)の二点鎖線参照)を重心G側に向けてそれぞれ伸ばされる。そして、測定方向線Lmの各々が干渉する部品の線(この場合、サイドパネルの外面を示す線40a)がボディ40の当接面F2として設定される。
【0031】
次に、ステップ6(S6)において、最短距離導出部15により、測定方向線Lmに沿う方向における取付面F1と当接面F2との間の距離のうち取付面F1の両端間における最小値が最短距離dminとして導出される(
図7(e)参照)。
【0032】
複数の基準点Pの全てについて、S3からS6までの各処理が行われると、この一連の処理が終了される。
次に、
図3を参照して、面間距離判定処理の実行手順について説明する。なお、以下の処理は、端末装置10によって実行される。
【0033】
図3に示すように、この一連の処理では、まず、面間距離導出処理において設定された各種のデータ、最短距離dmin、及び基準範囲が読み込まれる(ステップ11(S11))。
【0034】
次に、判定部16により、最短距離dminが基準範囲内であるか否かが判定される(ステップ12(S12))。
ここで、最短距離dminが基準範囲内である場合(S12:YES)には、ステップ13(S13)において、判定結果「○」、最短距離dmin、基準範囲、基準点Pの位置に関する情報、断面Cの図面が表示部19に表示される。
【0035】
一方、最短距離dminが基準範囲内ではない場合(S12:NO)には、ステップ14(S14)において、判定結果「×」、最短距離dmin、基準範囲、基準点Pの位置に関する情報、断面Cの図面が表示部19に表示される。
【0036】
複数の基準点Pの全てについて、S12及びS13(S14)の各処理が行われると、この一連の処理が終了される。
ここで、
図8に、表示部19に表示される各基準点Pにおける判定結果等の一例を示す。
【0037】
図8(a)に示す例では、基準点Pの位置が「FR-1_4」である断面Cの図面が表示される。この場合、最短距離dminが「13.5」であり、基準範囲を規定する閾値が「13.5±0.1」であり、判定結果が「○」と表示される。
【0038】
図8(b)に示す例では、基準点Pの位置が「FR-2_7」である断面Cの図面が表示される。この場合、最短距離dminが「13.4」であり、基準範囲を規定する閾値が「13.5±0.1」であり、判定結果が「○」と表示される。
【0039】
図8(c)に示す例では、基準点Pの位置が「LWR_4」である断面Cの図面が表示される。この場合、最短距離dminが「14.4」であり、基準範囲を規定する閾値が「13.5±0.1」であり、判定結果が「×」と表示される。
【0040】
なお、判定結果が「○」の場合には、判定結果「○」、最短距離dmin、基準点Pの位置に関する情報が黒色にて表示される。また、判定結果が「×」の場合には、判定結果「×」、最短距離dmin、基準点Pの位置に関する情報が赤色にて表示される。
【0041】
次に、本実施形態の作用について説明する。
作業者の入力操作により、断面基準線Lsが設定されるとともに断面基準線Ls上の基準点Pが設定されると、取付面設定部12により、基準点Pを通るとともに断面基準線Lsに直交する断面Cの図面が作成される。そして、上記断面C上におけるウェザーストリップ60の重心Gが取得され、基準点Pと重心Gとの位置関係に基づいて上記断面C上における取付面F1が所定の幅を有する線分として設定される。また、測定方向線設定部13により、上記断面C上に位置するとともに上記取付面F1に直交する測定方向線Lmが設定される。また、当接面設定部14により、上記断面C上における上記取付面F1の両端から重心G側に向けてそれぞれ延ばされた測定方向線Lmの各々が干渉する部品の線40aがボディ40の当接面F2として設定される。そして、最短距離導出部15により、測定方向線Lmに沿う方向における取付面F1と当接面F2との間の距離のうち取付面F1の両端間における最小値が最短距離dminとして導出される。
【0042】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)上述した作用を奏することにより、ウェザーストリップ60が取り付けられる面と、ウェザーストリップ60が当接される面との間の最短距離dminを自動で且つ精度良く導出することができる。
【0043】
(2)作業者は、1つの基準点Pの位置と、断面基準線Ls上において隣り合う基準点P同士の間隔ΔLとを入力することで、複数の基準点Pを断面基準線Ls上において等間隔にて自動で設定することができる。したがって、複数の基準点Pを手動で1つ1つ設定する手間を省略できる。
【0044】
(3)作業者は、導出された最短距離dminが基準範囲内であるか否かの判定結果を、表示部19を介して視覚的に把握することができる。したがって、ウェザーストリップ60が取り付けられる面と、ウェザーストリップ60が当接される面との間の最短距離dminが基準範囲内であるか否かを容易に把握することができる。
【0045】
(4)作業者は、判定結果と併せて、最短距離dminと、基準範囲と、基準点Pの位置情報と、断面Cの図面とを視覚的に把握することができる。したがって、作業者は、表示部19に表示される各種の情報に基づいて、ボディ40及び開閉体50の設計の修正を行う際の具体的な示唆を得ることができる。
【0046】
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
・上記実施形態の表示部19は、複数の基準点Pの各々について、判定結果と併せて、最短距離dminと、基準範囲と、基準点Pの位置に関する情報と、断面Cの図面とを表示するようにした。これに代えて、表示部19は、1つの基準点Pについての判定結果のみを表示するものであってもよい。
【0048】
・複数の基準点Pの各々の位置を入力部18による入力操作により作業者が手動で設定できるようにしてもよい。
・上記実施形態では、ウェザーストリップ60が開閉体50の外周縁51に取り付けられる構成について例示したが、ウェザーストリップ60がボディ40の開口部41の内周縁42に取り付けられる構成とすることもできる。
【0049】
・ボディ40及び開閉体50は、サイドパネル及びスライドドアに限定されず、他に例えばルーフパネル及びルーフパネルの開口部を開閉する開閉体であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…端末装置
11…記憶部
12…取付面設定部
13…測定方向線設定部
14…当接面設定部
15…最短距離導出部
16…判定部
18…入力部
19…表示部
40…ボディ
41…開口部
42…内周縁
50…開閉体
51…外周縁
60…ウェザーストリップ
61…取付部
62…当接部
F1…取付面
F2…当接面