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特開2024-80843排除品収容ボックスおよび物品検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080843
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】排除品収容ボックスおよび物品検査システム
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B07C5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194130
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 治
(72)【発明者】
【氏名】脇 真也
(72)【発明者】
【氏名】川俣 純希
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079CA41
3F079CC06
3F079DA11
3F079EA01
3F079EA11
3F079EA16
(57)【要約】
【課題】物品検査ラインからの排除物品の収容数量を的確に情報出力可能にモニタする排除品収容ボックスを提供し、併せて、同ボックスを備えた物品検査システムを提供する。
【解決手段】特定の検査結果となり搬送路外に排除される物品Wが内方に投入される箱状体43A、43Bを有する排除品収容ボックス41または42であって、箱状体43A、43Bの内方に収容された物品Wの重量値を測定する手段にして、定周期で測定する第1の測定値、および排除から所定時間経過時に測定する第2の測定値のうち、少なくとも第1の測定値を測定する重量測定手段45A、45Bと、第1の測定値および第2の測定値を基に、特定の検査結果となった物品Wが排除から所定時間内に箱状体43A、43B内に投入されたか否かを判定する投入判定手段46aと、その判定結果に応じて箱状体43A、43B内の物品Wの収容状態を報知出力する報知出力手段46cを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の箱状体(43A、43B)を有し、物品検査結果が特定の検査結果となった搬送路(4)上の物品(W)が前記搬送路外に排除されるとき、該排除対象の物品が前記箱状体の内方に投入される排除品収容ボックス(41、42)であって、
前記箱状体の内方に収容された物品の重量値を測定する重量測定手段(45A、45B)にして、予め設定された定周期で測定する第1の測定値、および前記特定の検査結果となった物品の前記搬送路外への排除から所定時間経過時に測定する第2の測定値のうち、少なくとも前記第1の測定値を測定する当該重量測定手段(45A、45B)と、
前記第1の測定値および前記第2の測定値のうち少なくとも前記第1の測定値を基に、前記特定の検査結果となった物品が前記排除から所定時間内に前記搬送路上から前記箱状体内に投入されたか否かを判定する投入判定手段(46a)と、
前記投入判定手段の判定結果に応じて前記箱状体内の物品の収容状態を報知出力する報知出力手段(46c)と、を備えたことを特徴とする排除品収容ボックス。
【請求項2】
前記第1の測定値および前記第2の測定値のうち少なくとも前記第1の測定値に基づいて、前記箱状体内の物品の個数を算出する個数算出手段(46b)をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の排除品収容ボックス。
【請求項3】
前記報知出力手段は、報知出力可能な外部機器または外部システム(50)に対して、前記特定の検査結果となった物品が前記所定時間内に前記箱状体内に投入されなかった異常の発生を示す報知情報、前記特定の検査結果とならなかった物品が前記箱状体内に投入されてしまった異常の発生を示す報知情報、または/および、前記投入された物品の個数に対応する報知情報を、出力することを特徴とする請求項1に記載の排除品収容ボックス。
【請求項4】
前記特定の検査結果が、予め設定された検査項目について不良と判定された検査結果であり、前記特定の検査結果となった物品が、不良の排除対象品として前記搬送路外に排除され、投入されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の排除品収容ボックス。
【請求項5】
搬送路上の物品を所定の検査項目について検査する物品検査機(10)と、該物品検査機の検査結果が特定の検査結果となったとき、検査済みの物品を排除対象品として前記搬送路外に排除する排除装置(20)と、該排除装置によって前記搬送路外に排除された物品を収容する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の排除品収容ボックス(41、42)と、を備える物品検査システム。
【請求項6】
前記排除品収容ボックスの前記重量測定手段は、前記物品が前記排除装置により前記搬送路外に排除されてから所定時間が経過するとともに、前記定周期での第1の測定値の測定タイミングに達する時までに、前記第2の測定値を測定することを特徴とする請求項5に記載の物品検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排除品収容ボックスおよび物品検査システムに関し、特に物品検査結果が特定の検査結果となった検査済み物品が物品搬送路上から排除されるときにその排除対象の物品が投入される排除品収容ボックスおよび同ボックスが装備された物品検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品や薬品等の物品を所定方向に搬送しつつ物品検査機で順次検査し、特定の検査結果、例えば不良判定となったNG品を選別機によって選別し、他の物品、例えば良品判定されたOK品の搬送経路から外れる系外に排除するようにした物品検査システムが、従前より多用されている。
【0003】
このような物品検査システムでは、排除対象の物品(NG品)が他の物品(OK品)の搬送経路側に流入するのを防止するために、選別機による確実な排除動作が求められる。
【0004】
そこで、従来、選別機によって搬送路上から排除されるNG品を、搬送路外の排除品収容ボックスの内方に投入するようにしているものがある。
【0005】
この種の排除品収容ボックスおよび物品検査システムとしては、例えば複数の検査項目の検査結果について排除物品の振り分けのための優先順位を予め設定しておき、その優先順位と複数の検査項目の検査結果に応じて決定したNG品の振分方向にNG品を排除し、その下流側に配置された振分方向ごとのNGボックスに収容させる一方で、複数の検査項目の良否判定回数の表示と、決定された振分方向ごとの排除回数の回数積算値の表示とを実行するものが知られている。
【0006】
この物品検査システムでは、NG品が決定された振分方向に振り分けられるタイミングに基づいて前述の回数積算値を更新するので、検査結果に応じて振分け排除された物品の数量を表示部の表示内容から把握できるという利点がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5877628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような従来の物品検査システムにあっても、物品検査機がNG判定(所定の判定結果)となったときに実際に排除する物品の個数をカウントしてはいなかったため、物品検査機でNG判定となった物品の数量表示(NG個数表示)と、NG判定の検査結果に起因して排除品収容ボックス(NGボックス)に投入された排除品の数量(個数)とが一致しなくなることがあった。
【0009】
具体的には、例えば物品検査中にその検査区間中の物品に前後するいずれかの物品が早期に搬入されたり検査区間からの搬出に遅れが生じたりする搬送の異常により、搬送物品を計量する物品検査機の秤量台上にいわゆる2個乗りが発生すると、物品検査機の表示画面上の検査項目ごとのNG個数よりNGボックス内に投入された物品の個数が多くなって、排除品の表示個数と収容個数が一致しなくなることがあった。
【0010】
その場合、管理者は、NGボックス内の物品の個数の確からしさ(確実に排除されたか)を確認するために、現場作業者への聞き取りを行ってNG品の発生状況とNGボックス内の排除品の収容状況を確認したり、あるいは、カメラで撮像されたNG品の動画からNG品の排除時の状況を確認したりすることが必要になり、NG発生時の状況確認作業に時間と労力を費やすことになっていた。
【0011】
また、例えば設定調整ミスや故障による選別機の動作不良が生じたり、現場作業者が何らかの理由で収容ボックスから抜き取った排除品を誤って良品通過側に戻してしまうような作業ミスが生じたりすると、前述のNG個数とNGボックス内の個数の不一致のために、NG品の確実な系外排除を保証できなくなることが懸念される。
【0012】
さらに、検査結果に応じて排除対象品となったNG品を投受光器等のセンサやカメラを用いて検知し、良品通過側に流出させない選別確認機能等の仕組みも考えられるが、製品の流れ方やシステムの設定によってはNG品をセンサ検知できない場合が懸念され、カメラではNG品を事後に動画で確認する必要から、即座に対応できなかった。
【0013】
本発明は、かかる問題を解消すべくなされたものであり、物品検査ラインから系外に排除された物品を収容するとともにその収容数量を常に的確に情報出力可能にモニタする排除品収容ボックスを提供し、併せて、物品検査機と共にその排除品収容ボックスを備え、排除品ボックス内に収納された物品の数量やその変化を常に的確に把握することができる物品検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る排除品収容ボックスは、上記目的達成のため、(1)有底の箱状体を有し、物品検査結果が特定の検査結果となった搬送路上の物品が前記搬送路外に排除されるとき、該排除対象の物品が前記箱状体の内方に投入される排除品収容ボックスであって、前記箱状体の内方に収容された物品の重量値を測定する重量測定手段にして、予め設定された定周期で測定する第1の測定値、および前記特定の検査結果となった物品の前記搬送路外への排除から所定時間経過時に測定する第2の測定値のうち、少なくとも前記第1の測定値を測定する当該重量測定手段と、前記第1の測定値および前記第2の測定値のうち少なくとも前記第1の測定値を基に、前記特定の検査結果となった物品が前記排除から所定時間内に前記搬送路上から前記箱状体内に投入されたか否かを判定する投入判定手段と、前記投入判定手段の判定結果に応じて前記箱状体内の物品の収容状態を報知出力する報知出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の排除品収容ボックスでは、箱状体内に収容された物品の重量値が定周期で第1の測定値として測定されることで実質的に常時モニタされるとともに、物品検査結果が特定の検査結果になって排除が必要になると、その排除要求に基づく振分・排除動作から所定時間内に特定の検査結果となった物品が箱状体内に収容されたか否かが、振分・排除から所定時間経過時の第2の測定値を排除要求発生前の第1の測定値と比較することにより判定可能となる。したがって、第1および第2の測定値を基に、特定の検査結果となった物品が振分・排除から所定時間内に搬送路上から箱状体内に投入されたか否かが的確に判定されることになる。その結果、本発明の排除品収容ボックスでは、検査ラインから系外排除された物品を内方に収容するとともに、その収容数量の変化を的確に報知出力可能にモニタすることができる。
【0016】
なお、ここで、投入判定手段の判定が第1の測定値および第2の測定値のうち少なくとも第1の測定値を基になされるのは、第2の測定値を測定する所定時間経過時が第1の測定値を測定する定周期の測定時と偶発的に符合するタイミングとなる場合があること、さらに、定周期の第1の測定値の測定値のうち、特定の検査結果となった物品が搬送路外に排除された直後の測定値を、第2の測定値とすることもできる(その場合、本発明にいう所定時間は、定周期に相当する一定時間以下の時間となる)ことを意味するものである。第2の測定値を測定する所定時間経過時は、勿論、第1の測定値を測定する定周期の測定時のうち前記特定の検査結果となった物品が前記搬送路外に排除される直前の測定時から次の測定時までの間となるよう早期に設定でき、その場合、投入判定手段は第1の測定値および第2の測定値を基に迅速な判定を実行できることになる。
【0017】
本発明に係る排除品収容ボックスの好ましい実施形態においては、(2)前記第1の測定値および前記第2の測定値のうち少なくとも前記第1の測定値に基づいて、前記箱状体内の物品の個数を算出する個数算出手段(46b)をさらに備えた構成とすることができる。
【0018】
本発明の好ましい実施形態においては、(3)前記報知出力手段は、報知出力可能な外部機器または外部システムに対して、前記特定の検査結果となった物品が前記所定時間内に前記箱状体内に投入されなかった異常の発生を示す報知情報、前記特定の検査結果とならなかった物品が前記箱状体内に投入されてしまった異常の発生を示す報知情報、または/および、前記投入された物品の個数に対応する報知情報を、出力する構成とすることができる。
【0019】
好適には、例えば、検査結果がNGとなった物品(以下、NG品という)を搬送路外に排除する制御がなされたにもかかわらず、対応する排除品収容ボックス内の収容物品の重量値が増加しない排除ミスが発生した場合、あるいは、検査結果がOKとなった物品(以下、OK品という)を搬送路外に排除しない制御がなされたにもかかわらず、排除品収容ボックス内の収容物品の重量値が増加するといった異常ミスが発生した場合に、その排除品収容ボックスの報知出力手段から異常判定通知が発出されるようにすることができる。また、異常判定通知の発出の有無にかかわらず、任意のタイミングや周期で、箱状体内に投入され収容されている物品の個数に対応する報知情報を出力することができる。なお、排除ミスその他の異常は、何らかの理由により作業者の手で排除物品が排除品収容ボックスから取り出されることでも発生し得るが、そのような場合にも報知出力手段から異常判定通知を発出することができることになる。また、排除品収容ボックス内にたまった排除品を取り出すときに開放可能な施錠式の開閉扉(搬送路より上に位置する蓋でもよい)が設けられるような場合、解錠して開閉扉を開放している状態下での排除品の取り出しによる重量値の変動(低下)は異常でないため、その状態下では報知出力手段から異常判定通知が発出されないようにすることもできる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態においては、(4)前記特定の検査結果が、予め設定された検査項目について不良と判定された検査結果であり、前記特定の検査結果となった物品が、不良の排除対象品として前記搬送路外に排除され、投入される構成とすることができる。
【0021】
本発明に係る物品検査システムにおいては、(5)搬送路上の物品を所定の検査項目について検査する物品検査機と、該物品検査機の検査結果が特定の検査結果となったとき、検査済みの物品を排除対象品として前記搬送路外に排除する排除装置と、該排除装置によって前記搬送路外に排除された物品を収容する、前記(1)~(4)のいずれかの構成を有する排除品収容ボックスと、を備えるものである。
【0022】
したがって、本発明の物品検査システムでは、物品検査ラインから系外排除された物品を排除品収容ボックスの内方に収容するとともに、その収容数量の変化を的確に情報出力可能にモニタすることができる。その結果、物品検査機の検査結果の出力情報と排除品収容ボックス内の排除品の収容数量の変化を確実に一致させることができる。
【0023】
本発明に係る物品検査システムの好ましい実施形態においては、(6)前記排除品収容ボックスの前記重量測定手段は、前記物品が前記排除装置により前記搬送路外に排除されてから所定時間が経過するとともに、前記定周期での第1の測定値の測定タイミングに達する時までに、前記第2の測定値を測定する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、物品検査ラインから系外に排除された物品を収容するとともにその収容数量や数量変化を的確に情報出力可能にモニタする排除品収容ボックスを提供することができ、併せて、物品検査機と共にその排除品収容ボックスを備え、排除品ボックス内に収納された排除品の数量やその変化を的確に把握できる物品検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る排除品収容ボックスをNGボックスとして備える一実施形態の物品検査システムの概略のネットワーク構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る物品検査システムにおける物品検査機および選別機の概略構成図である。
図3】(a)は、本発明の一実施形態に係る物品検査システムの概略のライン構成を示す要部概略平面図であり、(b)は、同物品検査システムの要部概略正面図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る物品検査システムにおける管理用PCおよび物品検査機の初期設定時の概略の処理手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施の形態に係る物品検査システムにおける物品検査機および排除品収容ボックの生産前処理の概略の処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施の形態に係る物品検査システムにおいて排除品収容ボック内の収容状態モニタのために定周期で繰り返し実行される生産中処理の概略の処理手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施の形態に係る物品検査システムにおいて検査結果が製品品質についてのNG判定となったときに実行されるNG判定時処理の概略の処理手順を示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施の形態に係る物品検査システムにおけるレポート作成用の生産後処理の概略の処理手順を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施の形態に係る物品検査システムにおける各部の動作タイミングを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
図1ないし図8は、本発明の一実施の形態に係る排除品収容ボックスを備えた物品検査システムを示している。
【0028】
まず、構成について説明する。
【0029】
図1ないし図3に示す本実施形態の物品検査システム1は、物品搬送方向である図3(a)中の矢印D0方向(以下、物品搬送方向D0ともいう)に複数のコンベア搬送路2、3、4、5を順に配置して所定の物品Wを順次移載可能に搬送し、搬送される各物品Wについて物品検査機10(物品検査機)による所定の物品検査とその検査結果に応じた選別機20による振分・排除動作とを実行する、物品検査ラインを構成している。ここにいう所定の物品Wは、必ずしも定形である必要はないが、略一定の質量になるよう計量されて個数カウント可能に包装されるか容器に収容された食品や薬品、例えば包装されたおにぎりである。
【0030】
物品検査機10の検査区間に対応するコンベア搬送路3および選別機20による振分・排除区間に対応するコンベア搬送路4は、図2に示す複数の搬送駆動モータ7、8により駆動されることで、それぞれ無端搬送ベルトを搬送方向に回転駆動することができるベルトコンベアで構成されており、各搬送駆動モータ7、8には速度検出用のロータリエンコーダが装着されている。前段のコンベア搬送路2および後段のコンベア搬送路5については、コンベア搬送路3、4と同一の搬送速度で駆動されるものとするが、隣り合うコンベア間で加減速されてもよく、それぞれに対応可能な搬送駆動モータが設けられている。
【0031】
前段のコンベア搬送路2と物品検査機10側のコンベア搬送路3と間には、光電センサ等の物品検知センサ6が設けられており、物品Wがコンベア搬送路3に対応する検査区間Z1内に搬入されて物品検知センサ6が遮光されるとき、物品検知信号が出力されるようになっている。
【0032】
物品検査機10は、複数の検査項目について所定方式の物品検査を実行する検査部11と、検査部11の出力信号に基づいて各物品Wの物品検査の結果を判定する判定部13と、判定部13の判定結果を画面出力する操作表示部14とを有している。
【0033】
検査部11は、例えばそれぞれ検査項目に対応する検査機構と検査制御回路とを有する金属検査手段12a、形状検査手段12bおよび計量検査手段12cを具備しており、物品Wがコンベア搬送路3の長さに対応する物品検査区間を通過する間に、複数の検査項目についての所定の物品検査が実行されるようになっている。
【0034】
具体的には、例えば、金属検査手段12aは、磁界を発生させる検査機構の検査空間中を物品Wが通過するときの磁界の変動を検出し、その検出信号を検査制御回路で処理することにより金属の混入の有無を検査するようになっている。
【0035】
形状検査手段12bは、搬送される物品WのX線透過画像を撮像する検査機構からX線画像を検査制御回路に取り込み、そのX線透過濃度に基づいて階調化した画像、例えば2値化画像を生成することにより、割れや欠けなどの物品Wの形状の良否を検査するようになっている。
【0036】
計量検査手段12cは、計量(秤量)センサを有する検査機構からの出力信号を検査制御回路に順次取り込んで生成した物品Wの計量信号波形に公知のローパスフィルタを適用して計量信号中のノイズ成分を除去した計量値を算出するとともに、少なくとも物品Wの重量が許容範囲内か否を検査するようになっている。
【0037】
なお、図示の便宜上、図3(a)中では、金属検査手段12a、形状検査手段12bおよび計量検査手段12cを物品搬送方向であるD0方向に隣り合わせて図示しているが、検査部11における複数の検査手段の配置形態は任意であり、搬送方向の同一区間中に複数の検査手段が併設されてもよいことはいうまでもない。
【0038】
判定部13は、金属検査手段12a、形状検査手段12bおよび計量検査手段12cからの検査出力を記憶するメモリや、検査項目ごとの判定基準により検査結果を判定するための検査プログラムを実行するプロセッサ等を有しており、予め設定された検査結果の優先順位等に基づき、必要数の検査項目の検査結果に基づく各物品Wの合否判定を実行するようになっている。また、判定部13は、操作表示部14に検査結果情報を出力するとともに、合否判定結果に応じて物品検査機10上に装着されたシグナルタワー30の点灯状態を変化させるようになっている。
【0039】
操作表示部14は、例えばタッチパネル等で構成され、判定部13からの判定結果情報を基に検査結果画面を表示出力する表示部14aと、ユーザが画面参照しつつ設定入力等を行うことができる操作部14bとを有している。
【0040】
物品検査機10の具体的なハードウエア構成を図示しないが、検査部11の金属検査手段12a、形状検査手段12bおよび計量検査手段12cのそれぞれの検査制御回路および判定部13は、例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を含むコントローラ15によって構成されている。
【0041】
コントローラ15は、具体的には、所定の搬送制御プログラム、検査判定プログラムおよび選別制御プログラム等のプログラムと情報を記憶する各種メモリと、プログラムを実行する演算制御部と、外部からの情報の入力部と、演算結果の外部への出力部と、電源部と、通信ポートを有している。
【0042】
このコントローラ15は、判定部13の機能を発揮するのに加え、判定部13による各物品Wの品質判定結果(OK/NG)に応じて、選別機20の一対のフリッパアーム21、22のうち任意の一方を選択的にコンベア搬送路4上に揺動させる選別指令信号RJ1もしくはRJ2を物品検知センサ6による進入検知時を基準に生成して出力する選別制御部16の機能と、少なくともコンベア搬送路3、4の搬送駆動モータ7、8を制御する搬送制御部17の機能と、シグナルタワー30の点灯制御機能とを発揮できるようになっている。
【0043】
ここで、選別指令信号RJ1は、選別対象の物品Wの進路を図3(a)中の矢印D0方向から同図中で上側(一側方)に外れる矢印D1方向(以下、振分け方向D1ともいう)に振り分けるよう、一方のフリッパアーム21を同図中の反時計方向に揺動させて物品搬送方向に対して交差させ、選別機20に付設された排除品収容部40の第1のNGボックス(一方の排除品収容ボックス)41に収容させる指令である。また、選別指令信号RJ2は、選別対象の物品Wの進路を図3(a)中の矢印D0方向から同図中で下側(他側方)に外れる矢印D2方向(以下、振分け方向D2ともいう)に振り分けるよう、他方のフリッパアーム22を同図中の時計方向に揺動させて物品搬送方向に対して交差させ、排除品収容部40の第2のNGボックス(他方の排除品収容ボックス)42に収容させる指令である。
【0044】
コントローラ15は、所定通信方式で管理用PC50にLAN接続されており、管理用PC50に対して相互に検査関連情報や各種制御信号を送受信できるようなっている。ここにいうLANは、例えばEthernetベースのフィールドバスで構成されており、コントローラ間でのデジタル通信(下位層での制御情報交換、上位層による下位層の稼働状況や各装置における事象のモニタリング等をなすための通信)が可能となっている。また、コントローラ15は、管理用PC50と協働してプログラミングツールや設定入力切替器として機能するタブレット型の情報端末を含んでいてもよい。
【0045】
選別機20は、選別制御部16から選別指令信号RJ1、RJ2のいずれも出力されないときには、コンベア搬送路4上の物品Wを図3(a)の物品搬送方向D0に直進させる一方、選別制御部16から選択的に選別指令信号RJ1またはRJ2が出力されたときには、その選別指令信号RJ1またはRJ2に応じて、一対のフリッパアーム21、22のうち任意の一方を選択的にコンベア搬送路4上に揺動させて、物品Wの振り分け方向を図3(a)中の矢印D1もしくはD2の方向である振分け方向D1もしくはD2に方向付けるようになっている。
【0046】
この選別機20は、コンベア搬送路4の両側方で物品搬送方向の延びる一対のフリッパアーム21、22を下流側の各一端部で揺動可能に支持した振分機構23と、この振分機構23を駆動するレバー24a、24b、エアシリンダCYL1、CYL2(流体圧作動アクチュエータ)およびシリンダ制御バルブV1、V2(流体給排および方向制御バルブ)等で構成される駆動機構27と、いずれかの選別指令信号RJ1またはRJ2が入力されたときその入力に応じて駆動機構27を作動させる選別駆動回路28とを含んで構成されている。なお、図2中の〇印は、シリンダ制御バルブV1、V2のエア供給圧ポートを、×印は、大気開放ポートを略示している。
【0047】
シグナルタワー30は、例えばLEDユニット、点滅ユニット、ブザーユニット等を有し、コントローラ15により検査対象物品の物品検査機10による検査結果や選別機20による振分・排除動作の成否に応じて、その結果に対応する点灯表示と報知音や鳴動の出力状態に制御されるようになっている。
【0048】
排除品収容部40の第1のNGボックス41および第2のNGボックス42は、それぞれの有底の箱状体43A、43Bを有しており、物品検査機10による物品検査結果が特定の検査結果となったコンベア搬送路4上の物品W、例えばNG判定の物品Wngがコンベア搬送路4外に排除されるとき、その排除対象の物品Wng(図3(a)参照)が箱状体43A、43Bのいずれか一方の内方に投入されるようになっている。
【0049】
また、第1のNGボックス41および第2のNGボックス42には、箱状体43A、43Bの下方に位置する重量測定器45A、45Bが設けられるとともに、重量測定器45A、45Bからの測定出力に基づいて作動する報知出力ユニット46が設けられている。これら第1および第2のNGボックス41、42は、さらに、常時はそれぞれの箱状体43A、43Bおよび重量測定器45A、45Bを外側方から覆う閉状態をとり、箱状体43A、43Bから排除品を取出す際にユーザにより外側方に開放操作される、それぞれの開閉扉41a、42aと、各開閉扉41a、42aの開閉を検知する開閉検知センサ41b、42bとを有している。
【0050】
各重量測定器45A、45Bは、対応する箱状体43Aまたは43Bからの重量(下向きの荷重)を受ける荷重センサと、各荷重センサの出力から対応する箱状体43Aまたは43Bの重量分を風袋荷重として差し引くことにより、各箱状体43Aまたは43Bの内方に収容された物品Wの重量値を算出する測定回路と、を内蔵した重量測定手段となっている。
【0051】
そして、各重量測定器45A、45Bは、各箱状体43Aまたは43Bの内方に投入され収容された物品Wの重量値を、予め設定された定周期(物品搬送間隔より短い一定時間で、例えば数百ミリ秒から数百秒)で第1の測定値として測定するとともに、物品Wngが特定の検査結果(例えばNG判定)となってから、あるいは選別機20の排除動作が開始されてから選別排除完了までの所定時間の経過時、例えばフリッパアーム21または22がコンベア搬送路4上に所定角度揺動した振分時傾斜姿勢で矢印D1方向または矢印D2方向への振分動作を完了した直後あるいはその振分時傾斜姿勢からコンベア搬送路4の側縁側のホームポジション(良品通過を許容する通常待機姿勢)への復帰動作を開始した直後(例えば、振分動作の完了推定時点または復帰動作の開始時点から数十ミリ秒ないし数百ミリ秒が経過した時)に第2の測定値として測定するようになっている。
【0052】
報知出力ユニット46は、重量測定器45A、45Bからの第1の測定値および第2の測定値のうち少なくとも第1の測定値を基に、特定の検査結果となった物品Wが前述の所定時間内にコンベア搬送路4上から重量測定器45Aまたは45Bの箱状体43Aまたは43B内に投入されたか否かを判定する投入判定手段46aと、投入判定手段46aの判定結果に応じて各NGボックス41または42の箱状体43Aまたは43B内の物品Wの収容状態を報知出力する報知出力手段46cと、を具備している。
【0053】
ここにいう箱状体43Aまたは43B内の物品Wの収容状態は、特定の検査結果、例えばNG判定となった物品Wngがその振分・排除動作から所定時間内に対応する箱状体43Aまたは43B内に投入されたことを、その箱状体43Aまたは43B内の収容量の変化(重量値の増加)によって報知出力する場合のみならず、NG判定となった物品Wngがその振分・排除動作から所定時間内に対応する箱状体43Aまたは43B内に投入されなかったことを、その箱状体43Aまたは43B内の収容量の変化の無いことで報知出力する場合を含むものである。また、ここにいう報知出力は、外部の表示装置や音声出力装置、警報装置、鳴動装置等を介して報知出力するための信号出力を含み得るものである。
【0054】
報知出力ユニット46の投入判定手段46aの判定が第1の測定値および第2の測定値のうち少なくとも第1の測定値を基になされるのは、第2の測定値を測定する前述の所定時間経過時が第1の測定値を測定する定周期の測定時と偶発的に符合するタイミングとなり得ることを意味する。また、本実施形態では、第2の測定値は、専ら第1の測定値を測定する定周期の測定時とは異なる時に測定されるものとするが、定周期の第1の測定値の測定値のうち、特定の検査結果となった物品Wがコンベア搬送路4外に排除された直後の測定値を、第2の測定値として使用できることをも意味する。後者の場合、所定時間は、定周期に相当する一定時間以下の時間となり、特定の検査結果となった物品Wがコンベア搬送路4外に排除される時点から次の第1の測定値の測定値までの範囲内で変化し得る。本実施形態においては、第2の測定値を測定する所定時間経過時は、第1の測定値を測定する定周期の測定時のうち特定の検査結果となった物品Wがコンベア搬送路4外に排除される直前の測定時から次の測定時までの間となるので、第2の測定値を測定する前述の所定時間経過時が第1の測定値を測定する定周期の測定時と偶発的に符合する場合を除き、前述の後者の場合に比べて早期の測定タイミングとなる。
【0055】
報知出力ユニット46は、さらに、重量測定器45A、45Bからの第1の測定値および第2の測定値のうち少なくとも第1の測定値に基づいて、特定の検査結果となった物品Wがその振分・排除動作から所定時間内に箱状体43Aまたは43B内に投入されたとき、投入された物品Wの個数および箱状体43Aまたは43B内の総収容個数を算出する個数算出手段46bを具備している。そして、報知出力ユニット46の報知出力手段46cは、報知出力可能な外部機器または外部システムである物品検査機10や管理用PC50に対して、特定の検査結果となった物品Wが振分・排除から所定時間内に箱状体43Aまたは43B内に投入されなかった異常の発生を示す報知情報、または/および、投入された物品Wの個数に対応する報知情報を、出力するようになっている。
【0056】
さらに、前述の特定の検査結果は、予め設定された検査項目について不良と判定された検査結果として設定されており、特定の検査結果となった物品Wが、不良の排除対象品Wngとしてコンベア搬送路4外に排除されて、箱状体43Aまたは43Bに投入されるようになっている。
【0057】
管理用PC50は、例えばキャッシュ内蔵のプロセッサであるCPU、RAM、ROMおよび入出力インターフェース回路と、SSDおよびHDD等のストレージデバイスと、ROMやストレージデバイスに記憶格納された複数の制御プログラムおよび各種設定情報等(制御パラメータを含む)とを有しており、CPUにより各種センサ情報および設定情報等に基づき所定の制御プログラムを実行することで生産管理上要求される所定の機能を発揮するようになっている。
【0058】
例えば、管理用PC50は、複数種の物品検査手段12a~12cの検査結果を表す検査関連情報を順次受信できるような検査結果監視用のプログラムを実行し、受信した検査データを記憶媒体に記憶するデータ収録部として機能するほか、コントローラ15から出力される各種情報との組み合わせで各種分析を行う分析プログラムや、その分析結果に基づいて報告書を作成するプログラムを実行するようになっている。
【0059】
このように、本実施形態の物品検査システム1は、検査区間Z1のコンベア搬送路3上の物品Wを所定の複数の検査項目について検査する物品検査機10と、物品検査機10の検査結果が特定の検査結果となったとき、検査済みの物品Wを排除対象品としてコンベア搬送路4外に排除する排除装置としての選別機20と、その選別機20によってコンベア搬送路4外に排除された物品Wngを収容する排除品収容部40とを具備している。
【0060】
また、特定の検査結果が、予め設定された検査項目について不良と判定された場合となっており、不良判定となった物品Wが、排除対象品Wngとして選別機20のフリッパアーム21または22によりコンベア搬送路4外(系外)に排除され、排除品収容部40の第1または第2のNGボックス41または42に投入されるようになっている。
【0061】
そして、その不良判定の場合に、排除対象の物品Wngのコンベア搬送路4外への排除に際し、排除品収容部40では、物品Wngの選別機20による振分・排除から所定時間が経過した時点で、あるいは、その経過時点から次の定周期での第1の測定値の測定タイミングに達するまでの間に、振分・排除方向に位置するいずれかのNGボックス41または42の重量測定器45Aまたは45Bが、第2の測定値を測定する。
【0062】
また、その測定された第2の測定値を、報知出力ユニット46の個数算出手段46bが、最新の第2の測定値としてメモリに記憶するとともに、最新の第2の測定値の測定直前の定周期測定時に測定されメモリに記憶された第1の測定値(以下、直前の第1の測定値という)から最新の第2の測定値への重量値の増加量(=第2の測定値-第1の測定値)を算出するとともに、その増加量の算出値に基づいて、箱状体43Aまたは43B内に新たに投入された物品の個数(=増加量/物品質量設定値)を算出する。
【0063】
さらに、報知出力ユニット46の投入判定手段46aが、最新の第2の測定値とその直前の定周期測定時に測定されメモリに記憶されている第1の測定値(以下、直前の第1の測定値という)とを比較するか、前述の最新の第2の測定値への重量値の増加量を物品Wについて設定されている重量値と比較することにより、選別機20による振分・排除から所定時間が経過する時点で排除対象の物品Wngが箱状体43Aまたは43B内に投入されたか否かを判定する。
【0064】
そして、選別機20による振分・排除から所定時間が経過する時点で排除対象の物品Wngが箱状体43Aまたは43B内に投入されたと報知出力ユニット46の投入判定手段46aが判定した場合には、報知出力ユニット46の報知出力手段46cが、最新の第2の測定値への重量値の増加量や新たに投入された物品Wの個数を、コントローラ15および管理用PC50に出力する。
【0065】
一方、報知出力ユニット46の投入判定手段46aが選別機20による振分・排除から所定時間経過時点で排除対象の物品Wngが箱状体43Aまたは43B内に投入されていないと判定した場合には、報知出力ユニット46の報知出力手段46cが、選別異常が発生したことを示す通知をコントローラ15および管理用PC50に出力する。
【0066】
次に、動作について説明する。
【0067】
図4ないし図8は、本実施形態の物品検査システム1において、物品検査ラインから系外に排除された物品Wの数量を検査結果に応じた振分・排除方向ごとのNGボックス41、42内の収容数量として把握可能にするために実行される複数の処理を示している。
【0068】
具体的には、物品検査機10のコントローラ15および管理用PC50の協働により、物品検査システム1の運転に先立つ初期設定処理(図4参照)と、物品検査システム1を含む生産システムの稼働前の質量設定処理(図5参照)と、生産中定周期の排除品収容ボック内の収容状態モニタ処理(図6参照)と、NG判定時の投入量検出処理(図7参照)と、生産後のレポート作成処理(図8参照)とが実行されるようになっている。
【0069】
図4に示す初期設定処理では、まず、ユーザにより、品種ごとの単体の物品の質量値(基準値および許容誤差、あるいは上限値および下限値)を外部システム、例えば管理用PC50に登録する入力操作がなされる(ステップS11)。この入力操作は、個々の品種について手動入力するものであっても、複数の品種について予め準備された質量値データを入力するものであってもよい。
【0070】
次いで、管理用PC50の動作により、品種ごとの物品の質量値が物品検査機10(図4ないし図8中では「検査機」と記す)に配信されるとともに(ステップS12)、その配信が成功したか否かが管理用PC50と物品検査機10との間のデジタル通信によりチェックされる(ステップS13)。
【0071】
その配信が成功した場合(ステップS13でYESの場合)、次いで、物品検査機10の動作により、品種ごとの物品の質量値が読み込まれ(ステップS14)、読み込まれた質量値がその設定値の記憶領域を形成するメモリ、例えばフラッシュメモリに書き込まれる(ステップS15)。
【0072】
一方、物品検査機10への質量値の配信が所定時間内に成功しない場合(ステップS13でNOの場合)、今回の処理を終了する。
【0073】
図5に示す生産前(生産システムの稼働前)の質量設定処理では、まず、物品検査機10の動作により、設定済みの物品Wの品種がユーザの品種選択入力に応じた別の品種の設定に切り替えられる(ステップS21)。
【0074】
次いで、物品検査機10のコントローラ15により、これから生産する品種の質量値を排除品収容部40に送信し、各NGボックス41、42の報知出力ユニット46が設定切替後の品種で動作するよう連携させるようにする(ステップS22)。
【0075】
次いで、各NGボックス41、42の報知出力ユニット46では、設定切替後の品種の物品Wの1個当たりの質量値を設定記憶した状態下で(ステップS23)、各NGボックス41、42の収容されている物品Wの重量が重量測定器45A、45Bにより測定可能な状態となる(ステップS24)。
【0076】
図6に示す生産中処理(生産中の定周期で実行される収容状態モニタ処理)では、まず、各NGボックス41、42の動作として、重量測定器45A、45Bによって、各箱状体43Aまたは43Bの内方に収容されている物品Wの重量値が、予め設定された定周期で第1の測定値として測定される(ステップS31)。
【0077】
次いで、報知出力ユニット46の投入判定手段46aにより、各NGボックス41、42について前述の直前の第1の測定値と最新の第2の測定値とが一致しているか否かが判定される(ステップS32)。
【0078】
そして、直前の第1の測定値と最新の第2の測定値とが一致していない場合(ステップS32でNOの場合)、その判定結果に応じて、各NGボックス41、42の開閉扉41a、42aが開放されたかまたは開放中かが、開閉検知センサ41b、42bのセンサ情報を基に判定される(ステップS33)。
【0079】
直前の第1の測定値と最新の第2の測定値とが一致していた場合(ステップS32でYESの場合)、あるいは、各NGボックス41、42の開閉扉41a、42aが開放されたか開放中である場合には、今回の処理が終了する。
【0080】
一方、直前の第1の測定値と最新の第2の測定値とが一致せず、かつ、各NGボックス41、42の開閉扉41a、42aが開放されておらず開放中でもない場合(ステップS32、S33で共にNOとなった場合)には、報知出力ユニット46の報知出力手段46cから物品検査機10のコントローラ15に対して、選別異常が発生したことを示す通知が発出される(ステップS34)。
【0081】
次いで、選別異常の通知を受けた物品検査機10のコントローラ15では、選別エラー情報が生成され(ステップS35)、その選別エラー情報を含む制御信号がシグナルタワー30に出力されることで、シグナルタワー30が、選別機20による振分・排除動作の不成功を示す点灯表示および鳴動状態に制御される(ステップS37)。
【0082】
また、コントローラ15から選別エラー情報を受信した管理用PC50では、そのエラー情報と各NGボックス41、42内の収容物品Wの重量値の変化量または個数が、検査データのデータベースに記憶格納される(ステップS38)。
【0083】
図7に示すNG判定時処理(NG判定時の投入量検出処理)では、まず、物品検査機10の動作として、商品である物品Wが検査され(ステップS41)、次いで、その判定結果がOK判定かNG判定かがチェックされる(ステップS42)。そして判定結果がOK判定であれば、今回の処理は終了する。
【0084】
一方、判定結果がNG判定(特定の判定結果)であれば、次いで、物品WngがNG判定となってから選別排除完了までの所定時間の経過時に、各箱状体43A、43Bの内方に収容されている物品Wの重量値が重量測定器45A、45Bにより最新の第2の測定値として測定される(ステップS43)。
【0085】
次いで、報知出力ユニット46の投入判定手段46aにより、各NGボックス41、42について直前の第1の測定値と最新の第2の測定値とが一致しているか否かが判定される(ステップS44)。
【0086】
このとき、排除対象品の振分・排除によって重量増加すべき第1または第2のNGボックス41または42についてその直前の第1の測定値と最新の第2の測定値とが一致していなければ(ステップS44でNOの場合)、投入判定手段46aにより排除成功と判定され、報知出力ユニット46の個数算出手段46bによって、直前の第1の測定値から最新の第2の測定値への重量値の増加量(=第2の測定値-第1の測定値)が算出されるとともに、その増加量の算出値から箱状体43Aまたは43B内に新たに投入された物品の個数が算出される(ステップS45)。
【0087】
次いで、質量増加した第1または第2のNGボックス41、42内の物品収容個数の変化情報が管理用PC50に送信されて、管理用PC50において監視される各NGボックス41、42内の物品収容個数が更新されることで、管理用PC50上と各NGボックス41、42とで各箱状体43A、43B内の物品収容個数の情報が連携するものとなる(ステップS46)。
【0088】
次いで、管理用PC50の動作として、物品検査機10のNG判定に対して実際に振分・排除された物品Wの個数(図7中には「商品個数」と記す)が、検査データのデータベースに記憶格納される(ステップS47)。
【0089】
一方、排除対象品の振分・排除によって重量増加すべき第1または第2のNGボックス41または42について、その直前の第1の測定値と最新の第2の測定値とが一致していれば(ステップS44でYESの場合)、投入判定手段46aにより排除失敗と判定され、報知出力ユニット46の報知出力手段46cから物品検査機10のコントローラ15に対して、NG判定品の排除ミス(排除の失敗によりNG判定品が良品通過側に流出する可能性がある状態)となる選別異常が発生したことを示す通知が発出される(ステップS48)。
【0090】
次いで、選別異常の通知を受けた物品検査機10のコントローラ15では、選別エラー情報が生成され(ステップS49)、その選別エラー情報を含む制御信号がシグナルタワー30に出力されることで(ステップS50)、シグナルタワー30が、選別機20による振分・排除動作の不成功を示す点灯表示および鳴動状態に制御される(ステップS51)。
【0091】
図8に示す生産後処理(生産後のレポート作成処理)では、管理用PC50の動作として、物品Wの品種に紐づくNG判定の情報とそれに基づく排除品の個数とが、データベースから取得され(ステップS61)、予め設定された監視期間(例えば、生産中の一定時間ごとの監視期間)中の取得データに基づいて検査結果のレポートが作成される(ステップS62)。
【0092】
以上のような処理が実行されることにより、本実施形態の物品検査システム1では、例えば図9(a)および図9(b)に示すように、物品検査機10による検査結果がNG判定となったときには、振分・排除方向に対応する第1または第2のNGボックス41または42内の収容物品Wの重量値が、選別機20によるNG品の振分・排除後の早期に測定されて最新の第2の測定値とされ、物品検査機10による検査結果がOK判定である間は、各NGボックス41、42内の収容物品Wの重量値が、定周期で測定されて第1の測定値としてメモリに記憶格納される。
【0093】
また、物品検査機10による検査結果がNG判定となって選別機20によるNG品の振分・排除動作がなされたにもかかわらず、振分・排除方向に対応する第1または第2のNGボックス41、42内の収容物品Wの重量値が増加しない排除ミスの選別異常が発生すると、そのNGボックス41または42の報知出力ユニット46から選別異常の判定通知が発出される。
【0094】
一方、物品検査機10による検査結果がOK判定で選別機20によるNG品の振分・排除動作がされないにもかかわらず、第1または第2のNGボックス41、42内の収容物品Wの重量値が変化してしまうような意図しない重量値の変動が発生すると、そのNGボックス41または42の報知出力ユニット46から不正な抜き取り等が懸念される異常判定通知が発出される。
【0095】
なお、第1または第2のNGボックス41、42の開閉扉41aまたは42aが開放(図示例では、鍵があく開錠)されてから閉止(図示例では、鍵がかかる施錠)までの間は、意図しない重量値の変動でなく、排除品の取り出し等のような正常な操作がなされたものとして扱われ、報知出力ユニット46から異常判定通知が発出されることはない。
【0096】
以上のように動作する本実施形態においては、物品検査ラインから系外排除された物品Wを振分・排除方向に対応するいずれかの排除品収容ボックス41または42の内方に収容するとともに、その収容数量の変化の有無や変化量を排除品収容部40において的確に情報出力可能にモニタすることができる。その結果、物品検査機10の検査結果の出力情報と各NGボックス41、42内の排除品収容状態の変化を確実に一致させることができ、物品検査機10および管理用PC50の双方で、不良発生数等を迅速・容易に確認可能となる。
【0097】
すなわち、本実施形態の排除品収容ボックスである各NGボックス41、42では、箱状体43A、43B内に収容された物品Wの重量値が定周期で第1の測定値として測定されることで実質的に常時モニタされるとともに、物品検査機10での検査結果がNG判定(特定の検査結果)になって排除が必要になると、その排除要求に基づく振分・排除動作から所定時間内にNG判定となった物品Wngが箱状体43Aまたは43B内に収容されたか否かが、振分・排除から所定時間が経過した時の第2の測定値を排除要求発生前の第1の測定値と比較することにより判定可能となる。
【0098】
したがって、第1および第2の測定値を基に、NG判定の検査結果となった物品Wngが前述の振分・排除から所定時間内にコンベア搬送路4上から箱状体43Aまたは43B内に投入されたか否かが的確に判定されることになる。その結果、各NGボックス41、42は、検査ラインから系外排除された物品Wを内方に収容するとともに、その収容数量等の状態の変化を的確に報知出力可能にモニタすることができる排除品収容ボックスとなる。また、物品検査機10の検査結果の出力情報と各NGボックス41、42内の排除品の収容数量の変化を確実に一致させることができ、不良発生数等を迅速・容易に確認可能となる。
【0099】
さらに、本実施形態では、NG判定の物品Wngがその振分・排除から所定時間内にコンベア搬送路4上から箱状体内に投入されたと投入判定手段46aにより判定されたとき、個数算出手段46bにより、第1の測定値から前記第2の測定値への重量値の増加量に基づいて箱状体43Aまたは43B内に投入された物品の個数を算出することができる。
【0100】
加えて、各NGボックス41、42の重量測定器45A、45Bは、物品WがNG判定となり選別排除されてから所定時間が経過する時点までに第2の測定値を測定するのがよいが、定周期での第1の測定値の測定タイミングに達した時に第2の測定値を測定するようにすることもできる。
【0101】
なお、本実施形態では、特定の検査結果が、予め設定された検査項目について不良と判定されたNG判定の検査結果であったが、特定の検査結果は、複数の振分先のうち特定の振分先に振り分けられる判定結果であればよく、不良判定に限定されるものでないことはいうまでもない。また、本発明にいう排除とは、選別機20により非排除対象の物品の搬送経路外に振り分けることで、系外排出することを意味するものであり、系外排除された物品Wが許容範囲内で重量やサイズ等が他とは異なるランクに分類されるものでもよい。
【0102】
より具体的には、例えば物品検査中にその検査区間Z1中の物品Wに前後するいずれかの物品が、検査区間Z1中に早期に搬入されたり検査区間Z1からの搬出に遅れが生じたりする搬送異常が発生した場合に、搬送中の物品Wを計量する物品検査機10の計量検査手段12cにおいてその秤量台上にいわゆる2個乗りが発生することがある。
【0103】
その場合に、先行する物品Wについて正常な計量ができなくなり、2個乗りによるNG判定がなされるが、後続する物品の判定結果の良否が先行する物品Wと後続する物品との搬送間隔によっても分かれ得ることになり、後続する物品の判定自体がなされることなく前後の物品Wが一つの塊りとして振分・排除される状態も発生し得る。
【0104】
これに対し、本実施形態では、選別機20による振分・排除の動作時には必ず各NGボックス41、42内の物品Wの総重量または収容個数がチェックされるので、排除品の収容状況を迅速にかつ正確に確認でき、物品検査機10のコントローラ15や管理用PC50に対して、選別異常の発生とその際の振分・排除方向に対応するNGボックス41または42内の物品Wの重量または収容個数の変化の有無や変化量を迅速にかつ正確にフィードバックすることができる。したがって、操作表示部14の表示画面上の検査項目ごとのNG個数と、各NGボックス41、42内に投入され収容されている物品Wの個数が一致しなくなることを、確実に防止することができる。
【0105】
その結果、従来のように、管理者が現場作業者への聞き取りを行ったり、カメラで撮像されたNG品の動画からNG品の排除時の状況を確認したりする必要がなく、NG発生時の状況確認作業に要する時間と労力を削減することができる。
【0106】
また、例えば設定調整ミスや故障による選別機の動作不良が生じたり、現場作業者が何らかの理由で収容ボックスから抜き取った排除品を誤って良品通過側に戻してしまうような作業ミスが生じたりしたとしても、前述のNG個数とNGボックス41、42内の個数の不一致がなく、NG品の確実な系外排除を保証することが可能となる。
【0107】
さらに、排除品収容部40は静止しており、コンベア搬送路4上の物品Wの流れや選別機20の振分・排除動作の影響を受け難く、安定した収容量の測定が可能である。しかも、検査結果に応じて排除対象品となったNG品を投受光器等のセンサやカメラを用いて検知し、良品通過側に流出させない選別確認機能等の仕組みを設ける必要がなく、その確認機能を容易に実現できるものとなる。
【0108】
以上のように、本実施形態によれば、物品検査ラインから系外に排除された物品Wを収容するとともにその収容数量や数量変化を的確に情報出力可能にモニタするNGボックス41、42等の排除品収容ボックスを提供することができ、併せて、物品検査機10と共にその排除品収容ボックスを備え、排除品ボックス内に収納された排除品の数量やその変化を的確に把握できる物品検査システム1を提供することができる。
【0109】
なお、物品検査機10においては、複数の検査手段が、例示した検査方式のものに限定されるものではなく、例えば搬送コンベア4により搬送されている物品Wに対してX線を照射して得られたX線透過画像に基づいて物品Wの形状やサイズ、内容物の個数、包装状態、異物の有無などの検査項目について、予め設定された検査条件に従って良否を判定するものでもよい。また、一実施形態では、選別機20をフリッパアームを用いる選別排除方式としたが、他の選別排除方式、例えばアップアウト排出方式、ドロップダウン式、シャトル式、シュート方式等であってもよいことは勿論である。さらに、一実施形態の物品検査システム1では、物品検査機10内にPLCを含むコントローラ15を設けるものとしたが、物品検査機10の外部にPLCを設けるものであってもよい。また、一実施形態では、物品検査機10の後段に左右一対のフリッパアーム21、22を有する選別機20を設置する場合を例示したが、各一対のフリッパアーム21、22が物品搬送方向に離間する複数対のフリッパアーム21、22等を有する振分機構とそれらに対応する複数対の排除品収容ボックスを含んだシステム構成を採用することも考えられる。
【0110】
以上説明したように、本発明の排除品収容ボックスおよび物品検査システムは、物品検査ラインから系外に排除された物品を収容するとともにその収容数量等の状態の変化を的確に情報出力可能にモニタする排除品収容ボックスを提供することができ、併せて、物品検査機と共にその排除品収容ボックスを備え、排除品ボックス内に収納された排除品の数量やその変化を的確に把握できる物品検査システムを提供することができるものである。かかる本発明は、物品検査結果が特定の検査結果となった検査済み物品が物品搬送路上から排除されるときにその排除対象の物品が投入される排除品収容ボックスおよび同ボックスが装備された物品検査システム全般に有用である。
【符号の説明】
【0111】
1 物品検査システム
2、3、4、5 コンベア搬送路
6 物品検知センサ
7、8 搬送駆動モータ
10 物品検査機(物品検査装置)
11 検査部
12a 金属検査手段(物品検査手段)
12b 形状検査手段(物品検査手段)
12c 計量検査手段(物品検査手段)
13 判定部
14 操作表示部
14a 表示部
14b 操作部
15 コントローラ
16 選別制御部
17 搬送制御部
20 選別機(排除装置、選別装置)
21、22 フリッパアーム
23 振分機構
24a、24b レバー
27 駆動機構
28 選別駆動回路
30 シグナルタワー
40 排除品収容部
41 NGボックス(排除品収容ボックス、第1のNGボックス)
41a、42a 開閉扉
41b、42b 開閉検知センサ
42 NGボックス(排除品収容ボックス、第2のNGボックス)
43A、43B 箱状体
45A、45B 重量測定器(重量測定手段、計量手段)
46 報知出力ユニット
46a 投入判定手段
46b 個数算出手段
46c 報知出力手段
50 管理用PC
CYL1、CYL2 エアシリンダ(流体圧作動アクチュエータ)
D0 物品搬送方向
D1、D2 振分・排除方向
RJ1、RJ2 選別指令信号
V1、V2 シリンダ制御バルブ
Z1 検査区間
Z2 選別区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9