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特開2024-80844ロープ検査装置およびこれを備えた作業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080844
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ロープ検査装置およびこれを備えた作業機械
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/54 20060101AFI20240610BHJP
   B66C 23/88 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B66D1/54 C
B66C23/88 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194131
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【弁理士】
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】前藤 鉄兵
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋平
(72)【発明者】
【氏名】江藤 崇夫
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩樹
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA05
3F205CA01
3F205DA01
(57)【要約】
【課題】作業機械に用いられるロープの劣化を精度良く検出することが可能なロープ検査装置およびこれを備えた作業機械を提供する。
【解決手段】ロープ検査装置7は、クレーン1に装着される。クレーン1は、上部旋回体12と、上部旋回体12に対して起伏可能なブーム16と、主巻ウインチ34と、主巻ウインチ34から引き出される主巻ロープ51とを有する。ロープ検査装置7は、主巻ロープ51の劣化状態を検査可能なロープ検査器70と、ブーム16の先端部に装着される支持ユニット7Sであって、ロープ検査器70が主巻ロープ51のうちアイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間の部分を検査することが可能なようにロープ検査器70を支持する支持ユニット7Sと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、前記機体に対して起伏可能な起伏体と、ウインチと、前記ウインチから引き出されるロープとを有する作業機械に装着される、ロープ検査装置であって、
前記ロープの劣化状態を検査可能なロープ検査器と、
前記起伏体の先端部に装着される支持ユニットであって、前記ロープ検査器が前記ロープのうち前記先端部にそれぞれ配置されるアイドラシーブとポイントシーブとの間の部分を検査することが可能なように前記ロープ検査器を支持する支持ユニットと、
を備える、ロープ検査装置。
【請求項2】
前記支持ユニットは、前記起伏体の先端部に左右方向に間隔をおいて配置され、前記ロープ検査器を支持する左右一対の支持部を有し、
前記左右一対の支持部の各々は、前記起伏体の前記先端部に対する前記ロープ検査器の相対高さを調整可能な高さ調整部を有する、請求項1に記載のロープ検査装置。
【請求項3】
前記支持ユニットは、
前記起伏体の先端部に左右方向に間隔をおいて配置され、前記ロープ検査器を支持する左右一対の支持部と、
左右方向に延びる回転軸を中心とする前記左右一対の支持部の回転を規制する左右一対の回転規制部と、
を有する、請求項1に記載のロープ検査装置。
【請求項4】
前記支持ユニットは、
支持ピンと、
前記支持ピンが延びる方向に沿って前記支持ピンに対して相対移動可能なように前記支持ピンに保持され、前記ロープ検査器を支持するホルダと、
を有する、請求項1に記載のロープ検査装置。
【請求項5】
前記支持ユニットは、前記機体に対する前記起伏体の所定の起伏角度において前記ロープに接触することで、前記ロープと前記ロープ検査器との接触を阻止する起伏用支持部材を更に備える、請求項1に記載のロープ検査装置。
【請求項6】
前記起伏用支持部材は、前記ロープを支持可能な外周面を含む少なくとも一つのローラーを有する、請求項5に記載のロープ検査装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つのローラーは、前記ロープが延びる方向における前記ロープ検査器の両側にそれぞれ配置される一対のローラーを含む、請求項6に記載のロープ検査装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのローラーは、前記ロープが延びる方向と直交する方向において前記ロープの両側にそれぞれ配置される一対のローラーを含む、請求項6に記載のロープ検査装置。
【請求項9】
前記起伏体はブームであって、
前記支持ユニットは、前記ブームの先端部にジブを装着するためのジブ連結ピンによって前記ブームの先端部に装着される、請求項1に記載のロープ検査装置。
【請求項10】
前記支持ユニットは、補助シーブを含む補助シーブユニットを前記起伏体の前記先端部に装着するための補助シーブ連結ピンによって前記起伏体の前記先端部に装着される、請求項1に記載のロープ検査装置。
【請求項11】
機体と、
前記機体に対して起伏可能な起伏体と、
ウインチと、
前記ウインチから引き出されるロープと、
請求項1に記載のロープ検査装置と、
を備える、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープ検査装置およびこれを備えた作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械として、吊り荷を吊り上げ可能なクレーンが知られている。当該クレーンは、機体と、前記機体に対して起伏可能な起伏体と、前記起伏体の先端部から垂下され吊り荷に接続される吊り荷ロープと、前記吊り荷ロープの巻き取りおよび繰り出しを行う吊り荷用ウインチとを有する。このようなクレーンでは、長期間の作業に伴って、ロープが劣化、損傷することがある。
【0003】
特許文献1には、起伏用ロープが塗料によってコーティングされるとともに、ガントリの頂部に固定されたカメラによって、前記塗料の色および剥がれを撮影することで、前記ロープの寿命を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-117989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、ロープ検査装置としてのカメラがガントリの頂部に固定されており、クレーンの作業、例えばブームの起伏に応じてカメラとロープとの距離が変動するため、ロープの劣化を精度良く検出することが難しいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、作業機械に用いられるロープの劣化を精度良く検出することが可能なロープ検査装置およびこれを備えた作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるのは、機体と、前記機体に対して起伏可能な起伏体と、ウインチと、前記ウインチから引き出されるロープとを有する作業機械に装着される、ロープ検査装置である。前記ロープ検査装置は、前記ロープの劣化状態を検査可能なロープ検査器と、前記起伏体の先端部に装着される支持ユニットであって、前記ロープ検査器が前記ロープのうち前記先端部にそれぞれ配置されるアイドラシーブとポイントシーブとの間の部分を検査することが可能なように前記ロープ検査器を支持する支持ユニットと、を備える。
【0008】
本構成によれば、ロープ検査器が、アイドラシーブとポイントシーブとの間のロープ部分の劣化状態を検査することができる。当該ロープ部分はウインチから充分離れているため、ウインチにおけるロープ繰り出し位置の変化があってもロープの動きが少なく、ロープの劣化を安定して精度良く検出することができる。また、相対的に小型のロープ検査器でもロープの検査を行うことが可能になる。更に、ポイントシーブと吊りフックに設けられたフックシーブとの間における巻掛け本数が複数の場合であっても、アイドラシーブとポイントシーブとの間のロープが1本の部分においてロープの検査を容易に行うことができる。更に、ロープの検査を行うために専用のシーブを追加する必要がないため、起伏体の重量増加を抑制することができる。
【0009】
上記の構成において、前記支持ユニットは、前記起伏体の先端部に左右方向に間隔をおいて配置され、前記ロープ検査器を支持する左右一対の支持部を有し、前記左右一対の支持部の各々は、前記起伏体の前記先端部に対する前記ロープ検査器の相対高さを調整可能な高さ調整部を有するものでもよい。
【0010】
本構成によれば、作業機械の仕様に応じてアイドラシーブとポイントシーブとの相対的な位置関係が異なる場合であっても、前記仕様に応じて適切な位置でロープの検査を行うことができる。
【0011】
上記の構成において、前記支持ユニットは、前記起伏体の先端部に左右方向に間隔をおいて配置され、前記ロープ検査器を支持する左右一対の支持部と、左右方向に延びる回転軸を中心とする前記左右一対の支持部の回転を規制する左右一対の回転規制部と、を有するものでもよい。
【0012】
本構成によれば、ロープ検査器を支持する左右一対の支持部の回転を規制することができるため、前記支持部と周辺の構造物との干渉を抑止することができる。
【0013】
上記の構成において、前記支持ユニットは、支持ピンと、前記支持ピンが延びる方向に沿って前記支持ピンに対して相対移動可能なように前記支持ピンに保持され、前記ロープ検査器を支持するホルダと、を有するものでもよい。
【0014】
本構成によれば、作業機械の仕様に応じてアイドラシーブとポイントシーブとの左右方向における相対位置が異なる場合があっても、ロープの位置に応じた適切な位置にロープ検査器を配置することができる。
【0015】
上記の構成において、前記支持ユニットは、前記機体に対する前記起伏体の所定の起伏角度において前記ロープに接触することで、前記ロープと前記ロープ検査器との接触を阻止する起伏用支持部材を更に備えるものでもよい。
【0016】
本構成によれば、起伏体の起伏動作によってロープ検査器の姿勢が不安定になることがあっても、起伏用支持部材がロープに接触することで、ロープとロープ検査器との強い接触を抑止することができる。
【0017】
上記の構成において、前記起伏用支持部材は、前記ロープを支持可能な外周面を含む少なくとも一つのローラーを有するものでもよい。
【0018】
本構成によれば、ローラーの外周面でロープを受け止めることで、起伏用支持部材によるロープの損傷を防止することができる。
【0019】
上記の構成において、前記少なくとも一つのローラーは、前記ロープが延びる方向における前記ロープ検査器の両側にそれぞれ配置される一対のローラーを含むものでもよい。
【0020】
本構成によれば、ロープ検査器の両側でロープを受けることで、ロープ検査器とロープとの相対的な位置関係を安定して保持することができる。
【0021】
上記の構成において、前記少なくとも一つのローラーは、前記ロープが延びる方向と直交する方向において前記ロープの両側にそれぞれ配置される一対のローラーを含むものでもよい。
【0022】
本構成によれば、ロープを挟むように一対のローラーが配置されるため、さまざまな起伏体の姿勢においても、ロープ検査器とロープとの強い接触を抑止することができる。
【0023】
上記の構成において、前記起伏体はブームであって、前記支持ユニットは、前記ブームの先端部にジブを装着するためのジブ連結ピンによって前記ブームの先端部に装着されるものでもよい。
【0024】
本構成によれば、ジブをブームの先端部に装着するためのジブ連結ピンを利用して、ロープ検査器をブームの先端部に装着することができる。
【0025】
上記の構成において、前記支持ユニットは、補助シーブを含む補助シーブユニットを前記起伏体の前記先端部に装着するための補助シーブ連結ピンによって前記起伏体の前記先端部に装着されるものでもよい。
【0026】
本構成によれば、補助シーブユニットを起伏体の先端部に装着するための補助シーブ連結ピンを利用して、ロープ検査器を起伏体の先端部に装着することができる。
【0027】
また、本発明によって提供されるのは、機体と、前記機体に対して起伏可能な起伏体と、ウインチと、前記ウインチから引き出されるロープと、上記に記載のロープ検査装置と、を備える作業機械である。
【0028】
本構成によれば、作業機械において、ウインチから引き出されるロープの劣化を精度良く検出することが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、作業機械に用いられるロープの劣化を精度良く検出することが可能なロープ検査装置およびこれを備えた作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1実施形態に係るクレーンの側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るクレーンのブームの先端部の側面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るクレーンのロープ検査装置の正面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るクレーンのロープ検査装置の支持脚部の側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るクレーンのロープ検査装置のロープ検査器の側面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るクレーンのロープ検査装置のロープ検査器の斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るクレーンのブームの先端部の側面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るクレーンのロープ検査装置の正面図である。
図9図8の矢印IX-IX位置における断面図である。
図10】本発明の第1変形実施形態に係るクレーンのブームの先端部の側面図である。
図11】本発明の第2変形実施形態に係るクレーンのブームの先端部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るクレーン1(作業機械)の側面図である。なお、図1において、紙面と直交する方向が、左右方向に相当する。
【0032】
クレーン1は、上部旋回体12と、下部走行体14と、ブーム16(起伏体)と、下部スプレッダ19Aと、上部スプレッダ19Bと、左右一対のブームガイライン20と、ガントリ21と、ブーム起伏ロープ22と、ブーム起伏ウインチ30と、主巻ウインチ34と、補巻ウインチ35と、カウンタウエイト40と、左右一対のバックストップ45とを備えている。更に、クレーン1は、主巻ロープ51と、補巻ロープ52と、主フック53と、補フック54と、を備えている。なお、以下の説明では、左右一対の部材については、左右の構造が同じであるため、左右一方の構造について説明する。
【0033】
上部旋回体12は、クレーン1のクレーン本体(機体)を構成し、上下方向に延びる旋回中心軸回りに旋回可能なように下部走行体14に支持されている。下部走行体14は地面Gなどの走行面を走行可能である。
【0034】
ブーム16は、上部旋回体12に起伏可能に支持されている。本実施形態では、ブーム16の基端部に備えられたブームフット16Sが、上部旋回体12の不図示の軸支部に回動可能に支持される。一例としてブーム16は、いわゆるラチス型であり、複数のブーム部材が互いに連結されることで構成される。ブーム16の構造はこれに限定されるものではなく、箱型構造や伸縮自在な構造などでもよい。また、ブーム16を支持する位置についても、上部旋回体12の前側に限定されるものではなく、後側でもよい。ブーム16の背面には、左右一対のバックストップ45が支持されている。これらのバックストップ45は、ブーム16の起立姿勢(クレーン1の作業姿勢)において、上部旋回体12にそれぞれ当接することで、ブーム16を後方から支持する。この当接によって、バックストップ45は、上部旋回体12とブーム16との間に介在し、ブーム16が強風等で後方に煽られることを規制する。
【0035】
下部スプレッダ19Aは、ガントリ21の先端部に接続されており、不図示の下部シーブブロックを有する。下部シーブブロックには、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。
【0036】
上部スプレッダ19Bは、下部スプレッダ19Aの前方に所定の間隔をおいて配置される。上部スプレッダ19Bは、ブームガイライン20を介してブーム先端部に接続される。上部スプレッダ19Bは、不図示の上部シーブブロックを有する。上部シーブブロックには、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。
【0037】
左右一対のブームガイライン20は、図1の紙面と直交する左右方向に互いに間隔をおいて配置されている。各ブームガイライン20の後端部は上部スプレッダ19Bに接続され、各ブームガイライン20の前端部はブーム16の先端部に着脱可能に接続される。ブームガイライン20は、ガイリンク(金属製の板材)、ガイロープ、ガイワイヤ(金属製の線材)などのいずれの構造でもよい。
【0038】
ガントリ21は、ブーム16の後方において上部旋回体12に支持されている。図1に示すように、ガントリ21は、上部旋回体12との間で略三角形を形成する2本の構造体(コンプレッションメンバ21A、テンションメンバ21B)から構成される。テンションメンバ21Bは、上部旋回体12の後端部から略鉛直上方に延びている。コンプレッションメンバ21Aは、テンションメンバ21Bの上端部と上部旋回体12の略中央部分とを斜め方向に沿って接続する。ガントリ21は、ブーム16が起伏可能なように当該ブーム16を後方から支持する。
【0039】
ブーム起伏ロープ22は、ブーム起伏ウインチ30から引き出され、テンションメンバ21Bの先端部に配置されたシーブに掛けられた後、下部スプレッダ19Aの前記下部シーブブロックと上部スプレッダ19Bの前記上部シーブブロックとの間で複数回掛け回される。なお、前記下部シーブブロックおよび前記上部シーブブロックに掛け回された後のブーム起伏ロープ22の先端部は、ガントリ21の先端部(上端部)に固定される。
【0040】
ブーム起伏ウインチ30は、上部旋回体12に配置される。ブーム起伏ウインチ30は、ブーム起伏ロープ22の巻き取りおよび繰り出しを行うことで下部スプレッダ19Aの下部シーブブロックと上部スプレッダ19Bの上部シーブブロックとの間の距離を変化させ、ブーム16をガントリ21に対して相対的に回動させながらブーム16を起伏させる。
【0041】
主巻ウインチ34(ウインチ)は、主巻ロープ51(ロープ)による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。なお、図1に示すように、主巻ロープ51は、主巻ウインチ34から斜め前方かつ上方に向かって延びるように配置されている。この主巻について、ブーム16の先端部にはアイドラシーブ16Aおよびポイントシーブ16Bが設けられている。主巻ウインチ34から引き出されるとともにアイドラシーブ16Aを経由してポイントシーブ16Bから垂下された主巻ロープ51には、吊り荷に接続される主フック53が連結されている。従って、主巻ウインチ34が主巻ロープ51の巻き取りや繰り出しを行うと、主フック53の巻上げ及び巻下げが行われる。
【0042】
同様にして、補巻ウインチ35(ウインチ)は、補巻ロープ52(ロープ)による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻について、ブーム16の先端部には補助シーブ16Cが設けられている。補巻ウインチ35から引き出され補助シーブ16Cから垂下された補巻ロープ52には、吊り荷に接続される補フック54が連結されている。そして、補巻ウインチ35が補巻ロープ52の巻き取りや繰り出しを行うと、補巻ロープ52の末端に連結された吊荷用の補フック54が巻上げられ、または巻下げられる。なお、補助シーブ16Cの代わりに不図示の補巻用ポイントシーブが設けられても良い。
【0043】
また、カウンタウエイト40は上部旋回体12の後部に、クレーン1のバランスを調整するために積載されている錘である。
【0044】
クレーン1は、ロープ検査装置7を更に備える。図2は、本実施形態に係るクレーン1のブーム16の先端部の側面図である。図3は、ロープ検査装置7の正面図である。図4は、ロープ検査装置7の支持脚部90の側面図である。図5は、ロープ検査装置7のロープ検査器70の側面図である。なお、図2に示される方向は、ブーム16が倒伏した状態に対応して示されており、図3図4および図5に示される方向は、ブーム16が起立した状態に対応して示されている。図6は、ロープ検査器70の斜視図である。
【0045】
図2を参照して、ブーム16は、ブームトップ16Tを有する。ブームトップ16Tは、ブーム16の先端部に相当する。本実施形態では、ロープ検査装置7は、ブームトップ16Tに装着され、主巻ロープ51の劣化、損傷具合を検査する。当該ロープ検査装置7は、ブームトップ16Tに対して着脱可能とされている。ロープ検査装置7は、ロープ検査器70と、支持ユニット7Sとを有する。
【0046】
ロープ検査器70は、主巻ロープ51の劣化状態を検査することが可能である。本実施形態では、ロープ検査器70は、図6に示すように筒形状を有し、その筒状の内部空間に主巻ロープ51を受け入れる。ロープ検査器70は、前記内部空間に磁界を発生させ、当該磁界の変化によって主巻ロープ51の劣化を検出する。この際、ロープ検査器70が筒形状からなるため、主巻ロープ51の全周の状態を計測することができる。ロープ検査器70の内周面には、主巻ロープ51の摺動性を高めるための樹脂部材などが装着されてもよい。なお、ロープ検査器70が主巻ロープ51の劣化を検出するメカニズムは、上記の磁気的なものに限定されず、力学的、光学的なものでもよい。また、ロープ検査器70は筒形状に限定されず、主巻ロープ51に対向して配置される板状、直方体形状などでもよい。
【0047】
更に、ロープ検査器70は、主巻ロープ51に対する取付を容易とするために、複数の部分に分離可能であることが望ましい。例えば、ロープ検査器70は主巻ロープ51と直交する方向に沿って2つの部分に分離される。この場合、アイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間に主巻ロープ51が張架された状態で、ロープ検査器70の筒状内部に主巻ロープ51を収容することができる。なお、ロープ検査器70が分離不能な場合は、主巻ロープ51をアイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間に張架する作業時に、ロープ検査器70の内部に主巻ロープ51を挿通させればよい。
【0048】
支持ユニット7Sは、ブームトップ16Tに装着される。支持ユニット7Sは、主巻ロープ51の移動にロープ検査器70が追従可能なように、ロープ検査器70を支持する。特に、支持ユニット7Sは、主巻ロープ51が延びる方向と交差する方向における主巻ロープ51の移動に追従することが可能なように、ロープ検査器70を支持する。更に、本実施形態では、支持ユニット7Sは、ロープ検査器70が主巻ロープ51のうちブームトップ16Tにそれぞれ配置されるアイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間の部分を検査することが可能なようにロープ検査器70を支持する。
【0049】
支持ユニット7Sは、左右一対のピン支持部材72と、ホルダ支持ピン73(支持ピン)と、ホルダ75と、4つの検査器支持リンク76と、4つの検査器支持チェーン77と、左右一対の支持脚部90(支持部)と、左右一対の回転止め部95(回転規制部)とを有する。また、ブーム16のブームトップ16Tは、左右一対のユニット支持部160(図2図3)を有する。ユニット支持部160は、アイドラシーブ16Aを支持する支持部の近傍に配置されている。
【0050】
各ピン支持部材72は、支持脚部90によってユニット支持部160に固定されている。ホルダ支持ピン73は、左右一対のピン支持部材72を接続するように、左右方向(水平方向)に延びるピンである。ピン支持部材72には、ホルダ支持ピン73が挿入される不図示の孔部が形成されている。なお、ホルダ支持ピン73は、左右一対のピン支持部材72に対して左右方向に延びる回動中心軸回りに回動可能であってもよい。また、ホルダ75は、ホルダ支持ピン73に対して左右方向に延びる回動中心軸回りに回動可能であってもよい。これらの場合、主巻ロープ51の揺れやブーム16の起伏角に応じて、各部材が追従するように回動できる。また、クレーンの仕様に応じて、アイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの位置関係が異なる場合でも、ロープ検査器70や主巻ロープ51に掛かる負荷を低減しながら、ロープ検査器70を支持することができる。
【0051】
ホルダ75は、左右一対のピン支持部材72の間で、ホルダ支持ピン73に装着されている。ホルダ75にも、ホルダ支持ピン73が挿通される不図示の孔部が開口されている。ホルダ75は、ホルダ支持ピン73が延びる方向に沿ってホルダ支持ピン73に対して相対移動可能なようにホルダ支持ピン73に保持され、各検査器支持リンク76、検査器支持チェーン77を介してロープ検査器70を支持する。
【0052】
4つの検査器支持リンク76は、ホルダ75の前後左右の角部にそれぞれ装着されている。各検査器支持リンク76には、上下方向に延びる長穴が形成されている。各検査器支持チェーン77は、検査器支持リンク76の下端部に連結される上端部と、ロープ検査器70に連結される下端部とを有する。なお、検査器支持チェーン77の上端部は、検査器支持リンク76の長穴に挿通されるピン構造を有しており、この結果、図3において検査器支持チェーン77が検査器支持リンク76に対して上下に相対移動可能とされている。この場合、検査器支持チェーン77は、主巻ロープ51の上下方向における移動に追従してロープ検査器70が上下に移動することを許容する。
【0053】
また、図5に示すように、前側の2つの検査器支持チェーン77は、後側の2つの検査器支持チェーン77よりも短く設定されている。この結果、前側の検査器支持チェーン77および後側の検査器支持チェーン77は、ブームトップ16Tにおいて主巻ロープ51が延びる方向に沿ってロープ検査器70を傾けて支持することができる(図3参照)。
【0054】
左右一対の支持脚部90は、ブームトップ16Tに左右方向に間隔をおいて配置され、ロープ検査器70を支持する脚部である。各支持脚部90は、脚部本体91と、伸縮部92と、長さ調整ピン93(高さ調整部)とを有する。
【0055】
脚部本体91は支持脚部90の基端部を構成し、伸縮部92は支持脚部90の先端部を構成する。図3に示すように、伸縮部92は前述のピン支持部材72に接続されている。また、脚部本体91は筒形状からなり、伸縮部92の基端部側は脚部本体91の筒内に挿入されている。伸縮部92には複数のピン穴が形成されており、長さ調整ピン93の挿入先に応じて、脚部本体91に対する伸縮部92の相対位置、すなわち、支持脚部90の高さが調整される。この結果、ブームトップ16Tに対するロープ検査器70の相対高さが調整可能となる。
【0056】
回転止め部95は、脚部本体91の基端部に複数のボルトVによって固定されている。そして、回転止め部95は、固定ボルトVおよびナットNによってユニット支持部160
に固定される。この結果、回転止め部95は、左右方向に延びる回転軸を中心とする支持脚部90の回転を規制する。
【0057】
支持ユニット7Sは、一対のローラー取付部151と、4つの支持ローラー150とを有する。一対のローラー取付部151は、図3においてロープ検査器70の上部および下部にそれぞれ固定されている。なお、図5図6では、説明のために下方のローラー取付部151のみが図示されている。各支持ローラー150は、上部旋回体12に対するブーム16の所定の起伏角度において主巻ロープ51に接触することで、主巻ロープ51とロープ検査器70との接触を阻止する起伏用支持部材として機能する。検査器支持チェーン77とロープ検査器70との相対的な位置関係は、ブーム16の起伏角や主巻ロープ51の揺れなどによって変化しうる。検査器支持チェーン77が緩んだ場合には、上側の支持ローラー150が主巻ロープ51に載った状態で、ロープ検査器70と主巻ロープ51との位置関係が維持される。一方、検査器支持チェーン77が主巻ロープ51を引っ張った状態の場合には、下側の支持ローラー150が主巻ロープ51に接触することで、ロープ検査器70と主巻ロープ51との位置関係が維持される。
【0058】
各ローラー取付部151は、主巻ロープ51が延びる方向におけるロープ検査器70の両側において、一対の支持ローラー150をそれぞれ回転可能に支持している。支持ローラー150の回転軸は、主巻ロープ51と交差(直交)するように設定されている。また、図6に示すように、支持ローラー150の外周面は逆クラウン形状を有し、ブーム16の所定の起伏角度において主巻ロープ51を支持することができる。また、主巻ロープ51が延びる方向においてロープ検査器70の一端側および他端側の各々では、一対の支持ローラー150が、主巻ロープ51が延びる方向と直交する方向において主巻ロープ51の両側にそれぞれ配置され、主巻ロープ51を両側から挟むように配置されている(図3)。
【0059】
以上のように、本実施形態では、主巻ロープ51の劣化状態を検査可能なロープ検査器70が主巻ロープ51の移動に追従可能なように、支持ユニット7Sがロープ検査器70を支持している。この支持ユニット7Sはブームトップ16Tに装着されており、ロープ検査器70が、アイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間のロープ部分の劣化状態を検査することができる。当該ロープ部分は主巻ウインチ34から充分離れているため、主巻ウインチ34におけるロープ繰り出し位置の変化があっても主巻ロープ51の動きが少なく、主巻ロープ51の劣化を安定して精度良く検出することができる。なお、クレーン1における主巻ウインチ34の近傍においてロープ検査器70を配置しようとすると、主巻ウインチ34からの主巻ロープ51の繰出し位置の変化に応じてロープ検査器70を大きく動かす必要があるため、ロープ検査器70の劣化が促進されやすい。
【0060】
本実施形態では、このように主巻ロープ51の動きが少ない部分に配置されるため、相対的に小型のロープ検査器でも主巻ロープ51の検査を行うことが可能になる。更に、ポイントシーブ16Bと主フック53(吊りフック)に設けられたフックシーブとの間における主巻ロープ51の巻掛け本数が複数の場合であっても、アイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間の主巻ロープ51が1本の部分において主巻ロープ51の検査を容易に行うことができる。
【0061】
なお、クレーン1の作業現場では、従来から作業者によるロープの定期的な目視点検が実施されているが、この場合、目視点検を行う作業者の見落としにより、ロープの劣化が進行し、重症化することがある。本実施形態では、ロープ検査器70が検出する主巻ロープ51の劣化情報がクレーン1のキャブ内の制御部に送信されることによって、クレーン1の作業中であっても主巻ロープ51の劣化状態を把握することが可能になる。
【0062】
また、仮にロープ検査装置7が大型になると、その重量の影響を受けてブーム16の自立等が厳しくなる。本実施形態では、アイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間において、小型のロープ検査器70によって主巻ロープ51の検査を行うことが可能であるため、ブーム16の自立に影響を及ぼすことが低減される。
【0063】
更に、本実施形態では、主巻ロープ51の検査を行うために専用のシーブを追加する必要がないため、ブーム16の重量増加を抑制することができる。この結果、クレーン1の吊り上げ性能の低下を防止することができる。
【0064】
また、移動式クレーンでは、現場毎に、分解、輸送を行うことが多い。そして、ブーム16などの構成部材について輸送重量の制約が厳しい場合、周辺の点検装置などを取り外す必要が有る。本実施形態では、ロープ検査装置7がブームトップ16Tに対して着脱可能であるため、分解、輸送時にロープ検査装置7を取り外した状態でブーム16(ブームトップ16T)を輸送することも可能となる。
【0065】
なお、ロープ検査装置7による主巻ロープ51の検査は、クレーン1の作業中に行われても良いし、前記作業の終了後、または、開始前に行われても良い。いずれの場合も、主巻ロープ51を点検するために、ブーム16を上部旋回体12に対して倒伏させる必要がない。また、本実施形態では、ロープ検査装置7による主巻ロープ51の常時監視が可能になるため、作業者の目視による検査、確認の場合と比較して、見落としによる主巻ロープ51の損傷の重症化を防止することができる。また、クレーン1の作業現場が狭く、ロープ検査装置7の着脱作業が困難な場合には、ロープ検査装置7をクレーン1に装着したままとすることができる。
【0066】
更に、クレーン1の仕様に応じてロープ検査器70の位置を調整したい場合には、支持脚部90の長さ調整ピン93によって、伸縮部92を脚部本体91に対して相対的に移動させることで、ブームトップ16Tに対するロープ検査器70の高さを容易かつ精度良く調整することができる。したがって、クレーン1の仕様に応じてアイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの相対的な位置関係が異なる場合であっても、前記仕様に応じて適切な位置で主巻ロープ51の検査を行うことができる。なお、脚部本体91および伸縮部92は、油圧シリンダに例示されるシリンダ構造をもって伸縮部92が脚部本体91に対して伸縮するものでもよい。この場合、クレーン1の仕様に応じたロープ位置の上下移動に応じて、ロープ検査器70が前記ロープの移動に追従可能なように油圧シリンダを伸縮させてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、回転止め部95がボルトVおよびナットNによってユニット支持部160に固定されていることで、ロープ検査器70を支持する支持脚部90のユニット支持部160(ブームトップ16T)に対する回転を規制することができる。この結果、支持脚部90と周辺の構造物との干渉を抑止することができる。
【0068】
また、本実施形態では、ホルダ75がホルダ支持ピン73に沿って移動することができる。このため、クレーン1の仕様に応じてアイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの左右方向における相対位置が異なる場合であっても、主巻ロープ51の位置に応じた適切な位置にロープ検査器70を配置することができる。
【0069】
また、本実施形態では、ロープ検査器70の周囲に支持ローラー150が配置されている。このため、ブーム16の起伏動作によってロープ検査器70の姿勢が不安定になることがあっても、各支持ローラー150が主巻ロープ51に接触することで、主巻ロープ51とロープ検査器70との強い接触を抑止することができる。
【0070】
特に、支持ローラー150の外周面が主巻ロープ51を受け止めることで、支持ローラー150との接触による主巻ロープ51の損傷を防止することができる。
【0071】
この際、主巻ロープ51が延びる方向に沿ってロープ検査器70の両側で一対の支持ローラー150が主巻ロープ51を受けることで、ロープ検査器70と主巻ロープ51との相対的な位置関係を安定して保持することができる。
【0072】
更に、ロープ検査器70の一端側において、主巻ロープ51を挟むように一対の支持ローラー150が配置されるため、さまざまなブーム16の姿勢においても、ロープ検査器70と主巻ロープ51との強い接触を抑止することができる。なお、ロープ検査器70の一端側において、主巻ロープ51の上側のみに支持ローラー150が配置されてもよいし、下側のみに支持ローラー150が配置されてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、検査器支持リンク76および検査器支持チェーン77がロープ検査器70を揺動可能に支持しているため、主巻ロープ51の位置が変化した場合であっても、ロープ検査器70が主巻ロープ51に容易に追従して移動することができる。
【0074】
更に、本実施形態では、前後の検査器支持チェーン77の長さが異なるように設定されているため、主巻ロープ51が主巻ウインチ34から延びる方向に沿って、ロープ検査器70の姿勢を傾けて維持することができる。なお、前後の検査器支持チェーン77の長さは同じでもよい。
【0075】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るロープ検査装置7について説明する。図7は、本実施形態に係るクレーン1のブーム16の先端部の側面図である。図8は、本実施形態に係るクレーン1のロープ検査装置7の正面図である。図9は、図8の矢印IX-IX位置における断面図である。なお、本実施形態では、先の第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0076】
図7に示すように、本実施形態では、先の第1実施形態よりもブームトップ16Tの先端側にロープ検査装置7が装着されている。具体的に、本実施形態に係るクレーン1では、ブーム16のブームトップ16Tに不図示のジブが連結可能とされている。そして、ロープ検査装置7の支持ユニット7Sは、このジブがブームトップ16Tに装着される際に使用される固定ジブ連結ピン16Pを用いて、ブームトップ16Tに連結されている。
【0077】
すなわち、本実施形態では、図8に示すように支持ユニット7Sが左右一対の支持脚部96を有する。支持脚部96は、固定ジブ連結ピン16P(ジブ連結ピン)によってブームトップ16Tに連結されている。固定ジブ連結ピン16Pはブームトップ16Tに挿通されている。なお、支持脚部96は固定ジブ連結ピン16Pに回動可能に支持されてもよい。この場合、主巻ロープ51に対するロープ検査器70の追従を容易に行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では、先の第1実施形態のように支持ユニット7Sが検査器支持リンク76、検査器支持チェーン77を備えておらず、図8図9に示すようにホルダ75に上下一対のローラー取付部151が装着され、当該一対のローラー取付部151の間にロープ検査器70が保持されている。
【0079】
以上のように、本実施形態においても、主巻ロープ51の劣化状態を検査可能なロープ検査器70が主巻ロープ51の移動に追従可能なように、支持ユニット7Sがロープ検査器70を支持している。この支持ユニット7Sはブームトップ16Tに装着されており、ロープ検査器70が、アイドラシーブ16Aとポイントシーブ16Bとの間のロープ部分の劣化状態を検査することができる。また、ジブをブームトップ16Tに連結するための固定ジブ連結ピン16Pを利用してロープ検査器70をブームトップ16Tに装着することができるため、ロープ検査装置7のコストを低減することができる。
【0080】
以上、本発明の各実施形態に係るロープ検査装置7およびこれを備えたクレーン1について説明した。上記のようなロープ検査装置7を備えたクレーン1によれば、ロープ検査器70が主巻ロープ51の検査を安定して行うことができる。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明では、以下のような変形実施形態が可能である。
【0081】
(1)ロープ検査装置7がロープ検査器70を支持する構造は、リンク、ケーブル、ワイヤなどによって支持されるものでもよいし、その他のガイド部材やレール部材に沿って移動可能なように支持されるものでもよい。
【0082】
(2)また、上記の各実施形態の構成、特徴は、相互に組み合わせることができる。
【0083】
(3)また、上記の実施形態では、図1に示すクレーン1を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構造を備えたクレーンにも適用可能である。すなわち、本発明が適用されるクレーンは、前記ガントリの代わりにラチスマスト(マスト)が備えられるものでもよく、各ウインチは当該ラチスマストやブームに配置されてもよい。また、箱マスト(マスト)の起伏によってブームを起伏させる構造でもよい。更に、クレーン1は、フロントストラットおよびリヤストラットなどのストラットを有し、ブーム16の先端部にジブを有するものでもよい。この場合、上記の各実施形態の構成をジブの先端部に配置することで、ジブの先端部において各ロープを検査してもよい。また、下部走行体14の走行構造はクローラでもタイヤでもよいし、下部走行体14に代えて固定式の下部本体が設けられても良い。また、本発明に係る作業機械はクレーンに限定されるものではなく、その他の態様でもよい。
【0084】
(4)図10は、本発明の第1変形実施形態に係るクレーン1のブーム16の先端部の側面図である。先の第1、第2実施形態では、ロープ検査装置7のロープ検査器70が主巻ロープ51の劣化を検査する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本変形実施形態では、ロープ検査器70が補巻ロープ52の劣化を検査する。
【0085】
また、補巻ロープ52は、補助シーブ支持ユニット180が有する補助シーブ16C(ポイントシーブ)を経由して、図1の補フック54に接続される。補助シーブ支持ユニット180は、側面視で略三角形状を有するユニットであり、一の頂点には補助シーブ16Cを回転可能に支持する補助シーブ軸部181が配置されている。また、他の2つの頂点には第1固定部182、第2固定部183が配置され、それぞれブームトップ16Tに固定される。
【0086】
一方、本変形実施形態では、ロープ検査装置7の支持ユニット7Sが、第2実施形態(図7)と前後で反転された状態でブームトップ16Tに装着される。すなわち、図7図10とでは、左右一対の支持脚部96(図8)の接続先が左右で反転されている。
【0087】
このような構成によれば、アイドラシーブ16Aと、ブームトップ16Tに装着された補助シーブ支持ユニット180の補助シーブ16Cと間に張架された補巻ロープ52の検査をロープ検査器70によって精度良く行うことができる。この領域でも、補巻ロープ52の動きが少なく、また、補巻ロープ52が1本の領域であるため、ロープ検査器70に要求される動きも少なく、ロープ検査器70の劣化、損傷も抑制される。なお、図10のように、アイドラシーブ16Aと補助シーブ16Cとの間のスペースが比較的大きいクレーン1に対して、図2または図7に示されるロープ検査装置7が装着されてもよい。この場合、支持ユニット7Sの取付方向、取付姿勢などを変更(反転)してもよい。
【0088】
(5)図11は、本発明の第2変形実施形態に係るクレーン1のブーム16の先端部の側面図である。本変形実施形態では、上記の第1変形実施形態と比較して、ブームトップ16Tの形状、補助シーブ16Cの支持構造が異なる点で相違する。また、ロープ検査装置7の支持ユニット7Sの支持脚部96(図8)は、リンク取付ピン16Q(補助シーブ連結ピン)によってブームトップ16Tに装着されている。リンク取付ピン16Qは、補助シーブ支持ユニット180(補助シーブユニット)をブームトップ16Tに取り付けるためのピンである。このような構成によれば、補助シーブ支持ユニット180をブームトップ16Tに装着するためのリンク取付ピン16Qを利用して、ロープ検査器70をブームトップ16Tに装着することができる。
【0089】
なお、図11に示すように、上記のリンク取付ピン16Qによって支持ユニット7Sおよび補助シーブ支持ユニット180をブームトップ16Tに装着、支持する場合には、リンク取付ピン16Qとして段付きピンを用いても良い。
【符号の説明】
【0090】
1 クレーン(作業機械)
12 上部旋回体(機体)
14 下部走行体
16 ブーム(起伏体)
160 アイドラシーブ支持部
16A アイドラシーブ
16B ポイントシーブ
16C 補助シーブ
16P 固定ジブ連結ピン(ジブ連結ピン)
16Q リンク取付ピン(補助シーブ連結ピン)
16S ブームフット
16T ブームトップ
34 主巻ウインチ(ウインチ)
35 補巻ウインチ
51 主巻ロープ(ロープ)
52 補巻ロープ
53 主フック
54 補フック
7 ロープ検査装置
70 ロープ検査器
71 クランプ部
72 ピン支持部材
73 ホルダ支持ピン(支持ピン)
75 ホルダ
76 ロープ層変化対応リンク
77 検出器支持チェーン
7S 支持ユニット
90 支持脚部(支持部)
91 脚部本体
92 伸縮部
93 長さ調整ピン(高さ調整部)
95 回転止め部(回転規制部)
96 支持脚部
150 支持ローラ(起伏用支持部材、ローラ)
151 ローラ取付部
180 補助シーブ支持ユニット
181 補助シーブ軸部
182 第1固定部
183 第2固定部
G 地面
N ナット
V ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11