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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080846
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】用紙検査装置、用紙検査方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240610BHJP
   B65C 9/46 20060101ALI20240610BHJP
   B41J 3/01 20060101ALI20240610BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B65C9/46
B41J3/01
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194133
(22)【出願日】2022-12-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月13日に出願人から株式会社MonotaRO 猪名川ディストリビューションセンターに出願に係る装置を販売、納品した。
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】清田 伸樹
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
3E095
【Fターム(参考)】
2C055JJ00
2C055JJ08
2C055JJ11
2C061AQ04
2C061AS06
2C061HJ01
2C061HJ02
2C061HN22
2C061KK26
2C061KK28
3E095AA01
3E095BA02
3E095CA02
3E095DA03
3E095DA63
3E095EA02
3E095EA10
3E095EA13
3E095EA22
3E095EA26
3E095FA03
3E095FA08
(57)【要約】
【課題】印字後に排出口から排出された用紙に印字されている識別コードを検査しつつ、用紙の移動のために用紙を吸着部に吸着させる場合に、排出口から吸着部への受け渡しをより安定的に行うようにする。
【解決手段】本発明のある態様は、用紙を排出口に向かって搬送する搬送部と、排出口に向かう用紙の印字面の少なくとも搬送方向上流側の部分に、識別コードを含む情報を印字する印字部と、排出された用紙の印字面の搬送方向上流側の部分が露出した状態で、用紙を吸着する吸着部と、排出口から排出された用紙の印字面に対向する位置に配置され、吸着された用紙の搬送方向上流側の部分に印字された識別コードを検査する検査部と、印字済みの用紙が排出口から排出されるときに吸着部を排出口に近付く方向に移動させ、排出された印字済みの用紙を吸着した後に吸着部を排出口から遠ざかる方向に移動させる移動装置と、を備えた用紙検査装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を排出口に向かって搬送する搬送部と、
前記排出口に向かう前記用紙の印字面の少なくとも搬送方向上流側の部分に、識別コードを含む情報を印字する印字部と、
前記排出口から排出された前記用紙の印字面の前記搬送方向上流側の部分が露出した状態で、前記用紙を吸着する吸着部と、
前記排出口から排出された用紙の印字面に対向する位置に配置され、前記吸着部に吸着された用紙の前記搬送方向上流側の部分に印字された識別コードを検査する検査部と、
前記印字済みの用紙が前記排出口から排出されるときに前記吸着部を前記排出口に近付く方向に移動させ、排出された前記印字済みの用紙を前記吸着部が吸着した後に前記吸着部を前記排出口から遠ざかる方向に移動させる移動装置と、
を備えた、用紙検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記識別コードを読み取る光学センサを有し、
前記光学センサは、前記移動装置が前記吸着部を前記排出口から遠ざかる方向に移動させている間に、前記吸着部に吸着された前記印字済みの用紙に印字された前記識別コードを読み取る、
請求項1に記載された用紙検査装置。
【請求項3】
前記印字済みの用紙を前記排出口から排出するときに前記排出口から前記用紙の先頭までの距離を制御し、それによって、前記吸着部から露出する前記用紙の印字面の搬送方向の長さを制御する制御部を備えた、
請求項1に記載された用紙検査装置。
【請求項4】
前記検査部による前記識別コードの検査結果がエラーである場合、前記搬送部、前記印字部、及び前記移動装置の少なくともいずれかを停止させる制御部を備えた、
請求項1から3のいずれか一項に記載された用紙検査装置。
【請求項5】
用紙を排出口に向かって搬送させ、前記排出口に向かう前記用紙の印字面の少なくとも搬送方向上流側の部分に、識別コードを含む情報を印字するステップと、
吸着部により、前記排出口から排出された前記用紙の印字面の前記搬送方向上流側の部分が露出した状態で、前記用紙を吸着させるステップと、
前記排出口から排出された用紙の印字面に対向する位置において、前記吸着部に吸着された用紙の前記搬送方向上流側の部分に印字された識別コードを検査するステップと、
前記印字済みの用紙が前記排出口から排出されたときに前記吸着部を前記排出口に近付く方向に移動させるステップと、
排出された前記印字済みの用紙を前記吸着部が吸着した後に前記吸着部を前記排出口から遠ざかる方向に移動させるステップと、
を含む、用紙検査方法。
【請求項6】
前記検査するステップでは、光学センサを用いて、前記吸着部が前記排出口から遠ざかる方向に移動している間に、前記吸着部に吸着された前記印字済みの用紙に印字された前記識別コードを読み取る、
請求項5に記載された用紙検査方法。
【請求項7】
前記印字済みの用紙を前記排出口から排出するときに前記排出口から前記用紙の先頭までの距離を制御し、それによって、前記吸着部から露出する前記用紙の印字面の搬送方向の長さを制御するステップをさらに含む、
請求項5に記載された用紙検査方法。
【請求項8】
前記検査するステップにおいて前記識別コードの検査結果がエラーである場合、前記用紙の搬送を停止させること、前記用紙に対する印字を停止させること、及び、前記吸着部を移動させることを停止させることの少なくともいずれかを実行するステップをさらに含む、
請求項5から7のいずれか一項に記載された用紙検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙検査装置、及び、用紙検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドにて用紙にバーコードを印字したラベルを発行し、発行したラベルのバーコードが正常か否かチェックする機能を備えた用紙検査装置が知られている。
例えば、特許文献1には、台紙から剥離可能なラベル用紙にサーマルヘッドにてバーコードを印字し、そのラベル用紙をディスペンサにより台紙から剥離すると共に、ディスペンサに近接する貼付部の吸着面にラベル用紙を吸着させ、そのラベル用紙を商品に貼付するラベル印字貼付装置が記載されている。このラベル印字貼付装置では、ラベル用紙に印字されたバーコードが正常か否かをチェックするレーザスキャナがサーマルヘッドの上方に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-262541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたラベル印字貼付装置では、特許文献1の図3及び図4に記載されるように、搬送方向下流側の部分にバーコードが印字され、この搬送方向下流側の部分がディスペンサにより剥離される。剥離された後のラベルは、ラベル貼付部のラベル保持面板(吸着板)に吸着保持される。この従来のラベル印字貼付装置では、レーザスキャナの照射位置がサーマルヘッドとラベル貼付部の所定の間隔(特許文献1の図4のL1を参照)に位置するため、この間隔を越えてラベルを吸着板に受け渡す必要がある。しかし、この間隔が設けられていることは、ラベルの搬送方向の下流側の先端が吸着板の当接することでラベルの詰まり(ジャム)が発生する等、ラベルの安定した受け渡しを阻害する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、印字後に排出口から排出された用紙に印字されている識別コードを検査しつつ、用紙の移動のために用紙を吸着部に吸着させる場合に、排出口から吸着部への受け渡しをより安定的に行うようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、用紙を排出口に向かって搬送する搬送部と、
前記排出口に向かう前記用紙の印字面の少なくとも搬送方向上流側の部分に、識別コードを含む情報を印字する印字部と、
前記排出口から排出された前記用紙の印字面の前記搬送方向上流側の部分が露出した状態で、前記用紙を吸着する吸着部と、
前記排出口から排出された用紙の印字面に対向する位置に配置され、前記吸着部に吸着された用紙の前記搬送方向上流側の部分に印字された識別コードを検査する検査部と、
前記印字済みの用紙が前記排出口から排出されるときに前記吸着部を前記排出口に近付く方向に移動させ、排出された前記印字済みの用紙を前記吸着部が吸着した後に前記吸着部を前記排出口から遠ざかる方向に移動させる移動装置と、
を備えた、用紙検査装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、印字後に排出口から排出された用紙に印字されている識別コードを検査しつつ、用紙の移動のために用紙を吸着部に吸着させる場合に、排出口から吸着部への受け渡しをより安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の用紙検査装置のシステム構成の一例を示す図である。
図2】一実施形態の用紙検査装置のプリンタの内部を示す図である。
図3】一実施形態の用紙検査装置の検査対象となる用紙を例示する図である。
図4】一実施形態の用紙検査装置の動作を時間の経過に従って示す図である。
図5】一実施形態の用紙検査装置の動作を時間の経過に従って示す図である。
図6】一実施形態の用紙検査装置を構成する各部を示す図である。
図7】用紙支持板を含む用紙検査装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の用紙検査装置、及び、用紙検査方法の一実施形態について説明する。なお、以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
本発明のある態様の第1の態様は、以下の構成を備えた用紙検査装置である。
・用紙を排出口に向かって搬送する搬送部
・前記排出口に向かう前記用紙の印字面の少なくとも搬送方向上流側の部分に、識別コードを含む情報を印字する印字部
・前記排出口から排出された前記用紙の印字面の前記搬送方向上流側の部分が露出した状態で、前記用紙を吸着する吸着部
・前記排出口から排出された用紙の印字面に対向する位置に配置され、前記吸着部に吸着された用紙の前記搬送方向上流側の部分に印字された識別コードを検査する検査部
・前記印字済みの用紙が前記排出口から排出されるときに前記吸着部を前記排出口に近付く方向に移動させ、排出された前記印字済みの用紙を前記吸着部が吸着した後に前記吸着部を前記排出口から遠ざかる方向に移動させる移動装置
【0010】
本発明のある態様の第1の態様によれば、印字後に排出口から排出された用紙に印字されている識別コードを検査しつつ、用紙の移動のために用紙を吸着部に吸着させる場合に、排出口から吸着部への受け渡しをより安定的に行うことができる。
【0011】
本発明のある態様の第2の態様は、前記検査部が、前記識別コードを読み取る光学センサを有し、前記光学センサは、前記移動装置が前記吸着部を前記排出口から遠ざかる方向に移動させている間に、前記吸着部に吸着された前記印字済みの用紙に印字された前記識別コードを読み取る、第1の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第2の態様によれば、光学センサが識別コードを読み取る際に、光学センサから見て広い範囲の走査角度を確保することができ、安定的な読み取りを行うことができる。
【0012】
本発明のある態様の第3の態様は、前記印字済みの用紙を前記排出口から排出するときに前記排出口から前記用紙の先頭までの距離を制御し、それによって、前記吸着部から露出する前記用紙の印字面の搬送方向の長さを制御する制御部を備えた、第1又は第2の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第3の態様によれば、様々な大きさの識別コード、あるいは用紙における識別コードの印字位置に応じて、吸着された用紙上の識別コードが露出するように用紙の印字面の搬送方向の長さを適切に調整することができる。
【0013】
本発明のある態様の第4の態様は、前記検査部による前記識別コードの検査結果がエラーである場合、前記搬送部、前記印字部、及び前記移動装置の少なくともいずれかを停止させる制御部を備えた、第1の態様から第3の態様のいずれかに記載のプリンタである。
本発明のある態様の第4の態様によれば、検査結果がエラーである場合にその後の用紙の搬送、印字、又は移動が停止するため、検査結果がエラーである用紙を後工程に流すことが防止される。
【0014】
本発明のある態様の第5の態様は、以下の構成を含む用紙検査方法である。
・用紙を排出口に向かって搬送させ、前記排出口に向かう前記用紙の印字面の少なくとも搬送方向上流側の部分に、識別コードを含む情報を印字するステップ
・吸着部により、前記排出口から排出された前記用紙の印字面の前記搬送方向上流側の部分が露出した状態で、前記用紙を吸着させるステップ
・前記排出口から排出された用紙の印字面に対向する位置において、前記吸着部に吸着された用紙の前記搬送方向上流側の部分に印字された識別コードを検査するステップ
・前記印字済みの用紙が前記排出口から排出されたときに前記吸着部を前記排出口に近付く方向に移動させるステップ
・排出された前記印字済みの用紙を前記吸着部が吸着した後に前記吸着部を前記排出口から遠ざかる方向に移動させるステップ
【0015】
本発明のある態様の第5の態様によれば、印字後に排出口から排出された用紙に印字されている識別コードを検査しつつ、用紙の移動のために用紙を吸着部に吸着させる場合に、排出口から吸着部への受け渡しをより安定的に行うことができる。
【0016】
本発明のある態様の第6の態様は、前記検査するステップにおいて、光学センサを用いて、前記吸着部が前記排出口から遠ざかる方向に移動している間に、前記吸着部に吸着された前記印字済みの用紙に印字された前記識別コードを読み取る、第5の態様に記載の用紙検査方法である。
本発明のある態様の第6の態様によれば、光学センサが識別コードを読み取る際に、光学センサから見て広い範囲の走査角度を確保することができ、安定的な読み取りを行うことができる。
【0017】
本発明のある態様の第7の態様は、前記印字済みの用紙を前記排出口から排出するときに前記排出口から前記用紙の先頭までの距離を制御し、それによって、前記吸着部から露出する前記用紙の印字面の搬送方向の長さを制御するステップをさらに含む、第5又は第6の態様に記載の用紙検査方法である。
本発明のある態様の第7の態様によれば、様々な大きさの識別コード、あるいは用紙における識別コードの印字位置に応じて、吸着された用紙上の識別コードが露出するように用紙の印字面の搬送方向の長さを適切に調整することができる。
【0018】
本発明のある態様の第8の態様は、前記検査するステップにおいて前記識別コードの検査結果がエラーである場合、前記用紙の搬送を停止させること、前記用紙に対する印字を停止させること、及び、前記吸着部を移動させることを停止させることの少なくともいずれかを実行するステップをさらに含む、第5の態様から第7の態様のいずれか一つに記載された用紙検査方法である。
本発明のある態様の第8の態様によれば、検査結果がエラーである場合にその後の用紙の搬送、印字、又は移動が停止するため、検査結果がエラーである用紙を後工程に流すことが防止される。
【0019】
本発明のある態様の第9の態様は、前記吸着部に吸着された前記用紙の前記搬送方向上流側の部分を印字面の反対側の面で支持する用紙支持部を備えた、第1の態様から第4の態様のいずれかに記載のプリンタである。
本発明のある態様の第9の態様によれば、前記吸着部に吸着された状態において前記用紙の前記搬送方向上流側の部分が垂れ下がるのを防止でき、識別コードの検査をより精度良く実行できる。
【0020】
本発明のある態様の第10の態様は、前記識別コードは二次元コードであって、前記検査部は、前記識別コードを読み取る光学センサを有し、前記移動装置が、排出された前記印字済みの用紙を前記吸着部が吸着した後に前記印字済みの用紙の移動を停止させ、前記光学センサは、前記吸着部に吸着された前記印字済みの用紙の移動が停止している間に前記印字済みの用紙に印字された前記識別コードを読み取る、第1の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第10の態様によれば、用紙に印字された二次元コードを検査することができる。
【0021】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。
先ず、図1図3を参照して、一実施形態の用紙検査装置1の構成について説明する。図1は、一実施形態の用紙検査装置1のシステム構成の一例を示す図である。図2は、用紙検査装置1に含まれるプリンタ2の内部を示す図である。図3は、用紙検査装置1の検査対象となる用紙を例示する図である。
【0022】
図1を参照すると、用紙検査装置1は、プリンタ2及び駆動機構3(移動装置の一例)を備える。
用紙検査装置1は、支持台9に置かれるプリンタ2によって印字、排出された印字済み用紙の印字内容を検査し、検査済みの用紙を駆動機構3によって用紙収容部8に収容するように構成されている。
【0023】
ここで、図2を参照すると、プリンタ2の筐体21には、帯状の連続紙CPをロール状に巻回したロール紙Rが装填されている。プリンタ2のプラテンローラ22を回転させることで、ロール紙Rから連続紙CPを引き出し、引き出した連続紙CPの先頭部分(つまり、上流側の部分)の印字面にサーマルヘッド23により印字が行われる。印字が行われる際には、連続紙CPがサーマルヘッド23とプラテンローラ22によって所定の圧力で挟持される。印字された連続紙CPの先頭部分がカッタ24によって切断され、用紙PLが排出口28からプリンタ2の外部に排出される。
【0024】
図3に示す用紙PLの例は納品書であり、用紙PLの搬送方向の上流側の部分にバーコードbc(識別コードの一例)が印字されている。
【0025】
再度図1を参照すると、駆動機構3は、プリンタ2から排出された用紙PLを吸着し、用紙収容部8に移動させるために、プリンタ2の近傍に配置される。
駆動機構3は、吸着板31、エアホース34、本体部35、及び、エアシリンダ4を備える。本体部35は、エアホース34及びエアシリンダ4を支持するための構造物である。
エアシリンダ4は、シリンダチューブ41及びロッド42を含み、ロッド42の先端には吸着板31が取り付けられている。吸着板31の底部には吸着用の複数の孔が設けられており、この複数の孔により、プリンタ2から排出された用紙PLを吸着する。エアホース34の一端は吸着板31に連結され、エアホース34の他端は図示しない真空ポンプに接続されており、真空ポンプを動作させることで、エアホース34及び吸着板31の複数の孔を介して用紙PLを吸着(吸引)するように構成されている。
【0026】
図3では、プリンタ2から排出された用紙PLを吸着板31が吸着したときの、用紙PLと吸着板31の吸着面31Pとの位置関係を示している。図3に示すように、吸着板31は、排出口28から排出された用紙PLの印字面の搬送方向上流側の部分が露出した状態で、用紙PLを吸着する。図3に示すように、印字済みの用紙PLの印字面の露出した部分にはバーコードbcが印字されているため、印字済みの用紙PLを吸着板31により吸着した状態で、バーコードbcを読み取ることができる。
プリンタ2では、排出口28から排出された用紙PLの印字面の搬送方向上流側の部分が所定量露出するように、カッタ24の位置に応じた印字後の搬送量が設定されている。
【0027】
図2に示すように、プリンタ2の筐体21には、センサ取付部51を介して光学センサ5が取り付けられている。光学センサ5は、排出口28から排出された用紙PLの印字面に対向する位置に配置され、吸着板31に吸着された用紙PLの印字面の搬送方向上流側の部分に印字されたバーコードbcを読み取るために設けられている。図3に示すように、バーコードbcは、用紙PLが吸着面31Pに吸着された状態においても読み取り可能となるように露出している。
なお、光学センサ5は筐体21に取り付ける場合に限られず、支持台9に起立する取付部材に取り付けることで、光学センサ5を図2と同じ位置に配置するようにしてもよい。
【0028】
一実施形態では、光学センサ5は反射型センサであり、プリンタ2の排出口28を排出された用紙PLの印字面に向けて光を出射し、印字面からの反射光を受光できるように配置されている。一実施形態では、光学センサ5は、排出された用紙PLの印字面に直交する方向、又は、筐体21からの不要な反射光を受光しないように、印字面に直交する方向から少し前方(図2の搬送方向)に傾斜した方向に向けて光を出射する。
【0029】
図1に示す駆動機構3おいて、エアシリンダ4のロッド42は、方向D1又はD2に沿って昇降可能であり、それによってロッド42の先端に取り付けられた吸着板31が方向D1又はD2に沿って昇降可能となっている。図1に示す例では、方向D1が鉛直下向きであり、方向D2が鉛直上向きであるが、その限りではない。
【0030】
本体部35は、エアホース34及びエアシリンダ4のシリンダチューブ41を収容するとともに、吸着板31による吸着動作、及び、エアシリンダ4の動作を行うための装置(例えば、真空ポンプ、流体制御器、及び、エアコンプレッサ)を収容する。
駆動機構3はまた、図示しないモータによって方向D3又はD4に移動可能である。方向D3は、吸着板31を排出口28に近付ける方向である。方向D4は、吸着板31を排出口28から遠ざける方向である。駆動機構3が方向D3又はD4に沿って移動するときには、本体部35に収容されているエアシリンダ4及びロッド42の先端に取り付けられた吸着板31が一体的に、方向D3又はD4に沿って移動する。
【0031】
一実施形態では、用紙検査装置1の動作状態を示すための表示器17が設けられる。表示器17は、LED(Light Emitting Diode)を含み、用紙検査装置1の動作状態に応じて点灯状態や発光色を変化させる。例えば、用紙検査装置1が正常に稼動している状態と、用紙検査装置1に異常が発生した状態とで、表示器17の点灯状態や発光色を変化させる。別の例では、光学センサ5による検査結果がOKである場合とNGである場合とで、表示器17の点灯状態や発光色を変化させてもよい。
【0032】
次に、図4及び図5を参照して、用紙検査装置1の動作について説明する。
図4及び図5は、それぞれ用紙検査装置1の動作を時間の経過に従って示す図である。用紙検査装置1の動作状態は、時刻の経過に従って、図4及び図5に示す状態ST1~ST6を順に繰り返す。
【0033】
状態ST1では、用紙検査装置1の吸着板31は基準位置にある。なお、用紙収容部8は図4には図示していないが、基準位置の吸着板31は、用紙収容部8の直上にある。
状態ST1において、プリンタ2が連続紙の先頭部分(つまり、上流側の部分)に図3に例示したようにして印字を行い、印字済み用紙PLを排出口28から排出する。用紙PLが排出されるタイミングで、用紙検査装置1は、状態ST2に示すように、駆動機構3を方向D3に距離d移動させ、それによって、吸着板31をプリンタ2の排出口28に近付く方向に移動させる。排出口28から排出された用紙PLは、その印字面の搬送方向上流側の部分が所定量露出するようにして吸着板31に吸着される。吸着板31に吸着された状態の用紙PLの印字面の露出した部分には、バーコードbc(図3参照)が印字されている。
排出された用紙PLを吸着する際に吸着板31が排出口28に近付く方向に移動し、それによって吸着板31の排出口28の側の端部が排出口28に極めて近い位置となるため、排出口28から吸着板31への受け渡しを安定的に行うことができる。
【0034】
次いで、用紙検査装置1は、用紙PLを吸着した状態で駆動機構3を排出口28から離間する方向D4に、距離d移動させる。状態ST2から状態ST3に吸着板31が移動する間、すなわち、駆動機構3が吸着板31を排出口28から遠ざかる方向に移動させている間に、光学センサ5は、吸着板31に吸着された印字済みの用紙PLに印字されたバーコードbcを読み取る。光学センサ5がバーコードbcを読み取る際に、光学センサ5から見て広い範囲の走査角度を確保することができ、安定的な読み取りを行うことができる。
【0035】
次いで、図5の状態ST4に示すように、用紙検査装置1は、吸着板31が用紙PLを吸着した状態でエアシリンダ4のロッド42を、吸着された用紙PLが用紙収容部8の直上の位置に達するまで方向D1に沿って降下させる。状態ST5において、用紙検査装置1は、真空ポンプの動作を停止させて吸着板31による用紙PLの吸着を解除し、それによって吸着板31から離脱した用紙PLが自由落下し、用紙収容部8に収容される。その後、用紙検査装置1は、エアシリンダ4のロッド42を方向D2に沿って上昇させ、吸着板31が基準位置に戻る(状態ST6)。なお、図5の状態ST6に示す吸着板31の位置は、図4の状態ST1に示す吸着板31の位置と同じである。
状態ST1~ST6を繰り返すことで、プリンタ2で印字されて排出された用紙PLが1枚ずつ順に検査されて、用紙収容部8に収容されていく。
【0036】
次に、図6のブロック図を参照して、用紙検査装置1を動作させるための構成について説明する。
制御部11は、CPU111、ROM112、RAM113、及び、通信インタフェース(通信I/F)114を含み、用紙検査装置1の全体を制御する。例えば、CPU111は、ROM112に記録されているファームウェアをロードして実行することで、様々な機能を実現する。
ROM112は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。ROM112には、例えば、用紙PLに印字を行うときの基礎となる印字データが格納されている。RAM113は、CPU111が様々な処理を行う上でのメインメモリとして機能する。通信インタフェース114は、図示しないホストコンピュータと所定のプロトコルで通信を行うための通信回路を含み、例えばホストコンピュータから印字データを受信する。
【0037】
駆動機構3を動作させるために用紙検査装置1は、流体制御器12、真空ポンプ13、モータ駆動回路14、LED駆動回路15、及び、モータ16を備える。
流体制御器12は、図示しないエアコンプレッサから供給される圧縮空気によりエアシリンダ4を動作させるための機器であり、エア回路及び電磁弁を含む。流体制御器12は、ファームウェアの指令に基づいて電磁弁を制御することにより、エアシリンダ4のロッド42を方向D1又はD2(図1参照)に沿って移動させる。
真空ポンプ13は、エアホース34を介して吸着板31に連結される。ファームウェアの指令に基づき、真空ポンプ13の動作が開始し、又は停止する。真空ポンプ13が動作している間、吸着板31の底面に設けられている複数の孔を通して吸着が行われ、真空ポンプ13の動作が停止すると吸着が解除される。
モータ駆動回路14は、ファームウェアの指令に基づき、モータ16を駆動する回路である。モータ16は、駆動機構3を方向D3又はD4は(図1参照)に移動させるためのアクチュエータであり、例えばサーボモータである。モータ16の動作により、駆動機構3が方向D3又はD4の所定の位置に向けて移動して停止する。モータ駆動回路14及びモータ16は、移動装置の一例である。
LED駆動回路15は、ファームウェアの指令に基づき、表示器17に含まれるLEDを点灯又は消灯させるための駆動回路である。
【0038】
プリンタ2を動作させるために用紙検査装置1は、カッタ駆動回路25、モータ駆動回路26、ヘッド駆動回路27、及び、ステッピングモータM2を有する。
カッタ駆動回路25は、ファームウェアの指令に基づいてカッタ24の刃を動作させ、排出口28から排出するために印字済みの用紙PLを連続紙から切断する。
モータ駆動回路26は、ファームウェアの指令に含まれるステップ数でステッピングモータM2を正転、又は逆転動作させ、それによって連続紙CPを搬送させる。ステッピングモータM2はプラテンローラ22に連結されている。モータ駆動回路26、ステッピングモータM2、及び、プラテンローラ22は、搬送部の一例である。
ヘッド駆動回路27は、ファームウェアの指令の下、制御部11によって順次送出されるラインデータに基づき、サーマルヘッド23の複数の発熱素子に選択的に電流を流すことで、印字を行う。ヘッド駆動回路27及びサーマルヘッド23は、印字部の一例である。
【0039】
一実施形態では、ファームウェアは、印字済みの用紙PLを排出口28ら排出するときに排出口28から用紙PLの先頭までの距離を制御し、それによって、吸着板31ら露出する用紙PLの印字面の搬送方向の長さを制御する。それによって、様々な大きさのバーコードbc、あるいは用紙PLにおけるバーコードbcの印字位置に応じて、吸着された用紙PL上のバーコードbcが露出するように用紙PLの印字面の搬送方向の長さを適切に調整することができる。
【0040】
ファームウェアは、本体部35の方向D4への移動のタイミングに同期して光学センサ5を動作させ、吸着板31に吸着された印字済みの用紙に印字されたバーコードbcを読み取るように制御するとともに、光学センサ5の読み取り結果に基づいてバーコードbcが正常か否か検査する。
検査内容は限定しないが、例えば、バーコードbcが規格に準拠しているか否か、バーコードbcが示す情報が適切であるか否か等である。制御部11及び光学センサ5は、検査部の一例である。
一実施形態では、用紙PLが収容される用紙収容部8に、用紙収容部8に収容されるべき用紙についての情報を示すバーコードが表示されており、このバーコードを読み取るバーコードリーダが配置される。そして、光学センサ5で読み取られたバーコードbcが示す情報と、用紙収容部8のバーコードが示す情報と、を照合し、一致するか否かを検査してもよい。その場合、用紙収容部8に本来収容すべき用紙が収容されたか否か判定することができる。
【0041】
一実施形態では、ファームウェアは、バーコードbcの検査結果がエラーである場合、プラテンローラ22、サーマルヘッド23による発熱、及びモータ16の少なくともいずれかが停止するように、モータ駆動回路26、ヘッド駆動回路27、又は、モータ駆動回路14を制御する。この場合、検査結果がエラーである場合にその後の用紙の搬送、印字、又は移動が停止するため、エラーの用紙PLを用紙収容部8に収容することが防止される。つまり、検査結果がエラーである用紙PLを後工程に流すことが防止される。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の用紙検査装置1によれば、排出口28から印字済み用紙を排出される際に、吸着板31を排出口28に近付く方向に移動させて排出された印字済み用紙を吸着する。そのため、排出口28から吸着板31への受け渡しを安定的に行うことができる。
吸着板31による吸着は、排出された用紙の印字面の搬送方向上流側の部分が露出した状態で行われる。用紙検査装置1は、印字済み用紙を吸着した状態で吸着板31を排出口28から遠ざかる方向に移動させるとともに、印字済み用紙の露出した部分に印字されているバーコードbc等の識別コードを読み取って検査する。
したがって、用紙検査装置1によれば、排出口28から吸着板31への受け渡しをより安定的に行いながら、印字後に排出口28から排出された用紙PLに印字されているバーコードbc等の識別コードを検査することができる。
【0043】
一実施形態では、用紙検査装置1は、吸着板31に吸着された用紙PLの搬送方向上流側の部分を印字面の反対側の面(裏面)で支持する用紙支持板29(用紙支持部の一例)を備える。
図7に、用紙支持板29の設定例を示す。この例では、用紙支持板29は、排出口28の直下において、プリンタ2の筐体21から搬送方向に沿って延びるように設けられている。排出口28から印字済み用紙PLが排出されると用紙PLが吸着板31に吸着されるが、このとき用紙PLの搬送方向上流側の部分が用紙支持板29に支持されるため、吸着される用紙PLの露出部分が搬送方向に長い場合でも下に垂れ下がることが防止される。そのため、光学センサ5により、用紙PLに印字された識別コードの検査を、用紙支持板29がない場合と比較してより精度良く実行できる。
なお、用紙支持板29の上面に対して、微細な凹凸を形成する等の表面処理を形成する離型処理を施したり、離型材を塗布したりしてもよい。それによって、用紙PLの裏面に粘着層(糊)が形成されている場合であっても、用紙PLの裏面を用紙支持板29の上面が支持する際に用紙PLが用紙支持板29に貼り付くことを防止できる。
【0044】
一実施形態では、プリンタ2に印字される識別コードが二次元コードである。この場合、用紙検査装置1が、排出された印字済みの用紙を吸着板31が吸着した後に印字済みの用紙の移動を停止させる。光学センサ5は、吸着板31に吸着された印字済みの用紙の移動が停止している間に印字済みの用紙に印字された二次元コードを読み取る。このように、印字済みの用紙を吸着した状態で吸着板31をいったん停止させることで二次元コードを検査することができる。本願の構成では、吸着板31をいったん停止させた場合であっても、光学センサ5から見て広い範囲の走査角度を確保することができ、二次元コードの検査を安定して行うことができる。
【0045】
一実施形態の用紙検査方法は、以下のステップを含む。
用紙PLを排出口に向かって搬送させ、排出口28に向かう用紙PLの印字面の少なくとも搬送方向上流側の部分に、バーコードbcを含む情報を印字するステップ
・吸着板31により、排出口28から排出された用紙PLの印字面の搬送方向上流側の部分が露出した状態で、用紙PLを吸着させるステップと、
・排出口28から排出された用紙PLの印字面に対向する位置において、吸着板31に吸着された用紙PLの搬送方向上流側の部分に印字されたバーコードbcを検査するステップ
・印字済みの用紙PLが排出口28から排出されたときに吸着板31を排出口28に近付く方向に移動させるステップ
・排出された印字済みの用紙PLを吸着板31が吸着した後に吸着板31を排出口28から遠ざかる方向に移動させるステップ
【0046】
以上、本発明の用紙検査装置、及び、用紙検査方法の一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【0047】
例えば、用紙検査装置1では、吸着板31を昇降させるためにエアシリンダ4が採用されているが、その限りではなく、吸着板31を昇降させることができれば、電動シリンダでも油圧シリンダでもよい。
用紙検査装置1では、印字済み用紙に印字されている識別コードを読み取るために光学センサが採用されているが、その限りではなく、レーザセンサ等の他の方式のセンサを利用してもよい。
【0048】
用紙検査装置に適用される用紙は、図3に例示した納品書のように、裏面に粘着層(糊)が形成されているものであってもよいし、裏面に粘着層が形成されているものであってもよい。裏面に粘着層が形成されている用紙(糊付き用紙)が採用される場合、吸着板に吸着された糊付き用紙を、用紙収容部に収容するのではなく、物品に貼付するように構成してもよい。
用紙検査装置に適用される用紙は、帯状の台紙に複数のラベルが仮着されている台紙付きラベルであってもよい。この場合、ラベルに印字された識別コードが検査対象となる。
【符号の説明】
【0049】
1…用紙検査装置
11…制御部
111…CPU
112…ROM
113…RAM
114…通信インタフェース
12…流体制御器
13…真空ポンプ
14,26…モータ駆動回路
15…LED駆動回路
16…モータ
17…表示器
2…プリンタ
21…筐体
22…プラテンローラ
23…サーマルヘッド
24…カッタ
25…カッタ駆動回路
27…ヘッド駆動回路
28…排出口
29…用紙支持板
M2…ステッピングモータ
3…駆動機構
31…吸着板
34…エアホース
35…本体部
4…エアシリンダ
41…シリンダチューブ
42…ロッド
5…光学センサ
51…センサ取付部
8…用紙収容部
9…支持台
CP…連続紙
PL…用紙
R…ロール紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7