IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

特開2024-80848部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法
<>
  • 特開-部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法 図1
  • 特開-部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法 図2
  • 特開-部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法 図3
  • 特開-部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法 図4
  • 特開-部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法 図5
  • 特開-部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080848
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】部品実装システム、部品管理装置および部品管理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240610BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194138
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 賢志
(72)【発明者】
【氏名】三治 満
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC01
5E353CC25
5E353EE32
5E353EE34
5E353EE36
5E353GG01
5E353GG22
5E353HH01
5E353HH13
5E353HH25
5E353HH26
5E353HH30
5E353HH32
5E353JJ21
5E353LL04
5E353LL06
5E353QQ01
5E353QQ14
(57)【要約】
【課題】リールの部品残数を精度よく管理することができる技術を提供する。
【解決手段】部品実装システムは、テープフィーダと、部品を基板に実装する部品実装機と、部品の残数を管理する部品管理装置と、を備える。部品実装機は、テープフィーダが着脱可能となっている。テープフィーダは、フィーダ本体と、フィーダ本体に着脱可能に取付けられ、複数の部品を収容する長尺のテープが巻回されたリールと、を備えている。部品管理装置は、部品実装機において基板に部品が実装された場合に、実装された当該部品を供給したテープフィーダに取り付けられたリールに収容される部品の数を、部品実装機において基板に実装された部品の数だけ減算する第1の減算部と、テープフィーダが部品実装機から取外され、かつ、リールがフィーダ本体から取外された場合に、リールに収容される部品の数を予め設定された所定数だけ減算する第2の減算部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給するテープフィーダと、
前記テープフィーダから供給される前記部品を基板に実装する部品実装機と、
前記部品の残数を管理する部品管理装置と、を備え、
前記部品実装機は、前記テープフィーダが着脱可能となっており、
前記テープフィーダは、
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に着脱可能に取付けられ、複数の前記部品を収容する長尺のテープが巻回されたリールと、を備えており、
前記部品管理装置は、
前記部品実装機において前記基板に前記部品が実装された場合に、実装された当該部品を供給した前記テープフィーダに取り付けられた前記リールに収容される前記部品の数を、前記部品実装機において前記基板に実装された前記部品の数だけ減算する第1の減算部と、
前記テープフィーダが前記部品実装機から取外され、かつ、前記リールが前記フィーダ本体から取外された場合に、前記リールに収容される前記部品の数を予め設定された所定数だけ減算する第2の減算部と、
を備える、部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装機は、複数台の前記テープフィーダが着脱可能となっており、
前記テープフィーダは、複数台の前記フィーダ本体から選択された1台のフィーダ本体に、複数本のリールから選択された1本のリールが取付けられたものであり、
前記部品管理装置は、前記複数本のリール毎に、当該リールを識別するリール識別情報と、当該リール識別情報によって識別されるリールに収容されている前記部品の残数と、を関連付けて記憶する記憶部をさらに備えており、
前記第1の減算部は、前記部品実装機に取付けられた複数台の前記テープフィーダから供給される前記部品が前記基板に実装された場合に、実装された当該部品を供給した前記テープフィーダに取り付けられた前記リールを識別する前記リール識別情報に関連付けられた前記部品の数を、前記基板に実装された前記部品の数だけ減算して、前記記憶部に記憶された前記部品の数を更新し、
前記第2の減算部は、前記テープフィーダが前記部品実装機から取外され、かつ、前記リールが前記フィーダ本体から取外された場合に、前記フィーダ本体から取外された前記リールを識別する前記リール識別情報に関連付けられた前記部品の数を前記所定数だけ減算して、前記記憶部に記憶された前記部品の数を更新する、
請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記部品管理装置は、前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたか否かを判断する第1の判断部をさらに備え、
前記第1の判断部によって前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたと判断される場合に、前記第2の減算部が減算処理を実行する、
請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記テープは、キャリアテープと前記キャリアテープの上面に貼り付けられたカバーテープとを有するとともに、前記キャリアテープと前記カバーテープとの間に複数の前記部品を収容しており、
前記リールは、前記カバーテープの一部が前記キャリアテープから剥離した状態で前記テープフィーダに取り付けられており、
前記所定数は、前記リールが前記フィーダ本体から取外されるときと前記リールが前記フィーダ本体に取付けられるときの少なくとも一方において、前記キャリアテープと前記カバーテープとの間から脱落する前記部品の数に基づいて決定されている、
請求項3に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記リールが前記フィーダ本体に取り付けられている場合に、前記リール識別情報を、前記フィーダ本体を識別するテープフィーダ識別情報と関連付けてさらに記憶しており、
前記第1の判断部は、前記リール識別情報と前記テープフィーダ識別情報との関連付けが解消される場合に、前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたと判断する、
請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記複数台のテープフィーダは、第1の方法で前記カバーテープを前記キャリアテープから剥離する第1のテープフィーダと、前記第1の方法とは異なる第2の方法で前記カバーテープを前記キャリアテープから剥離する第2のテープフィーダと、含み、
前記記憶部は、前記フィーダ本体が、前記第1のテープフィーダに関するものであるか前記第2のテープフィーダに関するものであるかを示すタイプ識別情報を前記テープフィーダ識別情報と関連付けてさらに記憶し、
前記第2の減算部は、前記リールが取り外された前記フィーダ本体の前記タイプ識別情報に応じて、前記所定数を変更する、
請求項5に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記所定数は、前記リールが前記フィーダ本体から取外されるときに使用する第1の所定数と、前記リールが前記フィーダ本体に取付けられるときに使用する第2の所定数を含んでおり、
前記部品管理装置は、前記フィーダ本体から取外された前記リールが再び新たなフィーダ本体に取り付けられたか否かを判断する第2の判断部をさらに備え、
前記記憶部は、前記リールが取り付けられていた前記フィーダ本体の前記タイプ識別情報の履歴のうち、少なくとも最新の前記タイプ識別情報を、前記リール識別情報と関連付けて記憶し、
前記第2の減算部は、
前記第2の判断部によって前記リールが再び前記フィーダ本体に取り付けられたと判断され、かつ、前記新たなフィーダ本体の前記タイプ識別情報が、前記最新の前記タイプ識別情報と一致しない場合に、当該リールの前記リール識別情報に関連付けて記憶される部品の残数から前記第2の所定数を減算し、
前記第2の判断部によって前記リールが前記フィーダ本体に取り付けられたと判断され、かつ、前記新たなフィーダ本体の前記タイプ識別情報が、前記最新の前記タイプ識別情報と一致する場合に、当該リールの前記リール識別情報に関連付けて記憶される部品の残数から前記第2の所定数を減算しない、
請求項6に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記リールを前記フィーダ本体から取り外すための作業が行われたことを入力する入力部をさらに備えており、
前記第1の判断部は、前記入力部に前記作業が行われたことが入力された場合に、前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたと判断する、
請求項3に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記部品は、前記テープの長手方向において、所定ピッチで前記カバーテープと前記キャリアテープとの間に配列されており、
前記記憶部は、前記リールの前記所定ピッチを示すピッチ情報を、前記リール識別情報と関連付けて記憶しており、
前記所定数は、前記リールの前記ピッチ情報に基づいて決定されている、
請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記記憶部は、前記リールの前記テープに収容される前記部品のサイズを示すサイズ情報を、前記リール識別情報と関連付けて記憶しており、
前記所定数は、前記リールの前記サイズ情報に基づいて決定されている、
請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項11】
部品を供給するテープフィーダと、
前記テープフィーダから供給される前記部品を基板に実装する部品実装機と、
前記部品の残数を管理する部品管理装置と、を備える部品実装システムにおいて、前記部品の残数を管理する部品管理装置であり、
前記部品実装機は、前記テープフィーダが着脱可能となっており、
前記テープフィーダは、
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に着脱可能に取付けられ、複数の前記部品を収容する長尺のテープが巻回されたリールと、を備えており、
前記部品管理装置は、
前記部品実装機において前記基板に前記部品が実装された場合に、実装された当該部品を供給した前記テープフィーダに取り付けられた前記リールの前記テープに収容される前記部品の数を、前記部品実装機において前記基板に実装された前記部品の数だけ減算する第1の減算部と、
前記テープフィーダが前記部品実装機から取外され、かつ、前記リールが前記フィーダ本体から取外された場合に、前記リールの前記テープに収容される前記部品の数を予め設定された所定数だけ減算する第2の減算部と、
を備える、
部品管理装置。
【請求項12】
部品を供給するテープフィーダと、
前記テープフィーダから供給される前記部品を基板に実装する部品実装機と、
前記部品の残数を管理する部品管理装置と、を備える部品実装システムにおいて、前記部品の残数を管理する部品管理方法であり、
前記部品実装機は、前記テープフィーダが着脱可能となっており、
前記テープフィーダは、
フィーダ本体と、
前記フィーダ本体に着脱可能に取付けられ、複数の前記部品を収容する長尺のテープが巻回されたリールと、を備えており、
前記部品管理方法は、
前記部品実装機において前記基板に前記部品が実装された場合に、実装された当該部品を供給した前記テープフィーダに取り付けられた前記リールの前記テープに収容される前記部品の数を、前記部品実装機において前記基板に実装された前記部品の数だけ減算する第1の減算工程と、
前記テープフィーダが前記部品実装機から取外され、かつ、前記リールが前記フィーダ本体から取外された場合に、前記リールの前記テープに収容される前記部品の数を予め設定された所定数だけ減算する第2の減算工程と、
を備える、
部品管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、部品実装機の部品を管理する技術に関する。特に、テープフィーダのリールに収容される部品の残数を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、部品実装機に搭載されたテープフィーダの部品切れを検知する部品切れ検知装置が開示されている。部品切れ検知装置は、使用前のリールに収容されている初期部品数から、実装動作の進行に伴い消費した部品数を減算することによって、現時点の部品数を算出する。部品切れ検知装置は、算出した現時点の部品数が部品切れ判定用の閾値よりも小さくなった場合に、リールの部品切れを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/087289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装機は、生産する基板の種類に応じて異なる部品を基板に実装する。このため、生産する基板の種類が変わると、部品実装機に装着されるテープフィーダを変更する必要が生じる。また、テープフィーダは、テープフィーダ本体に対してリールが着脱可能となっている。そして、テープフィーダ本体に取付けるリールを変更することで、テープフィーダから異なる部品が供給可能となっている。多種類の基板を生産する場合、部品実装機に装着されるテープフィーダは、部品切れとなる前に部品実装機から取外され、部品実装機から取外されたテープフィーダでは、テープフィーダ本体からリールが取り外され、新たなリールが取付けられる。テープフィーダが部品実装機に頻繁に着脱され、また、テープフィーダ本体からリールが頻繁に着脱される場合、従来の技術では、リールの部品切れを検知する前に部品切れとなる事態が生じていた。本明細書では、リールの部品残数を精度よく管理することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示する部品実装システムは、部品を供給するテープフィーダと、前記テープフィーダから供給される前記部品を基板に実装する部品実装機と、前記部品の残数を管理する部品管理装置と、を備える。前記部品実装機は、前記テープフィーダが着脱可能となっている。前記テープフィーダは、フィーダ本体と、前記フィーダ本体に着脱可能に取付けられ、複数の前記部品を収容する長尺のテープが巻回されたリールと、を備えている。前記部品管理装置は、前記部品実装機において前記基板に前記部品が実装された場合に、実装された当該部品を供給した前記テープフィーダに取り付けられた前記リールに収容される前記部品の数を、前記部品実装機において前記基板に実装された前記部品の数だけ減算する第1の減算部と、前記テープフィーダが前記部品実装機から取外され、かつ、前記リールが前記フィーダ本体から取外された場合に、前記リールに収容される前記部品の数を予め設定された所定数だけ減算する第2の減算部と、を備える。
を備える。
【0006】
本発明者らが検討した結果、テープフィーダが部品実装機から取り外され、かつ、リールがテープフィーダ本体から取り外されるときに、リールから部品が脱落することがあり、このことがリールの部品残数の予測精度を悪化させる原因であることが判明した。上記の部品実装システムは、テープフィーダが部品実装機から取外され、かつ、リールがフィーダ本体から取外された場合に、リールに収容される部品の数を所定数だけ減算する。このため、部品実装システムは、リールからの部品の脱落を加味して部品残数を精度よく管理することができる。
【0007】
また、上記の部品実装システムにおける部品管理装置および部品管理方法も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例の部品実装システムの斜視図。
図2】実施例の部品実装システムが備える部品実装機の側面図。
図3】Vタイプのテープフィーダの一部を示す斜視図。
図4】Tタイプのテープフィーダの一部を示す斜視図。
図5】部品実装機の制御装置と管理装置の構成図。
図6】管理装置のCPUが実行する部品数管理処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記部品実装機は、複数台の前記テープフィーダが着脱可能となっていてもよい。その場合、前記テープフィーダは、複数台の前記フィーダ本体から選択された1台のフィーダ本体に、複数本のリールから選択された1本のリールが取付けられたものであってもよい。さらに、前記部品管理装置は、前記複数本のリール毎に、当該リールを識別するリール識別情報と、当該リール識別情報によって識別されるリールに収容されている前記部品の残数と、を関連付けて記憶する記憶部をさらに備えてもよい。前記第1の減算部は、前記部品実装機に取付けられた複数台の前記テープフィーダから供給される前記部品が前記基板に実装された場合に、実装された当該部品を供給した前記テープフィーダに取り付けられた前記リールを識別する前記リール識別情報に関連付けられた前記部品の数を、前記基板に実装された前記部品の数だけ減算して、前記記憶部に記憶された前記部品の数を更新してもよい。前記第2の減算部は、前記テープフィーダが前記部品実装機から取外され、かつ、前記リールが前記フィーダ本体から取外された場合に、前記フィーダ本体から取外された前記リールを識別する前記リール識別情報に関連付けられた前記部品の数を前記所定数だけ減算して、前記記憶部に記憶された前記部品の数を更新してもよい。
【0011】
このような構成によると、部品実装システムは、リール識別情報に基づいて、複数のリールのそれぞれに収容される部品の数を管理することができる。
【0012】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記部品管理装置は、前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたか否かを判断する第1の判断部をさらに備えてもよい。その場合、前記第1の判断部によって前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたと判断される場合に、前記第2の減算部が減算処理を実行してもよい。
【0013】
このような構成によると、部品実装システムは、第1の判断部によって、リールがフィータ本体から取り外されたことを確実に判断することができる。
【0014】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記テープは、キャリアテープと前記キャリアテープの上面に貼り付けられたカバーテープとを有するとともに、前記キャリアテープと前記カバーテープとの間に複数の前記部品を収容してもよい。その場合、前記リールは、前記カバーテープの一部が前記キャリアテープから剥離した状態で前記テープフィーダに取り付けられてもよい。さらに、前記所定数は、前記リールが前記フィーダ本体から取外されるときと前記リールが前記フィーダ本体に取付けられるときの少なくとも一方において、前記キャリアテープと前記カバーテープとの間から脱落する前記部品の数に基づいて決定されていてもよい。
【0015】
カバーテープの一部が前記キャリアテープから剥離した状態でテープフィーダに取り付けられるリールでは、カバーテープが剥離した部分においてキャリアテープ上に部品が露出する。このようなリールでは、フィーダ本体からリールが取外されるタイミング、または、リールがフィーダ本体に取付けられるタイミングにおいて、キャリアテープとカバーテープとの間からの部品の脱落が見込まれる。このような構成によると、脱落が見込まれる部品の数に基づいて減算する所定数を決定することによって、適切な所定数を決定することができる。
【0016】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記記憶部は、前記リールが前記フィーダ本体に取り付けられている場合に、前記リール識別情報を、前記フィーダ本体を識別するテープフィーダ識別情報と関連付けてさらに記憶してもよい。その場合、前記第1の判断部は、前記リール識別情報と前記テープフィーダ識別情報との関連付けが解消される場合に、前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたと判断してもよい。
【0017】
このような構成によると、部品実装システムは、リール識別情報とテープフィーダ識別情報との関連付けが解消されることを契機に、リールがフィータ本体から取り外されたことを確実に判断することができる。
【0018】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記複数台のテープフィーダは、第1の方法で前記カバーテープを前記キャリアテープから剥離する第1のテープフィーダと、前記第1の方法とは異なる第2の方法で前記カバーテープを前記キャリアテープから剥離する第2のテープフィーダと、含んでもよい。その場合、前記記憶部は、前記フィーダ本体が、前記第1のテープフィーダに関するものであるか前記第2のテープフィーダに関するものであるかを示すタイプ識別情報を前記テープフィーダ識別情報と関連付けてさらに記憶してもよい。さらに、前記第2の減算部は、前記リールが取り外された前記フィーダ本体の前記タイプ識別情報に応じて、前記所定数を変更してもよい。
【0019】
カバーテープをキャリアテープから剥離する方法が異なる場合、キャリアテープとカバーテープとの間から脱落する部品の数も異なる。このような構成によると、リールが取り外されたフィーダ本体の剥離方法を特定するタイプ識別情報に応じて所定数を変更することによって、より正確な所定数を決定することができる。
【0020】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記所定数は、前記リールが前記フィーダ本体から取外されるときに使用する第1の所定数と、前記リールが前記フィーダ本体に取付けられるときに使用する第2の所定数を含んでもよい。その場合、前記部品管理装置は、前記フィーダ本体から取外された前記リールが再び新たなフィーダ本体に取り付けられたか否かを判断する第2の判断部をさらに備えてもよい。さらに、前記記憶部は、前記リールが取り付けられていた前記フィーダ本体の前記タイプ識別情報の履歴のうち、少なくとも最新の前記タイプ識別情報を、前記リール識別情報と関連付けて記憶してもよい。前記第2の減算部は、前記第2の判断部によって前記リールが再び前記フィーダ本体に取り付けられたと判断され、かつ、前記新たなフィーダ本体の前記タイプ識別情報が、前記最新の前記タイプ識別情報と一致しない場合に、当該リールの前記リール識別情報に関連付けて記憶される部品の残数から前記第2の所定数を減算してもよい。前記第2の判断部によって前記リールが前記フィーダ本体に取り付けられたと判断され、かつ、前記新たなフィーダ本体の前記タイプ識別情報が、前記最新の前記タイプ識別情報と一致する場合に、当該リールの前記リール識別情報に関連付けて記憶される部品の残数から前記第2の所定数を減算しなくてもよい。
【0021】
異なるタイプ識別情報を有するフィーダ本体に対してリールが取り付けられる場合、カバーテープをキャリアテープから剥離する方法を第1の方法から第2の方法、あるいは、第2の方法から第1の方法に変更する必要があり、脱落する部品の数が増加することがある。部品実装システムは、新たなフィーダ本体のタイプ識別情報が最新の前記タイプ識別情報と一致しない場合に、当該リールの前記リール識別情報に関連付けて記憶される部品残数から第2の所定数を減算する。これにより、増加した脱落する部品の数が部品残数から減算されるため、部品残数が正確に管理される。一方、部品実装システムは、フィーダ本体のタイプ識別情報が一致する場合に、部品残数から第2の所定数を減数しない。これにより、脱落する部品の数が増加していないにもかかわらず、第2の所定数が減算されることを防止することができる。これにより、部品残数が正確に管理される。
【0022】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記リールを前記フィーダ本体から取り外すための作業が行われたことを入力する入力部をさらに備えてもよい。その場合、前記第1の判断部は、前記入力部に前記作業が行われたことが入力された場合に、前記リールが前記フィーダ本体から取り外されたと判断してもよい。
【0023】
このような構成によると、部品実装システムは、作業者がリールをフィーダ本体から取り外したことを入力する構成に比べて、リールをフィーダ本体から取り外したことを確実に考慮することができる。
【0024】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記部品は、前記テープの長手方向において、所定ピッチで前記カバーテープと前記キャリアテープとの間に配列されていてもよい。その場合、前記記憶部は、前記リールの前記所定ピッチを示すピッチ情報を、前記リール識別情報と関連付けて記憶してもよい。さらに、前記所定数は、前記リールの前記ピッチ情報に基づいて決定されてもよい。
【0025】
このような構成によると、部品実装システムは、リールのピッチに基づいて、所定数を正確に決定することができる。
【0026】
本明細書に開示する部品実装システムでは、前記記憶部は、前記リールの前記テープに収容される前記部品のサイズを示すサイズ情報を、前記リール識別情報と関連付けて記憶してもよい。その場合、前記所定数は、前記リールの前記サイズ情報に基づいて決定されてもよい。
【0027】
このような構成によると、部品実装システムは、リールに収容される部品のサイズに基づいて、所定数を正確に決定することができる。
【0028】
(第1実施例)
図面を参照して、第1実施例の部品実装システム100について説明する。図1に示されるように、部品実装システム100は、部品実装機10と、部品管理装置50と、キッティングスタンド60と、を備える。部品実装システム100は、部品実装機10を利用して基板に電子部品を実装するシステムである。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。部品管理装置50は、一連の実装ラインを管理する装置である。以下では、図中座標における+Z方向を単に「上」と記載することがあり、その反対方向を「下」と記載することがある。さらに、図中座標における-X方向を単に「前」と記載することがあり、その反対方向を単に「後」と記載することがある。さらに、部品実装機10の前面で部品実装機10に向かって立つ作業者から見た右方向(すなわち、-Y方向)を単に「右」と記載し、その反対方向を「左」と記載することがある。
【0029】
部品実装機10は、筐体11と、インターフェース装置12と、複数台のテープフィーダ20A~20Eと、フィーダ保持部14と、制御装置30と、を備える。インターフェース装置12は、筐体11の前面に設けられている。インターフェース装置12は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける装置である。本実施例では、インターフェース装置12は、タッチパネルである。ただし、インターフェース装置12は、例えば、ディスプレイ等とキーボードやマウス等により構成されてもよい。制御装置30は、部品実装機10を制御するコンピュータである。
【0030】
フィーダ保持部14は、複数のスロット(図示省略)を備える。フィーダ保持部14の複数のスロットには、複数台のテープフィーダ20A~20Eが着脱可能に取り付けられる。図1に示されるように、例えば、テープフィーダ20Eは、作業者によって部品実装機10の前方に取り外される。部品実装機10から取り外されたテープフィーダ20Eは、フィーダ本体21Eと、リール22Eと、に分解可能である。同様に、他のテープフィーダ20A~20Dも、フィーダ本体21A~21Dと、リール22A~22Dと、に分解可能である。すなわち、リール22A~22Eのそれぞれは、フィーダ本体21A~21Eのそれぞれに対して着脱可能に取付けられる。なお、以下では、テープフィーダを、「フィーダ」と簡単に記載する。
【0031】
キッティングスタンド60は、部品実装機10から離れて配置される。キッティングスタンド60は、部品実装機10から取り外されたフィーダ20A~20Eを修理するための治具である。キッティングスタンド60は、フィーダ置き場64と、コネクタ62と、を備える。フィーダ置き場64は、例えば、部品実装機10から取り外されたフィーダ20A~20Eを設置するための台である。コネクタ62は、部品実装機10から取り外されたフィーダ20A~20Eと接続可能に構成されている。コネクタ62は、操作部66を備える。操作部66は、作業者に対して、コネクタ62に接続されたフィーダに関する情報を提供する装置であるとともに、作業者からの指示や情報を受け付ける装置である。本実施例では、操作部66は、タッチパネルである。ただし、操作部66は、例えば、ディスプレイ等とキーボードやマウス等により構成されてもよい。図1に示されるように、作業者は、キッティングスタンド60において、例えばフィーダ20Eのフィーダ本体21Eから、リール22Eを取り外したり、フィーダ本体21Eにリール22Eを取付けたりする。
【0032】
部品管理装置50は、部品実装機10の制御装置30と、キッティングスタンド60のコネクタ62と通信可能である。制御装置30は、部品実装機10の実装実績に基づいた部品実装情報を部品管理装置50に送信する。コネクタ62は、フィーダがコネクタ62に接続されると、フィーダ接続情報を部品管理装置50に送信する。フィーダ接続情報は、コネクタ62に接続されたフィーダに関する様々な情報(例えば、後述するフィーダIDおよびリールID)を含む。また、コネクタ62に接続したフィーダに対してリールを新たに取り付けると、コネクタ62は、リール取付情報を部品管理装置50に送信する。当該リール取付情報は、フィーダおよび新たに取り付けられたリールに関する情報(例えば、フィーダIDおよびリールID)を含む。
【0033】
図2を参照して、部品実装機10およびフィーダ20A~20Eの構造についてさらに説明する。部品実装機10は、上記のフィーダ保持部14に加え、部品実装部13をさらに備える。部品実装部13は、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア17を備える。ここでは、フィーダ20A~20Eのうち、最も右側に位置するフィーダ20Eについて主に説明する。
【0034】
フィーダ20Eのリール22Eは、巻回された長尺のテープ24Eを有する。テープ24Eは、キャリアテープ28Eとカバーテープ26Eと重ねて貼り合わせた構成を有しており、両テープ28Eと26Eとの間に複数の部品4Eを収容する。複数の部品4Eは、基板5に実装する電子部品である。さらに、フィーダ20Eは、リール22Eに加え、フィーダ本体21Eの上面に設けられたガイド25Eを備える。ガイド25Eは、テープ24Eのカバーテープ26Eとキャリアテープ28Eとを剥離するための部材である。
【0035】
作業者は、リール22Eをフィーダ本体21Eに取り付ける際、カバーテープ26Eの後端の一部をキャリアテープ28Eから剥離して、ガイド25Eにセットする。セットした状態でフィーダ20Eのスプロケット27Eが回転すると、複数の部品4Eを収容したテープ24Eの後端が、部品実装機10の後方に送り出される。その結果、キャリアテープ28Eから剥離したカバーテープ26Eが、前方に向かって送り出される一方、キャリアテープ28Eは、複数の部品4Eを露出させた状態で後方に送り出される。このように、フィーダ20Eは、カバーテープ26Eがキャリアテープ28Eから剥離した状態で、部品4Eを供給位置に供給する。
【0036】
供給位置に供給された部品4Eは、ノズル6によって吸着される。ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に保持されている。ヘッド移動装置18は、各フィーダ20A~20E及び基板5に対して、装着ヘッド16を移動させる。これにより、フィーダ20Eによって供給位置に供給された部品4Eがノズル6によって取り上げられ、当該部品4Eが、基板5上の予め定められた位置に装着される。基板コンベア17は、基板5の搬入、支持及び搬出を行う。
【0037】
図3および図4を参照して、フィーダ20がテープ24のカバーテープ26をキャリアテープ28から剥離させる構造について説明する。Vタイプのフィーダ20Eと、Tタイプのフィーダ20Aとでは、カバーテープ26をキャリアテープ28から剥離させる方法が異なる。まず、図3を参照して、Vタイプのフィーダ20Eが、カバーテープ26Eをキャリアテープ28Eから剥離する方法について説明する。図3は、フィーダ20Eの後端を拡大した斜視図を示す。テープ24Eは、収容する部品4Eに隣接して複数の貫通孔29Eを有している。複数の貫通孔29Eのそれぞれには、フィーダ20Eのスプロケット27E(図2参照)の歯が挿入される。これにより、スプロケット27Eの回転に伴って、テープ24Eが後方に送り出される。
【0038】
作業者は、最初に、カバーテープ26Eの後端をキャリアテープ28Eの後端から剥離させた状態で、カバーテープ26Eをガイド25Eのスリットにセットする。図3に示されるように、ガイド25Eのスリットは、テープ24Eの送り方向(すなわち、前後方向)に対して直交している。Vタイプでは、カバーテープ26Eの幅方向に関して、カバーテープ26Eの全範囲がキャリアテープ28Eから剥離する。
【0039】
カバーテープ26Eがガイド25Eのスリットにセットされた状態でフィーダ20Eのスプロケット27Eが回転すると、カバーテープ26Eは、ガイド25Eのスリットを通過して前方に送り出される。キャリアテープ28Eは、スリットの下方を通過して後方に送り出される。このように、Vタイプのフィーダ20Eは、テープ24Eのカバーテープ26Eとキャリアテープ28Eとを幅方向全体に亘って剥離させる。
【0040】
続いて、図4を参照して、Tタイプのフィーダ20Aがカバーテープ26Aをキャリアテープ28から剥離させる方法について説明する。Tタイプのフィーダ20Aでは、作業者は、テープ24Aのカバーテープ26Aの右側方(すなわち、図4の紙面下方)のみを、キャリアテープ28Aから剥離させる。上述したVタイプのフィーダ20Eとは異なり、Tタイプのガイド25Aのスリットは、テープ24Aの送り方向に対して傾斜している。より詳細には、ガイド25Aのスリットは、前方ほど右側方に変位する。Tタイプのフィーダ20Aでは、カバーテープ26Aの左端は、キャリアテープ28Aの左端から剥離しない。Tタイプのフィーダ20Aでは、カバーテープ26Aの左端とキャリアテープ28Aの左端とが互いに貼り付けられたまま、複数の部品4Aが露出する。このように、Vタイプのフィーダ20Eと、Tタイプのフィーダ20Aとでは、カバーテープ26の剥離方法が互いに異なる。なお、Tタイプのフィーダ20Aでは、Vタイプのフィーダ20Eとは異なり、カバーテープ26Aとキャリアテープ28Aとを幅方向全体に亘って剥離させる必要は無く、両者をフィーダ20Aの後方に送り出せばよい。このため、Tタイプのフィーダ20Aの方が、Vタイプのフィーダ20Eよりも、カバーテープ26をキャリアテープ28から剥離させる作業を容易に行うことができる。
【0041】
ここで、Tタイプのフィーダ20Eに取り付けられるテープ24Aの幅W2は、Vタイプのフィーダ20Eに取り付けられるテープ24Eの幅W1に比べて小さい。幅W2は、例えば、8mmであり、幅W1は、例えば、16mmである。本実施例では、幅の小さいテープ24Aを、剥離作業が容易なTタイプのフィーダ20Aに取り付けることによって、カバーテープ26Aをキャリアテープ28Aから剥離させる作業性の低下を抑制している。
【0042】
ただし、Tタイプのフィーダ20Aのフィーダ本体21Aは、Vタイプのフィーダ20Eのフィーダ本体21Aと基本的に同一構造を有している。このため、例えば、フィーダ本体21Aには、リール22Aに代えて、テープ24Eを巻回されたリールを取付けることができる。このため、例えば、Vタイプのフィーダ20Eに、テープ24Aを巻回されたリール(例えば、リール22A)が取付けられてもよい。
【0043】
さらに、図3および図4を比較すると理解できるように、テープ24Eのキャリアテープ28Eに収容される複数の部品4EのピッチP2は、テープ24Aのキャリアテープ28Aに収容される複数の部品4AのピッチP1よりも大きい。さらに、部品4Eの前後方向のサイズS2は、部品4Aの前後方向のサイズS1よりも大きい。
【0044】
図5を参照して、部品実装機10の制御装置30および部品管理装置50の構成について説明する。部品実装機10の制御装置30は、メモリ32とCPU34とを含むコンピュータにより構成されている。制御装置30は、インターフェース装置12と部品実装部13に対して通信可能に接続される。メモリ32には、生産プログラムが予め記憶されている。CPU34は、メモリ32内の生産プログラムに従って、部品実装部13を制御する。部品実装部13は、生産プログラムに従った順番で、生産プログラムに従った実装位置に対して、部品4A~4Eを基板5に実装する。制御装置30は、部品4A~4Eを基板5に実装すると、部品実装情報を部品管理装置50に送信する。部品実装情報は、実装が完了した部品を識別する部品IDおよび当該部品が実装された数(以下、実装数という)と、当該部品を収容していたリール22を識別するリールIDと、を含む。
【0045】
部品管理装置50も、制御装置30と同様に、メモリ52とCPU54とを含むコンピュータにより構成されている。部品管理装置50は、制御装置30と、コネクタ62と、に対して通信可能に接続されている。部品管理装置50のCPU54は、メモリ52に記憶されるプログラムに従って、様々な処理を実行する。例えば、部品管理装置50のCPU54は、第1の減算部55、第2の減算部56、第1の判断部57、第2の判断部58、として機能する。CPU54が実行する処理の詳細については、図6を参照して後述する。
【0046】
部品管理装置50のメモリ52には、セットテーブルT1と、残数テーブルT2と、第1減算数テーブルT3と、第2減算数SN5と、が記憶されている。セットテーブルT1は、部品管理装置50が、部品実装機10に取り付けられているフィーダ20A~20Eに対して、リール22A~22Eのうちのどのリールが取り付けられているかを識別するためのテーブルである。そのため、セットテーブルT1では、フィーダ20A~20Eのそれぞれを識別するフィーダIDと、当該フィーダのリール22A~22Eを識別するリールIDと、が互いに関連付けられて記憶される。
【0047】
ここで、フィーダIDは、フィーダIDによって識別されるフィーダが取り付け可能なリールのテープの幅と、フィーダのタイプと、を含む。例えば、フィーダ20AのフィーダID「8-T-01」は、フィーダ20Aが、幅8mmのテープを有するリールを取り付け可能であるともに、Tタイプのフィーダであることを示す。これにより、部品管理装置50は、フィーダIDに基づいて、当該フィーダIDを有するフィーダが、VタイプであるかTタイプであるかを識別することができる。
【0048】
残数テーブルT2は、リール22A~22Eのそれぞれについて、収容されている部品の残数を管理するためのテーブルである。残数テーブルT2は、リールIDと関連付けて、さらに、部品ID、ピッチ情報、サイズ情報、最新フィーダタイプ情報を記憶する。部品IDは、リールIDによって識別されるリールに収容される部品4を識別する情報である。ピッチ情報は、リールIDによって識別されるリールに収容される部品が配列されるピッチを示す。サイズ情報は、リールIDによって識別されるリールに収容される部品のサイズを示す。最新フィーダタイプ情報は、リールIDによって識別されるリールが取り付けられていたフィーダのうち、最新のフィーダのタイプを示す。例えば、リール単体で保管されているリール(フィーダ本体に取付けられていないリール)については、直前に取付けられていたフィーダのタイプを識別する情報が最新フィーダタイプ情報として記憶される。また、フィーダ本体に取付けられているリールについては、当該取付けられているフィーダのタイプを識別する情報が最新フィーダタイプ情報として記憶される。なお、変形例では、残数テーブルT2には、現在から過去の所定の期間に当該リールが取り付けられていた複数のフィーダのそれぞれを識別する複数のフィーダIDの履歴が記憶されていてもよい。
【0049】
図5から理解できるように、例えば、現時点において、リール22Aには、残数N1の部品4Aが収容されている。詳細は後述するが、部品管理装置50のCPU54は、部品実装機10から部品実装情報を受信すると、部品実装情報に含まれる実装が完了した部品4Aの数を、残数N1から減算する。これにより、部品管理装置50は、部品4Aの残数を更新することができる。その結果、部品管理装置50は、部品実装機10において部品4Aが不足することが予測される場合に、例えば作業者に部品4Aの不足を報知する等の処理をすることができる。
【0050】
第1減算数テーブルT3は、後述する部品数管理処理において用いられる第1減算数を算出するためのテーブルである。第1減算数は、例えばフィーダ20Eが部品実装機10から取り外され、かつ、リール22Eがフィーダ本体21Eから取り外された場合に、上述した残数テーブルT2の部品4Eの残数N5から減算される数である。
【0051】
ここで、フィーダ20Eが部品実装機10から取り外され、かつ、リール22Eがフィーダ本体21Eから取り外される際、リール22Eから部品4Eが脱落することがある。部品4Eが脱落すると、そのままでは、リール22Eに収容される部品4Eの実際の残数が、残数テーブルT2の残数よりも少なくなる。この場合、部品管理装置50は、正確に部品4Eの不足を報知することができない。このため、CPU54は、フィーダ20Eが部品実装機10から取り外され、かつ、リール22Eがフィーダ本体21Eから取り外された場合に、第1減算数を、部品4Eの残数N5から減算する。
【0052】
先に述べたように、リール22Eは、カバーテープ26Eの一部がキャリアテープ28Eから剥離した状態でフィーダ本体21Eに対して取り付けられる。このため、フィーダ本体21Eに取り付けられたリール22Eでは、複数の部品4Eが露出している。この状態でリール22Eをフィーダ本体21Eから取り外すと、露出した部品4Eが脱落しやすい。すなわち、脱落する部品4Eの数は、カバーテープ26Eを剥離する長さと相関関係を有する。
【0053】
図3図4を比較すると理解できるように、Vタイプのフィーダ20Eは、Tタイプのフィーダ20Aと比べて、カバーテープ26Eを剥離する長さが短い。その結果、フィーダ20Eにおいて露出する部品4Eの数は、フィーダ20Aにおいて露出する部品4Aの数よりも小さくなる。このため、Vタイプのフィーダに対して割り当てられる第1減算数SN1、SN2は、Tタイプのフィーダに対して割り当てられる第1減算数SN3、SN4に比べて小さい値である。
【0054】
さらに、脱落する部品4Eの数は、部品4Eがキャリアテープ28Eに配列されるピッチ、部品4Eのサイズによっても異なる。部品4Eが配列されるピッチが小さいと、カバーテープ26Eが剥離する部分に配列される部品4Eの数が増加する。部品4Eが配列されるピッチが大きいと、カバーテープ26Eが剥離する部分に配列される部品4Eの数が減少する。同様に、部品4Eのサイズが小さいと、カバーテープ26Eが剥離する部分に配列される部品4Eの数が増加し、部品4Eのサイズが大きいと、カバーテープ26Eが剥離する部分に配列される部品4Eの数が減少する。このため、例えば、大きいピッチP2に割り当てられる第1減算数SN1は、小さいピッチP1に割り当てられる第1減算数SN2に比べて、小さい値である。
【0055】
このように、部品管理装置50のCPU54は、フィーダ20Eのタイプ情報、リール22のピッチ情報、部品4Eのサイズ情報に基づいて、第1減算数SN1~SN4を決定する。これにより、CPU54は、各々の情報に基づいて、第1減算数を正確に決定することができる。
【0056】
図6を参照して、部品管理装置50のCPU54が実行する部品数管理処理について説明する。CPU54は、部品実装機10が部品4A~4Eを実装している間、図6の処理を継続する。
【0057】
まず、CPU54は、部品実装機10から、部品実装情報を受信することを監視する(S10)。部品実装情報を受信しない場合(S10でNO)、CPU54は、S12~S16の処理をスキップしてS20に進む。
【0058】
部品実装機10から部品実装情報を受信すると(S10でYES)、CPU54は、部品実装情報に含まれるリールIDを利用して、部品実装機10が実装した部品(例えば、部品4E)を収容するリール(例えば、リール22E)を識別する実装リールIDを特定する(S12)。
【0059】
次いで、CPU54は、残数テーブルT2に記憶された複数の残数のうち、特定された実装リールIDに関連付けられた残数(例えば、N5)から、部品実装情報に含まれる実装数を減算する(S14)。
【0060】
さらに、CPU54は、実装リールIDの残数を更新する(S16)。具体的には、CPU54は、S14で実装数を減算して算出した新たな残数を、実装リールIDに関連付けて残数テーブルT2に記憶する。これにより、実装数が残数テーブルT2に反映される。
【0061】
CPU54は、作業者からリールID削除指示を受け付けることを監視する(S20)。ここで、例えば、フィーダ20Eのフィーダ本体21Eからリール22Eを取り外す場合、作業者は、まず、部品実装機10からフィーダ20Eを取り外す。次いで、作業者は、フィーダ20Eをフィーダ置き場64に配置するとともにフィーダ20Eをコネクタ62に接続する。この場合、CPU54は、コネクタ62の操作部66にセットテーブルT1を表示する。作業者は、フィーダ本体21Eからリール22Eを取り外す際に、操作部66を操作して、リールID削除指示を入力する。リールID削除指示は、セットテーブルT1からリールID「22E」を削除するための指示であり、削除対象となるリールID「22E」を含む。これにより、セットテーブルT1におけるフィーダID「16-V-3」と、リールID「22E」と、の関連付けが解消される。このように、セットテーブルT1からリールIDが削除された場合に、当該リールIDによって識別されるリールがフィーダ本体から取り外されたと判断することによって、CPU54は、リールがフィーダ本体から取り外されたことを確実に判断することができる。
【0062】
また、作業者は、例えば、フィーダ本体21Eに対して、新たなリールを取り付ける場合、操作部66を操作して、リールID追加指示を入力する。リールID追加指示は、フィーダID「16-V-3」に関連付けて、新たなリールを識別するリールIDをセットテーブルT1に追加するための指示である。これにより、フィーダID「16-V-3」と新たなリールIDとが関連付けられ、CPU54は、新たなリールIDを有するリールが、フィーダID「16-V-3」によって識別されるフィーダ20Eに取り付けられたことを判断することができる。
【0063】
CPU54は、リールID削除指示を受け付けない場合(S20でNO)、S22~S26の処理をスキップして、S30に進む。
【0064】
作業者からリールID削除指示を受け付けると(S20でYES)、CPU54は、フィーダ本体(例えば、フィーダ本体21E)から、リール(例えば、リール22E)が取り外されたと判断する。この場合、CPU54は、リールID削除指示に含まれるリールID(例えばリールID「22E」)を利用して、フィーダ本体から取り外されるリールを識別する離脱リールIDを特定する(S22)。
【0065】
次いで、CPU54は、残数テーブルT2に記憶された複数の残数のうち、特定された離脱リールIDに関連付けられた残数(例えば、N5)から、第1減算数を減算する(S24)。先に述べたように、当該第1減算数は、残数テーブルT2で離脱リールIDに関連付けられたフィーダのタイプ情報、ピッチ情報、部品のサイズ情報に基づいて、第1減算数テーブルT3から決定される。
【0066】
さらに、CPU54は、離脱リールIDの残数を更新する(S26)。具体的には、CPU54は、S24で第1減算数を減算して算出した新たな残数を、離脱リールIDに関連付けて残数テーブルT2に記憶する。このように、CPU54は、離脱リールIDを利用して、離脱リールIDによって識別されるリールに収容される部品残数を更新する。これにより、複数のリールのそれぞれに収容される部品残数を適切に管理することができる。
【0067】
CPU54は、作業者から、リールID追加指示を受け付けることを監視する(S30)。CPU54は、リールID追加指示を受け付けない場合(S30でNO)S32~S46の処理をスキップして、S10の処理に戻る。
【0068】
作業者からリールID追加指示を受け付けると(S30でYES)、CPU54は、フィーダ本体(例えば、フィーダ本体21E)にリールが新たに取り付けられたと判断する。この場合、CPU54は、リールID追加指示に含まれるリールIDを利用して、フィーダ本体に新たに取り付けられたリールを識別する装着リールIDを特定する(S32)。
【0069】
次いで、CPU54は、装着リールIDに関連付けられる最新フィーダタイプ情報(例えば、T)と、装着リールを有するリールが新たに取り付けられたフィーダのタイプ情報と、を比較する(S40)。この際、CPU54は、リールID追加指示に含まれるフィーダIDから、当該フィーダのタイプ情報を取得する。両フィーダのタイプが一致しない場合(S40でNO)、CPU54は、装着リールIDを有するリールが、異なるタイプのフィーダに取り付けられたと判断して、S44に進む。両フィーダのタイプが一致する場合(S40でYES)、CPU54は、装着リールIDを有するリールが、同じタイプのフィーダに取り付けられたと判断して、S10の処理に戻る。
【0070】
次いで、CPU54は、残数テーブルT2に記憶された複数の残数のうち、S32で特定された装着リールIDに関連付けられた残数(例えば、N5)から、第2減算数を減算する(S44)。本実施例では、第2減算数SN5は、部品管理装置50のメモリ52に記憶されている(図5参照)。
【0071】
さらに、CPU54は、装着リールIDの残数を更新する(S46)。具体的には、CPU54は、S44で第2減算数を減算して算出した新たな残数を、装着リールIDに関連付けて残数テーブルT2に記憶する。このように、CPU54は、装着リールIDを利用して、装着リールIDによって識別されるリールに収容される部品残数を更新する。これにより、複数のリールのそれぞれに収容される部品残数を適切に管理することができる。S46の処理が終了すると、CPU54は、再びS10の処理を実行する。
【0072】
(本実施例の効果)
本実施例の部品実装システム100は、フィーダが部品実装機10から取外され、かつ、リールがフィーダ本体から取外された場合(S20でYES)に、当該リールに収容される部品の数を第1減算数だけ減算する(S24)。このため、部品実装システム100は、リールをフィーダ本体から取外す作業中におけるリールからの部品の脱落を加味して部品残数を精度よく管理することができる。
【0073】
さらに、CPU54は、装着リールIDを有するリールが新たに取り付けられたフィーダのタイプが、取り外されたフィーダのタイプと異なる場合(S40でNO)に、第2減算数を、装着リールIDの残数から減算する(S44)。これにより、異なるフィーダに取り付けられたことに起因して増加する部品の脱落数を、残数テーブルT2に反映することができる。このため、装着リールIDによって識別されるリールに収容される部品残数を正確に管理することができる。
【0074】
(対応関係)
第1減算数SN1、第2減算数SN5が、それぞれ、「所定数」、「第2の所定数」の一例である。メモリ52が、「記憶部」の一例である。Vタイプのフィーダ20Eがカバーテープ26Eをキャリアテープ28Eから剥離する方法、Tタイプのフィーダ20Aがカバーテープ26Aをキャリアテープ28Aから剥離する方法が、それぞれ、「第1の方法」、「第2の方法」の一例である。フィーダ20E、フィーダ20Aが、それぞれ、「第1のテープフィーダ」、「第2のテープフィーダ」の一例である。テープフィーダIDに含まれるVおよびTが、「タイプ識別情報」の一例である。
【0075】
(第2実施例)
図6を参照して、第2実施例の部品実装システム100について説明する。本実施例の部品実装システム100と第1実施例の部品実装システム100とを比較すると、図6のS20およびS30の処理が互いに異なる。
【0076】
本実施例のCPU54は、S20において、作業者からリールID削除指示を受け付けることを監視することに代えて、コネクタ62から上述のフィーダ接続情報を受信することを監視する。CPU54は、コネクタ62からフィーダ接続情報を受信しない場合(S20でNO)S22~S26の処理をスキップして、S30に進む。
【0077】
コネクタ62からフィーダ接続情報を受信すると(S20でYES)、CPU54は、フィーダ本体(例えば、フィーダ本体21E)から、リール(例えば、リール22E)が取り外されたと判断する。この場合、CPU54は、フィーダ接続情報に含まれるリールIDを利用して、フィーダ本体から取り外されるリールを識別する離脱リールIDを特定する(S22)。続くS24およびS26の処理は、第1実施例と同様である。
【0078】
また、本実施例のCPU54は、S30において、リールID追加指示を受け付けることを監視することに代えて、コネクタ62から上述したリール取付情報を受信することを監視する。
【0079】
コネクタ62からリール取付情報を受信すると(S30でYES)、CPU54は、フィーダ本体(例えば、フィーダ本体21E)にリール(例えば、リール22E)が取り付けられたと判断する。この場合、CPU54は、リール取付情報に含まれるリールIDを利用して、フィーダ本体に新たに取り付けられたリールを識別する装着リールIDを特定する(S32)。続くS40~S46の処理は、第1実施例と同様である。
【0080】
このように、本実施例のCPU54は、フィーダがコネクタ62に接続される場合(S20でYES)に、離脱リールIDを有するリールがフィーダ本体から取り外されたと判断する。これにより、CPU54は、作業者がリールをフィーダ本体から取り外したことを入力する構成に比べて、リールをフィーダ本体から取り外したことを確実に考慮することができる。本実施例では、コネクタ62が、「入力部」の一例である。
【0081】
上述した実施例の留意点を以下に述べる。上述した実施例の部品実装システム100では、部品管理装置50のCPU54が、第1減算数および第2減算数をメモリ52に記憶している。本変形例では、第1減算数および第2減算数は、作業者によって任意に設定されてもよい。その場合、第1実施例のCPU54は、セットテーブルT1からリールIDが削除された場合(S20でYES)に、S24において、第1減算数の入力画面をキッティングスタンド60の操作部66に表示してもよい。作業者は、脱落した部品の個数を確認した後に、第1減算数を入力してもよい。
【0082】
上述した実施例の部品実装システム100では、VタイプとTタイプのフィーダが用いられる。本変形例では、Vタイプのフィーダのみが用いられてもよい。その場合、第1減算数テーブルT3は、フィーダタイプ情報を含まなくてもよい。さらに、本変形例では、S40~S46の処理を実行しなくてもよい。
【0083】
上述した実施例の部品実装システム100では、リールのピッチ情報に基づいて、第1減算数が決定される(S24)。本変形例では、第1減算数は、ピッチ情報に基づいて決定されなくてもよい。その場合、第1減算数テーブルT3は、ピッチ情報を含まなくてもよい。
【0084】
上述した実施例の部品実装システム100では、部品のサイズ情報に基づいて、第1減算数が決定される(S24)。本変形例では、第1減算数は、サイズ情報に基づいて決定されなくてもよい。その場合、第1減算数テーブルT3は、サイズ情報を含まなくてもよい。
【0085】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0086】
本明細書では、請求項3において「請求項2に記載の部品実装システム」を「請求項1または2に記載の部品実装システム」に変更した技術思想や、請求項4において「請求項3に記載の部品実装システム」を「請求項1~3のいずれか一項に記載の部品実装システム」に変更した技術思想も開示されている。
【符号の説明】
【0087】
4A-4E:部品
5 :基板
6 :ノズル
10 :部品実装機
11 :筐体
12 :インターフェース装置
13 :部品実装部
14 :フィーダ保持部
16 :装着ヘッド
17 :基板コンベア
18 :ヘッド移動装置
20A-20E:フィーダ
21A-21E:フィーダ本体
22A-22E:リール
24A、24E:テープ
25A、25E:ガイド
26A、26E:カバーテープ
27E :スプロケット
28A、28E:キャリアテープ
29E :貫通孔
30 :制御装置
32、52:メモリ
34、54:CPU
50 :部品管理装置
55 :第1の減算部
56 :第2の減算部
57 :第1の判断部
58 :第2の判断部
60 :キッティングスタンド
62 :コネクタ
64 :フィーダ置き場
66 :操作部
100 :部品実装システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6