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特開2024-80856ヒンジキャップおよびこれを用いた収納容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080856
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ヒンジキャップおよびこれを用いた収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/16 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B65D43/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194152
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 健太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AA34
3E084AB10
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB11
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA01
3E084GA08
3E084GB06
3E084KB10
3E084LA18
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
(57)【要約】
【課題】蓋の開封に当たって特別の力を必要とせず、誰でも容易に開封することのできるヒンジキャップおよび、これを用いた収納容器を提案する。
【解決手段】容器本体21の開口部24に取り付けられる環状のキャップ本体2と、キャップ本体を塞ぐ蓋3とを有し、キャップ本体と蓋とはヒンジ6により連結されており、蓋は、天板4と天板の外周から延びるスカート部5とを有し、スカート部の内面にはキャップ本体の外周に設けられる被係止部8と係止する係止部7を有し、キャップ本体は、内面が容器本体21の開口部24と接触して容器本体に取り付けられ、外周には係止部と係止する被係止部を有し、係止部もしくは被係止部のいずれか一方または両方が、ヒンジとは反対側に位置する第一突出部9と、第一突出部とヒンジとの中間に位置する第二突出部10とから構成されることを特徴とするヒンジキャップである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部に取り付けられる環状のキャップ本体と、該キャップ本体を塞ぐ蓋と、を有し、前記キャップ本体と蓋とはヒンジにより連結されており、
前記蓋は、天板と天板の外周から延びるスカート部とを有し、該スカート部の内面には前記キャップ本体の外周に設けられる被係止部と係止する係止部を有し、
前記キャップ本体は、内面が前記容器本体の開口部と接触して容器本体に取り付けられ、外周には前記係止部と係止する被係止部を有し、
前記係止部もしくは被係止部のいずれか一方または両方が、前記スカート部の内周もしくはキャップ本体の外周を構成する円周上において、前記ヒンジとは反対側に位置する第一突出部と、第一突出部とヒンジとの中間に位置する第二突出部と、から構成されることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
前記第一突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さが、前記第二突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記第一突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さが、前記第二突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さを100%としたとき、70%以上90%未満であることを特徴とする請求項2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記第一突出部の中心がヒンジと成す角度が180度であり、前記第二突出部の中心がヒンジと成す角度が90度であることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
底面と、前記底面から延びる筒状の側壁と、前記側壁の上端に開口部と、を有する容器本体と、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒンジキャップと、を有する収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
チョコレート、ガム、キャンディなどの菓子類や、粉物などの各種食品類等を収納する容器に用いるヒンジキャップ、並びにこれを用いた収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状のチョコレートやガム、キャンディ等の菓子類のように、内容物を一度に使い切るとは限らず、複数回に亘って消費されるような物品を収納する容器には、一旦開封した後でも再封止することができるように、再封止性(リクローズ性)が求められる。
【0003】
容器本体と蓋(キャップ)とから成る収納容器においては、蓋を紛失しないように、本体と蓋とがヒンジで連結されたヒンジキャップが好適に用いられる。
【0004】
特許文献1に記載された包装容器は、上縁に開口部を備える少なくとも上端部が弾性変形可能な容器本体と、前記開口部を塞ぐ蓋部と、を備える包装容器であって、前記蓋部は、天板と、前記天板の外周から垂下する外側筒状垂下壁と、前記天板内面から垂下し、前記外側筒状垂下壁よりも一回り内部に位置し、かつ前記開口部上端内面壁の形状に沿った内側筒状垂下壁とを備え、前記開口部近傍の外側に係止部が設けられ、前記外側筒状垂下壁の内周面には、前記係止部により係止される第1の被係止部が設けられ、前記容器本体に外力を加えることで前記容器本体の上端部を変形させ、当該変形が少なくとも前記第1の被係止部から前記蓋部全体に伝播して当該蓋部を歪ませることによって、前記係止部による前記第1の被係止部に対する係止が解除されると共に、前記内側筒状垂下壁が前記開口部の内側により押し上げられることによって、当該開口部が解放されることを特徴とする、包装容器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-43798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された包装容器は、蓋を開封する際に、容器本体にある指かけ部に親指を置き、親指を強く押すことにより蓋を開封するように設計されている。容器本体と蓋との嵌合は、容器開口部先端における1箇所のみであり、ヒンジから最も離れた位置にあるため、開封には相当の力を要する。
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、蓋の開封に当たって特別の力を必要とせず、誰でも容易に開封することのできるヒンジキャップおよび、これを用いた収納容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、容器本体の開口部に取り付けられる環状のキャップ本体と、該キャップ本体を塞ぐ蓋と、を有し、前記キャップ本体と蓋とはヒンジにより連結されており、
前記蓋は、天板と天板の外周から延びるスカート部とを有し、該スカート部の内面には前記キャップ本体の外周に設けられる被係止部と係止する係止部を有し、
前記キャップ本体は、内面が前記容器本体の開口部と接触して容器本体に取り付けられ、外周には前記係止部と係止する被係止部を有し、
前記係止部もしくは被係止部のいずれか一方または両方が、前記スカート部の内周もしくはキャップ本体の外周を構成する円周上において、前記ヒンジとは反対側に位置する第一突出部と、第一突出部とヒンジとの中間に位置する第二突出部と、から構成されることを特徴とするヒンジキャップである。
【0009】
本発明に係るヒンジキャップは、キャップ本体と蓋との嵌合部位を、ヒンジとは反対側に位置する第一突出部と、第一突出部とヒンジとの中間に位置する第二突出部との3カ所に分散したことにより、開封に要する力が小さくて済むようになった。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記第一突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さが、前記第二突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップである。
【0011】
なお、前記第一突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さは、前記第二突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さを100%としたとき、70%以上90%未満としても良い。
【0012】
また、前記第一突出部の中心がヒンジと成す角度が180度であり、前記第二突出部の中心がヒンジと成す角度が90度であるとすることもできる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、底面と、前記底面から延びる筒状の側壁と、前記側壁の上端に開口部と、を有する容器本体と、請求項1~4のいずれか1項に記載のヒンジキャップと、を有する収納容器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るヒンジキャップは、蓋に係止部を設け、キャップ本体に被係止部を設け、蓋の係止部とキャップ本体の被係止部とが係止することによって蓋が閉まった状態で固定される構造であるが、係止部と被係止部のいずれか一方または両方を突出部とし、さらにこの突出部をヒンジとは反対側に位置する第一突出部と、第一突出部とヒンジとの中間に位置する第二突出部の3カ所から構成されるようにしたので、蓋全体の係止力をそれぞれの係止部の係止力に分散することができ、その結果、弱い力でも蓋を開けることが可能となり、蓋の開け易さが向上した。
【0015】
第一突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さを、第二突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さよりも小さくした場合には、蓋の開け始めに最初に開ける第一突出部の係止力をより小さくすることができるため、蓋の開け易さがさらに向上する。
【0016】
ここにおいて、第二突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さを100%としたとき、第一突出部と、被係止部もしくは係止部との嵌合代の長さを、70%以上90%未満とした場合には、前記の効果がさらに十分に発揮される。
【0017】
第一突出部の中心がヒンジと成す角度が180度であり、第二突出部の中心がヒンジと成す角度が90度である場合には、係止部の配置が左右対称となり、外観的に優れると共に、蓋の開け易さにおいても好ましい結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明に係るヒンジキャップおよびこれを用いた収納容器の一実施態様を示した斜視説明図である。
図2図2は、図1のA-A´断面を示した断面説明図である。
図3図3は、図2のキャップ本体と蓋における被係止部と係止部の嵌合状態を示した拡大断面模式図である。
図4図4は、本発明に係るヒンジキャップおよびこれを用いた収納容器の他の実施態様を示した斜視説明図である。
図5図5は、本発明に係るヒンジキャップおよびこれを用いた収納容器の他の実施態様を示した斜視説明図である。
図6図6は、嵌合代の長さLの説明図である。
図7図7は、第一突出部、第二突出部の位置関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面を参照しながら、本発明に係るヒンジキャップ、ならびにこれを用いた収納容器について説明する。図1は、本発明に係るヒンジキャップ1およびこれを用いた収納容器20の一実施態様を示した斜視説明図である。図2は、図1のA-A´断面を示した断面説明図である。図3は、図2のキャップ本体2と蓋3における被係止部8と係止部7の嵌合状態を示した拡大断面模式図である。
【0020】
本発明に係るヒンジキャップ1は、容器本体21の開口部24に取り付けられる環状のキャップ本体2と、キャップ本体2を塞ぐ蓋3と、を有し、キャップ本体2と蓋3とはヒンジ6により連結されている。
【0021】
蓋3は、天板4と天板4の外周から延びるスカート部5とを有し、スカート部5の内面にはキャップ本体2の外周に設けられる被係止部8と係止する係止部7を有する。
【0022】
キャップ本体2は、その内面が容器本体21の開口部24と接触して容器本体21に取り付けられ、キャップ本体2の外周には蓋3の係止部7と係止する被係止部8を有する。
【0023】
係止部7もしくは被係止部8のいずれか一方または両方が、スカート部5の内周もしくはキャップ本体2の外周を構成する円周上において、ヒンジ6とは反対側に位置する第一突出部9と、第一突出部9とヒンジ6との中間に位置する第二突出部10と、から構成されることを特徴とする。
【0024】
図1に示した例では、係止部7、被係止部8の両方が、第一突出部9と第二突出部10を構成している。
【0025】
図4は、本発明に係るヒンジキャップ1およびこれを用いた収納容器20の他の実施態様を示した斜視説明図である。この例では、蓋3のスカート部5の内周に設けられた係止部7は、ヒンジ6とは反対側に位置する係止部7が第一突出部を形成し、他の2つの係止部7が第二突出部10を形成している。これに対してキャップ本体2の外周に設けられた被係止部8は、凸条状であって、突出部を形成していない。
【0026】
図5に示した例では、前記の例とは逆に、蓋3のスカート部5の内周に設けられた係止部7は、凸条状であって突出部を形成せず、キャップ本体2の外周に設けられた被係止部8がヒンジ6とは反対側に位置する被係止部8が第一突出部を形成し、他の2つの被係止
部8が第二突出部10を形成している。
【0027】
このように、係止部7、被係止部8は、そのいずれか一方または両方が突出部を形成していれば良い。突出部の高さについては、0.5~0.9mm程度が好ましい。突出部の幅については、中心に対して20~55°の範囲とする。
【0028】
図6は、図5の部分拡大図であり、嵌合代の長さLの説明図である。係止部7が凸条状であれば、被係止部8の長さがすなわち嵌合代の長さLとなる。逆の場合で、図4の例のように被係止部が凸条である場合には、図示しないが、係止部7の長さが嵌合代の長さLとなる。
【0029】
図1の例のように、係止部7、被係止部8の両方が突出部を形成している場合には、嵌合している部分の長さが嵌合代の長さLとなる。
【0030】
嵌合代の長さLについては、第一突出部9と、被係止部8もしくは係止部7との嵌合代の長さが、第二突出部10と、被係止部8もしくは係止部7との嵌合代の長さよりも小さいことが望ましい。
【0031】
ヒンジキャップ1を開封する時は、ヒンジ6の反対側にある第一突出部9から開封するので、第一突出部9における嵌合代の長さLを第二突出部10における嵌合代の長さより相対的に短くすることにより、より開封し易くなる。
【0032】
この第一突出部9における嵌合代の長さLについては、第二突出部10における嵌合代の長さの70%以上90%未満とすることにより、最も良い結果が得られることが分かっている。70%よりも小さいと、弱い力で開いてしまうので輸送時等に誤って蓋が開くおそれがある。一方90%以上であると、開けるのに要する力が強すぎるおそれがある。
【0033】
図7は、第一突出部9、第二突出部10の位置関係を示した説明図である。図に示したように、第一突出部9の中心がヒンジ6と成す角度が180度であり、第二突出部10の中心がヒンジ6と成す角度が90度であることにより、外観的にもまた開け易さの点においても、良い結果をもたらすことが分かっている。
【0034】
ただし、第二突出部10の位置については、ヒンジ6と成す角度が1~10°程度ヒンジ側にずれていても良い。
【0035】
本発明に係るヒンジキャップ1は、合成樹脂の射出成形法によって一体成形される。合成樹脂の種類としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、ならびにこれらの混合物であって良い。ヒンジキャップとしての丈夫さを考慮するとポリプロピレン(PP)樹脂もしくは、ポリプロピレン(PP)樹脂に、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂をブレンドした樹脂が好ましい。
【0036】
容器本体21は、合成樹脂製とする場合には、延伸ブロー成形法によって成形することができる。材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、ならびにこれらの混合物であっても良い。容器本体21は、紙容器とすることもできる。
【符号の説明】
【0037】
1・・・ヒンジキャップ
2・・・キャップ本体
3・・・蓋
4・・・天板
5・・・スカート部
6・・・ヒンジ
7・・・係止部
8・・・被係止部
9・・・第一突出部
10・・・第二突出部
L・・・嵌合代の長さ
20・・・収納容器
21・・・容器本体
22・・・側壁
23・・・底面
24・・・開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7