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特開2024-80857樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080857
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 93/04 20060101AFI20240610BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20240610BHJP
   C08L 45/00 20060101ALI20240610BHJP
   C08L 91/06 20060101ALI20240610BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
C08L93/04
C08L53/02
C08L45/00
C08L91/06
C08K5/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194153
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 弘征
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AE033
4J002AF021
4J002BK001
4J002BP012
4J002CE001
4J002EH046
4J002EH047
4J002EH056
4J002EH057
4J002EH076
4J002EH077
4J002FD010
4J002FD023
4J002FD026
4J002FD040
4J002FD050
4J002FD070
4J002FD090
4J002FD180
4J002FD200
4J002FD341
4J002GF00
4J002GJ01
(57)【要約】
【課題】本発明は、植物由来原料を用いても優れた接着力を有し、塗工時の作業性に優れ、塗工物となった際に他の塗工物に付着しない、即ちブロッキング性に優れた樹脂組成物樹脂組成物を提供することを目的としている。
【解決手段】スチレン系ブロック共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)およびオイル(D)をそれぞれ特定量含む樹脂組成物であって、前記スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(A1)およびスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(A2)のうち少なくとも一方を含有し、前記粘着付与樹脂(B)がロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)のうち少なくとも一方を含有し、前記ワックス(C)が植物性ワックスを含有し、前記オイル(D)が植物性オイルを含有する、樹脂組成物によって解決される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系ブロック共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)およびオイル(D)を含む樹脂組成物であって、
前記スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(A1)およびスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(A2)のうち少なくとも一方を含有し、
前記粘着付与樹脂(B)がロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)のうち少なくとも一方を含有し、
前記ワックス(C)が植物性ワックスを含有し、
前記オイル(D)が植物性オイルを含有し、
樹脂組成物の合計100質量%中、
前記スチレン系ブロック共重合体(A)の含有率が3~20質量%であり、
前記粘着付与樹脂(B)の含有率が40~70質量%であり、
前記ワックス(C)の含有率が3~20質量%であり、かつ、
前記オイル(D)の含有率が3~20質量%である、樹脂組成物。
【請求項2】
前記ロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)の軟化点が、70~130℃であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
基材の少なくとも片面に請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる樹脂層を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、及び該樹脂組成物を用いてなる積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙おむつ及び生理用ナプキン等に代表される使い捨て製品の貼り合わせには熱溶融した接着剤が使用されており、塗工がし易く、強固に接着することが要求されている。
熱溶融した接着剤は、種々の方法により各種構成部材に塗布することができるが、いずれの方法を用いても熱溶融した接着剤が適当な粘度になるように加熱溶融し、面状、螺旋状、ドット状、線状、筋状等で、各種構成部材に塗布することによって使い捨て製品が組み立てられている。
【0003】
従来、使い捨て製品、使い捨ての吸水性物品用としてのホットメルト接着剤について、下記の特許文献1、2に示されるような種々の提案がなされてきた。
【0004】
特許文献1には、エラストマーブロックを含むスチレンブロック共重合体の組成物と、粘着付与樹脂と、可塑剤とを含むことを特徴とするHMPSA組成物が記載されている。
【0005】
特許文献2には、メタロセン触媒によるポリオレフィン重合体と、粘着付与樹脂と、スチレン系ブロック共重合体と、固体可塑剤を含むホットメルト接着組成物が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1および2に記載の発明では、高温条件での塗工が必要であったり、塗工物に凹凸が生じて接着性が発現しなかったりする課題があり、性能が不十分であった。
【0007】
また、近年環境保全の観点から、植物由来原料を使用した高バイオマスホットメルト接着剤に注目が集まっている。しかしながら、植物由来原料は石油系由来原料に比べて接着力等の物性確保が難しく、実用可能なものは未だ開発されていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2022-522465号公報
【特許文献2】特開2017-206701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、植物由来原料を用いても優れた接着力を有し、塗工時の作業性に優れ、塗工物となった際に他の塗工物に付着しない、即ちブロッキング性に優れた樹脂組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スチレン系ブロック共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)およびオイル(D)を含む樹脂組成物であって、
前記スチレン系ブロック共重合体(A)が、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(A1)およびスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(A2)のうち少なくとも一方を含有し、
前記粘着付与樹脂(B)がロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)のうち少なくとも一方を含有し、
前記ワックス(C)が植物性ワックスを含有し、
前記オイル(D)が植物性オイルを含有し、
樹脂組成物の合計100質量%中、
前記スチレン系ブロック共重合体(A)の含有率が3~20質量%であり、
前記粘着付与樹脂(B)の含有率が40~70質量%であり、
前記ワックス(C)の含有率が3~20質量%であり、かつ、
前記オイル(D)の含有率が3~20質量%である、樹脂組成物に関する。
【0011】
また本発明は、ロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)の軟化点が、70~130℃である上記樹脂組成物に関する。
【0012】
また本発明は、少なくとも基材の片面に上記樹脂組成物からなる樹脂層を有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、植物由来原料を用いても優れた剥離強度を有し、塗工時の作業性に優れ、塗工後に塗工物のブロッキング性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態及び具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。
本明細書において、特に記載がない限り、「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値の範囲として含むものとする。
【0016】
本発明における軟化点とは、JIS K 6863に規定される方法により求められる温度である。詳細は実施例の欄に記載する。
【0017】
<スチレン系ブロック共重合体(A)>
本発明の樹脂組成物を構成するスチレン系ブロック共重合体(A)は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(以下SBSとも略記する)(A1)およびスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(以下SEBSとも略記する)(A2)の少なくとも一方を含有する。
スチレン系ブロック共重合体(A)は、さらに(A1)および(A2)以外のスチレン系ブロック共重合体を含有しても良い。SBSおよびSEBS以外のスチレン系ブロック共重合体は、トリブロック構造部を有するものが好ましい。具体的には、
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合物(以下、「SIS」とも略記する)、
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEPS」とも略記する)、
スチレン-ブタジエン-イソプレン-スチレンブロック共重合物(以下、「SBIS」とも略記する)、
スチレン-ブタジエン-イソプレン-スチレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEEPS」とも略記する)、等が挙げられる。
また、上記共重合物は、カルボキシル変性されたものであってもよく、さらには、上記共重合物中のスチレンブロックは、スチレンと、α-メチルスチレン等のその他の芳香族系ビニル化合物との共重合体を含んでいてもよい。
【0018】
本発明のスチレン系ブロック共重合体(A)のスチレンブロック含有率は、10~45質量%が好ましく、より好ましくは13~42質量%である。スチレンブロック含有率が10~45質量%の範囲内であることで適切な接着力を維持することができる。
【0019】
本発明において、「スチレンブロック含有率」とは、スチレン系ブロック共重合体(A)中のスチレンブロックの質量比率をいう。
【0020】
さらに、スチレン系ブロック共重合体(A)はトリブロックの構造部を有するものを用いることが好ましいが、トリブロック型の構造部のみを有するものには限定されず、一部ジブロックの構造部を有するものであってもよい。
スチレン系ブロック共重合体(A)は、ジブロックを含んでも含まなくてもよいが、ジブロックの含有率は0~50質量%が好ましく、より好ましくは0~45質量%である。ジブロックの含有率が0~50質量%であることで、溶融時の耐熱性に優れる。ジブロックの含有率が50質量%を超えると、凝集力が低下し、塗布後引き剥がす際に樹脂層の形状を維持しにくくなる。
スチレン系ブロック共重合体(A)は、単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
本発明において、「ジブロック含有率」とは、スチレン系ブロック共重合体(A)中に含まれるスチレン-ブタジエブロック共重合物(以下、「SB」とも略記する)、又はスチレン-ブタジエンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEB」とも略記する)、又はスチレン-イソプレンブロック共重合物(以下、「SI」とも略記する)、又はスチレン-イソプレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEP」とも略記する)、又はスチレン-ブタジエン-イソプレンブロック共重合物(以下、「SBI」とも略記する)、 又はスチレン-ブタジエン-イソプレンブロック共重合物の水素添加物(以下、「SEEP」とも略記する)の質量比率をいう。
【0022】
スチレン系ブロック共重合体(A)の含有率は、樹脂組成物100質量%中、3~20質量%である。好ましくは5~18質量%である。スチレン系ブロック共重合体(A)の含有率が3質量%以上となることで、得られる樹脂組成物の凝集力が維持する傾向にある。スチレン系ブロック共重合体(A)の含有率が20質量%以下であると、適正な粘度となり、支障なく塗工ができるようになる。
【0023】
<粘着付与樹脂(B)>
本発明の樹脂組成物を構成する粘着付与樹脂(B)は、ロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)の少なくとも一方を含有する。
ロジン系粘着付与樹脂(B1)としては、天然ロジン及び当該天然ロジンのエステル化物、ロジンエステル樹脂、水素添加されたロジンエステル樹脂、などが挙げられ、テルペン系粘着付与樹脂(B2)としては、水素添加されたテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。粘着付与樹脂(B)は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。接着力が上がる観点から、ロジン系粘着付与樹脂(B1)を含むことがより好ましい。
【0024】
粘着付与樹脂(B)は、ロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)以外の粘着付与樹脂を含むことができる。
ロジン系粘着付与樹脂(B1)およびテルペン系粘着付与樹脂(B2)以外の粘着付与樹脂としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、
水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール-変性石油樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂などが挙げられる。
【0025】
ロジン系粘着付与樹脂(B1)、テルペン系粘着付与樹脂(B2)およびその他粘着付与樹脂の軟化点は70~130℃であることが好ましい。粘着付与樹脂の軟化点が70℃以上であると、凝集力を維持し易くなり、剥離の際に凝集破壊し難くなる。また、粘着付与樹脂の軟化点が130℃を以下であると低温域での接着力を維持し易くなる。
【0026】
粘着付与樹脂(B)の含有率は、樹脂組成物100質量%中、40~70質量%であり、より好ましくは43~67質量%である。粘着付与樹脂(B)の含有率が40質量%以上では加工性が維持し易くなる。粘着付与樹脂(B)の含有率が70質量%以下である場合には接着性を発現できるようになる。
【0027】
<ワックス(C)>
本発明の樹脂組成物を構成するワックス(C)は、植物性ワックスを含有する。
植物性ワックスとしては、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、などが挙げられる。これらの中でも、固化が早く、接着力が高くなる点でライスワックス、カルナバワックスが好ましい。
【0028】
ワックス(C)は、植物性ワックス以外のワックスを含むことができる。
植物性ワックス以外のワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレン・ポリプロピレンワックス、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量エチレン・プロピレン共重合物、低分子量エチレン・プロピレン共重合物の酸化物、低分子量エチレン・ブテン共重合体、低分子量プロピレン・ブテン・エチレン共重合物、低分子量エチレン・プロピレン共重合物のスチレングラフト物、エチレン・プロピレン共重合物の無水マレイン酸化物、プロピレン・ブテン・エチレン共重合物の無水マレイン酸化物などの変性ワックス等が挙げられる。
【0029】
ワックス(C)としては、融点が50℃~130℃のワックスが好ましい。なお、本発明で融点とは示差走査熱量計測定で、10℃/分で昇温した際のピークトップの温度である。詳細は実施例の欄に記載する。
【0030】
ワックス(C)の含有率は、樹脂組成物100質量%中、3~20質量%である。より好ましくは5~18質量%である。ワックス(C)の含有率が3質量%以上となることで塗工性が良好となる。ワックス(C)の含有率が20質量%以内になることで適切な接着性を発現することができる。
【0031】
<オイル(D)>
本発明の樹脂組成物を構成するオイル(D)は、植物性オイルを含有する。植物性オイルとしては、ライスオイル、紅花油、コーン油などが挙げられる。植物性オイルを用いることでオイルブリードしにくくなる。
【0032】
オイル(D)は、植物性オイル以外のオイルを含むことができる。植物性オイル以外のオイルとしては、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、芳香族系鉱物油などが挙げられる。
一般に、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるものをパラフィン系鉱物油、ナフテン環炭素数が全炭素数の35~45%を占めるものをナフテン系鉱物油、芳香族炭素数が全炭素数の30%以上を占めるものを芳香族系鉱物油と呼び、区別されている。
【0033】
オイル(D)の含有率は、樹脂組成物100質量%中、3~20質量%である。好ましくは5~18質量%である。オイル(D)の含有率が3質量%以上では加工性が良好になる。また、オイル(D)の含有率が20質量%以下になる場合には凝集力を維持することができるようになる。
【0034】
≪樹脂組成物≫
本発明の樹脂組成物は、スチレン系ブロック共重合物(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)およびオイル(D)を含有し、必要に応じてその他の添加剤を配合しても良い。
【0035】
その他添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、シランカップリング剤、着色剤、接着昂進防止剤、光安定剤、充填剤、香料などが挙げられる。
【0036】
酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤や、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等のリン系酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0037】
上記のフェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤(例えば、5,7-ジ-tert-ブチル-3-(3,4-ジメチルフェニル)-3H-ベンゾフラン-2-オン)やビタミンE系酸化防止剤(3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-ベンゾピラン-6-オール3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-ベンゾピラン-6-オール3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-ベンゾピラン-6-オール3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-ベンゾピラン-6-オール3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-ベンゾピラン-6-オール)等を併用することにより、より優れたものとなる。また、上記のリン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。
【0038】
紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独でも、2種類以上が併用されてもよい。
【0039】
抗菌剤としては、ブテナフィン及びその塩等のベンジルアミン系抗菌剤、ビフォナゾール、ネチコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、クロコナゾール、オモコナゾール、スルコナゾール及びこれらの塩等のイミダゾール系抗菌剤、テルビナフィン及びその塩などのアリルアミン系抗菌剤、アモロルフィン及びその塩等のモルホリン系抗菌剤、リラナフタート、トルナフテート及びトルシクラート等のチオカルバミン酸系抗菌剤、ナイスタチン、トリコマイシン、バリオチン、シッカニン、ピロールニトリン等の抗生物質等の抗菌剤などが挙げられる。これらの抗菌剤は、単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
消臭剤としては、消臭効果を有するものであれば特に限定はないが、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、シトロネリルセネシオネート、テルペンアルデヒド類、ピルビン酸エステル類、2-エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛などが挙げられる。これらの消臭剤は、単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0041】
防虫剤としては、樟脳、ナフタレン、パラジクロルベンゼン、イソボルニル、チオシアノ酢酸、1,2-ベンゼンジカルボン酸ジエチルエステル、パラフォーム、クロルピクリン、除虫菊、エンペントリン、トランスフルスリン、アレスリン、フェノトリン、エミネンス等が挙げられる。これらの防虫剤は、単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0042】
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトブチルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は単独でも、2種類以上を併用しても良い。
【0043】
着色剤としては、一般に使用されている公知の着色剤が挙げられ、無機顔料や有機顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、前記充填材としても用いられるカーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛や、弁柄、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、群青、コバルトブルー、チタンイエロー、鉛白、鉛丹、鉛黄、紺青等が挙げられ、有機顔料としては、例えば、キナクリドン、ポリアゾイエロー、アンスラキノンイエロー、ポリアゾレッド、アゾレーキイエロー、ペリレン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。これらの着色剤は単独でも、2種類以上を併用しても良い。
【0044】
接着昂進防止剤としては、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミンの長鎖アルキルグラフト物、大豆油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード251」等)、トール油変性アルキド樹脂(例えば、荒川化学社製、商品名「アラキード6300」等)などが挙げられる。
【0045】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系の通常使用されるものが挙げられる。
【0046】
充填剤としては、例えば、タルク、クレイ、ガラスビーズ、珪酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、合成有機繊維、天然繊維、木粉などが挙げられる。
【0047】
香料としては、ピネン、リモネン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β-フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ―ブチルラクトン、クマリン、シネオール等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料などが挙げられる。これらの香料は、単独でも、2種類以上を併用してもよい。
【0048】
その他添加剤は、スチレン系ブロック共重合体(A)、粘着付与樹脂(B)、ワックス(C)およびオイル(D)の合計100質量部に対して、0~10質量部配合しても良く、より好ましくは0~8質量部配合しても良い。10質量部以下であればブリードアウトし難くなる。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、上記各種成分を均一に混合することによって調製することができ、混合手段や条件などは特に制限されない。一般的な調製方法として、ミキシングロール、ロール、バンバリーミキサー、一軸または二軸の押出機、ニーダー、エクストルーダー、溶融押出機、撹拌機を備えた溶融釜などの装置を用いて各種成分を混練し、次いで得られた混練物を冷却及び粉砕する方法が挙げられる。混練形式についても特に限定されないが、溶融混練とすることが好ましい。溶融混練時の条件は、使用する各種成分の種類や配合量によって適宜決定すればよく、特に制限はない。
【0050】
本発明の一実施形態では、例えば60~200℃の温度範囲で30~300分間にわたって溶融混練することが好ましく、65~195℃の温度範囲で35~295分間にわたって溶融混練することがより好ましい。溶融混練の温度が60℃~200℃の範囲であれば、各種成分を十分に溶融混練することができるようになる。また、溶融混練の時間が30~300分以内であれば未溶解物が残留しなくなる。
【0051】
本発明の樹脂組成物の形状としては、例えば、塊状、ストランド状、シート状、平板状、ペレット状などが挙げられる。本発明の樹脂組成物を成形加工へ適用するためには、得られる成形体の生産安定性の観点から、形状として好ましくは、塊状である。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、80~140℃で塗工することが好ましく、低粘度での塗工が要求されるロールや溶融させる際の撹拌機を備えた溶融釜にも対応できる。そのような観点から、本発明の樹脂組成物は、130℃における粘度が100~3,000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは500~1800mPa・sである。
130℃における粘度が100~3,000mPas・sの範囲内にあることで、垂れや吐出不良になることなく塗工することができる。
【0053】
本発明の樹脂組成物は、軟化点が70~110℃であることが好ましい。より好ましくは、75~100℃である。軟化点が70~110℃であることによって、十分な接着力を発現することができる。
【0054】
本発明の樹脂組成物は、加熱溶融したものまたはその溶液を、紙、樹脂、不織布等の基材に通常用いられる塗工機またはホットメルト塗工機を用いて鏡面状態、発泡状態、ビード状態、スパイラル状態などの様々なパターンで塗布し、必要に応じてエージング、加熱、冷却することによって、樹脂層を形成することができ、樹脂層が積層された各種積層体を得ることができる。樹脂組成物は、重ねて塗工することもでき、2種類の樹脂組成物を同一の基材に並列に塗り分けることも出来る。樹脂層の形成は、通常使用されている塗布装置を用いて行なうことができる。塗布装置としては、例えば、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ディッピング、ブレードコーターなどが挙げられる。
【0055】
≪積層体≫
次に本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は、少なくとも基材の片面に上記樹脂組成物からなる樹脂層を有する。すなわち、本発明の積層体の基本的積層構成は、基材/樹脂層/離型性フィルムのような片面積層体、あるいは離型性フィルム/樹脂層/基材/樹脂層/離型性フィルムのような両面積層体である。使用時に、離型性フィルムが剥がされ、樹脂層が被着体に貼付される。本発明の樹脂組成物は、貼着中も完全に固化することなくタックと適度な固さを有しつつ、貼着状態を維持するための凝集力を有する。
【0056】
基材の素材としては、特に制限無く使用することが出来る。例えば、樹脂フィルムとしては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、プリプロピレン、ノルボルネン等のオレフィン系樹脂が挙げられる。基材は、単層のものでも複数層でもよい。その他、不織布、織布、布、紙、ガラス、金属箔、金属メッシュとこれを含む複合物が挙げられる。また、必要に応じて、基材の表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの易接着処理、帯電防止処理、着色処理等を施してもよい。更に、離型性フィルムも基材として用い、離型性フィルムに樹脂組成物を塗工することもできる。これら基材の厚みには特に制限はないが、作業性から5μm~1000μmが好ましい。
【0057】
樹脂組成物の塗布量は、通常1g/m~100g/mであり、好ましくは2g/m~98g/m、更に好ましくは5g/m~95g/mである。塗布量が1g/m~100g/mの範囲であれば、十分な接着力が発現するので好ましい。
【0058】
樹脂層は、必要に応じて、離型性フィルム等と貼り合わせて用いることが出来る。離型性フィルムとしては、特に制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)、ポリエチレン、プリプロピレン、ノルボルネン等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PPS樹脂フィルム、TACフィルム、アクリル樹脂フィルム、紙、またはこれらに離型処理を施したもの等が挙げられる。
【0059】
本発明の積層体は、樹脂層が離型性フィルム以外のフィルム状基材と離型性フィルムとの間、離型性フィルム以外のフィルム状基材と離型性フィルム以外のフィルム状基材との間、あるいは離型性フィルムと離型性フィルムの間に挟持された構成のいずれであってもよい。離型性フィルム以外のフィルム状基材と離型性フィルムとの間に樹脂層が挟持された構成が好ましい。
【実施例0060】
以下、本発明を実施例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、例中、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ表すものとする。
【0061】
<軟化点>
軟化点は、JIS K 6863に規定される方法に従って測定した。
すなわち、樹脂組成物を充填した規定の環を12時間以上静置させた後、熱媒体中に入れて、樹脂組成物を充填した規定の環の上に規定の球を置き、一定の割合で熱媒体(グリセリン)の温度を上昇させたとき、樹脂組成物の軟化により球が沈み環台の底板に触れたときの温度を読み取り、軟化点とした。
【0062】
<130℃における粘度測定>
130℃における粘度は、B型粘度計(TVB-10M、東機産業製)を使用し、下記条件で測定した。
温度:130℃
試料量:約500g
ロ-タ-No.:3
ロ-タ-回転数:12rpm
回転時間:30秒間
【0063】
(実施例1)
撹拌機を備えたニーダーに、スチレン系ブロック共重合体(A)としてタフプレンA(旭化成社製、SBS)を8.5部、粘着付与樹脂(B)としてSYLVALITE9000(クレイトン社製、未水添ロジン系粘着付与樹脂)を66.5部、ワックス(C)としてカルナバワックス2号(トーヨーケム社製、カルナバワックス)を9部、オイル(D)としてライスオイルB-1(ボーソー油脂社製、ライスオイル)を16部、および酸化防止剤を0.5部添加し、150℃で3時間撹拌し、実施例1の樹脂組成物を得た。
【0064】
(実施例2~12、比較例1~13)
各材料を表1、2に示した部数に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~12、比較例1~13の樹脂組成物を得た。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】
【0067】
以下に、表1、2中の材料について示す。
[スチレン系ブロック共重合体(A)]
A1-1:SBS、スチレンブロック含有率40質量%、トリブロック含有率100%(製品名タフプレンA、旭化成社製)
A1-2:SBS、スチレンブロック含有率40質量%、トリブロック含有率99%以上、ジブロック含有率1%以下(製品名クレイトンD1155、クレイトン社製)
A1-3:SBS、スチレンブロック含有率29質量%、トリブロック含有率83%、ジブロック含有率17%(製品名D1102、クレイトン社製)
A1-4:SBS、スチレンブロック含有率30質量%、トリブロック90%、Europrene SolT166、PolimeriEuropa社製)
A2-1:SEBS、スチレンブロック含有率30質量%、トリブロック含有率100%、ジブロック含有率1%以下(製品名クレイトンG1652 、クレイトン社製)
A2-2:SEBS、スチレンブロック含有率30質量%、トリブロック含有率30%、ジブロック含有率70% (製品名クレイトンG1726、クレイトン社製)
A2-3:SEBS、スチレンブロック含有率47質量%、トリブロック含有率100% (製品名タフテックP5051、旭化成社製)
A3-1:SIS、スチレンブロック含有率17質量%、トリブロック含有率67%、ジブロック含有率33%(製品名クレイトンD1117、クレイトン社製)
A3-2:SIS、スチレンブロック含有率16質量%、トリブロック含有率62%、ジブロック含有率38%(製品名クレイトンD1183PT、クレイトン社製)
A3-3:SB、スチレンブロック含有率30質量%、ジブロック100%、(製品名Solprene1205、Dynasol社製)
【0068】
[粘着付与樹脂(B)]
B1-1:未水添ロジン系粘着付与樹脂、軟化点103℃(製品名SYLVALITE9000、クレイトン社製)
B1-2:未水添ロジン系粘着付与樹脂、軟化点105℃(製品名SYLVALITE9100、クレイトン社製)
B1-3:ロジン系粘着付与樹脂、軟化点125℃(製品名ハリタックFK125、ハリマ化成社製)
B1-4:水素添加ロジン系粘着付与樹脂、軟化点75℃(製品名ハリタックF、ハリマ化成社製)
B1-5:ロジン系粘着付与樹脂、軟化点140℃(製品名KR-140、荒川化学工業社製)
B1-6:ロジン系粘着付与樹脂、軟化点100℃(製品名SylvaliteRE100L、クレイトン社製)
B2-1:テルペン系粘着付与樹脂、軟化点100℃(製品名SYLVARES 3115、クレイトン社製)
B3-1:芳香族変性脂肪族炭化水素系粘着付与樹脂、軟化点93℃(製品名Escorez2203LC、エクソンモービル社製)
B3-2:石油系粘着付与樹脂、軟化点100℃(アルコンP100、荒川化学工業社製)
【0069】
[ワックス(C)]
(植物性ワックス)
C-1:ライスワックス、融点79℃(25℃)(ライスワックスSS1、ボーソー油脂社製)
C-2:カルナバワックス、融点82℃(カルナバワックス2号、トーヨーケム社製)
(石油系ワックス)
C-3:パラフィンワックス融点69℃(パラフィンワックス155、日本精蝋社製)
【0070】
[オイル(D)]
(植物性オイル)
D-1:ライスオイル(ライスオイルB-1、ボーソー油脂社製)
D-2:紅花油(紅花油、J-オイルミルズ社製)
D-3:コーン油(コーン油、J-オイルミルズ社製社製)
D-4:大豆油(食用大豆油、理研農産化工社製)
(石油系オイル)
D-5:パラフィン系プロセスオイル(PS-90、出光興産社製)
【0071】
表1、2に記載のその他の成分の略号を以下示す。
酸化防止剤: ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
ポリエチレンホモポリマー(A-C8、Honeywel社製 )
【0072】
(評価)
実施例1~12、および比較例1~13で作製した樹脂組成物について、下記に示す要領にしたがって、塗工性、接着力(DRY)、接着力(WET)、ブロッキング性を評価した。これらの結果を表1、2に示した。
【0073】
[塗工性]
塗工温度130℃、塗工速度30m/分で不織布上にスパイラル塗工し、下記の評価基準で塗工性を評価した。〇、△を実用可能と判断した。
〇:スパイラル塗工でき、均一ならせん状の外観となった。:良好
△:スパイラル塗工できるが、一部不均一ならせん状の外観となった。:実用可
×:スパイラル塗工できなかった。:実用不可
【0074】
[試験サンプルの作製]
上記実施例1~12、および比較例1~13で得られた樹脂組成物を、塗工温度130℃、塗工速度30m/分、塗布量が5g/m2、幅が5cmになるように不織布(20g/m2)にスパイラル塗工し、流れ方向に23℃で且つ圧力50gf/cm2で0.01秒間押圧して不織布(20g/m2)と貼り合せた。流れ方向に対して垂直方向に、長さ15cm、25mm幅でカットし、試験サンプルとした。
【0075】
[接着力(DRY)]
得られた試験サンプルを用いて接着力(DRY)を測定した。300mm/分のスピードでT字剥離し、塗布部分の接着力の平均値を算出した。
〇:3N/25mm以上:良好
△:2N/25mm以上3N/25mm未満:実用可
×:2N/25mm未満:実用不可
なお、表1、2の接着力評価結果が斜線となっている樹脂組成物は、前述の塗工条件で試験サンプルを作製することができず、接着力評価未実施であることを示す。
【0076】
[接着力(WET)]
前述の方法で作製した試験サンプルを用いて、下記の方法で接着力(WET)を測定した。
試験サンプルを水に浸漬させ、5分間静置させた。水滴が落ちない程度に乾燥させた後、300mm/分のスピードでT字剥離し、塗布部分の接着力の平均値を算出した。○を実用可能と判断した。
〇:2N/25mm以上:実用可
×:2N/25mm未満:実用不可
なお、表1、2の接着力評価結果が斜線となっている樹脂組成物は、前述の塗工条件で試験サンプルを作製することができず、接着力評価未実施であることを示す。
【0077】
[ブロッキング性]
前述の方法で作製した試験サンプルを、各々5cm角に切ったものを10枚重ね、その上に10kgの重りを置いて、40℃ 雰囲気下で24時間静置した。重りを取り除いた後、試験サンプルを23℃ 雰囲気下に1時間静置し、試験サンプルを剥離した際のブロッキングの有無を確認した。
○ : 剥離抵抗感がなく剥離できる:良好
△ : 剥離抵抗感が若干あるが剥離できる:実用可
× : 剥離時にブロッキングが発生し、剥離できない:実用不可
【0078】
表1、2の結果から明らかなように、比較例での結果は不十分であったのに対し、実施例では良好な結果を示している。