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特開2024-80863二酸化炭素の資源化方法及び炭化ケイ素の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080863
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】二酸化炭素の資源化方法及び炭化ケイ素の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/984 20170101AFI20240610BHJP
【FI】
C01B32/984 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194181
(22)【出願日】2022-12-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合研究機構、「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発、CO2有効利用拠点における技術開発、研究開発拠点におけるCO2有効利用技術開発・実証事業/CO2を炭素源とした産廃由来炭化ケイ素合成の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002631
【氏名又は名称】弁理士法人イイダアンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100076439
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 敏三
(74)【代理人】
【識別番号】100161469
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 修一
(72)【発明者】
【氏名】福島 潤
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 博胤
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146MA14
4G146MB23
4G146MB30
4G146NA02
4G146NA06
4G146NA21
4G146NB07
4G146NB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】二酸化炭素を、低エネルギーコストで固形炭化物である炭化ケイ素として資源化する方法を提供すること。
【解決手段】ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、前記発熱反応を加熱炉により行う、二酸化炭素の資源化方法、及び、炭化ケイ素の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記発熱反応を加熱炉により行う、二酸化炭素の資源化方法。
【請求項2】
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を含む固形反応生成物を得て、この固形反応生成物を洗浄して純度99.00%以上の炭化ケイ素を得ることを含む、二酸化炭素の資源化方法。
【請求項3】
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記ケイ素として粒径0.2~4.0μmのケイ素粉末を用いる、二酸化炭素の資源化方法。
【請求項4】
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記発熱反応を加熱炉により行う、炭化ケイ素の製造方法。
【請求項5】
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を含む固形反応生成物を得て、この固形反応生成物を洗浄して純度99.00%以上の炭化ケイ素を得ることを含む、炭化ケイ素の製造方法。
【請求項6】
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記ケイ素として粒径0.2~4.0μmのケイ素粉末を用いる、炭化ケイ素の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素の資源化方法及び炭化ケイ素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な地球環境、社会を実現するために、脱炭素社会の実現への取り組みが国際的に加速している。例えば、石炭、石油及び天然ガスなどの化石燃料をエネルギー源とする火力発電では大量の二酸化炭素が排出される。二酸化炭素は温室効果ガスの大半を占め、地球温暖化の主な原因とされており、その排出量を削減するための技術開発が進められている。
二酸化炭素を資源として利用することにより、大気中への排出量を削減する取り組みとして、例えば、「CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)」が挙げられる。「CCUS」では、二酸化炭素の利用先として、化学品、燃料及び鉱物などが挙げられている。
【0003】
また、持続可能な社会の実現のためには、資源を有効利用したり、廃棄物の削減や再利用を促進したりすることも重要である。例えば、社会のデジタル化が急激に進展している状況下、デジタルインフラの整備等に伴い半導体市場が活況である。半導体製品の基盤材料であるシリコンウェハー(半導体シリコン)の製造では、年間約9万トンに上る大量のシリコンスラッジが発生していると言われており、このシリコンスラッジを有効に利用するための研究開発が行われている。例えば、非特許文献1には、活性炭を炭素源として、シリコンの切り屑(シリコンスラッジ)から、炭化ケイ素を得る技術が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Powder Technology,2017年12月,第322巻,p.290-295
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二酸化炭素を炭素源として化学反応に有効利用することが広く検討されている。例えば、二酸化炭素を固形状の化合物の原料として用いることができれば、二酸化炭素を大きく減容化できる利点がある。このような技術の一環として、例えば、二酸化炭素を原料として鉱物を合成し、ファインセラミックス等として利用することが考えられる。しかし現状では、二酸化炭素の鉱物化の技術として、二酸化炭素を酸化カルシウムと反応させて炭酸カルシウムを得ることが提案されている程度である。
【0006】
本発明は、二酸化炭素を、低エネルギーコストで固形炭化物である炭化ケイ素として資源化する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、二酸化炭素とケイ素とを接触させて加熱すると、吸熱反応ではなく発熱反応が生じ、反応生成物として炭化ケイ素が得られること、すなわち、二酸化炭素を炭素源として、発熱反応により、固形炭化物である炭化ケイ素が生成することを見出した。本発明は、この知見に基づきさらに検討を重ねて完成させるに至ったものである。
【0008】
本発明の課題は以下の手段によって解決された。
〔1〕
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記発熱反応を加熱炉により行う、二酸化炭素の資源化方法。
〔2〕
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を含む固形反応生成物を得て、この固形反応生成物を洗浄して純度99.00%以上の炭化ケイ素を得ることを含む、二酸化炭素の資源化方法。
〔3〕
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記ケイ素として粒径0.2~4.0μmのケイ素粉末を用いる、二酸化炭素の資源化方法。
〔4〕
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記発熱反応を加熱炉により行う、炭化ケイ素の製造方法。
〔5〕
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を含む固形反応生成物を得て、この固形反応生成物を洗浄して純度99.00%以上の炭化ケイ素を得ることを含む、炭化ケイ素の製造方法。
〔6〕
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記ケイ素として粒径0.2~4.0μmのケイ素粉末を用いる、炭化ケイ素の製造方法。
【0009】
本発明及び本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。なお、本明細書において、成分の含有量、物性等について数値範囲を段階的に複数設定して説明する場合、数値範囲を形成する上限値及び下限値は、「~」の前後に記載された特定の組み合わせに限定されず、各数値範囲を形成する上限値及び下限値の数値を適宜に組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二酸化炭素の資源化方法によれば、二酸化炭素を効率的に資源化することができる。また、本発明の炭化ケイ素の製造方法によれば、二酸化炭素を炭素源として、固形炭化物である炭化ケイ素を効率的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[二酸化炭素の資源化方法及び炭化ケイ素の製造方法]
本発明の二酸化炭素の資源化方法及び炭化ケイ素の製造方法(以下、「本発明の二酸化炭素の資源化方法及び炭化ケイ素の製造方法」を併せて、単に「本発明の方法」と称する。)は、ケイ素と二酸化炭素とを、発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を生成することを含む。ケイ素と二酸化炭素とを接触させて加熱した場合に発熱反応が生じることはこれまで知られておらず、本発明の方法は、この発熱反応を構成要件とする点に本質的な特徴がある。この特徴を基礎として、本発明の方法は次の3形態の方法を提供するものである。
【0012】
<第1形態>
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記発熱反応を加熱炉により行う、二酸化炭素の資源化方法ないし炭化ケイ素の製造方法。
【0013】
<第2形態>
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を含む固形反応生成物を得て、この固形反応生成物を洗浄して純度99.00%以上の炭化ケイ素を得ることを含む、二酸化炭素の資源化方法ないし炭化ケイ素の製造方法。
【0014】
<第3形態>
ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を得ることを含み、
前記ケイ素として粒径0.2~4.0μmのケイ素粉末を用いる、二酸化炭素の資源化方法ないし炭化ケイ素の製造方法。
【0015】
本発明の方法において「発熱反応」との用語は、自発的に燃焼が伝播し合成反応が進む燃焼合成反応も含む意味で用いている。本発明において二酸化炭素の資源化とは、二酸化炭素を炭素源として用いて、固形炭化物である炭化ケイ素として資源化することを意味する。二酸化炭素の資源化の形態としては、産業活動等で生じた二酸化炭素のリサイクルが挙げられ、また、空気中の二酸化炭素を必要により濃縮して用いて資源化する形態が挙げられる。
【0016】
上記第1形態、第2形態、及び第3形態に共通する上述の特徴、すなわち、ケイ素と二酸化炭素とを、発熱反応を介して反応させることにより、前記二酸化炭素の炭素と前記ケイ素とを結合させ炭化ケイ素を生成する反応について説明し、その実施形態の説明の中で、各形態に特有の技術事項についても説明する。
【0017】
本発明の方法では、ケイ素と二酸化炭素との発熱反応を用いる。ケイ素と二酸化炭素とを共存させて、通常は加熱することにより発熱反応を生じさせる。本発明の方法は発熱反応を利用する点に特徴があり、これにより、外部から供給するエネルギーを抑えることができ、エネルギーコストを低減できる。この発熱反応の反応機構を以下に検討する。
【0018】
ケイ素と二酸化炭素の反応を反応式で表すと、次の反応式(1)を想起することができる。

Si + CO → SiC+O (1)

しかし、上記反応式(1)は、ギブスの自由エネルギーの変化(ΔG(kJ/mol))が、1気圧下、0~2500K(0~2500℃)の範囲内で300を越えるものである。つまり、この反応は吸熱反応であり、発熱反応にはなり得ない。
しかし、ケイ素と二酸化炭素との反応を、発熱反応を介して行えることは、後述する実施例において実験事実として示されている。また、この反応においてSiCの他に、SiOが生成していることを確認している。そうすると、ケイ素と二酸化炭素の反応は、例えば、下記反応式(2)~(4)で進行することが推定され、本発明の方法では、下記反応式(2)及び/又は(3)でSiCが得られると考えられる。

2Si + CO → SiO+SiC (2)

3Si + 2CO → 2SiC + SiO + O (3)

Si + CO → SiO + C (4)

上記反応式(2)は、ΔGが、1気圧下、0~2500Kの範囲内で0未満である。また、上記反応式(3)は、ΔGが、1気圧下、0~1200K程度では0未満である。すなわち、反応式(2)及び(3)は高温域でも発熱反応である。また、上記反応式(4)も、ΔGが、1気圧下、0~2500Kの範囲内で0未満である。
【0019】
なお、上記反応式において、SiCは、α-SiCであってもよく、β-SiCであってもよい。通常は、500~1500℃程度の熱によって発熱反応を行うとβ-SiCが生成するが、このβ-SiCを、2000℃を越える温度で加熱することにより、α-SiCへ相転移させることができる。
【0020】
本発明の方法において、発熱反応に供するケイ素源(原料)として、ケイ素そのもの(単体ケイ素)を用いてもよいし、含ケイ素化合物(ケイ素元素を含む化合物、例えば、ケイ素の窒化物、ホウ化物、塩化物、フッ化物及び水素化物等)を用いてもよい。反応効率の観点からは、これらのケイ素源は粉末状であることが好ましい。ケイ素源の粒径は小さい方が、目的の炭化ケイ素の収率をより高めることができる。この観点で、ケイ素源の粒径を0.2~4.0μmとすることが好ましく、0.3~3.0μmとすることがより好ましく、0.3~2.0μmとすることがさらに好ましく、0.4~1.5μmとすることが特に好ましい。本発明において「粒径」はメジアン径(d50)を意味する。メジアン径は、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定し、累積分布において粒子の全体積を100%としたときに50%累積となるときの粒径を意味する。
上記の所望の微細粒子からなるケイ素源は、乳鉢・乳棒、ボールミル、クラッシュミル、及びハンマーミル等の粉砕処理により調製することができる。
ケイ素源は、ケイ素粉末(シリコン粉末)が好ましい。ケイ素粉末として、シリコンスラッジ又はシリコンスラッジの粉砕物を用いることも好ましい。
【0021】
本発明の方法では、二酸化炭素は発生源(排出元)に制限されることなく用いることができる。例えば、空気中の二酸化炭素を、必要により濃縮して使用することができる。また、火力発電所、セメントプラント及び製鉄所高炉等から排出される二酸化炭素を用いることもできる。また、ごみ焼却施設、輸送機、化学品製造、パルプ製造、紙製造、紙加工品製造、食品飲料製造及び機械製造等の各種製造プラントから発生する二酸化炭素を用いてもよい。
【0022】
また、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記発熱反応の反応系には二酸化炭素以外かつケイ素源以外の原子、分子ないし化合物を含んでいてもよく、このような原子、分子ないし化合物として、例えば、窒素、希ガス、メタン、エチレン、酸素、一酸化炭素、炭素及び有機物が挙げられる。
上記反応系において、二酸化炭素以外の原料に占めるケイ素源の割合は、合計で、例えば、50質量%以上であり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
【0023】
なお、本発明の方法において、発熱反応の温度上昇を制御するため、希釈剤と混合して二酸化炭素と発熱反応させてもよい。このような希釈剤として、例えば、酸化物、窒化物、炭化物及び複酸化物が挙げられる。希釈剤の使用量はとくに制限されず、例えば、炭化物形成原料100質量部に対して、90質量部以下で用いることができ、80質量部以下が好ましく、75質量部以下がより好ましい。
【0024】
本発明の方法では、ケイ素と二酸化炭素とを発熱反応を介して反応させる。通常は、反応容器内にケイ素源と二酸化炭素とを導入して加熱し、発熱反応を生じさせる。ケイ素源は通常は固形物であるが、本発明はケイ素源が固形物である形態に限定されるものではない。
【0025】
上記反応容器は耐熱性であることが好ましく、例えば、石英製、セラミックス製又は金属製の反応容器が好ましい。
【0026】
ケイ素と二酸化炭素とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、反応容器中のガスを、二酸化炭素を含むガスとしたり、反応容器中に二酸化炭素を流通させたりする方法が挙げられる。
反応容器には二酸化炭素に加え、二酸化炭素以外のガスを導入してもよく、このようなガスとして例えば、窒素ガス、希ガス、一酸化炭素ガス及び酸素ガスが挙げられる。
反応容器に導入するガス中の二酸化炭素の割合は特に制限されず、低濃度の二酸化炭素でも目的の反応を進めることが可能である。また、反応を繰り返したり、二酸化炭素を流通形式で循環供給したりすれば、低濃度の二酸化炭素でも得られる炭化ケイ素の収率を挙げることが可能である。反応効率をより高める観点からは、反応容器に導入するガス中の二酸化炭素の割合は、例えば、1体積%以上が好ましく、5体積%以上とすることも好ましく、10体積%以上とすることも好ましい。
また、ケイ素のモルに対して、二酸化炭素のモルを過剰に用いて反応を行うことも好ましい。
【0027】
反応系を加熱する場合の加熱温度は、発熱反応が生じれば特に制限されない。例えば、30℃以上とすることができ、50℃以上とすることがより好ましく、100℃以上とすることがさらに好ましく、300℃以上とすることがさらに好ましく、500℃以上とすることがさらに好ましく、800℃以上とすることがさらに好ましく、1000℃以上とすることがさらに好ましく、1100℃以上がさらに好ましく、1150℃以上がさらに好ましい。また、上記加熱温度は、例えば、2500℃以下とすることができ、2400℃以下とすることもでき、2300℃以下とすることもでき、2200℃以下とすることもできる。したがって、反応系の加熱温度は、30~2500℃とすることができ、300~2400℃が好ましく、500~2300℃がより好ましく、800~2200℃がさらに好ましく、1000~2200℃がさらに好ましく、1100~2200℃がさらに好ましく、1150~2200℃が特に好ましい。
【0028】
加熱時間は、発熱反応が開始する限り特に制限されない。発熱反応開始後も加熱し続ける場合も考慮すると、加熱時間を、例えば、0.1~5000秒間とすることができ、0.5~4000秒間がより好ましい。
なお、発熱反応が開始した後は、加熱を止めてもよく、加熱し続けてもよい。例えば、自発的に燃焼が伝播し合成反応が進む反応形態であれば、加熱を止めても反応が効率的に進行する。
【0029】
反応系を加熱する手段は特に制限されず、例えば、加熱炉(電気炉、ガス加熱炉、誘導加熱炉等)のような熱伝導を介する加熱装置を用いることができ、また、熱伝導を介さないレーザー照射、マイクロ波照射及びハロゲンランプ光照射を用いることも好ましい。なお、マイクロ波加熱はシングルモードの定在波により行ってもよく、マルチモードのマイクロ波加熱でもよい。
【0030】
マイクロ波照射の出力は、例えば、1~3000Wとすることができ、5~1000Wが好ましい。一方、ハロゲンランプにより光(赤外線)を照射する場合の出力は、例えば、1~1000Wとすることができ、10~450Wが好ましい。
【0031】
本発明の方法において、ケイ素と二酸化炭素との反応は、大気圧下で行ってもよく、反応容器を密閉して減圧下又は加圧下で行ってもよい。加圧下では、発熱反応を促進することができる。ケイ素と二酸化炭素との反応は、例えば、0.01~200MPa下で行うことができ、0.10~100MPa下で行うこともできる。
【0032】
本発明の方法において、1つの反応系で、加熱する工程は2回以上(好ましくは2~5回、より好ましくは2~4回)繰り返してもよい。反応系を加熱する工程を2回以上行う場合、通常、前の工程の発熱合成反応が終了後、反応系が室温になるまで静置した後、次回の加熱を行う。
また、上記静置後、反応系を構成する粒子が凝集している場合、必要に応じて、凝集した粒子を解砕してもよい。なお、粒子の凝集体と、ケイ素源の粉末が共存している場合には、解砕前に篩(例えば目開き45μmの篩)によりケイ素源の粉末を取り除いてもよい。これにより、凝集体中の未反応物だけを再度二酸化炭素との反応に付すことができ、目的の炭化ケイ素の純度をより高めることができる。
【0033】
また、本発明の方法において、上記静置又は解砕の後、未反応のケイ素源や副生成物を除去するため、発熱反応後の固形反応生成物(粗生成物)を、洗浄液で洗浄することが好ましい。洗浄液は、ケイ素源、副生成物の種類に応じて適宜に選択することができる。例えば、発熱反応後の固形反応生成物をフッ化水素酸と硝酸との混合液や水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することにより、炭化ケイ素を高純度で得ることができる。本発明の方法においては、ケイ素や二酸化ケイ素を選択的に溶解して高効率に除去する観点から、水酸化ナトリウム水溶液を用いて洗浄することが特に好ましい。
上記洗浄により、炭化ケイ素の純度を、例えば99.00%以上とすることができ、99.10%以上まで高めることも可能となる。当該純度は、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)や蛍光X線分析法(XRD、XRF)により決定することができる。
水酸化ナトリウム水溶液を用いて行う洗浄の条件は特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1~48質量%とすることができ、5~20質量%が好ましく、14~18質量%が更に好ましい。水酸化ナトリウム水溶液の温度は特に制限されず、例えば、10~180℃とすることができ、50~180℃が好ましく、80~180℃がより好ましく、120~160℃がさらに好ましい。洗浄は、例えば、発熱反応後の固形反応生成物を、水酸化ナトリウム水溶液中で、1分間~72時間(好ましくは、30~150分間)攪拌することにより行うことができる。これにより、ケイ素や二酸化ケイ素が水酸化ナトリウム水溶液中に溶解し、その後、ろ過等の固液分離により、高純度の炭化ケイ素を得ることができる。
【0034】
本発明の方法で得られた炭化ケイ素は、種々の用途に適用することができる。一例として、耐火物、発熱体、セッター、半導体、ウエハ、半導体用インゴットなどの原料として用いることができる。
【実施例0035】
本発明を、実施例に基づき更に詳細に説明する。本発明は、本発明で規定すること以外は、以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
【0036】
[実施例1]
内部にケイ素粉末(シリコン粉末)0.15gを入れた石英製の円筒(サイズ:断面直径8mm、長さ70mm)を、共振器の中心軸に沿って配した。大気圧下で、円筒内に二酸化炭素(CO)ガスを流量0.14L/minで流通させながら、共振器内にマイクロ波を70W(周波数2.45GHz)で10秒間照射して共振器内にシングルモードの定在波を形成し、円筒内のケイ素粉末を電界加熱した。反応系内の温度をサーモグラフィにより測定したところ、マイクロ波照射により、反応系の温度は1800℃まで到達した。COガスを流通させたまま、得られた反応生成物を室温になるまで静置した。静置後の反応生成物を円筒から取出し、アルミナ乳鉢を用いて解砕した。解砕後の反応生成物についてXRD(X線回折)により得られた回析結果を用いて、RIR(参照強度比)法によりSiとSiCを定量した。定量結果を後記表1に記載する。表中の質量%はSiとSiCの合計を100質量%とした結果である(以下も同様)。
なお、XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。以降の実施例も同様である。
【0037】
[実施例2]
マイクロ波照射時間を60秒とし、実施例1と同様にして、室温になるまで静置した反応生成物を、アルミナ乳鉢を用いて解砕した。マイクロ波照射から解砕までを1サイクルとして、このサイクルを3回行った。3サイクル後の反応生成物について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表1に記載する。
【0038】
[実施例3]
実施例2において、加熱方法としてマイクロ波照射に代えて、ハロゲンランプにより赤外線を出力450Wで10秒間照射したこと以外は、実施例2と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表1に記載する。
【0039】
[実施例4]
実施例2において、各サイクルの「静置」後「解砕」前に、篩(目開き45μm)を用いて未反応のケイ素粉末を取り除いたこと以外は、実施例2と同様にして反応生成物(3サイクル後の反応生成物)を得た。SiとSiCの定量結果を後記表1に記載する。
【0040】
【表1】
【0041】
<表の注>
「照射時間(秒)」は、1サイクルにおいて反応系を加熱した時間である。後記表においても同様である。
「反応系温度(℃)」は、照射時間における到達温度である。
【0042】
表1から、本発明の方法により、効率的に炭化ケイ素(固形炭化物)を得られることが分かる。特に、実施例1と2との比較から、サイクル数を増やしてトータルの照射時間を長くすることで、炭化ケイ素の収率が向上することが分かる。
【0043】
[実施例5]
実施例1において、ケイ素粉末の量を0.5gにしたこと、円筒内のケイ素粉末の一部を共振器の外部に配したこと及びCOガスの流量を1.05L/minにしたこと以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表2に記載する。
「円筒内のケイ素粉末の一部を共振器の外部に配した」とは、円筒内でひとまとまりのケイ素粉末の一部にマイクロ波が照射されるように(換言すれば、ケイ素粉末の一部にはマイクロ波が照射されないように)、ケイ素粉末を配したことを意味する。
【0044】
【表2】
【0045】
マイクロ波照射を停止した後50秒後に、共振器の外部にある反応系の温度をサーモグラフィにより測定したところ、1320℃という高温に到達していた。このことから、上記の反応は、マイクロ波が照射されて生じた発熱反応の反応熱が、マイクロ波が照射されていないケイ素粉末へと伝播して合成反応が進んでいること(発熱反応が燃焼合成反応のように進んでいること)が明らかとなった。
【0046】
[実施例6]
実施例1において、マイクロ波の照射時間を1秒間としたこと及びCOガスの流量を0.35L/minにしたこと以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表3に記載する。
【0047】
[実施例7]
実施例6において、照射時間を10秒間に変更したこと以外は、実施例6と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表3に記載する。
【0048】
[実施例8]
実施例6において、マイクロ波の照射時間を100秒間に変更したこと以外は、実施例6と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表3に記載する。
【0049】
[実施例9]
実施例6において、マイクロ波の照射時間を1000秒間に変更したこと以外は、実施例6と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表3に記載する。実施例9では、XRDにより、前記試料にシリカ(SiO)の結晶相が含まれていることが確認された。
【0050】
[実施例10]
実施例6において、マイクロ波の照射時間を3000秒間に変更したこと以外は、実施例6と同様にして反応生成物を得た。静置後の試料について、SiとSiCの定量結果を後記表3に記載する。実施例10では、XRDにより、前記試料にシリカ(SiO)の結晶相が含まれていることが確認された。
【0051】
【表3】
【0052】
実施例6~8との比較から、反応系を加熱する時間を長くすることで炭化ケイ素の収率を向上できることが分かる。一方、実施例9及び10の結果から、1800℃の加熱では加熱時間をより長くすると、結晶シリカも生成することが分かる。
【0053】
[実施例11]
実施例2において、二酸化炭素ガスの流通に代えて、窒素と二酸化炭素との混合ガス(体積比で窒素:二酸化炭素=50:50)を流通させたこと以外は、実施例2と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表4に記載する。
【0054】
[実施例12]
実施例11において、混合ガスの窒素と二酸化炭素との割合を、窒素:二酸化炭素=90:10(体積比)に変えたこと、及び、1サイクルにおけるマイクロ波の照射時間を10秒間に変えたこと以外は、実施例11と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表4に記載する。
【0055】
[実施例13]
実施例12において、混合ガスの窒素と二酸化炭素との割合を、窒素:二酸化炭素=80:20(体積比)に変えたこと以外は、実施例12と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表4に記載する。
【0056】
[実施例14]
実施例12において、混合ガスの窒素と二酸化炭素との割合を、窒素:二酸化炭素=70:30(体積比)に変えたこと以外は、実施例15と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表4に記載する。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例11~14の結果から、本発明の方法は、発熱反応において、ケイ素と接触させるガスに二酸化炭素以外のガスが混合していても(二酸化炭素のモル分率を低くしても)、目的とする固形炭化物(炭化ケイ素)を得られることが分かる。
【0059】
[実施例15]
ケイ素粉末50gに、二酸化炭素ガスを吹き付けながら(吹き付け量6L/min)、マルチモードマイクロ波を出力300Wで100秒間照射した。得られた試料を室温になるまで静置した。静置後の試料について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表5に記載する。
【0060】
【表5】
【0061】
表5から、本発明の方法により、ケイ素粉末の量を増やしても、目的とする炭化ケイ素を効率的に得られることが分かる。
【0062】
[実施例16]
シリコンスラッジ粉末(純度:99%、平均粒径:2.0~3.0μm)54gに、二酸化炭素ガスを吹き付けながら(吹き付け6L/min)、マルチモードマイクロ波を出力1000Wで60秒間照射した。得られた試料を室温になるまで静置した。室温になるまで静置した反応生成物を、アルミナ乳鉢を用いて解砕した。マイクロ波照射から解砕までを1サイクルとして、このサイクルを3回行った。3サイクル後の反応生成物について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表6に記載する。なお、シリコンスラッジ粉末の使用量は、表中の「シリコン粉末」のカラムに記載している(以下も同様)。
【0063】
【表6】
【0064】
[実施例16-洗浄(1)]
実施例16で得られた3サイクル後の反応生成物を、10質量%のNaOH水溶液に投入し、電気炉にて140℃で60分間加熱した。次いで、ろ過して液を取り除き、得られた洗浄後の反応生成物について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表7に記載する。なお、洗浄後の反応生成物のXRD測定では非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0065】
[実施例16-洗浄(2)]
実施例16-洗浄(1)において、洗浄条件を下記表7に記載の条件に変えたこと以外は、実施例16-洗浄(1)と同様にして、3サイクル後の反応生成物の洗浄を行った。得られた洗浄後の反応生成物について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表7に記載する。なお、洗浄後の反応生成物のXRD測定では非晶質シリカ(SiO)は確認されなかった。したがって、実質的に単相のSiCが得られていることがわかる。
【0066】
[実施例16-洗浄(3)]
実施例16-洗浄(1)において、洗浄条件を下記表7に記載の条件に変えたこと以外は、実施例16-洗浄(1)と同様にして、3サイクル後の反応生成物の洗浄を行った。得られた洗浄後の反応生成物について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表7に記載する。なお、洗浄後の反応生成物のXRD測定では非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0067】
【表7】
【0068】
表7の結果から、本発明の方法において、発熱反応後の混合物を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄することで、高純度の炭化ケイ素が得られることが分かる。
【0069】
[実施例16-純度]
実施例16のシリコンスラッジ粉末(試料3)と、実施例16において得られた、3サイクル後の反応生成物(試料2)と、実施例16-洗浄(2)において得られた洗浄後の反応生成物(試料1)の各々について、ICP測定を行った。具体的には、塩酸、硝酸、フッ化水素酸及び硫酸からなる混酸に各試料をマイクロウェーブ試料分解装置にて溶解させたものをICP-MS装置により測定し、測定結果から各試料の元素組成を決定した。結果を表8に示し、純度を表9に示す。表9の純度(%)は、全ての元素濃度の合計値(C1)に対するケイ素の濃度(C2)の百分率の値((C2/C1)×100))である。
【0070】
【表8】
【0071】
[表8の注]
表中の数値の単位:μg/mg
【0072】
【表9】
【0073】
表8及び表9の結果から、実施例16-洗浄(2)の条件で洗浄することで、高純度且つ高効率に炭化ケイ素が得られることが分かる。
【0074】
[実施例16-XRF]
実施例16-洗浄(2)において得られた洗浄後の反応生成物について、XRF(X‐ray Fluorescence)測定により元素組成を調べた。結果を表10に示す。
【0075】
【表10】
【0076】
表10の結果から、XRF測定からも、実施例16-洗浄(2)の条件で洗浄することで、高純度且つ高効率に炭化ケイ素が得られることが分かる。
【0077】
[実施例17]
マイクロ波の照射時間を60秒間とし、反応生成物の解砕にアルミナ乳鉢に代えてメノウ乳鉢を用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。SiとSiCの定量結果を後記表11に記載する。
【0078】
[実施例18]
実施例17と同様にして、室温になるまで静置した反応生成物を、アルミナ乳鉢を用いて解砕した。マイクロ波照射から解砕までを1サイクルとして、このサイクルを2回行った。2サイクル後の反応生成物について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表11に記載する。
【0079】
[実施例19]
実施例17と同様にして、室温になるまで静置した反応生成物を、アルミナ乳鉢を用いて解砕した。マイクロ波照射から解砕までを1サイクルとして、このサイクルを3回行った。3サイクル後の反応生成物について、実施例1と同様にしてSiとSiCを定量した。定量結果を後記表11に記載する
【0080】
【表11】
【0081】
実施例17~19の比較から、マイクロ波の出力が70Wと比較的小さくても、粉末状のケイ素原料から炭化ケイ素が高効率に得られ、さらにサイクル数を増やすことにより収率がより高まることがわかる。
【0082】
[実施例20]
内部にケイ素粉末(純度:99.99%、粒径:1.3μm)0.15gを入れた石英製の円筒(断面直径:8mm)を、管状炉に配した。円筒内に二酸化炭素ガスを流量1.5L/minで流通させながら、加熱した。熱電対により炉温を1200℃に設定した。保持時間は60分とした。得られた反応生成物を円筒ごと炉外に取り出し、COを流通させたまま室温になるまで静置した。静置後の反応生成物を、メノウ乳鉢を用いて解砕した。解砕後の反応生成物についてXRD(X線回折)により得られた回析結果を用いて、RIR(参照強度比)法によりSiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0083】
[実施例21]
実施例20のケイ素粉末をシリコンスラッジ粉末(純度:99.9%、粒径:0.5μm)0.15gに変更し、炉温を1150℃に設定したこと以外は、実施例20と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0084】
[実施例22]
実施例20のケイ素粉末をシリコンスラッジ粉末(純度:99.9%、粒径:0.5μm)0.15gに変更したこと以外は、実施例20と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0085】
[実施例23]
保持時間を180分にしたこと以外は、実施例20と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0086】
[実施例24]
保持時間を10分にし、炉温を1300℃に設定したこと以外は、実施例20と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0087】
[実施例25]
保持時間を30分にしたこと以外は、実施例24と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0088】
[実施例26]
保持時間を60分にしたこと以外は、実施例24と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0089】
[実施例27]
二酸化炭素ガスを円筒内に流通させてから解砕までのサイクルを3回行ったこと以外は、実施例26と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0090】
[実施例28]
二酸化炭素ガスの流量を3.0L/minとしたこと以外は、実施例26と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0091】
[実施例29]
炉温を1394℃に設定したこと以外は、実施例26と同様にして反応生成物を得て、SiとSiCを定量した。定量結果を後記表12に記載する。XRDにより、反応生成物に非晶質シリカ(SiO)が確認された。
【0092】
【表12】
【0093】
表12から、反応系を1150℃以上に加熱することで炭化ケイ素が得られることが分かる。また、ケイ素原料の粒径を小さくすることにより、炭化ケイ素の収率が効果的に高められることもわかった。