(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080875
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】バスバー固定装置
(51)【国際特許分類】
H01R 9/22 20060101AFI20240610BHJP
H01R 9/00 20060101ALI20240610BHJP
H02G 5/08 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H01R9/22
H01R9/00 B
H02G5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194197
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊川 靖
(72)【発明者】
【氏名】服部 龍
(72)【発明者】
【氏名】松浦 守崇
【テーマコード(参考)】
5E086
5G365
【Fターム(参考)】
5E086DD05
5E086DD19
5E086JJ12
5E086LL04
5E086LL06
5E086LL13
5G365AA01
5G365AB02
5G365CA07
5G365CB01
5G365CC01
5G365CD07
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、固定面に対するバスバーの固定作業を確実に行うことができるバスバー固定装置を提供する。
【解決手段】このバスバー固定装置10は、固定台20とカバー50とを有し、固定台20は固定面30,31を有し、カバー50は、受け部51を有すると共に、鉛直方向から見たときに、弧を描くように、固定台20に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられており、受け部51に、リッド70が、水平状態から上方に向けて回動するように、第2ヒンジ部74を介して取付けられており、カバー閉じ状態で且つリッド開き状態で、リッド70は水平又は水平よりも上方に延びている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に他の接続部材との接続部を有するバスバーが固定される固定台と、前記バスバーの、前記固定台に対する固定部分を覆うカバーとを有する、バスバー固定装置であって、
前記固定台は、前記バスバーを固定するための固定面を有しており、該固定面に、前記バスバーが固定部材を介して固定されるようになっており、
前記カバーは、受け部を有すると共に、鉛直方向から見たときに、弧を描くように、前記固定台に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられており、
前記受け部に、リッドが、水平状態から上方に向けて回動するように、第2ヒンジ部を介して取付けられており、
前記固定面に対して前記カバーが近接したカバー閉じ状態で、且つ、前記固定面に対して前記リッドが離反したリッド開き状態で、前記リッドは、水平又は水平よりも上方に延びるように構成されていることを特徴とするバスバー固定装置。
【請求項2】
前記受け部は、前記カバー閉じ状態で、斜め上方に延びるように傾斜する底壁を有しており、
前記カバー閉じ状態で且つ前記リッド開き状態において、前記リッドは、斜め上方に延びるように構成されている請求項1記載のバスバー固定装置。
【請求項3】
前記第1ヒンジ部は、前記固定面に対して前記カバーが離反したカバー開き状態が維持されるように、前記固定台を幅方向の一側部から見たときに、軸方向の上端部が軸方向の下端部に対して斜めに傾いて設けられている請求項1又は2記載のバスバー固定装置。
【請求項4】
前記第2ヒンジ部は薄肉ヒンジからなり、
前記リッドは、前記リッド開き状態で、前記受け部に前記第2ヒンジ部を介して一体成形されている請求項1又は2記載のバスバー固定装置。
【請求項5】
前記固定台には、前記バスバーの一部を受け入れ可能とする受け入れ溝を有し、前記バスバーを仮保持可能な仮保持部が設けられており、
前記受け部の、前記固定面側には、前記バスバーの一部を挿通可能とする、挿通用切欠きが設けられている請求項1又は2記載のバスバー固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーを固定するためのバスバー固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車等における電気部品にはバスバーが用いられている。このバスバーには、別のバスバーや、他部品の端子等が接続されることがある。そのため、バスバーを、所定箇所に固定した状態に維持するために、バスバー固定装置が利用されている。
【0003】
上記のバスバー固定装置では、バスバーは、ネジやナット等を介して、固定台に固定される。また、バスバーどうしが接続された部分や、バスバーと他部品の端子等が接続された部分は、それらの部分の保護や高電圧対応のために、カバーで覆われることが多い。
【0004】
上記のようなカバーを有するバスバー固定構造として、例えば、下記特許文献1には、平板状の複数の第1バスバーと、L字型の第2バスバーと、第1バスバー及び第2バスバーをそれぞれ所定位置に保持するケースと、ケースから突出する第2バスバーを覆う端子カバーとを備えるバスバーモジュールが記載されている。
【0005】
また、L字型の第2バスバーは、鉛直板部の上端部にボルト穴が形成され、水平板部の突出部に雄ネジが突設されている。上記ボルト穴は、例えば、バッテリーの電極端子をボルト締めする際に用いられる。
【0006】
更に、端子カバーは、ケースの辺縁部に第1ヒンジを介して接続される第1カバーを備えており、第1カバーを第1ヒンジで曲げることで、第2バスバーの水平板部の裏面側が、第1カバーで覆われる。また、第1カバーの側方には、第3ヒンジを介して第3カバーが開閉可能に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1のバスバーモジュールの場合、第1カバーを第1ヒンジで曲げると、第1カバーが、第2バスバーの水平板部の裏面側を覆うと共に、第2バスバーのボルト穴の下方に位置する(特許文献1の
図5参照)。そのため、第2バスバーのボルト穴を利用して、バッテリーの電極端子を固定する際に、ボルトが脱落しても、第1カバーで受け止め可能となる。
【0009】
しかし、上記第1カバーは、第2バスバーの水平板部の先端よりも、僅かに前方に突出しているにすぎないため、脱落したボルトを受け止めるには十分ではない。また、第1カバー側方の第3カバーは、脱落したボルトの受け止めに何ら寄与しない。そのため、ボルト穴から脱落したボルトが、ケース外方に落下してしまうことがあり、ボルト穴を利用しての、電極端子の固定作業が確実になされないことがあった。
【0010】
また、上記問題は、ボルト穴を利用して、第2バスバーに、別のバスバーを固定する際にも生じ得る。
【0011】
したがって、本発明の目的は、固定面に対するバスバーの固定作業を確実に行うことができる、バスバー固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、一端に他の接続部材との接続部を有するバスバーが固定される固定台と、前記バスバーの、前記固定台に対する固定部分を覆うカバーとを有する、バスバー固定装置であって、前記固定台は、前記バスバーを固定するための固定面を有しており、該固定面に、前記バスバーが固定部材を介して固定されるようになっており、前記カバーは、受け部を有すると共に、鉛直方向から見たときに、弧を描くように、前記固定台に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられており、前記受け部に、リッドが、水平状態から上方に向けて回動するように、第2ヒンジ部を介して取付けられており、前記固定面に対して前記カバーが近接したカバー閉じ状態で、且つ、前記固定面に対して前記リッドが離反したリッド開き状態で、前記リッドは、水平又は水平よりも上方に延びるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、カバーは、受け部を有すると共に、鉛直方向から見たときに弧を描くように回動可能とされ、且つ、受け部に、リッドが水平状態から上方に向けて回動するように取付けられており、更に、固定面に対してカバーが近接したカバー閉じ状態で、且つ、固定面に対してリッドが離反したリッド開き状態で、リッドは、水平又は水平よりも上方に延びるように構成されているので、固定部材によるバスバー固定作業中に、固定面から固定部材が脱落しても、カバーの受け部やリッドで受け止めることができる。その結果、固定部材が、固定台やカバーの外方に落下することを防止することができるので、固定面に対するバスバーの固定作業を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るバスバー固定装置の一実施形態を示しており、その分解斜視図である。
【
図3】同バスバー固定装置において、
図2とは異なる方向から見た場合の斜視図である。
【
図4】同バスバー固定装置において、固定面に対してカバーが最大限開いた状態の斜視図である。
【
図6】同バスバー固定装置を用いて、固定面に対してバスバーを固定する際の工程を示しており、その第1工程の斜視図である。
【
図11】本発明に係るバスバー固定装置において、カバーの正面開口部をリッドで閉じた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(バスバー固定装置の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係るバスバー固定装置の、一実施形態について説明する。
【0016】
図1に示すように、この実施形態におけるバスバー固定装置10(以下、単に「固定装置10」ともいう)は、バスバー4,5,6,7(
図8~12参照)が固定される固定台20と、バスバー4,5,6,7の、固定台20に対する固定部分を覆うカバー50とを有している。
【0017】
また、固定台20は、バスバー4,5,6,7を固定するための、固定面30,31を有している。一方の固定面30にはバスバー4,5が、他方の固定面31にはバスバー6,7が、ボルトやナット等の固定部材8を介して固定されるようになっている。更に
図6~12に示すように、固定台20は、被固定部材1(例えば、車両のフレームやパネル等)の被固定面2に載置されて固定される。
【0018】
なお、バスバー4,5,6,7は、例えば、電気自動車やハイブリット車の、バッテリーや電気部品等から延設されたものとなっており、その一端に他の接続部材との接続部を有している。また、バスバー4,5,7は、所定長さで延びる延出部4a,5a,7aに対して、略L字状をなすように屈曲した端末部4b,5b,7bを有している。一方、バスバー6は、所定長さで延びる延出部6aに対して、所定角度で屈曲した端末部6bを有している。
【0019】
なお、この実施形態では、バスバー4,5,7の端末部4b,5b,7b、及び、バスバー6の端末部6bが、本発明における「他の接続部材との接続部」をなしている。また、「接続部材」とは、他のバスバーや、導線、その他の通電可能な部材を意味する。
【0020】
次に、固定台20について詳述する。
【0021】
この固定台20は、被固定面2から立設し且つ所定幅で広がる、壁部21を有している。また、壁部21は、被固定部材1の被固定面2の面方向に対して直交する方向(鉛直方向)に延びている、とも言える。
【0022】
なお、壁部21の幅方向とは、固定台20全体を正面側から見たときの、壁部21が広がる方向を意味し、これを「幅方向X1」とする。また、幅方向X1に対して直交する方向を、「奥行方向Y1」とする。これらは、壁部21自体、及び、固定台20を構成する壁部21以外の各部分においても同様の意味である。
【0023】
また、壁部21の立設方向基端であって、幅方向X1の両側からは、固定片23,23が突出している。各固定片23には、カラー圧入孔24がそれぞれ形成されている。各カラー圧入孔24内にはカラー25が圧入され、更にカラー25内にボルト等の固定具3が挿入されて、該固定具3を介して被固定部材1に固定台20が固定されるようになっている。
【0024】
また、壁部21の正面側(奥行方向Y1の一端側)であって、立設方向途中からは、水平の段部26,27が形成されており、該段部26,27を介して垂直面28,29が形成されている。
【0025】
更に、垂直面28,29の先端からは、壁部21の背面側(奥行方向Y1の他端側)に向けて、次第に肉薄となるように(次第に奥行方向Y1の寸法が短くなるように)、所定角度で傾斜した固定面30,31が設けられている。また、固定面30,31は、水平方向に対して、所定角度で傾斜するようになっている。更に、固定面31は、固定面30よりも、高さ(壁部21の背面側からの突出量)が低くなっている。
【0026】
なお、壁部21の幅方向X1の一側部寄りに、上記の段部26、垂直面28、固定面30が配置されており、壁部21の幅方向X1の他側部寄りに、上記の段部27、垂直面29、固定面31が配置されている。
【0027】
また、壁部21の正面側であって、段部26,27、垂直面28,29、固定面30,31の先端(上端)に至る範囲には、仕切りリブ32が延設されている。この仕切りリブ32によって、固定面30側の領域と、固定面31側の領域とに仕切られて、固定面30側に配置されるバスバー4,5と、固定面31側に配置されるバスバー6,7とが、接触して短絡しないようになっている。
【0028】
更に、固定面30,31の所定位置には、圧入孔33がそれぞれ形成されている。各圧入孔33内には、略円筒状をなし軸方向一端から鍔が張り出した、被固定部34が圧入されるようになっている。各被固定部34の内周には、雌ネジが螺刻されている。そして、各被固定部34内に、固定部材8が挿入されて締め付け固定される。
【0029】
また、固定台20には、バスバー5,7の一部を受け入れ可能とする受入れ溝36,38を有し、バスバー5,7を仮保持可能な仮保持部35,37が設けられている。
【0030】
すなわち、壁部21の立設方向基端部の正面側からは、幅方向X1の両側部が開口すると共に、被固定面2とは反対側が開口した(上方が開口した)、略L字枠状をなした仮保持部35が設けられている。この仮保持部35は、壁部21の幅方向X1の全域に亘り設けられている(
図1参照)。そして、仮保持部35の内側に、バスバー5の延出部5aを受け入れる(
図8~12参照)、受け入れ溝36が形成されている。
【0031】
また、壁部21の立設方向基端部であって、前記段部27よりも正面側には、幅方向X1の他側部が開口すると共に、被固定面2とは反対側が開口した(上方が開口した)、仮保持部37が設けられている。この仮保持部37は、壁部21の、固定面31の形成範囲内に設けられている(
図1参照)。そして、仮保持部37の内側には、バスバー7の延出部7aを受け入れる(
図8~12参照)、受け入れ溝38が形成されている。
【0032】
また、壁部21の幅方向X1の一側面21aであって、固定面30に近接した位置からは、所定間隔を空けて複数(ここでは3個)の突片40が、固定面30の傾斜角度に沿って突設されている。更に、隣接する突片40,40どうしが、円柱状の軸部41によって連結されている。
【0033】
この実施形態では、2個の軸部41,41が、固定面30の傾斜角度に沿って同軸的に配置されている。すなわち、一対の軸部41,41は、被固定部材1の被固定面2に対して傾斜する向きで配置されるようになっている。なお、一対の軸部41,41は、本発明における「第1ヒンジ部」の一部を構成する。
【0034】
一方、
図3に示すように、壁部21の幅方向X1の他側面21bであって、前記固定面31に沿った位置からは、係合部43が突設されている。この係合部43は、固定面31に近接した位置から、固定面31に離間する方向に向けて、次第に突出量が大きくなるテーパ面44を有している。この係合部43は、カバー50の係合孔62に係合する。
【0035】
更に
図3に示すように、壁部21の他側面21bであって係合部43の両側には、略L字状をなした保持突起46,46が突設されている。これらの一対の保持突起46,46は、係合部43が係合孔62に係合した状態で、係合片61の両側に位置して該係合片61を保持し、そのガタツキ等を抑制する。
【0036】
また、この実施形態の場合、バスバー5の延出部5aが仮保持部35に仮保持され、バスバー5の端末部5bが固定面30上に載置されると共に、バスバー4の端末部4bが、バスバー5の端末部5b上に載置されて、端末部4b,5bどうしが重ねられた状態で、固定部材8によって固定面30に固定されるようになっている(
図9参照)。
【0037】
更に、バスバー7の延出部7aが仮保持部37に仮保持され、バスバー7の端末部7bが固定面31上に載置されると共に、バスバー6の端末部6bが、バスバー7の端末部7b上に載置されて、端末部6b,7bどうしが重ねられた状態で、固定部材8によって固定面31に固定されるようになっている(
図9,10参照)。
【0038】
次に、カバー50について詳述する。
【0039】
このカバー50は、脱落した固定部材8を受け止め可能な受け部51を有すると共に、鉛直方向から見たときに、弧を描くように、固定台20に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられており、受け部51に、リッド70が、水平状態から上方に向けて回動するように、第2ヒンジ部74を介して取付けられている。
【0040】
また、カバー50は、受け部51を有すると共に、固定面30,31に対して近接離反する横開きとなるように、固定台20に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられており、更にカバー50は、固定面30,31に対して近接離反する縦開きとなるように、受け部51に第2ヒンジ部を介して回動可能に取付けられたリッド70を有している、とも言える。
【0041】
更に、カバー50は、固定台20に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられて、受け部51が固定面30,31の下方に位置するように固定面30,31に対して近接し、又は、離反するようになっている、とも言える。また、リッド70は、受け部51の、固定面30,31から離間した部分に、第2ヒンジ部74を介して回動可能に取付けられている、とも言える。
【0042】
なお、以下の説明においては、固定面30,31に対してカバー50が近接した状態を、「カバー閉じ状態」ともいう(
図2,3,6,9~12参照)。また、固定面30,31に対してカバー50が離反した状態を、「カバー開き状態」ともいう(
図4,5,7,8参照)。
【0043】
更に、固定面30,31に対してリッド70が近接した状態を、「リッド閉じ状態」ともいう(
図11,12参照)。これは、カバー50の後述する正面開口部56(
図1参照)をリッド70で閉じた状態でもある。また、固定面30,31に対してリッド70が離反した状態を、「リッド開き状態」ともいう(
図2~10参照)。これは、カバー50の正面開口部56からリッド70が開いた状態でもある。
【0044】
上記カバー50は、所定幅で広がる底壁53と、該底壁53の幅方向の両側縁部から、互いに平行に立設した一対の側壁54,55とを有している。
【0045】
なお、底壁53の幅方向とは、カバー50全体を正面側から見たときの、底壁53が広がる方向を意味し、これを「幅方向X2」とする。また、幅方向X2に対して直交する方向を、「奥行方向Y2」とする。これらは、底壁53自体、及び、カバー50を構成する底壁53以外の各部分(リッド70も含む)においても同様の意味である。
【0046】
また、
図1~3に示すように、一対の側壁54,55の、奥行方向Y2の一端縁部(正面側の縁部)からは、係合リブ54a,55aが、互いに近接する方向に突出している。更に、係合リブ54a,55aの間に、正面開口部56が形成されており、この正面開口部56がリッド70によって開閉される。
【0047】
更に、底壁53の幅方向X2の一側部に配置された側壁54の、奥行方向Y2の他端縁部(背面側の他端縁部)からは、一対の軸受け部59,59が突設されている。これらの軸受け部59,59が、固定台20側の軸部41,41に外装されることで、軸部41が軸受け部59に抜け止め状態で回動可能に支持される。すなわち、軸受け部59及び軸部41が、本発明における「第1ヒンジ部」をなしている。
【0048】
そして、カバー50は、その幅方向X2の一側部が、固定台20に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられて、受け部51が固定面30,31の下方に位置するように固定面30,31に対して近接し(
図2,6,9,11参照)、又は、固定面30,31から離反するようになっている(
図4,7,8参照)。
【0049】
すなわち、カバー50は、幅方向X2の一側部分に位置する第1ヒンジ部を回動支点として、幅方向X2の他側部分が、固定面30,31に対して近接又は離反(近接離反)するように回動して、カバー50全体が固定面30,31に対して近接離反する構成となっており(
図2,4等参照)、固定面30,31に対して横開きとなるように、固定台20に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられている。
【0050】
なお、固定面30,31に対してカバー50が近接又は離反する方向を、カバー近接離反方向K1(
図11参照)とする。
【0051】
また、カバー50は、鉛直方向(重力が働く方向)から見たときに、弧を描くように、固定台20に第1ヒンジ部を介して回動可能に取付けられているが(回動軌跡が円弧を描くように、固定台にカバーが回動可能に取付けられている)、カバーとしては、その幅方向の一側部が、第1ヒンジ部を介して固定台に回動可能に取付けられ、且つ、カバーの、第1ヒンジ部とは反対側の、幅方向の他側部が、固定面に対して近接離反する、横開きとなる構造をなしている(横開き構造となっている)、とも言える。
【0052】
更に、上記の第1ヒンジ部は、固定面30,31に対してカバー50が離反したカバー開き状態が維持されるように、固定台20を幅方向Xの一側部から見たときに(
図5参照)、軸方向の上端部が軸方向の下端部に対して斜めに傾いて設けられている。
【0053】
すなわち、一対の軸部41,41のうち、上方に位置する軸部41の上端部や該上端部に連設した突片40、及び、一対の軸受け部59,59のうち、上方に位置する軸受け部59の上端部が、一対の軸部41,41のうち、下方に位置する軸部41の下端部や該下端部に連設した突片40、及び、一対の軸受け部59,59のうち、下方に位置する軸受け部59の下端部に対して斜めに傾いて設けられている。また、第1ヒンジ部は、全体として固定面30,31の傾斜角度に沿って傾斜した状態で設けられている。
【0054】
更に、底壁53の幅方向X2の他側部に配置された側壁55の、奥行方向Y2の他端縁部(背面側の他端縁部)からは、係合片61が突出している。この係合片61は、四角孔状をなした係合孔62を有している。なお、係合片61は、固定台20に設けた一対の保持突起46,46の間に入り込み可能な幅で形成されている。
【0055】
そして、固定面30,31に対してカバー50を近接する方向に回動させると、係合片61が一対の保持突起46,46の間に入り込むと共に、係合孔62に係合部43が係合することで、固定面30,31に対してカバー50が近接して、カバー50が閉じた状態に保持される(
図3,6,9,11参照)。
【0056】
ところで、
図4及び
図5には、固定面30,31に対して、カバー50が最大限開いた状態が示されている。すなわち、カバー50は、その一側壁が、固定台20の一側面に当接するまで、固定面30,31に対して離間して開くようになっており、この状態が、カバー50が最大限開いた状態となっている。
【0057】
この実施形態では、固定台20を構成する壁部21の一側面21aに、カバー50の一方の側壁54が当接した状態が、固定面30,31に対してカバー50が最大限開いた状態となる。なお、上記のカバー50の最大開き状態では、固定面30,31の面方向に対して、カバー50の正面(押え壁57の外面等)の面方向がほぼ平行となっている。
【0058】
また、
図7及び
図8には、カバー50の半開き状態が示されている。すなわち、固定面30,31の面方向に対して、カバー50の正面が直交する角度、言い換えるとカバー50がおよそ90°開いた状態となっている。
【0059】
更に
図10や
図12に示すように、底壁53の、奥行方向Y2の一端部53a(正面側の一端部)からは、押え壁57が立設している。更に、押え壁57の立設方向の先端部分には、第2ヒンジ部74を介してリッド70が連結されるようになっており、上記先端部分を、リッド連結部分57aをなしている。
【0060】
そして、上記押え壁57と前記底壁53とが、バスバー固定作業中に脱落した固定部材8を受け止める、受け部51をなしている。
【0061】
また、受け部51を構成する底壁53は、
図10に示すように、固定面30,31に対してカバー50が近接したカバー閉じ状態で、固定面30,31から離反する一端部53a(奥行方向Y2の一端部)と、カバー閉じ状態で固定面30,31に近接する他端部53b(奥行方向Y2の他端部)とを有している。
【0062】
更に、底壁53は、
図10に示すように、固定面30,31に対してカバー50が近接したカバー閉じ状態で、斜め上方に延びるように傾斜している。
【0063】
なお、底壁53は、カバー閉じ状態で、固定面30,31から離れるにしたがって高くなるように傾斜する構成となっている、とも言える。すなわち、
図10に示すように、カバー閉じ状態で、底壁53は、他端部53bが一端部53aよりも低い位置にあり、且つ、他端部53bから一端部53aに向けて次第に高くなるように傾斜している(被固定面2に対する高さが高くなるように傾斜している、とも言える)。
【0064】
また、上記のカバー閉じ状態では、底壁53は、固定面30,31に対して直交し且つ斜め上方に向けて配置される。
【0065】
更に
図5に示すように、底壁53は、固定面30,31に対してカバー50が離反したカバー開き状態で、一端部53aが他端部53bよりも低くなるように傾いている。
【0066】
また、
図1に示すように、受け部51の、固定面30,31側には、バスバー5,7の一部を挿通可能とする、挿通用切欠き64,65が設けられている。
【0067】
具体的には、受け部51を構成する底壁53の、奥行方向Y2の他端部53b側(固定面30,31に対してカバー50を閉じた状態で、固定面30,31に近接する部分)であって、底壁53の幅方向X2の一側部に、バスバー5の端末部5bを挿通可能とする挿通用切欠き64が形成され、底壁53の幅方向X2の他側部に、バスバー7の端末部7bを挿通可能とする挿通用切欠き65が形成されている。
【0068】
また、
図2や
図3に示すように、底壁53と一対の側壁54,55との間には、複数の補強リブ66が設けられており、カバー50全体の補強が図られている。
【0069】
次に、受け部51に、水平状態から上方に向けて回動するように、第2ヒンジ部74を介して取付けられた、リッド70について詳述する。
【0070】
このリッド70は、所定幅で広がる本体71を有している。この本体71の、幅方向X2の一側部には、リッド外方に向けて突出した突出部72が設けられている。
【0071】
また、
図5に示すように、本体71の基端部71a(リッド70が固定面30,31から離反した状態における、奥行方向Y2の他端部)が屈曲した形状をなしており、該基端部71aに、第2ヒンジ部74を介して、受け部51を構成する押え壁57の、リッド連結部分57aが連結されている。
【0072】
更に、第2ヒンジ部74は薄肉ヒンジからなり(
図10参照)、リッド70は、固定面30,31に対して離反したリッド開き状態で、受け部51に第2ヒンジ部74を介して一体成形されている(
図1,10参照)。また、
図10に示すように、リッド70は、受け部51と一体形成された状態で、カバー50の正面(受け部51の押え壁57の外面等)の面方向に対して直交するように設けられている。
【0073】
なお、
図12に示すように、薄肉ヒンジとされた第2ヒンジ部74は、リッド70の幅方向X2の両側にそれぞれ設けられた一対のものからなる。
【0074】
そして、リッド70は、カバー50の近接又は離反する方向(カバー近接離反方向K1)に対して交差する方向に、且つ、固定面30,31に対して近接又は離反するようになっている。
【0075】
具体的には、リッド70は、基端部側に位置する第2ヒンジ部74を回動支点として、基端部とは反対側の先端部(リッド70が固定面30,31から離反した状態における、奥行方向Y2の一端部)側が、固定面30,31に対して近接又は離反するように回動して、リッド70全体が固定面30,31に対して近接離反する構成となっている(
図9~12参照)。
【0076】
すなわち、リッド70は、固定面30,31に対して縦開きとなるように、カバー50の受け部51に第2ヒンジ部74を介して回動可能に取付けられている。なお、リッド70は、カバー50の正面開口部56を開閉するとも言える。
【0077】
また、リッド70は、受け部51に、水平状態から上方に向けて回動するように、第2ヒンジ部74を介して取付けられているが、リッドとしては、その下端部が、受け部に第2ヒンジ部を介して取付けられて、上端部が固定面に対して近接離反する、縦開きとなる構造をなしている(縦開き構造となっている)、とも言える。
【0078】
なお、
図11に示すように、固定面30,31に対してリッド70が近接又は離反する方向を、リッド近接離反方向K2としたとき、リッド近接離反方向K2とカバー近接離反方向K1とは直交する関係となっている。
【0079】
また、
図10に示すように、固定面30,31に対してカバー50が近接したカバー閉じ状態で、且つ、固定面30,31に対してリッド70が離反したリッド開き状態で、リッド70は、水平又は水平よりも上方に延びるように構成されている。この実施形態の場合、リッド70は、上記リッド開き状態で、斜め上方に延びる構成となっている(
図10参照)。
【0080】
なお、リッド70としては、例えば、
図10において仮想線で示すリッド70´のように、上記リッド開き状態で水平に延びる構成としてもよい。ただし、
図10において仮想線で示すリッド70´´のように、上記リッド開き状態で斜め下方に延びる構成は除かれる。
【0081】
更に
図10に示すように、この実施形態では、カバー閉じ状態で且つリッド開き状態において、リッド70は、水平よりも上方に延びる(ここでは斜め上方に延びる)ように構成されている。
【0082】
また、
図10に示すように、この実施形態におけるリッド70は、受け部51の底壁53に対して平行となるように開く構成となっている。ただし、例えば、
図10において仮想線で示すリッド70´´´のように、底壁53に対して平行になるまで開かずに、リッドの開き量を大きく確保できない場合であっても、固定部材8の固定作業に支障はない。
【0083】
すなわち、上記の場合は、例えば、リッドを手動である程度開いた後、固定部材8を締め付け固定する、マイナスドライバー等の工具Tを、正面開口部56からカバー50内に差し込むか、或いは、リッドを手動で開かずとも、工具Tを正面開口部56からカバー50内に差し込む。すると、
図10に示すように、工具Tがリッド70´´´を押圧して、リッド70´´´が押し下げられるので、リッドの開き量が増大すると共に、リッドを開いた状態に保持することができ、工具Tによる固定部材8の締め付け固定作業が可能となる。
【0084】
なお、上記の状態でリッド70は、固定面30,31から離れるにしたがって、すなわち、リッド70の基端部から先端部に向けて次第に高くなるように傾斜する構成となっている、とも言える(更に、被固定面2に対する高さが高くなるように傾斜している、とも言える)。
【0085】
また、本発明において、リッドが「水平に延びる」とは、リッド70が、重力が働く方向に対して直角な方向に延びることを意味する。更に本発明において、リッドが「斜め上方に延びる」とは、リッド70の延出方向先端が、固定面30,31の下端よりも上方に位置するように、リッド70が、固定面30,31に対して斜め外方に離間するように延びることを意味する。
【0086】
また、
図1~3に示すように、本体71の幅方向X2の一側縁部(突出部72の幅方向X2の一側縁部)、及び、本体71の幅方向X2の他側縁部からは、一対のリブ75,75が互いに平行となるように立設している。
【0087】
一対のリブ75,75の外面からは、カバー50の正面開口部56の、幅方向X2の両側に位置する係合リブ54a,55aにそれぞれ係合する、係合突部76,76が突設されている。
【0088】
また、各係合突部76の、固定面30,31に対してリッド70を近接させるときに(リッド70を閉じるときに)、固定面30,31に向く外面には、固定面30,31に近接する一端から他端に向けて次第に突出する第1テーパ面77がそれぞれ形成されている。更に、各係合突部76の、リッド基端部側の外面には、係合突部76の基端から先端に向けて次第に突出する第2テーパ面78が形成されている。
【0089】
そして、固定面30,31に対してリッド70を近接する方向に回動、すなわち、カバー50の正面開口部56に対してリッド70を閉じる方向に回動させると、第1テーパ面77及び第2テーパ面78を介して、係合突部76,76が正面開口部56を通過して、一対の係合リブ54a,55aの背面側(裏側)に係合する。それによって、カバー50の正面開口部56がリッド70によって閉塞した状態に保持される。
【0090】
なお、第1テーパ面77及び第2テーパ面78は、上記のように、カバー50の正面開口部56に対してリッド70を閉じるときに、係合突部76,76を、係合リブ54a,55aの背面側に移動させやすくする。
【0091】
以上説明した、リッド70を含むカバー50は、固定台20よりも軟質の合成樹脂材料によって形成されている。そのため、固定面30,31に対してカバー50を近接させるときに、固定台20側の係合部43によって、カバー50側の側壁55が撓み変形しやすくなっている。
【0092】
(変形例)
本発明におけるバスバー固定装置を構成する固定台や、カバー、リッド等の各部材、及び、各部材を構成する各部分(例えば、固定台の壁部、カバーの受け部)の、形状や、構造、レイアウトなどは、上記態様に限定されるものではない。
【0093】
また、この実施形態では、バスバー4,5が固定台20の上下方向に配置され、その端末部4b,5bどうしが固定部材8で固定面30に固定されていると共に、バスバー6,7が固定台20の上下方向に配置され、その端末部6b,7bどうしが固定部材8で固定面31に固定されており、4本のバスバー4,5,6,7が上下一対ずつの組み合わせで固定面30,31に固定されている。
【0094】
ただし、例えば、2本のバスバーや、6本以上の偶数本のバスバーを、固定面に固定してもよい。また、バスバーどうしを固定面に固定するのではなく、例えば、1本のバスバーを固定面に固定しておき、該バスバーに、他の接続部材の接続端子等を接続してもよい。
【0095】
また、この実施形態におけるカバー50及びリッド70は、いずれも片開き構造となっているが、カバー及びリッドを両開き構造としてもよい。
【0096】
更に、この実施形態のカバー50は横開きとなっているが、例えば、カバーを縦開き構造としてもよく(この場合ヒンジ部は下方にする)、カバーとしては、受け部が、固定面の下方に位置するように固定面に対して近接する構造であればよい。また、この実施形態のリッド70は縦開きとなっているが、例えば、リッドを横開き構造としてもよい。
【0097】
更に、この実施形態のカバー50の底壁53は、カバー50が閉じた状態で、斜め上方に向けて配置されているが、底壁としては、カバーが閉じた状態で、例えば、水平に延設されていてもよく、固定面の下方に位置していればよい。
【0098】
(作用効果)
次に、上記構成からなる固定装置10の作用効果について説明する。
【0099】
この固定装置10が搬送されたり納入されたりする際は、固定面30,31に対してカバー50を近接させて、係合孔62に係合部43を係合させることで、
図2や
図3に示すようなカバー50を閉じた状態とする。なお、固定装置10の搬送・納入状態では、リッド70は、カバー50の正面開口部56から開いている。
【0100】
そして、固定装置10を用いて、バスバー4,5,6,7を固定面30,31に固定する際には、まず、
図6に示すように、固定台20を被固定面2上に載置して、固定具3を介して被固定部材1に固定する。
【0101】
その後、
図7に示すように、固定面30,31に対してカバー50を離反させて、カバー50を半開き状態とする。
【0102】
次いで、
図8に示すように、バスバー5の延出部5aを受け入れ溝36に挿入して、受け入れ溝36に延出部5aが受け入れられることで、バスバー5が仮保持部35に仮保持される。また、固定面30上に載置されたバスバー5の端末部5b上に、バスバー4の端末部4bが載置されて、端末部4b,5bどうしが重ねられる。
【0103】
また、バスバー7の延出部7aを受け入れ溝38に挿入して、受け入れ溝38に延出部7aが受け入れられることで、バスバー7が仮保持部37に仮保持される。更に、固定面31上に載置されたバスバー7の端末部7b上に、バスバー6の端末部6bが載置されて、端末部6b,7bどうしが重ねられる。
【0104】
その後、固定面30,31に対してカバー50を近接させて、係合孔62に係合部43が係合させることで、
図9や
図10に示すように、カバー50を再び閉じた状態とする。この際、カバー50の底壁53の挿通用切欠き64,65に、バスバー5,7の端末部5b,7bがそれぞれ挿通されるため、カバー50を閉じる作業に支障はない。
【0105】
そして、上記状態で、ボルトやナット等の固定部材8を、バスバー4,5の端末部4b,5bの図示しない挿通孔に挿通すると共に、固定面30側の被固定部34に挿入する。同様に、固定部材8を、バスバー6,7の端末部6b,7bの挿通孔6c,7cに挿通すると共に、固定面31側の被固定部34に挿入する。
【0106】
その後、レンチやドライバー等の工具を、カバー50の正面開口部56から、カバー50の内部空間に挿入して、固定面30側の被固定部34に挿入された固定部材8、及び、固定面31側の被固定部34に挿入された固定部材8をそれぞれ締め付け固定する。
【0107】
すると、固定面30に対して、バスバー4,5の端末部4b,5bが、固定部材8を介して固定されると共に、
図10に示すように、固定面31に対して、バスバー6,7の端末部6b,7bが、固定部材8を介して固定される。
【0108】
その後、固定面30,31に対してリッド70を近接させる。すなわち、カバー50の正面開口部56に対してリッド70を閉じると、係合突部76,76が一対の係合リブ54a,55aの背面側(裏側)に係合して、
図11や
図12に示すように、カバー50の正面開口部56がリッド70によって閉塞した状態に保持される。
【0109】
その結果、主として、バスバー4,5の端末部4b,5bや、バスバー6,7の端末部6b,7b等が、カバー50及びリッド70によって保護される。
【0110】
そして、この固定装置10においては、固定面30,31からカバー50を開いて、上述したように、固定面30,31上に複数のバスバー4,5,6,7の所定箇所を重ねて配置したり、又は、バスバー及び他部品の接続端子等を配置したりした後、固定面30,31に対してカバー50を閉じても、カバー50の正面開口部56からリッド70を開くことで(この実施形態では既にリッド70が開いた状態となっている)、カバー50内のバスバー4,5,6,7にアクセス可能となる。
【0111】
したがって、カバー50の内部空間に工具等を挿入して、ボルトやナット等の固定部材8の固定作業を行うことで、固定面30,31に対して、複数のバスバーどうし(バスバー4,5どうし、及び、バスバー6,7どうし)や、バスバーと他部品の接続端子等とを、固定部材8を介して固定することができる。
【0112】
この際、カバー50は、受け部51を有すると共に、鉛直方向から見たときに弧を描くように回動可能とされ、且つ、受け部51に、リッド70が水平状態から上方に向けて回動するように取付けられており、更に、固定面30,31に対してカバー50が近接したカバー閉じ状態で、且つ、固定面30,31に対してリッド70が離反したリッド開き状態で、当該リッド70は、水平又は水平よりも上方に延びるように構成されている。
【0113】
そのため、固定部材8によるバスバー固定作業中(ボルトやナット等の締め付け固定作業中)に、固定面30,31から固定部材8が脱落しても、カバー50の受け部51やリッド70で受け止めることができる。
【0114】
その結果、固定部材8が、固定台20やカバー50の外方に落下することを防止することができるので、固定面30,31に対するバスバー4,5,6,7の固定作業を確実に行うことができる。
【0115】
また、この実施形態においては、受け部51は、固定面30,31に対してカバー50が近接したカバー閉じ状態で、斜め上方に延びるように傾斜する底壁53を有しており、カバー閉じ状態で且つリッド開き状態において、リッド70は、斜め上方に延びるように構成されている(
図10参照)。
【0116】
上記態様によれば、受け部51及びリッド70が上記のような構成となっているので、バスバー固定作業中に、固定面30,31から固定部材8が脱落しても、受け部51の、固定面30,31側に転がることになり、固定部材8が、固定台20やカバー50の外方に落下することを、より確実に防止することができる。
【0117】
更に、この実施形態においては、第1ヒンジ部は、固定面30,31に対してカバー50が離反したカバー開き状態が維持されるように、固定台20を幅方向Xの一側部から見たときに(
図5参照)、軸方向の上端部が軸方向の下端部に対して斜めに傾いて設けられている。
【0118】
また、受け部51は底壁53を有しており、該底壁53は、固定面30,31に対してカバー50が近接したカバー閉じ状態で、固定面30,31から離反する一端部53aと、カバー閉じ状態で固定面30,31に近接する他端部53bとを有しており、更に底壁53は、固定面30,31に対してカバー50が離反したカバー開き状態で、一端部53aが他端部53bよりも低くなるように傾いている(
図5参照)。
【0119】
上記態様によれば、第1ヒンジ部や、受け部51及び底壁53が上記のような構成となっているので、一旦、固定面30,31からカバー50を開いた後は、固定面30,31に対してカバー50が閉じにくくなる。すなわち、カバー50が閉じた状態におるカバー50の重心よりも、カバー50が開いた状態におけるカバー50の重心が下方に位置するため、開いたカバー50が自然に再び閉じにくくなる。
【0120】
その結果、カバー50を開いた状態に維持できるので、固定面30,31にバスバーを配置しやすくなり、固定面30,31に対するバスバー4,5,6,7の固定作業性を向上させることができる。
【0121】
また、この実施形態においては、第2ヒンジ部74は薄肉ヒンジからなり、リッド70は、前記リッド開き状態で、受け部51に第2ヒンジ部74を介して一体成形されている。
【0122】
上記態様によれば、リッド70は、リッド開き状態で、受け部51に第2ヒンジ部74を介して一体成形されているので、バスバー固定作業の際に、固定面30,31に対してカバー50を閉じたときに、既にリッド70が開いていることになる。そのため、カバー50の内部空間に工具等を挿入しやすくなり、固定面30,31に対するバスバー4,5,6,7の固定作業性を向上させることができる。
【0123】
更に、この実施形態においては、固定台20には、バスバー5,7の一部(ここでは延出部5a,7a)を受け入れ可能とする受け入れ溝36,38を有する、仮保持部35,37が設けられており、受け部51の、固定面30,31側には、バスバー5,7の一部(ここでは端末部5b,7b)を挿通可能とする、挿通用切欠き64,65が設けられている。
【0124】
上記態様によれば、バスバー5,7の一部(ここでは延出部5a,7a)を、受け入れ溝36,38に挿入し、受け入れ溝36,38にバスバー5,7の一部が受け入れられることで、仮保持部35,37によって、バスバー5,7を仮保持することができる。
【0125】
また、上記のようなバスバー5,7の仮保持状態で、固定面30,31に対してカバー50を閉じても、バスバー5,7が挿通用切欠き64,65を通過するので(挿通用切欠き64,65にバスバー5,7が挿通される、とも言える)、バスバー5,7の仮保持状態を維持することができる。
【0126】
そのため、バスバー5,7を手で保持しながら、固定部材8で固定作業を行う必要がなくなるので、固定面30,31に対するバスバー4,5,6,7の固定作業性を向上させることができる。
【0127】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
4,5,6,7 バスバー
8 固定部材
10 バスバー固定装置(固定装置)
20 固定台
30,31 固定面
37 仮保持部
36,38 受け入れ溝
41,41 軸部(第1ヒンジ部の一)
50 カバー
51 受け部
53 底壁
59 軸受け部(第1ヒンジ部の一)
64,65 挿通用切欠き
70 リッド
74 第2ヒンジ部