(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080877
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/10 20060101AFI20240610BHJP
D06F 58/00 20200101ALI20240610BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
D06F58/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194200
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 清和
(72)【発明者】
【氏名】久保井 涼太
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AA24
3B168AB24
3B168AB29
3B168AB42
3B168AD02
3B168AE01
3B168AE02
3B168AE04
3B168AE07
3B168BA55
3B168BA59
(57)【要約】
【課題】マット状部材と共に衣類等の被処理物も処理可能な技術を提供する。
【解決手段】実施形態の乾燥機700は、マット状部材の乾燥機700であって、乾燥空間が形成される筐体20と、乾燥空間に高温の乾燥風を供給する給気部と、乾燥風が通過可能な載置面35を有して、この載置面35にマット状部材を載置するマット載置部3と、載置面35を通過した乾燥風を乾燥空間の外部に排出する排気部と、マット載置部3から離間するように乾燥空間内に設けられ、被処理物を吊下げ支持する可動支持部800とを備えた。
【選択図】
図31
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット状部材の乾燥機であって、
乾燥空間が形成される筐体と、
前記乾燥空間に高温の乾燥風を供給する給気部と、
前記乾燥風が通過可能な載置面を有して、この載置面に前記マット状部材を載置するマット載置部と、
前記載置面を通過した前記乾燥風を前記乾燥空間の外部に排出する排気部と、
前記マット載置部から離間するように前記乾燥空間内に設けられ、被処理物を吊下げ支持する支持部と
を備えることを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記支持部は、前記乾燥空間内に前記支持部を固定するための固定部と、前記固定部に対して少なくとも一部が前記乾燥空間の外に引き出し可能に相対移動する移動部とを有し、
前記移動部には、前記被処理物を吊下げ支持するためのフックが設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の乾燥機。
【請求項3】
前記支持部は、前記マット載置部の上方に位置するように前記乾燥空間の上面を形成する上方壁部または前記乾燥空間の側面を形成する側方壁部に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の乾燥機。
【請求項4】
前記マット載置部の載置面は、前記乾燥空間の前後方向を向く仮想的な折り曲げ線が上端部に位置付けられるように、平面を折り曲げた形状であり、
前記支持部は、前記前後方向に直交する幅方向において前記上端部から離間する位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の乾燥機。
【請求項5】
流体を前記収容空間内に噴霧するための噴霧部を更に備え、
前記噴霧部により前記流体が前記乾燥空間内に噴霧され、前記マット状部材及び前記被処理物をリフレッシュする
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項記載の乾燥機。
【請求項6】
前記噴霧部は、
水蒸気を発生させるボイラと、
前記ボイラに接続され、前記流体として前記水蒸気を前記乾燥空間に向けて噴霧する蒸気噴霧部材と
を備え、
前記給気部による前記乾燥風の前記乾燥空間への送風と共に、前記水蒸気を前記蒸気噴霧部材を介して前記乾燥空間に噴霧して前記マット状部材及び前記被処理物をリフレッシュする
ことを特徴とする請求項5記載の乾燥機。
【請求項7】
前記流体は消臭及び/又は除菌のための処理剤またはイオン水であり、
前記噴霧部は、前記流体をミストとして前記給気部が供給する前記乾燥風に混ぜる、または前記乾燥空間内に噴霧し、ミストとなった前記流体により前記マット状部材及び前記被処理物をリフレッシュする
ことを特徴とする請求項5記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄やリフレッシュなどによって水分を含んだ布団やマットレス等のマット状部材を乾燥させる乾燥機が知られている。
このような乾燥機として、ガスヒータからの加熱された空気が流入する乾燥空間が筐体内に画成され、この乾燥空間内にマット状部材の載置部を配し、この載置部の内部に画成された内部空間と乾燥空間とを連通させ、載置されたマット状部材に加熱された空気を通過させることによってマット状部材の乾燥を行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-157795号公報
【特許文献2】特開2000-288297号公報
【特許文献3】特開2006-081712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題は、マット状部材と共に衣類等の被処理物も処理可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の乾燥機は、マット状部材の乾燥機であって、乾燥空間が形成される筐体と、前記乾燥空間に高温の乾燥風を供給する給気部と、前記乾燥風が通過可能な載置面を有して、この載置面に前記マット状部材を載置するマット載置部と、前記載置面を通過した前記乾燥風を前記乾燥空間の外部に排出する排気部と、前記マット載置部から離間するように前記乾燥空間内に設けられ、被処理物を吊下げ支持する支持部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るマット状部材の乾燥機を示す斜視図である。
【
図4】マット状部材の乾燥機のマット載置部を示す斜視図である。
【
図5】マット状部材の乾燥機のマット載置部を示す正面図である。
【
図6】マット状部材の乾燥機のマット載置部を示す側面図である。
【
図7】マット状部材Fが載置されたマット載置部を示す正面図である。
【
図8】マット状部材Fが載置されたマット載置部を示す側面図である。
【
図9】マット状部材の乾燥機の全体の側面図である。
【
図10】ガスヒータから上方壁部に流れる温風の流れ方向を示す図である。
【
図11】上方壁部から乾燥空間Dに流れる温風の流れ方向を示す図である。
【
図12】マット状部材の乾燥機の全体の温風の流れを示す側面図である。
【
図13】実施例1に係る乾燥機構の斜視図、および正面図を示す図である。
【
図14】実施例2に係る乾燥機構の斜視図、および正面図を示す図である。
【
図15】実施例2の乾燥機構における蒸気噴霧パイプの他の構成例を示す図である。
【
図16】実施例3の乾燥機構における正面図および上面図である。
【
図17】実施例4に係る乾燥機構の斜視図、および正面図を示す図である。
【
図18】実施例4の乾燥機構における蒸気噴霧パイプの他の構成例を示す図である。
【
図21】実施例7に係る乾燥機構の概要を示す図である。
【
図22】実施例8に係る乾燥機構の概要を示す図である。
【
図23】実施例8に係る乾燥機構の他の構成の概要を示す図である。
【
図24】実施例9に係る乾燥機構の概要を示す図である。
【
図25】実施例10に係るマット状部材の乾燥機の斜視図、および正面図を示している。
【
図26】実施例10に係るマット状部材の乾燥機を側面から見た内部構成を示した図である。
【
図27】実施例10に係るマット状部材の乾燥機を背面から見た斜視図である。
【
図28】本実施形態に係る乾燥機のリフレッシュ動作と乾燥のみの動作を示したフローチャートである。
【
図29】実施例10に係るマット状部材の乾燥機の乾燥空間Dに蒸気を噴霧する状態を示した模式図である。
【
図30】実施形態に係る可動支持部が示された乾燥機の構成を示す斜視図である。
【
図31】実施形態に係る可動支持部を示す斜視図である。
【
図32】実施形態に係る可動支持部の収容状態を示す斜視図である。
【
図33】実施形態に係る可動支持部の延伸状態を示す斜視図である。
【
図34】実施形態に係る可動支持部が収容状態にある乾燥機を示す正面図である。
【
図35】実施形態に係る可動支持部が収容状態にある乾燥機の内部構成を示した図である。
【
図36】実施形態に係る可動支持部が延伸状態にある乾燥機の内部構成を示した図である。
【
図37】実施形態に係る可動支持部が被処理物を支持して収容状態となった乾燥機の内部構成を示した図である。
【
図38】実施形態に係る可動支持部が側方壁部に設けられる形態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明の各種実施形態の詳細について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0008】
(全体構成)
まず、一実施例であるマット状部材の乾燥機(以下、単に乾燥機と称する)の全体構成について説明する。
図1乃至
図3は、本実施形態に係る乾燥機1を示す斜視図、正面図、平面図である。
以後、乾燥機1の正面側を前方、背面側を後方と称し、前後方向及び上下方向に直交する方向を左右方向と称して説明を行う。
【0009】
図1乃至
図3に示すように、乾燥機1は、本体部2と、本体部2内に収容されて乾燥機1による乾燥対象であるマット状部材F(例えば、布団)を載置するための可動型のマット載置部3とを備える。
さらに、乾燥機1は、マット状部材Fに蒸気(流体)を吹き付けてリフレッシュさせる蒸気噴霧部材を備える(
図13乃至
図19を参照)。以下では、蒸気噴霧部材を蒸気噴霧パイプと称して説明する。これにより、乾燥機1は、マット状部材Fのダニを死滅させ、ダニやそのフン、死骸を吹き飛ばすことが出来る。さらに薬剤入り水又はイオン水を用いることで除菌、脱臭の効果を期待することができる。
ここでリフレッシュとは、マット状部材Fを購入した時の爽やかな状態(匂い、柔らかさ、清潔さ)に近づけることを言う。そのために、実施形態では、マット状部材Fに向けて蒸気を噴霧し、その後乾燥風の送風と共に蒸気を排出する等の処理を行う。なお、消臭剤等の処理剤を噴霧して、マット状部材Fを処理することも含んでも良い。
【0010】
さらに、乾燥機1は、衣類、特にスーツ等の被処理物を乾燥及び/又はリフレッシュさせるための可動支持部800(
図30乃至
図38参照)を備える。この可動支持部800により乾燥機1は、被処理物をマット状部材Fと共に乾燥、リフレッシュさせることが可能となる。なお、可動支持部800についての詳細な説明は、後述するリフレッシュ乾燥機構に係る実施例1乃至実施例10の説明の後に行う。そのため、
図30以前の各図面では、説明上、可動支持部800は省略されている。
【0011】
(本体部2)
本体部2は、筐体20と、ガスヒータ21と、排気ファン22と、制御部24とを備える。筐体20は、全体として中空略直方体の箱状に形成され、上方壁部25(
図12等を参照)、一対の側方壁部26、後方壁部27、底壁部28、扉部29により囲われた乾燥空間Dが内部に画成される。この乾燥空間D内に可動型のマット載置部3を収容することができる。
【0012】
扉部29は、一方の側方壁部26に蝶番等により開閉可能に取り付けられ、前方側から乾燥空間Dへマット載置部3の出し入れを可能としている。扉部29の一部は、例えばガラスなどの光透過性を有する窓部291として形成され、さらに利用者が扉部29を開閉させるための把持部292が設けられている。
【0013】
ガスヒータ21は、上方壁部25の上方で且つ筐体20の最後方に設けられており、ガスバーナを有している。このガスバーナにより空気を加熱し、接続パイプ253(
図3参照)により後述する吸気流路251(
図12参照)に加熱した空気(温風)を供給する。
ガスヒータ21から吸気流路251までの部材を総称して給気部8(
図21を参照)という。
【0014】
排気ファン22は、ガスヒータ21の前方に設けられており、空気の逆流を防止するためのチャッキダンパ221を有して乾燥空間D内の空気を吸気し、チャッキダンパ221を介して外部へ排出する。後述する下方排気流路281からチャッキダンパ221までの部材を総称して排気部9(
図21を参照)という。
【0015】
制御部24は、排気ファン22の前方、即ち筐体20の最前方に設けられており、利用者が乾燥機1の運転に関する指示操作をするための操作パネル241を有し、操作パネル241が前方を向くように設けられる。制御部24は、操作パネル241になされた操作に基づいて、ガスヒータ21、排気ファン22、及び後述するジェットノズル23(
図9参照)の運転を制御する。
【0016】
マット載置部3は、本体部2の乾燥空間D内で前後方向(
図1の矢印方向)に移動可能である。つまり、マット載置部3の上にマット状部材Fを掛ける場合、本体部2の乾燥空間Dから外側に引き出され、載置後は元の位置に戻される。
マット載置部3を使用する際は、利用者が扉部29を開けて乾燥空間Dに収容されたマット載置部3を前方に移動させて、ある程度乾燥空間Dからマット載置部3を
図1の外側の矢印方向に引き出し、その上にマット状部材Fを載置する。載置後にマット載置部3を後方(収容方向)に移動させて、再度乾燥空間Dに収容し、扉部29を閉める。その後、利用者が操作パネル241を操作して乾燥機1に所望の乾燥運転をさせることにより、マット状部材Fを乾燥することができる。
【0017】
筐体20の底壁部28は、マット載置部3が前後に移動される際にその一部の走行経路として機能すると共に、マット載置部3が乾燥空間Dに収容された際に排気流路として機能する。この底壁部28については、後述する。
【0018】
(マット載置部3)
マット載置部3の構成について詳細に説明する。
図4乃至
図6は、マット載置部3を示す斜視図、正面図、側面図である。
図7、
図8は、それぞれマット状部材Fが載置された載置部を示す正面図、側面図である。
図9は、乾燥機1の全体の側面図である。
【0019】
マット載置部3は、
図4乃至
図6に示すように、載置台31と、台座部32と、押圧帯33とを備える。
載置台31は、マット状部材Fを安定して載置できる形状を有する。載置台31は、例えば、全体として中空の略三角柱状に形成される。載置台31は、三角柱の上面及び底面が前後方向に向くように横たえ、最も鋭角に形成された頂点に対向する一側面を下方に向けた姿勢(例えば、跳び箱型)を有する。
傾斜する二側面と上端に形成された曲面は、載置台31の載置面35である。
載置面35は、前後方向を向く仮想的な折り曲げ線が上端に位置付けられるように、平面を折り曲げた形状となる。載置台31の底面は、台座部32の上面に接続される。
【0020】
図6に示すように、載置台31は、例えば横幅1,000mm、高さ1,000mmの大きさを有している。載置台31の両側面には、載置台31の内部空間P(
図5又は
図12等参照)と乾燥空間Dとを連通する円形の複数の孔部からなるパンチング孔群311が設けられる。このパンチング孔群311を介して乾燥空間Dと内部空間Pとの空気の流動がなされる。これらパンチング孔群311は、載置台31の最上端から所定距離に亘って設けられ、この所定距離は、布団の長手方向幅の半分以上が好ましい。ここでは、3枚のステンレス等の金属板が結合して形成される。金属板の継ぎ目は内部側に曲げられており、強度
を強化している。
【0021】
載置台31の前後(
図6では左右)と下側に、パンチング孔群311が形成されていないエリア311a,311b,311cを有している。なお、
図6の裏面も同じ形状である。エリア311a,311bの幅は、例えば60mm~150mm(一例としては140mm程度)である。また、エリア311cの幅は、100mm~250mm(一例としては200mm程度)である。このエリア311a,311b,311cには、載置台31に載置した布団の端部が位置する。布団の周端部にあっては、温熱が漏れないようにある程度の密着性が必要である。エリア311a,311b,311cを設けることにより、温風・冷風(乾燥風)が漏れる心配はない。一方で、布団の端部とエリア311a,311b、311cの接触面との間に生じる僅かな隙間に温風・冷風が流れることによって、布団の端部でも乾燥が行われる。
【0022】
パンチング孔群311のそれぞれの孔部は、乾燥空間D側、即ちマット状部材Fが当接する側(図中上側)の周縁部が、乾燥空間D側に向かうにつれて拡径するように曲面が形成されている。したがって、パンチング孔群311のそれぞれの孔部は、乾燥空間D側の開口径(孔径)が内部空間P側の開口径より拡径することとなる。曲面に代わり乾燥空間D側に向かうにつれて拡径するようにテーパー面を形成してもよい。
【0023】
また、載置台31の正面には、利用者がマット載置部3を移動する際に把持する把持部312が設けられている。
【0024】
乾燥対象であるマット状部材Fを載置台31に載置する場合、
図7に示すように、マット状部材Fの短手方向を載置台31の前後方向に向け、パンチング孔群311を覆うように載置台31の載置面35に載置する。この際、マット状部材Fは載置面35の傾斜に沿うように折り曲げられた状態となる。
【0025】
載置台31の上端は曲率を有する曲面に形成されており、その曲率半径は載置されるマット状部材Fの厚みの少なくとも0.9倍以上の大きさとすることが好ましい。このような曲率半径を有する曲面が形成されることにより、マット状部材Fが折り曲げられて載置された場合、マット状部材Fの折り曲げ部分を曲面に沿って面接触させることができ、そこに加わる応力を良好に分散することができる。もし載置台31の上方端部が鋭角、または曲率半径がより小さい曲面に形成されている場合、その上方端部に当接するマット状部材Fの折り曲げ部分の一部に応力が集中することがある。このような応力集中が生じると
、当該部分が圧縮され密度が高まることにより通気性が低下し、延いては乾燥効率が低下する可能性がある。しかしながら、載置台31が上述した曲率半径を有することにより、このような乾燥効率の低下を回避することができる。さらに、曲面においてもパンチング孔群311を形成することができるため、乾燥効率の向上も実現できる。
【0026】
台座部32は、
図4および
図5に示すように、中空の略直方体状に形成されており、台座部32の内部空間Tと載置台31の内部空間Pとを接続するための開口部321aが上面に形成されている。一方、台座部32の下面には、筐体20の底壁部28内に形成された後述する下方排気流路281と内部空間Tとを接続するための開口部321bが形成されている。これら開口部321a及び開口部321bにより、内部空間P内の空気の下方排気流路281(
図12参照)への流入を可能としている。
【0027】
図4乃至
図6に示すように、台座部32には、前方端部下面に2つの前輪キャスタ322aが左右方向に離間して設けられると共に、その後方端部下面に左右方向略全域に亘って上方に窪む段差部322cが形成される。この段差部322cに2つの後輪キャスタ322bが左右方向に離間して設けられている。前輪キャスタ322aは、後輪キャスタ322bより大径に形成され、その下方端部が後輪キャスタ322bより下方に位置するように設けられている。後輪キャスタ322bは、筐体20の底壁部28上面に走行可能に当接している。
【0028】
台座部32における前輪キャスタ322a後方には、左右方向に延在すると共に、前方から後方に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面323が形成されている。傾斜面323はマット載置部3が乾燥空間Dに収容された状態において、後述する支持キャスタ285が当接する位置に、傾斜面323の前方端部が位置している。この傾斜面323が形成されることにより、台座部32はその前方端部及び後方端部と比較して開口部321b近傍の領域、具体的には傾斜面323の後方端部から段差部322cの前方端部にかけて下方に僅かに突出した形状となっている。
【0029】
図12に示すように、後輪キャスタ322bの走行面を形成する筐体20の底壁部28にも同様に傾斜面283が形成されている。傾斜面283は、台座部32の傾斜面323と同一の傾斜角度、傾斜方向、及び傾斜長さを有しており、マット載置部3が乾燥空間Dに収容された状態において、後輪キャスタ322bが当接する位置に、傾斜面283の後方端部が位置するように形成されている。したがって、底壁部28は、傾斜面323より前方の領域が上方に僅かに突出した形状となっている。マット載置部3が乾燥空間Dに収容された状態において、この領域と開口部321b近傍の領域との間に僅かな間隙が形成されるよう、傾斜面283及び傾斜面323の高さを設定することが好ましい。
【0030】
さらに、
図12に示すように、底壁部28の前方端部には、下方が開放された断面略コ字状のキャスタ台284が設けられており、その上面には台座部32の下面に走行可能に当接する2つの支持キャスタ285が左右方向に離間して設けられている。支持キャスタ285は、マット載置部3が乾燥空間Dに収容された状態において、傾斜面323の前方端部に位置して台座部32に当接しこれを支持している。マット載置部3が乾燥空間Dに収容された状態において、この支持キャスタ285によりマット載置部3の前方側が支持されるため、本実施形態においては前輪キャスタ322aを乾燥機1の設置面から僅かに離間させている。キャスタ台284には、台座部32の前輪キャスタ322aに接触しないよう、該当する位置に切欠きが形成されている。
【0031】
このように台座部32の後輪キャスタ322bに対応して傾斜面283が底壁部28に形成され、底壁部28の支持キャスタ285に対応して傾斜面323が台座部32に形成されることにより、マット載置部3を乾燥空間Dから引き出す際に各キャスタが対向する傾斜面を同時に走行する。これにより、台座部32と底壁部28との平行性を保ったまま傾斜面の高さ分、台座部32を底壁部28から離間するように上方へ移動させることができると共に、安定した水平移動をすることができる。また、後輪キャスタ322bと支持キャスタ285とは左右方向において同位置に配設されている。したがって支持キャスタ285により後輪キャスタ322bの前方移動が規制されるため、利用者がマット載置部3を前方に移動させた際に、マット載置部3全体が乾燥空間Dから抜け出てしまうことを防止することができる。
【0032】
さらに、
図12に示すように、底壁部28は内部に下方排気流路281が画成されており、その上面に下方排気流路281と内部空間Tとを接続するための開口部282と、この開口部282後方に位置して後述する垂直流路271と下方排気流路281とを流体的に接続するための開口部287とが形成されている。開口部282は、マット載置部3が乾燥空間Dに収容された状態において、台座部32の開口部321bと対向する位置に且つ略同一形状に形成されている。
【0033】
開口部282の周縁部には、シール部材288が設けられており、マット載置部3が乾燥空間Dに収容された場合に台座部32の開口部321b周縁部がシール部材288に当接し、この開口部282と台座部32の開口部321bとをシール部材288を介して気密に接続することができる。シール部材288は、底壁部28上にネジ等に締結具や接着剤等により移動不能に固定されており、対向する開口部間を気密に接続可能であればどのようなものを用いてもよい。例えば、フェルトや弾性部材等をシール部材288として用いることができる。なお、シール部材288は、開口部321bの周縁部に設けるようにしてもよい。
【0034】
このようにマット載置部3は、後輪キャスタ322bが筐体20の底壁部28に当接し、支持キャスタ285により支持されることにより、筐体20に対して前後方向に相対移動して乾燥空間Dに対する収容及び引き出しが可能となっている。さらにマット載置部3は乾燥空間Dに収容された際に下方に相対移動することができ、開口部321bと開口部282とを気密に接続できる。
【0035】
なお、マット載置部3は、乾燥空間Dから引き出されるにつれ、後輪キャスタ322bが支持キャスタ285へ接近して前方側が下方に傾斜することとなる。しかしながら、この傾斜により前輪キャスタ322aが設置面に接地することとなり、後輪キャスタ322bが常時筐体20の底壁部28に接地しているため、マット載置部3をある程度引き出したとしてもマット載置部3を安定して走行させることができる。
【0036】
図7及び
図8に示すように、押圧帯33は、載置台31の下方側における左右方向両側面に配置され、一端が載置台31の前方の壁面に連結し、他端が載置台31の後方の壁面に連結することにより、載置台31の前後方向に延在する可撓性を有する長尺の帯状部材である。押圧帯33は、それぞれマット状部材Fの長手方向両端部を載置台31の載置面35に押圧する。押圧帯33は、一端部または他端部を、連結機構を用いて載置台31の前後の壁面に着脱自在に構成しても良い。
【0037】
このような連結機構としては、シートベルト等に用いられているバックル装置とタングとを用いたものが挙げられる。タングは孔部や切欠き等が形成された平板部材であり、これをバックル装置に設けられた挿入口に挿入することで、バックル装置内でタングを係止することができる。一方、バックル装置の解除ボタンを押下することでタングの係止を解除することができる。その他、フックを用いて互いを係止するものや、面ファスナーを用いるなどしてもよく、着脱自在な連結機構であればどのようなものを用いてもよい。
【0038】
また、押圧帯33は、その一部に長手方向に伸縮自在な伸縮部が形成されてもよい。載置されたマット状部材Fの長手方向端部を押圧する場合、その長手方向端部上に押圧帯33を這わせることとなるため、マット状部材Fの厚みに応じて押圧帯33が載置面35から離間することとなる。しかしながら、この離間距離分、伸縮部が伸長することにより、その復元力で押圧帯33が一様にマット状部材Fを載置面35側に押圧することができる。このような伸縮部は、コイルバネやゴム体等の弾性を有する部材であることが好ましく、押圧帯33全体を伸縮部としてもよい。
【0039】
図9に示すジェットノズル23は、消臭剤、除菌剤、防ダニ剤などの処理剤(薬剤)を含む流体を噴出するノズルである。ジェットノズル23から排出された処理剤は、乾燥空間D内のマット状部材F内に向けて送風されるので、マット状部材Fの乾燥や冷却と同時に、消毒も実施することができる。
【0040】
乾燥機1における風路について
図10乃至
図12を用いて説明する。
図10は、乾燥機1のガスヒータ21から上方壁部に流れる温風・冷風(乾燥風)の流れ方向を示す図である。
図11は、乾燥機1の上方壁部から本体部の乾燥空間に流れる温風・冷風の流れ方向を示す図である。
図12は、乾燥機1の全体の温風・冷風の流れを示す側面図である。
【0041】
図10乃至
図12に示すように、平板部25aと上方壁部25との間に形成される空間が吸気流路251においては、ガスヒータ21からの温風が、接続パイプ253を通過して平板部25aに向けて送り出される。すると、吸気流路251内に渦(トルネード)が発生して、流入孔群255から乾燥空間Dへと送られる。
【0042】
さらに
図11に示すように、吸気流路251からの温風・冷風は、乾燥空間Dにおいても渦を巻いて、マット状部材Fに送出され、載置台31の両側面に設けられたパンチング孔群311を介して乾燥空間D内の空気がマット状部材Fを通過してマット載置部3内に吸気される。
【0043】
図12に示すように、筐体20の上方壁部25の上方には、2枚の水平に延在して互いに平行な平板部25a,25bが設けられており、最上方に位置する平板部25b上に、ガスヒータ21、排気ファン22がそれぞれ載置されている。この平板部25bの下方に位置する平板部25aを境に、2つの空間が上下方向に分割して画成されており、平板部25aと上方壁部25との間に画成される空間が吸気流路251として用いられ、平板部25aと平板部25bとの間に画成される空間が上方排気流路252として用いられる。上方排気流路252は、吸気流路251より僅かに後方に延在して垂直流路271と流体的に接続している。なお、平板部25aを境に吸気流路251と上方排気流路252とが上下に形成されるため、平板部25aは断熱部材により構成されることが好ましい。
【0044】
垂直流路271は、後方壁部27と、この後方壁部27に平行な且つ前方に位置する平板部27aとの間隙であり、上方から見て左右方向に長尺な矩形断面が上下方向に延在する空間として形成される。垂直流路271は、上方排気流路252と下方排気流路281とに流体的に接続されており、これらが一体となって1つの排気流路を形成している。
【0045】
図12に示すように、吸気流路251には接続パイプ253が連結され、上方排気流路252には接続パイプ254が連結されている。接続パイプ253は、ガスヒータ21に対応して形成され、吸気流路251と流体的に接続されることでガスヒータ21によって加熱された空気を吸気流路251に吸気可能となっている。
接続パイプ254は、排気ファン22に対応して形成され、上方排気流路252と流体的に接続されることで排気ファン22により上方排気流路252の空気を排出可能となっている。
【0046】
また、上方壁部25には、吸気流路251と乾燥空間Dとを連通し、ガスヒータ21により加熱された空気を乾燥空間Dに流入させる通気孔としての流入孔群255が形成される。この流入孔群255は複数のパンチング孔であり、乾燥空間Dの左右方向全域及び前後方向においての所定範囲に亘って形成される。ここでの所定範囲とは、吸気流路251の下方領域の略全域であり、より具体的には載置台31の前後方向後方端部上方から、吸気流路251の前後方向前方端部までの範囲である。
【0047】
次に、実施形態に係るリフレッシュ乾燥機構を
図13乃至
図24を参照して説明する。
図13乃至
図16は、蒸気を発生するボイラを外付けした乾燥機構を示している。
図17、
図18は蒸気を発生するボイラを乾燥機1に内蔵した乾燥機構を示している。
図19乃至
図24は、ボイラを使用しない乾燥機構を示している。
【0048】
(実施例1)
図13(a)は実施例1に係る乾燥機構の斜視図、同(b)は正面図を示している。
図13に示す乾燥機構では、ボイラ500を乾燥機1の外側に配置した構成である。ボイラ500の内部には水が貯蔵されており、その水が加熱されることで高圧高温の水蒸気(以下、単に蒸気と称する)が発生される。ボイラ500は、載置台31の左右(乾燥空間D)に設けられた蒸気噴霧部材(以下、蒸気噴霧パイプと称する)510、520に接続されている。蒸気噴霧パイプ510、520には、長手方向に載置台31に向けた多数の小孔が設けられている。
【0049】
ボイラ500からの蒸気は、
図13(b)に示すように、蒸気噴霧パイプ510、520の多数の小孔から乾燥空間Dに向けて噴霧される。リフレッシュ動作では排気ファン22が同時に稼働するよう制御されるので、乾燥空間Dの載置台31に載置されるマット状部材(布団等)Fに向けて高温の蒸気を噴霧すると、内部空間Pに向けて吸引される。マット状部材Fを通過した蒸気は、
図12の内部空間T、下方排気流路281、垂直流路271、チャッキダンパ221を介して外部へ排出される。これにより、マット状部材Fのリフレッシュが行なわれる。
図13では、蒸気噴霧パイプ510、520の多数の小孔から、例えば矢印で示す3方向に噴霧している様子を示している。蒸気を噴出する小孔の形状や数、噴霧する方向等は、最適なものが設計されて良い。
【0050】
(実施例2)
図14(a)は実施例2に係る乾燥機構の斜視図、同(b)は正面図を示している。
図14に示す乾燥機構は、実施例1と同様にボイラ500を乾燥機1の外側に配置した構成である。実施例1との違いは、蒸気噴霧パイプ530が載置台31の下側(台座部32の内部空間T)に設けられている点である。即ち、
図14(b)に示すように、ボイラ500からの蒸気は乾燥機1の載置台31の中央下部(正面から見た場合)に設けられた蒸気噴霧パイプ530から内部空間Pに向けて噴霧される。
載置台31には、マット状部材Fが載置されるので、蒸気噴霧パイプ530から内部空間Pを経由して、内側からマット状部材Fに向けて高温の蒸気を噴霧することによって、マット状部材Fをリフレッシュすることが出来る。マット状部材Fを通過した蒸気は開閉窓(シャッター)535、垂直流路271、チャッキダンパ221を介して外部へ排出される。開閉窓535は、リフレッシュ動作における排気ファン22の稼働と共に、開状態を維持するよう制御される。
【0051】
図14の蒸気噴霧パイプ530にも、蒸気を内部空間Pに向けて噴出する小孔が長手方向に多数設けられている。
図14(b)では、蒸気噴霧パイプ530から、例えば矢印で示す7方向に噴霧している様子を示している。蒸気を噴出する小孔の形状や数、噴霧する上向き方向等は、最適なものが設計されて良い。なお、
図14では蒸気噴霧パイプ530を台座部32の内部空間Tに設ける構成としたが、載置台31の内部空間Pに設けても良い。
【0052】
図15は、実施例2の乾燥機構における、蒸気噴霧パイプの他の構成例を示す図である。
図15では、
図14と同じく下側に蒸気噴霧パイプ530を設けると共に、載置台31の内部空間Pの上側にも蒸気噴霧パイプ540を設けた構成を示す。蒸気噴霧パイプ540は、接続部材545によってボイラ500に接続されている。この例では、蒸気噴霧パイプ530から矢印で示す6方向に蒸気を噴霧し、蒸気噴霧パイプ540から矢印で示す5方向に蒸気を噴霧するとしているが、蒸気を噴出する小孔の形状や数、噴霧する方向等は、最適なものが設計されて良い。
図15(b)に示すように、載置台31には、マット状部材Fが載置されるので、蒸気噴霧パイプ530、540から内部空間Pを経由して、内側からマット状部材Fに向けて高温の蒸気を噴霧することによって、マット状部材Fをリフレッシュすることが出来る。マット状部材Fを通過した蒸気は、開閉窓535、垂直流路271、チャッキダンパ221を介して外部へ排出する。開閉窓535は、リフレッシュ動作における排気ファン22の稼働と共に、開状態を維持するよう制御される。
【0053】
(実施例3)
図16(a)(b)は、実施例3の乾燥機構の正面図、同(c)は同(b)の上面から見た図を示している。
図16に示す乾燥機構は、同様にボイラ500が乾燥機1の外側にボイラ500が設けられる。
図13の実施例1との違いは、蒸気噴霧パイプ510、520に代えて、乾燥空間Dにボイラ500からの蒸気を噴霧する噴霧孔550が設けられる点である。
例えば、
図16(a)では、左側壁の中央上部(それ以外の上部位置でも可)にボイラ500からの蒸気を乾燥空間Dに噴霧する1つの噴霧孔550が設けられている構成を示す。
例えば、同(b)(c)では、左右の側壁の対角線上の上部にボイラ500からの蒸気を乾燥空間Dに噴霧する2つの噴霧孔550a、550bが設けられている構成を示す。2つの噴霧孔550a、550bは、同(c)に示すように噴霧孔550aは奥側(図では上部)に設けられ、噴霧孔550bは手前側(図では下側)の対角線上にそれぞれ設けられる。ここでは、1つの噴霧孔550、又は2つの噴霧孔550a、550bを設けるとしたが、3つ以上の噴霧孔を設けても良い。また、噴霧孔550、550a、550bは、乾燥空間Dの全体に蒸気が短時間で満遍なく噴霧できる位置を選んで設けることが望ましい。
【0054】
実施例3の
図16(a)では、ボイラ500からの蒸気を噴霧孔550、又は550a、550bから乾燥空間Dに例えば10~30秒噴霧する。実施例3の
図16(b)(c)では、ボイラ500からの蒸気を噴霧孔550a、550bから乾燥空間Dに例えば5~15秒噴霧する。これにより、乾燥空間D内にある程度蒸気が噴霧された段階で排気ファン22を稼働すると、乾燥空間Dの蒸気がマット状部材F内を通過する。そして、実施例1と同様に内部空間P、T、下方排気流路281、垂直流路271、チャッキダンパ221を介して蒸気が外部へ排出される。これにより、マット状部材Fのリフレッシュを行うことができる。
【0055】
(実施例4)
図17(a)は実施例4に係る乾燥機構の斜視図、同(b)は正面図を示している。
図17に示す乾燥機構は、ボイラ500を乾燥機1に内蔵した構成である。乾燥機1に内蔵のボイラ500は、接続部材570を経由して左右の蒸気噴霧パイプ510、520に接続されている。蒸気噴霧パイプ510、520に長手方向に設けられる多数の小孔から乾燥空間Dに向けて蒸気が噴霧される。その他の構成および動作は、
図13に示した実施例1と同じなので説明は省略する。
実施例3においても、載置台31には、マット状部材Fが載置されるので、乾燥空間Dのマット状部材Fに向けて高温の蒸気を噴霧することによって、マット状部材Fをリフレッシュすることが出来る。
【0056】
図18は、実施例4の乾燥機構における、蒸気噴霧パイプの他の構成例を示す図である。
図18では、
図17に示す内蔵のボイラ500は、接続部材570などを経由して3つの蒸気噴霧パイプ510、520、580に接続されている。蒸気噴霧パイプ580は、乾燥空間Dの中央上部(正面から見て)に設けられている。また、左右の蒸気噴霧パイプ510、520は、取り付け位置を
図13(b)より下にずらして設けられる。この例では、蒸気噴霧パイプ510、520、580から矢印で示す3方向に蒸気を噴霧するとしているが、同様に、蒸気を噴出する小孔の形状や数、噴霧する方向等は、最適なものが設計されて良い。また、実施例1においても、
図13(b)に代えて
図18の構成を採用しても良い。
【0057】
(実施例5)
図19は、実施例5に係る乾燥機構の斜視図を示している。
実施例5では、ボイラを用いることなく、ガスヒータ21から送風される温風にミストを噴霧し、温風の熱気により気化させた流体を乾燥空間D内に噴霧する構成を有する。
これを実現するために、吸気流路251のガスヒータ21の近くに、水道水からミストを生成するミスト噴霧部材(例えば、マイクロノズル)600が設けられる。ガスヒータ21から吸気流路251に送風される、例えば120℃の温風に向けて、ミスト噴霧部材600から噴出されるミストが散布することで蒸気が生成される。この蒸気が吸気流路251から乾燥空間D内に噴霧されることになる。これにより、乾燥空間Dに蒸気が満たされ、載置台31に載置されるマット状部材Fを通して排気することでマット状部材Fをリフレッシュすることが出来る。
【0058】
(実施例6)
図20は、実施例6に係る乾燥機構の斜視図を示している。
実施例6では、実施例5と同じでボイラを用いることなく、ガスヒータ21から送風される温風にミストを噴霧し、温風の熱気により気化させた流体を乾燥空間D内に噴霧する構成を有する。実施例5との違いは、ミスト噴霧部材600に消臭剤、又は除菌剤、又は防ダニ剤などの処理剤を混合した水からミントを生成する構成としている。これにより、実施例5と同様に、ガスヒータ21から吸気流路251に送風される、例えば120℃の温風に向けてミスト噴霧部材600から排出される薬剤入りミストが散布することで気化され、その薬剤を含んだ蒸気が吸気流路251から乾燥空間D内に噴霧されることになる。これにより、乾燥空間Dに蒸気が満たされ、載置台31に載置されるマット状部材Fを通して排気することでマット状部材Fをリフレッシュすることが出来る。
【0059】
(実施例7)
図21は、実施例7に係る乾燥機構の概要を示している。
実施例7では、ボイラを用いることなく、水道水又は貯水タンク610からミスト噴霧部材(例えば、マイクロノズル)620を介して噴出されるミストを乾燥空間Dの載置面35に載置されるマット状部材Fに向けて散布する。その後、ガスヒータ21から例えば120℃の温風をマット状部材Fに向けて吹き当てる。これにより、乾燥途中の蒸気でマット状部材Fをリフレッシュすることが出来る。
貯水タンク610にオゾン発生する水処理装置を内蔵させることにより、オゾン水をミストにしてマット状部材Fに向けて散布するようにしても良い。
また、ナノイー(登録商標)装置40を設けて、乾燥機1が非稼働のときに、スイッチ又は自動制御により乾燥空間Dにナノイーを噴射しても良い。
【0060】
(実施例8)
図22は、実施例8に係る乾燥機構の概要を示している。
実施例8は、
図22に示した乾燥機構は、排出される蒸気や熱気の一部を再利用(温度、湿度の循環利用)するものである。実施例7と同様に、水道水又は貯水タンク610からミスト噴霧部材620を介して噴出されるミストを乾燥空間Dの載置面35に載置されるマット状部材Fに向けて散布する。その後、排気ファン22を作動させて、ガスヒータ21から例えば120℃の温風をマット状部材Fに向けて吹き当ててマット状部材Fの乾燥を行う。乾燥途中の蒸気でマット状部材Fの内部リフレッシュが行われる。そして、通過した蒸気は、下方排気流路281、垂直流路271、チャッキダンパ221を介して外部へ排出する。
このとき、チャッキダンパ221を半分閉じると共に、開閉弁630を開けて、蒸気の一部をガスヒータ21内に戻す。これにより、ガスヒータ21は、高温の蒸気と空気とが混合した状態で温風を生成することになるので、蒸気の無駄を軽減でき、リフレッシュ効率が向上する。
【0061】
図23は、実施例8に係る乾燥機構の他の構成の概要を示している。
図23に示した乾燥機構は、
図22と同様に排出される蒸気の一部を再利用する構成であり、その違いは、排出される蒸気の一部を乾燥空間Dに戻す構成である。
図22で述べたように、水道水又は貯水タンク610からミスト噴霧部材620を介して噴出されるミストを乾燥空間Dの載置台31の載置面35に載置されるマット状部材Fに向けて散布する。その後、排気ファン22を作動させて、ガスヒータ21から例えば120℃の温風をマット状部材Fに向けて吹き当ててマット状部材Fの乾燥を行う。乾燥途中の蒸気でマット状部材Fの内部リフレッシュが行われる。そして、通過した蒸気は、下方排気流路281、垂直流路271、チャッキダンパ221を介して外部へ排出する。
このとき、チャッキダンパ221を半分閉じると共に、開閉弁630を開けて、蒸気の一部を乾燥空間D内に戻す。これにより、リフレッシュ動作中は排気に含まれる蒸気の一部を乾燥空間Dに戻すことで、乾燥空間Dを高温の状態を保つことが出来るので、リフレッシュ効率が良くすることが出来る。
【0062】
(実施例9)
図24は、実施例9に係る乾燥機構の概要を示している。
実施例9では、ボイラを用いることなく、水道水又は貯水タンク610からミスト噴霧部材(例えば、マイクロノズル)620を介して噴出されるミストを熱交換器640を通して乾燥空間Dの載置面35に載置されるマット状部材Fに向けて散布する。その後、ガスヒータ21から例えば120℃の温風をマット状部材Fに向けて吹き当てる。これにより、乾燥途中の蒸気でマット状部材Fをリフレッシュすることが出来る。熱交換器640を設けることにより、ガスヒータ21からの熱風を熱伝導の良い材質の送風路を通して乾燥空間Dに送風することにより、送風路も高温となり、これにミスト水を噴霧することでスチームを発生させ、熱風とともにスチーム発生を促すことが出来る。
貯水タンク610にオゾン発生する水処理装置を内蔵させることにより、オゾン水をミストにしてマット状部材Fに向けて散布するようにしても良い。
【0063】
(実施例10)
以下、
図25乃至
図29を参照して、実施例10について説明する。
図25(a)は、実施例10の乾燥機700の斜視図、同(b)は開閉扉の正面から見た断面図を示している。
図26は、乾燥機700の側面から見た内部構成を示した図である。
図27は、乾燥機700を背面から見た斜視図である。
図28は、乾燥機700のリフレッシュ動作と乾燥のみの動作を示したフローチャートである。
図29は、乾燥機700のリフレッシュ動作における乾燥空間Dに蒸気を噴霧する状態を示した模式図である。
【0064】
まず、
図25乃至
図27を参照して、乾燥機700のリフレッシュ機構を構成するボイラとの接続構造について説明する。なお、乾燥機700自体の構成は、
図1乃至
図12で説明したものと同じであるので、重複した説明は省略する。
図25に示すように、乾燥機700は、本体部2の筐体20に外付けのボイラ500が第1接続部材705、第2接続部材710によって接続される構成である。第1接続部材705は蒸気ドレン回収用の配管であり、第2接続部材710は蒸気配給用の配管である。ボイラ500には、水道水が軟水生成器715を介して供給され、軟水生成器715によって生成された軟水を用いて蒸気を発生する。ボイラ500によって生成された蒸気は、第2接続部材710、第1制御弁720を介して蒸気/液体分離装置725に供給される。
図26又は
図27に示すように、蒸気/液体分離装置725に供給された蒸気は、左右に設けられた、例えばΦ6mmの第3接続部材730および第4接続部材735を介して、乾燥機700の乾燥空間Dに供給される。接続部材705、710、730および735は、テフロン(登録商標)チューブと、そのチューブを被覆する断熱チューブによって構成される。なお、蒸気/液体分離装置725に溜まった蒸気で水になったものは、第2制御弁740、第1接続部材705を介してボイラ500に戻され、排出処分される。
【0065】
図26に外出しした円で示すように、乾燥機700の乾燥空間Dの奥側の上部の側方壁部26には、左右に蒸気噴霧部材(ノズル)750、755が設けられる。蒸気噴霧部材750、755は、上方壁部25との傾斜角が例えば15度、左右の側方壁部26との傾斜角が例えば15度の角度を有して取り付けられる。そして、
図26に示すように、左右の蒸気噴霧部材750、755から乾燥空間D内に向けて蒸気を噴霧する。乾燥空間Dにはガスヒータ21からの乾燥風(温風)が渦を巻くように流れているので、その温風と共にマット状部材Fに向けて蒸気が噴霧される。これにより、載置台31載置したマット状部材F(例えば、布団類)に満遍なく蒸気を噴霧することが出来る。その結果、マット状部材Fのリフレッシュを効率良く実施することが出来る。ここでは、蒸気噴霧部材(ノズル)750、755は、乾燥空間Dの奥側の上部の側方壁部26に設けるとしたが、乾燥空間Dの手前側の上部の側方壁部26に設けても良い。
【0066】
図26に示すように、蒸気/液体分離装置725には、圧力センサー760が接続される。圧力センサー760は、蒸気/液体分離装置725の圧力を監視することで、間接的にボイラ500を監視するものである。圧力センサー760の出力信号は、制御部24に通知される。制御部24は、圧力センサー760からの出力信号からボイラ500が異常であると判断すると、乾燥機700を停止等の安全対策の動作を実行する。なお、ボイラ500側に安全機能が備わっていれば、圧力センサー760は省略できる。
【0067】
また、
図26および
図27に示すように、蒸気/液体分離装置725の左側には、ジェットノズル23を有する内側の処理剤噴霧装置(例えば消臭剤及び/又は除菌剤噴霧装置)765と接続する吸引機構770が設けられる。吸引機構770の先には、第5接続部材775を介して処理剤ボックス(図示せず)が接続される。ジェットノズル23は、後方壁部27の下部に斜め上方に向けて処理剤を噴霧する形状となっている。処理剤噴霧装置765および吸引機構770は、制御部24によって動作制御される。制御部24は、吸引機構770を作動してジェットノズル23に圧送し、処理剤を乾燥空間Dに噴霧する。また制御部24は、利用者の希望により処理剤の噴霧を設定された場合(リフレッシュ動作の一環でも可)、乾燥工程が終わった後、処理剤噴霧装置765を作動して、ジェットノズル23から処理剤を乾燥空間D(マット状部材F)に向けて噴霧する。
【0068】
次に、
図28のフローチャートを参照して乾燥機1,700による乾燥動作およびリフレッシュ動作について説明する。
最初に、利用者によって本体部2の扉部29を開けて、中から載置台31を引き出して、載置台31にマット状部材Fを広げて載置する。その後、マット状部材Fを載置した載置台31を本体部2の乾燥空間Dに戻して、乾燥風が載置台31のマット状部材Fに通過可能な状態に設置する(S100)。つまりマット載置部3が乾燥空間Dに完全に収容されると、マット載置部3の内部空間P、Tと下方排気流路281とが流体的に接続され、よって内部空間P、Tと上方排気流路252とが流体的に接続されることとなる。利用者は、乾燥機1,700の操作パネル241からコース選択(「乾燥モード」、又は「リフレッシュモード」)を行う(S110)。
【0069】
例えば、ステップS110にて、「乾燥モード」のコースが選択された場合、当該コースの表示料金を支払い(S120)、動作開始を指示する。制御部24は、ガスヒータ21からの乾燥風を乾燥空間Dに送風して、マット状部材Fを乾燥する(S130)。この乾燥工程では、ガスヒータ21を制御(火力調整)して、乾燥空間Dの内部の平均温度を約90℃に維持すると良い。なお、乾燥空間Dの内部温度は、最低50℃以上、最高130℃以下に調整されるとよい。この乾燥工程は、例えば約4分程度行われる。次に制御部24は、ガスヒータ21を停止して、乾燥空間Dに常温の冷風を供給してマット状部材Fを例えば2分間冷却し(S140)、動作を終了する。
【0070】
一方、ステップS110にて、「リフレッシュモード」のコースが選択された場合、当該コースの表示料金を支払い(S150)、動作開始を指示する。制御部24は、ガスヒータ21からの乾燥風を乾燥空間Dに供給して、乾燥機1,700およびマット状部材Fを例えば2分間温めて、事前の温め工程を行う(S160)。
【0071】
これにより、装置の過剰な結露を防止することが出来る。蒸らし工程前に、この温め工程にてマット状部材Fを温めることで、マット状部材Fの内部繊維が膨らみ、次の蒸らし工程における蒸気の浸透率を高めることが出来る。但し、温め過ぎは、蒸らし工程で蒸気をマット状部材F内に上手く留めることができないので、温め工程の時間は、例えば2分程度の短い時間で実施するのが好ましい。なお、2分等の設定時間ではなく、乾燥空間Dの温度が設定温度(例えば、約120℃)に到達した時点で次工程に移るようにしても良い。
【0072】
次に、制御部24は、蒸気を利用してマット状部材Fを蒸らしてリフレッシュを開始する(S170)。この工程では、排気ファン22を適切な回転速度で作動させたりして、間欠運転を行う。給気部8と排気部9による温風の給排気を休止する。つまり、冷風(常温の外気)の給排気のみを行う。
そして、実施例1~2では、ボイラ500を作動させて、蒸気を蒸気噴霧パイプ510、520、530、540、580から載置台31のマット状部材Fに吹き当てる。
実施例3では、ボイラ500を作動させて、蒸気を乾燥空間Dに噴霧してある程度充満してきたら、排気ファン22を作動してマット状部材F内を通過した蒸気を吸引排出する。
実施例4~6では、給気部8からの乾燥風とミスト噴霧部材600からのミストとが混ざった温風をマット状部材Fに向けて噴霧して、マット状部材Fのリフレッシュを開始する。
実施例7~9では、ミスト噴霧部材620からのミストを乾燥空間Dの載置台31の載置面35に載置されるマット状部材Fに向けて散布する。その後、給気部8からの乾燥風をマット状部材に吹き当て、その乾燥途中の蒸気によってマット状部材のリフレッシュを開始する。
実施例10では、ボイラ500からの蒸気を左右の蒸気噴霧部材750、755から乾燥空間Dに噴霧し、マット状部材Fを蒸らし、マット状部材Fのリフレッシュを開始する。
これら蒸らし工程は、例えば約5分程度行われ、時間が経過したら蒸気の噴霧を終了する。
【0073】
次に、制御部24は、ガスヒータ21からの乾燥風を乾燥空間Dに送風して、マット状部材Fを例えば4分間乾燥する(S180)。次に、制御部24は、処理剤噴霧装置765からジェットノズル23を介して、乾燥風が充満する乾燥空間Dに処理剤を例えば1分間噴霧する(S190)。最後に、制御部24は、ガスヒータ21を停止して、乾燥空間Dに常温の冷却風を供給してマット状部材Fを例えば2分間冷却し(S195)、動作を終了する。
【0074】
図29は、乾燥機700の乾燥空間Dに蒸気を噴霧する状態を示した模式図である。
上記ステップS160では、制御部24は、ガスヒータ21からの乾燥風を乾燥空間D内に流して(例えば、2分間)、温め工程を実施するとした。蒸らし工程前に、この温め工程にて乾燥空間D内およびマット状部材Fを温めることで、マット状部材Fの内部繊維が膨らみ、次の蒸らし工程における蒸気の浸透率を高めることが出来る。
【0075】
そして、ステップS170の蒸らし工程では、制御部24は、2つの蒸気噴霧部材750、755から乾燥空間D内に蒸気を噴霧する(例えば、5分間)。この蒸らし工程により、マット状部材Fの内部に沢山の蒸気を浸透させることが出来る。
【0076】
ステップS130およびS180の乾燥工程では、制御部24は、排気ファン22を作動して、ガスヒータ21からの乾燥風をマット状部材Fから載置台31の内部を通過して、下方排気流路281から吸引する形態を形成して、マット状部材Fの乾燥が行われる。この時、ガスヒータ21からの乾燥風が、乾燥空間D内で渦を巻くように流れている。その乾燥風と蒸気噴霧部材750、755からの蒸気とが混ざり合って、マット状部材Fの乾燥処理が実施されることになる(例えば、4分間)。つまり、蒸らし工程でマット状部材Fの内部に浸透させた蒸気を乾燥風と共に吸引して排出する形態で、乾燥工程が実施されることになり、マット状部材Fをリフレッシュする。つまり、載置台31に載置したマット状部材F(例えば、布団類)に満遍なく蒸気を噴霧することが出来る。その結果、マット状部材Fのリフレッシュを効率良く実施することが出来る。
【0077】
ステップ290では、制御部24は、ガスヒータ21を停止して、乾燥風が充満した乾燥空間Dに向けて、処理剤噴霧装置765からの処理剤をジェットノズル23を介して噴霧する(例えば、1分間)。ステップS140およびS195の冷却工程では、制御部24は、ガスヒータ21を停止して、排気ファン22により常温の冷却風を下方排気流路281から吸引する態様を形成して、マット状部材Fの冷却を行う(例えば、2分間)。
【0078】
このように実施例10では、乾燥空間Dおよびマット状部材Fを温める工程やマット状部材Fの蒸らし工程を経由することで、蒸気がマット状部材F内に浸透し易い形態とすることが出来る。更に、処理(消臭)工程によって処理剤を噴霧して、マット状部材Fを消臭することが出来る。よって、載置台31に載置したマット状部材F(例えば、布団類)に満遍なく蒸気を噴霧することが出来る。その結果、マット状部材Fのリフレッシュを効率良く実施することが出来る。
【0079】
(可動支持部800)
次に、本実施形態に係る可動支持部800を
図30乃至
図38を参照して説明する。なお、説明上、
図30乃至
図38では可動支持部800を実施例10にて説明した乾燥機700に採用した形態を例にとり説明を行う。
【0080】
図30は、本実施形態に係る可動支持部が示された乾燥機の構成を示す斜視図である。
図31は、本実施形態に係る可動支持部を示す斜視図である。
図32及び
図33は、本実施形態に係る可動支持部の収容状態、延伸状態それぞれ示す斜視図である。
図34は、本実施形態に係る可動支持部が収容状態にある乾燥機を示す正面図であり、
図35はその内部構成を示した図である。
図36は、本実施形態に係る可動支持部が延伸状態にある乾燥機の内部構成を示した図であり、
図37は、本実施形態に係る可動支持部が被処理物を支持して収容状態となった乾燥機の内部構成を示した図である。
図38は、本実施形態に係る可動支持部が側方壁部に設けられる形態を説明するための模式図である。なお、
図35乃至
図37においては、主として乾燥空間D内を側方から見た透視図となっており、説明上、載置台31は省略されている。また、
図38は可動支持部周辺を拡大して正面から見た模式図となっている。
【0081】
図30に示すように、本実施形態に係る乾燥機700は、乾燥空間D内に設けられ、その一部がそれぞれ乾燥空間Dから前方に引き出し可能な一対の可動支持部800を備える。
【0082】
一対の可動支持部800は、
図31乃至
図33に示すように、それぞれ前後方向に長尺のアウターメンバ810、インナーメンバ820、及び中間メンバ830を有する所謂3段引き出しタイプのスライドレールである。具体的には、後述する収容状態では、側方に開放部分が画成されるように縦断面略C字状に形成された長尺のアウターメンバ810と、同じく側方に開放部分が画成されるように縦断面略C字状に形成された長尺のインナーメンバ820とが、互いの開放部分が対向するように向かい合わせにされて配置される。これら2つの開放部分嵌合するように1つの中間メンバ830が配置されることにより、アウターメンバ810及びインナーメンバ820は、中間メンバ830を介して互いに相対移動可能に連結される。
【0083】
中間メンバ830は、両側方に開放部分が画成されるように縦断面略H字状に形成されており、一方の側方部分の上下両端に不図示のリテーナ及びリテーナボールが配置され、これらを介してアウターメンバ810を長手方向に相対移動可能に支持する。また、中間メンバ830は、他方の側方部分の上下両端に同じくリテーナ及びリテーナボールが配置され、これらを介してインナーメンバ820を長手方向に相対移動可能に支持する。
【0084】
一対の可動支持部800は、
図35に示すように、長手方向が前後方向に沿うように配置される。したがって、可動支持部800は、
図31、
図32、及び
図35に示すようなアウターメンバ810とインナーメンバ820とが前後方向において略同一位置に位置付けられる収容状態から、
図30、
図33、及び
図36に示すようなインナーメンバ820がアウターメンバ810に対して前方に完全に引き出される延伸状態に移行することができる。なお、延伸状態においても、アウターメンバ810及びインナーメンバ820が中間メンバ830に支持された状態が維持されるように、公知のロック機構により分離が規制、つまりアウターメンバ810及びインナーメンバ820の中間メンバ830からの脱落が規制されるようにするとよい。
【0085】
図31に示すように、可動支持部800は、上方に水平プレートが位置し、この水平プレートの左右方向一端部から垂直プレートが垂下するように一体的に設けられて縦断面略L字状に形成された前後方向に長尺のブラケット840を有する。ブラケット840の垂直プレートとアウターメンバ810の側壁部分とが面接触し、これらがスポット溶接等により互いに固着されることにより、アウターメンバ810に対してブラケット840が固定される。なお、ねじ等の複数の締結具によりこれらが連結されることでアウターメンバ810に対してブラケット840を固定するようにしても良い。また、ブラケット840の水平プレートと、
図34乃至
図36に示すように乾燥空間Dの上面を形成する上方壁部25とが面接触し、複数の締結具によりこれらが連結されることで上方壁部25に対して可動支持部800が脱落不能に固定される。
【0086】
図31に示すように、可動支持部800は、前後方向に長尺且つ平面が垂直方向を向く平板状に形成される支持プレート850を有する。支持プレート850は、インナーメンバ820の側壁部分と面接触し、締結具によりこれらが連結されることでインナーメンバ820に対して固定される。支持プレート850は、被処理物を吊り下げ支持するためのフック851が前後方向に互いに離間するように複数(ここでは2つ)設けられている。一対のフック851のそれぞれは、支持プレート850に対して一体的に設けられており、支持プレート850下端から下方に突出する突出部852と、突出部852の左右方向両側にそれぞれ設けられ、それぞれ左右方向端部が上方に折り返されるように縦断面略L字状に形成された一対の吊下げ部853とから構成される。
【0087】
一対の吊下げ部853は、衣類を掛けるためのハンガーのフック部に係合してこれを吊り下げ支持するものであり、それぞれ前後方向幅がハンガーのフック部の幅(湾曲部分の径)に応じた所定長さに形成されることが好ましい。これにより、例えば処理中の蒸気や風(乾燥風、冷却風)に起因するハンガーの回転を抑え、被処理物を処理するための適切な位置に吊下げ支持することができる。上記所定長さは、例えば30mmである。さらに、上方に折り返された端部と突出部852とによれば、左右方向においてハンガーのフック部の脱落を防止することができる。本実施形態においては、
図30及び
図36に示すように延伸状態において前方側のフック851を乾燥空間Dの外部に完全に露出させることができると共に、後方側のフック851を乾燥空間Dの入口近辺に位置させることができる。したがって、利用者は延伸状態において前方側及び後方側の各フック851に容易に被処理物が掛けられたハンガーを引っ掛けることが可能となる。
【0088】
1つの支持プレート850に設けられた2つのフック851の前後方向における離間距離L1(
図35参照)は、
図37に示すようにそれぞれのフック851がハンガーを介して被処理物CTを吊下げ支持する際、乾燥、リフレッシュ効果を十分に与えられるように被処理物CT間の前後方向距離を確保可能な長さとすることが好ましい。このような長さとしては、例えば被処理物CTとしてジャケットを想定し、ジャケットが前後方向に接触無く並べる場合は、555.6mm前後とすることが挙げられる。
【0089】
一対の可動支持部800は、
図34に示すようにマット載置部3の左右方向略中央を垂直に通るセンターラインCLに対して互いに面対称となるように構成される。つまり、支持プレート850が互いに対向するように構成される。また、一対の可動支持部800は、載置面35の上端部の上方に位置し、且つ左右方向においてそれらの間(略中央)に載置面35の上端部が位置するように互いに離間して配置されている。左右方向におけるフック851中央とセンターラインCLとの距離L2(
図34参照)は、収容状態においてフック851がハンガーを介して被処理物CTを吊下げ支持する際に、被処理物CTと載置面35に載置されたマット状部材Fとの接触が生じない長さとすることが好ましい。このような長さとしては、例えば254.6mm前後とすることが挙げられる。
【0090】
本実施形態においては左右に一対の吊下げ部853を有するフック851が2つの支持プレート850のそれぞれに2つ設けられていることから、一対の可動支持部800で少なくとも計8つのハンガーを支持する、つまり計8つの被処理物を乾燥空間D内に収容することができる。ただし、これに限定するものではなく、乾燥空間Dやマット載置部3のサイズ等に応じて1つの支持プレート850に対して1つ、または3つ以上フック851を設けるようにしても良い。
【0091】
また、一対の可動支持部800は、後方側端部がそれぞれ蒸気噴霧部材750,755のそれぞれに個別に近接するように設けられている。このように可動支持部800が蒸気噴霧部材750,755に近接することにより、支持する被処理物CTに対して、蒸気等によるリフレッシュ効果を十分に与えることができる。
【0092】
一対の可動支持部800の寸法及び取付位置の一例を説明する。一対の可動支持部800は、乾燥空間Dの前後方向長さが約1,200mm、上下方向長さが約640mmとすると、
図34に示すように、長さL2を254.6mm、上方壁部25からフック851の下端までの上下方向長さL3を56.1mm、
図35に示すように、離間距離L1を555.6mm、可動支持部800の前後方向長さL4を713.6mm、乾燥空間D(又は側方壁部26)の前方側端部から可動支持部800における前方側のフック851の中心までの前後方向長さL5を318.6mm、台座部32上面からフック851の下端までの上下方向長さL6を1,057.4mmとするとよい。
【0093】
このような寸法及び取付位置とすることで、被処理物CT同士の接触、マット状部材Fとの接触を回避でき、確実な乾燥、リフレッシュ効果を被処理物CTも与えることができる。また、可動支持部800の前後方向長さL4を713.6mmとすることにより、
図36に示すように、延伸状態の可動支持部800の前後方向長さL7を1443.3mm程度、乾燥空間D(又は側方壁部26)の前方側端部からインナーメンバ820の前方側端部までの長さL8を499.3mm程度とすることができ、前方側及び後方側の各フック851を被処理物CTが掛けられたハンガーを容易に引っ掛けることができる位置にまで引き出すことができる。
【0094】
本実施形態に係る可動支持部800の使用方法を説明する。
まず、利用者は、収容載置工程S100において、本体部2の扉部29を開けて、乾燥空間Dからマット載置部3を引き出し、載置台31にマット状部材Fを広げて載置する。当該載置と前後して、利用者は一対の可動支持部800のインナーメンバ820をそれぞれ乾燥空間Dから引き出し、予め被処理物が掛けられたハンガーのフック部を一対の可動支持部800それぞれのフック851に吊るす。その後、マット状部材Fを載置したマット載置部3と共に一対の可動支持部800を本体部2の乾燥空間Dに戻し、マット載置部3を乾燥風がマット状部材Fに通過可能な状態に設置すると共に、被処理物に乾燥風が当たるように一対の可動支持部800を収容状態にする。その後の処理は
図28に示すフローと同様となる。
【0095】
なお、上記の使用方法に限定するものではない。上述した収容載置工程S100において、マット状部材Fをマット載置部3に載置せずに被処理物のみを乾燥空間D内に収容して処理を行うようにしてもよい。また、処理は乾燥やリフレッシュに限らない。例えば、上述したジェットノズル23からの処理剤の乾燥空間D内への噴出による消臭処理、除菌処理、及び/又は防ダニ処理を更に行うようにしてもよく、これらの処理を単独、または適宜組み合わせて行うようにしても良い。また、冷却風のみを乾燥空間D内に供給する冷却処理も単独で行うようにしてもよい。この場合、例えばステップS110のコース選択時、「乾燥モード」、「リフレッシュモード」の他に、消臭処理を行う「消臭モード」、除菌処理を行う「除菌モード」、防ダニ処理を行う「防ダニモード」、冷却処理を行う「冷却モード」を操作パネルに選択可能に表示すればよい。
【0096】
以上に説明した可動支持部800によれば、乾燥空間D内におけるマット載置部3の無い余剰空間を有効利用し、被処理物CTをマット状部材Fと共に、乾燥及び/又はリフレッシュさせることが可能となり、除菌、脱臭の効果も与えることができる。そのため、個別に処理する場合と比較して処理時間、電力、ガス等を抑えることができ、低コスト化を実現できる。また、例えばスーツ等のシワや型崩れを抑えたい衣類は、一般的な乾燥機では乾燥困難であるが、本実施形態に係る乾燥機700であれば、ハンガーに掛けられた状態でシワや型崩れを低減させて乾燥やリフレッシュをさせることができる。また、可動支持部800は、延伸状態となることができるため、容易にハンガー等をフック851に掛けることができる。
【0097】
なお、本実施形態では、フック851にはハンガーを引っ掛けると説明したがこれに限定するものではなく、当然被処理物CTを係止するハンガー以外の構造物や、被処理物を直接引っ掛けるようにしても良い。また、フック851に代わりハンガーを支持プレート850に一体的にまたは分離可能に設けるようにしてもよい。このようにすることで、別途ハンガーを用意することなく、被処理物CTを支持プレート850により支持することができる。また、被処理物CTは衣類であると説明したが、これに限定するものではない。乾燥機700は、マフラー等の服飾品、シーツや枕等の寝具、ぬいぐるみ、クッション等、フック851を介して支持可能なものであれば、どのようなものでも被処理物とすることができる。
【0098】
また、本実施形態においては可動支持部800はブラケット840により上方壁部25に固定されると説明したが、これに限定するものではなく、被処理物CTを良好に乾燥、リフレッシュ可能であれば側方壁部26等、乾燥空間D内のいずれの壁部に固定しても良い。例えば、側方壁部26に可動支持部800を設ける場合は、
図39(a)に示すように平板状のブラケット840aを介してアウターメンバ810を固定するようにしてもよく、
図39(b)に示すように縦断面略C字状のブラケット840bを介してアウターメンバ810を固定してもよく、アウターメンバ810を側方壁部26に固定できればよい。なお、ブラケット840bを用いる場合は、上方に位置する平板部分に孔を複数穿設する等して空気が通過可能とするようにしても良い。
【0099】
また、本実施形態においては可動支持部800は3段引き出しタイプのスライドレールであると説明したが、これに限定するものではなく、2段引き出しタイプのスライドレールや4段以上のスライドレールでもよい。また、可動支持部800は、スライドレールに限るものではなく、摺動性のある延伸機構であればよい。そのような延伸機構としては、ロッドと当該ロッドを前方に移動可能に収容するシリンダとを含むガイドシャフト、移動体と当該移動体の前後方向移動をガイドするレールとを含むガイドレール等が挙げられ、これらロッドや移動体にフック851又はハンガーを設ける等すればよい。また、可動支持部800は、利用者の被処理物CTのセット(引っ掛け)の利便性向上を考えないのであれば、スライドレールではなく、固定レール、つまりアウターメンバ810のみで構成してアウターメンバ810にフック851を設ける構成としてもよい。
【0100】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、各種特徴の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1,700…乾燥機
3…マット載置部
8…給気部
9…排気部
20…筐体
23…ジェットノズル(噴霧部)
25…上方壁部、
26…側方壁部
31…載置台
35…載置面
500…ボイラ(噴霧部)
510,520,530,540,580…蒸気噴霧部材(噴霧パイプ,噴霧部)
550,550a,550b…噴霧孔(噴霧部)
750,755…蒸気噴霧部材(噴霧部)
600,620…ミスト噴霧部材(噴霧部)
610…貯水タンク(噴霧部)
800…可動支持部(支持部)
810…アウターメンバ(固定部)
820…インナーメンバ(移動部)
850…支持プレート(移動部)
851…フック
D…乾燥空間
F…マット状部材
CT…被処理物