(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080885
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】直流配電システムに用いる整流器の構成
(51)【国際特許分類】
H02M 7/04 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
H02M7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194217
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】390025737
【氏名又は名称】株式会社新陽社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】池ヶ谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 直史
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CA07
5H006CB01
5H006HA06
5H006HA08
(57)【要約】
【課題】大電流に対応することができ、電圧降下が小さく、回路構成がシンプルな、直流配電システムに用いる整流器の構成を提供する。
【解決手段】直流配電システムに用いる整流器Aであって、整流器Aは、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する整流回路1、基板12及び板状の導体3を備え、基板12は、前記交流電力の各相に対応する数を有し、板状の導体3は、前記直流電力の正極、前記直流電力の負極及び前記交流電力の各相に対応する数を有し、整流回路1は、基板12上に当該基板12と電気的に接続するように設けられ、基板12は、前記直流電力の正極に接続された板状の導体3、前記直流電力の負極に接続された板状の導体3及び前記交流電力の各相のいずれかに接続された板状の導体3と電気的に接続されている構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流配電システムに用いる整流器の構成であって、
当該整流器は、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する整流回路、基板及び板状の導体を備え、
前記基板は、前記交流電力の各相に対応する数を有し、
前記板状の導体は、前記直流電力の正極、前記直流電力の負極及び前記交流電力の各相に対応する数を有し、
前記整流回路は、前記基板上に当該基板と電気的に接続するように設けられ、
前記基板は、前記直流電力の正極に接続された前記板状の導体、前記直流電力の負極に接続された前記板状の導体及び前記交流電力の各相のいずれかに接続された前記板状の導体と電気的に接続されていることを特徴とする、直流配電システムに用いる整流器の構成。
【請求項2】
前記基板は、前記交流電力の3相に対応して3枚であって、
前記板状の導体は、前記直流電力の正極、前記直流電力の負極及び前記交流電力の3相に対応して5本であって、
前記基板は、前記直流電力の正極に接続された前記板状の導体、前記直流電力の負極に接続された前記板状の導体及び前記交流電力の3相のいずれかに接続された前記板状の導体と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の直流配電システムに用いる整流器の構成。
【請求項3】
直流配電システムに用いる整流器の構成であって、
当該整流器は、制御回路、基板及び板状の導体を備え、
前記制御回路では、
直流電圧を印加する電源と、
当該電源と各一端が接続された第1電路乃至第5電路と、
前記第2電路の他端と、一端が接続された第6電路及び第7電路と、
前記第1電路、前記第6電路、前記第7電路、前記第4電路及び前記第5電路の各他端が接続された第8電路と、
前記第2電路と、前記第3電路を接続する第9電路を備え、
前記第1電路では、電位が高い順に、第1抵抗素子、第2ダイオードが設けられ、
前記第2電路では、第2抵抗素子が設けられ、
前記第3電路では、電位が高い順に、第3抵抗素子、第10抵抗素子、第3ダイオードが設けられ、
前記第4電路では、電位が高い順に、第7抵抗素子、第6抵抗素子、第1NPN型バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第1NPN型バイポーラトランジスタのベースは、第3PNP型バイポーラトランジスタと第5抵抗素子の間の位置で、前記第7電路と接続され、
前記第5電路では、電位が高い順に、第4PNP型バイポーラトランジスタ、第8抵抗素子が設けられ、
前記第5電路では、第5NPN型バイポーラトランジスタのコレクタが、前記第8抵抗素子より電位が低い位置で接続され、
前記第4PNP型バイポーラトランジスタのベースは、前記第7抵抗素子と、前記第6抵抗素子の間の位置で、前記第4電路と接続され、
前記第6電路では、電位が高い順に、第2PNP型バイポーラトランジスタ、第4抵抗素子が設けられ、
前記第2PNP型バイポーラトランジスタのベースは、前記第1抵抗素子と、前記第2ダイオードの間の位置で、前記第1電路と接続され、
前記第3PNP型バイポーラトランジスタのベースは、前記第9電路の接続点と、前記第10抵抗素子の間の位置で、前記第3電路と接続され、
前記第9電路は、前記第2電路の、前記第2抵抗素子と前記第2電路の他端の間の位置と、前記第3電路の、前記第3抵抗素子と前記第3PNP型バイポーラトランジスタのベースの接続点の間の位置を接続し、また、前記第9電路では、第1ダイオードが設けられ、
前記第8電路では、前記第5NPN型バイポーラトランジスタのエミッタが、前記第4電路の接続点と前記電界効果トランジスタのソースの間の位置で接続され、
前記第6電路には、前記第5NPN型バイポーラトランジスタのベースが、前記第2PNP型バイポーラトランジスタと前記第4抵抗素子の間の位置で接続され、
前記基板では、前記制御回路から伸びた前記第8電路に、一端側にソースを接続し、他端側にドレインを接続することで、電界効果トランジスタが直列に設けられ、
前記制御回路から伸びた前記第5電路が、前記電界効果トランジスタのゲートに接続され、
前記制御回路から伸びた前記第3電路が、前記電界効果トランジスタと前記制御回路から伸びた前記第8電路28の他端の間の位置で、前記第8電路に接続され、
前記基板は、前記交流電力の各相に対応する数を有し、
前記板状の導体は、直流電力の正極、直流電力の負極及び交流電力の各相に対応する数を有し、
前記基板は、前記直流電力の正極に接続された前記板状の導体、前記直流電力の負極に接続された前記板状の導体及び前記交流電力の各相のいずれかに接続された前記板状の導体と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の直流配電システムに用いる整流器の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流配電システムに用いる整流器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、整流用の素子を回路上に配置する構成として、プリント基板がある。
【0003】
例えば、特許文献1では、プリント基板にバスバーとコンデンサ等の回路部品を配置した場合に配置スペースを低減して小型化すると共にバスバーと回路部品の間の配線長を短くして電気的な特性を改善可能とする回路基板接続構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、建屋等で直流配電を行う場合、大量の電流が必要になる。そのため、整流用の基板の全てをプリント基板にするのは、大電流に対応できず、難しい。
【0006】
直流配電に用いる整流用基板として、
図10に示すように、整流回路とブリッジ回路の夫々を基板化し、整流回路基板とブリッジ回路基板間を、基板対基板コネクタ(図示省略)で接続し、ブリッジ回路基板上に複数の整流回路基板をスタッキングする(=積み重ねる)方策1もある。
【0007】
しかし、この方策1を採用した場合、大電流に対応するのが難しく、回路構成も複雑になる。また、大電流に対応するために、高耐圧で大電流に対応可能な、基板対基板コネクタや厚い基板を用いる必要があり、費用がかかる。即ち、整流回路基板に大電流を流すため、基板を厚くする必要があり、また、整流回路基板とブリッジ回路基板を大電流・高耐圧用の基板対基板コネクタを用いて接続する必要がある。
【0008】
また、
図11に示すように、ブリッジ回路の代わりに銅製のバー(=銅製の板状体)を用いて、整流回路と銅製のバー間を電線で接続する方策2もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この方策2を採用した場合、大電流に対応することはできるが、銅製のバーと電線が混在する。また、電線を用いることで、その分、電圧降下が生じる。更に、三相に対応して銅製のバーが設けられるため、銅製のバーが混在してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するものとして、大電流に対応することができ、電圧降下が小さく、回路構成がシンプルな、直流配電システムに用いる整流器の構成を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、
直流配電システムに用いる整流器の構成であって、
当該整流器は、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する整流回路、基板及び板状の導体を備え、
前記基板は、前記交流電力の各相に対応する数を有し、
前記板状の導体は、前記直流電力の正極、前記直流電力の負極及び前記交流電力の各相に対応する数を有し、
前記整流回路は、前記基板上に当該基板と電気的に接続するように設けられ、
前記基板は、前記直流電力の正極に接続された前記板状の導体、前記直流電力の負極に接続された前記板状の導体及び前記交流電力の各相のいずれかに接続された前記板状の導体と電気的に接続されている、直流配電システムに用いる整流器の構成とした。
【0012】
また、請求項2の発明は、
前記基板は、前記交流電力の3相に対応して3枚であって、
前記板状の導体は、前記直流電力の正極、前記直流電力の負極及び前記交流電力の3相に対応して5本であって、
前記基板は、前記直流電力の正極に接続された前記板状の導体、前記直流電力の負極に接続された前記板状の導体及び前記交流電力の3相のいずれかに接続された前記板状の導体と電気的に接続されている、請求項1に記載の直流配電システムに用いる整流器の構成とした。
【0013】
また、請求項3の発明は、
直流配電システムに用いる整流器の構成であって、
当該整流器は、制御回路、基板及び板状の導体を備え、
前記制御回路では、
直流電圧を印加する電源と、
当該電源と各一端が接続された第1電路乃至第5電路と、
前記第2電路の他端と、一端が接続された第6電路及び第7電路と、
前記第1電路、前記第6電路、前記第7電路、前記第4電路及び前記第5電路の各他端が接続された第8電路と、
前記第2電路と、前記第3電路を接続する第9電路を備え、
前記第1電路では、電位が高い順に、第1抵抗素子、第2ダイオードが設けられ、
前記第2電路では、第2抵抗素子が設けられ、
前記第3電路では、電位が高い順に、第3抵抗素子、第10抵抗素子、第3ダイオードが設けられ、
前記第4電路では、電位が高い順に、第7抵抗素子、第6抵抗素子、第1NPN型バイポーラトランジスタが設けられ、
前記第1NPN型バイポーラトランジスタのベースは、第3PNP型バイポーラトランジスタと第5抵抗素子の間の位置で、前記第7電路と接続され、
前記第5電路では、電位が高い順に、第4PNP型バイポーラトランジスタ、第8抵抗素子が設けられ、
前記第5電路では、第5NPN型バイポーラトランジスタのコレクタが、前記第8抵抗素子より電位が低い位置で接続され、
前記第4PNP型バイポーラトランジスタのベースは、前記第7抵抗素子と、前記第6抵抗素子の間の位置で、前記第4電路と接続され、
前記第6電路では、電位が高い順に、第2PNP型バイポーラトランジスタ、第4抵抗素子が設けられ、
前記第2PNP型バイポーラトランジスタのベースは、前記第1抵抗素子と、前記第2ダイオードの間の位置で、前記第1電路と接続され、
前記第3PNP型バイポーラトランジスタのベースは、前記第9電路の接続点と、前記第10抵抗素子の間の位置で、前記第3電路と接続され、
前記第9電路は、前記第2電路の、前記第2抵抗素子と前記第2電路の他端の間の位置と、前記第3電路の、前記第3抵抗素子と前記第3PNP型バイポーラトランジスタのベースの接続点の間の位置を接続し、また、前記第9電路では、第1ダイオードが設けられ、
前記第8電路では、前記第5NPN型バイポーラトランジスタのエミッタが、前記第4電路の接続点と前記電界効果トランジスタのソースの間の位置で接続され、
前記第6電路には、前記第5NPN型バイポーラトランジスタのベースが、前記第2PNP型バイポーラトランジスタと前記第4抵抗素子の間の位置で接続され、
前記基板では、前記制御回路から伸びた前記第8電路に、一端側にソースを接続し、他端側にドレインを接続することで、電界効果トランジスタが直列に設けられ、
前記制御回路から伸びた前記第5電路が、前記電界効果トランジスタのゲートに接続され、
前記制御回路から伸びた前記第3電路が、前記電界効果トランジスタと前記制御回路から伸びた前記第8電路28の他端の間の位置で、前記第8電路に接続され、
前記基板は、前記交流電力の各相に対応する数を有し、
前記板状の導体は、直流電力の正極、直流電力の負極及び交流電力の各相に対応する数を有し、
前記基板は、前記直流電力の正極に接続された前記板状の導体、前記直流電力の負極に接続された前記板状の導体及び前記交流電力の各相のいずれかに接続された前記板状の導体と電気的に接続されている、請求項1に記載の直流配電システムに用いる整流器の構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る直流配電システムに用いる整流器の構成を適用・使用することによって、大電流に対応することができる。また、電線を使用しない構成であるため、電圧降下VFが低減する。更に、板状の導体が混在することなく、シンプルな回路構成となる。
【0015】
また、請求項3に係る整流回路を適用・使用することによって、一般的な整流ダイオードを適用・使用する場合に比べて、電圧降下VFによる電力損失を低減させることができる。そのため、直流電力で動作する種々の装置・回路に対して、一般的に使用されている整流ダイオードを、請求項3に係る整流回路に置き換えることができる。
【0016】
また、直流配電システム内で、ダイオードブリッジとして、請求項3に係る整流回路を適用・使用することができる。
【0017】
更に、ショットキーバリアダイオードを適用・使用する場合には、熱暴走が生じないように、放熱設計を行う必要があったが、請求項3に係る整流回路を適用・使用することによって、放熱設計を行う必要性がなくなり、便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態例1に係る直流配電システムに用いる整流器の構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態例1に係る直流配電システムに用いる整流器の構成を説明する説明図である。
【
図3】本発明の実施の形態例1に係る直流配電システムに用いる整流器の構成を説明する説明図である。
【
図4】他の実施の形態例に係る直流配電システムに用いる整流器の構成図である。
【
図5】本発明の実施の形態例2に係る直流配電システムに用いる整流器の構成を説明する説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態例2に係る直流配電システムに用いる整流器に係る制御回路及び基板上の回路の図である。
【
図7】本発明の実施の形態例2に係る直流配電システムに用いる整流器に係る制御回路及び基板上の回路の動作を説明する説明図である。
【
図8】バイポーラトランジスタをエミッタ接地した際のコレクタ電流に対するコレクタ‐エミッタ間の飽和電圧を示した説明図である。
【
図9】本発明の実施の形態例2に係る直流配電システムに用いる整流器に係る制御回路及び基板上の回路の動作を説明する説明図である。
【
図10】従来の直流配電システムに用いる整流器の構成図である。
【
図11】従来の直流配電システムに用いる整流器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態例1)
まず、本発明の実施の形態例1の直流配電システムに用いる整流器Aの構成を、
図1及び
図2に基づいて説明する。直流配電システムに用いる整流器Aは、交流電力の供給を受け付け、整流することにより、直流電力に変換し、変換後の直流電力を、LED照明等の直流配電用の機器に供給する。
【0020】
<直流配電システムに用いる整流器Aの構成>
図1及び
図2に示すように、直流配電システムに用いる整流器Aは、整流回路1、基板12、板状の導体3を備えている。
【0021】
直流配電システムに用いる整流器Aでは、基板12である、基板121、基板122及び基板123が、夫々長手方向を略水平にして、縦に3枚、略等間隔で配置されている。但し、直流配電システムに用いる整流器Aでは、3相の交流電力の供給を受けるため、各相に対応するべく、3枚の基板12を用いる構成である。そのため、基板12の枚数は、この構成に限定されるものではなく、入力される交流電力の各相に対応する枚数であれば良い。また、各基板12上に、整流回路1が夫々2個設けられている(
図1を参照)。詳しくは、整流回路1が、各基板12の長手方向に間隔を空けて2個設けられている。なお、整流回路1は、入力された交流電力を整流し、直流電力に変換して出力する役割を果たす。例えば、整流回路1では、整流素子としてダイオードを有している。
【0022】
また、直流配電システムに用いる整流器Aでは、板状の導体31~35といった5本の板状の導体3を有している。なお、例えば、板状の導体3は、銅製の板である。銅製の板を用いるのは、導電性が高いからである。板状の導体31~35は、夫々長手方向を略垂直にして、横に5本、略等間隔で、基板12の下に配置されている。即ち、各基板12と各板状の導体3は略直角に交差している。また、直流配電システムに用いる整流器Aでは、直流電力の正極、直流電力の負極、及び交流電力の3相に対応すべく、5本の板状の導体3を用いる構成とした。そのため、板状の導体3の本数は、この構成に限定されるものではなく、直流電力の正極、直流電力の負極、及び交流電力の各相に対応する本数であれば良い。なお、直流配電システムに用いる整流器Aでは、板状の導体3として横幅が狭いものを用いたため、「棒」にも見え、「5本」と棒を数える単位を用いたが、この構成に限定されるものではない。例えば、横幅が広いものを用いて、棒に見えない板状の導体3を用いて、「5枚」と板を数える単位を用いても良い。
【0023】
そして、板状の導体31及び35は、基板12の各端部に夫々配置されている。
図1上では、基板12の左端部に、板状の導体31が配置され、基板12の右端部に、板状の導体35が配置されている。板状の導体31及び35の長手方向の長さは、基板121~123と、各基板12の短手方向の略中央部で、交差できる長さである。また、板状の導体31及び35は、基板121、基板122及び基板123と、導体スペーサ4(
図2を参照)を介して、電気的に接続されている。
【0024】
また、板状の導体32~34は、基板12の略中央部に等間隔で配置されている。
図1上では、基板12の左側から右側に向かって、板状の導体32、板状の導体33、板状の導体34と配置されている。板状の導体32の長手方向の長さは、基板121と、基板121の短手方向の略中央部で、交差できる長さである。また、板状の導体33の長手方向の長さは、基板121及び122と、基板121及び122の短手方向の略中央部で、交差できる長さである。更に、板状の導体34の長手方向の長さは、基板121~123と、基板121~123の短手方向の略中央部で、交差できる長さである。また、板状の導体32は、基板121と、導体スペーサ4を介して、電気的に接続され、板状の導体33は、基板122と、導体スペーサ4を介して、電気的に接続され、板状の導体34は、基板123と、導体スペーサ4を介して、電気的に接続されている。
【0025】
なお、基板12、導体スペーサ4、及び板状の導体3間の電気的な接続については、基板12に「レジスト」(=通常、プリント基板上に塗布することで、絶縁の役割を果たす)を塗布することなく、「半田レベラー」や「金めっき」等の表面処理を行い、
図3に示すように、基板12、導体スペーサ4、板状の導体3をねじ6で留める。このように、基板12、導体スペーサ4、及び板状の導体3をねじ6で留めることによって、基板12と導体スペーサ4、導体スペーサ4と板状の導体3を直接接触させることができ、電圧降下VFを極力低減させた状態で、電気的な接続を行うことができる。一方、基板12と導体スペーサ4を電線で接続した場合には、電線によって余分な電圧降下VFが生じてしまう。
【0026】
また、板状の導体32~34の長手方向の長さは、上記の構成に限定されるものではない。例えば、
図2に示すように、板状の導体32~34の長手方向の長さは、略同一であって、基板121~123と、基板121~123の短手方向の略中央部で、交差できる長さである。
【0027】
そして、板状の導体32は、基板121と、導体スペーサ4を介して、電気的に接続され、また、基板122及び123と、夫々絶縁スペーサ5を介して、電気的に絶縁されている。板状の導体33は、基板122と、導体スペーサ4を介して、電気的に接続され、また、基板121及び123と、夫々絶縁スペーサ5を介して、電気的に絶縁されている。板状の導体34は、基板123と、導体スペーサ4を介して、電気的に接続され、また、基板121及び122と、夫々絶縁スペーサ5を介して、電気的に絶縁されている構成としても良い。
【0028】
以上の通り、基板12は、直流電力の正極に係る板状の導体3、直流電力の負極に係る板状の導体3、及び交流電力の各相のいずれかに係る板状の導体3と電気的に接続されている。
【0029】
また、板状の導体31の一端は、直流電力の正極(プラス極)に接続され、板状の導体35の一端は、直流電力の負極(マイナス極)に接続されている。
【0030】
また、板状の導体32の一端は、交流電力のR相に接続され、板状の導体33の一端は、交流電力のS相に接続され、板状の導体34の一端は、交流電力のT相に接続されている。
【0031】
<直流配電システムに用いる整流器Aの動作>
次に、直流配電システムに用いる整流器Aの動作について説明する。板状の導体32の一端を通じて、R相から出力された交流電力は、基板121に係る整流回路1で整流され、直流電力に変換される。また、板状の導体33の一端を通じて、S相から出力された交流電力は、基板122に係る整流回路1で整流され、直流電力に変換される。更に、板状の導体34の一端を通じて、T相から出力された交流電力は、基板123に係る整流回路1で整流され、直流電力に変換される。
【0032】
このように、直流配電システムに用いる整流器Aを適用・使用することによって、大電流に対応することができる。また、電線を使用しない構成であるため、電圧降下VFが低減する。更に、板状の導体が混在することなく、シンプルな回路構成となる。
【0033】
なお、本実施の形態例1では、R相、S相及びT相の3相の交流電力の入力を受け付ける構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、
図4に示すように、基板121~126といった6枚の基板12と、板状の導体31~38といった8本の板状の導体3を用いて、R相、S相、T相、U相、V相及びW相といった6相の交流電力を受け付け、当該交流電力を直流電力に変換して出力する構成としても良い。
【0034】
(実施の形態例2)
また、本実施の形態例1では、整流素子としてダイオードを有する整流回路1を用いる整流器Aの構成を示したが、この構成に限定されるものではない。整流回路は、入力された交流電力を整流し、直流電力に変換して出力する役割を果たすものではあれば良い。例えば、電界効果トランジスタを備えた基板7と、当該電界効果トランジスタを制御する制御回路基板Fを用いて整流作用を得る構成としても良い。制御回路基板Fは、基板7に設けられた電界効果トランジスタ(後述)を制御する。制御回路基板Fによって電界効果トランジスタを制御することで、あたかもダイオードのような役割を果たし、整流作用を得ることができる。
【0035】
以下では、基板7及び制御回路基板Fを用いて整流作用を得る整流器Bの構成について説明する。整流器Bは、
図5に示すように、制御回路基板F、基板7、板状の導体3(31~35)、導体スペーサ4、絶縁スペーサ5、ねじ6(図示省略)を備えている。なお、板状の導体3、導体スペーサ4、絶縁スペーサ5、ねじ6の構成については、実施の形態例1と同様であるため、説明を省力する。
【0036】
各基板7上に、制御回路基板Fが夫々2個設けられる(
図5では、一番手前の基板7以外は、省略して表示されている)。そして、
図6で示された回路図のうち、点線内の部分が、制御回路基板Fに設けられ、点線外の部分が、基板7に設けられる。また、
図6に示した回路図のように、制御回路基板Fと基板7は、電気的に接続されている。
【0037】
<制御回路基板Fの構成>
図6に示すように、制御回路基板Fでは、直流電圧を印加する電源P1の+(プラス)極に、第10電路30、第1電路21、第2電路22、第3電路23、第4電路24及び第5電路25の各一端が接続されている。なお、本実施の形態例1では、電源P1は、+(プラス)の直流電圧を印加するV
CCであり、例えば20(V)の直流電圧を印加する。
【0038】
第2電路22の他端は、第6電路26及び第7電路27の一端と接続されている。
【0039】
電源P1の-(マイナス)極と、第10電路30、第1電路21、第6電路26、第7電路27、第4電路24及び第5電路25の各他端は、第8電路28に接続されている。
【0040】
第10電路30上には、コンデンサC1が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、コンデンサC1は、静電容量が100μ(F)のものを用いる。制御回路基板Fでは、後述するように、第8電路28上に直列に設けられたFET1のソース側の電位を基準電位とする。しかし、制御回路基板Fを用いて全波整流回路を構成する場合等、このFET1のソース側の電位が電源P1の電圧より上昇してしまうと、電源P1から電源供給ができなくなってしまう。その場合に、このコンデンサC1が設けられていることで、上昇したFET1のソース側の電位を基準にして電源P1分の電荷を放電することができる。
【0041】
第1電路21上には、電源P1に近く電位が高い順に、抵抗R1及びダイオードD2が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、抵抗R1は、抵抗値が100K(Ω)のものを用いる。また、ダイオードD2は、電源P1側にアノード(電流を受け入れる電極)が、逆側にカソード(電流を放出する電極)がくるように配置されている。
【0042】
第2電路22上には、抵抗R2が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、抵抗R2は、抵抗値が2M(Ω)のものを用いる。
【0043】
第2電路22の他端に一端が接続されている第6電路26上には、電源P1に近く電位が高い順に、PNP型バイポーラトランジスタQ2及び抵抗R4が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、PNP型バイポーラトランジスタQ2は、電源P1側にエミッタ(
図6では、「E」と表示)が、逆側にコレクタ(
図6では、「C」と表示)がくるように配置されている。そして、PNP型バイポーラトランジスタQ2のベース(
図6では、「B」と表示)は、抵抗R1とダイオードD2の間の位置で、第1電路21と接続されている。また、抵抗R4は、抵抗値が100K(Ω)のものを用いる。
【0044】
第2電路22の他端に一端が接続されている第7電路27上には、電源P1に近く電位が高い順に、PNP型バイポーラトランジスタQ3及び抵抗R5が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、PNP型バイポーラトランジスタQ3は、電源P1側にエミッタが、逆側にコレクタがくるように配置されている。そして、PNP型バイポーラトランジスタQ3のベースは、第9電路29の接続点と抵抗R10の間の位置で、第3電路23と接続されている。また、抵抗R5は、抵抗値が100K(Ω)のものを用いる。
【0045】
第3電路23上には、電源P1に近く電位が高い順に、抵抗R3、抵抗10及びダイオードD3が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、抵抗R3は、抵抗値が100K(Ω)のものを用い、抵抗R10は、抵抗値が200(Ω)のものを用いる。また、ダイオードD3は、電源P1側にアノード(電流を受け入れる電極)が、逆側にカソード(電流を放出する電極)がくるように配置されている。
【0046】
第4電路24上には、電源P1に近く電位が高い順に、抵抗R7、抵抗R6及びNPN型バイポーラトランジスタQ1が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、抵抗R7及び抵抗R6は、抵抗値が100K(Ω)のものを用いる。また、NPN型バイポーラトランジスタQ1は、電源P1側にコレクタが、逆側にエミッタがくるように配置されている。そして、NPN型バイポーラトランジスタQ1のベースは、PNP型バイポーラトランジスタQ3と抵抗R5の間の位置で、第7電路27と接続されている。
【0047】
なお、抵抗R6が設けられていない場合、NPN型バイポーラトランジスタQ1に値の大きな電流が流れてしまう。一方、抵抗R6が設けられていることで、例えば、20(V)の電圧が印加された場合であっても、「20/100K=0.2m(A)」といった値の小さな電流しか流れないで済む。
【0048】
第5電路25上には、電源P1に近く電位が高い順に、PNP型バイポーラトランジスタQ4、抵抗R8が直列に設けられている。なお、本実施の形態例2では、PNP型バイポーラトランジスタQ4は、電源P1側にエミッタが、逆側にコレクタがくるように配置されている。そして、PNP型バイポーラトランジスタQ4のベースは、抵抗R7と抵抗R6の間の位置で、第4電路24と接続されている。なお、本実施の形態例2では、抵抗R8は、抵抗値が10K(Ω)のものを用いる。
【0049】
なお、万が一、PNP型バイポーラトランジスタQ4及びNPN型バイポーラトランジスタQ5が両方「ON動作」してしまった場合、抵抗R8が設けられていないと、第5電路25に値の大きな電流が流れてしまう。一方、抵抗R8が設けられていることで、例えば、20(V)の電圧が印加された場合であっても、「20/10K=2m(A)」といった値の小さな電流しか流れないで済む。
【0050】
第2電路22上の、抵抗R2と第2電路22の他端の間の位置と、第3電路23上の、抵抗R3とPNP型バイポーラトランジスタQ3のベース接続点の間の位置を接続する第9電路29が設けられている。そして、この第9電路29上に直列にダイオードD1が設けられている。ダイオードD1は、第3電路23側にアノードが、第2電路22側にカソードがくるように配置されている。また、ダイオードD1は、PNP型バイポーラトランジスタQ3のベース‐エミッタ間を保護するため、設定値(例えば、0.6(V))以上の電圧が印加されないようにする役割を果たす。
【0051】
また、NPN型バイポーラトランジスタQ5のコレクタが、抵抗R8より電位が低い位置で、第5電路25と接続されている。NPN型バイポーラトランジスタQ5のエミッタが、第4電路24の接続点と基板7に係るFET1のソースの間の位置で、第8電路28と接続されている。そして、NPN型バイポーラトランジスタQ5のベースは、PNP型バイポーラトランジスタQ2と抵抗R4の間の位置で、第6電路26と接続されている。
【0052】
<基板7の構成>
次に、基板7に係る回路構成について説明する。
図6に示すように、基板7に係る制御回路基板Fから伸びた第8電路28上には、制御回路基板Fに係るNPN型バイポーラトランジスタQ5のエミッタの接続点と、第8電路28の他端の間の位置に、第8電路28の他端側にドレイン(
図6では、「D」と表示)が、第8電路28の一端側にソース(
図6では、「S」と表示)がくるように、電界効果トランジスタであるFET1が直列に配置されている。このように、第8電路28の一端にFET1のソースを接続し、他端にドレインを接続することで、第8電路28の一端がアノード、他端がカソードの役割を果たすようになる。
【0053】
また、基板7に係る制御回路基板Fから伸びた第5電路25が、FET1のゲート(
図6では、「G」と表示)と、制御回路基板Fに係るNPN型バイポーラトランジスタQ5のコレクタの接続点より電位が低い位置で、接続されている。
【0054】
また、基板7に係る制御回路基板Fから伸びた第3電路23の他端は、FET1と第8電路28の他端の間の位置で、第8電路28に接続されている。
【0055】
基板7の上記以外の構成については、上記実施の形態例1に係る基板121等と同様であるため、説明を省略する、
【0056】
<FET1がOFFになる場合の動作の流れ>
次に、本発明の実施の形態例2の整流器Bに係るFET1が「OFF」になる場合の動作の流れを、
図7を用いて、説明する。回路内の電圧について、第8電路28の一端側(FET1のS側)が低く、第8電路28の他端側(FET1のD側)高いとき、FET1のソース側の電圧を基準(基準電位=0(V))とすると、ドレイン側の電圧が高いため、第3電路23上を電流が流れようとするが、ダイオードD3によって阻止される。また、PNP型バイポーラトランジスタQ3のベース側電位は、抵抗R3を介して電源電圧V
CCと同等な電圧値となる。また、PNP型バイポーラトランジスタQ2のベース側電位は、基準電位(S側)と比べてダイオードD2の順方向電圧VF(≒0.6(V))分高くなる。また、PNP型バイポーラトランジスタQ2のベース側電位0.6(V)に対し、トランジスタのPN接合に基づき、PNP型バイポーラトランジスタQ2のエミッタ側の電位の方が順方向電圧VF(≒0.6(V))分高くなる。即ち、PNP型バイポーラトランジスタQ2及びQ3に係る共通エミッタの電位は「0.6+0.6=1.2(V)」となる。共通エミッタの電位1.2(V)に対し、PNP型バイポーラトランジスタQ2のベース電位は0.6(V)、PNP型バイポーラトランジスタQ3のベース電位は20(V)である。電流は電位が高いところから低いところに流れるため、ベース電流はPNP型バイポーラトランジスタQ2に流れ、PNP型バイポーラトランジスタQ3には流れない。従って、PNP型バイポーラトランジスタQ2は「ON動作」、PNP型バイポーラトランジスタQ3は「OFF動作」となる。
【0057】
PNP型バイポーラトランジスタQ2が「ON」すると、NPN型バイポーラトランジスタQ5のベース電位は1.2(V)となる。NPN型バイポーラトランジスタQ5のベース電位は1.2(V)で、エミッタの電位が基準電位の0(V)であり、ベース電位の方が高いため、ベース電流が流れ、NPN型バイポーラトランジスタQ5は、「ON動作」する。NPN型バイポーラトランジスタQ5が「ON動作」することにより、Nチャネル型FET1のゲートに印加される電圧が基準電圧と等しくなり、FET1が「OFF動作」し、回路が遮断される。
【0058】
このように、本発明の実施の形態例2の整流器Bで、FET1の「OFF動作」に関わるのは、NPN型バイポーラトランジスタQ5である。
図8に示すように、バイポーラトランジスタをエミッタ接地した際のコレクタ‐エミッタ間の電圧降下VFは、極めて少ない。従って、FET1のゲート電圧が、ほぼ0(V)の状態で、「OFF動作」し、第8電路28の一端と他端に接続された交流電源を遮断することができる。従って、電流が逆流する心配もなく、高電圧の遮断も確実に行うことができる。
【0059】
なお、NPN型バイポーラトランジスタQ1のベース電位は抵抗R5を介し、基準電位(=0)と接続している。よって、PNP型バイポーラトランジスタQ3の「OFF動作」により、NPN型バイポーラトランジスタQ1は安定的に「OFF動作」となる。即ち、抵抗R5は、回路OFF時に、NPN型バイポーラトランジスタQ1のベース電位を基準電位(=0(V))に固定するためのプルダウン抵抗の役割を果たす。また、PNP型バイポーラトランジスタQ4は、NPN型バイポーラトランジスタQ1の「OFF動作」により、ベース電流が流れないため、「OFF動作」をする。PNP型バイポーラトランジスタQ4のベース電位は抵抗R7を介し電源電圧VCCに接続されている。よって、PNP型バイポーラトランジスタQ4は、安定的に動作する。即ち、抵抗R7は、PNP型バイポーラトランジスタQ4のベース電位を電源電圧VCCに保っておくためのプルアップ抵抗の役割を果たす。
【0060】
<FET1がONになる場合の動作の流れ>
次に、本発明の実施の形態例2の整流器Bに係るFET1が「ON」になる場合の動作の流れを、
図9を用いて、説明する。回路内の電圧について、第8電路28の一端側(FET1のS側)が高く、第8電路28の他端側(FET1のD側)低いとき、FET1のソース側の電圧を基準(基準電位=0(ゼロ))とすると、ドレイン側の電圧が低いため、第3電路23上を電流が流れる。PNP型バイポーラトランジスタQ2のベース側電位は、基準電位(S側)と比べてダイオードD2の順方向電圧VF(≒0.6(V))分高くなる。また、PNP型バイポーラトランジスタQ2のベース側電位0.6(V)に対し、トランジスタのPN接合に基づき、エミッタ側の電位の方が順方向電圧VF(≒0.6(V))分高くなる。即ち、PNP型バイポーラトランジスタQ2及びQ3に係る共通エミッタの電位は「0.6+0.6=1.2(V)」となる。また、PNP型バイポーラトランジスタQ3のベース側電位は、FET1のドレイン側からダイオードD3の電圧降下分0.6(V)、抵抗R10の電圧降下分の0.04(V)により、合計0.64(V)となる。なお、抵抗R10の電圧降下について、詳しく説明する。第3電路23上に20(V)の電圧を印加すると、抵抗R3の抵抗値は、100K(Ω)であるため、オームの法則により、抵抗R3では、0.2m(A)の電流が流れる。0.2m(A)の電流が、抵抗値が200(Ω)の抵抗R10を流れる場合には、オームの法則により、0.04(V)の電圧降下が生じる。即ち、第1電路21に生じる電圧降下0.6(V)と第3電路23に生じる電圧降下0.64(V)の差分0.04(V)が、差動増幅の入力となり、FET1の両端は、0.04(V)に維持される。そして、共通エミッタの電位1.2(V)に対し、PNP型バイポーラトランジスタQ2のベース電位は0.6(V)であり、PNP型バイポーラトランジスタQ3のベース電位は0.64(V)であるため、PNP型バイポーラトランジスタQ2は「OFF動作」し、PNP型バイポーラトランジスタQ3は「ON動作」する。電流は、電位が高いところから電位が低いところに流れるが、その落差が小さい方に流れるからである。PNP型バイポーラトランジスタQ3が「ON動作」すると、NPN型バイポーラトランジスタQ1のベース電位は、PNP型バイポーラトランジスタQ2及びQ3に係る共通エミッタの電位と同じく、1.2(V)となる。NPN型バイポーラトランジスタQ1のベース電位が1.2(V)で、エミッタの電位が基準電位の0Vで、ベース電位の方が高いため、ベース電流が流れ、NPN型バイポーラトランジスタQ1は、「ON動作」する。NPN型バイポーラトランジスタQ1が「ON動作」することにより、抵抗R6を介してPNP型バイポーラトランジスタQ4のベースに電流が流れる。ベースに電流が流れるため、PNP型バイポーラトランジスタQ4は「ON動作」し、PNP型バイポーラトランジスタQ4のエミッタ電位が、抵抗R8を介してFET1のゲートに印可され、FET1が「ON動作」する。
【0061】
このように、本実施の形態例2に係る整流器Bでは、抵抗R10によって、FET1がON動作時の順方向電圧VFを生成する構成である。即ち、抵抗R10の電圧降下分によって、FET1のON動作時の順方向電圧VFを生成し、FET1の両端の電位差を生じさせる構成である。ダイオードの両端に流す電流値に差を設け、発生するVFの差をFETの順方向電圧VFとするといったダイオードの特性を利用する従来技術と比べて、固定抵抗によって、自由にFET1用の順方向電圧VFを生成することができるため、便宜である。
【0062】
また、第8電路28の一端を整流用ダイオードの「アノード」、第8電路28の他端を「カソード」として、使用することで、「整流回路」として使用することができる。即ち、第8電路28の一端で、交流電力の入力を受け付け、制御回路基板Fと、基板7に係るFET1で入力された交流電力を整流し、直流電力に変換して、変換後の直流電力を、第8電路28の他端から出力する。
【0063】
なお、NPN型バイポーラトランジスタQ5のベース電位は抵抗R4を介し、基準電位(=0(V))と接続している。よって、PNP型バイポーラトランジスタQ2の「OFF動作」により、NPN型バイポーラトランジスタQ5は安定的に「OFF動作」となる。即ち、抵抗R4は、回路OFF時に、NPN型バイポーラトランジスタQ5のベース電位を基準電位(=0(V))に固定するためのプルダウン抵抗の役割を果たす。
【0064】
なお、本実施の形態例2に係る整流器Bでは、上述したように、制御回路基板Fは、基板7に係るFET1を制御する役割を果たし、大電流は基板7に流れ、導体31~35が、ブリッジ回路の役割を兼ねている。そのため、制御回路基板Fと基板7の接続には、少電圧少電流用の通常の基板対基板コネクタを用いることができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施の形態例について述べたが、本発明に係る直流配電システムに用いる整流器は上述した実施の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0066】
A:整流器、B:整流器、F:制御回路基板、
1:整流回路、
12:基板、121:基板、122:基板、123:基板、124:基板、125:基板、126:基板、
3:板状の導体、31:板状の導体、32:板状の導体、33:板状の導体、34:板状の導体、35:板状の導体、36:板状の導体、37:板状の導体、38:板状の導体、
4:導体スペーサ、
5:絶縁スペーサ、
6:ねじ、
7:基板、
21:第1電路、22:第2電路、23:第3電路、24:第4電路、25:第5電路、26:第6電路、27:第7電路、28:第8電路、29:第9電路、30:第10電路、
P1:電源、
C1:コンデンサ、
R1~R8:抵抗、R10:抵抗
D1~D3:ダイオード、
Q1:NPN型バイポーラトランジスタ、
Q2~Q4:PNP型バイポーラトランジスタ、
Q5:NPN型バイポーラトランジスタ、
FET1:電界効果トランジスタ