(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080886
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】経路規制部材およびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240610BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H02G3/04 037
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194220
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】木下 博仁
【テーマコード(参考)】
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DG04
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】連結状態を好適に維持できる経路規制部材およびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】経路規制部材20は、電線部材11を保持するとともに屈曲部30Rを有する筒状の保持部31と、連結部40とを有する屈曲部品30Aを備える。経路規制部材20は、電線部材11を保持するとともに屈曲部30Rを有する筒状の保持部31と、電線部材11の曲げ反力を利用して屈曲部品30Aの連結部40に連結される連結部50とを有する屈曲部品30Bを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、
前記電線部材を保持するとともに第1屈曲部を有する筒状の第1保持部と、第1連結部とを有する第1屈曲部品と、
前記電線部材を保持するとともに第2屈曲部を有する筒状の第2保持部と、前記電線部材の曲げ反力を利用して前記第1連結部に連結される第2連結部とを有する第2屈曲部品と、を備える、経路規制部材。
【請求項2】
前記第1連結部は、前記第1屈曲部の曲げ外側に設けられており、
前記第2連結部は、前記第2屈曲部の曲げ外側に設けられている、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記第1保持部の軸方向の端面から前記第1保持部の径方向外側に延びるように形成された第1接触面を有し、
前記第2連結部は、前記第2保持部の軸方向の端面から前記第2保持部の径方向外側に延びるように形成されるとともに、前記第1接触面と接触する第2接触面を有し、
前記第1連結部と前記第2連結部とは、前記電線部材の曲げ反力により、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触されるように連結される、請求項2に記載の経路規制部材。
【請求項4】
前記第1連結部は、前記第1接触面から凹むように設けられた凹部を有し、
前記第2連結部は、前記第2接触面から前記凹部に向かって突出するとともに、前記凹部に嵌合される凸部を有し、
前記凸部は、前記第1保持部の軸方向と直交する方向において前記凹部の内面と係合する、請求項3に記載の経路規制部材。
【請求項5】
前記凸部の先端部は、前記凸部の突出方向と交差する方向に突出する係合凸部を有し、
前記凹部の奥端部は、前記係合凸部が嵌合される係合凹部を有し、
前記係合凸部は、前記凹部に対する前記凸部の嵌合方向において前記係合凹部の内面と係合する、請求項4に記載の経路規制部材。
【請求項6】
前記第1屈曲部品は、前記第1屈曲部の曲げ内側に設けられた第3連結部を有し、
前記第2屈曲部品は、前記第2屈曲部の曲げ内側に設けられるとともに、前記第3連結部に連結される第4連結部を有し、
前記第3連結部は、前記第1保持部の軸方向と交差する方向に延びる支持軸を有し、
前記第4連結部は、前記支持軸を把持するとともに、前記支持軸を回転軸として前記第3連結部に対して相対回転可能に連結される把持部を有する、請求項1に記載の経路規制部材。
【請求項7】
前記第3連結部は、前記第1保持部の軸方向の端面に設けられた切欠部を有し、
前記切欠部は、前記第1保持部の周方向の中間部に設けられており、
前記支持軸は、前記切欠部の内部に設けられている、請求項6に記載の経路規制部材。
【請求項8】
前記支持軸は、前記第1保持部とは別部品である、請求項7に記載の経路規制部材。
【請求項9】
前記第1保持部は、底壁と、前記底壁の両側縁から突出する第1側壁および第2側壁とを有し、
前記第1屈曲部品は、前記第1屈曲部品の軸方向における第1端部および第2端部を有し、
前記第1屈曲部品は、前記第1側壁における前記第1端部に設けられた前記第1連結部と、前記第2側壁における前記第1端部に設けられた前記第3連結部と、前記第1側壁における前記第2端部に設けられた第5連結部と、前記第2側壁における前記第2端部に設けられた第6連結部と、を備え、
前記第5連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、
前記第6連結部は、前記第4連結部と同一の構造を有する、請求項6に記載の経路規制部材。
【請求項10】
前記第2屈曲部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有する、請求項9に記載の経路規制部材。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の経路規制部材と、
前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路規制部材およびワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両の内部に配索されるワイヤハーネスとしては、電線部材と、その電線部材の経路を規制する経路規制部材とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。経路規制部材は、例えば、電線部材の配索経路における屈曲部に設けられる。そして、経路規制部材によって、電線部材における屈曲部の屈曲形状が維持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ワイヤハーネスにおいて、複数の規制部品が連結されることによって1つの経路規制部材が構成される場合がある。この場合には、複数の規制部品同士の連結状態を維持することが望まれる。
【0005】
本開示の目的は、連結状態を好適に維持できる経路規制部材およびワイヤハーネスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、前記電線部材を保持するとともに第1屈曲部を有する筒状の第1保持部と、第1連結部とを有する第1屈曲部品と、前記電線部材を保持するとともに第2屈曲部を有する筒状の第2保持部と、前記電線部材の曲げ反力を利用して前記第1連結部に連結される第2連結部とを有する第2屈曲部品と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスによれば、連結状態を好適に維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の経路規制部材を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の屈曲部品を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態の経路規制部材を示す断面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態の経路規制部材の組付方法を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、一実施形態の経路規制部材の組付方法を示す平面図である。
【
図10】
図10は、変更例の経路規制部材を示す平面図である。
【
図11】
図11は、変更例の経路規制部材を示す分解斜視図である。
【
図13】
図13は、変更例の屈曲部品を示す分解斜視図である。
【
図14】
図14は、変更例の経路規制部材を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、変更例のワイヤハーネスを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の経路規制部材は、電線部材の経路を規制する経路規制部材であって、前記電線部材を保持するとともに第1屈曲部を有する筒状の第1保持部と、第1連結部とを有する第1屈曲部品と、前記電線部材を保持するとともに第2屈曲部を有する筒状の第2保持部と、前記電線部材の曲げ反力を利用して前記第1連結部に連結される第2連結部とを有する第2屈曲部品と、を備える。
【0010】
この構成によれば、第1屈曲部品の第1連結部と第2屈曲部品の第2連結部とが電線部材の曲げ反力を利用して互いに連結されることにより、第1屈曲部品と第2屈曲部品とが互いに連結される。これにより、第1屈曲部品および第2屈曲部品を直接連結することができ、これら第1屈曲部品および第2屈曲部品を組み合わせることによって1つの経路規制部材を構成することができる。
【0011】
ところで、複数の規制部品が連結されることによって1つの経路規制部材が構成される場合には、通常、電線部材の曲げ反力が複数の規制部品の連結状態を解除させるように作用する。これに対し、上記構成では、電線部材の曲げ反力を利用して第1連結部と第2連結部とを連結させるようにし、電線部材の曲げ反力を利用して第1屈曲部品と第2屈曲部品とを連結させるようにした。このため、第1連結部と第2連結部との連結状態、および第1屈曲部品と第2屈曲部品との連結状態が電線部材の曲げ反力に起因して解除されることを好適に抑制できる。これにより、電線部材の曲げ反力が経路規制部材に加わる場合であっても、第1屈曲部品と第2屈曲部品との連結状態を好適に維持することができる。
【0012】
[2]上記[1]において、前記第1連結部は、前記第1屈曲部の曲げ外側に設けられており、前記第2連結部は、前記第2屈曲部の曲げ外側に設けられていてもよい。
この構成によれば、電線部材の曲げ反力が作用する第1屈曲部の曲げ外側に第1連結部を設けることができるとともに、電線部材の曲げ反力が作用する第2屈曲部の曲げ外側に第2連結部を設けることができる。
【0013】
[3]上記[2]において、前記第1連結部は、前記第1保持部の軸方向の端面から前記第1保持部の径方向外側に延びるように形成された第1接触面を有し、前記第2連結部は、前記第2保持部の軸方向の端面から前記第2保持部の径方向外側に延びるように形成されるとともに、前記第1接触面と接触する第2接触面を有し、前記第1連結部と前記第2連結部とは、前記電線部材の曲げ反力により、前記第1接触面と前記第2接触面とが互いに接触されるように連結されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、第1連結部の第1接触面と第2連結部の第2接触面とが電線部材の曲げ反力によって互いに接触される。換言すると、電線部材の曲げ反力により、第1接触面と第2接触面とを互いに接近させる力が経路規制部材に付与される。このとき、第1接触面が第1保持部の径方向外側に広がるように形成されており、第2接触面が第2保持部の径方向外側に広がるように形成されている。このため、第1保持部の軸方向の端面と第2保持部の軸方向の端面同士のみで接触する場合に比べて、第1屈曲部品と第2屈曲部品との接触面積を大きくできる。これにより、電線部材の曲げ反力によって経路規制部材に付与される荷重を、第1接触面および第2接触面にも好適に分散させることができる。この結果、第1屈曲部品の一部および第2屈曲部品の一部に応力が集中することを好適に抑制でき、応力集中に起因して第1屈曲部品および第2屈曲部品が損傷することを好適に抑制できる。
【0015】
[4]上記[3]において、前記第1連結部は、前記第1接触面から凹むように設けられた凹部を有し、前記第2連結部は、前記第2接触面から前記凹部に向かって突出するとともに、前記凹部に嵌合される凸部を有し、前記凸部は、前記第1保持部の軸方向と直交する方向において前記凹部の内面と係合してもよい。
【0016】
この構成によれば、第1連結部の第1接触面と第2連結部の第2接触面とが互いに接触される際に、第2連結部の凸部が第1保持部の軸方向と直交する方向において第1連結部の凹部の内面と係合するように凹部に嵌合される。これら凸部と凹部の内面との係合により、第1保持部の軸方向と直交する方向において第1屈曲部品に対して第2屈曲部品が相対移動することを抑制できる。
【0017】
[5]上記[4]において、前記凸部の先端部は、前記凸部の突出方向と交差する方向に突出する係合凸部を有し、前記凹部の奥端部は、前記係合凸部が嵌合される係合凹部を有し、前記係合凸部は、前記凹部に対する前記凸部の嵌合方向において前記係合凹部の内面と係合してもよい。
【0018】
この構成によれば、凸部の先端部に設けられた係合凸部が、凸部の嵌合方向において係合凹部の内面に係合される。これにより、凹部から凸部が抜けることを好適に抑制できる。
【0019】
[6]上記[1]から[5]のいずれかにおいて、前記第1屈曲部品は、前記第1屈曲部の曲げ内側に設けられた第3連結部を有し、前記第2屈曲部品は、前記第2屈曲部の曲げ内側に設けられるとともに、前記第3連結部に連結される第4連結部を有し、前記第3連結部は、前記第1保持部の軸方向と交差する方向に延びる支持軸を有し、前記第4連結部は、前記支持軸を把持するとともに、前記支持軸を回転軸として前記第3連結部に対して相対回転可能に連結される把持部を有してもよい。
【0020】
この構成によれば、第4連結部の把持部が第3連結部の支持軸を把持した状態で、支持軸を回転軸として第3連結部に対して第4連結部を相対回転させることができる。これにより、把持部が支持軸を把持した状態で、支持軸を回転軸として第1屈曲部品に対して第2屈曲部品を相対回転させることができる。このため、第1屈曲部品に対する第2屈曲部品の相対回転を第3連結部および第4連結部によって支持することができる。したがって、第1屈曲部品に対して、特定の軌道に沿って第2屈曲部品を相対回転させることができる。
【0021】
[7]上記[6]において、前記第3連結部は、前記第1保持部の軸方向の端面に設けられた切欠部を有し、前記切欠部は、前記第1保持部の周方向の中間部に設けられており、前記支持軸は、前記切欠部の内部に設けられていてもよい。
【0022】
この構成によれば、第1保持部の周方向の中間部に設けられた切欠部の内部に支持軸が設けられる。このため、支持軸を、その支持軸が延びる方向、つまり第1保持部の軸方向と交差する方向における両側から切欠部を構成する第1保持部によって支持することができる。これにより、第1保持部により支持軸が片持ち状に支持される場合に比べて、支持軸の強度を向上させることができる。
【0023】
[8]上記[7]において、前記支持軸は、前記第1保持部とは別部品であってもよい。
この構成によれば、第1保持部と支持軸とを異なる材料により構成することができる。このため、第1保持部および支持軸の材料選択の自由度を向上させることができる。例えば、支持軸を第1保持部よりも硬質に形成することにより、支持軸の強度を向上させることができる。
【0024】
[9]上記[6]から[8]のいずれかにおいて、前記第1保持部は、底壁と、前記底壁の両側縁から突出する第1側壁および第2側壁とを有し、前記第1屈曲部品は、前記第1屈曲部品の軸方向における第1端部および第2端部を有し、前記第1屈曲部品は、前記第1側壁における前記第1端部に設けられた前記第1連結部と、前記第2側壁における前記第1端部に設けられた前記第3連結部と、前記第1側壁における前記第2端部に設けられた第5連結部と、前記第2側壁における前記第2端部に設けられた第6連結部と、を備え、前記第5連結部は、前記第2連結部と同一の構造を有し、前記第6連結部は、前記第4連結部と同一の構造を有してもよい。
【0025】
この構成によれば、第1屈曲部品の第1端部には、第2屈曲部品の第2連結部に連結される第1連結部が設けられるとともに、第2屈曲部品の第4連結部に連結される第3連結部が設けられる。また、第1屈曲部品の第2端部には、第2屈曲部品の第2連結部と同一の構造を有する第5連結部が設けられるとともに、第2屈曲部品の第4連結部と同一の構造を有する第6連結部が設けられる。このため、第1屈曲部品の第2端部には、別の第1屈曲部品を連結させることができる。これにより、直接連結する第1屈曲部品および第2屈曲部品の個数を容易に変更することができる。この結果、経路規制部材における曲げ角度を容易に変更することができる。
【0026】
[10]上記[9]において、前記第2屈曲部品は、前記第1屈曲部品と同一の構造を有してもよい。
この構成によれば、互いに同一の構造を有する2つの第1屈曲部品と第2屈曲部品とが直接連結される。これにより、第1屈曲部品を単独で使用する場合に比べて、経路規制部材の曲げ角度を変更することができる。このように、同一構成の第1屈曲部品および第2屈曲部品を連結する数を調整することにより、経路規制部材の曲げ角度を容易に変更することができる。この結果、第1屈曲部品および第2屈曲部品の汎用性を向上させることができ、ひいては経路規制部材の汎用性を向上させることができる。
【0027】
[11]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[10]のいずれかに記載の経路規制部材と、前記経路規制部材により経路が規制される前記電線部材と、を備える。
この構成によれば、上記[1]の経路規制部材と同様の効果を得ることができる。
【0028】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の経路規制部材およびワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」、「平行」や「全長」は、厳密に直交、平行や全長の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交、平行や全長の場合も含まれる。本明細書において「同一」または「等しい」とは、正確に同一または正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状やU字状のように周方向の一部に切り欠き等を有するものも含む。なお、「筒状」の形状には、円形、楕円形、および尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書における「対向」とは、面同士または部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。また、一部の図面には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0029】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両Vに搭載されるものである。ワイヤハーネス10は、2個以上の電気機器同士を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前部に設置されたインバータM1と、そのインバータM1よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリM2とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ワイヤハーネス10の軸方向(長さ方向)の中間部分が車両Vの床下等の車室外を通るように車両Vに配索されている。インバータM1は、例えば、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータと接続される。インバータM1は、高圧バッテリM2の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリM2は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0030】
ワイヤハーネス10は、電線部材11を備えている。電線部材11は、1本以上の電線12と、電線12の外周を囲う筒状の外装部材13とを備えている。電線12の長さ方向の第1端部はインバータM1と接続されるとともに、電線12の長さ方向の第2端部は高圧バッテリM2と接続されている。
【0031】
電線12は、例えば、導体断面積が大きい太物電線である。ここで、本明細書における「太物電線」とは、導体断面積が10mm2(所謂10sq)以上の電線である。外装部材13は、例えば、全体として長尺の筒状をなしている。外装部材13は、例えば、飛翔物や水滴から内部の電線12を保護する機能を有している。外装部材13は、例えば、可撓性を有し、容易に屈曲可能である。可撓性を有する外装部材13の例としては、合成樹脂製のコルゲートチューブやゴム製の防水カバーが挙げられる。
【0032】
図2に示すように、電線部材11は、例えば、車両Vに搭載された状態において、二次元的または三次元的に屈曲されている。本実施形態の電線部材11は、X軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Aと、直線部14Aの端部に設けられた屈曲部15Aと、屈曲部15AからY軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Bとを有している。本実施形態の電線部材11は、直線部14Bの端部に設けられた屈曲部15Bと、屈曲部15BからX軸方向に沿って直線状に延びる直線部14Cとを有している。このように、電線部材11は、複数(ここでは、2つ)の屈曲部15A,15Bを有している。
【0033】
屈曲部15Aは、例えば、電線部材11の経路を曲げ角度θ1で屈曲させるように形成されている。ここで、曲げ角度θ1は、直線部14Aの中心軸線L1と直線部14Bの中心軸線L2とがなす角度である。屈曲部15Aは、曲げ角度θ1が90°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Aは、例えば、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を図中左方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Aは、直線部14Aの中心軸線L1に対して電線部材11の経路を90°の曲げ角度θ1で左曲げするように形成されている。
【0034】
屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2と直線部14Cの中心軸線L3とがなす曲げ角度θ2が90°になるように電線部材11の経路を屈曲させている。屈曲部15Bは、例えば、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を図中右方向に曲げるように形成されている。すなわち、屈曲部15Bは、直線部14Bの中心軸線L2に対して電線部材11の経路を90°の曲げ角度θ2で右曲げするように形成されている。
【0035】
ワイヤハーネス10は、電線部材11の経路を規制する1つ以上の経路規制部材20を備えている。経路規制部材20は、電線部材11の外周に取り付けられている。経路規制部材20は、電線部材11における複数の屈曲部15A,15Bの少なくとも1つに設けられ、当該屈曲部15A,15Bにおける電線部材11の屈曲形状を維持する。本実施形態のワイヤハーネス10は、2つの経路規制部材20A,20Bを備えている。2つの経路規制部材20A,20Bは、2つの屈曲部15A,15Bにそれぞれ対応して設けられている。
【0036】
(経路規制部材20A,20Bの構成)
複数の経路規制部材20A,20Bは、例えば、電線部材11の長さ方向において互いに離れて設けられている。経路規制部材20A,20Bの各々は、例えば、複数の屈曲部品30を備えている。経路規制部材20A,20Bは、例えば、対応する屈曲部15A,15Bの屈曲形状に合わせて、屈曲部品30の個数や配置方向等が異なるように設定されている。
【0037】
(経路規制部材20Aの構成)
図3および
図4に示すように、経路規制部材20Aは、電線部材11の長さ方向に沿って、2つの屈曲部品30が並ぶように構成されている。以下の説明では、便宜上、2つの屈曲部品30のうち直線部14Bに近い位置に設けられた屈曲部品30を「屈曲部品30A」と称し、直線部14Aに近い位置に設けられた屈曲部品30を「屈曲部品30B」と称する場合がある。屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとは、電線部材11の曲げ反力F1(
図9参照)を利用して互いに連結されている。屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとは、電線部材11の曲げ反力F1を利用して、互いの位置関係が維持されるように連結されている。ここで、電線部材11の曲げ反力F1とは、電線部材11が屈曲部15Aのように曲げられた後に、元の直線状態に戻ろうとする力である。なお、屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとは、例えば、電線部材11の曲げ反力F1が加わっていない状態では、互いの連結状態を容易に解除できるように構成されている。
【0038】
屈曲部品30A,30Bの各々は、外装部材13を保持する。外装部材13は、例えば、屈曲部品30A,30Bが取り付けられていない状態よりも曲がり難くなっている。屈曲部品30A,30Bは、例えば、金属製または樹脂製である。本実施形態の屈曲部品30A,30Bは、樹脂製である。屈曲部品30A,30Bの材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール等の合成樹脂を用いることができる。屈曲部品30Aの材料と屈曲部品30Bの材料とは、互いに異なる材料であってもよいし、互いに同一の材料であってもよい。
【0039】
屈曲部品30A,30Bは、例えば、電線部材11の経路のうち屈曲部15Aにおいて、外装部材13の外周に取り付けられている。屈曲部品30A,30Bは、屈曲部15Aにおける電線部材11の経路を規制する。
【0040】
(屈曲部品30A,30Bの構成)
次に、屈曲部品30A,30Bの具体的構造について説明する。なお、屈曲部品30A,30Bは互いに同一の構造を有しているため、同様の構成には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0041】
図3に示すように、屈曲部品30Aは、電線部材11を保持するとともに屈曲部30R(第1屈曲部)を有する筒状の保持部31(第1保持部)を備えている。屈曲部品30Aは、連結部40(第1連結部)と、連結部50(第5連結部)と、連結部60(第3連結部)と、連結部70(第6連結部)とを備えている。屈曲部品30Bは、電線部材11を保持するとともに屈曲部30R(第2屈曲部)を有する筒状の保持部31(第2保持部)を備えている。屈曲部品30Bは、連結部40と、連結部50(第2連結部)と、連結部60と、連結部70(第4連結部)とを備えている。
【0042】
図4に示すように、保持部31は、外装部材13の周方向の一部において外装部材13の外周を被覆する筒状をなしている。保持部31の横断面形状は、全体としてU字状をなしている。
図3に示すように、保持部31は、所定の曲げ角度θで屈曲する屈曲部30Rを有する屈曲形状に形成されている。本実施形態の屈曲部30Rにおける曲げ角度θは、45°に設定されている。筒状をなす保持部31の軸方向は、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。
【0043】
保持部31は、例えば、底壁32と、底壁32の両側縁から突出する2つの側壁33,34とを有している。底壁32は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、所定の曲げ角度θで屈曲するように延びている。底壁32は、例えば、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。
図4に示すように、底壁32の横断面形状は、例えば、円弧状に形成されている。
【0044】
各側壁33,34は、底壁32と連続して一体に形成されている。各側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向の両端縁のそれぞれからZ軸方向に向かって突出している。2つの側壁33,34は、例えば、底壁32の幅方向において互いに対向している。各側壁33,34は、例えば、板状に形成されている。各側壁33.34の横断面形状は、Z軸方向に沿って直線状に延びる矩形状に形成されている。
【0045】
図3に示すように、側壁33は、底壁32の幅方向の両端縁のうち屈曲部30Rの曲げ外側に設けられている。側壁34は、底壁32の幅方向の両端縁のうち屈曲部30Rの曲げ内側に設けられている。側壁33,34の内周面および外周面は、Z軸方向から見た平面視において、円弧状に湾曲するように形成されている。各側壁33,34は、例えば、保持部31の軸方向の全長にわたって延びている。保持部31の軸方向に沿う側壁33の長さ寸法は、保持部31の軸方向に沿う側壁34の長さ寸法よりも大きい。
【0046】
図5に示すように、屈曲部品30Aは、屈曲部品30Aの軸方向と直交する方向に開口する挿入口35を有している。挿入口35は、側壁33の上端と側壁34の上端との間の間隙によって構成されている。挿入口35は、例えば、屈曲部品30Aの軸方向に沿って屈曲部品30Aの軸方向の全長にわたって延びている。すなわち、挿入口35は、屈曲部品30Aの軸方向と直交する方向に開口するとともに、屈曲部品30Aの軸方向の両端に開口するように形成されている。
【0047】
屈曲部品30Aは、屈曲部品30Aの軸方向における端部36および端部37を有している。端部36は、例えば、屈曲部品30Bと対向する端部である。端部37は、屈曲部品30Aの軸方向において端部36と反対側に設けられた端部である。
【0048】
図5および
図6に示すように、連結部40は、側壁33における端部36に設けられている。連結部50は、側壁33における端部37に設けられている。連結部60は、側壁34における端部36に設けられている。連結部70は、側壁34における端部37に設けられている。屈曲部品30Aの端部36では、側壁33に連結部40が設けられるとともに、側壁34に連結部60が設けられている。
図4に示すように、屈曲部品30Aの連結部40は、屈曲部品30Bの連結部50と連結されている。屈曲部品30Bの連結部50は、電線部材11の曲げ反力F1(
図9参照)を利用して、屈曲部品30Aの連結部40に連結されている。屈曲部品30Aの連結部60は、屈曲部品30Bの連結部70と連結されている。
【0049】
次に、連結部40の具体的構造について説明する。ここでは、屈曲部品30Aの連結部40を主に参照して説明する。
図6に示すように、連結部40は、端部36における側壁33の外周面に設けられている。すなわち、連結部40は、屈曲部30Rの曲げ外側に設けられている。
【0050】
連結部40は、端部36における側壁33の外周面から保持部31の径方向外側に突出する第1突出部41を有している。第1突出部41は、例えば、側壁33の外周面のみに設けられている。換言すると、第1突出部41は、底壁32の外周面には設けられていない。
図5に示すように、第1突出部41は、第1接触面42を有している。第1接触面42は、端部36における側壁33の軸方向の端面から保持部31の径方向外側に延びるように形成されている。第1接触面42は、例えば、側壁33の高さ方向に沿って延びている。第1接触面42は、端部36における側壁33の軸方向の端面と連続して一体に形成されている。第1接触面42は、端部36における側壁33の軸方向の端面と面一に形成されている。第1接触面42は、屈曲部品30Bと対向するように設けられている。
【0051】
図3に示すように、第1突出部41は、第1接触面42から保持部31の軸方向に沿って端部37に向かって延びている。第1突出部41は、保持部31の軸方向において、側壁33の中間部分まで延びている。第1突出部41は、例えば、第1接触面42から端部37に向かうに連れて側壁33の外周面からの突出量が小さくなるように形成されている。換言すると、第1突出部41では、側壁33の外周面からの突出量が第1接触面42において最も大きくなる。第1突出部41は、Z軸方向から見た平面形状が三角形状に形成されている。
【0052】
図7に示すように、連結部40は、第1接触面42から端部37に向かって凹む凹部43を有している。凹部43は、第1接触面42から第1突出部41の長さ方向の中途部分まで延びている。凹部43は、例えば、第1接触面42から凹部43の底部に向かうに連れて開口幅が小さくなるように形成されている。凹部43は、例えば、Z軸方向から見た平面形状が三角形状に形成されている。
【0053】
図5に示すように、凹部43は、第1接触面42の高さ方向(ここでは、Z軸方向)の中間部分に設けられている。凹部43は、第1接触面42の高さ方向の中央部分に設けられている。凹部43は、Z軸方向に沿って延びている。
【0054】
次に、連結部50の具体的構造について説明する。ここでは、屈曲部品30Aの連結部50を主に参照して説明する。
連結部50は、端部37における側壁33の外周面に設けられている。すなわち、連結部50は、屈曲部30Rの曲げ外側に設けられている。
【0055】
図6に示すように、連結部50は、端部37における側壁33の外周面から保持部31の径方向外側に突出する第2突出部51を有している。第2突出部51は、例えば、側壁33の外周面のみに設けられている。換言すると、第2突出部51は、底壁32の外周面には設けられていない。第2突出部51は、第2接触面52を有している。第2接触面52は、端部37における側壁33の軸方向の端面から保持部31の径方向外側に延びるように形成されている。第2接触面52は、例えば、側壁33の高さ方向に沿って延びている。第2接触面52は、端部37における側壁33の軸方向の端面と連続して一体に形成されている。第2接触面52は、端部37における側壁33の軸方向の端面と面一に形成されている。
図5に示すように、屈曲部品30Bの第2接触面52は、屈曲部品30Aの第1接触面42と対向するように設けられている。屈曲部品30Bの第2接触面52は、電線部材11の曲げ反力F1(
図9参照)によって屈曲部品30Aの第1接触面42と接触するように設けられている。
【0056】
図3に示すように、第2突出部51は、第2接触面52から保持部31の軸方向に沿って端部36に向かって延びている。第2突出部51は、保持部31の軸方向において、側壁33の中間部分まで延びている。第2突出部51は、保持部31の軸方向において、第1突出部41までは延びていない。すなわち、第1突出部41と第2突出部51とは、保持部31の軸方向において互いに離れて設けられている。第2突出部51は、例えば、第2接触面52から端部36に向かうに連れて側壁33の外周面からの突出量が小さくなるように形成されている。換言すると、第2突出部51では、側壁33の外周面からの突出量が第2接触面52において最も大きくなる。第2突出部51は、Z軸方向から見た平面形状が三角形状に形成されている。
【0057】
図7に示すように、連結部50は、第2接触面52から保持部31の軸方向に向かって保持部31の外方に突出する凸部53を有している。屈曲部品30Bの連結部50の凸部53は、第2接触面52から屈曲部品30Aの凹部43に向かって突出している。屈曲部品30Bの凸部53は、屈曲部品30Aの凹部43に嵌合されている。
図5に示すように、凸部53は、第2接触面52から離れるに連れて細くなる先細り形状に形成されている。凸部53は、例えば、先鋭形状に形成されている。凸部53は、例えば、錘状に形成されている。本実施形態の凸部53は、切妻状に形成されている。凸部53は、Z軸方向から見た平面形状が三角形状に形成されている。
【0058】
凸部53は、第2接触面52の高さ方向(ここでは、Z軸方向)の中間部分に設けられている。凸部53は、第2接触面52の高さ方向の中央部分に設けられている。凸部53は、側壁33の高さ方向において、凹部43と等しい位置に設けられている。凸部53は、Z軸方向に沿って延びている。
【0059】
図4に示すように、屈曲部品30Aの第1接触面42と屈曲部品30Bの第2接触面52とが互いに接触されると、屈曲部品30Aの凹部43に屈曲部品30Bの凸部53が凹凸嵌合される。このとき、保持部31の軸方向と直交する方向、具体的には側壁33の高さ方向(ここでは、Z軸方向)において、凹部43の内面と凸部53とが互いに係合される。これにより、保持部31の軸方向と直交する方向であるZ軸方向において、屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bが相対移動することを好適に抑制できる。この結果、保持部31の軸方向と直交するZ軸方向において、屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bが位置ずれすることを抑制できる。このように、屈曲部品30Aの連結部40と屈曲部品30Bの連結部50とは、屈曲部品30Aに対する屈曲部品30Bの位置ずれを抑制する位置ずれ抑制機構として機能する。そして、位置ずれ抑制機能として機能する連結部40および連結部50は、屈曲部30Rの曲げ外側に設けられている。
【0060】
次に、連結部60の具体的構造について説明する。ここでは、屈曲部品30Aの連結部60を主に参照して説明する。
図5に示すように、連結部60は、屈曲部30Rの曲げ内側に設けられている。連結部60は、例えば、端部36における側壁34に設けられた切欠部61と、切欠部61の内面から突出する支持軸62とを有している。支持軸62は、例えば、切欠部61の内面と連続して一体に形成されている。
【0061】
切欠部61は、端部36における側壁34の軸方向の端面の一部が切り欠かれるように形成されている。切欠部61は、端部36における側壁34の軸方向の端面から端部37に向かって凹むように形成されている。切欠部61は、側壁34の長さ方向、つまり保持部31の軸方向に沿って延びている。切欠部61は、例えば、側壁34の上面から底壁32に向かって凹むように形成されている。切欠部61は、側壁34の高さ方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びている。切欠部61は、側壁34を厚さ方向(板厚方向)に貫通するように形成されている。
【0062】
切欠部61の内面は、第1内面61Aと、第2内面61Bとを有している。第1内面61Aは、側壁34の高さ方向において、切欠部61の下端、つまり底壁32に最も近い位置に設けられた端面である。第1内面61Aは、例えば、側壁34の長さ方向に延びるとともに、側壁34の厚さ方向に延びるように形成されている。第1内面61Aは、例えば、XY平面と平行に広がる平面である。第2内面61Bは、側壁34の長さ方向において、切欠部61のうち端部37に最も近い位置に設けられた端面である。第2内面61Bは、例えば、側壁34の高さ方向に延びるとともに、側壁34の厚さ方向に延びるように形成されている。
図3に示すように、第2内面61Bは、例えば、Z軸方向から見た平面形状が円弧状に湾曲した曲面に形成されている。第2内面61Bの平面形状は、例えば、端部37に向かって凹むように湾曲した曲面に形成されている。
【0063】
図5に示すように、支持軸62は、保持部31の軸方向と交差する方向に延びている。支持軸62は、例えば、切欠部61の第1内面61Aの一部から側壁34の高さ方向に向かって突出している。支持軸62は、第1内面61AからZ軸方向に沿って直線状に延びている。支持軸62は、例えば、側壁34の上面と等しい高さまで延びている。例えば、支持軸62の突出先端面は、側壁34の上面と同一平面上に設けられている。支持軸62は、柱状に形成されている。本実施形態の支持軸62は、中実構造の円柱状に形成されている。屈曲部品30Aの支持軸62は、第1内面61Aのうち第2内面61Bとは離れた部分に設けられている。屈曲部品30Aの支持軸62は、保持部31の軸方向において、第1内面61Aのうち第2内面61Bとは反対側の端部、つまり屈曲部品30Bに最も近い端部に設けられている。支持軸62は、例えば、第1内面61Aに接続された基端を固定端とし、基端とは反対側の先端を自由端とする片持ち状に形成されている。
【0064】
次に、連結部70の具体的構造について説明する。ここでは、屈曲部品30Bの連結部70を主に参照して説明する。
連結部70は、端部37における側壁34の外周面に設けられている。すなわち、連結部70は、屈曲部30Rの曲げ内側に設けられている。連結部70は、例えば、連結部60の支持軸62を把持する把持部71を有している。屈曲部品30Bの把持部71は、屈曲部品30Aの支持軸62を把持した状態で、その支持軸62を回転軸として屈曲部品30Aの連結部60に対して相対回転可能に構成されている。屈曲部品30Bは、屈曲部品30Bの把持部71により屈曲部品30Aの支持軸62が把持されることによって、支持軸62を回転軸として屈曲部品30Aに対して相対回転可能に構成されている。屈曲部品30Bは、例えば、XY平面において、屈曲部品30Aの支持軸62を回転軸として屈曲部品30Aに対して相対回転可能に構成されている。このように、屈曲部品30Aの連結部60と屈曲部品30Bの連結部70とは、屈曲部品30Aに対する屈曲部品30Bの相対回転を支持する回転支持機構として機能する。そして、回転支持機構として機能する連結部60および連結部70は、屈曲部30Rの曲げ内側に設けられている。
【0065】
把持部71は、端部37における側壁34の外周面に設けられている。把持部71は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。把持部71は、例えば、溝部72を有する半円筒状に形成されている。把持部71は、側壁34の高さ方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びている。Z軸方向に沿う把持部71の長さ寸法は、例えば、Z軸方向に沿う支持軸62の長さ寸法と等しい。
【0066】
把持部71は、端部37における側壁34の外周面から保持部31の径方向外側に突出するように形成されている。把持部71は、保持部31の軸方向に向かって保持部31の外方に突出するように形成されている。把持部71は、保持部31の軸方向において、端部37における側壁34の軸方向の端面よりも外方に突出するように形成されている。屈曲部品30Bの把持部71は、保持部31の軸方向において、側壁34の軸方向の端面よりも屈曲部品30Aに向かって突出している。
図3に示すように、屈曲部品30Bの把持部71は、例えば、端部37における側壁34の外周面から、保持部31の径方向外側および屈曲部品30Aに向かって円弧状に突出するように形成されている。把持部71の外周面は、Z軸方向から見た平面形状が円弧状に形成されている。把持部71の先端は、保持部31の径方向において、側壁34の外周面よりも内側まで延びるように形成されている。
【0067】
溝部72は、把持部71の内面から保持部31の径方向外側に向かって凹むように形成されている。溝部72は、支持軸62を収容可能な大きさに形成されている。ここで、屈曲部品30Aの支持軸62は、屈曲部品30Bの溝部72の内面と屈曲部品30Bの側壁34の軸方向の端面とによって囲まれた空間に収容される。溝部72の内面は、例えば、支持軸62の外周面に対応した形状に形成されている。溝部72の内面は、例えば、Z軸方向から見た平面形状が円弧状に形成されている。
【0068】
図6に示すように、溝部72は、把持部71の軸方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びている。溝部72は、例えば、把持部71の軸方向に沿って把持部71の軸方向の全長にわたって延びている。溝部72は、把持部71の軸方向と直交する方向、具体的には保持部31の径方向内方に向かって開口するとともに、把持部71の軸方向の両端に開口するように形成されている。
【0069】
図3に示すように、屈曲部品30Bの把持部71は、溝部72の内部に屈曲部品30Aの支持軸62を収容するようにして支持軸62を把持する。このとき、屈曲部品30Bの把持部71の一部は、屈曲部品30Aの切欠部61の内部、具体的には切欠部61の第2内面61Bと支持軸62との間の隙間に挿入される。ここで、把持部71の外周面における曲率半径は、例えば、第2内面61Bにおける曲率半径と等しい。このため、屈曲部品30Aの支持軸62を回転軸として屈曲部品30Bの把持部71が回転する際に、屈曲部品30Bの把持部71の移動が屈曲部品30Aの切欠部61の第2内面61Bにより規制されることを抑制できる。
【0070】
(屈曲部品30A,30Bの連結構造)
図8に示すように、屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bを連結する際には、まず、屈曲部品30Bの把持部71により屈曲部品30Aの支持軸62を把持する。具体的には、屈曲部品30Bの把持部71の溝部72の内部に屈曲部品30Aの支持軸62を収容するようにして、把持部71により支持軸62を把持する。これにより、屈曲部品30Aの連結部60と屈曲部品30Bの連結部70とが互いに連結される。これにより、屈曲部品30Aの支持軸62を回転軸として、屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bが相対回転可能に構成される。このとき、屈曲部品30Aの連結部40の第1接触面42と、屈曲部品30Bの連結部50の第2接触面52とは互いに接触していない。
【0071】
次に、
図9に示すように、屈曲部品30Aの連結部40の凹部43と屈曲部品30Bの連結部50の凸部53とが凹凸嵌合するように、屈曲部品30Aの支持軸62を回転軸として、屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bを相対回転させる。すると、屈曲部品30Aの第1接触面42と屈曲部品30Bの第2接触面52とが互いに接触されるとともに、屈曲部品30Aの凹部43と屈曲部品30Bの凸部53とが凹凸嵌合される。これにより、屈曲部品30Aの連結部40と屈曲部品30Bの連結部50とが互いに連結される。屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとが連結された状態の経路規制部材20Aでは、屈曲部品30Aの挿入口35と、屈曲部品30Bの挿入口35とが互いに連通している。但し、この状態では、屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとが互いに強固に連結されていないため、屈曲部品30Aの連結部40と屈曲部品30Bの連結部50との連結状態は容易に解除される。例えば、屈曲部品30Aの支持軸62を回転軸として、屈曲部品30Aの第1接触面42と屈曲部品30Bの第2接触面52とが互いに離れる方向に、屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bが相対回転すると、連結部40と連結部50との連結状態が解除される。
【0072】
続いて、所要箇所が屈曲されて屈曲部15Aが設けられた電線部材11を準備する。そして、電線部材11の屈曲部15Aに対して屈曲部品30A,30Bが取り付けられる。具体的には、電線部材11に対して屈曲部品30A,30Bの挿入口35から屈曲部品30A,30Bが取り付けられる。すると、電線部材11が直線状態に戻ろうとする力である電線部材11の曲げ反力F1が屈曲部品30A,30Bに加わる。具体的には、電線部材11の曲げ反力F1が各屈曲部品30A,30Bの屈曲部30Rの曲げ外側に設けられた側壁33に作用する。これにより、屈曲部品30Aの支持軸62を回転軸として、屈曲部品30Aの第1接触面42と屈曲部品30Bの第2接触面52とが互いに接近する方向に向かって屈曲部品30A,30Bが相対回転する。このため、屈曲部品30A,30Bには、屈曲部品30Aの第1接触面42と屈曲部品30Bの第2接触面52とを互いに接近させる方向の力F2が加わる。この結果、電線部材11の曲げ反力F1によって、屈曲部品30A,30Bに対して第1接触面42と第2接触面52とを互いに接近させる力F2を作用させ続けることができる。これにより、第1接触面42と第2接触面52とが互いに離れる方向に屈曲部品30A,30Bが相対回転することを抑制できるため、屈曲部品30Aの連結部40と屈曲部品30Bの連結部50との連結状態が解除されることを好適に抑制できる。したがって、屈曲部品30Aの凹部43に屈曲部品30Bの凸部53が凹凸嵌合された状態を好適に維持できる。これら凹部43と凸部53との係合により、保持部31の軸方向と直交するZ軸方向において屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bが位置ずれすることを好適に抑制できる。
【0073】
図3に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材13の長さ方向に対する経路規制部材20Aのスライド移動を規制するスライド規制部材80を有している。スライド規制部材80としては、例えば、樹脂製または金属製の結束バンド、カシメリングや粘着テープを用いることができる。本実施形態のスライド規制部材80は、粘着テープである。スライド規制部材80は、経路規制部材20Aの軸方向の第1端部および第2端部のそれぞれに設けられている。経路規制部材20Aの第1端部に設けられたスライド規制部材80は、例えば、屈曲部品30Aの端部37の外周面と、外装部材13の外周面とにわたって巻き付けられている。経路規制部材20Aの第2端部に設けられたスライド規制部材80は、例えば、屈曲部品30Bの端部36の外周面と、外装部材13の外周面とにわたって巻き付けられている。なお、図示は省略するが、スライド規制部材80は、
図2に示した経路規制部材20Bに対しても設けられている。
【0074】
(経路規制部材20Bの構成)
図2に示すように、経路規制部材20Bは、電線部材11の長さ方向に沿って、2つの屈曲部品30が並ぶように構成されている。経路規制部材20Bにおける各屈曲部品30は、経路規制部材20Aにおける各屈曲部品30とそれぞれ同一構成である。但し、経路規制部材20Bは、経路規制部材20Aの構造を180°回転させるようにして配置されている。換言すると、屈曲部品30は、左曲げ部分である屈曲部15Aと右曲げ部分である屈曲部15Bとで共通して利用することができる。すなわち、左曲げ部分である屈曲部15Aと右曲げ部分である屈曲部15Bとでは、同一構成の屈曲部品30を共用することができる。
【0075】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)経路規制部材20は、電線部材11を保持するとともに屈曲部30Rを有する筒状の保持部31と、連結部40とを有する屈曲部品30Aを備える。経路規制部材20は、電線部材11を保持するとともに屈曲部30Rを有する筒状の保持部31と、電線部材11の曲げ反力F1を利用して屈曲部品30Aの連結部40に連結される連結部50とを有する屈曲部品30Bを備える。
【0076】
この構成によれば、屈曲部品30Aの連結部40と屈曲部品30Bの連結部50とが電線部材11の曲げ反力F1を利用して互いに連結されることにより、屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとが互いに連結される。これにより、複数の屈曲部品30A,30Bを直接連結することができ、これら複数の屈曲部品30A,30Bを組み合わせることによって1つの経路規制部材20を構成することができる。
【0077】
(2)ところで、複数の規制部品が連結されることにより1つの経路規制部材が構成される場合には、通常、電線部材11の曲げ反力F1が複数の規制部品の連結状態を解除させるように作用する。これに対し、本実施形態の経路規制部材20では、電線部材11の曲げ反力F1を利用して屈曲部品30Aの連結部40と屈曲部品30Bの連結部50とを連結させるようにした。そして、電線部材11の曲げ反力F1を利用して屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとを連結させるようにした。このため、屈曲部品30Aの連結部40と屈曲部品30Bの連結部50との連結状態、および屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとの連結状態が電線部材11の曲げ反力F1に起因して解除されることを好適に抑制できる。これにより、電線部材11の曲げ反力F1が経路規制部材20に加わる場合であっても、屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとの連結状態を好適に維持することができる。
【0078】
さらに、各屈曲部品30A,30Bにそれら屈曲部品30A,30B同士を強固に固定するための連結構造を設けることなく、電線部材11の曲げ反力F1を利用して屈曲部品30A,30B同士を強固に固定することができる。このため、屈曲部品30A,30B同士を連結するための連結構造を簡素化することができる。
【0079】
(3)連結部40,50は、屈曲部30Rの曲げ外側に設けられている。この構成によれば、電線部材11の曲げ反力F1が作用する屈曲部30Rの曲げ外側に連結部40,50を設けることができる。
【0080】
(4)屈曲部品30Aの連結部40が有する第1接触面42と屈曲部品30Bの連結部50が有する第2接触面52とが電線部材11の曲げ反力F1によって互いに接触される。換言すると、電線部材11の曲げ反力F1により、第1接触面42と第2接触面52とを互いに接近させる力F2が経路規制部材20に付与される。このとき、第1接触面42が保持部31の径方向外側に広がるように形成されており、第2接触面52が保持部31の径方向外側に広がるように形成されている。このため、屈曲部品30Aの保持部31の軸方向の端面と屈曲部品30Bの保持部31の軸方向の端面同士のみで接触する場合に比べて、屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとの接触面積を大きくできる。これにより、電線部材11の曲げ反力F1によって経路規制部材20に付与される荷重を、第1接触面42および第2接触面52にも好適に分散させることができる。この結果、屈曲部品30Aの一部および屈曲部品30Bの一部に応力が集中することを好適に抑制でき、応力集中に起因して屈曲部品30Aおよび屈曲部品30Bが損傷することを好適に抑制できる。
【0081】
(5)屈曲部品30Aの連結部40は、第1接触面42から凹むように設けられた凹部43を有する。屈曲部品30Bの連結部50は、第2接触面52から屈曲部品30Aの凹部43に向かって突出するとともに、凹部43に嵌合される凸部53を有する。屈曲部品30Bの凸部53は、保持部31の軸方向と直交する方向において屈曲部品30Aの凹部43の内面と係合する。この構成によれば、屈曲部品30Aの第1接触面42と屈曲部品30Bの第2接触面52とが互いに接触される際に、屈曲部品30Bの凸部53が保持部31の軸方向と直交する方向において屈曲部品30Aの凹部43の内面と係合するように凹部43に嵌合される。これら凸部53と凹部43の内面との係合により、保持部31の軸方向と直交する方向において屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bが相対移動することを抑制できる。
【0082】
(6)屈曲部品30Aは、屈曲部30Rの曲げ内側に設けられた連結部60を有する。屈曲部品30Bは、屈曲部30Rの曲げ内側に設けられるとともに、屈曲部品30Aの連結部60に連結される連結部70を有する。屈曲部品30Aの連結部60は、保持部31の軸方向と交差する方向に延びる支持軸62を有する。屈曲部品30Bの連結部70は、屈曲部品30Aの支持軸62を把持するとともに、その支持軸62を回転軸として屈曲部品30Aの連結部60に対して相対回転可能に連結される把持部71を有する。
【0083】
この構成によれば、屈曲部品30Bの把持部71が屈曲部品30Aの支持軸62を把持した状態で、支持軸62を回転軸として屈曲部品30Aの連結部60に対して屈曲部品30Bの連結部70を相対回転させることができる。これにより、屈曲部品30Bの把持部71が屈曲部品30Aの支持軸62を把持した状態で、その支持軸62を回転軸として屈曲部品30Aに対して屈曲部品30Bを相対回転させることができる。このため、屈曲部品30Aに対する屈曲部品30Bの相対回転を、屈曲部品30Aの連結部60および屈曲部品30Bの連結部70によって支持することができる。したがって、屈曲部品30Aに対して、特定の軌道に沿って屈曲部品30Bを相対回転させることができる。
【0084】
(7)屈曲部品30Aは、側壁33における端部36に設けられた連結部40と、側壁34における端部36に設けられた連結部60と、側壁33における端部37に設けられた連結部50と、側壁34における端部37に設けられた連結部70とを備える。
【0085】
この構成によれば、屈曲部品30Aの端部36には、屈曲部品30Bの連結部50に連結される連結部40が設けられるとともに、屈曲部品30Bの連結部70に連結される連結部60が設けられる。また、屈曲部品30Aの端部37には、屈曲部品30Bの端部37と同様に、連結部50および連結部70が設けられる。このため、屈曲部品30Aの端部37には、別の屈曲部品30Aを連結させることができる。これにより、直接連結する屈曲部品30Aおよび屈曲部品30Bの個数を容易に変更することができる。この結果、経路規制部材20における曲げ角度を容易に変更することができる。
【0086】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0087】
・上記実施形態における連結部40,50の構造は適宜変更することができる。
例えば
図10に示すように、連結部50の凸部53の先端部に、凸部53の突出方向と交差する方向に突出する係合凸部54を設けるようにしてもよい。本変更例の凸部53は、例えば、保持部31の径方向に弾性変形可能に構成されている。この場合に、連結部40の凹部43の奥端部に、係合凸部54が嵌合される係合凹部44を設けるようにしてもよい。この場合に、屈曲部品30Aの凹部43に屈曲部品30Bの凸部53が嵌合されると、屈曲部品30Aの係合凹部44に屈曲部品30Bの係合凸部54が嵌合される。すると、屈曲部品30Bの係合凸部54が、凹部43に対する凸部53の嵌合方向において屈曲部品30Aの係合凹部44の内面と係合される。係合凸部54と係合凹部44とは、例えば、凸部53の弾性変形を利用したスナップフィット方式により互いに係合される。これにより、凹部43に対する凸部53の嵌合方向において、屈曲部品30Aの凹部43に対して屈曲部品30Bの凸部53が相対移動することを好適に抑制できる。このため、屈曲部品30Aの凹部43から屈曲部品30Bの凸部53が抜けることを好適に抑制できる。例えば、熱や振動等に起因して電線部材11の曲げ反力F1(
図9参照)が小さくなった場合であっても、屈曲部品30Aの凹部43から屈曲部品30Bの凸部53が抜けることを抑制できる。
【0088】
・上記実施形態における連結部60,70の構造は適宜変更することができる。例えば、連結部60の支持軸62のうち第1内面61Aと接続される基端を、支持軸62の他の部分よりも太く形成するようにしてもよい。換言すると、支持軸62の基端以外の部分を、支持軸62の基端よりも細く形成するようにしてもよい。この場合の把持部71は、支持軸62のうち基端以外の部分を把持するようにしてもよい。
【0089】
・上記実施形態では、連結部60の支持軸62を片持ち状に形成したが、これに限定されずに、連結部60の支持軸62を両持ち状に形成してもよい。
例えば
図11に示すように、連結部60の支持軸62を、側壁34の高さ方向の両側から支持するように形成してもよい。本変更例の連結部60の切欠部61は、保持部31の周方向の中間部に設けられている。本変更例の切欠部61は、側壁34の高さ方向の中間部のみに設けられている。本変更例の切欠部61は、第1内面61Aと、第2内面61Bと、第3内面61Cとを有している。第3内面61Cは、側壁34の高さ方向において第1内面61Aと対向している。第3内面61Cは、側壁34の高さ方向において、切欠部61の上端、つまり側壁34の上面に最も近い位置に設けられた端面である。第3内面61Cは、例えば、側壁34の長さ方向に延びるとともに、側壁34の厚さ方向に延びるように形成されている。第3内面61Cは、例えば、第1内面61Aと平行に広がる平面である。
【0090】
本変更例の支持軸62は、切欠部61の内部に設けられている。本変更例の支持軸62は、側壁34の高さ方向に沿って、第1内面61Aから第3内面61Cまで延びるように形成されている。本変更例の支持軸62は、下端が第1内面61Aに接続されるとともに、上端が第3内面61Cに接続されている。すなわち、本変更例の支持軸62は、側壁34の高さ方向の両側から、第1内面61Aおよび第3内面61Cを構成する保持部31によって支持されている。
【0091】
本変更例の把持部71は、側壁34の高さ方向の中間部のみに設けられている。把持部71は、側壁34の高さ方向において、支持軸62と等しい位置に設けられている。本変更例の把持部71は、切欠部61の第1内面61Aと第2内面61Bと第3内面61Cと支持軸62とに囲まれた空間に挿入可能な大きさに形成されている。
【0092】
本変更例の構成によれば、支持軸62が第1内面61Aのみで支持される場合に比べて、支持軸62の強度を向上させることができる。これにより、電線部材11の曲げ反力F1(
図9参照)等の外力が支持軸62に加わった場合であっても、支持軸62が損傷することを好適に抑制できる。
【0093】
・上記実施形態では、保持部31と連結部60の支持軸62とを一体に形成するようにしたが、これに限定されない。
例えば
図12および
図13に示すように、連結部60の支持軸63を、保持部31とは別部品により構成してもよい。
図13に示すように、本変更例の連結部60は、第1内面61Aに設けられた凹部64と、第3内面61Cに設けられた貫通孔65とを有している。凹部64は、例えば、第1内面61Aから底壁32に向かって凹むように形成されている。凹部64は、例えば、第1内面61Aのうち第2内面61Bから離れた位置に設けられている。貫通孔65は、例えば、第3内面61Cを構成する保持部31、具体的には第3内面61Cを構成する側壁34を、側壁34の高さ方向に貫通するように形成されている。貫通孔65は、例えば、第3内面61Cから側壁34の上面まで貫通するように形成されている。貫通孔65は、例えば、側壁34の高さ方向から見た平面視において、凹部64と重なる位置に設けられている。
【0094】
支持軸63は、側壁34の高さ方向に沿って延びる柱状に形成されている。本変更例の支持軸63は、中実構造の円柱状に形成されている。支持軸63は、例えば、保持部31よりも硬質に形成されている。支持軸63は、例えば、金属製または樹脂製である。支持軸63の材料としては、例えば、保持部31と異なる材料を用いることができる。本変更例の支持軸63は、金属製である。支持軸63は、例えば、保持部31の上方から貫通孔65および凹部64に挿入される。支持軸63は、貫通孔65を貫通するとともに、凹部64内に嵌合される。
図12に示すように、貫通孔65および凹部64に挿入された支持軸63では、その支持軸63の長さ方向の中間部分が切欠部61の内部に露出される。そして、切欠部61の内部に露出された部分の支持軸63が他の屈曲部品30の把持部71に把持される。
【0095】
この構成によれば、連結部60の支持軸63が保持部31とは別部品により構成される。これにより、保持部31と支持軸63とを互いに異なる材料により構成することができる。このため、保持部31と支持軸63の材料選択の自由度を向上させることができる。例えば、支持軸63を保持部31よりも硬質に形成することにより、支持軸63の強度を向上させることができる。
【0096】
・上記実施形態の屈曲部品30の構造は適宜変更することができる。例えば、保持部31の外周面に補強用のリブを設けるようにしてもよい。例えば、屈曲部品30において、連結部40と連結部50との設置位置を反対にしてもよい。すなわち、連結部60が設けられる端部36に凸部53を有する連結部50を設け、連結部70が設けられる端部37に凹部43を有する連結部40を設けるようにしてもよい。例えば、屈曲部品30の屈曲部30Rにおける曲げ角度θの大きさは適宜変更することができる。
【0097】
・上記実施形態では、屈曲部品30Aと屈曲部品30Bとを同一構成としたが、これに限定されない。例えば、屈曲部品30Aの屈曲部30R(第1屈曲部)における曲げ角度θと、屈曲部品30Bの屈曲部30R(第2屈曲部)における曲げ角度θとを互いに異なる角度に設定してもよい。
【0098】
・上記実施形態における経路規制部材20の構造は適宜変更することができる。例えば、屈曲部品30の組み合わせ、つまり屈曲部品30の個数や配置方向を変更することにより、経路規制部材20を種々の構造に形成することができる。経路規制部材20を構成する屈曲部品30の個数は特に限定されない。
【0099】
例えば
図14に示すように、4つの屈曲部品30を連結させて経路規制部材20を構成するようにしてもよい。このように、直接連結する屈曲部品30の個数を変更することにより、経路規制部材20の曲げ角度を変更することができる。
【0100】
・例えば
図15に示すように、経路規制部材20は、屈曲部品30A,30Bの挿入口35を塞ぐ蓋部100を備えていてもよい。蓋部100は、例えば、屈曲部品30Aの挿入口35全体を塞ぐとともに、屈曲部品30Bの挿入口35全体を塞ぐように設けられている。蓋部100は、例えば、屈曲部品30A,30Bの側壁33,34の上面に設けられている。蓋部100は、例えば、図示しない連結部材により屈曲部品30A,30Bに連結されている。なお、蓋部100を、車両Vの車体パネルにより構成してもよい。
【0101】
・上記実施形態の電線部材11は、外装部材13を必ずしも含んでいなくてもよい。すなわち、電線部材11から外装部材13を省略し、保持部31が電線12を直接保持する構成としてもよい。
【0102】
・上記実施形態の電線部材11は、電線12の外周を包囲する筒状の電磁シールド部材を備えていてもよい。
・車両VにおけるインバータM1と高圧バッテリM2の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
【0103】
・上記実施形態のワイヤハーネス10が電気的に接続する複数の電気機器は、インバータM1および高圧バッテリM2に限定されず、車両Vに搭載される電気機器であれば、特に限定されない。
【0104】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0105】
10 ワイヤハーネス
11 電線部材
12 電線
13 外装部材
14A,14B,14C 直線部
15A,15B 屈曲部
20,20A,20B 経路規制部材
30 屈曲部品
30A 屈曲部品(第1屈曲部品)
30B 屈曲部品(第2屈曲部品)
30R 屈曲部(第1屈曲部、第2屈曲部)
31 保持部(第1保持部、第2保持部)
32 底壁
33 側壁(第1側壁)
34 側壁(第2側壁)
35 挿入口
36 端部(第1端部)
37 端部(第2端部)
40 連結部(第1連結部)
41 第1突出部
42 第1接触面
43 凹部
44 係合凹部
50 連結部(第2連結部、第5連結部)
51 第2突出部
52 第2接触面
53 凸部
54 係合凸部
60 連結部(第3連結部)
61 切欠部
61A 第1内面
61B 第2内面
61C 第3内面
62,63 支持軸
64 凹部
65 貫通孔
70 連結部(第4連結部、第6連結部)
71 把持部
72 溝部
80 スライド規制部材
100 蓋部
θ 曲げ角度
θ1,θ2 曲げ角度
F1 曲げ反力
F2 力
L1,L2,L3 中心軸線
M1 インバータ
M2 高圧バッテリ
V 車両