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特開2024-80887パネル支持装置、パネル支持システムおよびトンネル補強工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080887
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】パネル支持装置、パネル支持システムおよびトンネル補強工法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/40 20060101AFI20240610BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20240610BHJP
   E21D 11/18 20060101ALI20240610BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20240610BHJP
   B66C 1/02 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
E21D11/40 Z
E04G21/16
E21D11/18
E21D11/08
B66C1/02 A
B66C1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194221
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(71)【出願人】
【識別番号】000148380
【氏名又は名称】株式会社前田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】宮川 克己
(72)【発明者】
【氏名】森 康雄
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】岸本 光章
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 道也
(72)【発明者】
【氏名】春日 邦夫
【テーマコード(参考)】
2D155
2E174
3F004
【Fターム(参考)】
2D155BB02
2D155CA03
2D155EB05
2D155GB07
2D155GB08
2D155KA02
2D155LA16
2E174BA01
2E174CA02
2E174CA06
2E174DA51
3F004EA27
3F004FA02
3F004FA08
(57)【要約】
【課題】パネルを運搬して支保工に固定する作業負担を軽減することができるパネル支持装置を提供する。
【解決手段】
パネル支持装置3は、トンネル90の内部に配置されたクレーン2を用いてトンネル90の内面90Bに沿って取り付けられるパネル91を支持する。パネル支持装置3は、クレーン2のブーム12の先端部に連結され、ブーム12に対してロール軸を中心に回転する回転部を含む角度調整ユニット5と、角度調整ユニット5に連結され、パネル91を吸着しながら角度調整ユニット5に対してロール軸と、チルト軸と、スイベル軸との3軸を中心に回転する吸着ユニット6と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の内部に配置されたクレーンを用いて前記建造物の内面に沿って取り付けられるパネルを支持するパネル支持装置であって、
前記クレーンのブームの先端部に連結され、前記ブームに対して前記ブームの延在方向と平行なロール軸を中心に回転する回転部を含む角度調整ユニットと、
前記角度調整ユニットに連結され、前記パネルを吸着しながら前記角度調整ユニットに対して前記ロール軸と、水平方向と平行なチルト軸と、前記ロール軸と前記チルト軸とに直交するスイベル軸との3軸を中心に回転する吸着ユニットと、を備えていることを特徴とするパネル支持装置。
【請求項2】
前記角度調整ユニットは、
前記ブームの先端部に固定された固定部に前記回転部が前記ロール軸まわりに回転可能に支持される第1ユニットと、
前記回転部に固定され、前記吸着ユニットを前記3軸まわりに回転させる駆動部を含む第2ユニットと、を有していることを特徴とする請求項1に記載のパネル支持装置。
【請求項3】
前記第2ユニットは、前記回転部から前記延在方向に直交する径方向の外側に延設された連結部材の先端部に固定され、前記ブームの先端部から前記径方向の外側に離れた回転軌道を周回可能に支持されていることを特徴とする請求項2に記載のパネル支持装置。
【請求項4】
起伏可能かつ伸縮可能なブームを有するクレーンと、
前記ブームの先端部に連結される請求項2または3に記載のパネル支持装置と、
前記パネル支持装置を遠隔操作するために作業者が操作する送信機と、を備え、
前記パネル支持装置は、
前記送信機と無線通信する受信機と、
前記受信機が受信した情報信号に基づいて前記駆動部を駆動制御する制御部と、を有しているパネル支持システム。
【請求項5】
請求項4に記載のパネル支持システムを用いたトンネル補強工法であって、
前記トンネルの軸線方向に間隔をあけると共に前記トンネルの内面に沿って複数の支保工を構築する支保工構築工程と、
前記回転部を前記ロール軸まわりに回転させて前記吸着ユニットに吸着した前記パネルのロール角を設定する角度設定工程と、
前記吸着ユニットを前記3軸まわりに回転させて前記吸着ユニットに吸着させた前記パネルの角度と姿勢を調整しながら前記クレーンの前記ブームを操作して前記軸線方向に隣り合う前記支保工の間に前記パネルを配置し、前記パネルを前記支保工に固定する搬送固定工程と、
前記トンネルの内面と前記パネルとの間に補強材を充填する充填工程と、を備えているトンネル補強工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の内部に配置されたクレーンを用いて建造物の内面に沿って取り付けられるパネルを支持するパネル支持装置、パネル支持システムおよびトンネル補強工法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂コンクリートパネルを用いたトンネルの覆工コンクリート内面内巻補強工法が知られている(特許文献1)。この工法では、トンネル覆工コンクリート内面にH型鋼製支保工等が設置された後、トンネルの軸方向に沿って補強鋼板が設置され、次いで、支保工の表面全体に取り付け部を介して樹脂コンクリートパネルが仮固定されていた。その後、パネル裏面と既設覆工コンクリートとの間隙に高強度微粒子グラウトモルタルが充填され、支保工等とパネルとが一体化されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-129985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような工法では、樹脂コンクリートパネルを運搬して支保工に固定する作業は人力で行われることが多かった。一般的に、樹脂コンクリートパネルは、1人で持ち運べる重量ではないため、2人の作業員によって固定位置まで運搬され、支保工に固定されていた。樹脂コンクリートパネルの運搬作業や取付作業は非常に重労働であるため、その作業負担の軽減が望まれていた。
【0005】
また、樹脂コンクリートパネルが非常に大きな場合等、作業員への負担を減らすため、例えば、1つの樹脂コンクリートパネルを2つに切断(分割)することもあった。しかしながら、樹脂コンクリートパネルを2分割する作業が加わると共に、支保工に固定する樹脂コンクリートパネルの枚数が(切断しない場合に比べて)2倍になるため、作業者への
負担を軽減する効果は薄かった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、パネルを運搬して支保工に固定する作業負担を軽減することができるパネル支持装置、パネル支持システムおよびトンネル補強工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建造物の内部に配置されたクレーンを用いて前記建造物の内面に沿って取り付けられるパネルを支持するパネル支持装置であって、前記クレーンのブームの先端部に連結され、前記ブームに対して前記ブームの延在方向と平行なロール軸を中心に回転する回転部を含む角度調整ユニットと、前記角度調整ユニットに連結され、前記パネルを吸着しながら前記角度調整ユニットに対して前記ロール軸と、水平方向と平行なチルト軸と、前記ロール軸と前記チルト軸とに直交するスイベル軸との3軸を中心に回転する吸着ユニットと、を備えている。
【0008】
この場合、前記角度調整ユニットは、前記ブームの先端部に固定された固定部に前記回転部が前記ロール軸まわりに回転可能に支持される第1ユニットと、前記回転部に固定され、前記吸着ユニットを前記3軸まわりに回転させる駆動部を含む第2ユニットと、を有してもよい。
【0009】
この場合、前記第2ユニットは、前記回転部から前記延在方向に直交する径方向の外側に延設された連結部材の先端部に固定され、前記ブームの先端部から前記径方向の外側に離れた回転軌道を周回可能に支持されてもよい。
【0010】
本発明のパネル支持システムは、起伏可能かつ伸縮可能なブームを有するクレーンと、前記ブームの先端部に連結される上記のパネル支持装置と、前記パネル支持装置を遠隔操作するために作業者が操作する送信機と、を備え、前記パネル支持装置は、前記送信機と無線通信する受信機と、前記受信機が受信した情報信号に基づいて前記駆動部を駆動制御する制御部と、を有している。
【0011】
本発明は、上記のパネル支持システムを用いたトンネル補強工法であって、前記トンネルの軸線方向に間隔をあけると共に前記トンネルの内面に沿って複数の支保工を構築する支保工構築工程と、前記回転部を前記ロール軸まわりに回転させて前記吸着ユニットに吸着した前記パネルのロール角を設定する角度設定工程と、前記吸着ユニットを前記3軸まわりに回転させて前記吸着ユニットに吸着させた前記パネルの角度と姿勢を調整しながら前記クレーンの前記ブームを操作して前記軸線方向に隣り合う前記支保工の間に前記パネルを配置し、前記パネルを前記支保工に固定する搬送固定工程と、前記トンネルの内面と前記パネルとの間に補強材を充填する充填工程と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パネルを運搬して支保工に固定する作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るパネル支持システムをトンネル内に配置した様子を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係るパネル支持システムを示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るパネル支持システムを示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るパネル支持システムを示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るパネル支持システムのクレーンの機関部等を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係るパネル支持装置の第1ユニットを示す正面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るパネル支持装置を示すブロック図である。
図8】本発明の一実施形態に係るトンネル補強工法を示すフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係るトンネル補強工法の支保工構築工程を説明する概略図(断面図)である。
図10】本発明の一実施形態に係るトンネル補強工法の搬送固定工程を説明する概略図(断面図)である。
図11】本発明の一実施形態に係るトンネル補強工法の充填工程を説明する断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るパネル支持装置と比較例とにおいて、取り付けることができるパネルの範囲(枚数)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0015】
図1ないし図7を参照して、パネル支持システム1について説明する。図1はパネル支持システム1をトンネル90内に配置した様子を示す概略図である。図2はパネル支持システム1を示す側面図である。図3はパネル支持システム1を示す平面図である。図4はパネル支持システム1を示す正面図である。図5はクレーン2の機関部14等を示すブロック図である。図6はパネル支持装置3の第1ユニット30を示す正面図である。図7はパネル支持装置3を示すブロック図である。
【0016】
例えば、竣工から年数を経たトンネル90では、内巻覆工90Aの背面の空洞、巻厚不足、ひび割れ等の劣化現象が多く見られる。このため、既設のトンネル90の劣化対策として、様々な補強工法が提案されている。本実施形態に係るパネル支持システム1は、建造物の一例としての既設のトンネル90の内巻覆工90Aをパネル91で補強するトンネル補強工法に用いられる(図1参照)。なお、パネル91は、例えば、超高強度繊維補強コンクリート(ダクタル)を用いた高耐久薄肉パネル(ダクタル板)である。
【0017】
[パネル支持システム]
図2ないし図4に示すように、パネル支持システム1は、クレーン2と、パネル支持装置3と、送信機4と、を備えている。
【0018】
[クレーン]
クレーン2は、例えば、自走式の油圧クレーンである。図2ないし図4に示すように、クレーン2は、走行装置10と、上部旋回体11と、ブーム12と、を有している。
【0019】
<走行装置、上部旋回体>
走行装置10は、一対の走行用油圧モータ20(図5参照)によって個別に駆動される一対のクローラ13を有している。上部旋回体11は、走行装置10の上部に設けられ、旋回用油圧モータ21(図5参照)によって垂直軸まわりに旋回可能に構成されている。上部旋回体11の内部には、機関部14が設けられている。機関部14は、ディーゼルエンジンや電動モータ等の動力源15と、動力源15に駆動される油圧ポンプ16と、油圧ポンプ16で発生した圧油を各種の油圧アクチュエータに供給する圧油供給装置17と、を有している(図5参照)。上部旋回体11の上部左側には、操作者が搭乗する運転室18が設けられている。運転室18には、操縦者によって操作される各種操作レバー等(図示せず)が設けられている。
【0020】
<ブーム>
ブーム12は、上部旋回体11の上部の左右方向の略中央(運転室18の右側)に設けられている。ブーム12は、上部旋回体11から前方に向かって延設され、上部旋回体11との連結部分(基端部)を中心に上下方向に起伏(揺動)可能に設けられている。上部旋回体11には、ブーム12を起伏動作させる起伏用油圧シリンダ22(図5参照)が設けられている。また、ブーム12は、入れ子式構造であって、伸縮用油圧シリンダ23(図5参照)によって伸縮可能に構成されている。なお、ブーム12の先端部は斜め下方に屈曲している(図2参照)。
【0021】
[クレーンの動作等]
図5に示すように、クレーン2には、圧油供給装置17等を適宜制御する車両制御部24が設けられている。車両制御部24は、運転室18に搭乗した操縦者による操作に応じた制御信号を圧油供給装置17に送信する。圧油供給装置17は、車両制御部24からの制御信号に応じて油圧ポンプ16からの圧油を、一対の走行用油圧モータ20、旋回用油圧モータ21、起伏用油圧シリンダ22および伸縮用油圧シリンダ23に供給する。一対の走行用油圧モータ20は供給された圧油の流量に応じた速度で一対のクローラ13を回転させ、旋回用油圧モータ21は供給された圧油の流量に応じた速度で上部旋回体11を旋回させる。また、起伏用油圧シリンダ22および伸縮用油圧シリンダ23は、供給された圧油によってブーム12を起伏させたり伸縮させたりする。
【0022】
[パネル支持装置]
パネル支持装置3は、トンネル90(建造物)の内部に配置されたクレーン2を用いてトンネル90の内面90Bに沿って取り付けられるパネル91を支持する(図1参照)。図2ないし図4に示すように、パネル支持装置3は、角度調整ユニット5と、吸着ユニット6と、受信機7と、制御部8と、を備えている。角度調整ユニット5はクレーン2のブーム12の先端部に連結され、吸着ユニット6は角度調整ユニット5(の先端部)に連結されている。受信機7および制御部8は、角度調整ユニット5に設けられている(図2参照)。なお、本明細書では、図2ないし図4に示すように、ブーム12を下した状態(伏せた状態)を基準とし、ブーム12の延在方向と平行に延びる軸を「ロール軸A1」と呼び、水平方向と平行に延びる軸を「チルト軸A2」と呼び、ロール軸A1とチルト軸A2とに直交する軸を「スイベル軸A3」と呼ぶこととする。
【0023】
<角度調整ユニット>
図2ないし図4に示すように、角度調整ユニット5は、第1ユニット30と、第2ユニット40と、を有している。角度調整ユニット5(後述する連結部材43を含む。)は、主に、鉄、ステンレス、アルミ合金等の金属材で形成されている。
【0024】
<第1ユニット>
図2ないし図4に示すように、第1ユニット30は、ブーム12の先端部に固定される固定部31と、固定部31の先端部に支持される回転部32と、を有している。固定部31および回転部32は、それぞれ、ロール軸A1に沿って軸心を延ばした略円筒状(または略分厚い円板状)に形成されている。
【0025】
(固定部)
固定部31は、ボルト・ナット等の締結部材(図示せず)を介してブーム12の先端部に固定されている。固定部31の下部には、インライン減速機33が設けられている。図6に示すように、インライン減速機33は、略円筒状に形成され、固定部31から右方(径方向の外側)に延設されたケース34と、ケース34の内部でチルト軸A2まわりに回転可能に支持される入力軸35と、入力軸35の回転を回転部32に伝達する複数の歯車(図示せず)と、を有している。入力軸35の先端部はケース34の外側に突き出しており、入力軸35の先端部には略円環状に形成されたハンドル36が取り付けられている。ハンドル36には、作業者が把持する把手37が取り付けられている。把手37を把持した作業者がハンドル36を回転させることで、入力軸35も同一方向に回転する。
【0026】
(回転部)
図2ないし図4および図6に示すように、回転部32は、固定部31と同一軸心上に配置され、固定部31にロール軸A1まわりに回転可能に支持されている。換言すれば、回転部32は、ブーム12に対してロール軸A1を中心に回転する。作業者がハンドル36を回転させると、その回転力は入力軸35および複数の歯車を介して回転部32に伝達され、回転部32はハンドル36の回転量に応じてロール軸A1まわりに回転する。なお、本実施形態では、回転部32は、固定部31に対して270度回動(揺動)可能とされているが、これに限らず、360度回転可能とされてもよい。
【0027】
<第2ユニット>
図2および図3に示すように、第2ユニット40は、支持フレーム41と、筐体42と、を有している。支持フレーム41は、ロール軸A1(前後方向)に沿って延設されている。支持フレーム41の後部(第2ユニット40)は、連結部材43を介して回転部32に固定されている。筐体42は、ロール軸A1(前後方向)に沿って延びる略直方体状に形成され、支持フレーム41の後部を覆うように設けられている。
【0028】
(連結部材)
連結部材43は、基端側ブラケット43Aと、先端側ブラケット43Bと、連結アーム43Cと、を有している。基端側ブラケット43Aは、略垂直姿勢とされ、ボルト等の締結部材(図示せず)を介して回転部32の先端部に固定されている。先端側ブラケット43Bは、略水平姿勢とされ、ボルト等の締結部材(図示せず)を介して支持フレーム41の後部に固定されている。基端側ブラケット43Aと先端側ブラケット43Bとは、互いに径方向(ブーム12の延在方向に直交する方向)に離間して配置され、連結アーム43Cは、基端側ブラケット43Aと先端側ブラケット43Bとの間に架設されている。
【0029】
第2ユニット40は回転部32から径方向の外側に延設された連結部材43の先端部に固定され、筐体42は連結部材43との固定部分よりも後方に延設されている(図2参照)。連結アーム43Cの長さは、屈曲したブーム12の先端部の高さよりも長く形成されている。このため、第2ユニット40は、ブーム12の先端部から径方向の外側に離れた回転軌道を周回可能に支持されている。つまり、第2ユニット40は、回転部32と一体となってロール軸A1まわりに回転したとしても、ブーム12の先端部に干渉しないようになっている。ブーム12の上側に配置された第2ユニット40(筐体42)は、空隙を挟んで第1ユニット30やブーム12の先端部に対向する(図1参照)。
【0030】
<吸着ユニット>
図2ないし図4に示すように、吸着ユニット6は、吸着フレーム50と、複数(例えば8つ)の吸着パッド51と、バキュームポンプ52と、を有している。
【0031】
(吸着フレーム)
吸着フレーム50は、揺動支持部53と、回転支持部54と、4つのアーム部55と、を有している。揺動支持部53は、第2ユニット40の支持フレーム41に対してチルト軸A2まわりに回転(揺動)可能に支持されている。回転支持部54は、正面から見て略正方形の枠状に形成されている。回転支持部54は、揺動支持部53の前端部に対し、ロール軸A1まわりに回転可能に支持されていると共に、スイベル軸A3まわりに回転(揺動)可能に支持されている。4つのアーム部55は、回転支持部54の四角部分から放射状に延設されている。各アーム部55は、回転支持部54と一体に形成されている。
【0032】
(吸着パッド、バキュームポンプ)
吸着パッド51は、各々のアーム部55に2つずつ着脱可能に取り付けられている。吸着パッド51は、略円形の皿状に形成されており、パネル91に接触してパネル91との間に吸着空間(図示せず)を形成する。バキュームポンプ52は、揺動支持部53に固定され、チューブ(図示せず)を介して8つの吸着パッド51に接続されている。バキュームポンプ52は、吸着空間から空気を排出し、吸着空間を略真空にする。これにより、パネル91が吸着パッド51に吸着された状態になる。なお、本実施形態では、8つの吸着パッド51が設けられていたが、これに限らず、吸着パッド51は1つ以上設けられていればよい。吸着パッド51の数や配置は、パネル91の大きさや重さに応じて自由に変更することができる。この場合、アーム部55の長さ等も変更するとよい。
【0033】
(駆動部)
図2ないし図4および図7に示すように、上記した第2ユニット40には、吸着ユニット6を3軸A1,A2,A3(ロール軸A1、チルト軸A2およびスイベル軸A3)まわりに回転させる駆動部44が設けられている。駆動部44は、ロール角調整モータ45と、チルト角調整シリンダ46と、一対のスイベル角調整シリンダ47と、バッテリ48と、を有している。
【0034】
ロール角調整モータ45は、例えば、ギヤードモータであって、吸着フレーム50の回転支持部54に設けられ、回転支持部54をロール軸A1まわりに回転させる。チルト角調整シリンダ46は、例えば、電動シリンダであって、支持フレーム41の下方かつ筐体42の内部に設けられている(図2参照)。チルト角調整シリンダ46は、ピストンロッド46Aの先端部を吸着フレーム50の揺動支持部53に連結させ、揺動支持部53(吸着ユニット6全体)をチルト軸A2まわりに回転(揺動)させる。一対のスイベル角調整シリンダ47は、例えば、電動シリンダであって、吸着フレーム50の揺動支持部53の左右両側に設けられている。各スイベル角調整シリンダ47は、ピストンロッド47Aの先端部を吸着フレーム50の回転支持部54に連結させ、回転支持部54をスイベル軸A3まわりに回転(揺動)させる。
【0035】
なお、吸着ユニット6の回転可能な範囲の一例として、ロール角調整モータ45は回転支持部54を270度回動(揺動)させることができ、チルト角調整シリンダ46は吸着ユニット6を0度(水平姿勢(図2に示す二点鎖線を参照))~120度の範囲で回動(揺動)させることができ、スイベル角調整シリンダ47は回転支持部54を±35度の範囲で回動(揺動)させることができる。
【0036】
なお、ロール角調整モータ45がギヤードモータであり、チルト角調整シリンダ46およびスイベル角調整シリンダ47が電動シリンダであったが、これらは一例であり、本発明はこれに限定されない。ロール角調整モータ45は、例えば、DCモータであってもよいし、往復運動するピストンを有するシリンダ(油圧、エアー、電動を問わず)とピストンの往復運動を回転運動に変換する機構とを組み合わせたものであってもよい(いずれも図示せず)。また、チルト角調整シリンダ46およびスイベル角調整シリンダ47は、例えば、油圧シリンダまたはエアーシリンダであってもよいし、出力軸を回転運動させるモータであってもよい(いずれも図示せず)。
【0037】
バッテリ48は、充電して繰り返し使用することができる二次電池であって、筐体42に着脱可能に設けられている(図2参照)。バッテリ48は、筐体42から取り外されて充電され、筐体42に取り付けられてバキュームポンプ52、ロール角調整モータ45、チルト角調整シリンダ46およびスイベル角調整シリンダ47等に電力を供給する。
【0038】
<送信機、受信機>
図2および図7に示すように、送信機4は、パネル支持装置3から分離しており、作業者に所持される。送信機4は、パネル支持装置3を遠隔操作するために作業者によって操作される。送信機4は、作業者の操作に応じた情報信号を重ねた高周波電波を送信アンテナ(図示せず)から発出する。受信機7は、例えば、第2ユニット40の筐体42の内部に設けられている(図2参照)。受信機7は、送信機4と無線通信を行う装置であって、受信アンテナ(図示せず)を介して送信機4から送信された情報信号を受信して復調する。送信機4と受信機7との通信方式は所謂ラジオコントロールである。
【0039】
<制御部>
制御部8は、例えば、第2ユニット40の筐体42の内部に設けられている(図2参照)。制御部8は、演算処理装置や記憶媒体等を基板上に実装して構成されている。図7に示すように、制御部8は、バッテリ48から供給された電力を制御対象に供給する電力供給部56を有している。電力供給部56には、バキュームポンプ52、ロール角調整モータ45、チルト角調整シリンダ46、スイベル角調整シリンダ47および受信機7等が電気的に接続されている。制御部8(電力供給部56)は、受信機7が受信した情報信号に基づいて駆動部44やバキュームポンプ52等を駆動制御する。
【0040】
[トンネル補強工法]
次に、図8ないし図11を参照して、パネル支持システム1を用いたトンネル補強工法について説明する。図8はトンネル補強工法を示すフローチャートである。図9はトンネル補強工法の支保工構築工程S1を説明する概略図(断面図)である。図10はトンネル補強工法の搬送固定工程S3を説明する概略図(断面図)である。図11はトンネル補強工法の充填工程S4を説明する断面図である。
【0041】
なお、トンネル90は、自動車道路用であるものとする(図1参照)。図9および図10で左右方向が、トンネル90の軸線方向である。トンネル補強工法は、トンネル90内の道路を全面通行止めとして行われてもよいが、一方の車線で自動車の通行を確保しながら他方の車線を規制して片側ずつ行われるとよい(図1参照)。トンネル補強工法は、トンネル90を軸線方向に複数の作業区間に分けて作業区間ごとに行われるとよい。また、トンネル補強工法は、少なくとも、クレーン2を操縦する操縦者と、送信機4を操作する作業者の2名で行われる。パネル91は、パレット上に平置きされ(または複数積み重ねられ)、フォークリフトによってパレットと共に昇降される(図示せず)。フォークリフトは、作業者が操縦してもよいし第2の操縦者が操縦してもよい。
【0042】
図8に示すように、トンネル補強工法は、支保工構築工程S1と、角度設定工程S2と、搬送固定工程S3と、充填工程S4と、を備えている。
【0043】
図9に示すように、支保工構築工程S1では、トンネル90の軸線方向に間隔をあけると共にトンネル90の内面90Bに沿って複数の支保工92を構築する。支保工92は、所謂H鋼材であり、トンネル90の内面90Bに沿って湾曲している(図1参照)。支保工92は、H鋼材の一対のフランジ92Aをトンネル90の内面90Bと平行にし、ウェブ92Bをトンネル90の内面90Bに直交させた姿勢で路面上に立設される(図11も参照)。なお、支保工92は、一方のフランジ92Aをトンネル90の内面90Bに接触させ、1つの作業区間に少なくとも2つ立設される。
【0044】
次に、角度設定工程S2の前段階として、操縦者は、クレーン2を移動させ、ブーム12の先端部に取り付けられたパネル支持装置3の吸着ユニット6(各吸着パッド51)をパネル91上に配置する。作業者は、送信機4を操作し、チルト角調整シリンダ46を駆動させ、吸着ユニット6を平置きされたパネル91と略平行となる姿勢にする(図2に示す二点鎖線参照)。作業者は、送信機4を操作し、バキュームポンプ52を駆動させ、パネル91を複数の吸着パッド51に吸着させる。なお、パネル91は、トンネル90内での固定位置に応じて、平板状に形成されてたり、曲面状に形成されたりしている(図1参照)。複数種類のパネル91を用いて、トンネル90の側壁や天井等、トンネル90の内面90B全体が覆工される。また、パネル91には、背面(裏面)から突出するようにインサート金具91Aが固定されている(図11参照)。また、パネル91を吸着支持するにあたり、8つ全ての吸着パッド51を使用する必要はなく、1つ以上の吸着パッド51にパネル91が吸着支持されていればよい。
【0045】
続いて、角度設定工程S2では、回転部32をロール軸A1まわりに回転させて吸着ユニット6に吸着したパネル91のロール角を設定する。作業者は、把手37を握ってハンドル36(入力軸35)を回転させ、固定部31(ブーム12)に対して回転部32を回転させる。回転部32の回転に伴って、第2ユニット40および吸着ユニット6もロール軸A1まわりに回転する。作業者は、吸着ユニット6に吸着されたパネル91が所望の角度(ロール角)になるまで回転させる。
【0046】
図10に示すように、搬送固定工程S3では、吸着ユニット6を3軸A1,A2,A3まわりに回転(回動)させて吸着ユニット6に吸着したパネル91の角度と姿勢を調整しながらクレーン2のブーム12を操作して軸線方向に隣り合う支保工92の間にパネル91を配置する。なお、最下段のパネル91は、クレーン2のブーム12の起伏可能範囲外であるため、搬送固定工程S3に先立って、2人以上の作業者によって人力で配置される。
【0047】
搬送固定工程S3において、操縦者は、クレーン2を操縦し、上部旋回体11を旋回させたり、ブーム12を起伏・伸縮させたりして、吸着ユニット6に吸着させたパネル91を支保工92間に搬送する。作業者は、パネル91を目視しながら送信機4を操作し、ロール角調整モータ45、チルト角調整シリンダ46およびスイベル角調整シリンダ47を遠隔操作し、パネル91の角度や姿勢を変更する。また、作業者は、操縦者に対してパネル91の移動方向を指示する。操縦者は、作業者からの指示に従い、上部旋回体11を旋回させたり、ブーム12を起伏・伸縮させたりして、パネル91の位置を微調整する。なお、パネル91は、軸線方向の両端部を支保工92の一対のフランジ92Aの間に入れ込まれ、手前側のフランジ92Aの裏面に接触させた状態で、隣り合う支保工92の間に架設される(図11参照)。
【0048】
また、搬送固定工程S3では、支保工92の間に配置されたパネル91を支保工92に固定する。作業者は、パネル91と支保工92のフランジ92Aとに固定板(図示せず)を架け渡してボルト等の締結部材(図示せず)で固定(仮固定)する。以降、角度設定工程S2と搬送固定工程S3とが繰り返され、隣り合う支保工92の間において、パネル91が下方から上方(天井)に向かって順に積み重ねられる(図8のステップSJでNO)。なお、上方のパネル91を配置、固定する場合、作業者は、組み立てられた足場(図示せず)に乗って作業を行うとよい。
【0049】
例えば、1つの作業区間において、車線片側の天井部分のパネル91が固定される(積み上げられる)と(図8のステップSJでYES)、充填工程S4が行われる。なお、充填工程S4は、1つの作業区間において車線両側のパネル91が固定された後に行われてもよい。図11に示すように、充填工程S4では、既設のトンネル90の内面90Bとパネル91との間に補強材93を充填する。補強材93(例えば、無収縮モルタル等)が充填されることで、パネル91の背面側に突設されたインサート金具91Aが補強材93に埋め込まれる。これにより、パネル91は、補強材93を介して支保工92や既設の内巻覆工90A(内面90B)と一体化され、耐震構造を構成する。
【0050】
以上によって、1つの作業区間におけるトンネル補強工法が終了する。なお、全ての作業区間(トンネル90の内面90B全体)がパネル91によって覆工されることで、トンネル補強工法が完全に終了(竣工)する。
【0051】
以上説明した本実施形態に係るパネル支持装置3によれば、吸着ユニット6に吸着(支持)させたパネル91を、クレーン2によって固定位置まで運搬することができる。また、回転部32がロール軸A1まわりに回転されると共に、吸着ユニット6がパネル91を吸着しながら、駆動部44の作用により3軸A1,A2,A3を中心に回転(回動)することで、パネル91の角度と姿勢とを自由に調整することができる。これにより、パネル91を運搬して支保工92に固定する作業負担を軽減することができる。その結果、作業の省力化を図ることができ、作業時間を短縮することができる。
【0052】
また、本実施形態に係るパネル支持装置3によれば、連結部材43が回転部32から径方向の外側に延びているため、回転部32と共に回転する第2ユニット40がブーム12の先端部に干渉することが予防される(図2参照)。これにより、吸着ユニット6に吸着させたパネル91をロール軸A1まわりに円滑に回転させることができる。
【0053】
また、本実施形態に係るパネル支持システム1によれば、作業者は送信機4を介して吸着ユニット6の回転を遠隔操作することができる。これにより、吸着ユニット6に吸着されたパネル91を離れた位置から目視で確認しつつ、パネル91の角度と姿勢とを正確に調整することができる。
【0054】
ここで、図12を参照して、本実施形態に係るパネル支持装置3と、比較例に係るパネル支持装置(図示せず)とが、取り付けることができるパネル91の範囲(枚数)について説明する。図12はパネル支持装置3と比較例とにおいて、取り付けることができるパネル91の範囲(枚数)を示す概略図である。
【0055】
図12では図示を省略しているが、クレーン2は、路面上の所定位置(図12の左右方向の略中央)に配置され、上部旋回体11の旋回を可能とするが、路面上を移動(走行)しないと仮定する。図示は省略するが、比較例に係るパネル支持装置は、第1ユニット30が省略され、連結部材43がブーム12の先端部に固定され、第2ユニット40が連結部材43の先端部に固定されているものとする。また、比較例に係るパネル支持装置では、角度調整ユニット5がブーム12の下側に配置されているものとする。図12では、本実施形態に係るパネル支持装置3および比較例に係るパネル支持装置の両者によって取付可能なパネル91にはハッチ(斜線)が入れられ、本実施形態に係るパネル支持装置3のみによって取付可能なパネル91にはドットが入れられ、ブーム12の起伏可能範囲外で取付不能なパネル91は一点鎖線で示し、ブーム12を最も縮めた状態でトンネル90の内面90Bに干渉して取付不能なパネル91は二点鎖線で示している。
【0056】
図12に示すように、比較例に係るパネル支持装置では、取付可能なパネル91(ハッチ)が、非常に少なく、二点鎖線で示すパネル91の範囲の上側にのみ分布している。したがって、比較例に係るパネル支持装置では、クレーン2を頻繁に移動させたり、ブーム12から一旦取り外した連結部材43のロール角を変えて再び取り付けたりしなければならず、パネル91を効率良く取り付けることができないものと考えられる。
【0057】
これに対し、本実施形態に係るパネル支持装置3では、取付可能なパネル91(ハッチおよびドット)が、比較例に係るパネル支持装置に比べて、大幅に増加している。本実施形態に係るパネル支持装置3では、ハンドル36を回して回転部32を回転させることで、パネル91のロール角を簡単に再設定することができる。そして、ロール角を設定した後、駆動部44を操作してパネル91の角度と姿勢とを調整することができるため、パネル91を効率良く取り付けることが可能になる。なお、ブーム12を最も縮めた状態でも取付不能なパネル91(二点鎖線)は、クレーン2を移動させれば取付可能となる。
【0058】
なお、本実施形態に係るパネル支持装置3では、無線操縦(無線通信)の規格が、所謂ラジオコントロールであったが、本発明はこれに限定されない。無線操縦(無線通信)の他の規格として、例えば、赤外線通信やブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信、無線LANまたは携帯電話通信網等、他の無線通信規格が採用されてもよい。なお、上記した他の規格を採用する場合には、各規格に必要な機器(例えば、インターネット回線や携帯電話回線に接続するための機器等)がパネル支持装置3に搭載されることは言うまでもない。
【0059】
また、本実施形態に係るトンネル補強工法では、作業者が回転部32は手動で回転させていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハンドル36を入力軸35から取り外し、入力軸35に噛み合う工具(図示せず)を取り付けた電動ドライバ(図示せず)を回転させることで、入力軸35を回転させてもよい。また、他にも、電動モータ等の駆動源が、回転部32(インライン減速機33)を回転させる構成としてもよい(図示せず)。
【0060】
また、本実施形態に係るパネル支持装置3(パネル支持システム1)は、建造物の一例としての既設のトンネル90の内巻覆工90Aをパネル91で補強する工事に用いられていたが、建造物はトンネル90に限定されない。例えば、建造物は、倉庫やビル等の建物であってもよく、パネル支持装置3(パネル支持システム1)は、建物の内壁をパネル91で補強する工事に用いられてもよい(図示せず)。つまり、本明細書において、「建造物」とは、天井や側壁を有して閉じられた内部空間(一部は開放されていてもよい)を持つ構造物を指しており、例えば、落石を防止するための防護壁等、開かれた空間に構築される構造物は除外する意味である。また、パネル91は、ダクタル板に限らず、金属板、合成樹脂板、板ガラス等、建造物や補強目的等に応じて適宜変更することができる。
【0061】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係るパネル支持装置、パネル支持システムおよびトンネル補強工法における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0062】
1 パネル支持システム
2 クレーン
3 パネル支持装置
4 送信機
5 角度調整ユニット
6 吸着ユニット
7 受信機
8 制御部
12 ブーム
30 第1ユニット
31 固定部
32 回転部
40 第2ユニット
43 連結部材
44 駆動部
90 トンネル(建造物)
90B 内面
91 パネル
92 支保工
A1 ロール軸
A2 チルト軸
A3 スイベル軸
S1 支保工構築工程
S2 角度設定工程
S3 搬送固定工程
S4 充填工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12