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特開2024-809検査装置、テンプレートの製造方法、及び検査方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000809
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】検査装置、テンプレートの製造方法、及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20231226BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20231226BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099730
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 啓介
(72)【発明者】
【氏名】吉川 綾司
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
5F146
【Fターム(参考)】
2G051AA56
2G051AB01
2G051AB02
2G051AC21
2G051BA05
2G051BA10
2G051BA11
2G051BA20
2G051BB03
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
2G051DA07
2G051ED30
4M106AA01
4M106AA09
4M106BA05
4M106BA07
4M106DB04
4M106DJ15
4M106DJ17
5F146AA32
(57)【要約】
【課題】高さが異なる複数のパターンの欠陥検査を高精度に行うこと。
【解決手段】実施形態の検査装置は、基準面からの高さが異なる複数のパターンを有する試料の欠陥検査を行う検査装置であって、複数のパターンを撮像する撮像部と、複数のパターンの高さ方向において、撮像部の焦点を合わせる複数の焦点位置を決定する焦点決定部と、複数のパターンを高さ方向から撮像した画像であって、複数の焦点位置のそれぞれにおいて、焦点を合わせた複数の画像を撮像部に撮像させる画像取得部と、複数のパターンのうち焦点が合っているパターンを含む領域を複数の画像のそれぞれから抽出して合成画像を生成する画像合成部と、合成画像から試料の欠陥を検査する欠陥判定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準面からの高さが異なる複数のパターンを有する試料の欠陥検査を行う検査装置であって、
前記複数のパターンを撮像する撮像部と、
前記複数のパターンの高さ方向において、前記撮像部の焦点を合わせる複数の焦点位置を決定する焦点決定部と、
前記複数のパターンを前記高さ方向から撮像した画像であって、前記複数の焦点位置のそれぞれにおいて、焦点を合わせた複数の画像を前記撮像部に撮像させる画像取得部と、
前記複数のパターンのうち焦点が合っているパターンを含む領域を前記複数の画像のそれぞれから抽出して合成画像を生成する画像合成部と、
前記合成画像から前記試料の欠陥を検査する欠陥判定部と、を備える、
検査装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、
前記基準面の高さ位置で焦点を合わせた基準画像を前記撮像部に撮像させ、
前記画像合成部は、
前記複数の画像から抽出した前記領域を前記基準画像の対応する領域に配置することで前記合成画像を生成する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記複数のパターンの設計データを取得する設計データ取得部を更に備え、
前記設計データは、
前記複数のパターンの前記基準面からのそれぞれの高さに関する高さ情報を含み、
前記焦点決定部は、
前記高さ情報に基づいて前記複数の焦点位置を決定する、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記設計データは、
前記複数のパターンの前記基準面における配置に関する配置情報を含み、
前記画像合成部は、
前記配置情報に基づいて前記領域を抽出する、
請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
基準面からの高さが異なる複数のパターンを有するテンプレートの製造方法であって、
前記複数のパターンの高さ方向において、撮像する画像の焦点を合わせる複数の焦点位置を決定し、
前記複数のパターンを前記高さ方向から撮像した画像であって、前記複数の焦点位置のそれぞれにおいて、焦点を合わせた複数の画像を撮像し、
前記複数のパターンのうち焦点が合っているパターンを含む領域を前記複数の画像のそれぞれから抽出して合成画像を生成し、
前記合成画像から前記複数のパターンの欠陥を検査する、
テンプレートの製造方法。
【請求項6】
基準面からの高さが異なる複数のパターンを有する試料の欠陥検査を行う検査方法であって、
前記複数のパターンの高さ方向において、撮像する画像の焦点を合わせる複数の焦点位置を決定し、
前記複数のパターンを前記高さ方向から撮像した画像であって、前記複数の焦点位置のそれぞれにおいて、焦点を合わせた複数の画像を撮像し、
前記複数のパターンのうち焦点が合っているパターンを含む領域を前記複数の画像のそれぞれから抽出して合成画像を生成し、
前記合成画像から前記試料の欠陥を検査する、
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査装置、テンプレートの製造方法、及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造に際して、高さが異なる複数のパターンを有するテンプレート、または、そのテンプレートのパターンが転写された半導体装置等の欠陥検査が行われる場合がある。欠陥検査においては、検査対象物の所定範囲を上方から撮像し、撮像した画像内に含まれる複数のパターン同士を比較する手法が採られる場合がある。
【0003】
しかしながら、複数のパターンは異なる高さを有するため、画像内の全てのパターンに焦点を合わせることが困難な場合がある。焦点がずれた画像部分のパターンについては検査精度が低下してしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-129385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、高さが異なる複数のパターンの欠陥検査を高精度に行うことができる検査装置、テンプレートの製造方法、及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の検査装置は、基準面からの高さが異なる複数のパターンを有する試料の欠陥検査を行う検査装置であって、前記複数のパターンを撮像する撮像部と、前記複数のパターンの高さ方向において、前記撮像部の焦点を合わせる複数の焦点位置を決定する焦点決定部と、前記複数のパターンを前記高さ方向から撮像した画像であって、前記複数の焦点位置のそれぞれにおいて、焦点を合わせた複数の画像を前記撮像部に撮像させる画像取得部と、前記複数のパターンのうち焦点が合っているパターンを含む領域を前記複数の画像のそれぞれから抽出して合成画像を生成する画像合成部と、前記合成画像から前記試料の欠陥を検査する欠陥判定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態にかかる検査装置の構成の一例を示す模式図。
図2】実施形態にかかる統括制御部の機能構成の一例を検査装置の他の構成とともに示すブロック図。
図3】実施形態にかかるテンプレートの構成の一例を示す模式図。
図4】実施形態にかかる検査装置によるテンプレートの検査の様子を順に例示する説明図。
図5】実施形態にかかる検査装置によるテンプレートの検査の様子を順に例示する説明図。
図6】実施形態にかかる検査装置によるテンプレートの検査の様子を順に例示する説明図。
図7】実施形態にかかる検査装置によるテンプレートの検査の様子を順に例示する説明図。
図8】実施形態にかかる検査装置によるテンプレートの検査の様子を順に例示する説明図。
図9】実施形態にかかる検査装置によるテンプレートの検査の様子を順に例示する説明図。
図10】実施形態にかかるマスタテンプレートの製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図11】実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図12】実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図13】実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図。
図14】実施形態にかかるテンプレートを用いたインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
図15】実施形態にかかるテンプレートを用いたインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
図16】実施形態にかかるテンプレートを用いたインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
図17】実施形態にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図18】実施形態にかかる検査装置による検査方法の手順の一例を示すフロー図。
図19】実施形態の変形例にかかるテンプレートの構成の一例を示す模式図。
図20】実施形態の変形例にかかるテンプレートを検査装置によって検査する様子を例示する説明図。
図21】実施形態の変形例にかかるテンプレートの製造方法の手順の一部を例示する断面図。
図22】実施形態の変形例にかかるテンプレートによるインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
図23】実施形態の変形例にかかるテンプレートによるインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
図24】実施形態の変形例にかかるテンプレートによるインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図。
図25】実施形態の変形例にかかる半導体装置の構成の一例を示す断面図。
図26】その他の実施形態にかかる検査装置の統括制御部の機能構成の一例を検査装置の他の構成とともに示すブロック図。
図27】その他の実施形態にかかる検査装置の統括制御部の機能構成の他の例を検査装置の他の構成とともに示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
[実施形態]
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(検査装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる検査装置1の構成の一例を示す模式図である。
【0011】
実施形態の検査装置1は、基準面からの高さが異なる複数のパターンを有するテンプレートTM等の試料の欠陥検査を行う光学式検査装置として構成されている。光学式検査装置は、試料に光を照射し、その反射光から試料の欠陥および異物等を検出する。
【0012】
テンプレートTMは、例えば半導体装置を製造するためのインプリント処理で用いられる。インプリント処理では、テンプレートTMのパターンが被加工膜上のレジスト膜等に転写され、被加工膜の加工に用いられる。
【0013】
図1に示すように、検査装置1は、検査機構10、統括制御部20、撮像制御部21、光源制御部22、ステージ制御部23、記憶装置31、表示装置32、及び入力装置33を備える。
【0014】
検査機構10は、検査装置1の物理的、機械的な構成部分であって、撮像部11、光源12、ステージ13、照明レンズ14t、結像レンズ14m、対物レンズ14j、ビームスプリッタ15、及び駆動機構16を備える。
【0015】
ステージ13は、検査対象の試料であるテンプレートTMを載置可能に構成されている。駆動機構16は、ステージ制御部23の制御下で、ステージ13を縦横および上下に駆動させる。これにより、ステージ13上に載置されたテンプレートTMの対物レンズ14jに対する相対位置が変更される。
【0016】
光源12は、アルゴンイオンレーザ発振器または水銀ランプ等であり、ステージ13に載置されたテンプレートTMに深紫外線(DUV:Deep Ultraviolet)等の光を照射する。光源12には図示しない高圧電源回路が接続されている。その高圧電源回路から電圧が印加されることによって、光源12は所望の波長の光を生成して照射する。
【0017】
光源12からの光は、照明レンズ14tを透過してビームスプリッタ15へと到達する。ビームスプリッタ15は、照明レンズ14tに対して略45°に傾いた反射面を有している。ビームスプリッタ15の反射面は、所定方向に偏光した光を反射させ、他の方向に偏光した光を透過させる。
【0018】
これにより、照明レンズ14tから照射された光は、ステージ13上のテンプレートTMの方向へと反射される。また、テンプレートTMから反射して、ビームスプリッタ15に返ってきた光は、撮像部11の方向へと透過される。
【0019】
対物レンズ14jは、ステージ13上のテンプレートTM側に配置され、ビームスプリッタ15によって反射された光の焦点をテンプレートTMの観測面に合わせる。結像レンズ14mは、テンプレートTMから反射してビームスプリッタ15を透過した光を撮像部11に結像させる。
【0020】
撮像部11は、例えば電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)、または相補性金属酸化膜半導体(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等を用いたカメラである。撮像部11は、テンプレートTMからの光を対物レンズ14jが結像した像を撮像する。撮像部11が撮像した画像は、統括制御部20へと送信されて記憶装置31に格納される。
【0021】
統括制御部20は、撮像制御部21、光源制御部22、及びステージ制御部23に接続されており、各種の制御信号を生成してこれらへと送る。これにより、統括制御部20は、撮像制御部21、光源制御部22、及びステージ制御部23を介して検査機構10を制御するとともに、検査装置1の全体を管理し制御する。
【0022】
撮像制御部21は、統括制御部20からの指令に基づいて、撮像部11を作動させる制御信号を生成し、テンプレートTMの観測面の所定範囲を含む画像を撮像させる。光源制御部22は、統括制御部20からの指令に基づいて、図示しない高圧電源回路から光源12に電圧を印加させる制御信号を生成して光を照射させる。ステージ制御部23は、統括制御部20からの指令に基づいて、駆動機構16を駆動させる制御信号を生成し、ステージ13を駆動させる。
【0023】
記憶装置31は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等であり、統括制御部20の補助記憶装置として機能する。記憶装置31には、例えば撮像部11が撮像した画像、検査対象物であるテンプレートTMのパターン情報、各種検査条件、及び欠陥判定の閾値等が格納される。
【0024】
表示装置32は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のモニタであって、例えば撮像部11が撮像した画像、テンプレートTMのパターン情報、各種検査条件、及び欠陥判定の閾値等を表示する。
【0025】
入力装置33は、キーボード、マウス、その他、検査装置1のユーザが統括制御部20への指示を入力可能なインターフェースである。ユーザは、入力装置33を介して、検査装置1への指示、各種検査条件、及び欠陥判定の閾値等を入力可能である。
【0026】
(統括制御部の構成例)
次に、図2を用いて、実施形態の検査装置1が備える統括制御部20の構成例について説明する。図2は、実施形態にかかる統括制御部20の機能構成の一例を検査装置1の他の構成とともに示すブロック図である。
【0027】
実施形態の統括制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えたコンピュータとして構成されている。統括制御部20のCPUが、ROM等に格納される制御プログラムをRAMに展開して実行することで、以下に述べる機能部が実現される。
【0028】
図2に示すように、統括制御部20は、機能部として、検査部201、画像管理部202、表示制御部203、入力受け付け部204、設計データ取得部205、焦点決定部206、画像合成部207、及び欠陥判定部208を備える。
【0029】
検査部201は、例えば上述の撮像制御部21、光源制御部22、及びステージ制御部23に各種制御信号を送り、これらを介して検査機構10を制御して、テンプレートTMの欠陥検査に必要な画像を生成させる。
【0030】
このとき、検査部201は、例えばユーザが入力した各種検査条件、及び設計データ取得部205が設計装置50から取得した設計データ等に基づいて、検査機構10の各部を制御する。後述するように、設計データは、検査対象物であるテンプレートTMのパターン情報を含む。例えばテンプレートTMは、上述したように、基準面からの高さが異なる複数のパターンを有する。このため、検査部201は、例えば設計データに基づいて、高さ方向の焦点位置を順次変更させつつ、複数の画像を撮像部11に撮像させる。
【0031】
検査部201は、上記のように撮像された複数の画像を撮像部11から取得する。このように、検査部201は、例えば撮像部11から複数の画像を取得する画像取得部として機能する。
【0032】
画像管理部202は、撮像部11が撮像した複数の画像、これらの画像を後述する画像合成部207が補正した補正画像、及びこれらの補正画像を画像合成部207が合成した合成画像等を管理する。具体的には、画像管理部202は、複数の画像、補正画像、及び合成画像等を記憶装置31に格納する。また、画像管理部202は、これら複数の画像、補正画像、及び合成画像等を記憶装置31から読み出す。
【0033】
表示制御部203は、表示装置32における各種の表示を制御する。具体的には、表示制御部203は、例えばユーザからの指示にしたがって、複数の画像、補正画像、及び合成画像等を表示装置32に表示させる。また、表示制御部203は、設計装置50から取得したテンプレートTMのパターン情報、並びに入力装置33から入力された各種検査条件および欠陥判定の閾値等を表示装置32に表示させる。
【0034】
入力受け付け部204は、入力装置33から入力された検査装置1への指示、各種検査条件、及び欠陥判定の閾値等を受け付ける。
【0035】
設計データ取得部205は、テンプレートTMの設計データを設計装置50から取得する。設計装置50は、テンプレートTMの設計を行うことが可能なコンピュータ支援設計(CAD:Computer Aided design)装置等であり、これまでに生成した、テンプレートTMの設計データを保有している。テンプレートTMの設計データには、例えばテンプレートTMに形成される複数のパターンの基準面からの高さ、及び基準面における複数のパターンの配置等に関するパターン情報が含まれる。
【0036】
焦点決定部206は、設計データに含まれるパターン高さの情報に基づいて、複数のパターンの高さ方向における複数の焦点位置を決定する。撮像部11によってテンプレートTMの画像を撮像する際には、それぞれの焦点位置で撮像部11の焦点を合わせた複数の画像が撮像される。
【0037】
画像合成部207は、複数の画像を合成して合成画像を生成する。合成画像を生成するにあたり、画像合成部207は、まず、撮像部11が撮像した画像における輝度、倍率、並びに撮像位置の縦横方向および回転方向のずれ等を補正する。そして、画像合成部207は、複数の補正画像を合成して合成画像を生成する。画像合成部207の詳細機能については後述する。
【0038】
欠陥判定部208は、ユーザが入力した欠陥判定の閾値等に基づき、合成画像に欠陥が含まれるか否かを判定する。
【0039】
なお、図2に示す統括制御部20の機能構成は、あくまでも一例であって、統括制御部20は上記とは異なる機能構成を備えていてもよい。
【0040】
例えば、統括制御部20は、テンプレートTMの設計データを設計装置50から取得することとしたが、ユーザが入力装置33から設計データ、またはテンプレートTMのパターン情報を入力可能であってもよい。また、記憶装置31、表示装置32、及び入力装置33の少なくともいずれかがコンピュータとして構成される統括制御部20に内蔵されていてもよい。
【0041】
また、上述のように汎用コンピュータが制御プログラムを実行することで、統括制御部20の機能が実現されてもよく、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated circuit)により、統括制御部20の一部または全部の機能が実現されてもよい。
【0042】
(検査装置の機能例)
次に、図3図9を用いて、実施形態の検査装置1の詳細の機能例について説明する。まずは、以下に、検査装置1における検査対象となるテンプレートTMの詳細構成の例について説明する。
【0043】
図3は、実施形態にかかるテンプレートTMの構成の一例を示す模式図である。図3(a)はテンプレートTMの基準面RPにおける斜視図であり、図3(b)は基準面RPの上面図である。図3(c)は、テンプレートTMの全体構成を示す断面図である。
【0044】
図3(c)に示すように、実施形態のテンプレートTMは、例えば石英等の透明基板BAを備える。透明基板BAは、透明基板BAの一方の面である表面側に突出し、基準面RPを有するメサ部MSを備える。透明基板BAの裏面側にはザグリCNが形成されている。これにより、透明基板BAの裏面中央部は窪んでいる。
【0045】
メサ部MSの基準面RPからは、高さが異なる複数の柱状パターンCL(CLa,CLb,CLc・・・)が突出している。これらの柱状パターンCLは、例えば基準面RPに占める面積が略等しく、高さが異なる四角柱となっている。また、これらの柱状パターンCLの数は例えば数十~百程度である。
【0046】
図3(a)(b)は、上記の複数の柱状パターンCLのうちの一部を示している。図3(a)(b)に示すように、複数の柱状パターンCLのうち、柱状パターンCLa~CLdは、例えば一方方向に向かって順次、基準面RPからの高さが増すように一列に配置されている。これらの柱状パターンCLa~CLdにおいて、隣接する柱状パターンCL同士の高さの差は、例えば数nm~数十nm程度である。
【0047】
柱状パターンCLa~CLdの配列と交差する方向には、これらの柱状パターンCLa~CLdに隣接して、同様に基準面RPからの高さが増していく柱状パターンCLe~CLhが一列に配置されている。柱状パターンCLe~CLhのうち最も低い柱状パターンCLeは、柱状パターンCLa~CLdのうち最も高い柱状パターンCLdよりも高く基準面RPから突出している。柱状パターンCLd,CLe同士の高さの差は、例えば数nm~数十nm程度である。
【0048】
このように、テンプレートTMの基準面RPには、一方方向に向かって順次、高さが増していく複数列の柱状パターンCLa~CLd,CLe~CLh,CLi~CLl,CLm~CLp・・・が、これらの配列方向と交差する方向に配置されている。
【0049】
ただし、図3(a)(b)に示すこれら複数の柱状パターンCLの配列順、及び配置位置等はあくまで一例であり、テンプレートTMの複数の柱状パターンCLは上記とは異なる配列順、または配置を有していてもよい。
【0050】
例えば、このような複数の柱状パターンCLを有するテンプレートTMを、実施形態の検査装置1で検査する場合の例を図4図9に示す。図4図9は、実施形態にかかる検査装置1によるテンプレートTMの検査の様子を順に例示する説明図である。
【0051】
図4に示すように、上述の図3(b)に示した16個の柱状パターンCLa~CLpは、撮像部11によって1回あたりに撮像される範囲、つまり、撮像部11のフレームFMに収まるものとする。
【0052】
ここで、検査装置1のような光学式欠陥検査装置においては、検査に用いる光の焦点深度は、50nm~200nm程度であって、例えば50nm程度である。つまり、この焦点深度の場合に、1回の撮像で焦点を合わせることができるのは、高さにして例えば50nm~200nmの範囲内である。このため、1つの画像内に収まる柱状パターンCLa~CLpの全てに焦点を合わせることは困難な場合がある。
【0053】
そこで、検査装置1は、これらの柱状パターンCLa~CLpを含む領域を、高さ方向に焦点位置を変更しつつ、複数回撮像する。
【0054】
より具体的には、テンプレートTMの欠陥検査にあたり、検査装置1を制御する統括制御部20の焦点決定部206は、設計データ取得部205が取得した設計データに含まれる高さ情報に基づいて、撮像部11の焦点を合わせる焦点位置を高さ方向に複数、決定する。
【0055】
このとき、焦点決定部206は、複数の柱状パターンCLのそれぞれの上端部に焦点を合わせるのに必要な数の焦点位置を算出する。焦点位置の必要数、つまり、テンプレートTMの撮像において、焦点位置を変更する回数(ステップ数)は、例えば検査のときに用いられる光の焦点深度と、複数の柱状パターンCLのうち最も高い柱状パターンCLと、最も低い柱状パターンCLとから算出可能である。
【0056】
このように決定された高さ方向の複数の焦点位置で、順次、焦点を合わせていきながら複数の画像を撮像することで、複数の柱状パターンCLの全てが、これら複数の画像のいずれかにおいて焦点の合った状態で撮像されることとなる。
【0057】
なお、設計データがCADデータ等である場合などには、高さ情報が、複数の柱状パターンCLの基準面RPからの階層数(レイヤ数)等で示されていてもよい。この場合、焦点決定部206が、1つの階層の厚さから、複数の柱状パターンCLのそれぞれの高さ位置を算出してもよい。
【0058】
検査部201は、設計データから決定された複数の焦点位置の情報に基づいて、検査機構10が備えるステージ制御部23に駆動機構16を駆動させる制御信号を送る。ステージ制御部23は、検査部201からの指令にしたがって駆動機構16を制御して、ステージ13を上下動させる。これにより、テンプレートTMに入射する光の焦点位置が調整される。
【0059】
また、検査部201は、ステージ制御部23に制御信号を送るとともに、検査機構10が備える撮像制御部21に撮像部11を作動させる制御信号を送る。撮像制御部21は、検査部201からの指令にしたがって、ステージ制御部23によるステージ13の上下動に合わせて撮像部11を作動させ、複数の画像IM0~IM8を撮像させる。これにより、複数の焦点位置のそれぞれにおいて焦点が合った複数の画像IM0~IM8が取得される。
【0060】
ここで、複数の画像IM0~IM8のうち、画像IM0は、基準面RPの高さ位置付近に焦点を合わせて撮像された画像である。したがって、画像IM0に含まれる複数の柱状パターンCLa~CLpのいずれにも焦点は合っていない。ただし、画像IM0からは、これらの柱状パターンCLa~CLpの配置位置が把握可能である。
【0061】
また、画像IM1は、複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、柱状パターンCLa,CLbの上端部の高さ位置付近に焦点を合わせて撮像された画像である。つまり、画像IM1においては、含まれている複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、柱状パターンCLa,CLbに焦点が合っている。
【0062】
なお、柱状パターンCLaと柱状パターンCLbとでは、厳密には焦点が合う高さ位置は異なっている。しかし、これらの柱状パターンCLa,CLbの高さの差が、検査に用いる光の焦点深度のスペック内であれば、柱状パターンCLa,CLbのそれぞれに対して焦点が合っているものとみなすことができる。
【0063】
換言すれば、所定の柱状パターンCLに焦点が合った状態とは、例えば欠陥検査を行ううえで充分な精度が得られる程度に焦点が合っていることを意味する。検査に必要な精度が得られる画像の感度は、例えば画像内の柱状パターンCLの境界部分のコントラストの変化量等によって規定することが可能である。
【0064】
上述のように、焦点決定部206は、例えば撮像部11の性能、及び検査のときに用いられる光の焦点深度等に基づいて、1回あたりの撮像において焦点を合わせることが可能な柱状パターンCLの数を特定し、検査に必要な数の焦点位置を決定する。したがって、1つの画像に含まれる焦点が合った柱状パターンCLの数は、図4の例によらず、撮像部11の性能、及び検査に用いる光の焦点深度等によって異なりうる。
【0065】
画像IM1と同様に、画像IM2~IM8は、複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、柱状パターンCLc,CLd、柱状パターンCLe,CLf、柱状パターンCLg,CLh、柱状パターンCLi,CLj、柱状パターンCLk,CLl、及び柱状パターンCLo,CLpの上端部の高さ位置付近に、それぞれ焦点を合わせて撮像された画像である。
【0066】
これにより、1つの画像内に含まれる複数の柱状パターンCLa~CLpの全てが、画像IM1~IM8のいずれかにおいて焦点の合った状態で撮像されたこととなる。
【0067】
図5に示すように、検査装置1の統括制御部20は、これらの画像IM0~IM8を合成する。このとき、統括制御部20は、いずれの柱状パターンCLにも焦点が合っていない画像IM0を基準画像として、それぞれの画像IM1~IM8の一部を当てはめていく。図6図9に、より詳細な説明図を示す。
【0068】
図6に示すように、統括制御部20の画像合成部207は、画像IM1における輝度、倍率、並びに撮像位置の縦横方向および回転方向のずれ等を必要に応じて補正する。画像IM1~IM8間の輝度には、例えば経時変化等が起こり得る。撮像位置には、例えばステージ13の振動等によってずれが生じうる。画像合成部207は、画像IM1~IM8の合成を行う前に、これら輝度、倍率、及び撮像位置のずれを補正する。
【0069】
図6の例では、画像IM1には回転方向に撮像位置のずれが生じていたものとする。このような撮像位置のずれは、例えば設計データに基づき判定することができる。画像合成部207は、位置ずれした方向とは逆方向に画像IM1を回転させて補正する。
【0070】
また、画像合成部207は、補正した画像IM1に含まれる複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、上端部に焦点が合っている柱状パターンCLを含む領域を抽出する。画像IM1は、柱状パターンCLa,CLbの上端部に焦点を合わせて撮像された画像である。したがって、画像合成部207は、画像IM1から、柱状パターンCLa,CLbを含む領域を抽出する。
【0071】
画像IM1において、どの領域を抽出すべきかは、例えばテンプレートTMの設計データに基づいて判定することができる。設計データには、例えば複数の柱状パターンCLa~CLpの基準面RPにおける座標と、それらの座標に紐づけられた高さ情報とが含まれる。このため、画像合成部207は、画像IM1が高さ方向のいずれの焦点位置に焦点を合わせて撮像された画像であるかを参照し、その焦点位置に対応する高さ情報が紐づいた基準面RP上の座標と照合して、抽出すべき柱状パターンCLa,CLbが含まれる領域を特定する。
【0072】
画像合成部207は、画像IM1から抽出した柱状パターンCLa,CLbを含む領域を基準画像である画像IM0に当てはめる。上述のように、画像IM0においては、全ての柱状パターンCLa~CLpの焦点がずれた状態である。しかし、画像IM0上で、個々の柱状パターンCLa~CLpの配置位置は確認できるため、画像IM1から抽出した領域を、画像IM0上の柱状パターンCLa,CLbの配置位置に当てはめることが可能である。
【0073】
図7に示すように、画像合成部207は、画像IM2における輝度、倍率、並びに撮像位置の縦横方向および回転方向のずれ等を補正する。図7の例では、画像IM2には縦方向および横方向に撮像位置のずれが生じていたものとする。画像合成部207は、このような撮像位置のずれを、例えば設計データに基づき判定し、位置ずれした方向とは逆方向に画像IM2を移動させて補正する。
【0074】
また、画像合成部207は、画像IM2が撮像されたときの焦点位置、及びその焦点位置に対応する高さ情報が紐づいた座標に基づいて、補正した画像IM2に含まれる複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、上端部に焦点が合っている柱状パターンCLc,CLdを含む領域を抽出する。画像合成部207は、画像IM2から抽出した領域を、画像IM0上の柱状パターンCLc,CLdの配置位置に当てはめる。
【0075】
図8に示すように、画像合成部207は、画像IM3における輝度、倍率、及び撮像位置のずれ等を補正する。図8の例では、画像IM3には回転方向に撮像位置のずれが生じていたものとする。画像合成部207は、このような撮像位置のずれを、例えば設計データに基づき判定し、位置ずれした方向とは逆方向に画像IM3を回転させて補正する。
【0076】
また、画像合成部207は、画像IM3が撮像されたときの焦点位置、及びその焦点位置に対応する高さ情報が紐づいた座標に基づいて、補正した画像IM3に含まれる複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、上端部に焦点が合っている柱状パターンCLe,CLfを含む領域を抽出する。画像合成部207は、画像IM3から抽出した領域を、画像IM0上の柱状パターンCLe,CLfの配置位置に当てはめる。
【0077】
画像合成部207は、画像IM4~IM7についても同様に処理を進めていく。つまり、画像IM4~IM7における輝度、倍率、及び撮像位置のずれ等をそれぞれ補正し、画像IM4~IM7から焦点が合った柱状パターンCLを含む領域をそれぞれ抽出し、画像IM0の対応する位置に当てはめていく。
【0078】
図9に示すように、画像合成部207は、画像IM8における輝度、倍率、及び撮像位置のずれ等を補正する。図9の例では、画像IM8には撮像位置のずれが生じていなかったものとする。画像合成部207は、画像IM8撮像位置のずれの有無を、例えば設計データに基づき判定し、位置ずれが無ければ、輝度および倍率等のその他の補正のみを施す。
【0079】
また、画像合成部207は、画像IM8が撮像されたときの焦点位置、及びその焦点位置に対応する高さ情報が紐づいた座標に基づいて、補正した画像IM8に含まれる複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、上端部に焦点が合っている柱状パターンCLo,CLpを含む領域を抽出する。画像合成部207は、画像IM8から抽出した領域を、画像IM0上の柱状パターンCLo,CLpの配置位置に当てはめる。
【0080】
このように、図6図9に示す処理により、複数の柱状パターンCLa~CLpの全てに焦点が合った合成画像が生成される。画像IM1~IM8を画像IM0上で組み合わせる際、上述のように、それぞれの画像IM1~IM8の輝度、倍率、及び撮像位置のずれを補正しているので、これらの画像IM1~IM8の境界部分における明度の差、及び位置ずれ等が抑制される。
【0081】
なお、図6図9においては、複数の柱状パターンCLa~CLpの低い側から順に、基準画像である画像IM0への当てはめを行っていくこととしたが、画像IM1~IM8の当てはめ順は上述の例に限られず任意である。
【0082】
欠陥判定部208は、生成された合成画像を用いて複数の柱状パターンCLa~CLpにおける欠陥の有無を判定する。
【0083】
このとき、欠陥判定部208は、例えば複数の柱状パターンCLa~CLpのうち、隣接する柱状パターンCL同士の比較、あるいは、1つの柱状パターンCLとその周囲の複数の柱状パターンCLとの比較を行うなどして、テンプレートTMにおけるいずれかの柱状パターンCLの形成不良、テンプレートTM上の異物、その他の欠陥の有無を判定する。
【0084】
このように、1つの画像内で複数のパターン同士を比較して欠陥検査を行う手法をCell-to-Cell検査などと呼ぶことがある。
【0085】
(テンプレートの製造方法)
実施形態の検査装置1による上述のテンプレートTMの欠陥検査は、例えばテンプレートTMの製造工程の一環として、複数の柱状パターンCLが形成されたテンプレートTMの品質をチェックするために行われる。以下に、図10図13を用いて、欠陥検査の対象となるテンプレートTM、及びテンプレートTMの製造に用いるマスタテンプレートTMmの製造方法について説明する。
【0086】
一例として、テンプレートTMの製造に際しては、まず、テンプレートTMの原版となるマスタテンプレートTMmを製造する。1つのマスタテンプレートTMmからは複数のテンプレートTMを製造することができる。
【0087】
図10は、実施形態にかかるマスタテンプレートTMmの製造方法の手順の一部を例示する断面図である。図10には、製造途中のマスタテンプレートTMmのメサ部MSmの拡大断面図を示す。
【0088】
図10(a)に示すように、マスタテンプレートTMmの透明基板の表面に突出するメサ部MSmを形成し、メサ部MSmの上面をクロム膜等のマスク膜で覆い、複数のホールパターン71hを有するマスクパターン71pを形成する。またこのとき、メサ部MSmを除く透明基板の上面を、図示しないクロム膜等のマスク膜で覆ってもよい。
【0089】
透明基板のメサ部MSmは、例えば透明基板を機械加工により研削することで形成される。複数のホールパターン71hは、例えば電子ビーム等を用いた電子描画技術でマスク膜を加工することで形成される。
【0090】
図10(b)に示すように、マスクパターン71pの一部を覆うレジストパターン81pをメサ部MSmの上面に形成する。レジストパターン81pは、例えば感光性の有機膜等であるレジスト膜を透明基板上に塗布して一部を感光させることで形成される。
【0091】
また、レジストパターン81pから露出したマスクパターン71pを介して、メサ部MSmを加工し、メサ部MSmの所定深さに到達するホールパターンHLkを形成する。
【0092】
図10(c)に示すように、レジストパターン81pを酸素プラズマ等によってスリミングする。これにより、マスクパターン71p上のレジストパターン81pの端部が後退し、マスクパターン71pが更に露出する。
【0093】
また、レジストパターン81pから露出したマスクパターン71pを介して、メサ部MSmを加工し、メサ部MSmの所定深さに到達するホールパターンHLjを形成する。またこのとき、既に形成済みのホールパターンHLkがより深く加工される。これにより、メサ部MRsにおける到達深さが異なるホールパターンHLj,HLkが形成される。
【0094】
図10(d)に示すように、レジストパターン81pを酸素プラズマ等でスリミングし、レジストパターン81pの端部を更に後退させて、マスクパターン71pを更に露出させる。
【0095】
また、レジストパターン81pから露出したマスクパターン71pを介して、メサ部MSmを加工し、メサ部MSmの所定深さに到達するホールパターンHLiを形成する。またこのとき、既に形成済みのホールパターンHLj,HLkがより深く加工され、メサ部MSmにおける到達深さが順に増していくホールパターンHLi,HLj,HLkが形成される。
【0096】
図10(e)に示すように、レジストパターン81pのスリミングと、メサ部MSmの加工とを繰り返し、メサ部MSmにおける到達深さが順に増していく複数のホールパターンHLa~HLkを形成する。これにより、マスタテンプレートTMmが製造される。その後、残ったレジストパターン81p及びマスクパターン71pは除去される。
【0097】
なお、図10においては、説明の便宜上、深さが増していくホールパターンHLa~HLkを1つの断面に示したが、マスタテンプレートTMmに形成されるホールパターンHLの数、及び配置は、テンプレートTMに形成される柱状パターンCLの数および配置に応じて任意に決定される。
【0098】
このように製造されたマスタテンプレートTMmを用いて、以下に述べるインプリント処理を行うことで、実施形態のテンプレートTMが製造される。
【0099】
図11図13は、実施形態にかかるテンプレートTMの製造方法の手順の一部を順に例示する断面図である。図11図13には、製造途中のテンプレートTMのメサ部MSの拡大断面図を示す。
【0100】
図11(a)に示すように、テンプレートTMの透明基板BA(図3(c)参照)の表面に突出するメサ部MSを形成し、メサ部MSの上面をレジスト膜82で覆う。またこのとき、メサ部MSを除く透明基板BAの上面を、図示しないクロム膜等のマスク膜で覆ってもよい。
【0101】
透明基板BAのメサ部MSは、上述のマスタテンプレートTMmの場合と同様、例えば透明基板BAを機械加工により研削することで形成される。レジスト膜82は、例えば紫外線等を照射することで硬化する光硬化型樹脂膜等であり、スピンコート等によるレジスト材の塗布、または、インクジェット方式によるレジスト材の滴下等によって形成される。この時点で、レジスト膜82は未硬化の状態である。
【0102】
このレジスト膜82に、マスタテンプレートTMmのホールパターンHLa~HLkを転写するため、ホールパターンHLa~HLkが形成された面をテンプレートTM側に向け、マスタテンプレートTMmをレジスト膜82に対向させる。
【0103】
図11(b)に示すように、マスタテンプレートTMmのホールパターンHLa~HLkをメサ部MS上のレジスト膜82に押し当てる。このとき、マスタテンプレートTMmのメサ部MSmがテンプレートTMのメサ部MSに接触しないよう、これらのメサ部MSm,MS間に若干の隙間を設ける。
【0104】
これにより、レジスト膜82の一部が、マスタテンプレートTMmのホールパターンHLa~HLk内に充填される。この状態で、マスタテンプレートTMmをレジスト膜82に押し当てたまま、マスタテンプレートTMmを透過させた紫外光等の光をレジスト膜82に照射すると、レジスト膜82が硬化する。
【0105】
図12(a)に示すように、マスタテンプレートTMmを離型すると、マスタテンプレートTMmのホールパターンHLa~HLkが転写されたレジストパターン82pが形成される。上述のように、マスタテンプレートTMmのメサ部MSmとテンプレートTMのメサ部MSとの間に隙間を設けた状態でレジスト膜82を硬化させているので、レジストパターン82pは、転写された各パターンの底部を接続するレジスト残膜82rを有している。
【0106】
図12(b)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、各パターン底部のレジスト残膜82rを除去する。また、レジストパターン82pを介してメサ部MSを加工する。これにより、レジストパターン82pの膜厚が減少していくとともに、レジストパターン82pから露出したメサ部MSの上面が除去されて、レジストパターン82pが転写された複数の柱状パターンCLa~CLkが形成される。
【0107】
レジストパターン82pを介したメサ部MSの加工を更に継続すると、柱状パターンCLa上の最も膜厚の薄かったレジストパターン82pが消失する。
【0108】
図12(c)に示すように、レジストパターン82pを介したメサ部MSの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン82pから露出したメサ部MS上面が更に除去されていき、複数の柱状パターンCLb~CLkのメサ部MS上面からの突出量が相対的に増す。また、柱状パターンCLb上のレジストパターン82pが消失する。
【0109】
一方、レジストパターン82pが消失し露出していた柱状パターンCLaにおいては、上端部が除去されて、他の柱状パターンCLb~CLkよりもメサ部MS上面からの突出量が小さくなる。
【0110】
図13(a)に示すように、レジストパターン82pを介したメサ部MSの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン82pから露出したメサ部MS上面が更に除去されていき、複数の柱状パターンCLc~CLkのメサ部MS上面からの突出量が相対的に増す。また、柱状パターンCLc上のレジストパターン82pが消失する。
【0111】
一方、レジストパターン82pが消失し露出していた柱状パターンCLbにおいては、上端部が除去されて、他の柱状パターンCLc~CLkよりもメサ部MS上面からの突出量が小さくなる。また、柱状パターンCLaにおいては、更に上端部が除去されて、柱状パターンCLbよりもメサ部MS上面からの突出量が小さくなる。
【0112】
図13(b)に示すように、レジストパターン82pを介したメサ部MSの加工を更に継続する。これにより、複数の柱状パターンCLのメサ部MS上面からの突出量が相対的に増すとともに、膜厚が薄かった順にレジストパターン82pが消失していき、複数の柱状パターンCLのうち、さらに幾つかの柱状パターンCLが露出する。
【0113】
図13(c)に示すように、上記のような加工を継続することにより、柱状パターンCLaから柱状パターンCLkへとメサ部MS上面からの突出量が順次増していく、複数の柱状パターンCLa~CLkが形成される。また、このとき露出しているメサ部MSの表面が、上述の基準面RPに相当することとなる。
【0114】
ここで、図11図13においては、説明の便宜上、高さが増していく柱状パターンCLa~CLkを1つの断面に示したが、テンプレートTMに形成される柱状パターンCLの数、及び配置は任意であり、テンプレートTMは例えば上述の図3の構成、またはその他の構成を有していてよい。
【0115】
その後、完成した複数の柱状パターンCLに対し、上述の図4図9に示す検査手法を用い、実施形態の検査装置1で欠陥検査を行う。欠陥検査で複数の柱状パターンCLのいずれかに欠陥が検出された場合には、そのテンプレートTMは不良判定され、廃棄されるか、あるいはリワークに回される。欠陥検査で欠陥が検出されなかった場合には、そのテンプレートTMは良品として、後述する半導体装置の製造に用いられる。
【0116】
以上により、実施形態のテンプレートTMが製造される。
【0117】
なお、上述のテンプレートTMの製造方法は、あくまでも一例であって、実施形態のテンプレートTMは、上記以外の方法で製造されてもよい。例えば上述の例によらず、マスタテンプレートTMmを用いることなく、テンプレートTMを製造してもよい。
【0118】
この場合、例えば透明基板BAのメサ部MS上面に、電子ビーム等によって直接、複数の柱状パターンCLを描画してもよい。あるいは、クロム膜等を用いたマスクパターンと、レジスト膜等を用いたレジストパターンとを用いて、複数の柱状パターンCLをエッチングにより形成してもよい。
【0119】
(テンプレートの使用例)
次に、図14図16を用いて、実施形態のテンプレートTMの使用例について説明する。テンプレートTMは、上述のように、例えば半導体装置の製造工程において、インプリント処理を行う際に使用される。したがって、以下に説明する図14図16の処理は、例えば半導体装置の製造方法の一環として実施される。
【0120】
図14図16は、実施形態にかかるテンプレートTMを用いたインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図である。
【0121】
図14(a)に示すように、インプリント処理の対象物として、下地膜UF上に被加工膜PFを形成する。下地膜UFは、シリコン基板の一部であってもよく、あるいは、シリコン基板上に形成されたシリコン酸化膜等の絶縁膜であってもよい。被加工膜PFは、例えば酸化シリコン層等の絶縁層と、窒化シリコン層等の絶縁層とが複数交互に積層された多層膜等であってよい。
【0122】
被加工膜PF上には、更にレジスト膜83を形成する。レジスト膜83は、上述のレジスト膜82と同様、例えば硬化前の光硬化型樹脂等であって、レジスト材の塗布または滴下等によって形成される。
【0123】
このレジスト膜83に、テンプレートTMの複数の柱状パターンCLを転写するため、柱状パターンCLが形成された面を被加工膜PF側に向けて、テンプレートTMをレジスト膜83に対向させる。
【0124】
図14(b)に示すように、テンプレートTMの柱状パターンCLを被加工膜PF上のレジスト膜83に押し当てる。このとき、テンプレートTMのメサ部MSが被加工膜PFに接触しないよう、突出量の最も大きい柱状パターンCLk及び被加工膜PF間に若干の隙間を設ける。
【0125】
この状態で、テンプレートTMをレジスト膜83に押し当てたまま、テンプレートTMを透過させた紫外光等の光をレジスト膜83に照射すると、レジスト膜83が硬化する。
【0126】
図15(a)に示すように、テンプレートTMを離型すると、テンプレートTMの柱状パターンCLが転写されたレジストパターン83pが形成される。上述のように、テンプレートTMと被加工膜PFとの間に隙間を設けた状態でレジスト膜83を硬化させているので、レジストパターン83pは、転写されたパターンのうち最も深穴のパターンの底部にレジスト残膜83rを有している。
【0127】
ここで、フォトリソグラフィ技術では、レジストパターン83pのように、レジスト膜中の到達深さが異なる複数のパターンを有するレジストパターンを一括形成することは困難である。このため、例えば複数回の露光現像処理等が必要となる。
【0128】
上記のように、テンプレートTMを用いた技術によれば、レジスト膜83中の到達深さが異なる複数のパターンが、1回のインプリント処理でレジスト膜83に形成される。
【0129】
図15(b)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、最も深穴のパターン底部のレジスト残膜83rを除去する。これにより、最も深穴のパターン底部に被加工膜PFの上面が露出する。
【0130】
また、レジストパターン83pを介して被加工膜PFを加工すると、レジストパターン83pから露出した被加工膜PFが除去されて、最も深穴のレジストパターン83pが転写されたホールCHkが形成される。また、レジストパターン83pの膜厚が減少して、最も深穴のパターンに隣接するパターン底部から新たに被加工膜PFが露出する。
【0131】
図16(a)に示すように、レジストパターン83pを介した被加工膜PFの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン83pから新たに露出した被加工膜PFの上面が除去されて、ホールCHjが形成される。被加工膜PFにおけるホールCHkの到達深さは更に増す。また、レジストパターン83pの膜厚が減少して、ホールCHjに隣接するパターン底部から新たに被加工膜PFが露出する。
【0132】
図16(b)に示すように、レジストパターン83pを介した被加工膜PFの加工を更に継続する。これにより、被加工膜PFにおける複数のホールCHの到達深さが更に増していくとともに、テンプレートTMにより転写されたパターンの深さが深い順に、パターン底部から新たに被加工膜PFが露出していき、新たなホールCHが形成されていく。
【0133】
図16(c)に示すように、上記のような加工を継続することにより、ホールCHaからホールCHkへと到達深さが順次増していく、複数のホールCHa~CHkが被加工膜PFに形成される。その後、残ったレジストパターン83pが除去される。
【0134】
以上により、テンプレートTMを用いたインプリント処理が終了する。
【0135】
なお、上記のインプリント処理に際し、例えばテンプレートTMが有する角型の柱状パターンCLは、レジスト膜83に転写される際に、角部が丸みを帯びた形状に転写されてもよい。また、レジストパターン83pを用いて、被加工膜PFに複数のホールCHを形成する際、ホールCHの角部が更に丸みを帯びた形状に加工されてもよい。
【0136】
(半導体装置の構成例)
次に、図17を用いて、実施形態のテンプレートTMを用いて形成された上述のホールCHの半導体装置への適用例について説明する。
【0137】
図17は、実施形態にかかる半導体装置MDVの構成の一例を示す断面図である。図17(a)は実施形態の半導体装置MDVの概略構成を示す断面図であり、図17(b)は半導体装置MDVが備えるピラーPLの拡大断面図である。なお、図17(a)においては、図面の視認性を高めるためハッチングが省略されている。
【0138】
図17(a)に示すように、半導体装置MDVは、シリコン基板等の基板SB上に、周辺回路CUA、ソース線SL、及び積層体LMをこの順に備える。周辺回路CUAは、基板SB上に形成されたトランジスタTRT等を備え、後述するメモリセルの電気的な動作に寄与する。周辺回路CUAは、シリコン酸化膜等の絶縁膜51で覆われている。絶縁膜51上には、導電性のポリシリコン層等であるソース線SLが形成されている。
【0139】
ソース線SL上の積層体LMは、複数のワード線WLが積層された構成を有している。ワード線WLは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。ワード線WLの積層数は、例えば数十~百程度である。図17(a)においては図示を省略しているが、複数のワード線WL間には、それぞれ酸化シリコン層等の絶縁層OL(図17(b)参照)が介在されている。
【0140】
積層体LMは、メモリ領域MR、コンタクト領域PR、及び貫通コンタクト領域TPを備え、それぞれの領域には、複数のピラーPL、及び複数のコンタクトCC,C4が設けられている。積層体LMは全体が、シリコン酸化膜等の絶縁膜52で覆われている。
【0141】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LMを貫通してソース線SLに到達している。ピラーPLの詳細の構成を図17(b)に示す。
【0142】
図17(b)に示すように、ピラーPLは、ピラーPLの外周から順にメモリ層ME、及びチャネル層CNを備え、チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。メモリ層MEは、ピラーPLの外周から順にブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNが積層された多層構造を有する。なお、ピラーPLの下端部にはメモリ層MEは配置されておらず、その内側のチャネル層CNがソース線SLと接続されている。
【0143】
チャネル層CNは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。コア層CR、トンネル絶縁層TN、及びブロック絶縁層BKは、例えば酸化シリコン層等である。電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。
【0144】
このような構成により、ピラーPLとワード線WLとの交差部には、高さ方向に並ぶ複数のメモリセルMCが形成される。ワード線WLから同じ高さ位置のメモリセルMCに所定の電圧を印加することで、メモリセルMCの電荷蓄積層CTに電荷を蓄積し、あるいは電荷蓄積層CTから電荷を引き出して、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。メモリセルMCから読み出されたデータは、ピラーPL上方のプラグ及び上層配線等を介して図示しないセンスアンプに伝達される。
【0145】
複数のコンタクトCCのそれぞれは、積層体LMに含まれる複数のワード線WLのうち、いずれかのワード線WLの深さ位置にまで到達し、そのワード線WLに接続されている。また、複数のコンタクトCCのそれぞれは、上層配線およびプラグを介して複数のコンタクトC4に接続されている。
【0146】
複数のコンタクトC4は、積層体LM及びソース線SLを貫通し、積層体LM下方の絶縁膜51に到達している。絶縁膜51中で、複数のコンタクトC4のそれぞれの下端部は、下層配線、ビア、及びコンタクト等を介して周辺回路CUAのトランジスタTRTに接続されている。
【0147】
このような構成により、周辺回路CUAから、コンタクトC4,CCを介してそれぞれのメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを電気的に動作させることができる。
【0148】
上記構成を備える半導体装置MDVにおいて、積層体LMの異なる深さのワード線WLにそれぞれ到達する複数のコンタクトCCは、例えば上述のテンプレートTMを用いて形成することができる。
【0149】
上述のように、テンプレートTMの複数の柱状パターンCLを積層体LM上に形成したレジスト膜に転写し、レジスト膜を介して積層体LMを加工することで、上述のホールCHa~CHkのように、到達深さの異なる複数のコンタクトホールが積層体LMに形成される。なお、この段階で、積層体LMは、例えば上述の被加工膜PFのように、酸化シリコン層と窒化シリコン層とが複数積層された構造を有していてよい。
【0150】
その後、積層体LMの窒化シリコン層をタングステン層等のワード線WLに置き換えるリプレース処理を行う。また、テンプレートTMを用いて形成した複数のコンタクトホールの側壁を絶縁層で覆い、絶縁層の内側を導電層で充填する。これにより、積層体LMにおける深さの異なるワード線WLに、それぞれ接続される複数のコンタクトCCが形成される。
【0151】
上述のように、テンプレートTMを用いたインプリント処理を通じて、積層体LMに形成されるコンタクトホールは、例えば角部が丸みを帯びた形状となっている。このため、コンタクトホール内に導電層を埋め込んで、コンタクトCCとして機能させた場合、コンタクトCCが鋭角部分を有することによる電力集中等を抑制することができる。
【0152】
(検査装置による検査方法)
次に、図18を用いて、実施形態の検査装置1による欠陥検査方法の例について説明する。図18は、実施形態にかかる検査装置1による検査方法の手順の一例を示すフロー図である。実施形態の検査方法は、例えば、テンプレートTM、マスタテンプレートTMmまたは半導体装置MDVの製造の一環として行なわれる。ここでは、被検査対象物がテンプレートTMである場合を例として説明する。
【0153】
図18に示すように、検査装置1を制御する統括制御部20の設計データ取得部205は、設計装置50からテンプレートTMの設計データを取得する(ステップS101)。
【0154】
焦点決定部206は、設計データに基づいて、テンプレートTMの検査対象領域全体から、撮像部11の1つのフレーム内に収まる所定の領域を撮像領域として決定する(ステップS102)。また、焦点決定部206は、取得した設計データの高さ情報に基づいて、決定した撮像領域内において、テンプレートTMの複数の柱状パターンCLのそれぞれに焦点を合わせるのに必要な複数の焦点位置を決定する(ステップS103)。
【0155】
検査部201は、撮像制御部21を介して撮像部11を制御して、決定された複数の焦点位置のうち、所定の焦点位置で焦点を合わせた画像を撮像させる。画像管理部202は、撮像部11が撮像した画像を記憶装置31に格納する(ステップS104)。
【0156】
検査部201は、複数の焦点位置のそれぞれにおいて焦点を合わせた複数の画像を取得済みか否か判定する(ステップS105)。画像を未取得の焦点位置がある場合には(ステップS105:No)、検査部201及び画像管理部202は、未取得の焦点位置について、ステップS104以降の処理を繰り返す。
【0157】
全ての焦点位置について画像が取得されると(ステップS105:Yes)、画像合成部207は、基準画像となる画像を除く複数の画像のうち、所定の画像の補正を行う(ステップS106)。また、画像合成部207は、設計データの配置情報に基づいて、補正処理を施した画像内の焦点が合った柱状パターンCLを含む領域を特定し、その領域を抽出する(ステップS107)。また、画像合成部207は、抽出した領域を基準画像の対応する領域に当てはめて合成する(ステップS108)。
【0158】
画像合成部207は、基準画像となる画像を除く複数の画像の全てについて合成処理が終了したか否かを判定する(ステップS109)。未合成の画像が残っている場合には(ステップS109:No)、画像合成部207は、未合成の画像について、ステップS106以降の処理を繰り返す。
【0159】
全ての画像の合成処理が終了すると(ステップS109:Yes)、欠陥判定部208は、全ての画像が合成された合成画像に基づいて欠陥検査を行う(ステップS110)。また、欠陥判定部208は、検査した合成画像内に欠陥が検出されたか否かを判定する(ステップS111)。欠陥が検出された場合(ステップS111:Yes)、欠陥判定部208は、そのテンプレートTMを不良品であると判定し(ステップS114)、欠陥検査の処理を終了する。
【0160】
欠陥が検出されなければ(ステップS111:Yes)、欠陥判定部208は、そのテンプレートTMの検査対象領域の全部について欠陥検査が終了したか否かを判定する(ステップS112)。未検査の領域がある場合には(ステップS112:No)、統括制御部20は、未検査領域について、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0161】
欠陥が検出されることなく、全部の検査対象領域の欠陥検査が終了すると(ステップS112:Yes)、欠陥判定部208は、そのテンプレートTMを良品であると判定する(ステップS113)。
【0162】
以上により、実施形態の検査装置1による欠陥検査が終了する。
【0163】
なお、上述の図18に示すフローはあくまでも一例であって、上記とは異なるフローで欠陥検査が進められてもよい。
【0164】
例えば、図18の例に限らず、複数の画像から抽出した領域の基準画像への合成を一括して行ってもよい。すなわち、全ての画像から焦点の合った領域をそれぞれ抽出した後、ステップS109の処理後にステップS108の合成処理を行ってもよい。また例えば、1つの撮像領域内で欠陥が検出された後も、全領域についての検査が終了するまで欠陥検査を継続してもよい。
【0165】
また、欠陥が検出されたテンプレートTMをリワークするなどして、欠陥修正を行う処理を検査装置1による欠陥検査方法に含めてもよい。
【0166】
(概括)
半導体装置の製造工程では、半導体装置の積層方向における到達位置が異なる複数の構成が形成される場合がある。フォトリソグラフィ技術では、焦点深度の異なる複数のパターンを一括形成することが困難である。このため、積層方向の到達位置が異なる複数の構成を形成するために複数の工程が行われる場合がある。
【0167】
このような場合、高さが異なる複数のパターンを有するテンプレートを用いてインプリント処理を行えば、高さ位置が異なる複数のパターンをレジスト膜に一括形成することができ、工数およびコストを削減することができる。一方で、テンプレートに形成した複数のパターンの欠陥検査には以下の課題がある。
【0168】
インプリント処理では、テンプレートのパターンが等倍転写されるため、複数のパターン間の高さの差が大きくなりやすい。例えば、光学式検査装置においては、1回の撮像において、高さ方向に例えば50nm~200nm程度の範囲内でしか焦点を合わせることができない。このため、1つのフレーム内に含まれる複数のパターンの異なる高さ位置の全てに焦点を合わせることが困難である。同じ画像内に焦点が合っていないパターンが含まれていると、例えば1つの画像内の複数のパターン同士を比較するCell-to-Cell検査では欠陥検出の精度が低下してしまう。
【0169】
ここで、例えば共焦点顕微鏡は、高さが異なる複数のパターンのそれぞれに焦点が合った全焦点画像を生成することが可能である。共焦点顕微鏡においては、試料の平面方向に対してレーザによる2次元走査を行って、階層ごとに焦点が合った微小領域の断層画像を取得していく。その後、これらの断層画像を組み合わせることで、全ての高さ位置で焦点が合った全焦点画像が得られる。
【0170】
しかしながら、共焦点顕微鏡では、2次元走査レーザ等の大掛かりな機構が必要となり、検査コストが増大してしまう。また、試料を様々な方向から2次元走査しなければならず、膨大なデータに基づく演算が必要となり、例えば全焦点画像の生成に長時間を要する。
【0171】
実施形態の検査装置1によれば、複数の柱状パターンCLa~CLpを高さ方向から撮像した画像であって、複数の焦点位置のそれぞれにおいて、焦点を合わせた複数の画像IM1~IM8を撮像し、複数の柱状パターンCLa~CLpのうち焦点が合っている柱状パターンCLを含む領域を複数の画像IM1~IM8のそれぞれから抽出して合成画像を生成する。
【0172】
このように画像IM1~IM8を合成することで、高感度の合成画像を生成することができる。また、このような合成画像から複数の柱状パターンCLa~CLpの欠陥を検査することで、高さが異なる複数の柱状パターンCLa~CLpの欠陥検査を高精度に行うことができる。
【0173】
実施形態の検査装置1によれば、テンプレートTMの基準面RPの高さ位置で焦点を合わせた画像IM0を撮像部11に撮像させ、複数の画像IM1~IM8から抽出した領域を画像IM0の対応する領域に配置することで合成画像を生成する。
【0174】
このように、複数の柱状パターンCLa~CLpの配置位置を特定可能な画像IM0を下地にして、複数の画像IM1~IM0から抽出した領域を当てはめていくことで、より正確な位置にそれぞれの柱状パターンCLa~CLpを配置することができ、合成画像を簡便に生成することができる。
【0175】
実施形態の検査装置1によれば、設計データに含まれる、複数の柱状パターンCLの基準面RPからのそれぞれの高さに関する高さ情報に基づいて複数の焦点位置を決定する。
【0176】
このように、設計データを参照することで、例えば共焦点顕微鏡のように様々な方向からテンプレートTMを2次元走査することなく、複数の柱状パターンCLの基準面RPからの高さを容易に特定し、それに合わせて複数の焦点位置を決定することができる。
【0177】
実施形態の検査装置1によれば、設計データに含まれる、複数のパターンCLの基準面RPにおける配置に関する配置情報に基づいて、焦点が合った領域を複数の画像IM1~IM8から抽出する。
【0178】
このように、設計データを参照することで、例えば共焦点顕微鏡のように様々な方向からテンプレートTMを2次元走査することなく、複数の柱状パターンCLの基準面RPにおける配置位置を容易に特定し、複数の画像IM1~IM8から焦点が合った領域を抽出することができる。
【0179】
実施形態のテンプレートTMの製造方法によれば、基準面RPから異なる高さで突出した複数の柱状パターンCLが形成される。
【0180】
これにより、レジスト膜83に到達深さの異なるパターンを一括して形成することができ、複数のワード線WLにそれぞれ接続される複数のコンタクトCCを備える半導体装置MDVを容易に製造することができる。よって、半導体装置MDVの製造時の工数およびコストを削減することができる。
【0181】
実施形態のマスタテンプレートTMm及び半導体装置MDVの製造方法によれば、実施形態のテンプレートTMの上記製造方法と同様の効果を奏する。
【0182】
(変形例)
上述の実施形態では、複数の柱状パターンCLを備えるテンプレートTMの欠陥検査を行う例について説明した。しかし、上述のテンプレートTMとは異なるパターンを有するテンプレートも、実施形態の検査装置1の検査対象となる。
【0183】
以下に、図19図25を用いて、実施形態の検査装置1の検査対象となりうる変形例のテンプレートTMaについて説明する。以下の図19図25においては、上述の実施形態と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0184】
図19は、実施形態の変形例にかかるテンプレートTMaの構成の一例を示す模式図である。図19(a)はテンプレートTMaの基準面RPにおける斜視図であり、図19(b)はテンプレートTMaが備える階段パターンPYの上面図である。図19(c)は、テンプレートTMaの全体構成を示す断面図である。
【0185】
図19(c)に示すように、変形例のテンプレートTMaは、透明基板BAの表面側に突出するメサ部MSの基準面RP上に、複数の階段状の形状を有する階段パターンPYを備える。
【0186】
図19(a)(b)に示すように、階段パターンPYは、例えば上面視で矩形状をしており、階段パターンPYの4辺には、階段パターンPYの外周側から中央側へと高さが増していく複数の階段形状、つまり、複数のステップSPが形成されている。
【0187】
これらのステップSPの基準面RPからの高さはそれぞれ異なっている。個々のステップSPの段差は例えば数nm~数十nm程度である。階段パターンPYの最下段から最上段までのステップSPの数は例えば数十~百程度である。
【0188】
このような階段パターンPYを有するテンプレートTMaを、実施形態の検査装置1で検査する場合の例を図20に示す。図20は、実施形態の変形例にかかるテンプレートTMaを検査装置1によって検査する様子を例示する説明図である。
【0189】
図20に示すように、テンプレートTMaが備える階段パターンPYを撮像した場合、複数のステップSPa~SPlが、1回あたりに撮像される範囲、つまり、撮像部11のフレームに収まるものとする。また、1回の撮像で、複数のステップSPa~SPlの全てに焦点を合わせることはできないものとする。
【0190】
上述の実施形態と同様、検査装置1を制御する統括制御部20の設計データ取得部205は、設計装置50からテンプレートTMaの設計データを取得する。焦点決定部206は、設計データの高さ情報に基づいて、テンプレートTMaの複数のステップSPのそれぞれに焦点を合わせるのに必要な複数の焦点位置を決定する。
【0191】
統括制御部20の検査部201は、撮像制御部21を介して撮像部11を制御して、決定された複数の焦点位置のそれぞれに焦点を合わせて複数のステップSPa~SPlを含む複数の画像IMa0~IMa4を撮像させる。
【0192】
画像IMa0は、テンプレートTMaの基準面RPの高さ位置付近に焦点を合わせた基準画像となる画像である。画像IMa1は、複数のステップSPa~SPlのうち、ステップSPa~SPcの高さ位置付近に焦点を合わせて撮像されている。また、画像IMa2~IMa4はそれぞれ、ステップSPd~SPf,SPg~SPi,SPj~SPlの高さ位置付近に焦点を合わせて撮像されている。
【0193】
統括制御部20の画像合成部207は、画像IMa1~IMa4に必要な補正を施した後、画像IMa1~IMa4から、それぞれステップSPa~SPc,SPd~SPf,SPg~SPi,SPj~SPlを含む領域を抽出し、画像IMa0の対応する領域に当てはめる。これにより、ステップSPa~SPlの全てに焦点が合った合成画像が生成される。
【0194】
統括制御部20の欠陥判定部208は、生成された合成画像に基づいて複数のステップSPa~SPlの欠陥検査を行う。
【0195】
次に、図21を用いて、検査装置1の検査対象となるテンプレートTMaの製造方法について説明する。図21は、実施形態の変形例にかかるテンプレートTMaの製造方法の手順の一部を例示する断面図である。
【0196】
図21(a)に示すように、テンプレートTMaの透明基板BA(図19(c)参照)の表面に突出するメサ部MSを形成し、メサ部MSの上面に、メサ部MSの外縁部を露出させてレジストパターン84pを形成する。またこのとき、メサ部MSを除く透明基板BAの上面を、図示しないクロム膜等のマスク膜で覆ってもよい。
【0197】
図21(b)に示すように、レジストパターン84pから露出したメサ部MSの上面を加工する。これにより、メサ部MSの外周にステップSPaが形成される。
【0198】
図21(c)に示すように、レジストパターン84pを酸素プラズマ等でスリミングし、レジストパターン84pのメサ部MS上の端部を後退させる。これにより、メサ部MSの外周部が新たに露出する。
【0199】
また、レジストパターン84pから新たに露出したメサ部MSの上面を加工して、メサ部MSの外周にステップSPbを形成する。このとき、既に形成済みのステップSPaの上面が除去されて、ステップSPbよりも下方に位置することとなる。
【0200】
図21(d)に示すように、レジストパターン84pのスリミングと、メサ部MSの加工とを繰り返し、メサ部MSの上面から階段状に位置が低下していく複数のステップSPa~SPfを形成する。また、このとき、最下段のステップSPfの下方に露出しているメサ部MSの表面が、上述の基準面RPに相当することとなる。その後、残ったレジストパターン84pは除去される。
【0201】
その後、完成した複数のステップSPに対し、上述の図20に示す検査手法を用い、実施形態の検査装置1で欠陥検査を行う。欠陥検査で複数のステップSPのいずれかに欠陥が検出された場合には、そのテンプレートTMaは不良判定される。欠陥検査で欠陥が検出されなかった場合には、そのテンプレートTMaは良品として、後述する半導体装置の製造に用いられる。
【0202】
以上により、変形例のテンプレートTMaが製造される。
【0203】
なお、上述のテンプレートTMaの製造方法は、あくまでも一例であって、変形例のテンプレートTMaは、上記以外の方法で製造されてもよい。例えば上述の実施形態の場合と同様、マスタテンプレートを用いてテンプレートTMaを製造してもよい。あるいは、例えば透明基板BAのメサ部MS上面に、電子ビーム等によって直接、複数のステップSPを描画してもよい。
【0204】
次に、図22図24を用いて、変形例のテンプレートTMaの使用例について説明する。テンプレートTMaもまた、例えば半導体装置の製造工程において、インプリント処理を行う際に使用される。以下に説明する図22図24の処理は、例えば半導体装置の製造方法の一環として実施される。
【0205】
図22図24は、実施形態の変形例にかかるテンプレートTMaによるインプリント処理の手順の一部を順に例示する断面図である。
【0206】
図22(a)に示すように、下地膜UF上に被加工膜PFを形成し、被加工膜PF上にレジスト膜85を形成する。
【0207】
下地膜UFは、上述の図14(a)の場合と同様、例えばシリコン基板の一部、または、シリコン基板上の絶縁膜等である。被加工膜PFは、上述の図14(a)の場合と同様、例えば複数種類の絶縁層が交互に積層された多層膜等である。
【0208】
レジスト膜85は、上述の図14(a)のレジスト膜83と同様、例えばレジスト材の塗布または滴下等によって形成された未硬化の光硬化型樹脂膜等である。
【0209】
このレジスト膜85に、テンプレートTMaの階段パターンPYを転写するため、階段パターンPYが形成された面を被加工膜PF側に向けて、テンプレートTMaをレジスト膜85に対向させる。
【0210】
図22(b)に示すように、テンプレートTMaの階段パターンPYをレジスト膜85に押し当てる。このとき、テンプレートTMaのメサ部MSが被加工膜PFに接触しないよう、突出量の最も大きいステップSPfの上面および被加工膜PF間に若干の隙間を設ける。
【0211】
この状態で、テンプレートTMaをレジスト膜85に押し当てたまま、テンプレートTMaを透過させた紫外光等の光をレジスト膜85に照射すると、レジスト膜85が硬化する。
【0212】
図23(a)に示すように、テンプレートTMaを離型すると、テンプレートTMaの階段パターンPYが転写されたレジストパターン85pが形成される。上述のように、テンプレートTMaと被加工膜PFとの間に隙間を設けた状態でレジスト膜85を硬化させているので、レジストパターン85pは、転写された階段状のパターンの底部にレジスト残膜85rを有している。
【0213】
このように、テンプレートTMaを用いた技術によれば、フォトリソグラフィ技術を用いた場合とは異なり、レジスト膜85中の到達深さの異なる階段状のパターンが、1回のインプリント処理でレジスト膜85に形成される。
【0214】
図23(b)に示すように、酸素プラズマ等を用いて、階段状のパターンの底部のレジスト残膜85rを除去する。これにより、パターン底部に被加工膜PFの上面が露出する。
【0215】
また、レジストパターン85pを介して被加工膜PFを加工すると、レジストパターン85pから露出した被加工膜PFが除去されて、レジストパターン85pが転写されたテラスTRfが形成される。また、レジストパターン85pの膜厚が減少して、最下段のパターンが消失する。これにより、テラスTRfの外周部に新たに被加工膜PFが露出する。
【0216】
図24(a)に示すように、レジストパターン85pを介した被加工膜PFの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン85pから新たに露出した被加工膜PFの上面が除去されて、テラスTReが形成される。被加工膜PFにおけるテラスTRfの到達深さは更に増す。また、レジストパターン85pの膜厚が減少し、最下段から2段目のパターンが消失して、テラスTReの外周部に新たに被加工膜PFが露出する。
【0217】
図24(b)に示すように、レジストパターン85pを介した被加工膜PFの加工を更に継続する。これにより、レジストパターン85pの階段部分がパターン内側から外側へと順に消失し、被加工膜PFに新たなテラスTRが形成されるとともに、各テラスTRの深さが増していく。
【0218】
図24(c)に示すように、レジストパターン85pを介した被加工膜PFの加工を更に継続していくと、階段状に深さが増していく複数のテラスTRa~TRfが被加工膜PFに形成される。その後、残ったレジストパターン85pが除去される。
【0219】
以上により、テンプレートTMaを用いたインプリント処理が終了する。
【0220】
次に、図25を用いて、変形例のテンプレートTMaを用いて形成された上述のテラスTRの半導体装置への適用例について説明する。
【0221】
図25は、実施形態の変形例にかかる半導体装置MDVaの構成の一例を示す断面図である。図25(a)は変形例の半導体装置MDVaの概略構成を示す断面図であり、図25(b)は半導体装置MDVaが備えるピラーPLの拡大断面図である。なお、図25(a)においては、図面の視認性を高めるためハッチングが省略されている。
【0222】
図25(a)に示すように、半導体装置MDVaは、複数のワード線WLが積層された積層体LMaをソース線SL上に備える。図25(a)においては図示を省略しているが、複数のワード線WL間には、それぞれ絶縁層OL(図25(b)参照)が介在されている。
【0223】
積層体LMaは、上述の実施形態の積層体LMのコンタクト領域PRに替えて、階段領域SRを備え、この階段領域SRには複数のコンタクトCCが設けられている。
【0224】
階段領域SRでは、積層体LMaの複数のワード線WL及び複数の絶縁層OLが階段状に加工され、上面視で矩形状の擂り鉢状の形状を有している。この擂り鉢状の形状の1辺において、階段状に加工されたワード線WLのそれぞれのテラス上にコンタクトCCが接続されている。
【0225】
なお、ピラーPLの構成、及びピラーPLに形成されるメモリセルMCの構成は、上述の実施形態の半導体装置MDVと同様であるので、図25(b)の説明は省略する。
【0226】
上記構成を備える半導体装置MDVaにおいて、積層体LMaの階段領域SRにおける階段状の形状は、例えば上述のテンプレートTMaを用いて形成することができる。
【0227】
上述のように、テンプレートTMaの階段パターンPYを積層体LMa上に形成したレジスト膜に転写し、レジスト膜を介して積層体LMaを加工することで、上述のテラスTRa~TRfのように、積層体LMaにおける深さの異なる複数のワード線WLのそれぞれにテラスが形成される。
【0228】
なお、上述の実施形態の半導体装置MDVと同様、この段階で、積層体LMaは、例えば上述の被加工膜PFのように、酸化シリコン層と窒化シリコン層とが複数積層された構造を有していてよい。この場合、より正確には、上述のインプリント処理によって、リプレース対象の複数の窒化シリコン層のそれぞれにテラスが形成される。
【0229】
その後、積層体LMaの窒化シリコン層をタングステン層等のワード線WLに置き換えるリプレース処理を行い、また、リプレースによって形成された複数のワード線WLのテラスに接続する、複数のコンタクトCCが形成される。
【0230】
変形例のテンプレートTMaの製造方法によれば、上述の実施形態の検査装置1を用いた欠陥検査を適用することで、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
【0231】
変形例のテンプレートTMaの製造方法によれば、基準面RPから突出した複数の階段状の形状を有する階段パターンPYが形成される。
【0232】
これにより、レジスト膜85に到達深さの異なるパターンを一括して形成することができ、複数のワード線WLが階段状に加工された半導体装置MDVaを容易に製造することができる。よって、半導体装置MDVaの製造時の工数およびコストを削減することができる。
【0233】
[その他の実施形態]
上述の実施形態では、検査装置1は、設計装置50からテンプレートTM,TMaの設計データを取得して、設計データに基づいて複数の画像を生成し、それらを合成して合成画像を生成することとした。
【0234】
しかし、検査装置は、上記以外の手法で欠陥検査を行ってもよい。設計データを用いずに欠陥検査を行う検査装置2,3の構成例を図26及び図27に示す。なお、図26及び図27においては、上述の実施形態と同様の構成に同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0235】
図26は、その他の実施形態にかかる検査装置2の統括制御部120の機能構成の一例を検査装置2の他の構成とともに示すブロック図である。図26に示す検査装置2は、設計データに替えて、検査対象のテンプレートの測定データを取得して、この測定データに基づいて欠陥検査を行う。
【0236】
図26に示すように、検査装置2を制御する統括制御部120は、設計データ取得部205に替えて、測定データ取得部215を備える。測定データ取得部215は、測定装置60から、検査対象のテンプレートを測定した測定データを取得する。
【0237】
測定装置60は、テンプレートに形成された複数のパターンの各々の基準面からの高さを測定する原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)、及び複数のパターンの基準面における各々の配置位置を測定する測長SEM(CD-SEM:Critical Dimension-Scanning Electron Microscope)等である。測定装置60は、これらの高さ情報および配置情報を含む測定データを保有している。
【0238】
統括制御部120の焦点決定部206は、測定データに含まれる複数のパターンの高さ情報に基づいて、上述の実施形態の場合と同様、複数の焦点位置を決定する。画像合成部207は、測定データに含まれる複数のパターンの配置情報に基づいて、撮像された複数の画像から焦点が合った領域を抽出して合成画像を生成する。
【0239】
図27は、その他の実施形態にかかる検査装置3の統括制御部220の機能構成の他の例を検査装置3の他の構成とともに示すブロック図である。図27に示す検査装置3は、設計データ等のデータに基づくことなく、テンプレートの欠陥検査を行う。
【0240】
図27に示すように、検査装置3を制御する統括制御部220は、上述の設計データ取得部205及び測定データ取得部215を有さない。また、統括制御部220は、上述の実施形態の焦点決定部206及び画像合成部207に替えて、焦点決定部226及び画像合成部227を備える。
【0241】
焦点決定部226は、検査装置3において焦点を合わせることが可能な範囲内で、高さ方向に所定間隔で並ぶ複数の焦点位置を決定する。各々の焦点位置は、例えば検査に用いる光の焦点深度に応じた間隔を取ることができる。つまり、検査光の焦点深度が例えば50nm~200nm程度であれば、各々の焦点位置間の間隔を50nm~200nm程度とすることができる。
【0242】
これら複数の焦点位置は、テンプレートが有する複数のパターンの高さ位置に基づくことなく決定される。焦点決定部226は、例えば検査装置3において焦点を合わせることが可能な最低の高さ位置から最高の高さ位置までの範囲が含まれるように、これらの焦点位置を決定することができる。これにより、テンプレートの複数のパターンのそれぞれの高さ位置に焦点が合った複数の画像を撮像することが可能となる。
【0243】
画像合成部227は、上記のように決定された複数の画像のそれぞれから、複数のパターンのうち焦点が合ったパターンを含む領域を抽出する。このとき、画像合成部227は、画像解析技術を用いて焦点が合っているパターンを特定する。画像解析によれば、例えばそれぞれのパターンの明度、パターン周囲の明度、これらの明度の差であるパターンの境界部分のコントラストの変化量、及びパターンの輪郭線の鋭敏度等の少なくともいずれかに基づいて、焦点が合ったパターンを特定することができる。画像合成部227は、複数の画像から抽出した領域を組み合わせて合成画像を生成する。
【0244】
その他の実施形態の検査装置2,3によれば、上述の実施形態の検査装置1と同様の効果を奏する。
【0245】
その他、上述の実施形態等では、検査装置1~3は、テンプレートTM,TMa等の試料に反射した反射光から形成される像を撮像して欠陥検査を行うこととした。しかし、検査装置は、例えば透過照明光学系等を備え、試料を透過した透過光から形成される像を撮像して欠陥検査を行ってもよい。
【0246】
また、上述の実施形態等では、検査装置1~3は光学式検査装置であることとしたが、検査装置が、電子ビーム等の荷電粒子を用いる荷電粒子線検査装置等であってもよい。
【0247】
また、上述の実施形態等では、テンプレートTM,TMaを対象とする欠陥検査について説明した。しかし、検査装置は、基準面からの高さが異なる複数のパターンを有する半導体装置等の他の試料の欠陥検査を行うことも可能である。このような半導体装置が有するパターンとしては、例えば図16(c)に示す複数のホールCH、及び図24(c)に示す複数のテラスTR等が挙げられる。
【0248】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0249】
1~3…検査装置、10…検査機構、11…撮像部、12…光源、13…ステージ、20,120,220…統括制御部、21…撮像制御部、22…光源制御部、23…ステージ制御部、201…検査部、205…設計データ取得部、206,226…焦点決定部、207,227…画像合成部、208…欠陥判定部、215…測定データ取得部、CH…ホール、CL…柱状パターン、IM,IMa…画像、MDV、MDVa…半導体装置、MS…メサ部、PY…階段パターン、RP…基準面、TR…テラス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図13
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