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特開2024-80906排ガスバイパス装置及び排熱回収ボイラ並びに排ガスバイパス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080906
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】排ガスバイパス装置及び排熱回収ボイラ並びに排ガスバイパス方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/18 20060101AFI20240610BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20240610BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
F22B1/18 B
F02C6/18 B
F02C7/00 B
F22B1/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194256
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山田 萌生
(72)【発明者】
【氏名】古閑 昭敏
(72)【発明者】
【氏名】深堀 涼
(72)【発明者】
【氏名】南原 卓也
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 利彦
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA01
3L021BA03
3L021CA10
3L021DA28
3L021FA16
(57)【要約】
【課題】内燃機関から排出されて排ガス流路に流入する排ガスの圧力を低減することを目的とする。
【解決手段】排ガスバイパス装置20は、ガスタービンから排出された排ガスが流通する排ガス流路15を規定する排ガスダクト12と、内部に給水が流通する複数の伝熱管を有し排ガス流路15を流通する排ガスと伝熱管内を流通する給水とを熱交換させる伝熱部と、を備える排熱回収ボイラ42に設けられる。排ガスバイパス装置20は、排ガスダクト12に伝熱部をバイパスするように設けられるバイパスダクト21と、バイパスダクト21内を流通する排ガスの流量を調整する排ガスダンパ22と、ガスタービンから排出される排ガスの圧力が低減するように排ガスダンパ22を制御する制御装置と、を備える
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排ガスが流通する排ガス流路を規定する排ガスダクトと、内部に給水が流通する複数の伝熱管を有し前記排ガス流路を流通する排ガスと前記伝熱管内を流通する給水とを熱交換させる伝熱部と、を備える排熱回収ボイラに設けられる排ガスバイパス装置であって、
前記排ガスダクトに前記伝熱部をバイパスするように設けられるバイパスダクトと、
前記バイパスダクト内を流通する排ガスの流量を調整する調整部と、
前記内燃機関から排出される排ガスの圧力が低減するように前記調整部を制御する制御部と、を備える排ガスバイパス装置。
【請求項2】
前記内燃機関から排出される排ガスの圧力を検出する圧力検出部を備え、
前記制御部は、前記圧力検出部の検出結果に基づいて、前記調整部を制御する請求項1に記載の排ガスバイパス装置。
【請求項3】
前記内燃機関から排出される排ガスの流量を検出する流量検出部を備え、
前記制御部は、前記流量検出部の検出結果に基づいて、前記調整部を制御する請求項1に記載の排ガスバイパス装置。
【請求項4】
外気の温度を検出する温度検出部を備え、
前記制御部は、前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記調整部を制御する請求項1に記載の排ガスバイパス装置。
【請求項5】
前記伝熱部の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検出する差圧検出部を備え、
前記制御部は、前記差圧検出部の検出結果に基づいて、前記調整部を制御する請求項1に記載の排ガスバイパス装置。
【請求項6】
前記バイパスダクトは、入口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な入口開閉部と、出口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な出口開閉部と、を有する請求項1に記載の排ガスバイパス装置。
【請求項7】
前記バイパスダクトは、前記排ガス流路に設けられる前記排ガス流路を流通する排ガスを脱硝する脱硝装置の下流側に設けられている前記伝熱部をバイパスするように設けられている請求項1に記載の排ガスバイパス装置。
【請求項8】
前記バイパスダクトは、前記排ガス流路に設けられる複数の前記伝熱部のうち最も下流側に配置されている前記伝熱部をバイパスするように設けられている請求項1に記載の排ガスバイパス装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の排ガスバイパス装置が設けられた排熱回収ボイラ。
【請求項10】
内燃機関から排出された排ガスが流通する排ガス流路を規定する排ガスダクトと、内部に給水が流通する複数の伝熱管を有し前記排ガス流路を流通する排ガスと前記伝熱管内を流通する給水とを熱交換させる伝熱部と、を備える排熱回収ボイラにおける排ガスバイパス方法であって、
前記排ガスダクトに前記伝熱部をバイパスするように設けられるバイパスダクト内を流通する排ガスの流量を、前記内燃機関から排出される排ガスの圧力が低減するように制御する制御工程を備える排ガスバイパス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排ガスバイパス装置及び排熱回収ボイラ並びに排ガスバイパス方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラント等において用いられる排熱回収ボイラ(HRSG)の排ガスダクトの内部には、内燃機関から排出された燃焼ガスなどの熱回収可能な温度を有する排ガスが流通する排ガス流路が形成されている。排ガス流路には、流通する排ガスと熱交換を行うことで蒸気を生成する伝熱部が設けられている。このような排熱回収ボイラでは、排ガスの一部が伝熱部をバイパスするようにバイパスダクトが設けられる場合がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、排ガスダクトに1次蒸発器等が設けられている排熱回収ボイラが開示されている。この排熱回収ボイラは、1次蒸発器をバイパスするように設けられる1次蒸発器バイパスダクトを備えている。1次蒸発器バイパスダクトには、ダンパ装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63-290301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排熱回収ボイラは、経年使用にともなって、伝熱管の表面や伝熱管フィン等に硫安等の異物や錆び等の付着物が付着することで、伝熱部を通過する排ガスが付着物によって阻害される場合がある。この場合には、伝熱部における排ガスの圧力損失が大きくなり伝熱部入口側の排ガスの圧力が上昇する。これに伴って、伝熱部の上流側である内燃機関の出口の排ガス圧力が上昇する可能性がある。ガスタービン等の内燃機関の出口の排ガス圧力が上昇すると、サージング等が発生し、火力発電プラントの運転に支障が生じる可能性があった。
【0006】
内燃機関の出口の排ガス圧力を下げるためには、伝熱部で圧力損失が生じる主要因を抜本的に取り除くのが対策としては望ましい。しかしながら、対策の効果が小さい場合や効果の継続時間が短い場合、もしくは要因が不明な場合には、排ガスの一部について伝熱部を通過させずに下流側へ導き、伝熱部の上流側と下流側との差圧を低減させることで、内燃機関の出口の排ガス圧力を低下させることが考えられる。
【0007】
特許文献1には、排ガスの一部について伝熱部を通過させずに下流側へ導く第1蒸発器バイパスダクトが開示されているが、当該バイパスダクトは脱硝装置へ流入する排ガスの温度を調整するもので、内燃機関の出口の排ガス圧力を低下させる目的で設けられていない。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内燃機関から排出されて排ガス流路に流入する排ガスの圧力を低減することができる排ガスバイパス装置及び排熱回収ボイラ並びに排ガスバイパス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示の排ガスバイパス装置及び排熱回収ボイラ並びに排ガスバイパス方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係る排ガスバイパス装置は、内燃機関から排出された排ガスが流通する排ガス流路を規定する排ガスダクトと、内部に給水が流通する複数の伝熱管を有し前記排ガス流路を流通する排ガスと前記伝熱管内を流通する給水とを熱交換させる伝熱部と、を備える排熱回収ボイラに設けられる排ガスバイパス装置であって、前記排ガスダクトに前記伝熱部をバイパスするように設けられるバイパスダクトと、前記バイパスダクト内を流通する排ガスの流量を調整する調整部と、前記内燃機関から排出される排ガスの圧力が低減するように前記調整部を制御する制御部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る排ガスバイパス方法は、内燃機関から排出された排ガスが流通する排ガス流路を規定する排ガスダクトと、内部に給水が流通する複数の伝熱管を有し前記排ガス流路を流通する排ガスと前記伝熱管内を流通する給水とを熱交換させる伝熱部と、を備える排熱回収ボイラにおける排ガスバイパス方法であって、前記排ガスダクトに前記伝熱部をバイパスするように設けられるバイパスダクト内を流通する排ガスの流量を、前記内燃機関から排出される排ガスの圧力が低減するように制御する制御工程を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、内燃機関から排出されて排ガス流路に流入する排ガスの圧力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係るガスタービンコンバインドサイクルを示す概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る排熱回収ボイラに設けられる伝熱管ブロックを示す縦断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る排熱回収ボイラの要部を示す縦断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る排ガスバイパスダンパに設けられる制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る排ガスバイパス装置及び排熱回収ボイラ並びに排ガスバイパス方法の一実施形態について、図1図3を用いて説明する。なお、図示の関係上、図1及び図2では排ガスバイパス装置を省略している。
【0014】
以下、本実施形態に係る排ガスバイパス装置20が適用される排熱回収ボイラ(HRSG)を備えるガスタービンコンバインドサイクル(Gas Turbine Combined Cycle:GTCC)発電システムについて説明する。
【0015】
図1に示すように、ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電システム40は、ガスタービン(内燃機関)41と、排熱回収ボイラ42と、蒸気タービン43と、復水器(コンデンサ)44と、給水循環ライン(給水手段)62とを有する。
【0016】
ガスタービン41は、大気中から空気を吸込んで圧縮機45にて圧縮し、高圧の空気を燃焼器46に送給する。一方、燃料ガスが燃焼器46へ供給され、圧縮機45から供給された高圧の空気によって燃料が燃焼し、高温・高圧のガスとなる。高温・高圧のガスは、タービン47を回転させてガスタービン41を回転駆動する。また、蒸気タービン43が排熱回収ボイラ42で発生する蒸気(低圧蒸気、高圧蒸気)により回転駆動して、圧縮機45を駆動させると共に、蒸気タービン43とガスタービン41の回転駆動の少なくともいずれかで発電機48を回転駆動して電気出力を発生させ、発電を行う。
【0017】
そして、ガスタービン41で燃焼して発生した排ガス(GT排ガス)は、排熱回収ボイラ42に送給される。
【0018】
排熱回収ボイラ42は、排ガスダクト12と、第1高温伝熱部49と、第2高温伝熱部50と、第3高温伝熱部51と、第1低温伝熱部52と、第2低温伝熱部53などを有する。第1高温伝熱部49(伝熱部)、第2高温伝熱部50(伝熱部)、第3高温伝熱部51(伝熱部)、第1低温伝熱部52(伝熱部)、第2低温伝熱部(伝熱部)53は、排ガスダクト12内に排ガスのガス流れ方向に沿って上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。本実施形態においては、排熱回収ボイラ42の排ガスダクト12内に配置される複数の熱交換器のうち最上部に配置される第2低温伝熱部53に排ガスバイパス装置20を適用する例を示す。また、第3高温伝熱部51と第1低温伝熱部52との間には、脱硝装置63が設けられている。
脱硝装置63は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、排ガスダクト12内を流通する排ガスに供給し、還元剤が供給された排ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置63内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
【0019】
排ガスダクト12は、ガスタービン41から排出された排ガスが流通する排ガス流路15が内部に形成されている。
排ガスダクト12はガスタービン41から排出された排ガスが導入されるガス入口部54と、煙突に続く出口ダンパ55とを有する。図1に示す例では、排ガスダクト12中に形成される排ガス流路15は、垂直上下方向に延びており、垂直下方側から垂直上方側に向けて排ガスが流れるように形成されている。出口ダンパ55は煙突と連結しており、出口ダンパ55から排出される排ガスは煙突から大気に放出される。
【0020】
第1高温伝熱部49、第2高温伝熱部50、第3高温伝熱部51、第1低温伝熱部52及び第2低温伝熱部53は、排ガスダクト12内に収納されている。第1高温伝熱部49、第2高温伝熱部50、第3高温伝熱部51、第1低温伝熱部52及び第2低温伝熱部53は、複数の伝熱管30を有している。また図1の例では、第1高温伝熱部49、第2高温伝熱部50、第3高温伝熱部51、第1低温伝熱部52及び第2低温伝熱部53は、排ガスダクト12内に各々の長手方向が水平となるように配置されている。第1高温伝熱部49、第2高温伝熱部50、第3高温伝熱部51、第1低温伝熱部52及び第2低温伝熱部53は、排ガスの排ガス流路15と交差するように設けられ、垂直下方から垂直上方に向けて流れる排ガスに晒されるように配置されている。
【0021】
排熱回収ボイラ42から排出される低圧蒸気、高圧蒸気は、蒸気タービン43へ供給される。蒸気タービン43は、排熱回収ボイラ42で発生した低圧蒸気、高圧蒸気により回転駆動する。蒸気タービン43の駆動源として用いられた低圧蒸気、高圧蒸気は、給水循環ライン62に排出され、復水器44に送給される。復水器44は、蒸気タービン43の駆動源として用いられた低圧蒸気、高圧蒸気を凝縮して復水にする。復水器44から排出される復水はポンプ56により給水循環ライン62を介して排熱回収ボイラ42内に給水として送給される。
【0022】
排熱回収ボイラ42内に送給された給水は、第2低温伝熱部53に送り込まれて排ガスと熱交換することで加熱され、その一部が低圧ドラム57を経て第1低温伝熱部52内で加熱されて、再度、低圧ドラム57に送り込まれて気液分離される。低圧ドラム57で気液分離された低圧蒸気は、低圧ドラム57から排出され、蒸気タービン43の低圧蒸気タービン58に供給され、低圧蒸気タービン58を回転駆動させる。
【0023】
また、第2低温伝熱部53で加熱された給水の一部は、ポンプ59にて加圧されて第3高温伝熱部51に送り込まれて加熱された後、第2高温伝熱部50内で加熱されて高圧ドラム60に送り込まれて気液分離される。高圧ドラム60で気液分離された高圧蒸気は、高圧ドラム60から排出され、第1高温伝熱部49で過熱された後、蒸気タービン43の高圧蒸気タービン61に供給され、高圧蒸気タービン61を回転駆動させる。高圧蒸気タービン61から排出された蒸気は、図示しない蒸気配管で第1低温伝熱部52内へと送られて再加熱されて低圧ドラム57で気液分離され、蒸気タービン43の低圧蒸気タービン58に供給される。
【0024】
上述したとおり、ガスタービンコンバインドサイクル発電システム40では、ガスタービン41のタービン47を回転させ、ガスタービン41を回転駆動させると共に、低圧蒸気、高圧蒸気を用いて蒸気タービン43の低圧蒸気タービン58、高圧蒸気タービン61を回転させ、蒸気タービン43を回転駆動させて、発電機48を回転駆動して発電を行う。
【0025】
また、低圧蒸気、高圧蒸気は、各々蒸気タービン43へ供給された後、復水器44に供給され、復水となり、排熱回収ボイラ42に給水として循環される。排熱回収ボイラ42で生成された低圧蒸気、高圧蒸気は蒸気タービン43に供給され、蒸気タービン43を回転駆動させ、蒸気タービン43とガスタービン41の回転駆動の少なくともいずれかで発電機48を回転駆動して発電を行う。
【0026】
次に、排熱回収ボイラ42の排ガスダクト12内に設けられる各伝熱部について図2を用いて説明する。各伝熱部の構造は略同様であるので、以下では代表として第2低温伝熱部53の構造を説明する。
火力発電プラント等において用いられる排熱回収ボイラ42の排ガスダクト12の内部を図2に示す。図2に示すように、第2低温伝熱部53は、熱交換器10を有している。熱交換器10は、伝熱管ブロック13を複数有している。複数の伝熱管ブロック13は、水平方向に所定の間隔で並んで配置されている。伝熱管ブロック13は、複数の伝熱管30を有する。熱交換器10は、伝熱管30内を流通する給水や蒸気等と排ガスダクト12内を流通する排ガスとを熱交換をする。隣接する伝熱管ブロック13の間には製作・施工などの観点から所定の長さの隙間が設けられている。伝熱管ブロック13と排ガスダクト12の内周面との間の隙間には、排ガスをショートパスして通過させないように、伝熱管ブロック13の垂直方向上面の一端に固定板14が設置されている。
【0027】
また、隣接する伝熱管ブロック13同士の間には、塞ぎ板11が設けられている。塞ぎ板11は、隣接する伝熱管ブロック13同士の間に形成された隙間を下流側から閉鎖している。塞ぎ板11は、当該隙間を介して排ガスがショートパスして通過しないように、当該隙間を閉鎖している。
【0028】
次に、排熱回収ボイラ42に設けられる排ガスバイパス装置20について図3を用いて説明する。
図3に示すように、排ガスバイパス装置20は、排ガスの一部が第2低温伝熱部53をバイパスするように設けられるバイパスダクト21と、バイパスダクト21内を流通する排ガスの流量を調整する排ガスダンパ(調整部)22と、ガスタービン41から排出される排ガスの圧力を検出する圧力検出部23(図1参照)と、を備えている。
バイパスダクト21は、排ガスダクト12の側面に設けられている。バイパスダクト21は、排ガスダクト12の水平方向の一側の側面及び他側の側面に設けられている。各バイパスダクト21の構造は、略同一とされている。なお、バイパスダクト21は、排ガスダクト12の1つの側面に複数設けられてもよい。
【0029】
本実施例において、バイパスダクト21は、最も下流側に配置される伝熱部である第2低温伝熱部53を排ガスの一部がバイパスするように設けられている。バイパスダクト21は、脱硝装置63の下流側に配置される第2低温伝熱部53を排ガスの一部がバイパスするように設けられている。バイパスダクト21は、排ガスダクト12から外側に突出するように設けられている。バイパスダクト21は、上流端及び下流端が排ガスダクト12に接続されている。バイパスダクト21は、上流端が第1低温伝熱部52よりも下流側に接続されている。詳細には、バイパスダクト21は、第1低温伝熱部52と第2低温伝熱部53との間に接続されている。バイパスダクト21は、下流端が第2低温伝熱部53よりも下流側に接続されている。
バイパスダクト21は、排ガスダクト12を流通する排ガスの一部を、第2低温伝熱部53を通過させずに、第2低温伝熱部53の下流側へ導いている。
【0030】
バイパスダクト21は、排ガスダクト12の外側に向かって排ガスダクト12の外周面から略水平方向に延びる上流側水平部21aと、上流側水平部21aの外側端部から上方に曲折して延びる垂直部21bと、垂直部21bの上端部から排ガスダクト12方向に曲折して水平に延びる下流側水平部21cと、を一体的に有している。
【0031】
上流側水平部21aは、上流端が排ガスダクト12に接続されている。上流側水平部21aの上流端には、開口(バイパスダクト21の入口)が形成されている。上流側水平部21aには、開口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替えることができる入口開閉部25を有している。
【0032】
下流側水平部21cは、下流端が排ガスダクト12に接続されている。下流側水平部21cの下流端には、開口(バイパスダクト21の出口)が形成されている。下流側水平部21cには、開口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替えることができる出口開閉部26を有している。
【0033】
垂直部21bには、上下方向の熱伸びを許容するエキスパンション24が設けられている。また、垂直部21bには、排ガスダンパ22が設けられている。排ガスダンパ22は、エキスパンション24より上流側に設けられている。垂直部21bには、作業員がバイパスダクト21内に入れるマンホールを形成してもよい。マンホールを形成することで、作業員がバイパスダクト21内でバイパスダクト21のメンテナンス等の作業を行うことができる。
【0034】
排ガスダンパ22は、バイパスダクト21内を排ガスが流通する状態と、流通しない状態とを切り替えることができる。なお、排ガスダンパ22は、開度を調整することで、バイパスダクト21内を流通する排ガスの流量を調整可能とされていてもよい。排ガスダンパ22は、後述する制御装置28によって制御される。
【0035】
圧力検出部23は、図1に示すように、排ガスダクト12のガス入口部54の近傍に設けられている。圧力検出部23は、ガスタービン41の出口と排ガスダクト12内に設けられる最も上流側の伝熱部(本実施形態では、第1高温伝熱部49)との間に設けられている。圧力検出部23は、ガスタービン41から排出されて排ガス流路15に流入する排ガスの圧力(以下、「ガスタービン出口圧力」と称する。)を計測又は検出する。
【0036】
本実施形態の排ガスバイパス装置20は、図4に示すように、制御装置28を備えている。
制御装置28(Controller)は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御装置、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0037】
制御装置28は、圧力検出部23から情報を受信する。制御装置28は、排ガスダンパ22の開度(開度0%の全閉状態及び開度100%の全開状態を含む)を調整する。制御装置28は、ガスタービン41から排出される排ガスの圧力が低減するように排ガスダンパ22を制御する。制御装置28は、圧力検出部23の検出結果に基づいて、排ガスダンパ22を制御する。
【0038】
制御装置28は、圧力検出部23が検出する圧力(すなわち、ガスタービン出口圧力)が所定の閾値(第1閾値)を超えた場合に、サージングの発生を回避するためにガスタービン41を停止させる。第1閾値は、ガスタービン41がサージングを起さない程度の圧力とされている。また、制御装置28は、ガスタービン出口圧力が第1閾値よりも低い数値である第2閾値を超えた場合に、排ガスダンパ22を全閉状態から全開状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通する状態とする。排ガスダンパ22は、ガスタービン出口圧力が第2閾値を下回った場合に、排ガスダンパ22を全開状態から全閉状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通しない状態とする。
【0039】
なお、上記説明では、制御装置28は、圧力検出部23が検出するガスタービン出口圧力に基づいて排ガスダンパ22を全閉状態及び全開状態とする例について説明したが本開示はこれに限定されない。例えば、圧力検出部23が検出するガスタービン出口圧力に基づいて、排ガスダンパ22の開度を調整してもよい。すなわち、ガスタービン出口圧力が高くなるにしたがって、排ガスダンパ22の開度を大きくし、ガスタービン出口圧力が低くなるにしたがって、排ガスダンパ22の開度を小さくしてもよい。
【0040】
また、制御装置28は、ガスタービン41の出口の排ガス流量を直接計測又は間接的に検出する(例えば、圧縮機45のインデックス差圧からガス流量を算出する)流量検出部31の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御してもよい。排ガス流量が所定の閾値を超えた場合に、排ガスダンパ22を全閉状態から全開状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通する状態とする。排ガスダンパ22は、排ガスの流量が所定の閾値を下回った場合に、排ガスダンパ22を全開状態から全閉状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通しない状態とする。
【0041】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
排熱回収ボイラ42は、経年使用にともなって、伝熱管30の表面や伝熱管フィン(図示省略)等に付着物が付着することで、伝熱部を通過する排ガスが付着物によって阻害される場合がある。付着物の例としては、異物や錆びや脱硝装置63から排出されたアンモニアや排ガス中の硫黄分から生成される硫安などが挙げられる。特に、伝熱管30にスパイラルフィンを設けた伝熱部では詰まりが生じ易い。伝熱部で詰まりが生じると、伝熱部を通過する排ガスの圧力損失が増加し、ガスタービン41から排出されて排ガス流路15に流入する排ガスの圧力が上昇する可能性がある。
【0042】
本実施形態では、排ガスの一部が第2低温伝熱部53をバイパスするように設けられるバイパスダクト21を備えている。これにより、排ガス流路15を流通する排ガスの一部が、バイパスダクト21によって、第2低温伝熱部53の上流側から下流側へ導かれる。バイパスダクト21は、排ガスの一部が第2低温伝熱部53をバイパスするように設けられている。これにより、バイパスダクト21によって第2低温伝熱部53の下流側へ導かれた排ガスは、第2低温伝熱部53を通過しない。すなわち、排ガスの一部について、第2低温伝熱部53をショートパスさせる。したがって、バイパスダクト21を設けることで、全ての排ガスが第2低温伝熱部53を通過する構成と比較して、第2低温伝熱部53の上流側から下流側へ流れる排ガスの圧力損失を低減することができる。このように、第2低温伝熱部53近傍の圧力損失を低減することができるので、排ガス流路15において、第2低温伝熱部53よりも上流側の排ガスの圧力を低減することができる。よって、ガスタービン41から排出されて排ガス流路15に流入する排ガスの圧力(以下、「ガスタービン41出口圧力」と称する。)を低減することができる。
【0043】
また、本実施形態では、ガスタービン41から排出される排ガスの圧力(すなわち、ガスタービン41出口圧力)が低減するように排ガスダンパ22を制御する制御装置28を備えている。制御装置28で排ガスダンパ22を制御することで、バイパスダクト21を流通する排ガスの流量を調整することができる。バイパスダクト21を流通する排ガスの流量を調整することで、ガスタービン41出口圧力を調整することができる。したがって、必要に応じてガスタービン41出口圧力を低減することができる。よって、好適にガスタービン41出口圧力を低減することができる。
【0044】
第2低温伝熱部53(詳細には、伝熱管ブロック13)を通過させずに、下流側に排ガスを導く方法として、塞ぎ板11(図2参照)を取り外し、伝熱管ブロック13同士の間に形成された隙間に排ガスを流通させることも考えられる。しかしながら、塞ぎ板11を取り外すためには、GTCC発電システム40を停止させ、排ガスダクト12内の温度が作業員が入り込める程度の温度となるまで排熱回収ボイラ42を冷却する必要がある。このため、GTCC発電システム40の停止時間が長くなり、その分発電することができないため、GTCC発電システム40の稼働率が低下する可能性があった。また、塞ぎ板11を取り付ける場合にも、同様に時間を要すため、稼働率が低下する可能性があった。
一方、本実施形態では、図3に示すように、バイパスダクト21内を流通する排ガスの流量を調整することで、第2低温伝熱部53の上流側から下流側へ流れる排ガスの圧力損失を低減している。これにより、例えば、排ガスダクト内の構造物(例えば塞ぎ板11)を取り外すことで圧力損失を低減する場合と比較して、簡易に圧力損失を低減することができる。したがって、簡易にガスタービン出口圧力を低減することができる。よって、例えば、圧力損失を低減するためにGTCC発電システム40を停止させる必要がないので、GTCC発電システム40の稼働率を向上させることができる。
【0045】
本実施形態では、制御装置28が、圧力検出部23の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御している。これにより、ガスタービン出口圧力の上昇を検出した場合に、排ガスダンパ22を制御することでガスタービン出口圧力を低減することができる。したがって、好適にガスタービン出口圧力を低減することができる。
【0046】
本実施形態では、バイパスダクト21が、入口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な入口開閉部25と、出口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な出口開閉部26とを備えている。これにより、バイパスダクト21を使用していない場合に、入口開閉部25及び出口開閉部26を閉鎖状態とすることで、バイパスダクト21内に排ガスが流入しないようにすることができる。したがって、バイパスダクト21を使用していない状態において、バイパスダクト21内のメンテナンスをすることができる。
【0047】
脱硝装置63の下流側に設けられた第2低温伝熱部53は、脱硝装置63で使用されたアンモニアや排ガス中の硫黄分から生成される硫安等が伝熱管30の表面に付着して、伝熱管同士の間に形成される隙間が狭くなる可能性がある。したがって、当該第2低温伝熱部53では、通過する排ガスの圧力損失が大きくなり易い。
本実施形態では、バイパスダクト21が、脱硝装置63の下流側に設けられた第2低温伝熱部53を排ガスの一部がバイパスするように設けられている。これにより、圧力損失が大きくなり易い第2低温伝熱部53において圧力損失を低減することができる。したがって、好適にガスタービン出口圧力を低減することができる。
【0048】
排ガス流路15の下流側に設けられた第2低温伝熱部53は、流通する排ガスの温度が比較的低い(例えば、100℃から250℃程度)ことから、伝熱管30の表面に付着物(例えば、排ガス中に含まれる析出性の物質)が付着し易い。また、当該第2低温伝熱部53を通過する排ガスには、上流側から剥離した付着物等の異物が多く含まれていることから、伝熱管の表面に異物等が付着し易い。このため、伝熱管30同士の間に形成される隙間が狭くなり易い。したがって、当該第2低温伝熱部53では、通過する排ガスの圧力損失が大きくなり易い。
本実施形態では、バイパスダクト21が、排ガス流路15に設けられる複数の伝熱部のうち最も下流側に配置されている第2低温伝熱部53を排ガスの一部がバイパスするように設けられている。これにより、圧力損失が大きくなり易い第2低温伝熱部53において圧力損失を低減することができる。したがって、好適にガスタービン出口圧力を低減することができる。
【0049】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、上下方向に排ガスが流通する排熱回収ボイラに排ガスバイパス装置を適用する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、水平方向に排ガスが流通する排熱回収ボイラに排ガスバイパス装置を適用してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、第2低温伝熱部53を排ガスの一部がバイパスするようにバイパスダクト21を設ける例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、他の一つ又は複数の伝熱部を、排ガスの一部がバイパスするようにバイパスダクトを設けてもよい。また、複数の伝熱部に対して、各々バイパスダクトを設けてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、制御装置28が、圧力検出部23が検出するガスタービン41の出口圧力に基づいて、排ガスダンパ22を制御する例について説明したが本開示はこれに限定されない。制御装置28が取得する情報は、ガスタービン出口圧力の変動の要因となる現象を検出する検出部であればよい。以下では、圧力検出部23以外の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御する例について説明する。なお、本開示の排ガスバイパス装置20は、圧力検出部23に代えて以下の検出部を設けてもよく、圧力検出部23に加えて以下の検出部を設けてもよい。
【0052】
[変形例1]
また、制御装置28は、ガスタービン41の出口の排ガス流量を計測又は検出する流量検出部31の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御してもよい。排ガス流量が所定の閾値を超えた場合に、排ガスダンパ22を全閉状態から全開状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通する状態とする。排ガスダンパ22は、排ガスの流量が所定の閾値を下回った場合に、排ガスダンパ22を全開状態から全閉状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通しない状態とする。
【0053】
ガスタービン41から排出される排ガスの流量に応じて、ガスタービン出口圧力は変化する。すなわち、排ガスの流量が多くなるとガスタービン出口圧力が高くなり、排ガスの流量が少なくなるとガスタービン出口圧力が低くなる。
本変形例では、制御装置28は、流量検出部31の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御する。これにより、排ガスの流量を検出し、ガスタービン出口圧力が上昇すると推測される場合に、ガスタービン出口圧力を低減することができる。したがって、好適にガスタービン出口圧力を低減することができる。
【0054】
[変形例2]
また、制御装置28は、外気の温度(ガスタービン41の吸入する空気の温度)を計測又は検出する温度検出部32の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御してもよい。外気温度が所定の閾値を下回った場合に、排ガスダンパ22を全閉状態から全開状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通する状態とする。排ガスダンパ22は、外気温度が所定の閾値を超えた場合に、排ガスダンパ22を全開状態から全閉状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通しない状態とする。
【0055】
外気の温度に応じて、ガスタービン出口圧力は変化する。すなわち、外気の温度が低い場合には、ガスタービン41の吸入空気の温度も低くなるのでガスタービン41がより多くの外気を吸入するので出力が上昇する。このため、排ガスの流量が多くなりガスタービン出口圧力が高くなる。一方で、外気の温度が高い場合には、その逆の現象がおきるため、ガスタービン出口圧力が低くなる。
本変形例では、制御装置28は、温度検出部32の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御する。これにより、外気の温度を検出し、ガスタービン出口圧力が上昇すると推測される場合に、ガスタービン出口圧力を低減することができる。したがって、好適にガスタービン出口圧力を低減することができる。
【0056】
[変形例3]
また、制御装置28は、第2低温伝熱部53の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を計測又は検出する差圧検出部33の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御してもよい。差圧が所定の閾値を超えた場合に、排ガスダンパ22を全閉状態から全開状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通する状態とする。排ガスダンパ22は、差圧が所定の閾値を下回った場合に、排ガスダンパ22を全開状態から全閉状態として、排ガスダンパ22内を排ガスが流通しない状態とする。
【0057】
第2低温伝熱部53の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧に応じて、ガスタービン出口圧力は変化する。すなわち、差圧が大きい場合には、第2低温伝熱部53を排ガスが通過する際の圧力損失が大きいことから、ガスタービン出口圧力が高くなる。一方で、差圧が小さい場合には、ガスタービン出口圧力が低くなる。
本変形例では、制御装置28は、差圧検出部33の検出結果に基づいて排ガスダンパ22を制御する。これにより、差圧を検出し、ガスタービン出口圧力が上昇すると推測される場合に、ガスタービン出口圧力を低減することができる。したがって、好適にガスタービン出口圧力を低減することができる。
【0058】
以上説明した実施形態に記載の排ガスバイパス装置及び排熱回収ボイラ並びに排ガスバイパス方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係る排ガスバイパス装置は、内燃機関(41)から排出された排ガスが流通する排ガス流路(15)を規定する排ガスダクト(12)と、内部に給水が流通する複数の伝熱管(30)を有し前記排ガス流路(15)を流通する排ガスと前記伝熱管(30)内を流通する給水とを熱交換させる伝熱部(53)と、を備える排熱回収ボイラ(42)に設けられる排ガスバイパス装置(20)であって、前記排ガスダクト(12)に前記伝熱部(53)をバイパスするように設けられるバイパスダクト(21)と、前記バイパスダクト(21)内を流通する排ガスの流量を調整する調整部(22)と、前記内燃機関(41)から排出される排ガスの圧力が低減するように前記調整部(22)を制御する制御部(28)と、を備える。
【0059】
上記構成では、伝熱部をバイパスするように設けられるバイパスダクトを備えている。これにより、排ガス流路を流通する排ガスの一部が、バイパスダクトによって、伝熱部の上流側から下流側へ導かれる。バイパスダクトは、伝熱部をバイパスするように設けられている。これにより、バイパスダクトによって伝熱部の下流側へ導かれた排ガスは、伝熱部を通過しない。したがって、バイパスダクトを設けることで、全ての排ガスが伝熱部を通過する構成と比較して、伝熱部の上流側から下流側へ流れる排ガスの圧力損失を低減することができる。このように、伝熱部近傍の圧力損失を低減することができるので、排ガス流路において、伝熱部よりも上流側の排ガスの圧力を低減することができる。よって、内燃機関から排出されて排ガス流路に流入する排ガスの圧力(以下、「内燃機関出口圧力」と称する。)を低減することができる。
【0060】
また、上記構成では、内燃機関から排出される排ガスの圧力(すなわち、内燃機関出口圧力)が低減するように調整部を制御する制御部を備えている。制御部で調整部を制御することで、バイパスダクトを流通する排ガスの流量を調整することができる。バイパスダクトを流通する排ガスの流量を調整することで、内燃機関出口圧力を調整することができる。したがって、必要に応じて内燃機関出口圧力を低減することができる。よって、好適に内燃機関出口圧力を低減することができる。
【0061】
また、バイパスダクト内を流通する排ガスの流量を調整することで、伝熱部の上流側から下流側へ流れる排ガスの圧力損失を低減している。これにより、例えば、排ガスダクト内の構造物を取り外すことで圧力損失を低減する場合と比較して、簡易に圧力損失を低減することができる。したがって、簡易に内燃機関出口圧力を低減することができる。よって、例えば、圧力損失を低減するために排熱回収ボイラを停止させる必要がないので、排熱回収ボイラの効率を向上させることができる。
【0062】
なお、調整部が行う排ガスの流量の調整には、バイパスダクトに排ガスを流通させない状態とする調整も含まれる。すなわち、調整部は、バイパスダクト内に排ガスが流入する状態と流入しない状態とを切り替える切替部の役割も果たしている。
【0063】
本開示の第2態様に係る排ガスバイパス装置は、上記第1態様において、前記内燃機関(41)から排出される排ガスの圧力を検出する圧力検出部(23)を備え、前記制御部(28)は、前記圧力検出部(23)の検出結果に基づいて、前記調整部(22)を制御する。
【0064】
上記構成では、制御部が、圧力検出部の検出結果に基づいて調整部を制御している。これにより、内燃機関出口圧力の上昇を検出した場合に、調整部を制御することで内燃機関出口圧力を低減することができる。したがって、好適に内燃機関出口圧力を低減することができる。
【0065】
本開示の第3態様に係る排ガスバイパス装置は、上記第1態様または第2態様において、前記内燃機関(41)から排出される排ガスの流量を検出する流量検出部(31)を備え、前記制御部(28)は、前記流量検出部(31)の検出結果に基づいて、前記調整部(22)を制御する。
【0066】
内燃機関から排出される排ガスの流量に応じて、内燃機関出口圧力は変化する。すなわち、排ガスの流量が多くなると内燃機関出口圧力が高くなり、排ガスの流量が少なくなると内燃機関出口圧力が低くなる。
上記構成では、制御部は、流量検出部の検出結果に基づいて調整部を制御する。これにより、排ガスの流量を検出し、内燃機関出口圧力が上昇すると推測される場合に、内燃機関出口圧力を低減することができる。したがって、好適に内燃機関出口圧力を低減することができる。
【0067】
本開示の第4態様に係る排ガスバイパス装置は、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、外気の温度を検出する温度検出部(32)を備え、前記制御部(28)は、前記温度検出部(32)の検出結果に基づいて、前記調整部(22)を制御する。
【0068】
外気の温度に応じて、内燃機関出口圧力は変化する。すなわち、外気の温度が低い場合には、ガスタービンの吸入空気の温度も低くなるのでガスタービンがより多くの外気を吸入するので出力が上昇する。このため、排ガスの流量が多くなり内燃機関出口圧力が高くなる。一方で、外気の温度が高い場合には、その逆の現象がおきるため、内燃機関出口圧力が低くなる。
上記構成では、制御部は、温度検出部の検出結果に基づいて調整部を制御する。これにより、外気の温度を検出し、内燃機関出口圧力が上昇すると推測される場合に、内燃機関出口圧力を低減することができる。したがって、好適に内燃機関出口圧力を低減することができる。
【0069】
本開示の第5態様に係る排ガスバイパス装置は、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記伝熱部(53)の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧を検出する差圧検出部(33)を備え、前記制御部(28)は、前記差圧検出部(33)の検出結果に基づいて、前記調整部(22)を制御する。
【0070】
伝熱部の上流側の圧力と下流側の圧力との差圧に応じて、内燃機関出口圧力は変化する。すなわち、差圧が大きい場合には、伝熱部を排ガスが通過する際の圧力損失が大きいことから、内燃機関出口圧力が高くなる。一方で、差圧が小さい場合には、内燃機関出口圧力が低くなる。
上記構成では、制御部は、差圧検出部の検出結果に基づいて調整部を制御する。これにより、差圧を検出し、内燃機関出口圧力が上昇すると推測される場合に、内燃機関出口圧力を低減することができる。したがって、好適に内燃機関出口圧力を低減することができる。
【0071】
本開示の第6態様に係る排ガスバイパス装置は、上記第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記バイパスダクト(21)は、入口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な入口開閉部(25)と、出口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な出口開閉部(26)と、を有する。
【0072】
上記構成では、バイパスダクトが、入口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な入口開閉部と、出口を開放した状態と閉鎖した状態とを切り替え可能な出口開閉部とを備えている。これにより、バイパスダクトを使用していない場合に、入口開閉部及び出口開閉部を閉鎖状態とすることで、バイパスダクト内に排ガスが流入しないようにすることができる。したがって、バイパスダクトを使用していない状態において、バイパスダクト内のメンテナンスをすることができる。
【0073】
本開示の第7態様に係る排ガスバイパス装置は、上記第1態様から第6態様のいずれかにおいて、前記バイパスダクト(21)は、前記排ガス流路(15)に設けられる前記排ガス流路(15)を流通する排ガスを脱硝する脱硝装置の下流側に設けられている前記伝熱部(53)をバイパスするように設けられている。
【0074】
脱硝装置の下流側に設けられた伝熱部は、脱硝装置で使用されたアンモニア等が伝熱管の表面に付着することから、伝熱管同士の間に形成される隙間が狭くなり易い。したがって、当該伝熱部では、通過する排ガスの圧力損失が大きくなり易い。
上記構成では、バイパスダクトが、脱硝装置の下流側に設けられた伝熱部をバイパスするように設けられている。これにより、圧力損失が大きくなり易い伝熱部において圧力損失を低減することができる。したがって、好適に内燃機関出口圧力を低減することができる。
【0075】
本開示の第8態様に係る排ガスバイパス装置は、上記第1態様から第7態様のいずれかにおいて、前記バイパスダクト(21)は、前記排ガス流路(15)に設けられる複数の前記伝熱部(53)のうち最も下流側に配置されている前記伝熱部(53)をバイパスするように設けられている。
【0076】
排ガス流路の下流側に設けられた伝熱部は、流通する排ガスの温度が低いことから、伝熱管の表面に付着物が付着し易い。また、当該伝熱部を通過する排ガスには、上流側から剥離した付着物等の異物が多く含まれていることから、伝熱管の表面に異物等が付着し易い。このため、伝熱管同士の間に形成される隙間が狭くなり易い。したがって、当該伝熱部では、通過する排ガスの圧力損失が大きくなり易い。
上記構成では、バイパスダクトが、排ガス流路に設けられる複数の前記伝熱部のうち最も下流側に配置されている伝熱部をバイパスするように設けられている。これにより、圧力損失が大きくなり易い伝熱部において圧力損失を低減することができる。したがって、好適に内燃機関出口圧力を低減することができる。
【0077】
本開示の第1態様に係る排熱回収ボイラは、上記第1態様から第8態様のいずれかの排ガスバイパス装置(20)を備えている。
【0078】
本開示の第1態様に係る排ガスバイパス方法は、内燃機関(41)から排出された排ガスが流通する排ガス流路(15)を規定する排ガスダクト(12)と、内部に給水が流通する複数の伝熱管(30)を有し前記排ガス流路(15)を流通する排ガスと前記伝熱管(30)内を流通する給水とを熱交換させる伝熱部(53)と、を備える排熱回収ボイラにおける排ガスバイパス方法であって、前記排ガスダクト(12)に前記伝熱部(53)をバイパスするように設けられるバイパスダクト(21)内を流通する排ガスの流量を、前記内燃機関(41)から排出される排ガスの圧力が低減するように制御する制御工程を備える。
【符号の説明】
【0079】
10 :熱交換器
11 :塞ぎ板
12 :排ガスダクト
13 :伝熱管ブロック
14 :固定板
15 :排ガス流路
20 :排ガスバイパス装置
21 :バイパスダクト
21a :上流側水平部
21b :垂直部
21c :下流側水平部
22 :排ガスダンパ(調整部)
23 :圧力検出部
24 :エキスパンション
25 :入口開閉部
26 :出口開閉部
28 :制御装置
30 :伝熱管
31 :流量検出部
32 :温度検出部
33 :差圧検出部
40 :ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電システム
41 :ガスタービン(内燃機関)
42 :排熱回収ボイラ
43 :蒸気タービン
44 :復水器
45 :圧縮機
46 :燃焼器
47 :タービン
48 :発電機
49 :第1高温伝熱部(伝熱部)
50 :第2高温伝熱部(伝熱部)
51 :第3高温伝熱部(伝熱部)
52 :第1低温伝熱部(伝熱部)
53 :第2低温伝熱部(伝熱部)
54 :ガス入口部
55 :出口ダンパ
56 :ポンプ
57 :低圧ドラム
58 :低圧蒸気タービン
59 :ポンプ
60 :高圧ドラム
61 :高圧蒸気タービン
62 :給水循環ライン
63 :脱硝装置
図1
図2
図3
図4