(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080908
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】車止め部材
(51)【国際特許分類】
B60T 3/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B60T3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194262
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】関口 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇輝
(57)【要約】
【課題】軽量で取り扱いが容易であり、車両に保持することで車両を停車後にすぐに取り出すことができる車止め部材を提供する。
【解決手段】地面に載置されると共に、車輪の前後端に当接する車止め本体と、前記車止め本体を所定の間隔で固定する固定部と、前記固定部から鉛直方向に延びるハンドル部と、前記ハンドル部が係止可能な係止部を有すると共に、車体に着脱自在に取り付け可能な保持部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に載置されると共に、車輪の前後端に当接する車止め本体と、
前記車止め本体を所定の間隔で固定する固定部と、
前記固定部から鉛直方向に延びるハンドル部と、
前記ハンドル部が係止可能な係止部を有すると共に、車体に着脱自在に取り付け可能な保持部とを有することを特徴とする車止め部材。
【請求項2】
請求項1に記載の車止め部材において、
前記固定部は、前記車止め本体の間隔を調整可能であることを特徴とする車止め部材。
【請求項3】
請求項1に記載の車止め部材において、
前記保持部は、山形鋼で構成された保持部本体を備え、
前記係止部は、前記山形鋼の一辺から立設すると共に、前記山形鋼の他辺と前記ハンドル部が挿通可能な隙間を有することを特徴とする車止め部材。
【請求項4】
請求項3に記載の車止め部材において、
前記係止部は、前記保持部本体の一端に形成されることを特徴とする車止め部材。
【請求項5】
請求項4に記載の車止め部材において、
前記保持部本体の一端は、前記ハンドル部の把持部と当接可能であると共に、前記保持部本体の他端は、前記固定部と当接可能であることを特徴とする車止め部材。
【請求項6】
請求項3に記載の車止め部材において、
前記保持部本体の一端は、前記車体に取り付ける着脱手段が取り付けられることを特徴とする車止め部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車中の車両が不用意に移動しないように保持する車止め部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、停車中の車両が不用意に移動しないように、停車中の車両の車輪にクサビ状の車止めを密着させて車両の表面と路面に摩擦力を生じさせて操作ミスによって車両が動き出すことを防止している。
【0003】
このような車止めを車輪に密着させるには、車輪の前方側及び後方側のそれぞれに車止めを取り付けるため、作業者が屈みこんだ姿勢となることから、車両が停車する度に車止めを取り付けることは非常に手間のかかる作業であった。
【0004】
また、車止めは車輪の前後に十分に密着することで車両の動き出しを確実に防止するところ、車止めの取り付けが不十分である場合には、十分な効果を発揮することができないため、確実に取り付けられていることを確認する作業が必要であった。
【0005】
このため、確実な車止めの取り付けを行うために、種々の構造が知られており、例えば特許文献1に記載された車止め装置が知られている。
【0006】
特許文献1に記載された車止め装置は、設置面となる底面を有する角柱フレームと、該角柱フレームの底面に対向する表面にT字状に結合された支柱とからなる本体と、角柱フレームの一方の側面にスライド可能に連結された一対の車止めブロックと、車止めブロックを互いに角柱フレームの中心に向けて付勢するスプリングと、本体に設けられ、スプリングによる付勢力に抗し、車止めブロックを互いに離隔するように移動させる移動手段と、移動手段による車止めブロックの移動位置を保持する保持手段と、保持手段を解除して、スプリングの付勢力により、一対の車止めブロックをタイヤ接地面の前後に向けて相互に押圧させる解除手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の車止め部材は、車両の停車する場所の近傍に保管されており、車両を停車した後、当該保管場所まで車止め部材を取りに行く必要があり、保管場所までの距離が遠い場合には、車止め部材を運搬することが作業負担となるという問題があった。なお、特許文献1に記載された車止め装置は、スプリングの付勢力によって車止めブロックを車輪に押圧し車止めブロックを離隔した状態を保持する保持手段及び移動手段を有するという構成を有しているので、その重量が大きくなり運搬性に問題があった。
【0009】
また、車止め部材に車輪等を取り付けて運搬性を向上させた車止め部材も知られているが、保管場所まで車止め部材を取りに行くという問題を根本的に解決するものではなかった。
【0010】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてされた発明であり、軽量で取り扱いが容易であり、車両に保持することで車両を停車後にすぐに取り出すことができる車止め部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る車止め部材は、地面に載置されると共に、車輪の前後端に当接する車止め本体と、前記車止め本体を所定の間隔で固定する固定部と、前記固定部から鉛直方向に延びるハンドル部と、前記ハンドル部が係止可能な係止部を有すると共に、車体に着脱自在に取り付け可能な保持部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る車止め部材において、前記固定部は、前記車止め本体の間隔を調整可能であると好適である。
【0013】
また、本発明に係る車止め部材において、前記保持部は、山形鋼で構成された保持部本体を備え、前記係止部は、前記山形鋼の一辺から立設すると共に、前記山形鋼の他辺と前記ハンドル部が挿通可能な隙間を有すると好適である。
【0014】
また、本発明に係る車止め部材において、前記係止部は、前記保持部本体の一端に形成されると好適である
【0015】
また、本発明に係る車止め部材において、前記保持部本体の一端は、前記ハンドル部の把持部と当接可能であると共に、前記保持部本体の他端は、前記固定部と当接可能であると好適である。
【0016】
また、本発明に係る車止め部材において、前記保持部本体の一端は、前記車体に取り付ける着脱手段が取り付けられると好適である。
【0017】
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る車止め部材は、ハンドル部が係止可能な係止部を有すると共に、車体に着脱自在に取り付け可能な保持部を有しているので、軽量で取り扱いが容易であり、車両に保持することで車両を停車後にすぐに取り出すことができる車止め部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本実施形態に係る車止め部材の車止め部の斜視図。
【
図3】本実施形態に係る車止め部材の保持部の斜視図。
【
図4】本実施形態に係る車止め部材の保持部の下方を表した斜視図。
【
図5】本実施形態に係る車止め部材を車両に取り付けた状態を示す図。
【
図6】本実施形態に係る車止め部材の使用状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る車止め部材の斜視図であり、
図2は、本実施形態に係る車止め部材の車止め部の斜視図であり、
図3は、本実施形態に係る車止め部材の保持部の斜視図であり、
図4は、本実施形態に係る車止め部材の保持部の下方を表した斜視図であり、
図5は、実施形態に係る車止め部材を車両に取り付けた状態を示す図であり、
図6は、本実施形態に係る車止め部材の使用状態を説明する図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る車止め部材1は、車止め部10と保持部20とを有している。車止め部10は、保持部20に着脱自在に保持されており、保持部20は、後述するように車両に固定可能となっている。
【0023】
図2及び
図6に示すように、車止め部10は、地面に載置されると共に、車両2の車輪5の前後端に当接する一対の車止め本体11a,11bと、車止め本体11a,11bを所定の間隔で固定する固定部12と、固定部12から鉛直方向に延びると共に、端部に把持部14が形成されたハンドル部13とを有している。
【0024】
車止め本体11a,11bは、車輪5の前側に当接する前側車止め本体11aと、車輪5の後側に当接する後側車止め本体11bとを有しており、前側車止め本体11aは、車輪5と当接する面に斜面11cが形成され車輪5と地面との間に斜面11cが差し込まれることでクサビとして作用する。これに対し、後側車止め本体11bは、斜面が形成されず、車輪5との当接面は鉛直方向に沿った面として形成されている。このように後側車止め本体11bとすることで、垂直面を車輪5に沿わせて、前側車止め本体11aの斜面11cが車輪5に差し込みやすく、差し込んだ後に、斜面11cを車輪5に押し付けてクサビとして作用を大きくすることができる。また、後側車止め本体11bも前側車止め本体11aと同様の斜面11cを形成しても構わない。
【0025】
固定部12は、板状部材であって、車止め本体11a,11bがボルトなどの締結手段によって締結固定されている。車止め本体11a,11bは、固定部12に形成された図示しない取付孔に締結手段を挿通することで固定されており、取付孔は、車止め本体11a,11bの間隔を調整することができるように、車止め本体11a,11bの対向方向に長い長孔に形成されていると好適である。
【0026】
ハンドル部13は、断面円形の棒材で構成されると好適であり、一端が固定部12に溶接等で固定され、車体から離れる方向に傾斜して形成されている。また、他端に形成された把持部14は、棒材を折り返すように曲げると共に、
図5に示すように、長手方向に対して傾斜するように形成されており、折返しの中央部を窪ませることで作業者が容易に把持することができるように構成されている。
【0027】
図3及び
図4に示すように、保持部20は、保持部本体22と、保持部本体22の一端に取り付けられた着脱手段23とを有している。保持部本体22は、一辺22aと他辺22bとを有する山形鋼で構成されると好適である。また、山形鋼の他、溝形鋼や半割管並びに鋼管等にスリットを形成して構成しても構わない。
【0028】
また、着脱手段23は、所謂シャコ万力を用いると好適であり、着脱手段23は、保持部本体22の山部に溶接等によって固定されている。さらに、保持部本体22の一端側には係止部21が形成されている。
【0029】
係止部21は、板状の部材を溶接等によって固定して形成されると好適であり、山形鋼の一辺22aから立設すると共に、係止部21の側縁と他辺22bとの間には、所定の隙間Gが形成されている。隙間Gは、車止め部10のハンドル部13が挿通可能に形成されている。
【0030】
図5に示すように、保持部本体22の長さは、保持部20に車止め部10を載置した際に、把持部14の基部および固定部12との間の長さと同等またはそれよりも長く形成されており、保持部本体22の両端は、それぞれ把持部14の基部及び固定部12と当接可能に形成されている。
【0031】
また、
図5に示すように、保持部20は、着脱手段23によって車両2の柱部3等に固定することで車両2の車体4上に載置することが可能であり、当該保持部20に車止め部10を係止することで、車止め部10を容易に取り付けることが可能となる。
【0032】
なお、車止め部10は、鉛直方向及び水平方向は、保持部本体22及び係止部21によって保持され、長手方向は、保持部本体22が把持部14の基部及び固定部12と当接することで保持されるので、車両2に載置した場合でも走行に伴う振動等によって車止め部10が脱落することを防止している。
【0033】
また、車両2の停車時には、
図6に示すように車両2から容易に車止め部10を取り外して車輪5の前後に車止め本体11a,11bを載置することができるので、車止め部10の取り扱いが容易となる。
【0034】
また、車止め本体11a,11bを固定する固定部12からハンドル部13が延設しているので、作業者が車輪5の前後に車止め本体11a,11bを載置又は取り外す際に、屈みこむことなく作業を行うことができ、作業者への負担を低減することができる。このとき、把持部14が長手方向に対して傾斜しているので、車止め本体11a,11bの着脱作業をより容易に行えるように構成されている。
【0035】
さらに、車止め本体11a,11bは、板状の固定部12にボルト等によって締結され、棒状のハンドル部13とで構成されているので、複雑な間隔調整機構等を有していないことから車止め部10をより軽量に構成することができる。
【0036】
なお、以上の実施の形態では、把持部14は、棒材を曲げ加工して形成した場合について説明を行ったが、把持部は、別部材を溶接等で固定しても構わない。また、ハンドル部13は、断面円形の棒材に限らず、長尺部材であれば、種々の部材を適用することが可能である。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0037】
1 車止め部材, 2 車両, 3 柱部, 4 車体, 5 車輪, 10 車止め部, 11a 前側車止め本体, 11b 後側車止め本体, 11c 斜面, 12 固定部, 13 ハンドル部, 14 把持部, 20 保持部, 21 係止部, 22 保持部本体, 22a 山形鋼の一辺, 22b 山形鋼の他辺, 23 着脱手段, G 隙間。