(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080916
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】人物属性判定装置および方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240610BHJP
G06V 10/764 20220101ALI20240610BHJP
【FI】
G06T7/00 660B
G06V10/764
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194275
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 怜
(72)【発明者】
【氏名】木村 弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好美
(72)【発明者】
【氏名】平澤 幸
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA08
5L096CA05
5L096DA02
5L096EA12
5L096EA35
5L096FA02
5L096FA18
5L096FA59
5L096FA60
5L096FA62
5L096FA64
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA01
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】人物の属性の判定精度を向上させることができる人物属性判定装置および方法を提供すること。
【解決手段】人物属性判定装置1は、属性判定の対象となる人物の移動経路Rが含まれる所定の撮像範囲を撮像するカメラ100と、同一の人物について、移動経路Rに沿った複数箇所において、カメラ100によって撮像された画像から人物画像を抽出する人物画像抽出部320、画像分類部330、代表画像選択部340と、代表画像選択部340によって選択された複数の人物画像のそれぞれを用いて、人物の仮属性を判定する仮属性判定部350と、複数箇所のそれぞれに対応する重み値を用いて複数の仮属性に対して重み付けを行うことにより、人物の属性を最終的に判定する重み値設定部360、最終属性判定部370とを備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
属性判定の対象となる人物の移動経路が含まれる所定の撮像範囲を撮像する撮像手段と、
同一の前記人物について、前記移動経路に沿った複数箇所において、前記撮像手段によって撮像された画像から前記人物に対応する人物画像を抽出する人物画像抽出手段と、
前記人物画像抽出手段によって抽出された複数の前記人物画像のそれぞれを用いて、前記人物の仮属性を判定する仮属性判定手段と、
前記複数箇所のそれぞれに対応する重み値を用いて、前記仮属性判定手段によって判定された複数の仮属性に対して重み付けを行うことにより、人物の属性を最終的に判定する最終属性判定手段と、
を備えることを特徴とする人物属性判定装置。
【請求項2】
前記重み値は、前記複数箇所のそれぞれにおける人物の姿勢に基づいて設定されていることを特徴とする請求項1に記載の人物属性判定装置。
【請求項3】
前記重み値は、前記人物が正面を向いている姿勢のときに大きく、正面からずれるにしたがって小さくなることを特徴とする請求項2に記載の人物属性判定装置。
【請求項4】
前記重み値は、前記複数箇所のそれぞれに対応する前記人物画像の大きさが大きいときに大きく、小さくなるにしたがって小さくなることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の人物属性判定装置。
【請求項5】
前記撮像範囲内の前記移動経路に沿って、前記複数箇所のそれぞれに対応して互いに重複しない複数の検出枠が設定されており、
前記人物画像抽出手段は、前記人物画像の重心に着目し、前記複数の検出枠のそれぞれに重心が含まれる前記人物画像を、前記仮属性の判定対象となる前記人物画像として抽出することを特徴とする請求項1に記載の人物属性判定装置。
【請求項6】
前記人物画像抽出手段は、前記検出枠の中心に、重心が最も近い前記人物画像を抽出することを特徴とする請求項5に記載の人物属性判定装置。
【請求項7】
属性判定の対象となる人物の移動経路が含まれる所定の撮像範囲を撮像手段によって撮像するステップと、
同一の前記人物について、前記移動経路に沿った複数箇所において、前記撮像手段によって撮像された画像から前記人物に対応する人物画像を人物画像抽出手段によって抽出するステップと、
前記人物画像抽出手段によって抽出された複数の前記人物画像のそれぞれを用いて、前記人物の仮属性を仮属性判定手段によって判定するステップと、
前記複数箇所のそれぞれに対応する重み値を用いて、前記仮属性判定手段によって判定された複数の仮属性に対して重み付けを行うことにより、人物の属性を最終的に最終属性判定手段によって判定するステップと、
を有する人物属性判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像した画像に含まれる人物の属性を判定する人物属性判定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラで撮像して得られた複数のフレームから同一の人物の像を抽出し、抽出した複数の像のそれぞれについて、人物の属性の確からしさを示すスコアと、属性の認識に影響を与える事象(位置、行動、姿勢など)に対応する信頼度とを求め、これらを掛け合わせた値を各フレーム分加算することで、加算結果が最も大きい属性を最終的にこの人物の属性として決定するようにした属性決定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された属性決定装置では、カメラの撮像範囲を移動する同一人物の像を複数フレームにわたって抽出し、それぞれの像について属性と信頼度とを求めることによって、最も確からしい人物の属性を判定している。このため、複数の像の中に、信頼度が高い像が含まれている場合には、最終的に判定される属性の精度は高くなるが、信頼度が低い像しか含まれていない場合には属性の精度が低くなり、精度にばらつきが生じるおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、人物の属性の判定精度を向上させることができる人物属性判定装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の人物属性判定装置は、属性判定の対象となる人物の移動経路が含まれる所定の撮像範囲を撮像する撮像手段と、同一の人物について、移動経路に沿った複数箇所において、撮像手段によって撮像された画像から人物に対応する人物画像を抽出する人物画像抽出手段と、人物画像抽出手段によって抽出された複数の人物画像のそれぞれを用いて、人物の仮属性を判定する仮属性判定手段と、複数箇所のそれぞれに対応する重み値を用いて、仮属性判定手段によって判定された複数の仮属性に対して重み付けを行うことにより、人物の属性を最終的に判定する最終属性判定手段とを備えている。
【0007】
また、本発明の人物属性判定方法は、属性判定の対象となる人物の移動経路が含まれる所定の撮像範囲を撮像手段によって撮像するステップと、同一の人物について、移動経路に沿った複数箇所において、撮像手段によって撮像された画像から人物に対応する人物画像を人物画像抽出手段によって抽出するステップと、人物画像抽出手段によって抽出された複数の人物画像のそれぞれを用いて、人物の仮属性を仮属性判定手段によって判定するステップと、複数箇所のそれぞれに対応する重み値を用いて、仮属性判定手段によって判定された複数の仮属性に対して重み付けを行うことにより、人物の属性を最終的に最終属性判定手段によって判定するステップとを有している。
【0008】
属性判定の対象となる人物の移動経路がわかっているため、この移動経路に沿って撮像した人物画像を対象に属性判定を行うことができ、しかも、移動経路に沿った複数箇所のそれぞれに対応する人物画像を用いて人物属性を総合的に判定することができるため、判定される人物の属性の精度を向上させることが可能となる。
【0009】
また、上述した重み値は、複数箇所のそれぞれにおける人物の姿勢に基づいて設定されていることが望ましい。人物の属性判定を行う際に、人物の姿勢に応じて判定精度が大きく異なることが考えられる。したがって、姿勢を考慮した重み値を設定することにより、属性の判定精度を高めることができる。
【0010】
また、上述した重み値は、人物が正面を向いている姿勢のときに大きく、正面からずれるにしたがって小さくなることが望ましい。正面を向いている姿勢、すなわち、人物の顔が見えるときに、属性の判定精度が最も高いと考えられる。したがって、正面を向いているか否かを考慮した重み値を設定することにより、属性の判定精度を高めることができる。
【0011】
また、上述した重み値は、複数箇所のそれぞれに対応する人物画像の大きさが大きいときに大きく、小さくなるにしたがって小さくなることが望ましい。同じ人物画像でも大きくて構成画素数が多い方が正確に人物の行動や表情などを確認することができるため、属性の判定精度が高くなると考えられる。したがって、人物画像の大きさを考慮した重み値を設定することにより、属性の判定精度を高めることができる。
【0012】
また、上述した撮像範囲内の移動経路に沿って、複数箇所のそれぞれに対応して互いに重複しない複数の検出枠が設定されており、人物画像抽出手段は、人物画像の重心に着目し、複数の検出枠のそれぞれに重心が含まれる人物画像を、仮属性の判定対象となる人物画像として抽出することが望ましい。これにより、どの人物画像が抽出されるかが明確になり、抽出する人物画像の特定が容易となる。
【0013】
また、上述した人物画像抽出手段は、検出枠の中心に、重心が最も近い人物画像を抽出することが望ましい。これにより、人物画像を抽出する移動経路上の位置を固定化することができ、それらの位置での人物の姿勢も類似したものになることから、属性の判定精度が高い状態で維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態の人物属性判定装置の構成を示す図である。
【
図5】バスに乗車する乗客の人物属性を判定する動作手順を示す流れ図である。
【
図9】具体的な値を用いた算出した人物属性の判定結果を示す図である。
【
図10】代表画像の数が少ない場合の判定例を示す図である。
【
図11】人物の属性判定を行う他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の人物属性判定装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、一実施形態の人物属性判定装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の人物属性判定装置1は、カメラ100、車載機200、人物属性判定サーバ300を含んで構成されている。
【0017】
カメラ100は、属性判定の対象となる人物の移動経路が含まれる所定の撮像範囲を、所定の時間間隔で撮像する。カメラ100は1台である必要はなく、移動経路が含まれる撮像範囲を複数台のカメラで撮像するようにしてもよい。
【0018】
図2は、カメラ100の設置例を示す図である。
図2に示す例では、バス400を利用する乗客の人物属性(性別や年齢など)を判定するために、バス400の乗車口410から乗った乗客が降車口420に向かって移動する移動経路Rの一部を撮像するために、乗車口410の向かい側の天井付近であって、この移動経路Rに沿って移動する乗客の全身が撮像可能な向きにカメラ100が取り付けられている。
【0019】
車載機200は、カメラ100で撮像した画像データに対して所定の処理を行った後に人物属性判定サーバ300に向けて送信する。
【0020】
図3は、車載機200の構成を示す図である。
図3に示すように、車載機200は、画質調整部210、モザイク処理部220、通信部230を含んで構成されている。画質調整部210は、カメラ100から入力される画像データに対して輝度補正(調光処理)を行って、画像データを一定の明るさに調整する。モザイク処理部220は、撮像された画像に人物が含まれる場合に、この人物を特定する特徴となる部分画像に対してモザイク処理を行う。例えば、人物の目を含む所定範囲に対してモザイク処理が行われる。このモザイク処理後の画像データは、通信部230から人物属性判定サーバ300に送られる。
【0021】
通信部230と人物属性判定サーバ300との間は、インターネット等のネットワーク回線を介して接続されている。なお、このネットワーク回線を介した画像データの送受信は、必ずしもリアルタイムで行う必要はなく、バス400が走行中に撮像した画像データを車載機200に蓄積しておいて、バス発着場等に戻ってきたときに一斉に人物属性判定サーバ300に向けて送信するようにしてもよい。
【0022】
人物属性判定サーバ300は、車載機200から送られてくる画像データに基づいて、撮像された画像に含まれる人物の属性を判定する。この属性には、性別や年齢などが含まれる。例えば、性別として男/女のいずれか、年齢として乳幼児/小学生/中高生/大学生/社会人20代/社会人30-40代/社会人50-60代/高齢者のいずれか、などが人物属性として判定される。なお、年齢の分け方は子供/大人などの大雑把な分類を行う場合や、これら以外の分類を行う場合など、判定された人物属性を使用する目的に適した分類を用いればよい。
【0023】
図4は、人物属性判定サーバ300の構成を示す図である。
図4に示すように、人物属性判定サーバ300は、通信部310、人物画像抽出部320、画像分類部330、代表画像選択部340、仮属性判定部350、重み値設定部360、最終属性判定部370を含んで構成されている。通信部310以外の各構成部は、メモリに格納された所定の動作プログラムをCPU等のプロセッサで実行することにより実現することができる。これらの動作については後述する。
【0024】
上述したカメラ100が撮像手段に、人物画像抽出部320、画像分類部330、代表画像選択部340が人物画像抽出手段に、仮属性判定部350が仮属性判定手段に、重み値設定部360、最終属性判定部370が最終属性判定手段にそれぞれ対応する。
【0025】
本実施形態の人物属性判定装置1はこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。
【0026】
図5は、バス400に乗車する乗客の人物属性を判定する動作手順を示す流れ図であり、主に人物属性判定サーバ300の動作手順が示されている。
【0027】
乗客を撮像して得られた動画形式の画像データが車載機200から送られてくると、通信部310はこれを受信する(ステップ100)。
【0028】
次に、人物画像抽出部320は、送られてきた画像データの中から、同一人物に対応して撮像された連続する複数枚の画像フレームを取得するとともに、これら複数枚の画像フレームのそれぞれに含まれる同一人物の画像(人物画像)を抽出する(ステップ102)。この画像の抽出は、着目している人物の全身を含む最小の矩形枠で区切られた部分画像を切り出すことにより行われる。
図6は、人物を含む部分画像切出しの説明図である。
図6に示すように、人物画像が内接するように縦長の矩形Kが設定され、この矩形Kに含まれる部分画像が切り出される。
【0029】
次に、画像分類部330は、抽出した複数枚のフレームに対応する複数の部分画像を、この部分画像に含まれる人物画像の姿勢に着目して分類する(ステップ104)。例えば、正面(乗車前)、正面(乗車後)、横、後ろの4種類に分類する。
【0030】
この4種類の姿勢の分類は、各人物画像の姿勢を分析して行うようにしてもよいが、本実施形態では、人物画像が含まれる矩形形状の部分画像の重心(中心)の位置を特定することにより、分類処理の簡略化を図っている。
【0031】
図7は、人物の姿勢分類の説明図である。
図7に示すように、本実施形態では、人物画像を姿勢で分類するために、分類対象となる姿勢の数に対応する4つの分類枠A、B、C、Dが設定されている。画像分類部330は、人物画像が内接する矩形Kで区切られた部分画像の重心(中心)p(
図6)が、これら4つの分類枠A、B、C、Dのいずれに含まれるかを調べることにより、人物画像の姿勢を分類する。
【0032】
具体的には、重心pが分類枠Aに含まれる場合には、姿勢が「正面(乗車前)」であると分類される。重心pが分類枠Bに含まれる場合には、姿勢が「正面(乗車後)」であると分類される。重心pが分類枠Cに含まれる場合には、姿勢が「横」であると分類される。重心pが分類枠Dに含まれる場合には、姿勢が「後ろ」であると分類される。
【0033】
なお、このような分類枠を用いた姿勢の分類を可能とするために、事前に、様々な属性の人物について各姿勢の重心pがとり得る範囲を調べておいて、4つの分類枠A、B、C、Dを設定しておく必要がある。また、例えば分類枠Bに含まれる重心pに対応する人物が実際には横を向いているような場合もありうるが、本実施形態では、実際の姿勢を分析していないため、このような横向きの人物の姿勢も「正面(乗車後)」として扱われる。
【0034】
次に、代表画像選択部340は、分類された各姿勢毎に1枚(全体で4枚)の代表画像を選択する(ステップ106)。この選択は、各分類枠毎に、枠の中心に最も近い重心pを有する部分画像(人物画像)を特定することにより行われる。
【0035】
図8は、代表画像選択の説明図である。
図8において、a1~a3は人物画像を含む3つの部分画像の重心pの位置を示すものであり、分類枠Aに含まれている。b1~a4は人物画像を含む4つの部分画像の重心pの位置を示すものであり、分類枠Bに含まれている。c1~c3は人物画像を含む3つの部分画像の重心pの位置を示すものであり、分類枠Cに含まれている。d1~d5は人物画像を含む5つの部分画像の重心pの位置を示すものであり、分類枠Dに含まれている。
【0036】
図8に示す例の場合には、分類枠Aについては、重心pの位置がa1で示される部分画像が代表画像として選択される。また、分類枠Bについては、重心pの位置がb3で示される部分画像が代表画像として選択される。分類枠Cについては、重心pの位置がc1で示される部分画像が代表画像として選択される。分類枠Dについては、重心pの位置がd3で示される部分画像が代表画像として選択される。
【0037】
次に、仮属性判定部350は、選択された4つの代表画像のそれぞれを用いて人物の属性を仮判定する(ステップ108)。この判定は、AI(人工知能)を用いて行うことが考えられる。この場合に、予め、属性が既知の様々な属性の人物をバス400(カメラ100と移動経路Rとの相対的な位置関係が同じであれば、必ずしも今回属性判定を行うバス400を用いる必要はない)に乗車させて得られた多数の部分画像を用いて学習させることにより、移動経路Rに沿って移動する人物の判定に適したAI処理を実現することができる。
【0038】
例えば、各代表画像に得られた仮属性の判定結果の一例を以下に示す。
(代表画像1)
分類枠A/姿勢「正面(乗車前)」
男性:0.4(該当する割合)
女性:0.8
社会人20代:0.6
高齢者:0.4
(代表画像2)
分類枠B/姿勢「正面(乗車後)」
男性:0.3
女性:0.7
社会人20代:0.7
高齢者:0.4
(代表画像3)
分類枠C/姿勢「横」
男性:0.4
女性:0.5
社会人20代:0.7
高齢者:0.2
(代表画像4)
分類枠D/姿勢「後ろ」
男性:0.4
女性:0.6
社会人20代:0.6
高齢者:0.2
このように、4つの代表画像のそれぞれに対応して仮属性の判定結果が4組得られる。
【0039】
次に、重み値設定部360は、4つの代表画像のそれぞれに対応して得られた仮属性の値を重み付け加算するための4つの重み値を設定する(ステップ110)。本実施形態では、この重み値として、姿勢に対応する第1の重み値s1と、画像サイズに対応する第2の重み値s2が含まれる。
【0040】
例えば、姿勢に対応する第1の重み値s1は、人物を正面から見た場合に最も正確に属性判定を行うことができ、横向きから後ろ向きになるにしたがって属性判定の精度が低下すると考えられることから、「正面(乗車前)」、「正面(乗車後)」、「横」、「後ろ」の各姿勢に対応して、第1の重み値が0.35、0.35、0.20、0.10に設定される。なお、これらの第1の重み値s1の具体的な値は一例であって、適宜変更することができる。
【0041】
また、画像サイズに対応する第2の重み値s2は、判定対象となる代表画像の大きさが大きいほど属性判定の精度が高く、判定対象となる代表画像の大きさが小さくなるほど属性判定の精度が低下すると考えられることから、各代表画像の面積比となるようにそれぞれの第2の重み値s2が設定される。
【0042】
また、実際には4つの代表画像の大きさは、カメラ100から人物までの距離を考慮すると、それほど大きな違いがないと考えられるため、本実施形態では、属性判定の精度に寄与する割合を、姿勢に対応する第1の重み値s1を75%、画像サイズに対応する第2の重み値s2を25%とし、これらを合わせた総合的な重み値s3を0.75×s1+0.25×s2として設定している。なおこれらの割合は一例であって、適宜変更することができる。
【0043】
次に、最終属性判定部370は、4つの代表画像のそれぞれについて得られた仮属性を、それぞれに対応して設定された総合的な重み値s3を用いた重み付け加算を行って、着目している人物に対する最終的な属性を総合的に判定する(ステップ112)。
【0044】
図9は、上述した具体的な値を用いた算出した人物属性の判定結果を示す図である。
図9に示す画像サイズは、代表画像の縦横の画素数(ピクセル数)を示している。
【0045】
図9に示す例では、着目している人物の総合的な属性が、
男性:0.37
女性:0.68
社会人20代:0.66
高齢者:0.33
と判定された。なお、最も可能性が高い属性として、性別を「女性」、年齢層を「社会人20代」としてもよい。
【0046】
このように、本実施形態の人物属性判定装置1では、属性判定の対象となる人物の移動経路Rがわかっているため、この移動経路Rに沿って撮像した人物画像を対象に属性判定を行うことができ、しかも、移動経路Rに沿った複数箇所のそれぞれに対応する人物画像を用いて人物属性を総合的に判定することができるため、判定される人物の属性の精度を向上させることが可能となる。
【0047】
また、人物の属性判定を行う際に、人物の姿勢に応じて判定精度が大きく異なることが考えられるため、姿勢を考慮した重み値を設定することにより、最終的な属性判定を行う際の精度を高めることができる。
【0048】
また、重み値を、人物が正面を向いている姿勢のときに大きく、正面からずれるにしたがって小さくしている。一般に、正面を向いている姿勢、すなわち、人物の顔が見えるときに、属性の判定精度が最も高いと考えられる。したがって、正面を向いているか否かを考慮した重み値を設定することにより、属性の判定精度を高めることができる。
【0049】
また、同じ内容の人物画像(部分画像)でも大きくて構成画素数が多い方が正確に人物の行動や表情などを確認することができるため、属性の判定精度が高くなると考えられる。したがって、人物画像の大きさ(面積)を考慮した重み値を設定することにより、属性の判定精度を高めることができる。
【0050】
また、移動経路Rに沿って互いに重複しない複数の検出枠(分類枠)A、B、C、Dが設定されており、人物画像の重心pに着目し、それぞれの検出枠に重心pが含まれる人物画像を、仮属性の判定対象となる人物画像として抽出している。これにより、どの人物画像が抽出されるかが明確になり、抽出する人物画像の特定が容易となる。
【0051】
特に、検出枠(分類枠)の中心に、重心pが最も近い人物画像を抽出することにより、人物画像を抽出する移動経路R上の位置を固定化することができ、それらの位置での人物の姿勢も類似したものになることから、属性の判定精度が高い状態で維持することが可能となる。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、4つの姿勢(正面(乗車前)、正面(乗車後)、横、後ろ)のそれぞれについて代表画像を選択して4つの仮属性を判定した後、重み付け加算を行って最終的な属性判定を行ったが、仮属性を判定する姿勢の数は4つ以外であってもよく、移動経路Rの形状等に応じて数を決めればよい。
【0053】
また、
図9に示した例では、4つの代表画像が得られた場合について説明したが、着目している人物とカメラ100との間に他の人物がいる場合などでは、4つの代表画像が得られない場合も考えられる。例えば、
図10に示すように、正面(乗車後)と横の2つの姿勢の代表画像のみが得られた場合には、姿勢に対応する第1の重み値s1を、2つの値の合計が1となるように調整することにより、2つの代表画像について判定した2つの仮属性について重み付け加算を行って最終的な属性判定を行うことができる。
【0054】
また、上述した実施形態では、バス400に乗車する人物の属性を判定する場合について説明したが、他の移動経路Rに沿って移動する人物の属性を判定する場合にも本発明を適用することができる。
【0055】
図11は、人物の属性判定を行う他の例を示す図である。
図11に示す例では、駅の改札機を出入りする人物の属性判定を行う場合の移動経路が示されている。改札機500を出て通路510を左に行く場合の移動経路R11、右に行く場合の移動経路R12、これらと反対に通路510を通って改札機500を通る場合の移動経路R21、R22が考えられる。これら4つの移動経路R11、R12、R21、R22が決まれば、その全部あるいは一部に沿って移動する人物の属性を同様の手法で判定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
上述したように、本発明によれば、属性判定の対象となる人物の移動経路がわかっているため、この移動経路に沿って撮像した人物画像を対象に属性判定を行うことができ、しかも、移動経路に沿った複数箇所のそれぞれに対応する人物画像を用いて人物属性を総合的に判定することができるため、判定される人物の属性の精度を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 人物属性判定装置
100 カメラ
200 車載機
300 人物属性判定サーバ
320 人物画像抽出部
330 画像分類部
340 代表画像選択部
350 仮属性判定部
360 重み値設定部
370 最終属性判定部