(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080923
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】X線診断装置、X線診断装置の制御方法及びX線診断システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240610BHJP
A61B 6/10 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B6/00 320Z
A61B6/10 350
A61B6/10 353
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194287
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 紘奈
(72)【発明者】
【氏名】山下 智史
(72)【発明者】
【氏名】菅野 光宣
(72)【発明者】
【氏名】田中 智
(72)【発明者】
【氏名】坂田 充
(72)【発明者】
【氏名】篠田 勝明
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴之
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA08
4C093CA15
4C093CA33
4C093EC16
4C093EC57
4C093EE30
4C093FA56
4C093FA58
4C093FB12
4C093FF16
(57)【要約】
【課題】ユーザによるX線診断装置の操作性を向上させること。
【解決手段】実施形態に係るX線診断装置は、取得部と、判定部と、制御部と、を備える。取得部は、被検体のX線撮影を行う検査室内に設けられたカメラから、検査室内で移動自在に設けられた可動部の可動範囲を撮影した画像を取得する。判定部は、画像に基づいて、可動範囲に存在する物体の種別を判定する。制御部は、判定部の判定結果に基づいて、X線撮影の動作を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体のX線撮影を行う検査室内に設けられたカメラから、前記検査室内で移動自在に設けられた可動部の可動範囲を撮影した画像を取得する取得部と、
前記画像に基づいて、前記可動範囲に存在する物体の種別を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、X線撮影の動作を制御する制御部と、
を備えるX線診断装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記物体の種別として、前記可動部との接触を回避する必要のある要回避物体であるか否かを判定し、
前記制御部は、前記判定部が前記物体の種別を、前記要回避物体と判定した場合、前記可動部と前記要回避物体との接触を回避するための制御を行う、
請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記カメラは赤外線カメラであり、
前記取得部は、前記赤外線カメラから、前記可動範囲に存在する物体が発する赤外線を可視化した赤外線画像を取得し、前記判定部は、前記赤外線画像に基づいて、前記可動範囲に存在する物体の種別を判定する、
請求項2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記赤外線画像に表された所定の温度範囲に属する熱源領域の温度に基づいて、前記可動範囲に前記要回避物体が存在するか否かを判定する、
請求項3に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記判定部が前記可動範囲に前記要回避物体が存在すると判定した場合、前記赤外線画像に基づいて、前記可動範囲における前記可動部と前記要回避物体との位置関係を検出する検出部を更に備え、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、X線撮影に係る動作を制御する、
請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記赤外線画像において、人の平均体温に基づいて設定された温度範囲の熱源領域を前記要回避物体と判定する、
請求項5に記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記赤外線画像に表された所定の温度範囲の熱源領域の形状に基づいて、前記可動範囲に存在する前記要回避物体の種別を判定し、
前記制御部は、前記要回避物体の種別に基づいて、X線撮影に係る動作を制御する、
請求項5に記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記要回避物体の種別が人以外である場合、前記可動部の駆動速度を維持又は変更する、
請求項7に記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記要回避物体の種別が人以外である場合、前記可動部の駆動速度を減速させる、
請求項8に記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記要回避物体の種別が人である場合、前記可動部の駆動を停止させる、
請求項8に記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記可動部に設けられ、前記可動部の周囲に物体が存在するか否かを検出するセンサのセンシング結果を取得し、
前記制御部は、前記センシング結果を加味して、X線撮影に係る動作を制御する、
請求項5に記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記可動部は、前記被検体のX線撮影を行う撮影部及び前記被検体が載置される寝台を含む、
請求項3乃至11の何れか1項に記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記取得部は、前記撮影部を支持する台座に設けられる前記台座付近の領域を撮像可能な赤外線カメラを含む複数の赤外線カメラで撮像された前記赤外線画像を取得する、
請求項12に記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記取得部は、前記寝台を支持する支柱に設けられる前記撮影部を支持する台座付近を撮像可能な赤外線カメラを含む複数の赤外線カメラで撮像された前記赤外線画像を取得する、
請求項12に記載のX線診断装置。
【請求項15】
前記検出部は、赤外線画像に表された所定の温度範囲の熱源領域の位置と、当該赤外線画像に対応する可動範囲での可動部の位置とに基づいて、前記熱源領域が前記可動部の所定範囲に存在するか否かを検出し、
前記制御部は、前記判定部が前記物体の種別を、前記要回避物体と判定した場合、前記所定範囲内に前記熱源領域が存在するか否かの検出結果に応じて、前記可動部の駆動速度を減速又は前記可動部の駆動を停止させる、
請求項5乃至11の何れか1項に記載のX線診断装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記所定範囲内に前記熱源領域が存在しない場合、前記可動部の駆動速度を減速させる、
請求項15に記載のX線診断装置。
【請求項17】
前記検出部は、赤外線画像に表された所定の温度範囲の熱源領域の位置と、当該赤外線画像に対応する可動範囲での可動部の位置とに基づいて、前記熱源領域が前記可動部の所定範囲に存在するか否かを検出し、
前記制御部は、前記判定部が前記物体の種別を、前記要回避物体と判定し、前記検出部が前記所定範囲内に前記熱源領域が存在すると判定した場合、前記可動部の駆動を停止する、
請求項5乃至11の何れか1項に記載のX線診断装置。
【請求項18】
X線診断装置の制御方法であって、
被検体のX線撮影を行う検査室内に設けられたカメラから、前記検査室内で移動自在に設けられた可動部の可動範囲を撮影した画像を取得する取得ステップと、
前記画像に基づいて、前記可動範囲に存在する物体の種別を判定する判定ステップと、
前記判定ステップでの判定結果に基づいて、X線撮影の動作を制御する制御ステップと、
を含むX線診断装置の制御方法。
【請求項19】
少なくとも1つのカメラと、X線診断装置とを備えるX線診断システムであって、
前記カメラは、
被検体のX線撮影を行う検査室内に設けられ、前記検査室内で移動自在に設けられた可動部の可動範囲を撮影し、
前記X線診断装置は、
前記カメラから、前記可動部の可動範囲を撮影した画像を取得する取得部と、
前記画像に基づいて、前記可動範囲に存在する物体の種別を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、X線撮影の動作を制御する制御部と、
を備えるX線診断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線診断装置、X線診断装置の制御方法及びX線診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばX線アンギオグラフィ(Angiography)装置等の様に、X線検出器の位置をアームの動作によって変化させることが可能なX線診断装置が知られている。このようなX線診断装置では、周囲に人がいる状態でアームを回転・移動させると、アームが人に接触したり、アームで人の足を挟んでしまったりする可能性がある。また、操作者が自分自身の足を誤ってアームで挟んでしまう場合もある。
【0003】
従来、上記のような事態を回避するために、物体の有無を検出する光センサ等のセンサを用いて、人や物体とアームとの干渉の有無を判定し、干渉があると判定した場合にアーム動作を停止・中断する制御を行う技術が知られている。
【0004】
しかしながら、例えば、光センサを用いる従来手法では、患者にかけられたドレープや周辺機器のチューブ等を干渉の対象として誤判定する可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ユーザによるX線診断装置の操作性を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線診断装置は、取得部と、判定部と、制御部と、を備える。取得部は、被検体のX線撮影を行う検査室内に設けられたカメラから、検査室内で移動自在に設けられた可動部の可動範囲を撮影した画像を取得する。判定部は、画像に基づいて、可動範囲に存在する物体の種別を判定する。制御部は、判定部の判定結果に基づいて、X線撮影の動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る光センサの一例について説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る床回転軸台座に赤外線カメラを設置する場合の一例を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る寝台の支柱に赤外線カメラを設置する場合の一例を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る検出の対象外とする部分の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る決定テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るCアームの複数の可動部の一例を説明する図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係るX線診断装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る被検体に接続されるチューブの一例を説明する図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る赤外線画像の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係る決定テーブルの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係るX線診断装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第3の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、第3の実施形態に係るCアームと検査室内に存在する人との位置関係の一例を説明する図である。
【
図16】
図16は、第3の実施形態に係る決定テーブルの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、第3の実施形態に係るX線診断装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、X線診断装置、X線診断装置の制御方法及びX線診断システムの実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線診断システムSの構成の一例を示すブロック図である。X線診断システムSは、X線診断装置100と、赤外線カメラ200とを備える。なお、
図1では1台の赤外線カメラ200を図示しているが、X線診断システムSは、複数台の赤外線カメラ200を備えていても良い。
【0011】
まず、X線診断装置100について説明する。X線診断装置100は、被検体PにX線を照射することにより、被検体Pが撮影されたX画像データを生成する。なお、被検体Pは、X線診断装置100に含まれない。X線診断装置100は、例えば、循環器、消化管、泌尿器、整形、IVR(Interventional Radiology)等の検査及び治療の際に用いられる。なお、X線診断装置100の用途はこれらに限定されるものではない。
【0012】
図1に示すように、X線診断装置100は、X線発生部1と、X線検出部2と、機構部3と、高電圧発生部4と、保持アーム5と、機構制御部6と、画像演算・記憶部7と、表示装置8と、操作部9と、システム制御部10と、寝台17と、光センサ51とを備える。
【0013】
また、X線発生部1は、X線管15と、X線絞り器16とを備える。
【0014】
X線管15は、高電圧発生部4から供給される高電圧を用いて、X線を発生する。
【0015】
X線絞り器16は、X線管15が発生したX線を、被検体Pの関心領域に対して選択的に照射されるように絞り込む。
【0016】
高電圧発生部4は、システム制御部10による制御の下、高電圧を発生し、発生した高電圧をX線管15に供給する高電圧電源である。
【0017】
保持アーム5は、X線発生部1、及びX線検出部2を保持する。保持アーム5は、両端でX線発生部1とX線検出部2をそれぞれ支持し、アルファベットのCに類似の形状のため、Cアームともいう。なお、
図1では、X線診断装置100は、1本の保持アーム5を備えるが、さらにΩアームを備えるバイプレーン構成であっても良い。
【0018】
なお、ユーザは、主に、保持アーム5を手動操作して被検体Pの撮影を行うが、保持アーム5が、予め設定した手順(例えば、ルーチンワークの手順等)に従って自動的に動作して被検体Pの撮影を行ってもよい。
【0019】
保持アーム5は、可動部の一例である。また、保持アーム5は、被検体のX撮影を行うX線発生部1、及びX線検出部2を保持するため、撮影部の一例でもある。
【0020】
機構制御部6は、システム制御部10による制御の下、保持アーム移動機構41及び寝台移動機構42を制御することで、保持アーム5の回転や移動、寝台17の移動を調整する。
【0021】
機構部3は、保持アーム移動機構41と、寝台移動機構42とを備える。
【0022】
保持アーム移動機構41は、保持アーム5を回転または移動させる機構であり、不図示のモータ及びアクチュエータ等を含む。
【0023】
寝台移動機構42は、寝台17を移動させる機構であり、不図示のモータ及びアクチュエータ等を含む。
【0024】
寝台17は、被検体Pを載置する。寝台17は、被検体Pを載置した状態で、寝台移動機構42によって上下方向、前後方向、及び傾斜方向に移動可能である。寝台17は、可動部の一例である。
【0025】
なお、寝台17は、ユーザ操作によって動作してもよいし、保持アーム5と被検体Pとの位置関係等に応じて、後述の処理回路101の制御下で自動的に動作してもよい。
【0026】
光センサ51は、保持アーム5の周囲に人が存在することを検知するためのセンサである。光センサ51は、例えば、発光部と受光部とを有し、発光部から発せられ、受光部により受光される光(例えば、レーザー光等)が遮られた場合に人が存在することを検知するセンサである。なお、光センサ51は複数設けられていてもよい。また、光センサの代わりに静電容量型近接センサ等を用いてもよい。光センサ51は、センシング結果をシステム制御部10へ送出する。
【0027】
ここで、
図2は、第1の実施形態に係る光センサ51の一例について説明する図である。
図2では、光センサ51は、発光部51aと受光部51bとを備える。本実施形態において、発光部51aと受光部51bとは、
図2に示すように、Cアーム5aの床回転軸台座52に設けられる。
【0028】
発光部51aはレーザー光Lを照射し、受光部51bは、レーザー光Lを受光する。光センサ51は、レーザー光Lが遮られ、受光部51bがレーザー光Lを受光できなくなった場合に、人が存在することを検出する。例えば、人が存在することを検出した場合に、Cアーム5aの動作を停止させることで、Cアーム5aを操作する医師等のユーザや周囲の人の足がCアーム5aに挟まれてしまう事故を防止することができる。
【0029】
しかしながら、例えば、寝台17に載置された被検体Pに輸血用のチューブTが繋がれていた場合、チューブTによってレーザー光Lが遮られ、人が存在していないにも関わらず、人がいると検出してしまうことがある。また、例えば、被検体PにドレープDがかけられている場合、ドレープDによってレーザー光Lが遮られてしまうこともある。
【0030】
このような場合、Cアーム5aの動作を停止する必要性が低いにも関わらず、Cアーム5aの動作が停止することになる。また、Cアーム5aの動作が停止した場合、復帰させるためには、例えば、リセットボタンを押して、再び装置の動作が可能な状態になるまで待つことが必要になる。つまり、Cアーム5aの動作を停止する必要性が低いにも関わらず、Cアーム5aの動作が停止すると、ユーザの操作性を損ねることになる。
【0031】
また、例えば、
図2の例で、矢印A1で示した位置の付近にCアーム5aを操作するユーザ以外の人が近付いた場合、光センサ51では、人が存在することを検出できない可能性がある。この場合、Cアーム5aを操作するユーザが、Cアーム5aの周囲の人に気付かないままCアーム5aを操作することで、Cアーム5aが他の人と接触してしまうことがある。
【0032】
また、矢印A2で示した位置の付近に人が接近した場合であっても、レーザー光Lが遮られない可能性もある。この場合、Cアーム5aの操作者がCアーム5aの操作により自分の足を挟んでしまったり、周囲の人の足をCアーム5aで挟んでしまったりすることがある。つまり、光センサのみでCアーム5aの周囲の人の有無を検知する場合、ユーザによるアーム操作の操作性を損なう可能性があるといえる。
【0033】
そこで、本実施形態のX線診断システムSは、赤外線カメラ200で撮影された赤外線画像をCアーム5aと人との干渉判定に用いることで、ユーザによるアーム操作の操作性を向上させている。赤外線カメラ200及び赤外線画像を用いる処理については後述する。
【0034】
図1に戻り、X線検出部2は、被検体Pを通過したX線を検出し、検出結果に基づくX線画像データを生成する。
【0035】
具体的には、X線検出部2は、画像データ生成部20と、平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)21と、ゲートドライバ22とを備える。
【0036】
FPD21は、被検体Pを透過したX線を検出し、検出結果を画像データ生成部20に送信する。FPD21は、例えば、検出膜、画素容量部、TFT(Thin Film Transistor)等を備える。
【0037】
ゲートドライバ22は、システム制御部10による制御の下、FPD21に蓄積された電荷をX線画像信号として読み出すためにTFTのゲート端子に駆動電圧を供給する。
【0038】
画像データ生成部20は、FPD21により検出された検出信号からX線画像データを生成し、生成したX線画像データを画像データ記憶回路13に格納する。例えば、画像データ生成部20は、FPD21により検出した検出信号に対して、電流・電圧変換やA/D変換、パラレル・シリアル変換を行い、X線画像データを生成する。
【0039】
具体的には、画像データ生成部20は、電荷・電圧変換器23と、A/D変換器24と、パラレル・シリアル変換器25とを備える。
【0040】
電荷・電圧変換器23は、FPD21から読み出された電荷を電圧に変換する。A/D変換器24は、電荷・電圧変換器23の出力をデジタル信号(デジタルデータ)に変換する。パラレル・シリアル変換器25は、デジタル信号に変換された検出信号を時系列的なデータ要素に変換する。
【0041】
画像演算・記憶部7は、画像データ生成部20によって生成されたX線画像データの補正及び記憶をする。本実施形態においては、補正前後のX線画像データを区別する場合、画像データ生成部20によって生成されたX線画像データを原画像データと称し、原画像データが画像演算・記憶部7で補正されたものを表示用X線画像データと称する。
【0042】
画像演算・記憶部7は、記憶回路11と、画像演算回路12と、画像データ記憶回路13とを備える。
【0043】
記憶回路11は、画像演算回路12によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。また、記憶回路11は、画像演算回路12で実行される各種の処理で使用されるデータを記憶する。
【0044】
記憶回路11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。記憶回路11は、記憶部の一例である。
【0045】
画像演算回路12は、画像データ生成部20によって生成された原画像データに画像処理を施すことにより表示用X線画像データを生成し、生成した表示用X線画像データを画像データ記憶回路13に記憶させる。
【0046】
表示装置8は、表示用画像メモリ31と、D/A(Digital/Analog)変換器32と、表示制御回路33と、モニタ34とを備える。
【0047】
表示用画像メモリ31は、画像演算回路12によって生成された表示用X線画像データのうち、表示制御回路33によって読み出されたものを一時的に記憶する。
【0048】
D/A変換器32は、表示用X線画像データをD/A変換する。
【0049】
表示制御回路33は、モニタ34を制御するプロセッサであり、画像演算回路12によって生成された表示用X線画像データを画像データ記憶回路13から読み出し、D/A変換器32に変換させた上でモニタ34に表示させる。表示制御回路33は、制御部の一例である。また、表示制御回路33は、各種のGUI(Graphical User Interface)をモニタ34に表示させても良い。
【0050】
モニタ34は、表示用X線画像データに基づくX線画像、及び操作者の指示を受け付けるためのGUIが表示される。液晶ディスプレイや有機EL(Organic Electro-Luminescence:OEL)ディスプレイ等により実現される。モニタ34は、表示部の一例である。
【0051】
操作部9は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。操作部9は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。なお、操作部9がタッチスクリーンである場合、モニタ34とタッチパッドとが一体化されたものであっても良い。
【0052】
操作部9は、システム制御部10に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換しシステム制御部10へと出力する。例えば、操作部9は操作者によるマルチ周波数処理のパラメータの自動設定機能のオン・オフの操作を受け付ける。操作部9は、マルチ周波数処理のパラメータの自動設定機能のオン・オフの操作を受け付けた場合、受け付けた操作内容をシステム制御部10に送出する。
【0053】
また、操作部9は、操作者による撮影条件、検査プロトコル等の入力操作を受け付ける。操作部9は、受け付けた操作内容をシステム制御部10に送出する。また、システム制御部10は、操作部9から取得した各種の操作内容を、画像演算回路12に送出する。
【0054】
撮影条件は、例えば撮影体系、撮影視野、及び拡大率、に関する設定を含む。
【0055】
撮影体系は、撮影に用いられる機器と被検体Pとの位置関係、撮影に用いられる機器間の位置関係に関する定義事項または情報である。撮影に用いられる機器と被検体Pとの位置関係、撮影に用いられる機器間の位置関係は、撮影ジオメトリともいう。撮影に用いられる機器は、例えばX線管15及びFPD21である。
【0056】
撮影体系は、例えば、X線源受像面間距離(Source Image Distance:SID)、SSD(Source Skin Distance)、寝台17の高さ、保持アーム5の回転量を含む。
【0057】
拡大率は、例えば「LiveZoom」と呼ばれる機能により、操作者によって指定される。LiveZoomは、モニタ34に描出されたX線画像をユーザが操作部9を操作することにより拡大または縮小する機能である。
【0058】
検査プロトコルは、X線診断装置100における検査の手順を示す情報であり、撮影対象部位や、各種の撮影の実行順が定義されている。例えば、複数の検査プロトコルが予め記憶回路11に記憶されており、操作者が操作部9により、被検体Pの撮影の際に用いられる検査プロトコルを選択しても良い。
【0059】
なお、本明細書において操作部9はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置100とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も操作部9の例に含まれる。操作部9は、入力インタフェースともいう。
【0060】
システム制御部10は、X線診断装置100を統括的に制御する。システム制御部10は、例えば、処理回路101、及び記憶回路102を備える。
【0061】
処理回路101は、X線診断装置100で実行される撮影処理を実行するプロセッサである。また、処理回路101は、X線診断装置100に含まれる各種構成を制御することにより、X線診断装置100全体を制御する。
【0062】
より詳細には、処理回路101は、第1取得機能111と、第2取得機能112と、決定機能113と、表示制御機能114と、出力機能115とを備える。第1取得機能111及び第2取得機能112は、取得部の一例である。決定機能113は、判定部、検出部及び制御部の一例である。各機能の詳細は後述する。
【0063】
処理回路101は、例えば記憶回路102からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の各回路は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0064】
記憶回路102は、処理回路101によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。記憶回路102は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
【0065】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路102から読み出して実行行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0066】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路102に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路102にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0067】
次に、赤外線カメラ200について説明する。赤外線カメラ200は、物体をセンシングすることにより物体から放射される赤外線を可視化した赤外線画像を撮影する。
【0068】
例えば、赤外線カメラ200は、保持アーム5の可動範囲に存在する物体が発する赤外線を可視化した赤外線画像を撮影する。なお、赤外線カメラ200は、寝台17の可動範囲に存在する物体が発する赤外線を可視化した赤外線画像を撮影しても良い。赤外線カメラ200は、撮影した赤外線画像をX線診断装置100のシステム制御部10へ送出する。
【0069】
赤外線カメラ200は、死角が生じないように複数設置されることが好ましい。例えば、保持アーム5の可動範囲において、人(物体)と保持アーム5との干渉を検出することができるように、検査室の天井の四隅に4つの赤外線カメラ200を設置する。なお、保持アーム5上における保持アーム5の主回転軸との交点等に360℃撮影可能な赤外線カメラ200を設置してもよい。
【0070】
また、保持アーム5の可動範囲をカバーできるように赤外線カメラ200を設置したとしても、例えば、
図2に示した保持アーム5を支持する床回転軸台座52付近は、保持アーム5を操作するユーザ以外の検査室で作業する医療スタッフや被検体Pにかけたドレープ等により死角が生じやすくなる。したがって、床回転軸台座52付近に死角が生じないように赤外線カメラ200を設置することが好ましい。
【0071】
床回転軸台座52付近に死角が生じないようにするためには、例えば、X線管15の管球先端部、床回転軸台座52、寝台17の支柱等に複数の赤外線カメラ200を設置することが好ましい。
【0072】
ここで、
図3は、床回転軸台座に赤外線カメラ200を設置する場合の一例を説明する図である。例えば、赤外線カメラ200aは、
図3に示すように、Cアーム5aの床回転軸台座52に設けられる。
【0073】
また、赤外線カメラ200aの視野fv1には、Cアーム5aの床回転軸台座52の周囲の領域が含まれる。このため、赤外線カメラ200aは、検査室で作業する医療スタッフや被検体Pにかけたドレープ等により死角になりやすい領域を撮影することが可能である。なお、
図3では、Ωアーム15bを備えるX線診断装置100を描画しているが、X線診断装置100は、Ωアーム15bを備えていなくてもよい。
【0074】
また、
図4は、寝台17の支柱に赤外線カメラ200を設置する場合の一例を説明する図である。例えば、赤外線カメラ200bは、
図4に示すように、寝台17の支柱17aに設けられる。赤外線カメラ200bの視野fv2には、被検体Pにドレープを掛けた場合に周囲から見え難くなりやすい部分が含まれる。このため、赤外線カメラ200bは、当該部分に関しても赤外線画像を撮影することができる。なお、支柱17aが回転する場合、支柱17aに複数の赤外線カメラ200を設けてもよい。
【0075】
次に、
図1を参照して、本実施形態の処理回路101が備える各機能について説明する。
【0076】
第1取得機能111は、光センサ51から送出されるセンシング結果を取得する。例えば、第1取得機能111は、センシング結果として、レーザー光Lの受光の有無の検知結果を取得する。
【0077】
第2取得機能112は、赤外線カメラ200から送出される赤外線画像を取得する。例えば、第2取得機能112は、検査室やX線診断装置100に複数設置された赤外線カメラ200の夫々で撮影された赤外線画像を、赤外線カメラ200の夫々から取得する。なお、赤外線画像は、静止画像であっても動画像であってもよい。また、第1取得機能111と第2取得機能112とを1つの機能部として構成してもよい。
【0078】
決定機能113は、赤外線画像に基づいて、X線診断装置100の可動部の可動範囲に存在する物体の種別を判定する。また、決定機能113は、種別判定の結果でX線診断装置100が実行する制御内容を決定する。
【0079】
また、機構制御部6又はシステム制御部10は、決定機能113で決定した制御内容に係るX線撮影の動作を制御する。言い換えると、決定機能113は、機構制御部6やシステム制御部10等と協働し、物体の種別の判定結果に基づいて、X線撮影に係るX線撮影の動作を制御する。
【0080】
具体的には、決定機能113は、赤外線画像上の領域の温度分布に基づいて、赤外線画像内の物体の種別を判定する。例えば、決定機能113は、赤外線画像内の物体が、干渉を回避すべき種類の物体(例えば、人等)であるか、干渉を回避する必要性が低い種類の物体(例えば、ドレープ等)であるかを判定する。干渉を回避すべき種類の物体は、保持アーム5との接触を回避する必要のある物体であり、要回避物体の一例である。
【0081】
一例として、決定機能113は、赤外線画像上において、所定の温度帯(例えば、人の体温を表す温度範囲)を示す熱源領域に対応する物体を、干渉を回避すべき種類の物体と判定する。一方、決定機能113は、上記以外の温度帯を示す熱源領域を、干渉を回避する必要性が低い種類の物体と判定する。
【0082】
また、例えば、決定機能113aは、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無に基づいて、保持アーム5の駆動速度を維持又は変更させることを、X線診断装置100が実行する制御内容として決定する。
【0083】
一例として、保持アーム5の可動範囲に、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源が検出された場合、決定機能113は、保持アーム5の駆動を停止(駆動速度をゼロにさせる)又は駆動速度を減速させる制御を実行する制御として決定する。
【0084】
一方、保持アーム5の可動範囲に、干渉を回避すべき種類の物体以外と判定される熱源が検出された場合、決定機能113は、接触回避のための保持アーム5の駆動を停止させる制御は行わない。このとき、決定機能113は、保持アーム5の駆動速度を維持してもよいし、減速させてもよい。
【0085】
以下、
図5~
図7を用いて、制御内容の決定処理の動作について説明する。なお、以下では、制御対象が保持アーム5である場合を例に説明するが、制御対象は、寝台17等の他の可動する部位であってもよい。
【0086】
まず、決定機能113は、第1取得機能111で取得されたセンシング結果から、保持アーム5の周辺に物体を検出したか否かを判定する。具体的には、決定機能113は、第1取得機能111でレーザー光Lを受光できなかった旨の検知結果が取得されている場合、物体を検出したと判定する。
【0087】
次いで、決定機能113は、第2取得機能で取得された赤外線画像上の物体の種別(干渉を回避すべき種類の物体であるか、干渉を回避する必要性が低い種類の物体であるか)を判定する。具体的には、決定機能113は、赤外線画像上の、閾値を超える熱を発する熱源領域を、干渉を回避すべき種類の物体と、当該熱源領域以外の熱源領域を、干渉を回避する必要性が低い種類の物体と判定する。
【0088】
より具体的には、決定機能113は、人の平均的な体温(37℃前後)に基づいて閾値範囲(例えば、35℃~40℃)を設定する。そして、決定機能113は、第2取得機能で取得された赤外線画像上に温度が閾値範囲の値となる領域が存在する場合、当該領域で表される熱源領域を、干渉を回避すべき種類の物体と判定する。
【0089】
なお、例えば、閾値範囲を35℃~40℃とした場合、X線管15の管球等のX線診断装置100の構成の温度が閾値範囲の値になることがある。また、例えば、被検体Pにドレープがかかっている場合でも、被検体Pの発する熱が遮られず、被検体Pが載置されている位置の温度が閾値範囲の値になることがある。このような場合、X線管15の管球や被検体Pは、保持アーム5と干渉しないため、検出対象(干渉を回避すべき種類の物体)から除外することが好ましい。
【0090】
そこで、例えば、決定機能113は、X線管15の管球や寝台17の天板(被検体Pが載置される部分)等の温度が閾値範囲の値になり得る部分の位置情報を把握する。
【0091】
ここで、X線診断装置100の各部の位置情報は、システム制御部10で管理される。決定機能113は、システム制御部10によって記憶回路102等に記憶されるX線診断装置100の各部の位置情報を参照し、温度が閾値範囲の値になり得る部分の位置情報を把握する。
【0092】
また、決定機能113は、当該位置情報から赤外線画像上における当該部分に対応する位置を特定する。そして、決定機能113は、特定した赤外線画像上の位置については、検出の対象外としてもよい。
【0093】
ここで、
図5は、検出の対象外とする部分の一例を示す図である。例えば、X線管15及びX線絞り16、並びに寝台17の被検体Pが載置される部分の温度が閾値範囲の値となり得る場合、決定機能113は、上述のように、赤外線画像上のX線管15及びX線絞り16、並びに寝台17の被検体Pが載置される部分の位置を特定する。
【0094】
図5では、パターンで塗り潰した部分がX線管15及びX線絞り16、並びに寝台17の被検体Pが載置される部分を表している。決定機能113は、当該部分に対応する赤外線画像上の位置を検出の対象外とする。
【0095】
また、決定機能113は、保持アーム5の特定の部分(例えばX線管15の管球)との位置関係が所定の範囲(例えば、管球を中心とした半径nメートル以内)を超える部分を検出の対象外とする処理を行っても良い。
【0096】
例えば、決定機能113は、上述した位置情報から、X線管15の管球が描画された赤外線画像上におけるX線管15の管球の位置を特定する。次いで、決定機能113は、実空間における距離と赤外線画像上の距離との対応関係に基づいて、赤外線画像上における、管球を中心とした半径nメートル以内の領域を特定する。
【0097】
この場合、決定機能113は、熱源とX線管15の管球(保持アーム5)との位置関係を検出しているとも言える。したがって、本実施形態に係る決定機能113は、検出部の一例である。
【0098】
次いで、決定機能113は、光センサ51のセンシング結果に基づく検出結果と、物体の種別の判別を含む赤外線画像に基づく検出結果とから、実行する制御を決定する。例えば、決定機能113は、保持アーム5と人との干渉状態に対応する制御を決定するための決定テーブルを参照して、実行する制御内容を決定する。
【0099】
決定テーブルは、光センサ51のセンシング結果に基づく検出結果と、赤外線画像に基づく検出結果と、実行する制御とを対応付けたデータテーブルである。ここで、
図6は、決定テーブル102aの一例を示す図である。
図6の決定テーブル102aは、記憶回路102に記憶される。
【0100】
決定テーブル102aの「光センサ」は、光センサ51で物体を検出したか否か、「温度」は、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出したか否か、「制御」は実行する制御を表している。例えば、
図6の1行目は、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出した場合、保持アーム5の動作を停止することを表している。これは、周囲に保持アーム5の周囲に人が存在する可能性が高いためである。
【0101】
また、
図6の2行目は、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出しなかった場合、ユーザに対して保持アーム5の周囲に人が存在する可能性がある旨のアラートを報知することを表している。この場合のアラートを報知することは、X線撮影の動作及び可動部と要回避物体との接触を回避するための制御の一例である。
【0102】
これは、光センサ51が物体を検出しているが、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出していないことから、被検体Pを覆うドレープ等の物体によってレーザー光Lが遮られた可能性が高い。この場合、保持アーム5を停止する必要性は低いため、アラートを報知する対応としている。なお、ドレープに隠れるような形でユーザ以外の医療スタッフが作業を行っている可能性もあるが、このような場合もアラートを報知することでユーザに注意して保持アーム5を移動させるように促せば足りると考えられる。
【0103】
また、
図6の3行目は、光センサ51は物体を検出しておらず、赤外線カメラ200のみが干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出した場合、保持アーム5の駆動の速度を減速させる制御を行うことを表している。これは、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域が保持アーム5の周囲に存在していることから、保持アーム5の周囲に人が存在する可能性が高いと考えられる。しかしながら、光センサ51が物体を検出していないことから、人は保持アーム5から少し離れた位置に存在していると考えることができる。したがって、すぐに保持アーム5を停止させる必要性は低いと考えられるためである。
【0104】
また、
図6の4行目は、光センサ51は物体を検出しておらず、赤外線カメラ200も干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出していない場合、特に制御は行わないことを表している。これは、保持アーム5の周囲に人が存在している可能性は低いためである。
【0105】
なお、決定テーブル102aの内容をユーザが変更できるようにしてもよい。例えば、ユーザは、
図6の2行目の、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出しなかった場合の「制御」をアラートの報知だけでなく、保持アーム5を減速させる処理も併せて行うように変更してもよい。
【0106】
また、保持アーム5の可動部は複数存在しているため、決定テーブル102aは、複数の可動部の夫々について制御内容を定めたものとしてもよい。ここで、
図7は、第1の実施形態に係るCアーム5aの複数の可動部の一例を説明する図である。
【0107】
図7では、可動部M1は、床回転軸を中心としたCアーム5aの回転運動を行う可動部である。また、可動部M2は、アーム支柱回転軸を中心としたCアーム5aの回転運動を行う可動部である。また、可動部M3は、アーム主回転軸を中心としたCアーム5aの回転運動を行う可動部である。また、可動部M4は、アームスライド回転軸を中心に、Cアーム5aをスライド移動させる可動部である。
【0108】
また、可動部M5は、X線絞り16及びFPD21の回転軸を中心とした、X線絞り16及びFPD21の回転運動を行う可動部である。また、可動部M6は、FPD21を上下動させる可動部である。
【0109】
決定テーブル102aは、例えば、「光センサ51は物体を検出しておらず、赤外線カメラ200のみが干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出した場合、可動部M3の駆動は停止するが、他の可動部については減速させる制御をする」といったように、検出結果と制御との関係を定めてもよい。
【0110】
なお、上記では、決定機能113は、光センサ51のセンシング結果に基づく物体の有無の検出結果を用いて実行する制御内容を決定しているが、決定機能113は、赤外線画像に基づく干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出結果のみを用いて実行する制御内容を決定してもよい。この場合、例えば、決定機能113は、X線管15の管球から半径nメートル以内に熱源が存在するか否かに基づいて、制御内容を決定しても良い。
【0111】
図1に戻り説明を続ける。表示制御機能114は、各種情報を表示装置8等に表示させる制御を行う。例えば、決定機能113でユーザにアラートを報知する制御を行うことが決定された場合、表示制御機能114は、表示制御回路33と協働し、モニタ34に、ユーザに対して保持アーム5の周囲に人が存在しないか確認するよう促す警告メッセージを表示させる。
【0112】
なお、この場合、表示制御機能114は、ユーザに対してアラートを報知する制御を行った原因となる熱源領域の位置(以下、干渉部分ともいう)を示す情報をモニタ34に表示させてもよい。
【0113】
この場合、例えば、表示制御機能114は、上述した位置情報から赤外線画像上における干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置(閾値範囲内の温度を示す領域)に対応する実空間上の位置を特定する。次いで、表示制御機能114は、X線診断装置100とその周囲の空間を表したイラスト上に、当該位置を表すマークを重畳表示させる等の処理を行う。
【0114】
また、表示制御機能114は、モニタ34とは別途、検査室等(検査室外の制御室等であってもよい)に設けられる赤外線カメラ200を制御するためのモニタ等に干渉部分を表示させてもよい。また、赤外線画像からは干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域が検出されていないが、ユーザに対してアラートが報知された場合、表示制御機能114は、光センサ51の位置を干渉部分として、光センサ51が物体を検出した旨の情報と合わせてモニタ34等に表示させてもよい。
【0115】
なお、本実施形態では、アラートの報知は、表示制御機能114が、モニタ34に警告メッセージを表示させることにより行われるが、報知の方法は表示に限定されない。例えば、処理回路101が、スピーカ等に警告音を出力させることによりアラートの報知を行ってもよい。
【0116】
出力機能115は、各種情報を出力する。例えば、出力機能115は、決定機能113で保持アーム5の駆動を停止させる制御を行うことが決定された場合、機構制御部6に対して、決定に従って保持アーム5の駆動を停止させるよう促す命令を送出する。
【0117】
機構制御部6は、出力機能115で送出された当該命令を受けて、保持アーム移動機構41を制御し、保持アーム5の駆動を停止させる。なお、出力機能115は、決定機能113で保持アーム5の駆動速度を減速させる制御を行うことが決定された場合も同様の処理を行う。
【0118】
なお、決定機能113の決定に従い、機構制御部6が保持アーム5等の駆動を制御した場合、上述の表示制御機能114は、当該制御を行った原因となる熱源領域の位置を干渉部分として、モニタ34等に表示させてもよい。
【0119】
次に、本実施形態に係るX線診断装置100が実行する処理について説明する。
図8は、第1の実施形態に係るX線診断装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0120】
まず、第1取得機能111は、光センサ51が送出したセンシング結果を取得する(ステップS1)。例えば、第1取得機能111は、受光部51bがレーザー光Lを受光したか否かを表す情報をセンシング結果として取得する。なお、
図8では、ステップS1の処理として記載しているが、第1取得機能111は、保持アーム5の駆動中は、継続的に光センサ51が送出したセンシング結果を取得するものとする。
【0121】
次いで、第2取得機能112は、赤外線カメラ200が送出した赤外線画像を取得する(ステップS2)。例えば、第2取得機能112は、検査室やX線診断装置100に複数設置された複数の赤外線カメラ200の夫々から赤外線画像を取得する。なお、
図8では、ステップS2の処理として記載しているが、第2取得機能112は、保持アーム5の駆動中は、継続的に赤外線カメラ200が送出した赤外線画像を取得するものとする。
【0122】
次いで、決定機能113は、ステップS1で取得された光センサ51のセンシング結果と、ステップS2で取得された赤外線画像とに基づいて、実行する制御の決定処理を行う(ステップS3)。
【0123】
例えば、決定機能113は、ステップS1で取得された光センサ51のセンシング結果から、物体を検出したか否かを判定する。また、決定機能113は、ステップS2で取得された赤外線画像から、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出したか否かを判定する。そして、決定機能113は、記憶回路102に記憶された決定テーブル102aを参照し、物体の検出の有無と干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無の組み合わせに対応する制御を、実行する制御として決定する。
【0124】
次いで、出力機能115は、ステップS3で決定された制御が、機構の制御を伴うものであるか否かを判断する(ステップS4)。例えば、決定された制御がユーザに対するアラートの報知だった場合、出力機能115は、機構の制御を伴うものでないと判断する。一方、決定された制御が保持アーム5の駆動の停止や減速だった場合、出力機能115は、機構の制御を伴うものであると判断する。
【0125】
決定された制御が、機構の制御を伴うものでない場合(ステップS4:No)、決定された制御を行い、ステップS1の処理に戻る。一方、決定された制御が、機構の制御を伴うものである場合(ステップS4:Yes)、出力機能115は、機構制御部6に対して、決定に従って機構を制御するよう促す命令を出力する。
【0126】
次いで、命令を受けた機構制御部6は、機構を制御し、ステップS3で決定された制御を実行する(ステップS5)。例えば、実行する制御が保持アーム5の駆動停止だった場合、機構制御部6は、保持アーム移動機構41を制御し、保持アーム5の駆動を停止させる。
【0127】
次いで、第1取得機能111は、X線診断装置100の制御対象となる部分が停止しているか否かを確認する(ステップS6)。例えば、保持アーム5を制御対象としている場合、保持アーム5が停止しているか否かを確認する。制御対象となる部分が停止していない場合(ステップS6:No)、第1取得機能111は、光センサ51のセンシング結果の取得処理を継続する(ステップS1の処理に戻る)。一方、制御対象となる部分が停止している場合、本処理を終了する。
【0128】
以上のように、第1の実施形態に係るX線診断システムSは、赤外線カメラ200で撮影された赤外線画像に基づいて、赤外線画像上の物体の種別を判定し、種別を判定結果でX線診断装置100が実行する制御を決定する。
【0129】
これにより、例えば、所定値を超える熱を発しない物体については、X線診断装置100の保持アーム5に近付いたとしても、干渉を回避すべき種類の物体(人)ではないと判断できる。このため、保持アーム5の駆動を停止する必要がなくなる。つまり、第1の実施形態に係るX線診断システムSによれば、ユーザによるX線診断装置の操作性を向上させることができる。
【0130】
また、第1の実施形態に係るX線診断システムSは、光センサ51を備え、光センサ51のセンシング結果と、赤外線画像での干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無とに基づいて、X線診断装置100が実行する制御を決定する。
【0131】
これにより、例えば、光センサ51で物体を検出しているが、赤外線画像からは干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域が検出できない場合、人以外の物体により光センサ51が反応した可能性が高いと判断できる。また、例えば、光センサ51では物体を検出していないが、赤外線画像からは干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域が検出できる場合、保持アーム5付近に人が存在しているものの、即駆動を停止させるほど近くには存在していない可能性が高いと判断できる。このように、第1の実施形態に係るX線診断システムSは、単に物体と保持アーム5とが干渉するか否かだけでなく、物体が人である可能性が高いか否か、人が存在する場合、遠くにいるか近くにいるか等を推定することができる。また、これらに合わせてX線診断装置100の制御を変更することもできる。つまり、第1の実施形態に係るX線診断システムSによれば、人が遠くにいると推定できる場合には、保持アーム5の駆動速度を減速させ、人が近くにいると推定できる場合には、保持アーム5の駆動を停止するといったように、推定される干渉の程度に応じて制御を多段階に変更することができる。
【0132】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、決定機能113は、赤外線画像を、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出したか否かの判断に用いる形態について説明した。第2の実施形態では、赤外線画像を、更に赤外線画像上の熱源領域の形状を認識するために用いる形態について説明する。
【0133】
なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する各実施形態は、個別に実施されてもよいし、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【0134】
以下、第2の実施形態に係るX線診断システムSaのX線診断装置100aのシステム制御部10aの構成について説明する。
図9は、第2の実施形態に係るX線診断装置100aの構成の一例を示すブロック図である。
【0135】
第2の実施形態に係るX線診断装置100aのシステム制御部10aの処理回路101aは、第1取得機能111と、第2取得機能112と、決定機能113aと、表示制御機能114と、出力機能115と、画像解析機能116とを備える。第1取得機能111と、第2取得機能112と、表示制御機能114と、出力機能115とは第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0136】
まず、画像解析機能116について説明する。画像解析機能116は、赤外線画像の解析を行う。例えば、画像解析機能116は、第2取得機能112で取得された赤外線画像を解析し、赤外線画像で検出された熱源領域の形状を認識する。なお、画像の解析手法は、既知の技術を利用可能であるため、説明は省略する。
【0137】
以下、
図10及び
図11を用いて画像解析処理について説明する。
図10は、被検体Pに接続されるチューブの一例を説明する図である。本明細書において、チューブは、患者に輸血等を行うためのチューブを示す。また、チューブは、造影剤等の検査に用いる薬剤等を患者に投与するためのチューブであってもよい。
【0138】
被検体Pに輸血を行う場合、一般的に体温程度まで血液製剤を温めてから被検体Pに投与される。また、造影剤等の薬剤を投与する場合も同様である。したがって、
図10に示すように、チューブが垂れ下がり、レーザー光Lを遮った場合、光センサ51は物体を検出し、赤外線画像からも干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域が検出されることになる。
【0139】
つまり、光センサ51のセンシング結果と、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無とに基づいて、制御を決定する場合、人がCアーム5aの周囲に存在すると誤検出され、Cアーム5aの駆動が停止してしまうことがある。
【0140】
そこで、画像解析機能116は、赤外線画像を解析し、赤外線画像上で検出された熱源領域の形状を認識する。ここで、
図11は、赤外線画像の一例を示す図である。
図11では、画像解析機能116は、赤外線画像を解析し、細長い(チューブ状)形状の熱源と、X線管15及びX線管絞り16と推定できる形状の熱源とが存在することを認識する。画像解析機能116は、認識部の一例である。
【0141】
なお、例えば、Cアーム5aを制御対象とする場合、X線管15及びX線管絞り16は、Cアーム5aと干渉することはないため、画像解析機能116が赤外線画像上でX線管15及びX線管絞り16と推定できる形状の熱源を認識した場合、当該熱源を検出の対象から除外してもよい。
【0142】
図9に戻り説明を続ける。決定機能113aは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無、及び赤外線画像上の物体の形状に基づいて、実行する制御を決定する。
【0143】
一例として、決定機能113aは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無、赤外線画像上の物体の形状、及び制御を対応付けた決定テーブル102bを参照する。そして、決定機能113aは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無、及び認識した赤外線画像上の物体の形状に対応する制御を実行する制御として決定する。
【0144】
なお、決定機能113aは、第1の実施形態と同様に、熱源領域の温度範囲に基づいて、物体の種別を判定するものとする。しかしながら、決定機能113aは、所定の温度範囲の熱源領域の形状から、物体そのものの種別(人、チューブ、ドレープ等)を判別してもよい。
【0145】
この場合、決定機能113aは、例えば、物体の種別と、干渉回避の要否とを対応付けて記憶した判定テーブル等の判定情報を参照し、判別した物体の種別に対応する、干渉回避の要否に基づいて、当該物体が干渉を回避すべき種類の物体であるか否かを判定する。
【0146】
また、上記の場合、決定機能113aは、判別した干渉を回避すべき種類の物体の種別に応じて、可動部の駆動速度を維持又は変更することを制御内容として決定してもよい。
【0147】
一例として、干渉を回避すべき種類の物体の種別が人以外である場合、決定機能113aは、可動部の駆動速度を維持又は減速させることを制御内容として決定してもよい。一方、干渉を回避すべき種類の物体の種別が人である場合、決定機能113aは、可動部の駆動を停止させることを制御内容として決定してもよい。
【0148】
ここで、
図12は、第2の実施形態に係る決定テーブル102bの一例を示す図である。決定テーブル102bの「形状」は画像解析機能116が認識した赤外線画像上の干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の形状を表している。また、「形状」における「検出」は、人を検出したことを表している。
【0149】
例えば、
図12の1行目は、光センサ51が物体を検出せず、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が人であると認識された場合、保持アーム5の駆動の速度を減速させる制御を行うことを表している。
【0150】
これは、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の形状が人と認識されていることから、保持アーム5の周囲に人が存在する可能性が高いと考えられるが、光センサ51が物体を検出していないことから、人は保持アーム5から少し離れた位置に存在していると考えられ、すぐに保持アーム5を停止させる必要性は低いと考えられるためである。
【0151】
また、例えば、
図12の2行目は、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が人であると認識された場合、保持アーム5の動作を停止することを表している。これは、保持アーム5の周囲の近い位置に人が存在する可能性が高いためである。
【0152】
また、例えば、
図12の3行目は、光センサ51が物体を検出せず、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状がサイズの小さいものであると認識された場合、アラートを表示させる制御を行うことを表している。これは、熱源領域の形状から人の可能性は低いものの、形状を誤認識している場合もあるためである。
【0153】
また、例えば、
図12の4行目は、光センサ51が物体を検出せず、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が細長いものであると認識された場合、保持アーム5の駆動の速度を減速させる制御を行うことを表している。これは、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の形状が細長いものであると認識されているため、保持アーム5の周囲にチューブが位置していると考えられ、保持アーム5の動作によるチューブの巻き込みに注意する必要があるためである。
【0154】
また、例えば、
図12の5行目は、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が細長いものであると認識された場合、保持アーム5の駆動の速度を減速させる制御を行うことを表している。これは、光センサ51が物体を検出し、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の形状が細長いものであると認識されていることから、保持アーム5の近くにチューブが位置していると考えられ、保持アーム5の動作によるチューブの巻き込みに注意する必要があるためである。
【0155】
なお、人を認識することが最優先となるため、画像解析機能116は、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の形状の認識処理の一環として、機械学習や深層学習等の学習により生成された学習済モデルを利用して赤外線画像上の人を認識する処理を実行してもよい。この場合の学習済モデルは、例えば、赤外線画像データを入力側教師データ、人の体型や体勢、温度分布等を表す検出パターンを出力側教師データ(正解データ)とし、両者の関係を学習した学習済モデルである。
【0156】
次に、本実施形態に係るX線診断装置100aが実行する処理について説明する。
図13は、第2の実施形態に係るX線診断装置100aが実行する処理の一例を示すフローチャートである。ステップS11~S12については、
図8のステップS1~S2と同様のため説明を省略する。
【0157】
ステップS12で赤外線画像を取得後、画像解析機能116は、赤外線画像上の干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の形状を認識する処理を実行する(ステップS13)。
【0158】
次いで、決定機能113aは、ステップS11で取得された光センサ51のセンシング結果と、ステップS12で取得された赤外線画像と、ステップS13で認識された熱源領域の形状とに基づいて、実行する制御の決定処理を行う(ステップS14)。
【0159】
ステップS15以降の処理は、
図8のステップS4以降の処理と同様のため説明を省略する。
【0160】
以上のように、第2の実施形態に係るX線診断システムSaは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無、及び認識された熱源領域の形状に基づいて、実行する制御の決定処理を行う。
【0161】
第2の実施形態に係るX線診断システムSaは、熱源領域の形状を認識するため、体温程度に温められた血液製剤等で満たされたチューブと人とを区別することができる。これにより、例えば、チューブによって光センサ51が反応した場合でも、チューブであると推定できるため、すぐに保持アーム5等の動作が停止してしまうことを防止できる。
【0162】
(第3の実施形態)
上述の第2の実施形態では、画像解析機能116は、赤外線画像を、熱源領域の形状の認識処理に用いる形態について説明した。第3の実施形態では、更に、複数の赤外線画像から、熱源領域の位置を特定する形態について説明する。
【0163】
以下、第3の実施形態に係るX線診断システムSbのX線診断装置100bのシステム制御部10bの構成について説明する。
図14は、第3の実施形態に係るX線診断装置100bの構成の一例を示すブロック図である。
【0164】
第3の実施形態に係るX線診断装置100bのシステム制御部10bの処理回路101bは、第1取得機能111と、第2取得機能112と、決定機能113bと、表示制御機能114と、出力機能115と、画像解析機能116と、算出機能117とを備える。第1取得機能111と、第2取得機能112と、表示制御機能114と、出力機能115と、画像解析機能116とは第1の実施形態又は第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0165】
まず、算出機能117について説明する。算出機能117は、複数の赤外線画像に基づいて、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置を算出することで、当該熱源領域の位置を特定する。算出機能117は、算出部の一例である。
【0166】
例えば、算出機能117は、X線診断装置100bを構成する部分のうちの装置が動作したとしても位置が変わらない基準位置(例えば、保持アーム5の床回転軸と、保持アームの主回転軸との交点等)の座標に基づいて、赤外線画像上の干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置を表す座標を算出することで当該熱源領域の位置を特定する。なお、熱源領域の位置を表す座標は、例えば、熱源領域の形状の重心の位置の座標である。
【0167】
本実施形態では、赤外線カメラ200は、夫々他の赤外線カメラと視野の一部が重複するよう設けられるものとする。また、複数の赤外線カメラ200のうち、少なくとも1つは、視野内にX線診断装置100bの基準位置を含むものとする。
【0168】
この場合、算出機能117は、基準位置を含む赤外線画像について、システム制御部10bで把握している基準位置の座標と、赤外線画像上における基準位置と、実空間における距離と赤外線画像上の距離との対応関係と、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置との相対的な位置関係に基づいて、当該熱源領域の位置を表す座標を算出することで当該熱源領域の位置を特定する。
【0169】
なお、基準位置を含まない赤外線画像の場合でも、本実施形態の赤外線カメラ200は、夫々他の赤外線カメラと視野の一部が重複するよう設けられているため、算出機能117は、基準位置を含む赤外線画像との重複位置の座標を求めることで、夫々の赤外線画像の干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置を表す座標を算出することで当該熱源領域の位置を特定できる。
【0170】
決定機能113aは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無、赤外線画像上の物体の形状、及び制御の対象とする対象位置と熱源領域の位置との相対的位置関係に基づいて、実行する制御を決定する。対象位置は、例えば、保持アーム5のX線管15の管球や寝台17の天板等である。
【0171】
ここで、
図15は、Cアーム5aと検査室内に存在する人との位置関係の一例を説明する図である。
図15では、検査室内に、術者O1(ユーザ)、術者O2、放射線技師E、及び被検体Pが存在している。また、
図14では、X線管15の管球15aを対象位置としている。また、
図15では、近領域NAは、対象位置から近い領域を表し、遠領域FAは、対象位置から遠い領域を表している。対象位置から近い領域は、可動部の所定範囲の一例である。
【0172】
例えば、決定機能113bは、現在のX線管15の管球15aの位置の座標と、算出機能117で算出された熱源領域の位置の座標とに基づいて、術者O1は、近い領域NAに、術者O2及び放射線技師Eは、遠い領域FAに存在すると判断する。
【0173】
なお、
図15では、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域と対象位置との位置関係を「遠い」、「近い」の2段階で判断しているが、決定機能113bは、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域と対象位置との位置関係を3段階以上に分けて判断してもよい。
【0174】
例えば、決定機能113bは、「光センサ付近(「近い」よりも相対的位置関係が更に近い)」、「近い」、「Cアーム5aの回転範囲内(相対的位置関係が「近い」と「遠い」の中間)」、「遠い」、及び「検出範囲外(相対的位置関係が「遠い」よりも更に遠い)」の5段階で干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域と対象位置との位置関係を判断してもよい。
【0175】
ここで、
図16は、第3の実施形態に係る決定テーブル102cの一例を示す図である。決定テーブル102cの「位置」は算出機能117が算出した干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置と、X線診断装置100の対象位置との相対的位置関係を表している。また、「形状」における「検出」は、人を検出したことを表している。
【0176】
例えば、
図16の1行目は、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が人であると認識され、対象位置との相対的位置関係が光センサ付近の場合、保持アーム5の駆動を停止させる制御を行うことを表している。
【0177】
これは、光センサ51でも物体を検出しており、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の形状が人と認識され、相対的位置関係も近いと判断されていることから、保持アーム5のすぐ近くに人が存在していると考えられ、保持アーム5と人とが接触する可能性が高いからである。
【0178】
また、例えば、
図16の2行目は、光センサ51が物体を検出せず、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が人であると認識され、対象位置との相対的位置関係が近い場合、保持アーム5の駆動を停止させる制御を行うことを表している。
【0179】
これは、光センサ51は物体を検出していないものの、当該熱源領域の形状が人と認識され、相対的位置関係も近いと判断されているため、保持アーム5の近くに人が存在している可能性が高く、早い段階で保持アーム5と人とが接触することを防止することが望ましいと考えられるからである。
【0180】
また、例えば、
図16の3行目は、光センサ51が物体を検出せず、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が人であると認識され、対象位置との相対的位置関係が保持アーム5の回転範囲内の場合、保持アーム5の駆動を減速させる制御を行うことを表している。
【0181】
これは、保持アーム5の近くに人は存在しないと考えられるものの、保持アーム5の回転範囲内には人が存在する可能性が高いため、保持アーム5を勢いよく移動させた場合には、保持アーム5と人とが接触する場合も想定できるからである。
【0182】
また、例えば、
図16の4行目は、光センサ51が物体を検出せず、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域の形状が人であると認識され、対象位置との相対的位置関係が遠い場合、ユーザに対してアラートを報知する制御を行うことを表している。
【0183】
これは干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出しているものの、対象位置との相対的位置関係が遠いことから、影響が小さいと判断できるためである。この場合は、ユーザに対してアラートを報知すれば、ユーザも注意して保持アーム5を動作させると考えられる。
【0184】
また、例えば、
図16の5行目は、光センサ51が物体を検出せず、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域のサイズが小さいものであると認識され、対象位置との相対的位置関係が光センサ51付近の場合、ユーザに対してアラートを報知する制御、及び保持アーム5の駆動を減速させる制御を行うことを表している。
【0185】
これは干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域のサイズが小さいことから、人が存在している可能性は低いと考えられるが、誤検出である場合も考えられ、更に干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域が保持アーム5のすぐ近くに存在しているため、ユーザに注意を促すことが望ましいからである。
【0186】
また、例えば、
図16の6行目は、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出し、当該熱源領域のサイズが細長いものであると認識され、対象位置との相対的位置関係が光センサ51付近の場合、保持アーム5の駆動を減速させる制御を行うことを表している。
【0187】
これは、チューブによって光センサ51が発するレーザー光Lが遮られた可能性が高いため、保持アーム5の移動でチューブを巻き込んでしまわないようにできれば、保持アーム5を停止までさせる必要はないと考えられるからである。
【0188】
また、例えば、
図16の7行目は、光センサ51が物体を検出し、赤外線カメラ200が干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出しない場合、ユーザに対してアラートを報知する制御を行うことを表している。
【0189】
これは、光センサ51が物体を検出しているものの、保持アーム5の周囲に干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域を検出できないことから、ドレープ等によって光センサ51が発するレーザー光Lが遮られた可能性が高いためである。
【0190】
例えば、この場合に保持アーム5を停止させてしまうと、復帰には時間を要するため、ユーザの操作性を著しく損なうことになる。本実施形態では、この場合にはユーザに対して周囲を確認するよう促すアラートを報知するに留めることで、人以外の物体が原因で手技が中断されることを防止することができる。
【0191】
なお、上記では、決定機能113bは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による熱源領域の検出の有無、赤外線画像上の物体の形状、及び制御の対象とする対象位置と熱源領域の位置との相対的位置関係に基づいて、実行する制御を決定する処理について説明した。しかしながら、決定機能113bは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による熱源領域の検出の有無、及び制御の対象とする対象位置と熱源領域の位置との相対的位置関係に基づいて、実行する制御を決定してもよい。
【0192】
次に、本実施形態に係るX線診断装置100bが実行する処理について説明する。
図17は、第3の実施形態に係るX線診断装置100bが実行する処理の一例を示すフローチャートである。ステップS21~S23については、
図13のステップS11~S13と同様のため説明を省略する。
【0193】
ステップS13で熱源領域の形状の認識処理を実行後、算出機能117は、赤外線画像上の干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置を算出する処理を実行する(ステップS24)。例えば、算出機能117は、X線診断装置100bの基準位置の座標と、赤外線画像上における基準位置と、干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置との相対的な位置関係に基づいて、当該熱源領域の位置を表す座標を算出する。
【0194】
次いで、決定機能113aは、ステップS21で取得された光センサ51のセンシング結果と、ステップS22で取得された赤外線画像と、ステップS23で認識された熱源領域の形状と、ステップS24で算出された干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置から判断した対象位置と熱源領域との相対的位置関係とに基づいて、実行する制御の決定処理を行う(ステップS25)。
【0195】
ステップS26以降の処理は、
図13のステップS15以降の処理と同様のため説明を省略する。
【0196】
以上のように、第3の実施形態に係るX線診断システムSbは、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無、認識された熱源領域の形状、及び制御の対象とする対象位置と当該熱源領域の位置との相対的位置関係に基づいて、実行する制御の決定処理を行う。
【0197】
第3の実施形態に係るX線診断システムSbは、制御の対象とする対象位置と干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置との相対的位置関係に応じた制御を実行するため、例えば、人を検知した場合でも、X線管15の管球の位置と干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の位置との相対的位置関係が遠い場合には、影響が小さいと判断して保持アーム5の動作を継続させることができる。つまり、第3の実施形態に係るX線診断システムSbによれば、ユーザによるX線診断装置100bの操作性を向上させることができる。
【0198】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係る変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0199】
(変形例)
上述の実施形態では、決定機能113が、X線診断装置100を撮影可能に設けられた、赤外線カメラ200が撮影した赤外線画像に基づいて、物体の種別を判定する形態について説明した。しかしながら、決定機能113は、X線診断装置100を撮影可能に設けられた、カメラが撮影した可視光画像に基づいて、物体の種別を判定してもよい。
【0200】
本変形例では、例えば、決定機能113は、可視光画像上の物体の形態を認識し、物体の種別を判定する。一例として、決定機能113は、所定の温度範囲の熱源領域の形状から、物体そのものの種別を判別する。そして、決定機能113は、判別した物体の種別が干渉を回避すべき種類の物体か否かを、物体の種別毎に干渉回避の要否を定めた判定情報に基づいて判定する。
【0201】
また、例えば、決定機能113は、可視光画像に基づいて、X線診断装置100が実行する制御内容を決定してもよいし、可視光画像と赤外線画像とに基づいて、X線診断装置100が実行する制御内容を決定してもよい。
【0202】
例えば、可視光画像に基づいて、制御内容を決定する場合、決定機能113は、判定した物体の種別、及び制御の対象とする対象位置と当該物体の位置との相対的位置関係から、制御内容を決定する。
【0203】
また、例えば、可視光画像と赤外線画像とに基づいて、制御内容を決定する場合、決定機能113は、赤外線画像上の干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域について、当該熱源領域の可視光画像上における位置を特定する。次いで、決定機能113は、可視光画像上で特定した当該熱源領域に相当する物体の形状を認識する処理を実行する。
【0204】
そして、決定機能113は、第3実施形態と同様に、光センサ51による物体の検出の有無、赤外線画像による干渉を回避すべき種類の物体と判定される熱源領域の検出の有無、可視光画像上で認識された当該熱源領域に相当する物体の形状、及び制御の対象とする対象位置と当該物体の位置との相対的位置関係に基づいて、実行する制御の決定処理を行う。
【0205】
本変形例によれば、可視光画像を用いて物体の種別を判別できるため、より高精度に物体の種別を判定することができる。
【0206】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザによるX線診断装置の操作性を向上させることができる。
【0207】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0208】
5 保持アーム
7 画像演算・記憶部
8 表示装置
9 操作部
10 システム制御部
11,102 記憶回路
12 画像演算回路
13 画像データ記憶回路
17 寝台
20 画像データ生成部
33 表示制御回路
34 モニタ
100、100a、100b X線診断装置
101 処理回路
111 第1取得機能
112 第2取得機能
113、113a、113b 決定機能
114 表示制御機能
115 出力機能
116 画像解析機能
117 算出機能
S、Sa、Sb X線診断システム
P 被検体