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特開2024-80924光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置、および光子計数型CTスキャン条件設定方法
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  • 特開-光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置、および光子計数型CTスキャン条件設定方法 図1
  • 特開-光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置、および光子計数型CTスキャン条件設定方法 図2
  • 特開-光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置、および光子計数型CTスキャン条件設定方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080924
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置、および光子計数型CTスキャン条件設定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240610BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20240610BHJP
   A61B 6/42 20240101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B6/03 330A
A61B6/03 373
A61B6/03 375
A61B6/03 320R
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194288
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 博明
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA21
4C093AA22
4C093AA24
4C093CA16
4C093EA02
4C093EA07
4C093EB13
4C093FA12
4C093FA13
4C093FA15
4C093FA34
4C093FA59
4C093FB08
4C093FB09
4C093FC01
4C093FE13
4C093FG04
(57)【要約】
【課題】光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置を用いたCT検査において、最適な撮影条件の設定を提供すること。
【解決手段】実施形態に係る光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置は、スキャン条件設定部を備える。スキャン条件設定部は、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定するスキャン条件設定部を備える光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記スキャン条件の設定に関連する複数の要素における項目を、所定の順で指定可能なように、操作画面に表示する表示部をさらに備え、
前記スキャン条件設定部は、前記操作画面を介して入力された前記要素における項目を用いて、前記スキャン条件を設定する、
請求項1に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記画像化モードは、光子のカウントモードと物質弁別モードとを有し、
前記複数の要素は、前記画像化モードの種別と、前記光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位と、造影剤の有無と、前記造影剤の種別と、管電圧と、前記物質弁別モードにおける物質名と、のうち少なくとも2つである、
請求項2に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記表示部は、
前記画像化モード、前記スキャン対象部位、前記造影剤の有無および種類の順で、前記画像化モードの種別と前記スキャン対象部位と前記造影剤の有無および種類との指定に関する前記操作画面を表示し、
前記画像化モードとして前記物質弁別モードが指定され、前記造影剤の有無および種類が指定されると、前記スキャン対象部位と前記造影剤の有無および種類とに応じて、前記光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と前記エネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、前記操作画面に表示する、
請求項3に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記表示部は、
前記スキャン対象部位、前記画像化モード、前記画像化モードとして前記物質弁別モードが指定された場合は前記物質名の順で、前記スキャン対象部位と前記画像化モードと前記物質名との指定に関する前記操作画面を表示し、
前記物質名が指定されると、前記スキャン対象部位と前記物質名とに応じて、前記光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と前記エネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、前記操作画面に表示する、
請求項3に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記表示部は、
前記スキャン対象部位、前記管電圧、前記画像化モード、前記画像化モードとして前記物質弁別モードが指定された場合は前記物質名の順で、前記スキャン対象部位と前記管電圧と前記画像化モードと前記物質名との指定に関する前記操作画面を表示し、
前記物質名が指定されると、前記スキャン対象部位と前記管電圧と前記物質名とに応じて、前記光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と前記エネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、前記操作画面に表示する、
請求項3に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記表示部は、
前記画像化モード、前記スキャン対象部位、前記画像化モードとして前記物質弁別モードが指定された場合は前記物質名の順で、前記画像化モードの種別と前記スキャン対象部位と前記物質名との指定に関する前記操作画面を表示し、
前記物質名が指定されると、前記スキャン対象部位と前記物質名とに応じて、前記光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と前記エネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、前記操作画面に表示する、
請求項3に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
前記表示部は、
前記画像化モード、前記スキャン対象部位、前記管電圧、前記画像化モードとして前記物質弁別モードが指定された場合は前記物質名の順で、前記スキャン対象部位と前記管電圧と前記画像化モードと前記物質名との指定に関する前記操作画面を表示し、
前記物質名が指定されると、前記スキャン対象部位と前記管電圧と前記物質名とに応じて、前記光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と前記エネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、前記操作画面に表示する、
請求項3に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
前記画像化モードとして前記光子のカウントモードが指定された場合、前記表示部は、造影剤の有無および/または前記光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位に応じて、管電圧と、前記光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と、前記エネルギー範囲におけるエネルギーの幅との指定に関する前記操作画面を表示する、
請求項4乃至8のいずれか一項に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
光子計数型CTスキャンによる被検体の検査目的に応じて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定するスキャン条件設定部と、
前記設定されたスキャン条件を表示する表示部と、
を備える光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
前記表示されたスキャン条件において、造影剤に含まれる物質名が変更されると、前記スキャン条件設定部は、前記変更された物質名に応じて前記スキャン条件を変更し、
前記表示部は、前記変更されたスキャン条件を表示する、
請求項10に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項12】
操作者による前記スキャン条件の決定指示に応答して、前記スキャン条件設定部は、前記決定指示に対応するスキャン条件におけるスキャン対象部位と前記造影剤と管電圧と前記物質名と画像化モードと前記検査目的とに基づいて、他の撮像プロトコルとは異なる名称の撮像プロトコル名を設定する、
請求項11に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項13】
放射線科情報システムから出力された検査オーダに基づいて複数の所定のスキャン条件を選択し、前記選択されたスキャン条件に対する操作者の修正により、光子計数型CTスキャンにおいて実行されるスキャン条件を設定するスキャン条件設定部と、
前記設定されたスキャン条件に対応する前記光子計数型CTスキャンを含む撮像プロトコルを生成するプロトコル生成部と、
を備える光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項14】
前記スキャン条件設定部は、複数の検査目的に応じた操作者の入力に基づいて、前記複数の所定のスキャン条件をそれぞれ設定し、
前記プロトコル生成部は、前記所定のスキャン条件を用いて、前記光子計数型CTスキャンを含む所定の撮像プロトコルを生成する、
請求項13に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項15】
前記撮像プロトコルは、前記光子計数型CTスキャンを含む複数のスキャンに対応する複数のスキャン条件を有する、
請求項13または14に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項16】
前記プロトコル生成部は、前記撮像プロトコルの生成において、前記光子計数型CTスキャンにより取得されたデータに対する処理条件および再構成条件を設定する、
請求項15に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項17】
前記スキャン条件設定部は、前記複数のスキャンにそれぞれ対応する複数のスキャン条件を設定し、
前記プロトコル生成部は、前記複数のスキャン各々に関して、少なくとも一つの前記処理条件および前記再構成条件を設定する、
請求項16に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項18】
前記撮像プロトコルの生成中において別の再構成条件が追加された場合、前記プロトコル生成部は、設定されたスキャン条件と設定された再構成条件とを調整することで、前記別の再構成条件により再構成される医用画像の生成の可否を判定する、
請求項17に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項19】
前記医用画像の生成が可能であると判定された場合、前記プロトコル生成部は、前記設定されたスキャン条件と前記設定された再構成条件とを有する撮像プロトコルと、前記別の再構成条件を有する撮像プロトコルと統合する、
請求項18に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項20】
前記スキャン条件の設定において、画像化モードとして物質弁別モードが設定された場合、前記スキャン条件設定部は、前記光子計数型CTスキャンにおける1つのスキャン対象部位に対して複数の物質名を指定可能に設定し、
前記プロトコル生成部は、
前記設定されたスキャン条件と前記設定された再構成条件とを調整することで、前記複数の物質名に対応する複数の物質が同時に検出可能であるか否かを判定し、
前記複数の物質が検出可能であると判定された場合、前記設定されたスキャン条件と前記設定された再構成条件とを調整して、前記一つのスキャンに関する撮像プロトコルを生成する、
請求項19に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項21】
前記画像化モードは、光子のカウントモードと物質弁別モードとを有し、
前記画像化モードとして前記カウントモードが選択された場合、前記光子計数型CTスキャンにより得られたカウントデータに基づいて、検出された光子のエネルギー積分に対応する積分画像を再構成する再構成処理部をさらに備える、
請求項1に記載の光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項22】
光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定すること、
を備える光子計数型CTスキャン条件設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置、および光子計数型CTスキャン条件設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光子計数型のX線コンピュータ断層撮影装置(以下、PCCT(Photon Counting Computed Tomography)装置と呼ぶ)によるCT検査に先立って、撮影部位および/または被検体の体型等に基づく撮影条件(管電圧、管電流)の設定、およびPCCT装置に特有のエネルギービン(エネルギー範囲)の設定などの各種設定(以下、撮影条件設定と呼ぶ)が実行される。
【0003】
また、PCCT装置における画像の再構成(画像化)モードとしては、光子計数型ではないCT画像に近いカウントモード、物質弁別画像を作成・表示するモード、仮想単色X線画像等がある。このとき、画像化モードに関する目的毎に最適な撮影条件設定が想定される。画像化モードに関する目的に応じた最適な撮影条件設定は、煩雑となることがある。このため、最適な撮影条件設定は難しいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-032635号公報
【特許文献2】特開2014-014445号公報
【特許文献3】特開2006-101926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置を用いたCT検査において、最適な撮影条件の設定を提供することにある。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置は、スキャン条件設定部を備える。スキャン条件設定部は、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るPCCT装置の構成例を示す図。
図2図2は、実施形態に係り、カウントモードに関するスキャン条件により生成された積分画像の一例を示す図。
図3図3は、実施形態に係り、物質弁別モードに関するスキャン条件により生成された物質弁別画像の一例を示す図。
図4図4は、実施形態に係るスキャン条件設定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置(以下、PCCT(Photon Counting Computed Tomography)装置と呼ぶ)、および光子計数型CTスキャン条件設定方法について説明する。実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。なお、実施形態に係る光子計数型CTスキャン条件設定方法は、各種サーバ装置、換言すれば、光子計数型CTスキャン条件設定プログラムを実行可能なサーバ装置などにより実現されてもよい。
【0009】
なお、本実施形態における技術的特徴を実現する装置は、PCCT装置に限定されず、例えば、PET(Positron Emission Tomography)およびSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)などの核医学診断装置とPCCT装置との複合装置などであってもよい。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るPCCT装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、PCCT装置1は、ガントリとも称される架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。本実施形態における技術的特徴をスキャン条件設定装置で実現する場合、当該スキャン条件設定装置は、図1に示すコンソール装置40において、例えば、システム制御機能441と前処理機能442と再構成処理機能443と画像処理機能444とを除外した構成に相当する。なお、スキャン条件設定装置は、図1に示すコンソール装置40における構成要素から適宜不要な構成を除いたもので実現されてもよい。
【0011】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交しかつ回転中心から回転フレーム13を支持する支柱に向かう方向をX軸、当該Z軸及びX軸と直交する方向をY軸とそれぞれ定義するものとする。図1では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際のPCCT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
【0012】
架台装置10及び寝台装置30は、コンソール装置40を介した操作者からの操作、或いは架台装置10、又は寝台装置30に設けられた操作部を介した操作者からの操作に基づいて動作する。操作者は、例えば、医師、放射線技師、PCCT装置1に関するサービスマンなどである。架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
【0013】
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮影系を有する装置である。架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。
【0014】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。X線管11における管球焦点で発生したX線は、X線管11におけるX線放射窓を通過して、コリメータ17を介して例えばコーンビーム形に成形され、被検体Pに照射される。X線管11には、例えば、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0015】
X線検出器12は、X線管11により発生したX線の光子を検出する。具体的には、X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を光子単位で検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。すなわち、X線検出器12は、光子計数型のX線検出器により実現される。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってファン角方向(チャネル方向ともいう)に複数の検出素子(X線検出素子ともいう)が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12において、複数の検出素子列は、Z軸方向に沿って平坦に配列される。すなわち、X線検出器12は、例えば、当該検出素子列がコーン角方向(列方向、row方向、スライス方向ともいう)に沿って平坦に複数配列された構造を有する。
【0016】
なお、PCCT装置1には、例えば、X線管11とX線検出器12とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管11のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。
【0017】
X線検出器12は、入射したX線を電荷に変換する半導体素子を有する直接変換型のX線検出器である。本実施形態のX線検出器12は、例えば、少なくとも1つの高電圧電極と、少なくとも1つの半導体結晶と、複数の読出電極とを備える。半導体素子は、X線変換素子ともいう。半導体結晶は、例えば、CdTe(テルル化カドミウム:cadmium telluride)やCdZnTe(テルル化カドミウム亜鉛:cadmium Zinc telluride:CZT)などにより実現される。X線検出器12において、半導体結晶を挟んで対向し、Y方向に直交する2つの面には、電極が設けられる。すなわち、X線検出器12には、複数のアノード電極(読出電極、または画素電極ともいう)とカソード電極(共通電極ともいう)とが、半導体結晶を挟んで設けられる。
【0018】
読出電極と共通電極との間には、バイアス電圧が印加される。X線検出器12では、X線が半導体結晶に吸収されると電子正孔対が生成されて、電子が陽極側(アノード電極(読出電極)側)へと移動し、正孔が陰極側(カソード電極側)に移動することで、X線の検出に関する信号が、X線検出器12からDAS18へ出力される。
【0019】
なお、X線検出器12は、入射したX線を間接的に電気信号に変換する間接変換型の光子計数型のX線検出器であっても構わない。X線検出器12は、X線検出部の一例である。
【0020】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。回転フレーム13は架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム。図1での図示は省略している)により回転可能に支持される。回転機構は例えば回転駆動力を生ずるモータと、当該回転駆動力を回転フレーム13に伝達して回転させるベアリングとを含む。モータは例えば当該非回転部分に設けられ、ベアリングは回転フレーム13及び当該モータと物理的に接続され、モータの回転力に応じて回転フレーム13が回転する。
【0021】
回転フレーム13と非回転部分にはそれぞれ、非接触方式または接触方式の通信回路が設けられ、これにより回転フレーム13に支持されるユニットと当該非回転部分あるいは架台装置10の外部装置との通信が行われる。例えば非接触の通信方式として光通信を採用する場合、DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、さらに送信器により当該非回転部分からコンソール装置40へと転送される。なお通信方式としては、この他に容量結合式や電波方式などの非接触型のデータ伝送の他、スリップリングと電極ブラシを使った接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。また、回転フレーム13は、回転部の一例である。
【0022】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム側に設けられても構わない。また、X線高電圧装置14は、X線高電圧部の一例である。
【0023】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等のプロセッサにより実現されてもよい。
【0024】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリにプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0025】
制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現されてもよい。制御装置15は、後述のスキャン条件設定機能445により設定されたスキャン条件および/または後述のプロトコル生成機能446により生成された撮像プロトコルに従って、光子計数型CTスキャンの実行に関して架台装置10および寝台装置30などの各種構成要素を制御する。光子計数型CTスキャンとは、従来の積分型のCTスキャンではなく、例えば、光子を1つずつカウントするCTスキャンである。
【0026】
なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。なお、制御装置15は、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。また、制御装置15は、制御部の一例である。
【0027】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。ウェッジ16は、例えば、ウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0028】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線をX線照射範囲に絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0029】
DAS(Data Acquisition System)18は、複数の計数回路を有する。複数の計数回路各々は、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、X線検出器12の検出信号を用いた計数処理の結果である検出データを生成する。計数処理の結果は、エネルギービン(Energy BIN)ごとのX線の光子数を割り当てたデータである。エネルギービンは、所定の幅のエネルギー域に相当する。例えば、DAS18は、X線管11から照射されて被検体Pを透過したX線に由来する光子(X線光子)を計数し、当該計数した光子のエネルギーを弁別した計数処理の結果を、検出データとして生成する。DAS18はデータ収集部の一例である。
【0030】
DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。検出データは、生成元の検出素子のチャンネル番号、列番号、収集されたビュー(投影角度ともいう)を示すビュー番号、及び検出されたX線の線量を示す値のデータのセットである。なお、ビュー番号としては、ビューが収集された順番(収集時刻)を用いてもよく、X線管11の回転角度を表す番号(例、1~1000)を用いてもよい。DAS18における複数の計数回路各々は、例えば、検出データを生成可能な回路素子を搭載した回路群により実現される。なお、本実施形態において、単に「検出データ」という場合、X線検出器12により検出され、前処理が施される前の純生データと、純生データに対して前処理が施された生データの両方の意味を包括する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0031】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0032】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、例えば、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール装置40は、架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10に、コンソール装置40またはコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0033】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、HDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、光ディスク等により実現される。また、メモリ41は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。
【0034】
メモリ41は、例えば、DAS18から出力された検出データ、前処理機能442により生成された投影データ、再構成処理機能443により再構成された再構成画像を記憶する。再構成画像は、例えば、3次元的なCT画像データ(ボリュームデータ)、もしくは2次元的なCT画像データなどである。また、メモリ41の保存領域は、PCCT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0035】
メモリ41は、スキャン条件設定機能445により設定されたスキャン条件を記憶する。スキャン条件は、PCCT装置1により実行される光子計数型CTスキャンにおいて用いられる撮像条件である。物質弁別モードに関するスキャン条件(以下、弁別スキャン条件と呼ぶ)は、例えば、管電圧、管電流、スキャン速度、複数のエネルギービンの総数、複数のエネルギー各々のエネルギー範囲などを有する。また、カウントモードに関するスキャン条件(以下、カウントスキャン条件と呼ぶ)は、例えば、管電圧、管電流などの従来の積分型のCTスキャンに対応するスキャン条件を有する。なお、カウントスキャン条件は、複数のエネルギービンの総数および複数のエネルギー各々のエネルギー範囲などのビン設定を有していてもよい。
【0036】
メモリ41は、スキャン条件の設定に関連する複数の要素における項目に対応するスキャン条件の対応表(Look Up Table:LUT)を記憶する。LUTは、スキャン条件を設定する処理(以下、スキャン条件設定処理と呼ぶ)において用いられ、サービスマンや放射線技師などにより予め設定される。複数の要素は、例えば、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードの種別と、光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位と、造影剤の有無と、造影剤の種別と、管電圧と、物質弁別モードにおける物質名と、のうち少なくとも2つである。なお、複数の要素は、上記記載に限定されず、例えば、管電流、抗がん剤の種別、抗がん剤における物質名など、他の要素を含んでいてもよい。
【0037】
画像化モードは、光子のカウントモードと物質弁別モードとを有する。すなわち、画像化モードの種別に対する項目は、例えば、光子のカウントモードと物質弁別モードとに対応する。光子のカウントモードは、例えば、単一のエネルギービン(全エネルギービン)、すなわち複数のエネルギービンで光子のカウントを弁別することなく計数処理を実施することと、エネルギー非弁別の画像生成とに関するモードである。このとき、検出データは、チャンネル番号、列番号、およびビュー番号ごとに、全エネルギーに亘るカウント数が積分されたデータに相当する。物質弁別モードは、例えば、複数のエネルギービンで光子のカウントを弁別して計数処理を実施することと、エネルギー弁別を伴う画像の生成とに関するモードである。このとき、検出データは、チャンネル番号、列番号、およびビュー番号ごとに、複数のエネルギービン各々に関してカウント数を示すデータに相当する。
【0038】
光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位に対する項目は、例えば、頭部、胸部、腹部、腕部、脚部などである。また、造影剤の有無に対する項目は、造影剤を用いない光子計数型CTスキャンと、造影剤を用いた光子計数型CTスキャンである。また、造影剤の種別に対する項目は、ヨード系造影剤、ガドリニウム系造影剤、および硫酸バリウム製剤など、造影剤に含まれる成分(ヨード、ガドリニウム、硫酸バリウム、金など)に対応する。管電圧に対する項目は、例えば、管電圧の電圧値またはピーク管電圧(kVp(キロボルトピーク))に対応する。物質弁別モードにおける物質名は、物質弁別に適した画像の生成に関する物質名であって、例えば、水、ヨード、ガドリニウム、金、プラチナなどである。
【0039】
また、メモリ41は、プロトコル生成機能446により生成された撮像プロトコルを記憶する。撮像プロトコルは、例えば、スキャン条件設定機能445により設定されたスキャン条件に対応する光子計数型CTスキャンを含む。また、撮像プロトコルは、光子計数型CTスキャンを含む複数のスキャンと、当該複数のスキャンに対応する複数のスキャン条件を有する。複数のスキャンは、例えば、被検体Pに対するスキャノ撮影、造影剤なし(Non-CE)撮影および/または造影剤あり(CE)撮影などを有する。
【0040】
加えて、撮像プロトコルは、複数のスキャンに対応する複数の再構成条件を有する。再構成条件は、例えば、再構成関数、画像処理の有無、画像処理に関する各種フィルタの強度、アーチファクト低減処理の有無などを有する。なお、再構成条件は、1つの光子計数型CTスキャンにより得られた検出データ(投影データ群など)に対して複数設定されてもよい。
【0041】
なお、スキャン条件と再構成条件とは、まとめて、画像生成条件と称されてもよい。以上により、撮像プロトコルは、例えば、被検体Pに対するCT検査に応じて生成される。このため、撮像プロトコルは、被検体Pに応じたスキャンプランと称されてもよい。
【0042】
メモリ41は、処理回路44により実行されるシステム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、スキャン条件設定機能445、およびプロトコル生成機能446各々の実行に関するプログラムを記憶する。メモリ41は、記憶部の一例である。
【0043】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。ディスプレイ42は、例えば、スキャン条件の設定に関連する複数の要素における項目を、所定の順で指定可能なように操作画面(GUI)に表示する。
【0044】
例えば、ディスプレイ42は、画像化モードの種別、スキャン対象部位、造影剤の有無および種類の順で、画像化モードの種別とスキャン対象部位と造影剤の有無および種類との指定に関する操作画面を表示する。また、ディスプレイ42は、スキャン条件設定機能445により設定されたスキャン条件および/またはプロトコル生成機能446により生成された撮像プロトコルを表示する。
【0045】
ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0046】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際のスキャン条件、撮像プロトコル、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データに対する後処理に関する画像処理条件等を操作者から受け付ける。当該後処理は、コンソール装置40又は外部のワークステーションのどちらで実施することにしても構わない。また、当該後処理は、コンソール装置40とワークステーションの両方で同時に処理することにしても構わない。
【0047】
ここで定義される後処理とは、再構成処理機能443によって再構成された画像に対する処理を指す概念である。後処理は、例えば、再構成画像のMulti Planar Reconstruction(MPR)表示やボリュームデータのレンダリング等を含む。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
【0048】
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、入力部の一例である。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0049】
処理回路44は、例えば、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じて、PCCT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、自身のメモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、スキャン条件設定機能445、プロトコル生成機能446を実行する。なお、各機能441~446は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~445を実現するものとしても構わない。
【0050】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。また、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってPCCT装置1の各部を制御する。システム制御機能441は、システム制御部の一例である。
【0051】
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施した投影データを生成する。投影データの生成は、既知の処理内容に準拠するため、説明は省略する。前処理機能442は、前処理部の一例である。
【0052】
再構成処理機能443は、再構成条件に基づいて、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。再構成処理には、散乱性補正およびビームハードニング補正などの各種補正処理、および再構成条件における再構成関数の適用など、各種処理を有する。なお、再構成処理機能443により実行される再構成処理は、FBP法に限定されず、逐次近似再構成、投影データの入力により再構成画像を出力するディープニューラルネットワークなど、既知の処理が適宜用いられてもよい。再構成処理機能443は、再構成されたCT画像データをメモリ41に格納する。再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
【0053】
再構成処理機能443により実現される再構成の処理は、投影データなどの再構成前データに基づいて画像を生成することに限定されず、広義としての再構成の処理を実現する機能を有する。例えば、再構成処理機能443は、再構成前データに基づいて、再構成条件に従って、基準物質画像、仮想単色X線画像、仮想非造影(Virtual Non-Contrast:VNC)画像、ヨードマップ画像、実効原子番号画像、電子密度画像、複数のエネルギー画像などを生成する。
【0054】
基準物質画像は、基準物質に関する画像である。基準物質は、例えば、水、ヨウ素、などである。このとき、基準物質画像は、例えば、水含有量(例えば、水の存在率など)をピクセルごとに表した水画像、ヨード含有量(例えば、ヨードの存在率など)をピクセルごとに表したヨード画像などである。仮想単色X線画像は、X線管11において発生されたX線(例えば白色X線)のエネルギーにおいて特定の一つのエネルギー成分(keV)を有する単色X線に対応する。仮想単色X線画像は、仮想的に特定の単色X線で撮影したような医用画像に相当する。
【0055】
VNC画像は、例えば、造影後の画像から生成される。ヨードマップ画像は、ヨードを成分として有する造影剤の染まり具合を示す医用画像である。実効原子番号画像は、例えば、複数のボクセル各々における元素の種類に関して、単一の元素で構成されている場合は当該元素の種類を示す医用画像である。また、複数のボクセル各々において複数の元素で構成されている場合、実効原子番号画像は、平均的な原子番号を示す医用画像である。すなわち、実効原子番号とは、あるボクセルを単一の原子で置き換えると仮定した時に、そこに該当する原子番号のことである。例えば、実効原子番号画像は、X線管11において発生されたX線における特性X線(kエッジ(k-edge))に対応する画像に相当する。
【0056】
電子密度画像は、単位体積内に存在すると推定される電子の個数を表す医用画像である。電子密度画像は、例えば、造影剤の密度を表す医用画像に対応する。複数のエネルギー画像各々は、PCCT装置1において複数のエネルギービンごとに収集された検出データに基づいて生成された医用画像に対応する。再構成処理機能443により医用画像を生成する再構成としては、既知の処理内容を適宜利用可能であるため、説明は省略する。
【0057】
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。なお、3次元画像データの生成は再構成処理機能443が直接行なっても構わない。また、画像処理機能444により実現される各種画像処理としては、既知の処理が利用可能であるため、説明は省略する。画像処理機能444は、画像処理部の一例である。
【0058】
スキャン条件設定機能445は、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、当該光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定する。例えば、スキャン条件設定機能445は、カウントモードまたは物質弁別モードなどの画像化モードをスキャン条件の設定に必要な条件として用いて、当該光子計数型CTスキャンに関するスキャン条件を設定する。具体的には、スキャン条件設定機能445は、操作画面を介して入力された要素における項目を用いて、スキャン条件を設定する。例えば、光子計数型CTスキャン特有のCTスキャンを行う場合にのみ、スキャン条件設定機能445は、操作者が適切なスキャン条件を設定できるように順にナビゲートする操作画面(GUI)を介して、光子計数型CTスキャンの実施に必要な情報を、指定・選択できるようにしてもよい。
【0059】
例えば、スキャン条件設定機能445は、画像化モード、スキャン対象部位、造影剤の有無および種類の順で、画像化モードの種別とスキャン対象部位と造影剤の有無および種類との指定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。このとき、画像化モードとして物質弁別モードが指定され、造影剤の有無および種類が指定されると、スキャン条件設定機能445は、スキャン対象部位と造影剤の有無および種類とに応じて、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数(ビン数)とエネルギー範囲(エネルギービン)におけるエネルギーの幅とを、ディスプレイ42の操作画面に表示させる。
【0060】
また、画像化モードとしてカウントモードが指定されると、スキャン条件設定機能445は、通常の積分型のCTスキャンと同様なスキャン条件の設定に必要な各種要素(例えば、スキャン対象部位など)の指定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。スキャン対象部位の指定は、撮像視野(FOV:field of view)の指定に対応する。すなわち、カウントモードでは、光子計数型CTスキャンに特有のスキャン条件(例えば、複数のエネルギー範囲など)は不要となるため(カウントモードでのビン数は、最低1ビンでもよい)、スキャン条件設定機能445は、通常の積分型のCTスキャンと同様なスキャン条件の設定を実行する。
【0061】
また、画像化モードとして物質弁別モードが指定されたとき、処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、操作者が所望する画像化対象の物質名を入力可能な操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。例えば、スキャン条件設定機能445は、造影剤の有無および/または造影剤の種類、画像化対象の物質名、人体構造などを、操作画面に表示させる。スキャン条件設定機能445は、指定された造影剤の種別および/または造影剤の種類、画像化対象の物質名、スキャン対象部位などに応じて、複数のエネルギー範囲の個数(ビン数)とエネルギー範囲(エネルギービン)とを、スキャン条件として設定する。
【0062】
スキャン条件設定機能445は、例えば、造影剤としてガドリニウム系の造影剤が選択された場合、および/または画像化対象の物質名としてガドリニウムが指定された場合、ガドリニウムを画像化できるように、例えば、ガドリニウムに関するkエッジ画像に応じたビン数とエネルギービンの幅とを設定する。また、スキャン条件設定機能445は、例えば、造影剤として金系の造影剤が選択された場合、および/または画像化対象の物質名として金が指定された場合、金を画像化できるように、例えば、金に関するkエッジ画像に応じたビン数とエネルギービンの幅とを設定する。また、スキャン条件設定機能445は、例えば、造影剤としてヨード系の造影剤が選択された場合、および/または画像化対象の物質名としてヨードが指定された場合、ヨードを画像化できるようなビン数とエネルギービンの幅とを設定する。このとき、例えば、ピーク管電圧(kVp)は、通常のCTスキャンにおけるピーク管電圧より低く設定される。
【0063】
スキャン条件設定機能445は、操作者により指定および/または選択された複数の要素における項目と対応表とを照合することにより、光子計数型CTスキャンに対応するスキャン条件を設定する。スキャン条件設定機能445は、設定された光子計数スキャン条件をディスプレイ42に表示させる。入力インターフェース43を介した操作者の指示により、スキャン条件が変更または決定されると、スキャン条件設定機能445は、変更または決定されたスキャン条件を、ディスプレイ42に表示する。ディスプレイ42に表示されたスキャン条件において、例えば、入力インターフェース43を介した操作者の指示により画像化対象の物質名が変更されると、スキャン条件設定機能445は、変更された物質名に応じて対応表を用いてスキャン条件を変更する。スキャン条件が決定されると、スキャン条件設定機能445は、決定されたスキャン条件を、メモリ41に記憶させる。スキャン条件設定機能445は、スキャン条件設定部の一例である。
【0064】
プロトコル生成機能446は、スキャン条件設定機能445により設定されたスキャン条件を用いて、設定されたスキャン条件に対応する光子計数型CTスキャンを含む撮像プロトコルを生成する。撮像プロトコルは、光子計数型CTスキャンを含む複数のスキャン(スキャノ撮影、造影剤なし(Non-CE)撮影、造影剤あり(CE)撮影など)に対応する複数のスキャン条件を有する。このとき、撮像プロトコルの生成に先立って、複数のスキャンにそれぞれ対応する複数のスキャン条件が、スキャン条件設定機能445により設定される。すなわち、スキャン条件は1つのスキャンについて1つ設定される。
【0065】
また、プロトコル生成機能446は、撮像プロトコルの生成において、複数のスキャン各々により得られた検出データ、投影データなどの各種データに対する処理条件および再構成条件を設定する。撮像プロトコルの生成に先立って、プロトコル生成機能446は、例えば、入力インターフェース43を介した操作者の指示により、複数のスキャン各々に関して、少なくとも一つの処理条件および再構成条件を設定する。プロトコル生成機能446は、プロトコル生成部の一例である。
【0066】
処理条件は、例えば、画像処理の有無、各種フィルタの強度、アーチファクト低減処理の有無などに関する条件である。再構成条件は、再構成関数の設定、各種再構成処理(FBP、逐次近似再構成など)の設定などである。光子計数型CTスキャンに関する特有の再構成条件は、例えば、基準物質画像、仮想単色X線画像、VNC画像、ヨードマップ画像、実効原子番号画像、電子密度画像、複数のエネルギー画像などの光子計数型CTスキャンに特有の再構成画像に応じた各種再構成に関する条件である。なお、再構成条件と処理条件とを合わせて、画像生成条件と称されてもよい。処理条件および再構成条件は、既知の条件に準拠するため、説明は省略する。
【0067】
また、画像化モードとしてカウントモードが選択され、かつ、生成される再構成画像として、検出された光子のエネルギー積分に対応する積分画像が選択された場合、プロトコル生成機能446は、当該積分画像に対応する再構成条件を、光子計数型CTスキャンに対応付けて、撮像プロトコルに組み込む。このとき、再構成処理機能443は、光子計数型CTスキャンにより得られたカウントデータに基づいて、検出された光子のエネルギー積分に対応する積分画像を再構成する。積分画像は、カウント画像とは異なり、従来の積分型のCTスキャンにより再構成されたCT画像に対応する。積分画像の再構成に関する再構成条件としては既知の手法が適用可能であるため、積分画像の再構成に関する再構成条件の説明は省略する。
【0068】
図2は、カウントモードに関するスキャン条件により生成された積分画像(カウントモード画像とも称される)CMIの一例を示す図である。図2示すように、積分画像CMIは、従来の積分型のCTスキャンにより再構成されたCT画像に相当する画像となる。このとき、スキャン条件におけるピーク管電圧(kVp)は、従来の積分型のCTスキャンにおけるピーク管電圧と同様に設定される。
【0069】
図3は、物質弁別モードに関するスキャン条件により生成された物質弁別画像SDIの一例を示す図である。図3示す物質弁別画像SDIでは、ヨウ素IodとカルシウムCaとが異なる色相(図3では異なるハッチング)で、ディスプレイ42に表示される。2つ物質の弁別を行う場合、スキャン条件では、2以上のビン数が必要となる。また、ヨウ素を重視する場合、ピーク管電圧(kVp)は、従来の積分型のCTスキャンにおけるピーク管電圧により低い低ピーク管電圧が推奨される。
【0070】
以上のように構成された本実施形態に係るPCCT装置1により実現されるスキャン条件設定処理について、図4を用いて説明する。図4は、スキャン条件設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図4に示すスキャン条件設定処理では、説明の便宜上、撮像プロトコルの生成まで含めて記載している。
【0071】
(スキャン条件設定処理)
(ステップS401)
処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、画像化モードの指定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。入力インターフェース43を介した操作者の指示により、画像化モードの種別が指定(選択)される。指定された画像化モードの種別は、メモリ41に記憶される。
【0072】
(ステップS402)
処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、スキャン対象部位の指定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。入力インターフェース43を介した操作者の指示により、スキャン対象部位が指定(選択)される。指定されたスキャン対象部位は、メモリ41に記憶される。
【0073】
(ステップS403)
処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、造影剤の有無および造影剤の種類の指定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。入力インターフェース43を介した操作者の指示により、造影剤の有無が指定(選択)される。指定された造影剤の有無は、メモリ41に記憶される。造影剤有りの場合、入力インターフェース43を介した操作者の指示により、造影剤の種類が指定(選択)される。このとき、指定された造影剤の種類(造影剤に含まれる物質名)は、メモリ41に記憶される。
【0074】
(ステップS404)
処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、画像化モードの種別と、スキャン対象部位と、造影剤の有無および種類と、対応表とを照合して、スキャン条件を設定する。例えば、画像化モードが物質弁別モードである場合、スキャン条件設定機能445は、管電圧、管電流、複数のエネルギービンの総数、複数のエネルギー各々のエネルギー範囲などを有する弁別スキャン条件を、スキャン条件として設定する。エネルギー範囲およびビンの総数は、スキャン対象部位および造影剤の種類に応じて設定されることとなる。例えば、スキャン対象部位が骨である場合、画像化に関するエネルギービンは、高めのエネルギーに設定される。また、スキャン対象部位が脳の白質および/または脳の灰白質である場合、画像化に関するエネルギービンは、低めのエネルギーに設定される。
【0075】
例えば、造影剤の種類がガドリニウムまたは金を含む造影剤である場合、それぞれの元素に応じたkエッジ画像の生成に最適なように、エネルギー範囲およびビンの総数が設定される。例えば、ガドリニウムに有する造影剤が選択された場合、ガドリニウムのkエッジのエネルギーを基準とした高エネルギー側と低エネルギー側とにそれぞれエネルギービンが設定される。kエッジのエネルギーは、特性X線のエネルギーに対応するものである。また、造影剤の種類がヨウ素を含む造影剤である場合、例えば、ヨウ素を基準物質とする基準物質画像の生成に最適なように、エネルギー範囲およびビンの総数が設定される。また、画像化モードがカウントモードである場合、スキャン条件設定機能445は、管電圧、管電流などを有するカウントスキャン条件を、スキャン条件として設定する。以上により、スキャン条件設定機能445は、撮像プロトコルに含まれる複数のスキャンにそれぞれ対応する複数のスキャン条件を設定する。なお、スキャン条件設定機能445は、スキャン対象部位と物質名とに基づいてスキャン条件における管電圧を設定してもよい。また、スキャン条件設定機能445は、仮想単色X線画像に関するエネルギーに応じて管電圧を設定してもよい。また、スキャン条件設定機能445は、再構成処理機能443により再構成される医用画像におけるノイズ量の所望に応じて、ビン数および/または管電圧を設定してもよい。
【0076】
(ステップS405)
処理回路44は、プロトコル生成機能446により、スキャン条件を用いて撮像プロトコルを生成する。具体的には、プロトコル生成機能446は、撮像プロトコルの生成において、光子計数型CTスキャンにより取得されたデータに対する処理条件および再構成条件を設定する。
【0077】
例えば、プロトコル生成機能446は、複数のスキャン各々に関して、少なくとも一つの処理条件および再構成条件を設定する。処理条件および再構成条件の設定は、既知の手法が適宜利用可能であるため、説明は省略する。次いで、プロトコル生成機能446は、設定われたスキャン条件、処理条件および再構成条件を用いて、撮像プロトコルを生成する。このとき、プロトコル生成機能446は、スキャン条件を用いて、撮像プロトコルの編集画面を、ディスプレイ42に表示する。
【0078】
入力インターフェース43を介したユーザの指示により編集画面を用いた撮像プロトコルの編集が実行される。編集画面には、撮像プロトコルに含まれる複数のスキャンと、設定されたスキャン条件とが、編集対象のスキャンとともに表示される。撮像プロトコルの編集が完了すると、プロトコル生成機能446は、編集された撮像プロトコルを、スキャン条件とともにディスプレイ42に表示する。これらにより、撮像プロトコルの生成が実行される。また、生成される画像として仮想単色X線画像が指定された場合、スキャン条件設定機能445は、仮想単色X線として表示したいエネルギー範囲(KeV)に応じてピーク管電圧(kVp)を設定してもよい。
【0079】
(ステップS406)
入力インターフェース43を介した操作者の指示により、撮像プロトコルの決定が入力されると(ステップS406のYes)、スキャン条件設定処理は終了する。このとき、処理回路44は、プロトコル生成機能446により、決定された撮像プロトコルを、メモリ41に記憶させる。入力インターフェース43を介した操作者の指示により、撮像プロトコルの決定が入力されなければ(ステップS406のNo)、ステップS407の処理が実行される。
【0080】
スキャン条件設定処理の終了後、入力インターフェース43を介した操作者の指示により撮像プロトコルに含まれる複数のスキャンが、スキャン条件に従って実行される。その後、光子計数型スキャンの実行による取得された検出データに対して、前処理および再構成が、画像生成条件に従って実行される、これにより、複数のスキャンに応じた医用画像が生成される。
【0081】
(ステップS407)
処理回路44は、プロトコル生成機能446により、スキャン条件と撮像プロトコルとのうち少なくとも一つの編集に関する編集画面を、ディスプレイ42に表示する。入力インターフェース43を介した操作者の指示により、スキャン条件と撮像プロトコルとのうち少なくとも一つが編集される。このとき、プロトコル生成機能446は、編集された撮像プロトコルおよび/またはスキャン条件を、ディスプレイ42に表示する。本ステップにおける処理の後、ステップS406の処理が繰り返される。
【0082】
以上に述べた実施形態に係るPCCT装置1は、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定する。また、実施形態に係るPCCT装置1は、スキャン条件の設定に関連する複数の要素における項目を、所定の順で指定可能なように操作画面に表示し、操作画面を介して入力された要素における項目を用いて、スキャン条件を設定する。例えば、実施形態に係るPCCT装置1において、画像化モードは、例えば、光子のカウントモードと物質弁別モードとを有し、複数の要素は、例えば、画像化モードの種別と、光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位と、造影剤の有無と、造影剤の種別と、管電圧と、物質弁別モードにおける物質名と、のうち少なくとも2つである。
【0083】
また、実施形態に係るPCCT装置1は、画像化モード、スキャン対象部位、造影剤の有無および種類の順で、画像化モードの種別とスキャン対象部位と造影剤の有無および種類との指定に関する操作画面を表示し、画像化モードとして物質弁別モードが指定され、造影剤の有無および種類が指定されると、スキャン対象部位と造影剤の有無および種類とに応じて、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、操作画面に表示する。
【0084】
これらのことから、実施形態に係るPCCT装置1によれば、光子計数型CTスキャン特有のスキャンを行う場合、光子計数型CTスキャンに必要な情報を指定および/または選択することができる。また、実施形態に係るPCCT装置1によれば、画像化モードがカウントモードの場合、複数のエネルギービンを設定することがないため、光子計数型CTスキャン特有のスキャン条件の設定が不要となり、積分型の通常のCTスキャンに必要な撮影条件を、例えばスキャン対象部位等で設定することができる。これらにより、実施形態に係るPCCT装置1によれば、操作者が所望する光子計数型CTスキャンの目的に応じて、最適なスキャン条件を簡便に設定することができる。このため、実施形態に係るPCCT装置1によれば、最適なスキャン条件で操作者が所望する画像化を実行することができ、被検体Pに対する光子計数型CTスキャンの検査効率(検査のスループット)を向上させることができる。
【0085】
また、実施形態に係るPCCT装置1は、設定されたスキャン条件に対応する光子計数型CTスキャンを含む撮像プロトコルを生成する。このとき、実施形態に係るPCCT装置1において、撮像プロトコルは、光子計数型CTスキャンを含む複数のスキャンに対応する複数のスキャン条件を有する。また、実施形態に係るPCCT装置1は、撮像プロトコルの生成において、光子計数型CTスキャンにより取得されたデータに対する処理条件および再構成条件を設定する。例えば、実施形態に係るPCCT装置1は、複数のスキャンにそれぞれ対応する複数のスキャン条件を設定し、複数のスキャン各々に関して、少なくとも一つの処理条件および再構成条件を設定する。
【0086】
これらのことから、実施形態に係るPCCT装置1によれば、操作者が所望する光子計数型CTスキャンの目的に応じて、最適な撮像プロトコルを簡便に設定することができる。これにより、実施形態に係るPCCT装置1によれば、最適な撮像プロトコルで操作者が所望する画像化を実行することができ、被検体Pに対する光子計数型CTスキャンの検査効率(検査のスループット)を向上させることができる。
【0087】
(第1変形例)
第1変形例は、スキャン条件設定処理において、スキャン対象部位、画像化モード、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、これらにおける項目を指定することにある。すなわち、第1変形例におけるスキャン条件設定処理では、まず、図4のステップS402の処理が実行され、次いでステップS401の処理が実行され、続いてステップS403の処理の代わりに、画像化対象の物質名の指定の入力が実行されることとなる。なお、ステップS403の処理は、ステップS404以前であれば、任意の段階で実行可能である。
【0088】
上記手順により、ディスプレイ42は、スキャン対象部位、画像化モード、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、スキャン対象部位と画像化モードと画像化対象の物質名との指定に関する操作画面を表示する。物質名が指定されると、スキャン対象部位と物質名とに応じて、スキャン条件設定機能445は、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを設定する。このとき、ディスプレイ42は、設定された複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、操作画面に表示する。
【0089】
本変形例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本変形例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0090】
(第2変形例)
第2変形例は、スキャン条件設定処理において、スキャン対象部位、管電圧、画像化モード、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、これらにおける項目を指定することにある。すなわち、第2変形例におけるスキャン条件設定処理では、まず、図4のステップS402の処理が実行され、次いで、管電圧(例えば、ピーク管電圧(kVp))の指定が入力され、続いてステップS401の処理が実行され、続けて、画像化対象の物質名の指定の入力が実行されることとなる。なお、ステップS403の処理は、ステップS404以前であれば、任意の段階で実行可能である。
【0091】
上記手順により、ディスプレイ42は、スキャン対象部位、管電圧、画像化モード、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、スキャン対象部位と管電圧と画像化モードと画像化対象の物質名との指定に関する操作画面を表示する。物質名が指定されると、スキャン対象部位と管電圧と物質名とに応じて、スキャン条件設定機能445は、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを設定する。このとき、ディスプレイ42は、設定された複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、操作画面に表示する。
【0092】
本変形例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本変形例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0093】
(第3変形例)
第3変形例は、スキャン条件設定処理において、画像化モード、スキャン対象部位、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、これらにおける項目を指定することにある。すなわち、第3変形例におけるスキャン条件設定処理では、まず、図4のステップS401およびS402の処理が実行され、次いで、画像化対象の物質名の指定の入力が実行されることとなる。なお、ステップS403の処理は、ステップS404以前であれば、任意の段階で実行可能である。
【0094】
上記手順により、ディスプレイ42は、画像化モード、スキャン対象部位、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、画像化モードとスキャン対象部位と画像化対象の物質名との指定に関する操作画面を表示する。物質名が指定されると、スキャン対象部位と物質名とに応じて、スキャン条件設定機能445は、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを設定する。このとき、ディスプレイ42は、設定された複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、操作画面に表示する。
【0095】
本変形例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本変形例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0096】
(第4変形例)
第4変形例は、スキャン条件設定処理において、画像化モード、スキャン対象部位、管電圧、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、これらにおける項目を指定することにある。すなわち、第4変形例におけるスキャン条件設定処理では、まず、図4のステップS401およびS402の処理が実行され、次いで、管電圧(例えば、ピーク管電圧(kVp))の指定が入力され、続けて、画像化対象の物質名の指定の入力が実行されることとなる。なお、ステップS403の処理は、ステップS404以前であれば、任意の段階で実行可能である。
【0097】
上記手順により、ディスプレイ42は、画像化モード、スキャン対象部位、管電圧、画像化モードとして物質弁別モードが指定された場合は画像化対象の物質名の順で、画像化モードと管電圧とスキャン対象部位と画像化対象の物質名との指定に関する操作画面を表示する。物質名が指定されると、スキャン対象部位と管電圧と物質名とに応じて、スキャン条件設定機能445は、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを設定する。このとき、ディスプレイ42は、設定された複数のエネルギー範囲の個数とエネルギー範囲におけるエネルギーの幅とを、操作画面に表示する。
【0098】
本変形例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本変形例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0099】
(第1応用例)
本応用例は、光子計数型CTスキャンによる被検体Pの検査目的に応じてスキャン条件を設定することにある。このとき、設定されたスキャン条件は、ディスプレイ42に表示される。検査目的は、例えば、被検体Pに関する疾病名である。
【0100】
処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、光子計数型CTスキャンによる被検体Pの検査目的(臨床目的とも称されてもよい)に応じて、光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定する。以下、説明を具体的にするために、被検体Pに対する検査目的は、脳梗塞であるものとする。脳梗塞や心筋梗塞の場合、例えば、造影剤の使用が設定される。なお、検査目的が心筋梗塞の場合、物質弁別モードにおける物質名として、カルシウムの弁別に関するスキャン条件(ビン数、エネルギービン)がプリセットされる。また、検査目的が腎臓等の結石である場合、カルシウム系および/または非カルシウム系(マグネシウムなど)に対応するスキャン条件(ビン数、エネルギービン)がプリセットされる。
【0101】
PCCT装置1は、不図示の通信インターフェースを介して、例えば、放射線科情報システム(以下、RIS(Radiology Information Systems)と呼ぶ)から被検体Pの検査オーダを受信する。処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、検査オーダにおける検査目的を特定する。検査目的が脳梗塞である場合、スキャン条件設定機能445は、スキャン対象部位として頭部を選択する。
【0102】
また、処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、管電圧として、所定の管電圧を設定する。所定の管電圧は、予め、スキャン対象部位と疾病名とにより対応付けられている。当該対応付けは、例えば、スキャン対象部位と疾病名とに対する管電圧、造影剤の有無、および造影剤の種類の対応表として、メモリ41に記憶される。スキャン条件設定機能445は、検査目的を当該対応表と照合することで、例えば、ヨード系の造影剤を設定する。また、スキャン条件設定機能445は、頭部、ヨード系の造影剤あり、および所定の管電圧を、実施形態に記載のLUTと照合することで、スキャン条件を設定する。
【0103】
処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、設定されたスキャン条件を、ディスプレイ42に表示させる。ディスプレイ42に表示されたスキャン条件において、入力インターフェース43を介した操作者の指示により造影剤に含まれる物質名が変更されると、スキャン条件設定機能445は、変更された物質名に応じてスキャン条件を変更する。
【0104】
例えば、ディスプレイ42に表示されたスキャン条件において、ヨード系の造影剤からガドリニウム系の造影剤に、造影剤の指定が変更されると、スキャン条件設定機能445は、ガドリニウムに応じたスキャン条件の変更案を設定し、設定された変更案、すなわち変更されたスキャン条件を、ディスプレイ42に表示させる。このとき、変更案には、ガドリニウムに応じたビン数およびエネルギービンの幅に加えて、管電流なども変更されてもよい。
【0105】
また、変更されたスキャン条件のディスプレイ42への表示は、設定されたスキャン条件からの変更部分であってもよい。このとき、入力インターフェース43を介した操作者の指示により、変更部分の確認の指示(決定指示ともいう)が入力されると、スキャン条件設定機能445は、変更案に対応するスキャン条件をディスプレイ42に表示させる。
【0106】
また、操作者によるスキャン条件の決定指示に応答して、スキャン条件設定機能445は、決定指示に対応するスキャン条件におけるスキャン対象部位と造影剤と管電圧と物質名と画像化モードと検査目的とに基づいて、他の撮像プロトコルとは異なる名称の撮像プロトコル名を設定する。これにより、スキャン条件設定機能445は、決定指示に対応するスキャン条件と撮像プロトコル名とを対応付けてメモリ41に記憶させる。このとき、当該スキャン条件は、撮像プロトコル名とスキャン条件とを対応付けてLUTに組み込んでもよい。
【0107】
本応用例におけるスキャン条件設定処理では、図4のステップS401乃至S404の代わりに、検査目的に応じて、スキャン条件が設定されることとなる。また、ステップS406の処理では、決定された撮像プロトコルに応じて撮像プロトコル名を設定することとなる。本応用例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本応用例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0108】
(第2応用例)
本応用例は、撮像プロトコルの生成時において、スキャン条件の設定を行うことにある。本応用例におけるスキャン条件設定処理では、図4のステップS401乃至S404の代わりに、検査オーダに基づいてスキャン条件が設定されることとなる。
【0109】
例えば、撮像プロトコルの編集時において、処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、RISから出力された検査オーダに基づいて複数の所定のスキャン条件を選択し、選択されたスキャン条件に対する操作者の修正により、光子計数型CTスキャンにおいて実行されるスキャン条件を設定する。すなわち、スキャン条件設定機能445は、被検体Pに対するスキャンの実行の直前において、例えばRISから出力された被検体Pの検査オーダに基づく操作者の指示(検査オーダを見ながらのユーザ入力)により、プリセットされた複数のスキャン条件から、被検体Pに対するスキャンで用いられるスキャン条件を選択する。
【0110】
処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、選択されたスキャン条件に対するユーザの修正により、スキャン条件を決定する。処理回路44は、プロトコル生成機能446により、設定されたスキャン条件に対応する光子計数型CTスキャンを含む撮像プロトコルを生成する。
【0111】
スキャン条件設定処理の実行に先立って、複数の所定のスキャン条件は、ユーザ(例えば、放射線技師、サービスマンなど)により設定されて、メモリ41に記憶される。例えば、処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、複数の検査目的に応じた操作者の入力に基づいて、複数の所定のスキャン条件をそれぞれ設定する。設定された複数の所定のスキャン条件は、メモリ41に記憶される。なお、所定のスキャン条件の更なる設定は、適宜ユーザにより追加的に実行されてもよい。
【0112】
スキャン条件設定処理の実行に先立って、処理回路44は、プロトコル生成機能446により、設定された所定のスキャン条件を用いて、光子計数型CTスキャンを含む所定の撮像プロトコルを、必要に応じて生成(プリセット)する。ユーザによるプリセットの撮像プロトコルの生成は、例えば、撮像プロトコルの編集と同様な操作画面(ユーザインターフェース)により実行される。生成された所定の撮像プロトコルは、スキャン条件設定処理に用いるために、メモリ41に記憶される。所定の撮像プロトコルは、例えば、被検体Pに対する撮像プロトコルの設定において、適宜用いられる。なお、所定のスキャン条件の更なる設定は、適宜ユーザにより追加的に実行されてもよい。
【0113】
本応用例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本応用例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0114】
(第3応用例)
本応用例は、撮像プロトコルの生成中において別の再構成条件が追加された場合、プロトコル生成機能446により、設定されたスキャン条件と設定された再構成条件とを調整することで、別の再構成条件により再構成される医用画像の生成の可否を判定することにある。以下、説明を具体的にするために、生成中における撮像プロトコルは、脳梗塞を検査目的とするスキャン条件を有するものとする。このとき、スキャン対象部位は、頭部に設定される。
【0115】
図4に示すステップS407などの撮像プロトコルの生成中において、入力インターフェース43を介した操作者の指示により、頭部に関して別の画像生成条件が追加される。追加された画像生成条件は、例えば、特定の物質(脳の白質と脳の灰白質)を弁別する(見分ける)ための医用画像(物質弁別画像)の生成条件だったとする。このとき、処理回路44は、プロトコル生成機能446により、当該別の画像生成条件により生成される医用画像が、既に設定された1回のスキャンに関して、スキャン条件(例えば、複数のエネルギービンの分け方(切り方)、および/または複数のエネルギービンにおいて取得されたデータの重み付けなど)と再構成条件の調整とにより、当該医用画像が生成可能か、あるいは2回のスキャンを要するかを判定する。
【0116】
プロトコル生成機能446による判定の基準は、例えば、脳梗塞(主に血管を造影剤で可視化)を強調可能な複数のエネルギービンの分け方および/またはエネルギービンの範囲などのエネルギービンの設定と、他の上記特定の物質を強調可能なエネルギービンの設定とが共存できるかどうかである。プロトコル生成機能446は、当該基準と照らし合わせて、例えば、当該2つの物質を強調するためにはビン数が不足することなどの事情があれば、1スキャンでは当該医用画像の生成は実現不可能であると判定する。
【0117】
当該医用画像の生成が可能であると判定された場合(以下、生成可能判定と呼ぶ)、処理回路44は、プロトコル生成機能446により、設定されたスキャン条件と設定された再構成条件とを調整して、撮像プロトコルを生成する。また、プロトコル生成機能446は、別の再構成条件に関する別の画像が共存できるという生成可能判定を契機として、別の再構成条件に関する撮像プロトコルと、調整前のスキャン条件と調整前の再構成条件とを有する撮像プロトコルとを、可能であれば、統合(合体)してもよい。すなわち、生成可能判定に応答して、プロトコル生成機能446は、設定されたスキャン条件と設定された再構成条件とを有する撮像プロトコルと、別の再構成条件を有する撮像プロトコルと統合する。
【0118】
本応用例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本応用例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0119】
(第4応用例)
本応用例は、撮像プロトコルの新規作成において、第3応用例を適用することにある。例えば、スキャン条件の設定および撮像プロトコルの設定において、1つのスキャン対象部位に対して複数の物質を指定できるようにしておき、当該複数の物質の同時検出が可能か否かの判定に応じて、撮像プロトコルにおいて光子計数型CTスキャンを1スキャンとするか否かを判定する。
【0120】
スキャン条件の設定において、画像化モードとして物質弁別モードが設定された場合、処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、光子計数型CTスキャンにおける1つのスキャン対象部位に対して複数の物質名を指定可能に設定する。すなわち、スキャン条件設定機能445は、物質弁別モードの設定後、複数の物質名を指定可能な操作画面をディスプレイ42に表示させる。複数の物質名の入力は、操作画面において、入力インターフェース43を介した操作者の指示により実行される。スキャン条件設定機能445により実現される上記処理は、例えば、図4のステップS402の後に実行される。
【0121】
処理回路44は、プロトコル生成機能446により、設定されたスキャン条件と設定された再構成条件とを調整することで、複数の物質名に対応する複数の物質が同時に検出可能であるか否かを判定する。すなわち、プロトコル生成機能446は、スキャン条件と再構成条件との調整により、指定された複数の物質に関する医用画像が生成可能な否かを判定する。複数の物質が検出可能であると判定された場合、プロトコル生成機能446は、設定されたスキャン条件と設定された再構成条件とを調整して、一つのスキャンに関する撮像プロトコルを生成する。プロトコル生成機能446により実現される上記処理は、例えば、図4のステップS405において実行される。
【0122】
本応用例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りであって、本応用例における効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0123】
(第5応用例)
本応用例は、画像化モードとして光子のカウントモードが指定された場合の操作画面に関するものである。本応用例に係るスキャン条件設定処理におけるステップS401において、画像化モードとして光子のカウントモードが、入力インターフェース43を介したユーザの指示により指定される。このとき、ステップS402において、処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、造影剤の有無および/または光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位の設定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。
【0124】
続いて、ステップS403において、処理回路44は、スキャン条件設定機能445により、造影剤の有無および/または光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位に応じて、管電圧(管電圧の電圧値またはピーク管電圧(kVp(キロボルトピーク))と、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と、エネルギー範囲におけるエネルギーの幅との指定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示させる。以降の処理は、実施形態と同様なため、説明は省略する。本応用例におけるスキャン条件設定処理の手順は上記説明した通りである。
【0125】
本応用例に係るPCCT装置1は、画像化モードとして光子のカウントモードが指定された場合、造影剤の有無および/または光子計数型CTスキャンにおけるスキャン対象部位に応じて、管電圧と、光子計数型CTスキャンにおいて光子のエネルギー弁別に関する複数のエネルギー範囲の個数と、エネルギー範囲におけるエネルギーの幅との指定に関する操作画面を、ディスプレイ42に表示する。これにより、本応用例に係るPCCT装置1によれば、造影剤や撮像対象の部位に応じて、注目するエネルギー帯(エネルギービン)を細かく収集することができ、後処理において当該エネルギー帯(エネルギービン)の計数(カウント)の重みを変更することができる。このため、本応用例に係るPCCT装置1によれば、従来のCT画像に近いが、操作者が注目する物質および/または部位の視認性を向上させること、例えばコントラストを向上させえることができる。本応用例における他の効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0126】
実施形態における技術的思想を光子計数型CTスキャン条件設定方法で実現する場合、光子計数型CTスキャン条件設定方法は、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定する。光子計数型CTスキャン条件設定方法により実行されるスキャン条件設定処理の手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0127】
実施形態における技術的思想を光子計数型CTスキャン条件設定装置で実現する場合、光子計数型CTスキャン条件設定装置は、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定するスキャン条件設定部を備える。光子計数型CTスキャン条件設定装置は、例えば、各種サーバ、RIS端末、および/またはコンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末などにより実現される。光子計数型CTスキャン条件設定装置により実行されるスキャン条件設定処理の手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0128】
本実施形態における技術的思想を光子計数型CTスキャン条件設定プログラムで実現する場合、光子計数型CTスキャン条件設定プログラムは、コンピュータに、光子計数型CTスキャンに関する画像化モードに基づいて、前記光子計数型CTスキャンにおいて必要なスキャン条件を設定することを実現させる。光子計数型CTスキャン条件設定プログラムは、例えば、コンピュータが読取可能な不揮発性記憶媒体に記憶される。
【0129】
例えば、医用データ処理に関する各種サーバ装置(処理装置)に光子計数型CTスキャン条件設定プログラムを不揮発性記憶媒体からインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても、スキャン条件設定処理を実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。光子計数型CTスキャン条件設定プログラムにおける処理手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0130】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、PCCT装置1を用いたCT検査において、最適な撮影条件の設定を提供することができる。
【0131】
いくつかの実施形態を参照して本開示を説明したが、これらの実施形態は、本開示の原理と用途の例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0132】
1 PCCT装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 DAS(Data Acquisition System)18
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 支持フレーム
40 コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
441 システム制御機能
442 前処理機能
443 再構成処理機能
444 画像処理機能
445 スキャン条件設定機能
446 プロトコル生成機能
図1
図2
図3
図4