(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080931
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】成膜装置および成膜方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240610BHJP
H01L 21/363 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
C23C14/34 T
C23C14/34 U
H01L21/363
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194298
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岸田 茂明
【テーマコード(参考)】
4K029
5F103
【Fターム(参考)】
4K029BA50
4K029BD01
4K029CA06
4K029DA03
4K029DC09
4K029DC27
4K029DC35
4K029EA03
5F103AA08
5F103BB22
5F103BB51
5F103BB56
5F103DD30
5F103GG03
5F103LL13
5F103NN06
(57)【要約】
【課題】膜密度と成膜速度とを適切に管理する。
【解決手段】真空容器(20)と、供給される高周波電力によりプラズマ(P)を発生させるアンテナ(50)と、電圧が印加されプラズマによりスパッタリングされるターゲット(T)と、真空容器内にスパッタリングガスとして反応性ガスを導入するガス導入部(90)と、ターゲットに流れる電流を計測する電流モニタ(12)と、ターゲットに流れる電流の計測値に基づき、アンテナに供給する高周波電力を調整する制御部(70)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
供給される高周波電力によりプラズマを発生させるアンテナと、
電圧が印加され、前記プラズマによりスパッタリングされるターゲットと、
前記真空容器内にスパッタリングガスとして反応性ガスを導入するガス導入部と、
前記ターゲットに流れる電流を計測する電流モニタと、
前記ターゲットに流れる電流の計測値に基づき、前記アンテナに供給する前記高周波電力を調整する制御部と、を備える、成膜装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電流の制御目標値を所定値に制御する、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電流の制御目標値と、成膜速度との関係を記憶している、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記スパッタリングガスにおける前記反応性ガスの分圧を、成膜速度で除した値が0.001[Pa・min/nm]以上である、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記スパッタリングガスにおける前記反応性ガスの分圧を、成膜速度で除した値が0.0015[Pa・min/nm]以上である、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記反応性ガスが酸素である、請求項1から5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記ターゲットは、In、Ga、およびZnを含む、請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記反応性ガスが窒素である、請求項1から5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記反応性ガスが有機ガスである、請求項1から5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項10】
不活性ガスと反応性ガスとの混合ガスを真空容器に導入するステップと、
前記真空容器内に配置したアンテナに高周波電力を供給してプラズマを発生させ、当該プラズマを用いてターゲットをスパッタリングするステップと、
前記ターゲットに流れる電流を計測するステップと、
前記電流の計測値に基づき、前記高周波電力を調整するステップと、を含む成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体層をチャネル層に用いた薄膜トランジスタがある。このような薄膜トランジスタの製造工程においては、酸素を反応性ガスとして導入することで酸化物半導体層を形成する。当該酸化物半導体層中における酸素の割合によって変化する膜密度に応じて、半導体層における電気伝導度が変化し、膜密度が小さすぎると半導体層としての十分な電気的特性が得られないことが知られている。しかしながら、膜密度を担保すると成膜速度を上げることが困難である。
【0003】
ここで、反応性ガスを用いた反応性スパッタの一例として、特許文献1が挙げられる。特許文献1には、ガスの導入量を調整することによって、膜密度と成膜速度とを両立する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術はガスの導入量を用いて成膜速度を調整するために、バルブの応答性およびガスの拡散速度に依存してしまう。そのために、十分な応答性が得られず、適切な膜密度と成膜速度とを両立することが困難である。
【0006】
本発明の一態様は、膜密度と成膜速度とを適切に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る成膜装置は、真空容器と、供給される高周波電力によりプラズマを発生させるアンテナと、電圧が印加され、前記プラズマによりスパッタリングされるターゲットと、前記真空容器内にスパッタリングガスとして反応性ガスを導入するガス導入部と、前記ターゲットに流れる電流を計測する電流モニタと、前記ターゲットに流れる電流の計測値に基づき、前記アンテナに供給する前記高周波電力を調整する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、膜密度と成膜速度とを適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】スパッタリングガスにおける反応性ガスの割合と、膜密度[g/cm
3]との関係を示す図である。
【
図3】スパッタリングガスにおける反応性ガスの割合と、成膜速度[nm/min]との関係を示す図である。
【
図4】成膜速度[nm/min]と膜密度[g/cm
3]との関係を示す図である。
【
図5】ターゲットバイアス電圧[V]と成膜速度との関係を示した図である。
【
図6】ターゲットバイアス電圧と膜密度との関係を示した図である。
【
図7】成膜装置の要部の構成を示すブロック図である。
【
図8】高周波電力とターゲット電流との関係を示した図である。
【
図9】ターゲット電流と成膜速度との関係を示した図である。
【
図10】酸素の分圧を成膜速度で除した値[Pa・min/nm]と、膜密度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
(成膜装置100の構造)
図1は、成膜装置100の要部の構成を示す図である。成膜装置100は、真空容器20と、基板保持部30と、ターゲット保持部40と、アンテナ50と、高周波電源60と、ターゲットバイアス電源11と、電流モニタ12と、ガス導入部90と、制御部70と、を備える。
【0012】
真空容器20は、内部が真空にされたチャンバーである。真空容器20は、接地されている。
【0013】
基板保持部30は、真空容器20内において基板2を保持する。基板2は、一枚であっても、複数枚であってもよい。
【0014】
ターゲット保持部40は、真空容器20内において基板2と対向してターゲットTを保持する。ターゲット保持部40とターゲットTとは導通しており、ターゲットバイアス電源11によって、ターゲットTはターゲットバイアス電圧が印加される。ターゲットバイアス電圧は負の電圧であってもよい。また、ターゲットTに流れた電流を電流モニタ12によって計測し、ターゲット電流として制御部70に出力する。
【0015】
アンテナ50は、高周波電源60によって高周波電力を供給されて、真空容器20内のスパッタリングガスをプラズマPにする。当該プラズマPによって、ターゲットTをスパッタリングし、基板2を成膜する。
【0016】
ガス導入部90は、真空容器20内に、不活性ガスと反応性ガスとを混合したスパッタリングガスを導入する。スパッタリングされたターゲットTは、基板2を成膜する際に、反応性ガスと反応する。その結果、成膜された膜は、反応性ガスの少なくとも一部の原子と、ターゲットTの少なくとも一部の原子と、を含む。
【0017】
例えば、不活性ガスとしては、アルゴンが挙げられ、反応性ガスとしては、酸素、窒素、およびメタン・アセチレン・ベンゼンなどの有機ガスが挙げられる。ターゲットTとしては、In、Ga、およびZnを含み焼結したものである。
【0018】
制御部70は、成膜装置100の各部を統括的に制御する。具体的には、制御部70は、ターゲットバイアス電源11の電圧を設定し、電流モニタ12で計測したターゲット電流に基づき、高周波電源60の高周波電力を設定する。なお、制御部70の詳細は後述する。
【0019】
(反応性ガスの分圧による傾向)
図2は、スパッタリングガスにおける反応性ガスの割合(圧力比)と、膜密度[g/cm
3]との関係を示す図である。
図2においては、不活性ガスとしてはアルゴンを用い、反応性ガスとしては酸素を用いたものを示す。なお、以降の図においても、不活性ガスにはアルゴンを用い、反応性ガスには酸素を用いるものとする。
【0020】
図2に示すように、酸素の割合が増えることによって、膜密度は大きくなることがわかる。これは、スパッタリングガスにおける酸素濃度の比率が大きくなることで、酸化物が形成されやすくなるためである。なお、ターゲットにおけるIn、Ga、およびZnのモル比は1対1対1である。
【0021】
図3は、スパッタリングガスにおける反応性ガスの割合と、成膜速度[nm/min]との関係を示す図である。
図3に示すように、酸素の割合が増えることによって、成膜速度は遅くなる。これは、スパッタリングガスにおけるアルゴンの割合が低下し、ターゲットTをスパッタリングし辛くなるためである。
【0022】
したがって、スパッタリングガスにおける酸素の割合によって、膜密度と成膜速度はトレードオフの関係があるといえる。これを表す図が
図4である。
【0023】
(ターゲットバイアス電圧による傾向)
図2~4は、ターゲットバイアス電圧が一定の条件のもと、スパッタリングガスにおける酸素の割合を調整した結果であった。対して、
図5および6は、スパッタリングガスにおける酸素の割合を一定にした条件のもとで、ターゲットバイアス電圧を変化させたものである。
【0024】
図5は、ターゲットバイアス電圧[V]と成膜速度との関係を示した図である。
図6は、ターゲットバイアス電圧と膜密度との関係を示した図である。
【0025】
図5に示すように、ターゲットバイアス電圧の絶対値を大きくすることによって、成膜速度は向上する。これは、大きなエネルギーを持ったアルゴンがターゲットTに衝突することになり、多くのスパッタ粒子がターゲットTより真空中に飛び出すためである。
【0026】
図6に示すように、ターゲットバイアス電圧の絶対値を大きくすることによって、膜密度は低下する。これは、ターゲットバイアス電圧の絶対値を大きくすることによって、大きいエネルギーを持ったアルゴンによってターゲットTがスパッタされるので、スパッタ粒子のエネルギーが大きくなり、基板2上で結合するよりも切断する効果が強くなっているためと考えられる。
【0027】
したがって、ターゲットバイアス電圧に対しても、膜密度と成膜速度はトレードオフの関係があることがわかる。
【0028】
(制御部70について)
ここで、制御部70の詳細に関して示す。
図7は、成膜装置100の要部の構成を示すブロック図である。制御部70は、取得部71と、演算部72と、記憶部73と、入力部74と、を備える。
【0029】
取得部71は、電流モニタ12より、ターゲット電流を取得し、演算部72に出力する。記憶部73は、後述するターゲット電流と成膜速度との関係を記憶する。入力部74は、ユーザ入力装置によって、ユーザの所望の成膜速度を演算部72に出力する。
【0030】
演算部72は、取得したターゲット電流に基づき、アンテナ50に供給する高周波電力を決定し、当該高周波電力の設定値を高周波電源60に出力する。なお、ターゲット電流は、入力部74で取得した所望の成膜速度に対応した値とする。
【0031】
(ターゲット電流による傾向)
図8は、高周波電力とターゲット電流との関係を示した図である。なお、スパッタリングガスにおける酸素の割合を2.5%にした際に高周波電力を変化させたグラフ(実線)と、高周波電力を20kWで一定にしたうえでスパッタリングガスにおける酸素の割合を変化させたグラフの2つが合わせてプロットされている。
【0032】
図8に示すように、スパッタリングガスにおける酸素の割合を一定にした条件において、高周波電力とターゲット電流との間には、ほぼ線形な正の相関関係があることがわかる。また、スパッタリングガスにおける酸素の割合を変化させることで、当該相関関係における切片が変化することがわかる。そのため、高周波電力を調整することによって、ターゲット電流を調整することができる。
【0033】
図9は、ターゲット電流と成膜速度との関係を示した図である。なお、スパッタリングガスにおける酸素の割合を2.5%にした際に高周波電力を変化させたグラフ(実線)と、高周波電力を20kWで一定にしたうえでスパッタリングガスにおける酸素の割合を変化させたグラフ(破線)の2つが合わせてプロットされている。また、ターゲット電流を調整するために、
図8の関係から高周波電力を調整している。
【0034】
図9に示すように、スパッタリングガスにおける酸素の割合を一定にした条件において、ターゲット電流と成膜速度との間には、ほぼ線形な正の相関関係があることがわかる。また、スパッタリングガスにおける酸素の割合を変化させることで、当該相関関係における切片が変化することがわかる。そのため、ターゲット電流を調整することによって、成膜速度を調整することができることがわかる。
【0035】
したがって、高周波電力を調整することで、ターゲット電流を調整し、その結果、成膜速度を制御できることがわかる。この関係にはトレードオフの関係がないため、上述した2つの傾向と異なり、複数の条件を同時に満たし易い特徴がある。
【0036】
したがって、入力部74によって、ユーザの所望の成膜速度を取得し、当該成膜速度に対応したターゲット電流の制御目標値を記憶部73によって導出する。その後、演算部72は、取得部71によって取得したターゲット電流の計測値を、ターゲット電流の制御目標値となるように、演算を行い、高周波電源60を介してアンテナ50に供給する高周波電力を調整する。
【0037】
(成膜に伴う状態変化)
成膜を行っていると、真空容器20およびアンテナ50などに膜が付着することがある。また、スパッタリングガスの微小変動等が起こる。成膜速度を一定に保つために高周波電力を一定に制御していても、これらの影響によりプラズマ密度は経時的または瞬間的に変動し、成膜速度が変動する。それに伴い、ターゲット電流も変動する。
【0038】
そこで、制御部70は、電流モニタ12によって計測したターゲット電流の制御目標値を一定の値(所定値)に保つように、高周波電力を調整する。これにより、プラズマ密度が変動している状況下においても、成膜速度を一定に保つことができるようになる。
【0039】
(変形例)
なお、ここではIn、Ga、およびZnを含む酸化物半導体の成膜装置について説明したが、これに限らない。ターゲットは他の金属を含み、成膜装置は他の酸化物半導体または金属酸化物を成膜してもよい。また、反応性ガスとして、窒素またはメタン・アセチレン・ベンゼンなどの有機ガスを用いてもよい。これにより、成膜装置は、金属窒化物または金属炭化物を成膜することができる。他の金属としては、Al、Cu、Si、Nb、Ti、およびSnなどが挙げられる。
【0040】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0041】
図10は、酸素の分圧を成膜速度で除した値[Pa・min/nm]と、膜密度との関係を示す図である。
【0042】
In、Ga、およびZnを含む酸化物は、成膜された膜が十分な半導体特性を示すためには、膜密度が6.2[g/cm
3]以上必要である。実施形態1で述べたように酸素の割合と成膜速度との関係にはトレードオフの関係がある。そのため、この関係と膜密度との関係を、酸素の分圧を成膜速度で除した値(以降、成膜係数と呼称する)で整理したものが
図10である。なお、DRは、Deposition Rate(成膜速度)の略である。
【0043】
成膜係数が0.001より大きくかつ膜密度が6.2以上の状態から、酸素の割合を減らすこと、または高周波電力を増やすこと、によって成膜速度を増すと、成膜係数が低下し、成膜速度に対して十分な酸素が供給されなくなり、膜密度が低下する。この状態を表すものが、
図10における符号101のグラフである。この状態としては、例えば酸素の割合は0.5~2.5%であり、スパッタリングガスの圧力が1~5Paであり、高周波電力が10~30kWになる。
【0044】
ここで、
図10に示すように、成膜係数は0.001以上が好ましく、特に0.0015以上が好ましい。特に0.0015以上が好ましい理由は、成膜速度に対して既に十分な酸素が供給されており、飽和しているためである。
【0045】
原価を抑えるためにスパッタリングガスの消費を抑えた際(酸素の割合が2.5%であり、スパッタリングガスの圧力が1Paの場合)において、成膜すると、高周波電力が15~30kWと高出力になる。この条件では、
図10における符号102のグラフになる。この場合、成膜係数が小さい場合であっても、十分な膜密度を得ることができる。これは、スパッタリングガスの圧力が低いために、プラズマPが他の粒子に衝突してエネルギーを消失することなく、ターゲットTおよび基板2に到達することができるために、反応が促進されて高密度になる条件があるためだと推測できる。
【0046】
ただしこの場合は、圧力が低いために、電子と粒子が衝突し難くなるため、電離が継続され辛い。そのために、プラズマ状態を維持することが難しく、プラズマが不安定で安定した成膜が困難な状態にある。したがって、高品質な成膜を容易に維持するために、成膜係数を0.001以上とすることが好ましい。
【0047】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る成膜装置は、真空容器と、供給される高周波電力によりプラズマを発生させるアンテナと、電圧が印加され、前記プラズマによりスパッタリングされるターゲットと、前記真空容器内にスパッタリングガスとして反応性ガスを導入するガス導入部と、前記ターゲットに流れる電流を計測する電流モニタと、前記ターゲットに流れる電流の計測値に基づき、前記アンテナに供給する前記高周波電力を調整する制御部と、を備える。
【0048】
上記の構成によれば、成膜速度をターゲットに流れる電流を介して管理することができる。そのため、良質な膜を形成することができる。よって、膜密度と成膜速度とを適切に管理することができる。
【0049】
本発明の態様2に係る成膜装置は、上記態様1において、前記制御部は、前記電流の制御目標値を所定値に制御してもよい。
【0050】
上記の構成によれば、ターゲットに流れる電流を所定値に制御することによって、成膜速度を一定に保つことができる。
【0051】
本発明の態様3に係る成膜装置は、上記態様1または2において、前記制御部は、前記電流の制御目標値と、成膜速度との関係を記憶してもよい。
【0052】
上記の構成によれば、ターゲットに流れる電流の制御目標値と成膜速度との関係を記憶することができる。そのため、ユーザが所望の成膜速度を選択することによって、ターゲットに流れる電流の制御目標値が自動的に決定される。
【0053】
本発明の態様4に係る成膜装置は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記スパッタリングガスにおける前記反応性ガスの分圧を、成膜速度で除した値が0.001[Pa・min/nm]以上、特に0.0015[Pa・min/nm]以上であってよい。
【0054】
上記の構成によれば、良質な膜を形成することができる条件を限定することができる。そのため、条件決定を容易に行うことができる。
【0055】
本発明の態様5に係る成膜装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記反応性ガスが酸素、窒素、または有機ガスであってもよい。
【0056】
上記の構成によれば、酸化物、窒化物、または炭化物による膜を形成することができる。
【0057】
本発明の態様6に係る成膜装置は、上記態様5において、前記反応性ガスとして酸素を用いた際に、前記ターゲットは、In、Ga、およびZnを含んでもよい。
【0058】
上記の構成によれば、In、Ga、およびZnを含む酸化物を形成することができる。
【0059】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
2 基板
11 ターゲットバイアス電源
12 電流モニタ
20 真空容器
30 基板保持部
40 ターゲット保持部
50 アンテナ
60 高周波電源
70 制御部
71 取得部
72 演算部
73 記憶部
74 入力部
90 ガス導入部
100 成膜装置
P プラズマ
T ターゲット