(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080932
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G01N21/88 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194299
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】古賀 正悟
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA07
2G051AB02
2G051AB14
2G051CA04
2G051CB01
2G051EB01
2G051ED01
2G051ED04
2G051ED11
2G051ED21
(57)【要約】
【課題】締結部材に対する締結補助部材の組み合わせ状態を正確に判定する。
【解決手段】検査装置(1)は、締結補助部材が組み合わされた状態の締結部材が撮影された撮影画像を取得する画像取得部(51)と、撮影画像に基づき、締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、締結部材に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定する判定部(53)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材の検査装置であって、
締結補助部材が組み合わされた状態の前記締結部材が撮影された撮影画像を取得する画像取得部と、
前記撮影画像に基づき、前記締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する判定部と、を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、配置部材に配置されている複数の前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得し、
前記判定部は、前記撮影画像に基づき、複数の前記締結部材のそれぞれに対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
透光性材料から構成される前記配置部材に光を照射する照射部と、
前記配置部材に対して前記照射部とは反対側に配置された状態で、前記照射部によって光が照射された前記配置部材に配置されている複数の前記締結部材を撮影する撮影部と、をさらに備え、
前記画像取得部は、前記撮影部によって複数の前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得することを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記締結部材はボルトであるとともに、前記締結補助部材は座金を含み、
前記ボルトに対する前記座金の組み合わせ状態の正否を判定するための基準であり、前記ボルトに前記座金が正しく組み合わされた状態を示す基準画像を記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記記憶部に記憶される前記基準画像と前記撮影画像とを比較することにより、前記ボルトに対する前記座金の組み合わせ状態の正否を判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項5】
前記撮影画像の少なくとも一部を2値化することにより、2色から構成される2値化画像を生成する画像生成部をさらに備え、
前記検査方式の1つは、前記2値化画像の所定領域のうち1色が占める面積に基づき、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記画像取得部は、前記配置部材に形成される凹部に嵌合する複数の前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得し、
前記判定部は、前記撮影画像に基づき、前記凹部に嵌合する複数の前記締結部材のそれぞれに対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定することを特徴とする請求項2または3に記載の検査装置。
【請求項7】
前記画像取得部は、
前記締結部材の締結方向を含む平面で前記締結部材を切断した場合に、前記締結部材の断面形状に沿った形状である前記凹部に嵌合する前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得することを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
締結部材の検査方法であって、
締結補助部材が組み合わされた状態の前記締結部材が撮影された撮影画像を取得する画像取得ステップと、
前記撮影画像に基づき、前記締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する判定ステップと、を備えることを特徴とする検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工具形状等を光学的に投影する光学手段と、投影象を電気的に変換して工具形状にほぼ等しいイメージデータを形成する光電手段と、を備える工具識別装置が開示されている。当該工具識別装置は、イメージデータから工具形状を表示するための所要寸法等を演算する演算手段と、演算手段の演算値と工具の所要寸法の情報値とを比較選別する比較手段をさらに備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の工具識別装置は、工具を識別するものであり、部材の状態を判定することは想定されていない。よって、当該工具識別装置には、部材の状態を判定する点において改善の余地がある。本発明の一態様は、締結部材に対する締結補助部材の組み合わせ状態を正確に判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る検査装置は、締結部材の検査装置であって、締結補助部材が組み合わされた状態の前記締結部材が撮影された撮影画像を取得する画像取得部と、前記撮影画像に基づき、前記締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する判定部と、を備える。
【0006】
また、本発明の一態様に係る検査方法は、締結部材の検査方法であって、締結補助部材が組み合わされた状態の前記締結部材が撮影された撮影画像を取得する画像取得ステップと、前記撮影画像に基づき、前記締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する判定ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、締結部材に対する締結補助部材の組み合わせ状態を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る検査装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す検査装置の断面構成を示す断面図である。
【
図3】
図1に示す検査装置によって検査されるボルト、座金、カプトンテープ及びスペーサが配置される配置部材の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図3に示す配置部材にボルト、座金、カプトンテープ及びスペーサが配置されていない場合を示す図である。
【
図5】
図1に示す検査装置によって検査されるボルト、座金、カプトンテープ及びスペーサの撮影画像を示す図である。
【
図6】
図1に示す検査装置による検査の様子を説明するための図である。
【
図7】
図1に示す検査装置を用いた検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<検査装置1の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る検査装置1の構成を示すブロック図である。
図2は、
図1に示す検査装置1の断面構成を示す断面図である。
図3は、
図1に示す検査装置1によって検査されるボルト11、座金14、カプトンテープ15及びスペーサ16が配置される配置部材8の構成の一例を示す図である。
図4は、
図3に示す配置部材8にボルト11、座金14、カプトンテープ15及びスペーサ16が配置されていない場合を示す図である。なお、
図3において、同様の構成を示す複数の部材については、一部の部材に部材番号を付している。
【0010】
図1及び
図2に示すように、検査装置1は、照射部2と、撮影部3と、記憶部4と、制御部5と、筐体6と、検査台7と、を備える。検査装置1は、締結部材に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定する。上記締結部材は、例えばボルト11または図示しないナットである。以下、締結部材はボルト11であるものとして説明する。
【0011】
上記締結補助部材は、締結部材の締結を補助する部材であり、締結部材に組み合わされるものである。締結補助部材は、例えば、
図3に示す座金14、カプトンテープ15またはスペーサ16である。以下、座金14、カプトンテープ15及びスペーサ16を締結補助部材として総称する場合がある。
【0012】
<照射部2の構成>
照射部2は、検査台7の上の所定位置に配置された配置部材8に光を照射する。具体的には、照射部2は、筐体6の内部に配置されており、検査台7に設けられた透光性部材71を介して、透光性部材71の上に配置された配置部材8に光を照射する。照射部2は、例えば、図示しない複数の光源を有し、当該複数の光源によって配置部材8の下面に光を均一に照射するものである。
【0013】
<撮影部3及び記憶部4の構成>
撮影部3は、検査台7及び配置部材8の上方に配置されており、照射部2によって光を照射された配置部材8に配置されている複数のボルト11及び複数の締結補助部材を撮影する。撮影部3は例えばカメラまたはイメージセンサである。また、撮影部3は、配置部材8に対して照射部2とは反対側に配置されている。
【0014】
なお、撮影部3は、検査装置1が備えるものではなく、検査装置1の外部に設けられるものであってもよい。例えば、撮影部3が検査装置1の外部に設けられ、かつ、撮影部3と検査装置1とが一体となっていてもよい。また、撮影部3が検査装置1の外部に設けられ、かつ、検査装置1に対して外付けされるものであってもよい。記憶部4は、制御部5による処理に用いられる情報を記憶する。
【0015】
なお、配置部材8には、1つのボルト11と、1つのボルト11に組み合わされている締結補助部材と、が配置されていてもよく、この場合、撮影部3は、1つのボルト11及び締結補助部材を撮影する。撮影部3は、ボルト11及び締結補助部材を撮影することにより生成した撮影画像を制御部5に供給する。
【0016】
<筐体6、検査台7及び配置部材8の構成>
筐体6は、照射部2、記憶部4及び制御部5を収容する。なお、記憶部4及び制御部5は筐体6の外部に設けられていてもよい。検査台7は、配置部材8を支持するものであり、筐体6の上部に設けられている。透光性部材71及び配置部材8は、照射部2から出射される光を透過させる透光性材料から構成される。例えば、透光性部材71及び配置部材8は、透光性材料のうち、樹脂材料から構成されてもよい。
【0017】
配置部材8は、3Dプリンタによって生成されるものであることが好ましい。これにより、配置部材8に
図4に示す凹部81を正確かつ容易に形成することができる。配置部材8に凹部81が正確に形成されることにより、凹部81をボルト11及び締結補助部材に沿った形状にすることができ、配置部材8における凹部81の位置が正確になる。また、照射部2から出射される光における凹部81での屈折が制御部5の判定部53による判定に及ぼす影響を低減できる。
【0018】
<配置部材8に配置される部材>
図3に示すように、例えば、配置部材8にボルト11、座金14、カプトンテープ15及びスペーサ16が配置された状態で、配置部材8は検査台7の上に配置される。ボルト11は、頭部12及びネジ部13から構成されている。ネジ部13に座金14、カプトンテープ15またはスペーサ16が組み合わされた状態で、ボルト11は配置部材8に配置される。
【0019】
1つのボルト11には複数の締結補助部材が組み合わされていてもよい。例えば、
図3に示すように、1つのボルト11のネジ部13に座金14、カプトンテープ15及びスペーサ16が組み合わされていてもよい。ボルト11は、ボルト11を用いて製造される製品の各部材を締結するためのものである。カプトンテープ15は、ネジ部13とネジ部13の外部とを電気的に絶縁するためのものである。スペーサ16は、ボルト11が製品の部材に締結される場合に頭部12と座金14または当該部材との間に挟まれるものである。
【0020】
図4に示すように、配置部材8には、複数のボルト11、複数の座金14、複数のカプトンテープ15及び複数のスペーサ16が嵌合する凹部81が形成されている。配置部材8に形成される複数の凹部81に、締結補助部材が組み合わされた状態のボルト11が嵌合する。これにより、ボルト11、座金14、カプトンテープ15及びスペーサ16が配置部材8に配置される。
【0021】
<制御部5の構成>
制御部5は、検査装置1が備える各部を制御する。制御部5は、画像取得部51と、照射処理部52と、判定部53と、画像生成部54と、を有する。画像取得部51は、締結補助部材が組み合わされた状態のボルト11が撮影部3によって撮影された撮影画像を取得する。
【0022】
具体的には、画像取得部51は、配置部材8に配置されている複数のボルト11が撮影された撮影画像を取得する。また、画像取得部51は、配置部材8に形成される凹部81に嵌合する複数のボルト11が撮影された撮影画像を取得してもよい。照射処理部52は、照射部2を制御して照射部2に光を照射させる処理を実行する。
【0023】
検査装置1は、透光性材料から構成される配置部材8に光を照射することにより、光を照射されたボルト11が撮影された撮影画像を取得することができる。ボルト11に光が照射されているため、検査装置1は撮影画像に基づき、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態をより正確に判定することができる。
【0024】
<判定部53による判定>
図5は、
図1に示す検査装置1によって検査されるボルト11、座金14、カプトンテープ15及びスペーサ16の撮影画像を示す図である。判定部53は、画像取得部51によって取得された撮影画像に基づき、締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定する。検査領域、検査対象、検査項目及び検査方式の対応関係を以下の表1に示す。
【0025】
【0026】
判定部53は、
図5に示す撮影画像のうちの検査領域P1内の画像を認識することにより、ボルト11の有無を判定するとともに、頭部12の径を認識する。判定部53は、記憶部4に記憶される正しい頭部12の径を示す基準情報と、検査領域P1内の画像から認識した頭部12の径と、を比較することにより、認識した頭部12の径が正しい径であるか否かを判定する。
【0027】
例えば、判定部53は、記憶部4に記憶される正しい頭部12の径と、認識した頭部12の径と、の差分の絶対値が所定値以下である場合、認識した頭部12の径が正しい径であると判定する。一方、判定部53は、当該絶対値が所定値よりも大きい場合、認識した頭部12の径が正しくない径であると判定する。正しい頭部12の径を示す基準情報は、ボルト11の正否を判定するための基準である。
【0028】
判定部53は、撮影画像のうちの検査領域P2内の画像を認識することにより、ボルト11における締結方向に沿った長さを認識する。判定部53は、認識した頭部12の径が正しい径であるか否かを判定する場合と同様に、認識したボルト11の長さが正しい長さであるか否かを判定する。正しいボルト11の長さを示す基準情報は、ボルト11の正否を判定するための基準である。
【0029】
判定部53は、撮影画像のうちの検査領域P3内の画像を認識することにより、スペーサ16の径を認識する。判定部53は、認識した頭部12の径が正しい径であるか否かを判定する場合と同様に、認識したスペーサ16の径が正しい径であるか否かを判定する。正しいスペーサ16の径を示す基準情報は、ボルト11に対するスペーサ16の組み合わせ状態の正否を判定するための基準である。検査領域P1~P3での検査方式は、寸法によるものとなる。
【0030】
記憶部4は、ボルト11に対する座金14の組み合わせ状態の正否を判定するための基準である基準画像を記憶する。当該基準画像は、ボルト11に座金14が正しく組み合わされた状態を示す。判定部53は、記憶部4に記憶される上記基準画像と撮影画像とを比較することにより、ボルト11に対する座金14の組み合わせ状態の正否を判定する。
【0031】
具体的には、判定部53は、撮影画像のうちの検査領域P4内の画像を認識する。判定部53は、記憶部4に記憶される上記基準画像と、認識した検査領域P4内の画像と、を比較することにより、座金14の有無を判定するとともに、ボルト11に組み合わされている座金14の向きが正しいか否かを判定する。検査領域P4での検査方式は、パターンマッチングによるものとなる。
【0032】
検査装置1は、上記基準画像と撮影画像とを比較することにより、ボルト11に対する座金14の組み合わせ状態の正否を判定する。これにより検査装置1は、上記基準画像と撮影画像との差異を認識できるため、例えば、ボルト11に座金14が組み合わされているか否かを判定することができ、またボルト11に組み合わされている座金14の向きが正しいか否かを判定することができる。
【0033】
判定部53は、撮影画像のうちの検査領域P5内の画像を認識することにより、座金14の径を認識する。判定部53は、認識した頭部12の径が正しい径であるか否かを判定する場合と同様に、認識した座金14の径が正しい径であるか否かを判定する。正しい座金14の径を示す基準情報は、ボルト11に対する座金14の組み合わせ状態の正否を判定するための基準である。
【0034】
判定部53は、撮影画像のうちの検査領域P6内の画像を認識することにより、カプトンテープ15の径を認識する。判定部53は、認識した頭部12の径が正しい径であるか否かを判定する場合と同様に、認識したカプトンテープ15の径が正しい径であるか否かを判定する。
【0035】
これにより、カプトンテープ15の巻き数が適切な巻き数であるか否かを判定することができる。正しいカプトンテープ15の径を示す基準情報は、ボルト11に対するカプトンテープ15の組み合わせ状態の正否を判定するための基準である。検査領域P5及びP6での検査方式は、寸法によるものとなる。
【0036】
画像生成部54は、撮影画像の少なくとも一部を2値化することにより、2色から構成される2値化画像を生成する。判定部53は、画像生成部54によって生成された2値化画像の所定領域のうち1色が占める面積に基づき、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定する。ここでは、例えば2値化画像は黒色及び白色の2色で構成される画像であるものとして説明する。
【0037】
具体的には、判定部53は、画像生成部54によって生成された2値化画像の検査領域P7のうち黒色が占める面積に基づき、カプトンテープ15の有無を判定する。例えば、判定部53は、2値化画像の検査領域P7のうち黒色が占める面積が所定値以上である場合、ボルト11にカプトンテープ15が組み合わされていると判定する。一方、判定部53は、2値化画像の検査領域P7のうち黒色が占める面積が所定値未満である場合、ボルト11にカプトンテープ15が組み合わされていないと判定する。
【0038】
また、判定部53は、2値化画像の検査領域P8のうち黒色が占める面積に基づき、検査領域P8においてカプトンテープ15が存在するか否かを判定する。例えば、判定部53は、2値化画像の検査領域P8のうち黒色が占める面積が所定値以上である場合、検査領域P8においてカプトンテープ15が存在すると判定する。一方、判定部53は、2値化画像の検査領域P8のうち黒色が占める面積が所定値未満である場合、検査領域P8においてカプトンテープ15が存在しないと判定する。
【0039】
さらに、判定部53は、2値化画像の検査領域P9のうち白色が占める面積に基づき、検査領域P9においてカプトンテープ15が存在するか否かを判定する。例えば、判定部53は、2値化画像の検査領域P9のうち白色が占める面積が所定値以上である場合、検査領域P9においてカプトンテープ15が存在しないと判定する。一方、判定部53は、2値化画像の検査領域P9のうち白色が占める面積が所定値未満である場合、検査領域P9においてカプトンテープ15が存在すると判定する。2値化画像において検査領域P9は検査領域P8よりも下側に位置する。
【0040】
判定部53は、2値化画像の検査領域P8及びP9での判定結果に基づき、ボルト11にカプトンテープ15が正しい位置に組み合わされているか否かを判定する。例えば、判定部53は、検査領域P8においてカプトンテープ15が存在し、かつ、検査領域P9においてカプトンテープ15が存在しないと判定した場合、ボルト11にカプトンテープ15が正しい位置に組み合わされていると判定する。
【0041】
一方、判定部53は、(1)検査領域P8及びP9にカプトンテープ15が存在する、(2)検査領域P8及びP9にカプトンテープ15が存在しない、または(3)検査領域P8にカプトンテープ15が存在せず、かつ、検査領域P9にカプトンテープ15が存在すると判定した場合を考える。この場合、判定部53は、ボルト11にカプトンテープ15が正しい位置に組み合わされていないと判定する。
【0042】
判定部53は、検査領域P8においてカプトンテープ15が存在するか否かを判定する場合と同様に、検査領域P10においてスペーサ16が存在するか否かを判定し、検査領域P11においてスペーサ16が存在するか否かを判定する。判定部53は、2値化画像の検査領域P10及びP11での判定結果に基づき、スペーサ16の有無を判定する。
【0043】
例えば、判定部53は、検査領域P10及びP11においてスペーサ16が存在すると判定した場合、ボルト11にスペーサ16が組み合わされていると判定する。一方、判定部53は、検査領域P10またはP11の少なくとも一方においてスペーサ16が存在しないと判定した場合、ボルト11にスペーサ16が組み合わされていないと判定する。2値化画像において検査領域P11は検査領域P10よりも右側に位置する。
【0044】
判定部53は、検査領域P8においてカプトンテープ15が存在するか否かを判定する場合と同様に、検査領域P12において座金14が存在するか否かを判定し、検査領域P13において座金14が存在するか否かを判定する。判定部53は、2値化画像の検査領域P12及びP13での判定結果に基づき、座金14の有無を判定する。
【0045】
例えば、判定部53は、検査領域P12及びP13において座金14が存在すると判定した場合、ボルト11に座金14が組み合わされていると判定する。一方、判定部53は、検査領域P12またはP13の少なくとも一方において座金14が存在しないと判定した場合、ボルト11に座金14が組み合わされていないと判定する。2値化画像において検査領域P13は検査領域P12よりも右側に位置する。
【0046】
以上により、検査領域P7~P13での検査方式は、2値化画像によるものとなる。よって、検査方式の1つは、2値化画像の所定領域のうち1色が占める面積に基づき、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定するものである。ボルト11に締結補助部材が組み合わされている場合と、ボルト11に締結補助部材が組み合わされていない場合とでは、2値化画像の所定領域のうち1色が占める面積が異なる。このため、検査装置1は、2値化画像の所定領域のうち1色が占める面積に基づき、例えば、ボルト11に締結補助部材が組み合わされているか否かを判定することができる。
【0047】
なお、判定部53は、検査領域P4、P12及びP13において座金14が存在すると判定した場合、ボルト11に座金14が組み合わされていると判定してもよい。また、判定部53は、検査領域P4、P12またはP13の少なくとも1つの検査領域において座金14が存在しないと判定した場合、ボルト11に座金14が組み合わされていないと判定してもよい。これにより、判定部53は、複数の検査方式によって、ボルト11に座金14が組み合わされているか否かを正確に判定することができる。
【0048】
また、画像生成部54は、撮影画像のうち検査領域P7~P13のみを2値化することにより2値化画像を生成することが好ましい。これにより、画像生成部54が撮影画像の全体を2値化することにより2値化画像を生成する場合に比べて、処理時間を短縮できる。なお、これには限定されず、画像生成部54は、撮影画像の全体を2値化することにより2値化画像を生成してもよい。
【0049】
上述したように、判定部53は、ボルト11及び締結補助部材の各々の有無の判定と、ボルト11及び締結補助部材の各々の形状の判定を行う。検査装置1は、締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定するため、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を正確に判定することができる。
【0050】
また、作業者が手作業でボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を確認する必要がないため、ボルト11及び締結補助部材にキズが付くことを防ぐことができる。また、締結補助部材が正しく組み合わされていない状態のボルト11が用いられることがなく、ボルト11を用いて製造される製品にキズが付くことを防ぐことができる。よって、当該製品の品質を向上することができる。さらに、判定部53は、締結補助部材の有無を判定できるため、作業者がボルト11に締結補助部材を付け忘れることを防ぐことができる。
【0051】
判定部53は、画像取得部51によって取得された撮影画像に基づき、
図3に示すような複数のボルト11のそれぞれに対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定してもよい。検査装置1は、配置部材8に配置されている複数のボルト11が撮影された撮影画像に基づき、複数のボルト11のそれぞれに対する締結補助部材の組み合わせ状態をまとめて判定することができる。よって、検査装置1による判定にかかる時間を短縮することができる。
【0052】
また、判定部53は、画像取得部51によって取得された撮影画像に基づき、配置部材8に形成される凹部81に嵌合する複数のボルト11のそれぞれに対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定してもよい。
【0053】
複数のボルト11が配置部材8に形成される凹部81に嵌合するため、配置部材8に対して複数のボルト11は定められた位置で配置されることになる。よって、複数のボルト11が定められた位置で撮影されることになるため、検査装置1による締結補助部材の組み合わせ状態の判定にばらつきが生じることを低減できる。したがって、検査装置1は、複数のボルト11のそれぞれに対する締結補助部材の組み合わせ状態を正確に判定することができる。
【0054】
さらに、画像取得部51は、ボルト11の締結方向を含む平面でボルト11を切断した場合に、ボルト11の断面形状に沿った形状である凹部81に嵌合するボルト11が撮影された撮影画像を取得してもよい。ボルト11の締結方向を含む平面は、
図4において配置部材8の上面を含む平面である。
【0055】
配置部材8に形成される凹部81の形状は、ボルト11の締結方向を含む平面でボルト11を切断した場合に、ボルト11の断面形状に沿った形状である。このため、配置部材8にボルト11の側方が接触した状態でボルト11を配置することができる。よって、撮影画像は、
図5に示すようにボルト11の側方が撮影されたものになる。ボルト11の側方が撮影された撮影画像には、ボルト11に組み合わされる締結補助部材が表れるため、検査装置1は、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定することができる。
【0056】
<検査装置1による検査>
図6は、
図1に示す検査装置1による検査の様子を説明するための図である。
図6の符号101は、ネジ部13に座金14が組み合わされている状態のボルト11が配置部材8に配置されている場合の撮影画像を示す。
図6の符号102は、ネジ部13に座金14が組み合わされていない状態のボルト11が配置部材8に配置されている場合の撮影画像を示す。
【0057】
図6の符号101に示す撮影画像について、検査領域、検査対象、数値及び検査結果の対応関係を以下の表2に示す。表2に示す検査領域P1,P2,P4,P5,P12,P13はそれぞれ、
図6の符号101に示す撮影画像のうちの検査領域であって、
図5に示す検査領域P1,P2,P4,P5,P12,P13において説明した内容が適用される。
【0058】
【0059】
図6の符号101に示す撮影画像について、判定部53は、検査領域P1内の画像から認識した頭部12の径を示す数値V1と、記憶部4に記憶される正しい頭部12の径を示す基準情報と、を比較する。これにより、判定部53は、ボルト11の頭部12の径について合格であると判定したものとする。同様に、判定部53は、検査領域P2,P4,P5,P12,P13において検査対象が合格であると判定したものとする。
【0060】
図6の符号102に示す撮影画像について、検査領域、検査対象、数値及び検査結果の対応関係を以下の表3に示す。
図6の符号102に示すように、ネジ部13に座金14が組み合わされていない状態において、凹部81が撮影画像に表れる。このため、
図6の符号102に示す撮影画像について、判定部53は、検査領域P4内の画像を認識することにより、ボルト11に座金14が組み合わされていると判定し、座金14の有無について合格であると判定する場合がある。
【0061】
【0062】
そこで、判定部53は、
図6の符号102に示す撮影画像について、2値化画像の検査領域P12のうち黒色が占める面積が所定値未満である場合、検査領域P12において座金14が存在しないと判定する。また、判定部53は、検査領域P12と同様に、検査領域P13において座金14が存在しないと判定する。
【0063】
よって、判定部53は、複数の検査方式によって座金14の有無を判定する場合、凹部81が撮影画像に表れる場合であっても、座金14の有無について不合格であると判定することができる。したがって、判定部53は、複数の検査方式によって座金14の有無について正確な判定を行うことができる。
【0064】
<検査装置1を用いた検査方法>
図7は、
図1に示す検査装置1を用いた検査方法を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、配置部材8の上に、締結補助部材が組み合わされた状態のボルト11を配置する(S1)。配置部材8の上にボルト11を配置した後、ボルト11が配置された配置部材8を検査台7の上に配置する(S2)。
【0065】
配置部材8を検査台7の上に配置した後、照射処理部52が照射部2に光を照射させる処理を実行し、撮影部3が、締結補助部材が組み合わされた状態のボルト11を撮影する(S3)。撮影部3がボルト11を撮影した後、画像取得部51は、ボルト11が撮影された撮影画像を取得する(S4)。画像取得部51が撮影画像を取得した後、判定部53は、画像取得部51によって取得された撮影画像に基づき、締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、ボルト11に対する締結補助部材の組み合わせ状態を判定する(S5)。
【0066】
〔ソフトウェアによる実現例〕
検査装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部5に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0067】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。
【0068】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0069】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0070】
また、上記実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0071】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る検査装置は、締結部材の検査装置であって、締結補助部材が組み合わされた状態の前記締結部材が撮影された撮影画像を取得する画像取得部と、前記撮影画像に基づき、前記締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する判定部と、を備える構成である。
【0072】
本発明の態様2に係る検査装置は、上記の態様1において、前記画像取得部は、配置部材に配置されている複数の前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得し、前記判定部は、前記撮影画像に基づき、複数の前記締結部材のそれぞれに対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する構成としてもよい。
【0073】
本発明の態様3に係る検査装置は、上記の態様2において、透光性材料から構成される前記配置部材に光を照射する照射部と、前記配置部材に対して前記照射部とは反対側に配置された状態で、前記照射部によって光が照射された前記配置部材に配置されている複数の前記締結部材を撮影する撮影部と、をさらに備え、前記画像取得部は、前記撮影部によって複数の前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得する構成としてもよい。
【0074】
本発明の態様4に係る検査装置は、上記の態様1から3のいずれかにおいて、前記締結部材はボルトであるとともに、前記締結補助部材は座金を含み、前記ボルトに対する前記座金の組み合わせ状態の正否を判定するための基準であり、前記ボルトに前記座金が正しく組み合わされた状態を示す基準画像を記憶する記憶部をさらに備え、前記判定部は、前記記憶部に記憶される前記基準画像と前記撮影画像とを比較することにより、前記ボルトに対する前記座金の組み合わせ状態の正否を判定する構成としてもよい。
【0075】
本発明の態様5に係る検査装置は、上記の態様1から4のいずれかにおいて、前記撮影画像の少なくとも一部を2値化することにより、2色から構成される2値化画像を生成する画像生成部をさらに備え、前記検査方式の1つは、前記2値化画像の所定領域のうち1色が占める面積に基づき、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定するものである構成としてもよい。
【0076】
本発明の態様6に係る検査装置は、上記の態様2または3において、前記画像取得部は、前記配置部材に形成される凹部に嵌合する複数の前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得し、前記判定部は、前記撮影画像に基づき、前記凹部に嵌合する複数の前記締結部材のそれぞれに対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する構成としてもよい。
【0077】
本発明の態様7に係る検査装置は、上記の態様6において、前記画像取得部は、前記締結部材の締結方向を含む平面で前記締結部材を切断した場合に、前記締結部材の断面形状に沿った形状である前記凹部に嵌合する前記締結部材が撮影された前記撮影画像を取得する構成としてもよい。
【0078】
本発明の態様8に係る検査方法は、締結部材の検査方法であって、締結補助部材が組み合わされた状態の前記締結部材が撮影された撮影画像を取得する画像取得ステップと、前記撮影画像に基づき、前記締結補助部材の種類に応じた検査方式によって、前記締結部材に対する前記締結補助部材の組み合わせ状態を判定する判定ステップと、を備える方法である。
【0079】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された複数の技術的手段を適宜組み合わせて得られる構成についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 検査装置 2 照射部
3 撮影部 4 記憶部
8 配置部材 11 ボルト(締結部材)
14 座金(締結補助部材) 15 カプトンテープ(締結補助部材)
16 スペーサ(締結補助部材) 51 画像取得部
53 判定部 54 画像生成部
71 透光性部材 81 凹部