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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080933
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
F25B1/00 389A
F25B1/00 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194300
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
(57)【要約】
【課題】熱交換器の小型化が可能な冷凍サイクルを備える空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置は、室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、第1の四方弁と、エジェクタと、第2の四方弁と、気液分離器と、第3の配管と、第4の配管と、第5の配管と、を備える。第1の配管は、室内熱交換器と室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管は、室外熱交換器と室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。第3の配管は、第1の四方弁と圧縮機の吸入口とを接続する第1の配管と、エジェクタの第2の流入口と、を接続する。第4の配管は、第1の四方弁と室内熱交換器との接続する第1の配管と、エジェクタの第1の流入口と第2の四方弁とを接続する第2の配管と、を接続する。第5の配管は、気液分離器の第3の開口と、第3の配管またはエジェクタの第1の流入口と第2の四方弁とを接続する第2の配管と、を接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機に設けられた室内熱交換器と、
室外機に設けられた室外熱交換器と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する圧縮機と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な第1の四方弁と、
第2の配管に設けられ、前記第2の配管における上流側から前記冷媒が流入する第1の流入口と、前記第2の配管とは異なる配管から前記冷媒が流入する第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒と前記第2の流入口に供給された冷媒とを混合して流出口から第2の配管の下流側に供給可能な、エジェクタと、
前記第2の配管に設けられ、前記エジェクタの第1の流入口と前記流出口とに接続され、前記流出口から流出する前記冷媒の流れる方向を変更可能な第2の四方弁と、
前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁と接続される第1の開口と、前記室外熱交換器と接続される第2の開口と、気体状の冷媒が通る第3の開口と、が設けられた気液分離器と、
第1の四方弁と前記圧縮機の前記吸入口とを接続する前記第1の配管と、前記エジェクタの前記第2の流入口と、を接続する第3の配管と、
第1の四方弁と前記室内熱交換器との接続する前記第1の配管と、前記エジェクタの前記第1の流入口と前記第2の四方弁とを接続する前記第2の配管と、を接続する第4の配管と、
前記気液分離器の前記第3の開口と、前記第3の配管または前記エジェクタの前記第1の流入口と前記第2の四方弁とを接続する前記第2の配管と、を接続する第5の配管と、
を備える、空気調和装置。
【請求項2】
前記第3の配管に前記冷媒の流量を制御する第1の流量制御弁を備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記第4の配管に前記冷媒の流量を制御する第2の流量制御弁を備える、請求項1または請求項2に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和装置は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮および蒸発により、室内の温度を調節する。暖房運転において冷媒は、室外熱交換器(蒸発器)で蒸発し、室内熱交換器(凝縮器)で凝縮する。また、冷房運転において冷媒は、室外熱交換器(凝縮器)で凝縮し、室内熱交換器(蒸発器)で蒸発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―116124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、小型化が可能であり、さらに、省エネルギー化にも寄与し得る空気調和機が望まれている。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、熱交換器の小型化が可能な冷凍サイクルを備える空気調和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和装置は、室内熱交換器と、室外熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、第1の四方弁と、エジェクタと、第2の四方弁と、気液分離器と、第3の配管と、第4の配管と、第5の配管と、を備える。室内熱交換器は、室内機に設けられる。室外熱交換器は、室外機に設けられる。第1の配管は、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管は、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。第1の四方弁は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能である。エジェクタは、第2の配管に設けられ、前記第2の配管における上流側から前記冷媒が流入する第1の流入口と、前記第2の配管とは異なる配管から前記冷媒が流入する第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒と前記第2の流入口に供給された冷媒とを混合して流出口から第2の配管の下流側に供給可能である。第2の四方弁は、前記第2の配管に設けられ、前記エジェクタの第1の流入口と前記流出口とに接続され、前記流出口から流出する前記冷媒の流れる方向を変更可能である。気液分離器は、前記第2の配管に設けられ、前記第2の四方弁と接続される第1の開口と、前記室外熱交換器と接続される第2の開口と、気体状の冷媒が通る第3の開口と、が設けられる。第3の配管は、第1の四方弁と前記圧縮機の前記吸入口とを接続する前記第1の配管と、前記エジェクタの前記第2の流入口と、を接続する。第4の配管は、第1の四方弁と前記室内熱交換器との接続する前記第1の配管と、前記エジェクタの前記第1の流入口と前記第2の四方弁とを接続する前記第2の配管と、を接続する。第5の配管は、前記気液分離器の前記第3の開口と、前記第3の配管または前記エジェクタの前記第1の流入口と前記第2の四方弁とを接続する前記第2の配管と、を接続する。
【0007】
また、空気調和装置は、例えば、前記第3の配管に前記冷媒の流量を制御する第1の流量制御弁を備えてもよい。
【0008】
また、空気調和装置は、例えば、前記第4の配管に前記冷媒の流量を制御する第2の流量制御弁を備えてもよい。
【0009】
以上の空気調和装置によれば、例えば、冷凍サイクルにおける熱交換効率が向上可能となり、熱交換器の小型化が可能な空気調和装置が提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて冷房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
図2図2は、実施形態に係る空気調和装置の室外機に搭載されるエジェクタの構成を説明する例示的かつ模式的な断面図である。
図3図3は、実施形態に係る空気調和装置の制御装置およびその制御装置によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る空気調和装置の冷媒系統図であり、併せて暖房運転時の冷媒の流れを示す例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、いくつかの実施形態について、図1図4を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素および当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素およびその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0012】
図1は、実施形態に係る空気調和装置10の冷媒系統図を示す例示的かつ模式的な図である。空気調和装置10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和装置10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和装置であってもよい。
【0013】
図1に示すように、空気調和装置10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0014】
空気調和装置10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0015】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、第1の四方弁25と、第2の四方弁26と、エジェクタ27と、第1の流量制御弁31と、第2の流量制御弁32と、三方弁33(切替弁)と、気液分離器61等を有する。また、室内機12は、室内熱交換器41と、室内送風ファン42とを有する。
【0016】
冷媒配管13は、例えば、銅またはアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管51と、第2の配管52と、第3の配管53と、第4の配管54と、第5の配管55等を含む。
【0017】
第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、第1の四方弁25は、第1の配管51に設けられる。第1の配管51は、第1の領域51a、第2の領域51b、第3の領域51c、第4の領域51dと、を有する。第1の領域51aは、第1の四方弁25と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。第2の領域51bは、第1の四方弁25とアキュムレータ24とを接続する配管領域である。第3の領域51cは、第1の四方弁25と室外熱交換器21とを接続する配管領域である。第4の領域51dは、第1の四方弁25と圧縮機23の吐出口23bとを接続する配管領域である。
【0018】
第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続する。第2の四方弁26、エジェクタ27、気液分離器61は、第2の配管52に設けられる。第2の配管52は、第5の領域52a、第6の領域52b、第7の領域52c、第8の領域52d、第9の領域52eを有する。第5の領域52aは、第2の四方弁26と室内熱交換器41とを接続する配管領域である。第6の領域52bは、第2の四方弁26とエジェクタ27の流出口73とを接続する配管領域である。第7の領域52cは、第2の四方弁26と気液分離器61の第1の開口61aとを接続する配管領域である。第8の領域52dは、気液分離器61の第2の開口61bと室外熱交換器21とを接続する配管領域である。第9の領域52eは、第2の四方弁26とエジェクタ27の第1の流入口71とを接続する配管領域である。
【0019】
第3の配管53は、第1の四方弁25と圧縮機23の吸入口23aとを接続する第1の配管51と、エジェクタ27の第2の流入口72と、を接続する。第1の流量制御弁31は、第3の配管53に設けられる。第3の配管53は、第10の領域53aと第11の領域53bとを有する。第10の領域53aは、エジェクタ27の第2の流入口72と第1の流量制御弁31とを接続する配管領域である。第11の領域53bは、第1の配管51の第2の領域51bと第1の流量制御弁31とを接続する配管領域である。第3の配管53は、エジェクタ27の第1の流入口71から流入する駆動冷媒により昇圧させられる低圧の冷媒を第2の流入口72から供給するための配管である。
【0020】
第4の配管54は、第1の四方弁25と室内熱交換器41との接続する第1の配管51と、エジェクタ27の第1の流入口71と第2の四方弁26とを接続する第2の配管52と、を接続する。第2の流量制御弁32は、第4の配管54に設けられる。第4の配管54は、第12の領域54aと第13の領域54bとを有する。第12の領域54aは、第1の配管51の第1の領域51aと第2の流量制御弁32とを接続する配管領域である。第13の領域54bは、第2の流量制御弁32と第2の配管52の第9の領域52eとを接続する配管領域である。第4の配管54は、暖房運転時に、エジェクタ27の第2の流入口72から供給される低圧の冷媒を昇圧させるために圧縮機23から高温高圧の冷媒の一部を駆動冷媒として供給するための配管である。
【0021】
第5の配管55は、気液分離器61の第3の開口61cと、第3の配管53の第10の領域53aまたはエジェクタ27の第1の流入口71と第2の四方弁26とを接続する第2の配管52と、を接続する。三方弁33は、第5の配管55に設けられる。第5の配管55は、第14の領域55a、第15の領域55b、第16の領域55cを有する。第14の領域55aは、気液分離器61の第3の開口61cと三方弁33とを接続する配管領域である。第15の領域55bは、三方弁33と第2の配管52の第9の領域52eとを接続する配管領域である。第16の領域55cは、三方弁33と第3の配管53の第10の領域53aとを接続する配管領域である。第5の配管55は、気液分離器61で分離された気体状の冷媒を、冷房運転時にはエジェクタ27の第1の流入口71に駆動冷媒として、暖房運転時にはエジェクタ27の第2の流入口72に吸入冷媒として、供給するための配管である。
【0022】
図1に示されるように、冷房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れ、第2の配管52を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れる。また、図4に示されるように、暖房運転において、冷媒は、第1の配管51を通って室外熱交換器21から室内熱交換器41へ流れ、第2の配管52を通って室内熱交換器41から室外熱交換器21へ流れる。
【0023】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱を行い、または凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風ファン22は、室外熱交換器21に対して送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0024】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0025】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、気体状の冷媒と液状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過した気体状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることもできる。
【0026】
第1の四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器41と、圧縮機23の吐出口23bと、第1の流量制御弁31と、に接続される。第1の四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器41、圧縮機23の吐出口23b、第1の流量制御弁31のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0027】
冷房運転時において、第1の四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室外熱交換器21とを接続し、高温高圧の気体状の冷媒を室外熱交換器21に供給する。さらに、冷房運転時において、第1の四方弁25は、室内熱交換器41とアキュムレータ24とを接続し低温低圧の気体状の冷媒をアキュムレータ24に戻す。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室外熱交換器21へ流れ、室内熱交換器41で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。なお、冷房運転において、室内熱交換器41から吐出される冷媒は、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻る気体状の冷媒と、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻ることなくエジェクタ27の第2の流入口72に吸入冷媒として供給される冷媒とが存在する。エジェクタ27の詳細は後述する。
【0028】
また、暖房運転時において、図4に示されるように、第1の四方弁25は、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器41とを接続し、高温高圧の気体状の冷媒を室内熱交換器41に供給する。また、暖房運転時において、第1の四方弁25は、室外熱交換器21とアキュムレータ24とを接続し、低温低圧の気体状の冷媒をアキュムレータ24に提供する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が室内熱交換器41へ流れ、室外熱交換器21で熱交換が行われた(蒸発した)冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0029】
第2の四方弁26は、室内熱交換器41と、エジェクタ27の流出口73と、気液分離器61の第1の開口61aと、第2の配管52の第9の領域52eに接続される。第2の四方弁26は、暖房運転時と冷房運転時とで、室内熱交換器41、エジェクタ27の流出口73、気液分離器61の第1の開口61a、第2の配管52の第9の領域52eのそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。なお、第2の四方弁26としては、一般的な四方弁に限らず、冷媒の流れる方向を変更できれば、その他の構成の弁であってもよい。例えば、4つの逆止弁を環状に繋いだブリッジ回路で置き替えてもよい。なお、第2の四方弁としてブリッジ回路を採用した場合は、第2の四方弁駆動回路は省略が可能である。
【0030】
冷房運転時において、図1に示さるように、第2の四方弁26は、気液分離器61の第1の開口61aとエジェクタ27の第1の流入口71とを接続し、気液分離器61で分離された液状の冷媒(室外熱交換器21で熱交換された(凝縮された)液状の冷媒)をエジェクタ27の第1の流入口71に供給する。なお、第1の流入口71には、気液分離器61で分離された気体状の冷媒も供給される。つまり、第1の流入口71には、気液二相の冷媒が駆動冷媒として供給される。したがって、冷房運転時には、気液分離器61の機能は実質的に利用されず、空気調和装置10を冷房運転専用として構成する場合には、気液分離器61は省略することができる。また、冷房運転時において、第2の四方弁26は、エジェクタ27の流出口73から吐出された冷媒を第2の配管に流す。流出口73から吐出された冷媒は、室内熱交換器41から吐出され、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻ることなくエジェクタ27に供給された低温低圧の冷媒(吸入冷媒)が、室外熱交換器21側から供給される気液二相の冷媒(駆動冷媒)と混合され昇圧された冷媒である。その結果、上述したように、圧縮機23を通過させずに低温の冷媒を室内熱交換器41に流すことが可能になる。
【0031】
また、暖房運転時において、図4に示されるように、第2の四方弁26は、室内熱交換器41とエジェクタ27の第1の流入口71とを接続し、室内熱交換器41から吐出された液状の冷媒を第1の流入口71に提供する。なお、第1の流入口71には、圧縮機23から吐出される高温高圧の冷媒の一部も供給される。また、第2の四方弁26は、エジェクタ27の流出口73と気液分離器61の第1の開口61aとを接続し、流出口73から流出する冷媒を気液分離器61に供給し、アキュムレータ24に戻す。
【0032】
エジェクタ27は、第2の配管52に設けられる。より具体的には、エジェクタ27は、第1の流入口71と第2の流入口72と流出口73とを備える。第1の流入口71は、冷房運転時および暖房運転時における冷媒の流れ方向に対して第2の配管52の上流側から冷媒が流入する。第2の流入口72は、第2の配管52とは異なる配管(第3の配管53または第5の配管55)から冷媒が流入する。そして、流出口73は、第1の流入口71に供給された冷媒と第2の流入口72に供給された冷媒とを混合するとともに昇圧した状態の冷媒を冷房運転時および暖房運転時における冷媒の流れ方向に対して第2の配管52の下流側に吐出(供給)する。
【0033】
図2は、本実施形態のエジェクタ27の構造を示す例示的かつ模式的に示す断面図である。図2に示すように、エジェクタ27は、簡素な構造を有するため、保守及び空気調和装置10への組み込みが容易である。なお、エジェクタ27の構造は、図2の例に限られない。エジェクタ27には、第1の流入口71と、第2の流入口72と、流出口73と、ノズル部74と、吸引部75と、混合部76と、ディフューザ部77とが設けられる。
【0034】
図1に示すように、第1の流入口71は、第2の配管52の第9の領域52eを介して第2の四方弁26に接続されている。例えば、冷房運転時には、室外熱交換器21側からの冷媒が流れ込む。また、暖房運転時には、室内熱交換器41側からの冷媒が流れ込む。
【0035】
第2の流入口72は、第3の配管53の第10の領域53aに接続される。例えば、冷房運転時には、第2の流入口72に、室内熱交換器41から吐出される気体状の冷媒の一部が第1の流量制御弁31を介して流れ込む。また、暖房運転時には、第2の流入口72に、室外熱交換器21から吐出され気液分離器61で分離され三方弁33を通過した気体状の一部が流れ込む。流出口73は、第2の配管52の第6の領域52bを介して第2の四方弁26に昇圧された気液二相の冷媒を吐出する。
【0036】
エジェクタ27は、上述したように第1の流入口71に供給された冷媒(駆動冷媒)を、第2の流入口72に供給された冷媒(吸入冷媒)と混合するとともに昇圧して流出口73から放出することができる。このため、エジェクタ27は、低温低圧の冷媒を流出口73から第2の配管52を通じて冷房運転時には蒸発器として機能する室内熱交換器41側に供給し、暖房運転時には蒸発器として機能する室外熱交換器21に供給する。
【0037】
図2に示すように、ノズル部74は、第1の流入口71と混合部76との間に設けられる。ノズル部74は、混合部76に向かって先細る部分と徐々に拡大する部分とを有した流路である。なお、ノズル部74の形状は、これには限らず、流入した冷媒を減圧して高速で噴射することができれば、どのような構造であってもよい。ノズル部74は、第1の流入口71に流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部76に噴出する。ノズル部74の出口近傍における圧力が低いため、ノズル部74に接続された第1の流入口71は、冷媒を吸引できる。
【0038】
吸引部75は、第2の流入口72と混合部76との間に設けられる。吸引部75は、ノズル部74の周りに設けられ、混合部76に向かって先細る部分を有した略円筒状の流路である。吸引部75は、第2の流入口72に流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部76に噴出する。吸引部75の出口近傍における圧力が低いため、吸引部75に接続された第2の流入口72は、冷媒を吸引できる。
【0039】
混合部76は、ノズル部74及び吸引部75と、ディフューザ部77との間に設けられる。エジェクタ27は、混合部76において、吸引部75から噴出した冷媒を、ノズル部74から噴出した冷媒と混合する。
【0040】
ディフューザ部77は、混合部76と流出口73との間に設けられる。ディフューザ部77は、流出口73に向かって拡大する部分を有した流路である。混合部76で混合された冷媒は、ディフューザ部77で減速して昇圧し、流出口73から放出される。
【0041】
エジェクタ27は、エジェクタ電磁弁78を有する。エジェクタ電磁弁78は、第1の流入口71を開閉することができる。なお、図2において、エジェクタ電磁弁78はノズル部74の外部に位置する例を示しているが、エジェクタ電磁弁78はノズル部74の内部または他の部分に設けられてもよい。例えば、ノズル部74に挿入して開度を調整するニードル状の弁であってもよい。エジェクタ電磁弁78は、開度を制御されることで、第1の流入口71に供給される冷媒の量を調節する。なお、エジェクタ27において、第2の流入口72に供給される冷媒の量は、第1の流量制御弁31で調節可能であるが、第1の流入口71と同様にエジェクタ電磁弁を第2の流入口72の部分または内部に設けてもよい。
【0042】
第1の流量制御弁31は、第3の配管53に設けられる。前述したように、冷房運転において、室内熱交換器41から吐出される冷媒は、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻る気体状の冷媒と、アキュムレータ24(圧縮機23)に戻ることなくエジェクタ27の第2の流入口72に吸入冷媒として供給される冷媒とが存在する。第1の流量制御弁31は、吸入冷媒がエジェクタ27(第2の流入口72)に吸い込まれ過ぎることを抑制(調整)するための制御弁である。逆に、暖房運転においては、第1の流量制御弁31は基本的には閉弁状態として、気液分離器61で分離された気体状の冷媒がアキュムレータ24に戻ることを防止する。つまり、第1の流量制御弁31は、エジェクタ27(第2の流入口72)における吸引冷媒の吸込み圧が低下してしまうことを防止するように流量制御を行う。なお、第1の流量制御弁31は、冷媒の流量の調整が可能であれば、他のタイプの制御弁でもよく、例えば、膨張弁でもよい。
【0043】
第2の流量制御弁32は、第4の配管54に設けられる。第2の流量制御弁32は、暖房運転時に、圧縮機23から吐出される高温高圧の気体状の冷媒がエジェクタ27の第1の流入口71に流入する流入量の調整を行う。言い換えれば、第2の流量制御弁32は、室内熱交換器41に供給する高温高圧の気体状の冷媒量が低下し熱交換効率が低下することを抑制しつつ、エジェクタ27へ駆動冷媒を供給するように流量のバランスをとるために開弁調整を行う。なお、冷房運転時には、第2の流量制御弁32は閉弁し、室内熱交換器41から吐出される気体状の冷媒がエジェクタ27の第1の流入口71の流れることを防止する。つまり、第4の配管54を閉鎖する弁として機能する。
【0044】
三方弁33は、第5の配管55に設けられる。三方弁33は、気液分離器61の第3の開口61cから供給される気体状の冷媒の流路を冷房運転時と暖房運転時とで切り替える。冷房運転時、三方弁33は、気液分離器61の第3の開口61cから供給される気体状の冷媒をエジェクタ27の第1の流入口71に供給するように第5の配管55の第14の領域55aと第15の領域55bとを接続する。一方、冷房運転時、三方弁33は、気液分離器61の第3の開口61cから供給される気体状の冷媒をエジェクタ27の第2の流入口72に供給するように第5の配管55の第14の領域55aと第16の領域55cとを接続する。三方弁33は、流路の切り替えができれば他のタイプの電磁弁等であってもよい。
【0045】
気液分離器61は、第2の配管52に設けられる。気液分離器61は、例えば表面張力式気液分離器である。なお、気液分離器61は、気体状態の冷媒と液体状態の冷媒とに分離できれば、レシーバータンク等の他の気液分離器であってもよい。気液分離器61に、第1の開口61a(液状冷媒出入口)と、第2の開口61b(液状冷媒出入口)と、第3の開口61c(気体状冷媒出口)とが設けられる。
【0046】
第1の開口61aは、冷房運転時において、気液分離器61で分離された液状の冷媒を、第2の四方弁26を介してエジェクタ27の第1の流入口71に供給する。また、第1の開口61aは、暖房運転時において、エジェクタ27の流出口73から吐出される気液二相の冷媒が第2の四方弁26を介して供給される。
【0047】
第2の開口61bは、冷房運転時において、室外熱交換器21から吐出される冷媒が流れ込む。また、第2の開口61bは、暖房運転時において、気液分離器61で分離された液状の冷媒を室外熱交換器21に向けて流出する。
【0048】
第3の開口61cは、冷房運転時において、気液分離器61で分離された気体状の冷媒を、三方弁33を介してエジェクタ27の第1の流入口71に供給する。また、第3の開口61cは、暖房運転時において、気液分離器61で分離された気体状の冷媒を、三方弁33を介してエジェクタ27の第2の流入口72に供給する。
【0049】
なお、上述したように、冷房運転時において、気液分離器61の第1の開口61aから流出する液状の冷媒と、第3の開口61cから流出する気体状の冷媒は、いずれもエジェクタ27の第1の流入口71に供給される。つまり、気液二相の状態でエジェクタ27に供給される。したがって、空気調和装置10を冷房専用機として構成する場合は、気液分離器61を省略し、室外熱交換器21から吐出される気液二相の冷媒をそのまま、エジェクタ27の第1の流入口71に供給するようにしてもよい。
【0050】
制御装置14は、室外機11および室内機12に設けられる上述した室外送風ファン22、室内送風ファン42、圧縮機23、各弁等の制御を行い、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、および他の運転制御を行う。制御装置14は、例えば、室外機11に設けられた室外制御装置14a、室内機12に設けられた室内制御装置14b等で構成される。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、電気的に接続され相互に制御信号の送受を行い、協働して室外機11と室内機12の制御を行う。室内機12に設けられた室内制御装置14bは、例えば、利用者が操作するリモートコントローラから信号を入力されて制御されてもよいし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されて制御されてもよい。なお、室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、まとめて一つの制御装置14としてもよい。この場合、制御装置14は、室外機11に設けても室内機12に設けてもよいが、例えば室内機12に設けることができる。
【0051】
制御装置14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。
【0052】
図3は、本実施形態の空気調和装置10の制御装置14およびその制御装置14によって制御される構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。図3に示すように、本実施形態の空気調和装置10は、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、第1の四方弁駆動回路84と、第2の四方弁駆動回路85、第1の流量制御弁駆動回路86、第2の流量制御弁駆動回路87、三方弁駆動回路88、エジェクタ電磁弁駆動回路89等とを有する。
【0053】
室外ファン駆動回路81は、室外送風ファン22の駆動回路である。室内ファン駆動回路82は、室内送風ファン42の駆動回路である。インバータ回路83は、圧縮機23をインバータ制御し、圧縮機23の周波数を変更する。インバータ回路83は、例えば、PAM(Pulse Amplitude Modulation)方式のインバータ回路である。なお、インバータ回路83は、この例に限られない。
【0054】
第1の四方弁駆動回路84は、第1の四方弁25の駆動回路である。第2の四方弁駆動回路85は、第2の四方弁26の駆動回路である。第1の流量制御弁駆動回路86は、第1の流量制御弁31の駆動回路である。第2の流量制御弁駆動回路87は、第2の流量制御弁32の駆動回路である。三方弁駆動回路88は、三方弁33の駆動回路である。エジェクタ電磁弁駆動回路89は、エジェクタ電磁弁78の駆動回路である。
【0055】
制御装置14は、温度センサT1~T5、および温度センサSuと、室外ファン駆動回路81と、室内ファン駆動回路82と、インバータ回路83と、第1の四方弁駆動回路84と、第2の四方弁駆動回路85、第1の流量制御弁駆動回路86、第2の流量制御弁駆動回路87、三方弁駆動回路88、エジェクタ電磁弁駆動回路89とに接続される。制御装置14は、温度取得部91と、運転切替部92と、室外ファン制御部93と、室内ファン制御部94と、圧縮機制御部95と、弁制御部96とを備える。
【0056】
温度取得部91は、温度センサT1~T5および温度センサSuを用いて、冷凍サイクル内の各部分の温度を測定する。例えば、温度センサT1は、室内熱交換器41の内部における冷媒の温度(T1値)を検出する。温度センサT2は、室内熱交換器41と第2の四方弁26との間で室内熱交換器41の近傍の冷媒の温度(T2値)を検出する。温度センサT3は、室外熱交換器21の内部における冷媒の温度(T3値)を検出する。温度センサT4は、室外熱交換器21と気液分離器61との間で室外熱交換器21の近傍の冷媒の温度(T4値)を検出する。温度センサT5は、第3の配管53において、第1の流量制御弁31とエジェクタ27の第2の流入口72との間で第1の流量制御弁31の近傍の冷媒の温度(T5値)を検出する。温度センサSuは、アキュムレータの冷媒入口で冷媒の温度(Su値)を検出する。
【0057】
運転切替部92は、空気調和装置10における冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、および他の運転の切り替えを行う。
【0058】
室外ファン制御部93は、室外送風ファン22を制御する。例えば、室外ファン制御部93は、室外ファン駆動回路81を制御することで、室外送風ファン22のモータの回転数を制御する。
【0059】
室内ファン制御部94は、室内送風ファン42を制御する。例えば、室内ファン制御部94は、室内ファン駆動回路82を制御することで、室内送風ファン42のモータの回転数を制御する。
【0060】
圧縮機制御部95は、圧縮機23を制御する。例えば、圧縮機制御部95は、インバータ回路83を制御することで、インバータ制御により圧縮機23の周波数(運転周波数)を制御する。
【0061】
弁制御部96は、第1の四方弁25、第2の四方弁26、第1の流量制御弁31、第2の流量制御弁32、三方弁33、エジェクタ電磁弁78を制御する。弁制御部96は、第1の四方弁駆動回路84を制御することで、第1の四方弁25のアクチュエータを駆動し、第1の四方弁25の冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、第2の四方弁駆動回路85を制御することで、第2の四方弁26のアクチュエータを駆動し、第2の四方弁26の冷媒が流れる方向を変更させる。弁制御部96は、第1の流量制御弁駆動回路86、第2の流量制御弁駆動回路87及びエジェクタ電磁弁駆動回路89を制御することで、第1の流量制御弁31、第2の流量制御弁32及びエジェクタ電磁弁78の開度を変更させて、媒体の流量を調整する。また、弁制御部96は、三方弁駆動回路88を制御することで、三方弁33のアクチュエータを駆動し、三方弁33の冷媒が流れる方向を変更させる。
【0062】
上述のように構成される本実施形態の空気調和装置10の冷房運転および暖房運転について説明する。なお、空気調和装置10は、冷房運転および暖房運転に限らず、除湿運転や除霜運転および除菌運転のような他の運転を行うことができる。また、空気調和装置10の冷房運転および暖房運転は、以下に説明される例に限られない。
【0063】
まず、冷房運転について、図1に示される媒体の流れ態様に基づいて説明する。例えば、空気調和装置10の起動と冷房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42は停止している。この場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、および圧縮機制御部95は、冷房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42を起動する。
【0064】
冷房運転中において、室外ファン制御部93は、室外送風ファン22の回転数を調整する。室内ファン制御部94は、室内送風ファン42の回転数を調整する。例えば、室内ファン制御部94は、室内機12が設置された室内の気温またはリモートコントローラから入力された信号に応じて、室内送風ファン42を弱風(低速)運転ないし強風(高速)運転の間で制御する。圧縮機制御部95は、圧縮機23の周波数を調整する。
【0065】
冷房運転が開始されると、弁制御部96は、第1の四方弁駆動回路84、第2の四方弁駆動回路85および三方弁駆動回路88を制御し、第1の四方弁25、第2の四方弁26および三方弁33において冷媒が流れる方向を冷房用に変更させる。また、弁制御部96は、第1の流量制御弁駆動回路86、第2の流量制御弁駆動回路87を制御し、第1の流量制御弁31および第2の流量制御弁32を冷房用に開閉弁状態を変化させる。
【0066】
具体的には、第1の四方弁25が第1の配管51の第4の領域51dと第3の領域51cとを接続し、圧縮機23の吐出口23bと室外熱交換器21とを接続する。その結果、圧縮機23から吐出された高圧高温の気体状の冷媒が室外熱交換器21に供給される。室外熱交換器21は凝縮器として機能し冷媒の熱交換を行う。なお、一般的な空調調和装置の場合、冷媒循環量を確保するために室外熱交換器で気体状の冷媒を液状の冷媒に変化させ、室外熱交換器と室内熱交換器との間に存在する膨張弁に供給する必要がある。一方、本実施形態の空気調和装置10の場合、室外熱交換器21と室内熱交換器41との間に、気液分離器61とエジェクタ27とが存在する。エジェクタ27は気液二相の冷媒を流すことが可能なデバイスなので室外機11(室外熱交換器21)であえて冷媒を完全液化する必要がない。
【0067】
室外熱交換器21から第2の開口61bを介して気液分離器61に供給された気液二相の冷媒は、気液分離された冷媒のうち気体状の冷媒が第3の開口61cから吐出され、三方弁33の流路切替により接続された第14の領域55aと第15の領域55bを介して、エジェクタ27の第1の流入口71に駆動冷媒として供給される。また、気液分離器61で気液分離されて第1の開口61aから吐出される液状の冷媒は、第2の四方弁26による流路切替により接続された第7の領域52cと第9の領域52eを介して、エジェクタ27の第1の流入口71に駆動冷媒として供給される。したがって、前述したように、冷房運転においては、室外熱交換器21から供給される気液二相の冷媒は、一度気液分離器61で液状の冷媒と気体状の冷媒とに分離されるが、再度混合され、気液二相の状態でエジェクタ27の第1の流入口71に駆動冷媒として供給される。
【0068】
また、第1の四方弁25による流路切替により第1の配管51の第1の領域51aと第2の領域51bとが接続され、室内熱交換器41から吐出される気体状の冷媒がアキュムレータ24に戻ることが可能になる。このとき、弁制御部96は、第1の流量制御弁駆動回路86を制御し、第1の流量制御弁31を介して、室内熱交換器41から吐出されアキュムレータ24に戻る気体状の冷媒の一部をエジェクタ27の第2の流入口72に流れるように開弁制御する。なお、冷房運転時には、図1に示されるように、第4の配管54は利用しないため弁制御部96は、第2の流量制御弁駆動回路87を制御し、第2の流量制御弁32を閉弁させる。
【0069】
エジェクタ27では、図2で説明したように、第1の流入口71から流入する駆動冷媒と第2の流入口72から流入する吸入冷媒とが混合されるとともに昇圧され流出口73から吐出される。昇圧された気液二相の冷媒は、第2の四方弁26の流路切替によって接続された第2の配管52の第6の領域52b及び第5の領域52aを介して蒸発器として機能する室内熱交換器41に供給さる。室内熱交換器41における熱交換の結果、室内に冷風を排出することができる。前述したように室内熱交換器41から吐出される冷媒の一部は、エジェクタ27の第2の流入口72に供給されるため、室内熱交換器41では、冷媒を完全な気体に変化させた後に吐出し、アキュムレータ24及び第2の流入口72に供給するようにする。
【0070】
上述のような冷媒の循環を実現する場合、制御装置14は、以下のような制御を実施する。ところで、前述したように、室外機11においては、室外熱交換器21からは気液分離器61に気液二相の冷媒を供給すればよいため、室外熱交換器21において、冷媒の完全な液化は必要ない。そのため、室外熱交換器21の過冷却SCは、温度センサT4の検出値であるT4値および温度センサT3の検出値であるT3値を用いて、例えば、SC=T4-T3≒5℃になるように室外ファン制御部93を制御し、室外送風ファン22の速度を調整する。また、エジェクタ27は、冷媒の圧力(圧力換算)が所定の圧力(例えば、0.9MPa付近)になったときに効率的に大きな能力を出す。例えば、冷媒の圧力0.9MPa=冷媒温度3.2℃と換算し、第10の領域53aを流れる冷媒の温度である温度センサT5の検出値(T5値)が約3.5℃付近になるように第1の流量制御弁31を制御して冷媒の流量調整を行う。また、エジェクタ27の第2の流入口72には気体状の冷媒を供給する必要があるので、例えば、温度センサSuの検出値であるSu値および温度センサT1の検出値であるT1値の温度差(過熱度SH)が、SH=Su-T1≧2℃になるようにエジェクタ27の開度を制御する。
【0071】
このように、冷房運転時の冷媒の循環を制御する本実施形態の空気調和装置10は、エジェクタ27を用いることで、室外熱交換器21において過冷却をとり冷媒を完全に液化する必要がなくなる。つまり、室外熱交換器21の低能力化が可能になる。その結果、室外熱交換器21の小型化が可能になる。また、室内熱交換器41へも、エジェクタ27を介して低温低圧の気液二相の冷媒を十分に供給することが可能になり、室内熱交換器41の冷房時の性能維持または冷房性能の向上による小型化が可能になる。また、このように室外熱交換器21、室内熱交換器41の小型化が行われれば、循環する冷媒の総量が低減可能になる。また、エジェクタ27の流出口73からは、昇圧された冷媒が吐出可能となるので、室内熱交換器41に対して冷媒を効率的に流すことができる。つまり、従来、圧縮機23で行っていた昇圧処理の一部をエジェクタ27の機能によって補うことが可能となる。このように、循環する冷媒の総量の低減、昇圧処理の軽減により圧縮機23の仕事量の軽減が可能になり、運転時の省エネルギー化に寄与することができる。
【0072】
続いて、暖房運転について、図4に示される媒体の流れ態様に基づいて説明する。暖房運転の場合も例えば、空気調和装置10の起動と暖房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42は停止している。この場合、室外ファン制御部93、室内ファン制御部94、および圧縮機制御部95は、暖房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、および室内送風ファン42を起動する。
【0073】
暖房運転中において、室外ファン制御部93は、室外送風ファン22の回転数を調整する。室内ファン制御部94は、室内送風ファン42の回転数を調整する。例えば、室内ファン制御部94は、室内機12が設置された室内の気温またはリモートコントローラから入力された信号に応じて、室内送風ファン42を弱風(低速)運転ないし強風(高速)運転の間で制御する。圧縮機制御部95は、圧縮機23の周波数を調整する。
【0074】
暖房運転が開始されると、弁制御部96は、第1の四方弁駆動回路84、第2の四方弁駆動回路85および三方弁駆動回路88を制御し、第1の四方弁25、第2の四方弁26および三方弁33において冷媒が流れる方向を暖房用に変更させる。また、弁制御部96は、第1の流量制御弁駆動回路86、第2の流量制御弁駆動回路87を制御し、第1の流量制御弁31および第2の流量制御弁32を暖房用に開閉弁状態を変化させる。
【0075】
具体的には、第1の四方弁25が第1の配管51の第4の領域51dと第1の領域51aとを接続し、圧縮機23の吐出口23bと室内熱交換器41とを接続する。その結果、圧縮機23から吐出された高温高圧の気体状の冷媒が室内熱交換器41に供給される。室内熱交換器41は凝縮器として機能し冷媒の熱交換を行い、室内に温風を放出する。また、弁制御部96は、第2の流量制御弁駆動回路87を制御し、第2の流量制御弁32を開弁調整する。その結果、圧縮機23から吐出された高温高圧の気体状の冷媒の一部が第4の配管54を介してエジェクタ27の第1の流入口71に駆動冷媒として供給される。また、第1の四方弁25の流路切替により、第1の配管51の第3の領域51cと第2の領域51bとを接続し、室外熱交換器21から吐出される冷媒をアキュムレータ24に戻す。この場合、第1の流量制御弁31は閉弁され、エジェクタ27の第2の流入口72側から冷媒がアキュムレータ24に戻ることを禁止する。
【0076】
また、第2の四方弁26による流路切替により第2の配管の第5の領域52aと第9の領域52eとが接続され、室内熱交換器41から吐出される液状の冷媒がエジェクタ27の第1の流入口71に供給される。また、第2の四方弁26による流路切替により第2の配管52の第6の領域52bと第7の領域52cとが接続され、エジェクタ27の流出口73から吐出された昇圧された冷媒が第1の開口61aから気液分離器61に供給される。さらに、三方弁33による流路切替により第5の配管の第14の領域55aと第16の領域55cとが接続され、気液分離器61で分離された気体状の冷媒がエジェクタ27の第2の流入口72に吸入冷媒として供給される。前述したように、このとき第1の流量制御弁31は閉弁されているので、気液分離器61で分離された気体状の冷媒はアキュムレータ24には戻らない。
【0077】
ここで、エジェクタ27の第1の流入口71には、室内熱交換器41から液状の冷媒と、圧縮機23から第4の配管54を介して高温高圧の気体状の冷媒が供給される。また、エジェクタ27の第2の流入口72には、流出口73から吐出された昇圧された気液二相の冷媒が気液分離器61で分離されて得られた気体状の冷媒が吸入冷媒として供給される。このとき、駆動冷媒は気液二相の温度が高い状態の冷媒であるため、流出口73から吐出される昇圧された冷媒も温度の高い状態のまま気液分離器61に供給される。その結果、気液分離器61の第2の開口61bから吐出される液状の冷媒も温度が高い状態で室外熱交換器21に供給される。室外熱交換器21は、蒸発器として機能し、冷媒を気体化して、第1の四方弁25を介してアキュムレータ24に戻る。
【0078】
上述のような冷媒の循環を実現する場合、制御装置14は、以下のような制御を実施する。暖房運転の場合、前述したように、室内熱交換器41に圧縮機23から供給する気体状の冷媒をエジェクタ27の駆動冷媒として利用する。そのため、例えば、過冷却約0℃で室外熱交換器21に戻すことができる。また、前述したように、エジェクタ27は、冷媒の圧力(圧力換算)が所定の圧力(例えば0.9MPa付近)になったときに効率的に大きな能力を出す。そこで、冷媒の圧力0.9MPa=冷媒温度3.2℃と換算し、第10の領域53aを流れる冷媒の温度である温度センサT5の検出値(T5値)が約3.5℃付近になるように第1の流量制御弁31を制御して媒体の流量調整を行う。また、例えば、温度センサSuの検出値であるSu値および温度センサT3の検出値であるT3値の温度差(過熱度SH)が、SH=Su-T3≒2℃になるようにエジェクタ27の開度を制御する。
【0079】
ところで、室内機12において、安定的かつ効率的な暖房運転を行う場合、吹出し温度は、できるだけ高い方が望ましい。本実施形態の空気調和装置10の場合、室内熱交換器41において、熱交換率を低下させる過冷却は取らないようにする。また、上述したように、本実施形態の空気調和装置10の暖房運転時にエジェクタ27の第1の流入口71に圧縮機23から高温高圧の気体状の冷媒を供給するが、エジェクタ27側に冷媒を流し過ぎると室内熱交換器41側への冷媒供給量が減ってしまう。そのため、弁制御部96は、第2の流量制御弁駆動回路87を制御し、例えば、温度センサT1の検出値であるT1値が所望の温度を維持できるように、第2の流量制御弁32の開弁度を調整して室内熱交換器41とエジェクタ27に供給する冷媒量のバランス調整を行うようにする。これにより、室内機12において高い吹出し温度を実現することが可能になる。この場合、例えば、室内熱交換器41の冷媒出口(下流側)近傍の冷媒の温度(T2値)と室内熱交換器41の内部における冷媒の温度(T1値)との差(過冷却SC)が、SC=T2-T1≒0℃になるように、圧縮機23の運転周波数及び第2の流量制御弁32を調整する。その結果、室内熱交換器41で冷媒が完全に液化しないように(過冷却をとらないように)して、冷媒が気体状態を含む状態で室内熱交換器41から排出し、エジェクタ27の第1の流入口71に供給することができる。
【0080】
このように、暖房運転時の冷媒の循環を制御する本実施形態の空気調和装置10は、エジェクタ27を用いることで、室内熱交換器41において過冷却をとり冷媒を完全に液化する必要がなくなる。つまり、室内熱交換器41を低能力化が可能になる。その結果、室内熱交換器41の小型化が可能になる。また、気液分離器61を通過して、室外熱交換器21へ液状の冷媒が供給されるため、室外熱交換器21での熱交換効率が向上する。このため、室外熱交換器21に供給する冷媒を露点温度より高くすることが可能になる。その結果、室外熱交換器21における熱交換時に霜が付きにくくすることができる。つまり、除霜処理を行う必要がない空気調和装置10を提供することができる。また、室外熱交換器21の性能を維持しつつ小型化が可能になる。また、室内熱交換器41で過冷却をとらないので、室内熱交換器41の小型化が可能になる。また、このように室外熱交換器21、室内熱交換器41の小型化が行われれば、循環する冷媒の総量が低減可能になる。また、エジェクタ27の流出口73からは、昇圧された冷媒が吐出可能となるので、室外熱交換器21に対して冷媒を効率的に流すことができる。つまり、従来、圧縮機23で行っていた昇圧処理の一部をエジェクタ27の機能によって補うことが可能となる。このように、循環する冷媒の総量の低減、昇圧処理の軽減により圧縮機23の仕事量の軽減が可能になり、運転時の省エネルギー化に寄与することができる。
【0081】
以上説明された実施形態に係る空気調和装置10は、室内熱交換器41と、室外熱交換器21と、第1の配管51と、第2の配管52と、圧縮機23と、第1の四方弁25と、エジェクタ27と、第2の四方弁26と、気液分離器61と、第3の配管53と、第4の配管54と、第5の配管55と、を備える。室内熱交換器41は、室内機12に設けられる。室外熱交換器21は、室外機11に設けられる。第1の配管51は、室内熱交換器41と室外熱交換器21とを接続し、冷媒が流れる。第2の配管52は、室外熱交換器21と室内熱交換器41とを接続し、冷媒が流れる。圧縮機23は、第1の配管51に設けられ、冷媒を吸入する吸入口23aと、冷媒を吐出する吐出口23bと、を有する。第1の四方弁25は、第1の配管51に設けられ、冷媒が流れる方向を変更可能である。エジェクタ27は、第2の配管52に設けられ、第2の配管52における上流側から冷媒が流入する第1の流入口71と、第2の配管52とは異なる配管から冷媒が流入する第2の流入口72と、が設けられ、第1の流入口71に供給された冷媒と第2の流入口72に供給された冷媒とを混合して流出口73から第2の配管52の下流側に供給可能である。第2の四方弁26は、第2の配管52に設けられ、エジェクタ27の第1の流入口71と流出口73とに接続され、流出口73から流出する冷媒の流れる方向を変更可能である。気液分離器61は、第2の配管52に設けられ、第2の四方弁26と接続される第1の開口61aと、室外熱交換器21と接続される第2の開口61bと、気体状の冷媒が通る第3の開口61cと、が設けられる。第3の配管53は、第1の四方弁25と圧縮機23の吸入口23aとを接続する第1の配管51と、エジェクタ27の第2の流入口72と、を接続する。第4の配管54は、第1の四方弁25と室内熱交換器41との接続する第1の配管51と、エジェクタ27の第1の流入口71と第2の四方弁26とを接続する第2の配管52と、を接続する。第5の配管55は、気液分離器61の第3の開口61cと、第3の配管53またはエジェクタ27の第1の流入口71と第2の四方弁26とを接続する第2の配管52と、を接続する。この構成によれば、例えば、圧縮機23の仕事の一部をエジェクタ27で補うことが可能になり、省エネルギー化に寄与できる。また、冷凍サイクルにおける熱交換効率が向上可能となり、室外熱交換器21、室内熱交換器41の小型化が可能になるとともに、循環する冷媒の総量の軽減(削減)に寄与できる。
【0082】
また、空気調和装置10は、例えば、第3の配管53に冷媒の流量を制御する第1の流量制御弁31を備えてもよい。この構成によれば、例えば、エジェクタ27の吸入冷媒の流量制御を容易かつ高精度に実現することができる。
【0083】
また、空気調和装置10は、例えば、第4の配管54に冷媒の流量を制御する第2の流量制御弁32を備えてもよい。この構成によれば、例えば、暖房運転時に室内熱交換器41への冷媒供給量とエジェクタ27への冷媒供給量のバランスを容易にとることが可能になり、効率的な暖房運転を容易に行うことができる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
10…空気調和装置、11…室外機、12…室内機、13…冷媒配管、14…制御装置、21…室外熱交換器、23…圧縮機、24…アキュムレータ、25…第1の四方弁、26…第2の四方弁、27…エジェクタ、31…第1の流量制御弁、32…第2の流量制御弁、33…三方弁(切替弁)、41…室内熱交換器、51…第1の配管、52…第2の配管、53…第3の配管、54…第4の配管、55…第5の配管、61…気液分離器、71…第1の流入口、72…第2の流入口、73…流出口。
図1
図2
図3
図4