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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080938
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】送信装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/38 20060101AFI20240610BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20240610BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240610BHJP
   B65D 25/02 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B65D19/38 Z
G06K19/07 160
G06K19/077 220
G06K19/07 020
B65D25/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194307
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】596100812
【氏名又は名称】京セラコミュニケーションシステム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522473450
【氏名又は名称】エスジェイアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SJI CO., Ltd
【住所又は居所原語表記】54-33, Dongtanhana 1-gil, Hwaseong-si, Gyeonggi-do, 18423, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】宮下 純一
(72)【発明者】
【氏名】海野 晃平
(72)【発明者】
【氏名】高田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨンウン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ホユン
(72)【発明者】
【氏名】キム,クァンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,キダエ
【テーマコード(参考)】
3E062
3E063
【Fターム(参考)】
3E062AA20
3E062AC03
3E062AC04
3E062BA20
3E062BB02
3E062BB06
3E062BB09
3E063AA02
3E063BA08
3E063EE01
3E063FF20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】永久磁石のような特殊な部品を用いなくとも、また、検出対象であるネジなどの取付具として磁性体を用いなくてもよい送信装置を提供する。
【解決手段】送信装置2は、ネジなどの取付具20によって、パレットなどの対象物10に取付けられる。送信装置2には電極などの検出部60が設けられている。制御部70は、送信装置2が対象物10に取付けられたことを、取付具20や対象物10によって検出部60に生じた静電容量の変化を検出する。制御部70は、静電容量の変化によって送信装置2が対象物10に取付けられたことを検知し、送信回路80を駆動状態にする。これにより、送信回路80は、送信装置2の識別符号を所定時間間隔で継続的に送信する。サーバ装置(図示せず)は、基地局などを介してこの信号を取得し、対象物10のトラッキングを行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自らの識別符号を送信する送信回路を収納し、取付具を挿入するための貫通孔が設けられた筐体と、
前記筐体を対象物に取り付けるために、前記貫通孔に前記取付具を挿入すると、静電容量を変化させる検出部と、
検出部の静電容量の変化を検出して、前記取付具が前記筐体に取り付けられたことを検知し、前記送信回路の動作を開始または停止する制御部と、
を備えた送信装置。
【請求項2】
請求項1の送信装置において、
前記取付具は、金属製のネジまたは釘であることを特徴とする送信装置。
【請求項3】
請求項2の送信装置において、
前記送信回路は、基板によって前記筐体に固定されており、
前記基板には、前記貫通孔に対応する位置に基板貫通孔が設けられ、
前記基板貫通孔の内面には、前記基板貫通孔に挿入された前記金属製のネジまたは釘に対向するように検出部の検出電極が設けられていることを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項3の送信装置において、
前記基板には、温度補償用電極が設けられ、
前記制御部は、温度変化による静電容量の変化の影響を、前記温度補償用電極の静電容量の変化を検出して補償するようにしたことを特徴とする送信装置。
【請求項5】
請求項4の送信装置において、
前記基板には、補償電極用貫通孔が設けられ。
前記補償用電極は、前記補償電極用貫通孔の内面にも設けられていることを特徴とする送信装置。
【請求項6】
請求項1~5の送信装置において、
前記制御部は、自己容量方式にて前記取付具の有無を検知することを特徴とする送信装置。
【請求項7】
請求項1~5の送信装置において、
前記制御部は、相互容量方式にて前記取付具の有無を検知することを特徴とする送信装置。
【請求項8】
請求項1~5の送信装置において、
前記送信回路は、LPWA規格の送信機であることを特徴とする送信装置。
【請求項9】
自らの識別符号を送信する送信回路を収納した筐体と、
取付具によって前記筐体が対象物に取り付けられると、静電容量を変化させる検出部と、
検出部の静電容量の変化を検出して、前記取付具が前記筐体に取り付けられたことを検知し、前記送信回路の動作を制御する制御部と、
を備えた送信装置。
【請求項10】
請求項9の送信装置において、
前記検出部は、前記取付具に近接するように検出電極を有し、前記取付具から離れた位置に補償用電極を有しており、
前記制御部は、温度変化による静電容量の変化の影響を、前記温度補償用電極の静電容量の変化を検出して補償するようにしたことを特徴とする送信装置。
【請求項11】
筐体に収納された送信回路を、取付具を用いて対象物に取り付けるステップと、
対象物に対して筐体が取り付けられたことを、筐体に設けた電極の静電容量の変化によって検出するステップと、
対象物に対して筐体が取り付けられたことを検出すると、前記送信回路を駆動状態または停止状態にするステップと、
を備えた送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は送信装置に関するものであり、特にその駆動制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パレットなどの対象物に送信装置を取り付けて、送信装置からの識別符号付きの信号をサーバ装置にて取得し、対象物を追跡するシステムが用いられている。この送信装置は、移動する対象物に適応するために、電池駆動であることが多く、電池の消耗が問題となる。このため、送信装置を対象物に取り付けるまでは、送信装置を駆動状態にせず、電波を送信しない待機状態にしておくことが望ましい。
【0003】
ただし、送信装置を対象物に取り付けた際に、送信装置を駆動状態に切り替えるのを忘れる可能性がある。これを解決するため。特許文献1では、送信装置をパレットにネジ止めした際に、当該ネジの有無を磁気センサにて検出し、自動的に送信装置を駆動状態にすることが開示されている。したがって、送信装置を取り付けたものの、送信装置が駆動状態になっていないという事態をさけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-147056
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術では、磁気センサを用いているため、磁束を通過させる材料にて形成されたネジを用いなければならず、たとえば非磁性体のネジでは動作しなかった。また、磁束を発生させるために永久磁石を設けなければならず、電子回路としては特殊な部品が必要であった。さらに、永久磁石を電子回路の近傍に設ける必要があり、検出精度を向上させるために磁束密度を高くすると電子回路への悪影響が懸念された。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決して、永久磁石のような特殊な部品を用いなくとも、また、検出対象であるネジなどの取付具として磁性体を用いなくてもよい送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の独立して適用可能ないくつかの特徴を列挙する。
【0008】
(1)この発明に係る送信装置は、自らの識別符号を送信する送信回路を収納し、取付具を挿入するための貫通孔が設けられた筐体と、前記筐体を対象物に取り付けるために、前記貫通孔に前記取付具を挿入すると、静電容量を変化させる検出部と、検出部の静電容量の変化を検出して、前記取付具が前記筐体に取り付けられたことを検知し、前記送信回路の動作を開始または停止する制御部とを備えている。
【0009】
したがって、永久磁石などの特殊な部品を設けることなく、送信装置の装着に応じて自動的に送信回路を駆動させることができる。
【0010】
(2)この発明に係る送信装置は、取付付具が、金属製のネジまたは釘であることを特徴としている。
【0011】
したがって、取付金具による静電容量の変化を大きくすることができ、正確な検出を行うことができる。
【0012】
(3)この発明に係る送信装置は、送信回路が、基板によって前記筐体に固定されており、前記基板には、前記貫通孔に対応する位置に基板貫通孔が設けられ、前記基板貫通孔の内面には、前記基板貫通孔に挿入された前記金属製のネジまたは釘に対向するように検出部の検出電極が設けられていることを特徴としている。
【0013】
したがって、取付のためのネジや釘の挿入を精度よく検出することができる。
【0014】
(4)この発明に係る送信装置は、基板には、温度補償用電極が設けられ、前記制御部は、温度変化による静電容量の変化の影響を、前記温度補償用電極の静電容量の変化を検出して補償するようにしたことを特徴としている。
【0015】
したがって、温度変化による静電容量の変化を補償して精度よく検出を行うことができる。
【0016】
(5)この発明に係る送信装置は、基板には、補償電極用貫通孔が設けられ、前記補償用電極は、前記補償電極用貫通孔の内面にも設けられていることを特徴としている。
【0017】
したがって、精度よく温度補償を行うことができる。
【0018】
(6)この発明に係る送信装置は、制御部が、自己容量方式にて前記取付具の有無を検知することを特徴としている。
【0019】
したがって、精度よく検出を行うことができる。
【0020】
(7)この発明に係る送信装置は、制御部が、相互容量方式にて前記取付具の有無を検知することを特徴としている。
【0021】
したがって、安定して検出を行うことができる。
【0022】
(8)この発明に係る送信装置は、送信回路が、LPWA規格の送信機であることを特徴としている。
【0023】
したがって、消費電力を抑えることができる。
【0024】
(9)この発明に係る送信装置は、自らの識別符号を送信する送信回路を収納した筐体と、取付具によって前記筐体が対象物に取り付けられると、静電容量を変化させる検出部と、検出部の静電容量の変化を検出して、前記取付具が前記筐体に取り付けられたことを検知し、前記送信回路の動作を制御する制御部とを備えている。
【0025】
したがって、永久磁石などの特殊な部品を設けることなく、送信装置の装着に応じて自動的に送信回路を駆動させることができる。
【0026】
(10)この発明に係る送信装置は、検出部が、前記取付具に近接するように検出電極を有し、前記取付具から離れた位置に補償用電極を有しており、前記制御部は、温度変化による静電容量の変化の影響を、前記温度補償用電極の静電容量の変化を検出して補償するようにしたことを特徴としている。
【0027】
したがって、温度変化による静電容量の変化を補償して精度よく検出を行うことができる。
【0028】
(11)この発明に係る送信方法は、筐体に収納された送信回路を、取付具を用いて対象物に取り付けるステップと、対象物に対して筐体が取り付けられたことを、筐体に設けた電極の静電容量の変化によって検出するステップと、対象物に対して筐体が取り付けられたことを検出すると、前記送信回路を駆動状態または停止状態にするステップとを備えている。
【0029】
したがって、永久磁石などの特殊な部品を設けることなく、送信装置の装着に応じて自動的に送信回路を駆動させることができる。
【0030】
「装置」とは、1台のコンピュータによって構成されるものだけでなく、ネットワークなどを介して接続された複数のコンピュータによって構成されるものも含む概念である。したがって、本発明の手段(あるいは手段の一部でもよい)が複数のコンピュータに分散されている場合、これら複数のコンピュータが装置に該当する。
【0031】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム、オペレーティングシステムと協働してその機能を発揮するプログラム等を含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この発明の一実施形態による送信装置2の機能構成である。
図2】送信装置2の外観である。
図3A】パレット10に対する送信装置2の取付を示す図である。
図3B】パレット10に対する送信装置2の取付を示す図である。
図4】送信装置2の断面図である。
図5】基板30の斜視図である。
図6】送信装置2の回路ブロック図である。
図7】静電容量検出モジュール72のファームウエアのフローチャートである。
図8】マイクロプロセッサ74の制御プログラムのフローチャートである。
図9】Sigfox送信モジュール80のファームウエアのフローチャートである。
図10】追跡サーバ装置SVCによる位置検出の仕組みを示す図である。
図11】他の例による基板30の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1.機能的構成
図1に、この発明の一実施形態による送信装置2の機能的構成を示す。送信装置2は、ネジなどの取付具20によって、パレットなどの対象物10に取付けられる。送信装置2には電極などの検出部60が設けられている。制御部70は、送信装置2が対象物10に取付けられたことを、取付具20や対象物10によって検出部60に生じた静電容量の変化を検出する。
【0034】
制御部70は、静電容量の変化によって送信装置2が対象物10に取付けられたことを検知し、送信回路80を駆動状態にする。これにより、送信回路80は、送信装置2の識別符号を所定時間間隔で継続的に送信する。サーバ装置(図示せず)は、基地局などを介してこの信号を取得し、対象物10のトラッキングを行う。
【0035】
この実施形態では、静電容量の変化によって送信装置20が対象物10に取り付けられたことを検出して送信回路10を駆動するようにしている。したがって、永久磁石などの特殊な部品を設けることなく、送信装置20の装着に応じて自動的に送信回路10を駆動させることができる。
【0036】
2.外観および構造
図2に、この発明の一実施形態による送信装置2の外観を示す。送信装置2は、内部に送信回路(図示せず)を収納した筐体4を備えており、筐体4には貫通孔6が設けられている。
【0037】
この送信装置2は、たとえば、図3Aに示すように対象物であるパレット10に固定されて使用される。送信装置2の貫通孔6に金属製のネジ20を挿入し、パレット10の木製の支柱12にネジ止めする。
【0038】
この実施形態では、ネジ20が貫通孔6に挿入されたことを検知し、送信装置2が駆動を開始する。これにより、送信装置2の装着がなされると、自動的に、送信装置2の駆動を開始させることができる。その詳細については以下に説明する。
【0039】
図4Aに送信装置2の平断面図、図4Bに横断面図を示す。図4Aに示すように、筐体4の内部には、送信部や制御部が設けられた基板30が固定されている。送信部や制御部に電力を供給するための電池50も収納されている。
【0040】
図4Bに示すように、筐体4は、上筐体40と下筐体42を備えて構成され、上筐体40と下筐体42とが勘合して、内部に水などが侵入しないように構成されている。上筐体40の中央付近において、下方向に突出する円筒部40Aが設けられ、円筒部40Aの内側に貫通孔6を形成している。基板30には、円筒部40Aの外側よりやや大きい穴32(基板貫通孔)が設けられ、穴32に円筒部40Aが挿入されている。
【0041】
図5に、基板30の斜視図を示す。穴32の周囲には金属膜36が形成されている。裏面にも、同様に穴32の周囲に金属膜(図示せず)が形成されている。穴32の内面には金属膜34が形成され(スルーホール)、表面の金属膜36と裏面の金属膜とを電気的に接続している。これら金属膜34および表裏面の金属膜によって、検出電極38が構成されている。後述のように、ネジ20が挿入された時の検出電極38の静電容量の変化を検出して、送信部を駆動するようにしている。穴32の内面の金属膜34は、ネジ20と対向するように設けられており、ネジ20の有無による静電容量の変化が大きくなるように構成されている。
【0042】
また、基板30には、穴35(補償電極用貫通孔)が設けられている。穴35の周囲には金属膜31が形成されている。裏面にも、同様に穴35の周囲に金属膜(図示せず)が形成されている。穴35の内面には金属膜33が形成され(スルーホール)、表面の金属膜33と裏面の金属膜とを電気的に接続している。これら金属膜31および表裏面の金属膜によって、温度補償用電極35が形成されている。
【0043】
なお、この実施形態では、検出電極38において、金属膜36(表および裏)、金属膜34の表面には、金属物の接触による誤動作を防止するために、非導電性のレジストが塗布されている。同様に、温度補償用電極の金属膜31(表および裏)、金属膜33の表面には、金属物の接触による誤動作を防止するために、非導電性のレジストが塗布されている。
【0044】
3.ハードウエア構成
図6に、送信装置2の回路ブロック図を示す。これら回路は電池50からの電力供給を受けて動作する。検出部60は、検出電極38と温度補償用電極35を備えて構成されている。制御部70は、静電容量検出モジュール72(たとえば、Azoteq社のIQS7222Cを用いることができる)、マイクロプロセッサ74を備えて構成されている。送信回路は、LPWA規格の送信を行うSigfox送信モジュール80(たとえば、Innovation Farm社のIFS-M01)を備えて構成されている。
【0045】
静電容量検出モジュール72には、図5に示す検出電極38、温度補償用電極35が接続されている。静電容量検出モジュール72は、交流信号を検出電極38および温度補償用電極35に与えることにより、自己静電容量方式にて検出電極38および温度補償用電極35の静電容量を検出する。静電容量検出モジュール72は、CPUを備えている。
【0046】
4.制御処理
図7に、静電容量検出モジュール72に記録されたファームウエアのフローチャートを示す。静電容量検出モジュール72は、電力消費を減らすためスリープ状態であり、所定時間ごと(たとえば1分ごと)に、タイマによって通常モードとなって図7の処理を実行する。
【0047】
静電容量検出モジュール72(のCPU)は、検出電極38の静電容量を検出する(ステップS1)。同様に、温度補償用電極35の静電容量も検出する(ステップS2)。たとえば、交流信号を与えたときの電圧変化により、静電容量を検出することができる。
【0048】
続いて、ステップS3において、検出電極38の静電容量を、温度補償用電極35の静電容量によって補正し、温度変化による静電容量の変化をキャンセルする。
【0049】
図4において、ネジ20が挿入されていない時、検出電極38(図5参照)の静電容量は周囲との寄生容量Cxのみである。一方、ネジ20が挿入されると、検出電極38の静電容量は、周囲との寄生容量Cxにネジ20による寄生容量Cfが加わって大きくなる。したがって、ステップS3において算出した静電容量が、所定のしきい値を超えているか否かを判断することにより、ネジ20が挿入されたか否かを判断することができる。
【0050】
静電容量検出モジュール72は、ステップS3において算出した静電容量が、予め定められたしきい値を超えているか否かを判断する(ステップS4)。超えていなければ、処理を終了し、スリープモードに戻る。
【0051】
しきい値を超えており、ネジ20が挿入されたと判断すると、検出出力を端子RDYから出力する(ステップS5)。
【0052】
図6に示すように、端子RDYはマイクロプロセッサ74のハードウエア割込端子IRに接続されている。したがって、スリープ状態にあったマイクロプロセッサ74は、通常モードとなる。
【0053】
マイクロプロセッサ74に記録されている制御プログラムのフローチャートを図8に示す。マイクロプロセッサ74は、送信機駆動モードであるか否かを判断する(ステップS11)。送信機駆動モードでなければ、I2Cの信号ラインD(同期はクロックラインCLにて行う)を介して、静電容量検出モジュール72に要求を行い、静電容量値(図7のステップS3における容量値)を取得する(ステップS12)。
【0054】
マイクロプロセッサ74は、静電容量値が予め定めたしきい値を超えているか否かを判断する(ステップS13)。超えていれば、送信機駆動モードに設定し、Sigfox送信モジュール80の割込端子T1に対して、駆動信号を出力する(ステップS15)。
【0055】
このように、静電容量検出モジュール72の検出出力によって、直ちにSigfox送信モジュール80を駆動するようにしていないのは次の理由による。静電容量検出モジュール72が検出出力を出すしきい値は詳細に設定することができない。そこで、静電容量検出モジュール72においては、比較的小さなしきい値にて検出出力を出すようにし、マイクロプロセッサ74において静電容量値に基づいて正確な判断をするようにしている。
【0056】
Sigfox送信モジュール80のファームウエアのフローチャートを図9に示す。マイクロプロセッサ74からの駆動信号を端子T1に受けると、スリープ状態にあったSigfox送信モジュール80は、通常状態となって、図9の処理を開始する。
【0057】
Sigfox送信モジュール80は、LPWA規格によって、識別符号を含むデータ信号を無線送信する(ステップS31)。データ信号を送信すると、Sigfox送信モジュール80はスリープ状態(低消費電力モード)となる(ステップS32)。予め設定された所定時間(たとえば24時間)が経過すると、Sigfox送信モジュール80は、通常状態に復帰して、データ信号を送信し(ステップS34)、スリープ状態となる(ステップS32)。
【0058】
上記のように、端子T1に駆動信号が与えられると、Sigfox送信モジュール80は、所定時間間隔にてデータ信号を送信する。この信号は、図10に示すように、基地局B1、B2、B3、B4などで受信され、その受信強度に基づいて、追跡サーバ装置SVCにより位置が算出されて記録される。これによって、送信装置2の位置追跡が行われることになる。
【0059】
上記の処理において、割込端子IRへの検出信号によって通常状態となったマイクロプロセッサ74は、図8のステップS12~S15までの処理を行った後、スリープ状態となり、所定時間間隔にて通常状態となって図8の処理を実行する。
【0060】
送信機駆動モードになった状態では、静電容量検出モジュール72から受信した静電容量値が、所定のしきい値を下回っているかどうかを判断する(ステップS16、S17)。下回っていなければ、送信機駆動モードを維持する。
【0061】
送信装置2の貫通孔6からネジ20が取り除かれて送信装置2がパレット10から取り外されると、静電容量値が所定のしきい値を下回る。静電容量値が所定のしきい値を下回ると、マイクロプロセッサ74は、送信機スリープモードに設定する(ステップS18)。Sigfox送信モジュール80の割込端子T2に停止信号を与える。これを受けて、Sigfox送信モジュール80は、所定時間毎のデータ送信を中止し、端子T1による割込があるまではスリープモードに入る。
【0062】
また、静電容量が所定のしきい値を下回った場合、マイクロプロセッサ74もスリープモードに入って初期状態となる。
【0063】
5.その他
(1)上記実施形態では、送信装置2をパレット10の側面から取り付けるようにしている。しかし、いずれの箇所に取り付けるようにしてもよい。たとえば、隣接する上板11の間において、上方から取り付けるようにしてもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、送信装置2を木製のパレット10に取り付ける場合について説明した。しかし、図3Bに示すように、プラスチック製のパレット10の隙間に送信装置2を挿入して、ネジ(図示せず)にて止めるようにしてもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、送信装置2を取り付ける対象物をパレット10として説明した。しかし、送信装置2を取り付けることが可能な物であれば対象物とすることができる。
【0066】
(4)上記実施形態では、取付具としてネジ20を用いて送信装置2を対象物に取り付けるようにしている。しかし、ボルト・ナット、U字金具、U字釘などを取付具として用いるようにしてもよい。この場合、U字金具などの近接を検出できるように、筐体4の内部に検出電極38を設けることが好ましい。
【0067】
(5)上記実施形態では、図5に示すように、孔32の周縁にも電極36を設けて、電極34とともに検出電極38としている。しかし、孔32の内面のみに電極34を設け、これを検出電極38としてもよい。温度補償用電極35についても同様である。
【0068】
(6)上記実施形態では、取付具であるネジ10による検出電極38の静電容量の変化を検出するようにしている。しかし、送信装置2が導電体である対象物に取り付けられたことによる検出電極38の静電容量の変化を検出するようにしてもよい。対象物が導電体であれば(たとえば、鉄製パレット)、取り付けられたか否かを判断することができる。
【0069】
(7)上記実施形態では、取付具であるネジ10によって送信装置2が取り付けられるとSigfox送信モジュール80が駆動し、ネジ10が取り外されるとSigfox送信モジュール80が停止するように構成している。しかし、一旦、取り付けられてSigfox送信モジュール80が駆動した後は、ネジ10が取り外されてもSigfox送信モジュール80が駆動しつづけるようにしてもよい。
【0070】
(8)上記実施形態では、送信装置2が対象物に取り付けられるとSigfox送信モジュール80が駆動を開始するようにしている。しかし、送信装置2が対象物に取り付けられる前には駆動するようにし、対象物に取り付けられると停止するようにしてもよい。
【0071】
(9)上記実施形態では、送信装置2が対象物に取り付けられると、直ちにSigfox送信モジュール80が駆動を開始するようにしている。しかし、所定時間経過した後に、Sigfox送信モジュール80が駆動を開始するようにしてもよい。
【0072】
(10)上記実施形態では、静電容量検出モジュール72の検出出力があるとマイクロプロセッサ74が判断を行って、Sigfox送信モジュール80が駆動するようにしている。しかし、静電容量検出モジュール72の検出出力をSigfox送信モジュール80に与えて駆動を開始するようにしてもよい。
【0073】
(11)上記実施形態では、取付具であるネジ20は金属製のものを使用している。しかし、金属でない導電性のものを使用してもよい。
【0074】
(12)上記実施形態では、温度補償用電極35を設けて温度補償を行うようにしている。しかし、温度と静電容量変化との関係式に基づいて、計測された静電容量を修正するようにしてもよい。この場合、温度補償用電極35は不要である。また、使用状況などによっては、温度補償を行わなくともよい。
【0075】
(13)上記実施形態では、自己静電容量方式にて静電容量の変化を検出するようにしている。しかし、検出電極38を2つ設けて、相互静電容量方式にて静電容量の変化を検出するようにしてもよい。この場合、図11に示すように、検出電極38Aと検出電極38Bを設け、両電極間の静電容量を検出する。また、温度補償用電極も温度補償用電極35Aと温度補償用電極35Bを設ける。
【0076】
(14)上記実施形態では、LPWA規格の送信回路を用いているが、通常の携帯無線通信など他の無線通信を用いてもよい。
【0077】
(15)上記実施形態では、図10に示すように、基地局をベースにして位置を特定するようにしている(たとえばSigfox社のAtlas Native)。しかし、WiFiアクセスポイントのMACアドレスをもとに位置を特定するようにしてもよい(たとえばSigfox社のAtlas WiFi)。
【0078】
(16)上記実施形態では、Sigfox送信モジュール80として、Innovation Farm社のIFS-M01を用いている。しかし、STMicroelectronics社のSTM32WLなど他のSigfox送信モジュールを用いてもよい。STM32WLを用いた場合には、所定時間間隔にて送信するタイミングの制御は、STM32WL自身ではなく外部から行うことになる。
【0079】
(17)上記実施形態では、CPUを用いて制御を行っているが、その一部または全部をハードウエアロジックによって構成してもよい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正の内容】
図11