(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008094
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01B 7/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
G01B7/00 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109653
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】石丸 裕
(72)【発明者】
【氏名】中谷 政次
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BA21
2F063BB02
2F063BB05
2F063BC05
2F063BD11
2F063CA04
2F063CA09
2F063DA01
2F063DA02
2F063DA05
2F063DC08
2F063DD08
2F063EB16
2F063FA00
2F063HA01
(57)【要約】
【課題】静電容量式変位計の測定に影響を及ぼさずに、信頼性が高い計測結果だけを記録する検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置は、導電材料製の計測対象との距離を計測する静電容量式変位計と、静電容量式変位計のセンサグランドが電気的に接続された接地部と、計測対象が取り付けられた導電材料製の板である支持部を押圧して支持部を固定し、接地部に接触する2つの押圧ピンと、静電容量式変位計が距離を計測していない時間に、支持部を含む部分の2つの地点の間の抵抗を測定する抵抗測定計と、抵抗が閾値より低い場合に、抵抗の測定前に静電容量式変位計で計測された計測結果を記録する測定制御部とを備える。2つの押圧ピンの少なくとも1つは導電材料製である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材料製の計測対象との距離を計測する静電容量式変位計と、
前記静電容量式変位計のセンサグランドが電気的に接続された接地部と、
前記計測対象が取り付けられた導電材料製の板である支持部を押圧して前記支持部を固定し、前記接地部に接触する2つの押圧ピンと、
前記静電容量式変位計が前記距離を計測していない時間に、前記支持部を含む部分の2つの地点の間の抵抗を測定する抵抗測定計と、
前記抵抗が閾値より低い場合に、前記抵抗の測定前に前記静電容量式変位計で計測された計測結果を記録する測定制御部とを備え、
前記2つの押圧ピンの少なくとも1つは導電材料製である
検査装置。
【請求項2】
前記抵抗が閾値より高い場合に、前記測定制御部は、前記抵抗の測定前に前記静電容量式変位計で計測された前記計測結果を記録せず、警告を発する
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記抵抗測定計は、前記接地部と前記支持部を含む回路の抵抗を測定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記抵抗測定計を前記支持部に電気的に接続し、前記静電容量式変位計が前記距離を計測する時、前記抵抗測定計を前記支持部から電気的に切り離す切替部をさらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記2つの押圧ピンの一方は、前記接地部に接触して前記支持部に接触しない導電材料製の第1の端部と、前記支持部に接触して前記接地部に接触しない導電材料製の第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部の間に介在させられた絶縁材料製の絶縁部を有し、
前記切替部は、前記押圧ピンの前記第2の端部に電気的に接続された共通端子と、前記接地部に電気的に接続された接地端子と、前記抵抗測定計に電気的に接続された抵抗測定端子を有し、
前記抵抗測定計は、前記接地部に電気的に接続された第1の端子と、前記切替部の前記抵抗測定端子に電気的に接続されて、前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記押圧ピンの前記第2の端部に電気的に接続される第2の端子を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記切替部は、前記支持部に電気的に接続された共通端子と、前記接地部に電気的に接続された接地端子と、前記抵抗測定計に電気的に接続された抵抗測定端子を有し、
前記抵抗測定計は、前記接地部に電気的に接続された第1の端子と、前記切替部の前記抵抗測定端子に電気的に接続されて、前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記支持部に電気的に接続される第2の端子を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項7】
前記支持部に接触して前記支持部に電気的に接続される導電材料製のコンタクト部材をさらに備え、
前記切替部の前記共通端子は、前記コンタクト部材に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項6に記載の検査装置。
【請求項8】
前記コンタクト部材は、前記支持部の前記計測対象が配置された面と反対の面に接触する
ことを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
【請求項9】
前記支持部は孔部を有し、
前記コンタクト部材は、前記孔部に挿入されて前記支持部に電気的に接続されるコンタクトピンである
ことを特徴とする請求項7に記載の検査装置。
【請求項10】
前記コンタクトピンは、径方向に拡張可能な拡張部を有し、前記拡張部は前記孔部への挿入時に径方向に拡張して前記孔部の内周面に接触し、前記孔部からの抜き出し時に径方向に縮小する
ことを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記拡張部の前記孔部の前記内周面に対する接触圧を推定するための機構をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記抵抗測定計は、前記支持部の2つの地点の間の抵抗を測定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の検査装置。
【請求項13】
2つの切替部をさらに備え、
前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記2つの切替部は、前記抵抗測定計を前記支持部の前記2つの地点に電気的に接続し、前記静電容量式変位計が前記距離を計測する時、前記2つの切替部は、前記抵抗測定計を前記支持部から電気的に切り離す
ことを特徴とする請求項12に記載の検査装置。
【請求項14】
前記支持部の前記2つの地点にそれぞれ接触して前記支持部に電気的に接続される導電材料製の2つのコンタクト部材をさらに備え、
各切替部は、前記コンタクト部材の1つに電気的に接続された共通端子と、前記接地部に電気的に接続された接地端子と、前記抵抗測定計に電気的に接続された抵抗測定端子を有し、
前記抵抗測定計は、前記2つの切替部の前記抵抗測定端子に電気的にそれぞれ接続されて、前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記2つのコンタクト部材に電気的にそれぞれ接続される2つの端子を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の検査装置。
【請求項15】
前記2つの地点は、前記支持部の前記計測対象が配置された面と反対側の面にある
ことを特徴とする請求項14に記載の検査装置。
【請求項16】
前記支持部は、前記2つの地点のそれぞれに2つの孔部を有し、
前記2つのコンタクト部材は、前記孔部にそれぞれ挿入されて前記支持部に電気的に接続される2つのコンタクトピンである
ことを特徴とする請求項14に記載の検査装置。
【請求項17】
各コンタクトピンは、径方向に拡張可能な拡張部を有し、前記拡張部は前記孔部への挿入時に径方向に拡張して前記孔部の内周面に接触し、前記孔部からの抜き出し時に径方向に縮小する
ことを特徴とする請求項16に記載の検査装置。
【請求項18】
各コンタクトピンの前記拡張部の対応する孔部の前記内周面に対する接触圧を推定するための機構をさらに備えることを特徴とする請求項17に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電材料製の測定対象の位置を計測する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量式変位計は、特許文献1に記載されているように、測定対象の位置を計測するために広く使用されている。
静電容量式変位計のセンサグランドは、計測対象に電気的に接続され、計測対象と同電位であることが必要とされる。
【0003】
各種の部品が組付けられたアッセンブリユニットのベース板に固定され回転部材のベース板に対する高さを静電容量式変位計で計測する場合、ベース板を押圧ピンで押圧して固定することにより、回転部材を計測位置に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回転部材の高さを高い精度で測定するには、回転部材と静電容量式変位計のセンサグランドができる限り同電位であることが必要とされる。回転部材とセンサグランドの電位差を確認するには、回転部材とセンサグランドの抵抗を測定することが考えられるが、抵抗測定時に電圧が発生し、静電容量式変位計の測定に影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、静電容量式変位計の測定に影響を及ぼさずに、信頼性が高い計測結果だけを記録する検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は検査装置を提供する。この検査装置は、導電材料製の計測対象との距離を計測する静電容量式変位計と、前記静電容量式変位計のセンサグランドが電気的に接続された接地部と、前記計測対象が取り付けられた導電材料製の板である支持部を押圧して前記支持部を固定し、前記接地部に接触する2つの押圧ピンと、前記静電容量式変位計が前記距離を計測していない時間に、前記支持部を含む部分の2つの地点の間の抵抗を測定する抵抗測定計と、前記抵抗が閾値より低い場合に、前記抵抗の測定前に前記静電容量式変位計で計測された計測結果を記録する測定制御部とを備える。前記2つの押圧ピンの少なくとも1つは導電材料製である。
【0008】
この態様においては、2つの押圧ピンが支持部を押圧して支持部を固定している間に、静電容量式変位計が計測対象との距離を計測する。静電容量式変位計のセンサグランドは接地部に電気的に接続され、2つの押圧ピンは接地部に接触する。2つの押圧ピンの少なくとも1つは導電材料製であるので、静電容量式変位計のセンサグランドは、計測対象および支持部に電気的に接続され、計測対象と同電位になるので、静電容量式変位計は計測対象との距離を計測することができる。静電容量式変位計が前記距離を測定していない時間に、抵抗測定計は支持部を含む部分の2つの地点の間の抵抗を測定し、測定制御部は、抵抗が閾値より低い場合に、抵抗の測定前に静電容量式変位計で計測された計測結果を記録する。したがって、静電容量式変位計の測定に影響を及ぼさずに、信頼性が高い計測結果だけを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る検査装置を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の検査装置の1つの押圧ピンの例を示す正面図と分解図を有する。
【
図3】
図3は、
図1の検査装置の1つの押圧ピンの他の例の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の検査装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1の検査装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係る検査装置を示す図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の変形例に係る検査装置を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7の検査装置の使用時のコンタクトピンの例を示す図である。
【
図9】
図9は、非使用時の
図8のコンタクトピンを示す図である。
【
図10】
図10(A)は、
図8のコンタクトピンの一部を拡大して示す正面図であり、
図10(B)はその平面図である。
【
図11】
図11(A)は、
図8のコンタクトピンの変形例の一部を拡大して示す正面図であり、
図11(B)はその平面図である。
【
図12】
図12は、
図7の検査装置の使用時のコンタクトピンの他の例を示す図である。
【
図14】
図14は、
図7の検査装置の使用時のコンタクトピンの他の例を示す図である。
【
図16】
図16(A)は、コンタクトピンの変形例の一部を拡大して示す正面図であり、
図16(B)はその平面図である。
【
図18】
図18は、使用時のコンタクトピンの他の変形例とその周辺を示す図である。
【
図19】
図19(A)は、他の変形例に係る2つのコンタクトピンの一部を拡大して示す正面図であり、
図19(B)はさらに他の変形例に係る2つのコンタクトピンの一部を拡大して示す正面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第3実施形態に係る検査装置を示す図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態の変形例に係る検査装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施形態を説明する。図面の縮尺は必ずしも正確ではなく、一部の特徴は誇張または省略されることもある。
【0011】
第1実施形態
本発明の各実施形態に係る検査装置は、アッセンブリユニット1のベース板(支持部)2に対する回転部材3の高さの計測に使用される。アッセンブリユニット1は、ベース板2、ベース板2に固定された円柱状のシャフト4、シャフト4の周囲に配置されてベース板2に取り付けられた円筒状の回転部材3を有する。ベース板2、回転部材3およびシャフト4は、導電材料である金属から形成されている。
【0012】
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る検査装置は、プラットフォーム10、ビーム12、静電容量式変位計14、2つの押圧ピン16,17、抵抗測定計26、切替部28、測定制御部24、昇降機構20および搬送部22を有する。
【0013】
プラットフォーム10には、アッセンブリユニット1のベース板2が載置される。ベース板2は、位置決め治具(図示せず)によって、プラットフォーム10上の所定の計測位置に位置決めされる。
【0014】
ビーム(接地部)12は、導電材料である金属製であって、プラットフォーム10の上方に配置されており、昇降機構20によって昇降可能である。ビーム12には、静電容量式変位計14のハウジング14bおよび押圧ピン16,17が固定されている。
【0015】
昇降機構20によってビーム12が下降させられた時、ビーム12に固定された押圧ピン16,17は、アッセンブリユニット1のベース板2をプラットフォーム10に向けて押圧してアッセンブリユニット1を固定する。
【0016】
静電容量式変位計14は、プローブ14aとハウジング14bを有する。プローブ14aはハウジング14bの下端に固定されている。ハウジング14bの内部には、プローブ14aと計測対象の距離に対応する静電容量を距離値に換算する変換装置(図示せず)が配置されている。
【0017】
昇降機構20によってビーム12が下降させられた時、ビーム12に固定された静電容量式変位計14は、押圧ピン16,17で固定されたアッセンブリユニット1の回転部材(計測対象)3とプローブ14aとの距離を計測する。ベース板2の厚さは既知であるため、プローブ14aと回転部材3との距離を計測することにより、回転部材3のベース板2に対する突出量すなわち高さが計測されることになる。
【0018】
静電容量式変位計14は、プローブ14aと回転部材3との距離の計測に加えて、プローブ14aとベース板2との距離を計測してもよい。この場合、プローブ14aと回転部材3との距離をプローブ14aとベース板2との距離から減算することにより、回転部材3のベース板2に対する高さが計測される。
【0019】
いずれにせよ、結果的に静電容量式変位計14は、回転部材3の高さを計測する。以下、プローブ14aと回転部材3の距離の測定を回転部材3の高さの測定と呼ぶことがある。
【0020】
搬送部22は、昇降機構20によってビーム12が上昇させられた時、既に計測されたアッセンブリユニット1をプラットフォーム10から除去するとともに、次に計測されるべきアッセンブリユニット1をプラットフォーム10上に供給する。
【0021】
測定制御部24は、プロセッサと記憶部を有するコンピュータである。記憶部に格納されたコンピュータプログラムに従って、プロセッサは動作し、昇降機構20と搬送部22を協調させる。
【0022】
また、測定制御部24には、静電容量式変位計14の計測結果、すなわちプローブ14aと回転部材3との距離値が供給される。測定制御部24は、各アッセンブリユニット1について、計測結果をメモリーである記録部24aに記録する。
【0023】
静電容量式変位計14のセンサグランド14cは、計測対象であるアッセンブリユニット1の回転部材3に電気的に接続され、回転部材3と同電位であることが必要とされる。センサグランド14cは、ビーム12に電気的に接続されており、2つの押圧ピン16,17はビーム12に常に接触している。2つの押圧ピン16,17がベース板2を押圧してベース板2を固定している間に、静電容量式変位計14は回転部材3との距離を計測する。
【0024】
押圧ピン16は、導電材料である金属から形成されている。押圧ピン17の大部分も導電材料である金属から形成されているが、押圧ピン17の詳細については後述する。2つの押圧ピン16,17のうち押圧ピン16は導電材料製であるので、静電容量式変位計14のセンサグランド14cは、回転部材3およびベース板2に電気的に接続され、回転部材3と同電位になるので、静電容量式変位計14はプローブ14aと回転部材3との距離を計測することができる。
【0025】
しかし、押圧ピン16とベース板2との間には接触抵抗R1があり、押圧ピン17とベース板2との間には接触抵抗R2がある。回転部材3の高さを高精度で計測するためには、押圧ピン16,17は強い力でベース板2を押圧することが好ましい。したがって、ベース板2には強い衝撃と力が加えられ、ベース板2が僅かに擦傷してしまう。ベース板2から生じた擦傷粉は酸化して絶縁体となりうる。酸化した擦傷粉は押圧ピン16,17の底面に付着しうる。複数のアッセンブリユニット1の回転部材3の高さを計測すると、酸化した擦傷粉つまり汚れが押圧ピン16,17の底面に蓄積してゆく。したがって、検査装置の使用の間に、接触抵抗R1,R2が増加する。このため、静電容量式変位計14のセンサグランド14cの電位が回転部材3の電位とは異なってしまう。
【0026】
そこで、抵抗測定計26は、例えば定期的にビーム12とベース板2を含む回路の抵抗を測定する。この回路は、押圧ピン16とベース板2との間の接触抵抗R1と、押圧ピン17とベース板2との間の接触抵抗R2を含む。
【0027】
このため、押圧ピン17の途中部分は絶縁体で形成されている。具体的には、押圧ピン17は、導電材料である金属製の第1の端部17a、導電材料である金属製の第2の端部17bおよび絶縁材料製の絶縁部17cを有する。第1の端部17aは、ビーム12に固定されてベース板2に接触しない。第2の端部17bは、ベース板2に接触可能であってビーム12に接触しない。絶縁部17cは、第1の端部17aと第2の端部17bの間に介在させられている。絶縁部17cの材料は、例えばセラミック材料である。
【0028】
したがって、抵抗測定計26は、ビーム12、押圧ピン16、ベース板2、押圧ピン17の第2の端部17bを有する回路の抵抗を測定する。測定される抵抗は、ほぼ接触抵抗R1,R2の合計である。但し、ビーム12、押圧ピン16、ベース板2、押圧ピン17の第2の端部17bの抵抗も僅かではあるが、測定される抵抗に含まれる。
【0029】
図2の左側は、押圧ピン17の例を示す正面図であり、
図2の右側は、押圧ピン17の分解図である。絶縁部17cの両端面には、突起17d,17eが形成されている。第1の端部17aの下端面には凹部17fが形成されている。第2の端部17bの上端面には凹部17gが形成されている。
【0030】
絶縁部17cの突起17dは第1の端部17aの凹部17fに嵌め入れられて固定されている。絶縁部17cの突起17eは第2の端部17bの凹部17gに嵌め入れられて固定されている。固定の方式は、例えば焼き嵌めであってよい。
【0031】
逆に、絶縁部17cに凹部を形成し、端部17a,17bに突起を形成して、突起を凹部に嵌め入れてもよい。
【0032】
図3は、押圧ピン17の他の例の分解斜視図である。この例では、絶縁部17cは、C字形の有端リングであって、端部の外周面にフランジ17h,17iを有する。フランジ17h,17iの間隔はネジ17jで調節可能である。第1の端部17aの下端面には突起17kが形成されている。第2の端部17bの条端面には突起17mが形成されている。
【0033】
突起17k,17mは、絶縁部17cに嵌め入れられ、ネジ17jを絶縁部17cに締結することによって、第1の端部17a、第2の端部17bおよび絶縁部17cは一体化される。
【0034】
押圧ピン17の途中部分に絶縁体を設ける方式は、
図2および
図3の方式には限定されず、他の方式を使用してもよい。
【0035】
静電容量式変位計14が回転部材3の高さを計測していない時間に、抵抗測定計26が上記回路の抵抗を測定するように、切替部28が設けられている。切替部28は、抵抗測定計26が抵抗を測定する時、抵抗測定計26をベース板2に電気的に接続し、静電容量式変位計14が回転部材3の高さを計測する時、抵抗測定計26をベース板2から電気的に切り離す。
【0036】
切替部28は、共通端子28a、接地端子28bおよび抵抗測定端子28cを有する。共通端子28aは、押圧ピン17の第2の端部17bに電気的に接続されている。接地端子28bは、ビーム12に電気的に接続されている。抵抗測定端子28cは、抵抗測定計26の第2の端子26bに電気的に接続されている。
【0037】
図示の切替部28は機械式スイッチであるが、切替部28は電気式スイッチであってもよい。
【0038】
抵抗測定計26は、ビーム12に電気的に接続された第1の端子26aと、切替部28の抵抗測定端子28cに電気的に接続された第2の端子26bを有する。
【0039】
測定制御部24は、抵抗測定計26と切替部28に測定切替信号を供給する。測定切替信号は、回転部材3の高さ計測と上記回路の抵抗測定を切り替えるため、高さ計測と抵抗測定のいずれかを指令する。
【0040】
測定切替信号が高さ計測を指令する場合、抵抗測定計26は休止し、切替部28は抵抗測定端子28cではなく接地端子28bを共通端子28aに電気的に接続する。したがって、静電容量式変位計14が回転部材3の高さを計測する時、切替部28は、抵抗測定計26をベース板2から電気的に切り離す。静電容量式変位計14は、プローブ14aと回転部材3との距離を計測し、計測結果を測定制御部24に供給する。また、この時、接地端子28bが共通端子28aに電気的に接続されるので、静電容量式変位計14のセンサグランド14cに電気的に接続されたビーム12は、切替部28と第2の端部17bを介して、ベース板2に電気的に接続される。ビーム12は、押圧ピン16を介してもベース板2に電気的に接続されるので、センサグランド14cがより確実に回転部材3と同電位になる。
【0041】
測定切替信号が抵抗測定を指令する場合、抵抗測定計26は起動し、切替部28は抵抗測定端子28cを共通端子28aに電気的に接続し、抵抗測定計26の第2の端子26bを押圧ピン17の第2の端部17bに電気的に接続する。したがって、抵抗測定計26が抵抗を測定する時、切替部28は、抵抗測定計26をベース板2に電気的に接続する。この結果、切替部28は、ビーム12、押圧ピン16、ベース板2、押圧ピン17の第2の端部17bを有する回路に抵抗測定計26を接続する。そして、抵抗測定計26はこの回路に電流を流して、この回路の抵抗を測定し、抵抗値を測定制御部24に供給する。
【0042】
図4を参照し、検査装置、特に測定制御部24の動作の一例を説明する。
【0043】
ステップS1では、測定制御部24は、搬送部22を制御して、計測されるべきアッセンブリユニット1をプラットフォーム10上に搬送し、位置決め治具(図示せず)を制御して、アッセンブリユニット1をプラットフォーム10上の所定の計測位置に位置決めする。測定制御部24は、昇降機構20を制御して、ビーム12とともに押圧ピン16,17および静電容量式変位計14を下降させる。
【0044】
ステップS2では、測定制御部24は、高さ計測を指令する測定切替信号を抵抗測定計26と切替部28に供給する。静電容量式変位計14は、プローブ14aと回転部材3との距離を計測し、計測結果を測定制御部24に供給する。
【0045】
ステップS3では、測定制御部24は、抵抗測定時期か否か判断する。ステップS3の判断が否定的であれば、動作はステップS4に進み、判断が肯定的であれば、動作はステップS7に進む。
【0046】
ステップS4では、測定制御部24は、静電容量式変位計14の計測結果を記録部24aに記録する。ステップS5では、測定制御部24は、昇降機構20を制御して、ビーム12とともに押圧ピン16,17および静電容量式変位計14を上昇させる。また、測定制御部24は、位置決め治具(図示せず)と搬送部22を制御して、計測が終了したアッセンブリユニット1をプラットフォーム10から排出位置へ搬送する。ステップS6では、測定制御部24は、計測されるべき次のアッセンブリユニット1があるか否か判断する。ステップS6の判断が肯定的であれば、動作はステップS1に戻り、判断が否定的であれば、動作は終了する。
【0047】
ステップS7では、測定制御部24は、抵抗測定を指令する測定切替信号を抵抗測定計26と切替部28に供給する。この結果、抵抗測定計26は上記回路の抵抗を測定し、抵抗値を測定制御部24に供給する。ステップS8では、測定制御部24は、抵抗測定計26で測定された抵抗が所定の閾値より低いか否かを判断する。ステップS8の判断が肯定的であれば、動作はステップS4に進み、測定制御部24は、静電容量式変位計14の計測結果を記録部24aに記録する。ステップS8の判断が否定的であれば、動作はステップS9に進む。
【0048】
ステップS9では、測定制御部24は警告を発する。例えば、測定制御部24は、ディスプレイ装置(図示せず)に警告メッセージを表示させてもよいし、スピーカー(図示せず)を起動して警告音を発生させてもよい。そして、ステップS10では、測定制御部24は、検査装置を停止する。この後、動作は終了する。検査装置の操作者は、警告を認識し、必要な措置、例えば押圧ピン16,17の清掃を行って、措置の完了後に、検査装置を再起動させるだろう。
【0049】
このように、静電容量式変位計14がプローブ14aと回転部材3との距離(あるいは回転部材3の高さ)を計測していない時間に、抵抗測定計26は上記回路の抵抗を測定する。したがって、抵抗測定時に回転部材3とセンサグランド14cとの間に、抵抗測定に伴う電圧が発生しないので、静電容量式変位計14の測定に悪影響が及ぼされない。
【0050】
以上から明らかなように、上記回路の抵抗が閾値より低い場合(すなわち接触抵抗R1,R2が小さく、静電容量式変位計14の計測結果が正確であると推定される場合)に、測定制御部24は、抵抗の測定前に静電容量式変位計14で計測された計測結果を記録部24aに記録する。他方、抵抗が閾値以上である高い場合(すなわち接触抵抗R1,R2が大きく、静電容量式変位計14の計測結果が不正確であると推定される場合)に、測定制御部24は、抵抗の測定前に静電容量式変位計14で計測された計測結果を記録せず、警告を発する。したがって、信頼性が高い計測結果だけを記録することができる。
【0051】
接触抵抗R1,R2は、押圧ピン16,17の汚れの蓄積に伴って増加するため、短時間では増加しない。そのため、ステップS3の「抵抗測定時期」は、例えば検査装置の起動または直前の抵抗測定の一定時間後(例えば8時間後)として設定してもよい。
【0052】
あるいは、ステップS3の判断を省略し、各アッセンブリユニット1の回転部材3の高さ計測(ステップS2)の終了後、動作が抵抗測定(ステップS7)に進むようにしてもよい。この場合、アッセンブリユニット1の回転部材3の高さ計測の終了のたびに、上記回路の抵抗が測定され、抵抗が閾値以上である場合(すなわち静電容量式変位計14の計測結果の信頼性が低い場合)、静電容量式変位計14で計測された計測結果を記録せずに排除することができる。したがって、静電容量式変位計14で計測された計測結果の信頼性が高まる。
【0053】
図5は検査装置の動作の他の例を示す。この動作は、
図4の動作の修正であり、ステップS9,S10を実行しない。ステップS8の判断が否定的であれば、動作はステップS5に進む。つまり、上記回路の抵抗が閾値以上である場合でも、検査装置は停止されず、アッセンブリユニット1は搬出位置へ搬送される。但し、このアッセンブリユニット1は、後の製造工程で使用されない。
【0054】
第2実施形態
図6に示すように、本発明の第2実施形態に係る検査装置は、押圧ピン17の代わりに押圧ピン18を有する。
【0055】
また、第2実施形態に係る検査装置は、ベース板2に接触して、ベース板2に電気的に接続される導電材料製のコンタクト部材29を有し、コンタクト部材29は切替部28の共通端子28aに電気的に接続されている。この結果、共通端子28aはベース板2に電気的に接続されている。抵抗測定計26が抵抗を測定する時、切替部28は抵抗測定端子28cを共通端子28aに電気的に接続し、抵抗測定計26の第2の端子26bは、ベース板2に電気的に接続される。コンタクト部材29は、ピンの形状を有してもよいし、板の形状を有してもよいし、ブロックの形状を有していてもよい。
【0056】
さらに、第2実施形態に係る検査装置は、コンタクト部材29をベース板2に接触させ、ベース板2から遠ざけるコンタクト部材操作部32を有する。コンタクト部材操作部32は、モータとボールねじの組み合わせでもよいし、電気式リニアアクチュエータでもよいし、気圧または油圧式リニアアクチュエータでもよい。
但し、コンタクト部材操作部32は絶対必要というわけではない。例えば、コンタクト部材29をベース板2が配置されるべき位置に向けて押圧するバネ(図示せず)を設けて、ベース板2がプラットフォーム10に載置されたら、バネの力によってコンタクト部材29がベース板2に接触するようにしてもよい。ビーム12の下降時には、アッセンブリユニット1の重量および押圧ピン16,18の押圧力により、ベース板2はプラットフォーム10上で動かなくなり、コンタクト部材29はバネの力で確実にベース板に接触する。アッセンブリユニット1の搬送時には、押圧ピン16,18を上昇させ、搬送部22は、コンタクト部材29からアッセンブリユニット1が離れるようにアッセンブリユニット1を持ち上げればよい。
【0057】
好ましくは、コンタクト部材29は、ベース板2の回転部材3が配置された面と反対側の面、すなわち下面に接触させられる。コンタクト部材29がベース板2の下面を擦傷しても、ベース板2の下面の損傷は目立たない。
【0058】
他の特徴は、第1実施形態の検査装置の特徴と同じである。
【0059】
昇降機構20によってビーム12が下降させられた時、ビーム12に固定された押圧ピン16,18は、アッセンブリユニット1のベース板2をプラットフォーム10に向けて押圧してアッセンブリユニット1を固定する。押圧ピン18は押圧ピン16と同じである。したがって、途中部分に絶縁体を設けた特殊な押圧ピン17は必要ない。金属である押圧ピン16,18は、ベース板2を押圧する時の衝撃に対する耐性の点で押圧ピン17よりも優れている。また、押圧ピン16,18は、同じ熱膨張率を有するので、温度が変化しても、ベース板2を均等な力で押圧することができる。
【0060】
第1実施形態と同様に、切替部28は、抵抗測定計26が抵抗を測定する時、抵抗測定計26をベース板2に電気的に接続し、静電容量式変位計14が回転部材3の高さを計測する時、抵抗測定計26をベース板2から電気的に切り離す。
【0061】
測定制御部24が供給する測定切替信号が高さ計測を指令する場合、抵抗測定計26は休止し、切替部28は接地端子28bを共通端子28aに電気的に接続する。したがって、静電容量式変位計14が回転部材3の高さを計測する時、切替部28は、抵抗測定計26をベース板2から電気的に切り離すとともに、静電容量式変位計14のセンサグランド14cに電気的に接続されたビーム12を、コンタクト部材29ひいてはベース板2に電気的に接続する。ビーム12の下降時には、ビーム12に固定された押圧ピン16,18がベース板2に接触するので、ビーム12は押圧ピン16,18を介してベース板2に電気的に接続される。さらに切替部28がベース板2をビーム12に電気的に接続することによって、押圧ピン16,18が汚れていても(接触抵抗R1,R2が高くても)、センサグランド14cがより確実に回転部材3と同電位になる。静電容量式変位計14は、プローブ14aと回転部材3との距離を計測し、計測結果を測定制御部24に供給する。
【0062】
測定制御部24が供給する測定切替信号が抵抗測定を指令する場合、抵抗測定計26は起動し、切替部28は抵抗測定端子28cを共通端子28aに電気的に接続し、抵抗測定計26の第2の端子26bをコンタクト部材29に電気的に接続する。したがって、抵抗測定計26が抵抗を測定する時、切替部28は、抵抗測定計26をベース板2に電気的に接続する。この結果、切替部28は、ビーム12、押圧ピン16,18、ベース板2、コンタクト部材29を有する回路に抵抗測定計26を接続する。そして、抵抗測定計26はこの回路に電流を流して、この回路の抵抗を測定し、抵抗値を測定制御部24に供給する。したがって、抵抗測定計26は、ビーム12、押圧ピン16,18、ベース板2、コンタクト部材29を有する回路の抵抗を測定する。測定される抵抗は、ほぼ接触抵抗R1,R2の合成抵抗R1・R2/(R1+R2)と、接触抵抗R3の合計である。接触抵抗R3はベース板2とコンタクト部材29との間の接触抵抗である。但し、ビーム12、押圧ピン16,18、ベース板2、コンタクト部材29の抵抗も僅かではあるが、測定される抵抗に含まれる。
【0063】
このように、静電容量式変位計14がプローブ14aと回転部材3との距離(あるいは回転部材3の高さ)を計測していない時間に、抵抗測定計26は上記回路の抵抗を測定する。したがって、抵抗測定時に回転部材3とセンサグランド14cとの間に、抵抗測定に伴う電圧が発生しないので、静電容量式変位計14の測定に悪影響が及ぼされない。
【0064】
第2実施形態では、静電容量式変位計14の使用時に、切替部28がコンタクト部材29を介してベース板2をビーム12に電気的に接続することによって、押圧ピン16,18が汚れていても(接触抵抗R1,R2が高くても)、静電容量式変位計14のセンサグランド14cがより確実に回転部材3と同電位になる。したがって、押圧ピン16,18の汚れは、静電容量式変位計14の測定精度に顕著に影響しない。押圧ピン16,18の清掃は、第1実施形態よりも頻繁に行わなくてよい。
【0065】
しかし、コンタクト部材29は、多数の計測対象であるアッセンブリユニット1のベース板2について使用されるので、コンタクト部材29が擦傷し、コンタクト部材29から生じた擦傷粉は酸化して絶縁体となりうる。酸化した擦傷粉はコンタクト部材29に付着しうる。コンタクト部材29に蓄積した酸化した擦傷粉つまり汚れのため、接触抵抗R3が増加する。このため、静電容量式変位計14のセンサグランド14cの電位が回転部材3の電位とは異なってしまう。
【0066】
そこで、抵抗測定計26は、例えば定期的に上記回路の抵抗を測定する。検査装置、特に測定制御部24は、
図4または
図5を参照して説明したように、動作する。
【0067】
ステップS1で、第1実施形態と同様に、測定制御部24は、搬送部22を制御して、計測されるべきアッセンブリユニット1をプラットフォーム10上に搬送し、位置決め治具(図示せず)を制御して、アッセンブリユニット1をプラットフォーム10上の所定の計測位置に位置決めする。測定制御部24は、昇降機構20を制御して、ビーム12とともに押圧ピン16,18および静電容量式変位計14を下降させる。さらに、第2実施形態では、ステップS1で、測定制御部24は、コンタクト部材操作部32を制御して、アッセンブリユニット1のベース板2の下面にコンタクト部材29を接触させる。
【0068】
第2実施形態では、ステップS5で、測定制御部24は、コンタクト部材操作部32を制御して、計測が終了したアッセンブリユニット1のベース板2の下面からコンタクト部材29を遠ざける。そして、第1実施形態と同様に、昇降機構20を制御して、ビーム12とともに押圧ピン16,18および静電容量式変位計14を上昇させる。また、測定制御部24は、位置決め治具(図示せず)と搬送部22を制御して、計測が終了したアッセンブリユニット1をプラットフォーム10から排出位置へ搬送する。
【0069】
ステップS8(
図4)で使用される「閾値」は、第1実施形態のそれらと異なる。
【0070】
また、ステップS10で検査装置が停止した後、検査装置の操作者は、コンタクト部材29の清掃または交換を行うであろう。この時、押圧ピン16,18を清掃してもよい。
【0071】
図4から明らかなように、上記回路の抵抗が閾値より低い場合(すなわち接触抵抗R3が小さく、静電容量式変位計14の計測結果が正確であると推定される場合)に、測定制御部24は、抵抗の測定前に静電容量式変位計14で計測された計測結果を記録部24aに記録する。他方、抵抗が閾値以上である高い場合(すなわち接触抵抗R3が大きく、静電容量式変位計14の計測結果が不正確であると推定される場合)に、測定制御部24は、抵抗の測定前に静電容量式変位計14で計測された計測結果を記録せず、警告を発する。したがって、信頼性が高い計測結果だけを記録することができる。
【0072】
図7に示すように、第2実施形態の変形例では、コンタクト部材としてコンタクトピン(接続プラグ)30を使用する。コンタクトピン30は、ベース板2の孔部31に挿入されて、ベース板2に電気的に接続される。アッセンブリユニット1のベース板2の回転部材3が配置された面と反対側の面、すなわち下面には、孔部31が形成されている。孔部31は、アッセンブリユニット1を他の部品、例えば筐体に取り付けるための孔の1つであってよい。孔部31はネジ孔でもよい。孔部31には、コンタクトピン30の一部が挿入される。孔部31はベース板2の下面に形成されているので、コンタクトピン30が孔部31の内周面を擦傷しても、損傷は目立たない。コンタクト部材操作部32は、コンタクトピン30を孔部31に挿入し、孔部31から抜き出す。
【0073】
他の特徴は、第2実施形態の検査装置の特徴と同じである。
【0074】
コンタクトピン30の具体例を詳述する。
図8および
図9は、コンタクトピン30の一例を示す。コンタクトピン30は、スリーブ34、シャフト35および拡張部36を有する。スリーブ34、シャフト35および拡張部36は、いずれも導電材料である金属製である。
【0075】
スリーブ34は底部を有する円筒形状を有する。シャフト35は、円柱形状を有し、スリーブ34に挿入されている。シャフト35はスリーブ34よりも長く、スリーブ34から突出する。
【0076】
拡張部36は、複数の板バネ37から構成されており、スリーブ34から突出したシャフト35の部分の径方向外側に配置され、径方向に拡張および縮小可能である。各板バネ37の一端部37aは、シャフト35の突出部分の先端に固定されているが、他端部37bは、シャフト35には固定されておらず、スリーブ34の上端の口縁に固定されている。
【0077】
図9に示すように、拡張部36をベース板2の孔部31に挿入していない非使用状態では、各板バネ37はシャフト35の軸線方向に長く伸びており、したがって拡張部36は径方向に縮小している。
【0078】
図8に示すように、シャフト35の突出部とともに拡張部36を孔部31に挿入すると、シャフト35の上端面が孔部31の上端面に突き当たり、シャフト35の上端面はベース板2に面接触させられる。そして、矢印Aで示すようにスリーブ34を上昇させると、各板バネ37はスリーブ34の上端の口縁から力を受けてシャフト35の軸線方向に沿って圧縮させられ、拡張部36は径方向に拡張し、孔部31の内周面に接触する。この状態で、コンタクトピン30は使用される。拡張部36を構成する板バネ37が孔部31の内周面に接触するので、接触抵抗R3は小さい。
【0079】
各板バネ37の変形量は、スリーブ34の上昇量に依存する。孔部31の直径が小さい場合には、スリーブ34を僅かに上昇させれば、拡張部36を構成する板バネ37が孔部31の内周面に接触する。孔部31の直径が大きい場合には、スリーブ34を大きく上昇させれば、拡張部36を構成する板バネ37が孔部31の内周面に接触する。いずれにせよ、拡張部36は孔部31の内周面に安定して接触する。
【0080】
シャフト35の突出部とともに拡張部36を孔部31から抜き出す際、スリーブ34を下方に移動させれば、端部37bがスリーブ34に固定された板バネ37は板バネ37自身の復元力でシャフト35の軸線方向に伸長し、拡張部36は径方向に縮小する。こうして、拡張部36は
図9の状態に戻る。
【0081】
このように、拡張部36は、孔部31への挿入時に径方向に拡張し、孔部31からの抜き出し時に径方向に縮小する。したがって、拡張部36と孔部31の内周面との間の摩擦は最小限であり、孔部31の内周面の損傷のおそれが少ない。
【0082】
コンタクト部材操作部32(
図7)はスリーブ34を上下に移動させる。
【0083】
図10(A)および
図10(B)は、コンタクトピン30の一部を拡大してその詳細を示す。4枚の同形同大の板バネ37がシャフト35の突出部分の周囲に等しい角間隔をおいて配置されている。この場合、孔部31は丸孔でなくてもよく、例えば断面が正方形の角孔であってもよい。
【0084】
拡張部36を構成するバネの数は4に限定されない。
図11(A)および
図11(B)は、コンタクトピン30の変形例の一部を拡大して示す。この変形例では、拡張部36は16の同形同大のワイヤバネ38を有し、ワイヤバネ38がシャフト35の突出部分の周囲に等しい角間隔をおいて配置されている。各ワイヤバネ38の一端部38aは、シャフト35の突出部分の先端に固定されているが、他端部38bは、シャフト35には固定されておらず、スリーブ34の上端の口縁に固定されている。この場合、孔部31は丸孔でなくてもよく、例えば断面が正方形の角孔であってもよい。ワイヤバネ38は、板バネ37よりも孔部31の内周面を擦傷するおそれが少ない。また、板バネ37で構成された拡張部36は、
図10(B)の平面図に示すように、仮想線で示された丸孔である孔部31との接触面積が小さいが、ワイヤバネ38で構成された拡張部36は、
図11(B)の平面図に示すように、仮想線で示された丸孔である孔部31との接触面積が大きい。
【0085】
拡張部36を構成するバネの数は2でもよいし、3枚でもよい。
【0086】
図12および
図13は、他の例のコンタクトピン30Aを示す。コンタクトピン30Aにおいては、シャフト35の下端にオネジ部35tが形成されており、スリーブ34の内周面にはメネジ部34tが形成されている。オネジ部35tはメネジ部34tにねじ込まれている。
【0087】
各板バネ37の一端部37aは、シャフト35の突出部分の先端に固定されているが、他端部37bは、シャフト35にもスリーブ34にも固定されていない。したがって、スリーブ34を回転させても、板バネ37はねじられない。
【0088】
図13に示すように、拡張部36をベース板2の孔部31に挿入していない非使用状態では、各板バネ37はシャフト35の軸線方向に長く伸びており、したがって拡張部36は径方向に縮小している。
【0089】
図12に示すように、シャフト35の突出部とともに拡張部36を孔部31に挿入すると、シャフト35の上端面が孔部31の上端面に突き当たり、シャフト35の上端面はベース板2に面接触させられる。そして、矢印Bで示すようにスリーブ34を回転させながら上昇させると、各板バネ37はスリーブ34の上端の口縁から力を受けてシャフト35の軸線方向に沿って圧縮させられ、拡張部36は径方向に拡張し、孔部31の内周面に接触する。この状態で、コンタクトピン30は使用される。拡張部36を構成する板バネ37が孔部31の内周面に接触するので、接触抵抗R3は小さい。
【0090】
シャフト35の突出部とともに拡張部36を孔部31から抜き出す際、スリーブ34を矢印Bと逆方向に回転させながら下方に移動させれば、板バネ37は板バネ37自身の復元力でシャフト35の軸線方向に伸長し、拡張部36は径方向に縮小する。こうして、拡張部36は
図13の状態に戻る。
【0091】
コンタクト部材操作部32(
図7)はスリーブ34を回転させる。
【0092】
この例では、オネジ部35tとメネジ部34tによって、スリーブ34を上昇させて拡張部36が拡張した状態を安定して維持することができる。
【0093】
図14および
図15は、他の例のコンタクトピン30Bを示す。コンタクトピン30Bにおいては、シャフト35の下端に径方向に延びる孔35hが形成されており、スリーブ34の外周面にはロックピンガイド34gが固定されている。ロックピンガイド34gには貫通孔が形成され、その貫通孔にはロックピン34pが挿入されている。
【0094】
各板バネ37の一端部37aは、シャフト35の突出部分の先端に固定されているが、他端部37bは、シャフト35に固定されておらず、スリーブ34に固定されている。
【0095】
図15に示すように、拡張部36をベース板2の孔部31に挿入していない非使用状態では、各板バネ37はシャフト35の軸線方向に長く伸びており、したがって拡張部36は径方向に縮小している。
【0096】
図14に示すように、シャフト35の突出部とともに拡張部36を孔部31に挿入すると、シャフト35の上端面が孔部31の上端面に突き当たり、シャフト35の上端面はベース板2に面接触させられる。そして、矢印Aで示すようにスリーブ34を上昇させると、各板バネ37はスリーブ34の上端の口縁から力を受けてシャフト35の軸線方向に沿って圧縮させられ、拡張部36は径方向に拡張し、孔部31の内周面に接触する。この状態で、ロックピン34pをシャフト35の孔35hに挿入して、コンタクトピン30は使用される。拡張部36を構成する板バネ37が孔部31の内周面に接触するので、接触抵抗R3は小さい。
【0097】
シャフト35の突出部とともに拡張部36を孔部31から抜き出す際、ロックピン34pをシャフト35の孔35hから抜き出して、スリーブ34を下方に移動させれば、板バネ37は板バネ37自身の復元力でシャフト35の軸線方向に伸長し、拡張部36は径方向に縮小する。こうして、拡張部36は
図15の状態に戻る。
【0098】
この例では、ロックピン34pによって、スリーブ34を上昇させて拡張部36が拡張した状態を安定して維持することができる。
【0099】
コンタクトピン30の拡張部36の孔部31の内周面に対する接触圧を推定することができると好ましい。接触圧が小さいと、接触抵抗R3(
図7参照)が高くなり、静電容量式変位計14の測定結果および抵抗測定計26の測定結果が不正確となりうる。一方、接触圧が大きいと、孔部31の内周面が損傷するおそれがある。そこで、接触圧を推定するための機構を設けることが好ましい。
【0100】
図16(A)および
図16(B)は、コンタクトピン30の拡張部36の孔部31の内周面に対する接触圧を推定するための機構を備えた変形例に係るコンタクトピン30Cを示す。コンタクトピン30Cは、半円筒形の導電材料製のスリーブ部34A,34Bを有するスリーブ34と、円柱形のシャフト35と、拡張部36を有する。シャフト35はここでは絶縁材料から形成されている。コンタクトピン30Cの軸線を含む平面で、スリーブ34は2分割されて、スリーブ部34A,34Bが設けられている。
【0101】
拡張部36は、複数の板バネ47から構成されており、スリーブ34から突出したシャフト35の部分の径方向外側に配置され、径方向に拡張および縮小可能である。各板バネ47の一端部47aは、シャフト35の突出部分の先端に固定されているが、他端部47bは、シャフト35には固定されておらず、スリーブ34の上端の口縁に固定されている。
【0102】
板バネ47は、スリーブ34を2分割する面以外の箇所に配置されている。スリーブ部34A,34Bの間には、絶縁材料製の絶縁シート44が挟み込まれており、スリーブ部34A,34Bは絶縁されている。図示の4枚の板バネ47のうち2枚の板バネ47は、他の2枚の板バネ47から絶縁シート44によって絶縁されている。一方、スリーブ部34A、および2枚の板バネ47は電気的に接続され、スリーブ部34Bおよび他の2枚の板バネ47は電気的に接続されている。
【0103】
拡張部36が孔部31に挿入された状態で、スリーブ部34Aおよび2枚の板バネ47を有する組と、スリーブ部34Bおよび他の2枚の板バネ47を有する組の間の抵抗を測定することによって、拡張部36の孔部31の内周面に対する接触圧を推定することができる。抵抗がある値になれば、接触圧は適切であり。抵抗がその値より高ければ、接触圧は低い。抵抗がその値より低ければ、接触圧は高い。接触圧が適切とは、孔部31の内周面に擦傷痕を残さず、かつ拡張部36と孔部31の内周面の抵抗が十分に低いことを意味する。
【0104】
図17を用いて、
図16(A)および
図16(B)の具体的な構成について詳述する。説明の簡略化のため、2枚の板バネ47(471,472)のみを
図17に示す。スリーブ部34A,34Bは、それぞれ抵抗計48の2つの端子に接続されている。抵抗計48は、スリーブ部34Aと板バネ471を有する組、ベース板2、およびスリーブ部34Bと板バネ472を有する組を流れる電流の抵抗を測定する。図示の測定方法は、2端子測定法であるが、4端子測定法を使用してもよい。
【0105】
測定された抵抗が一定範囲より高ければ、コンタクト部材操作部32(
図7参照)は、スリーブ34を上昇させ、拡張部36を径方向に拡張させる。コンタクト部材操作部32は、抵抗が上記値の付近の一定範囲になった時点で、スリーブ34の上昇を停止させる。抵抗が一定範囲より低ければ、コンタクト部材操作部32はスリーブ34を下降させて拡張部36を径方法に縮小させる。
【0106】
この変形例では、スリーブ部34A,34Bには径方向内側に突出する突起34C,34Dがそれぞれ形成され、シャフト35には径方向外側に突出する突起環35Cが形成されている。突起34C,34Dと突起環35Cの間には、シャフト35を包囲するコイルバネ46が配置されている。コイルバネ46は、スリーブ34が上昇して、拡張部36を孔部31に挿入する時、拡張部36の変形を緩和する。
【0107】
図18は、さらに他の変形例を示す。
図17の抵抗計48は、コンタクトピン30の拡張部36の孔部31の内周面に対する接触圧を推定するために使用され、一旦、ベース板2に対するスリーブ部34の位置が確定すれば、抵抗計48を使用する必要はない。そこで、この変形例では、スリーブ部34Aと抵抗計48の間にスイッチ49が配置されている。スリーブ部34Bは、接続線43に電気的に接続されている。接続線43は、切替部28(
図7)の共通端子28aに電気的に接続されている。
【0108】
コンタクトピン30の拡張部36をベース板2の孔部31に挿入する時、スイッチ49は、スリーブ部34Aを抵抗計48に電気的に接続し、抵抗計48はスリーブ部34Aと板バネ471を有する組、ベース板2、およびスリーブ部34Bと板バネ472を有する組を流れる電流の抵抗を測定可能となる。拡張部36の位置の確定後、スイッチ49は、スリーブ部34A,34Bを互いに電気的に接続する。これにより、すべての板バネ47が接続線43を介して切替部28の共通端子28aに電気的に接続され、抵抗測定計26はより正確に抵抗を測定することができる。
【0109】
図19(A)および
図19(B)は、コンタクトピン30の拡張部36の孔部31の内周面に対する接触圧を推定するための他の機構を備えた変形例に係るコンタクトピン30D,30Eをそれぞれ示す。
【0110】
コンタクトピン30Dでは、各板バネ37の外側の面に感圧センサ50が貼付されている。感圧センサ50は例えば歪ゲージであってよい。感圧センサ50は、板バネ37とベース板2の孔部31の内周面との間に配置され、板バネ37と孔部31の内周面の間で圧縮されるので、コンタクトピン30の拡張部36の孔部31の内周面に対する接触圧を高感度で測定することができる。板バネ37はベース板2の孔部31の内周面と直接接触しないが、感圧センサ50の少なくとも一部分は導電体で形成され、板バネ37がベース板2の孔部31の内周面と感圧センサ50を介して電気的に接続されている。
【0111】
コンタクトピン30Eでは、各板バネ37の内側の面に感圧センサ51が貼付されている。感圧センサ51は例えば歪ゲージであってよい。感圧センサ51で測定された板バネ37の歪の量からコンタクトピン30の拡張部36の孔部31の内周面に対する接触圧を推定することができる。感圧センサ51が各板バネ37の内側の面に配置されているので、板バネ37は孔部31の内周面に直接接触する。
【0112】
図19(A)および
図19(B)のいずれの場合も、感圧センサで測定された歪の量が一定範囲より低ければ、コンタクト部材操作部32(
図7参照)は、スリーブ34を上昇させ、拡張部36を径方向に拡張させる。コンタクト部材操作部32は、歪の量が適正値の付近の一定範囲になった時点で、スリーブ34の上昇を停止させる。歪の量が一定範囲より高ければ、コンタクト部材操作部32はスリーブ34を下降させて拡張部36を径方法に縮小させる。
【0113】
第3実施形態
図20に示すように、本発明の第3実施形態に係る検査装置は、第2実施形態と同様に、押圧ピン18を有する。
【0114】
また、第3実施形態に係る検査装置は、ベース板2の2つの地点の間の抵抗を測定するため、ベース板2の2つの地点にそれぞれ接触して、ベース板2に電気的に接続される導電材料製のコンタクト部材29,59を有する。コンタクト部材29,59は、第2実施形態のコンタクト部材29と同じよい。
【0115】
好ましくは、コンタクト部材29,59は、ベース板2の回転部材3が配置された面と反対側の面、すなわち下面に接触させられる。コンタクト部材29,59がベース板2の下面を擦傷しても、ベース板2の下面の損傷は目立たない。
【0116】
コンタクト部材操作部32は、コンタクト部材29,59の両方をベース板2に接触させ、ベース板2から遠ざける。第2実施形態に関して上述したように、コンタクト部材操作部32は絶対必要というわけではない。
【0117】
さらに、この検査装置は、コンタクト部材29,59にそれぞれ対応する2つの切替部68,69をさらに備える。抵抗測定計26が抵抗を測定する時、2つの切替部68,69は、抵抗測定計26をベース板2の2つの地点に電気的に接続する。一方、静電容量式変位計14が距離を計測する時、2つの切替部68,69は、抵抗測定計26をベース板2から電気的に切り離す。
【0118】
具体的には、切替部68は、共通端子68a、接地端子68bおよび抵抗測定端子68cを有する。共通端子68aは、コンタクト部材29に電気的に接続されている。接地端子68bは、ビーム12に電気的に接続されている。抵抗測定端子68cは、抵抗測定計26の第2の端子26bに電気的に接続されている。
【0119】
切替部69は、共通端子69a、接地端子69bおよび抵抗測定端子69cを有する。共通端子69aは、コンタクト部材59に電気的に接続されている。接地端子69bは、ビーム12に電気的に接続されている。抵抗測定端子69cは、抵抗測定計26の第1の端子26aに電気的に接続されている。
【0120】
他の特徴は、第2実施形態の検査装置の特徴と同じである。
【0121】
測定制御部24が供給する測定切替信号が高さ計測を指令する場合、抵抗測定計26は休止し、切替部68,69はそれぞれ接地端子68b,69bを共通端子68a,69aに電気的に接続する。したがって、静電容量式変位計14が回転部材3の高さを計測する時、切替部28は、抵抗測定計26をベース板2から電気的に切り離すとともに、静電容量式変位計14のセンサグランド14cに電気的に接続されたビーム12を、コンタクト部材29,59ひいてはベース板2に電気的に接続する。ビーム12の下降時には、ビーム12に固定された押圧ピン16,18がベース板2に接触するので、ビーム12は押圧ピン16,18を介してベース板2に電気的に接続される。さらに切替部68,69がベース板2をビーム12に電気的に接続することによって、押圧ピン16,18が汚れていても、センサグランド14cがより確実に回転部材3と同電位になる。静電容量式変位計14は、プローブ14aと回転部材3との距離を計測し、計測結果を測定制御部24に供給する。
【0122】
測定制御部24が供給する測定切替信号が抵抗測定を指令する場合、抵抗測定計26は起動し、切替部68,69はそれぞれ抵抗測定端子68c,69cを共通端子68a,69aに電気的に接続し、抵抗測定計26の第1の端子26aと第2の端子26bをコンタクト部材29,59に電気的に接続する。したがって、抵抗測定計26が抵抗を測定する時、切替部68,69は、抵抗測定計26をベース板2に電気的に接続する。この結果、切替部68,69は、コンタクト部材29、ベース板2、コンタクト部材59を有する回路に抵抗測定計26を接続する。そして、抵抗測定計26はこの回路に電流を流して、この回路の抵抗を測定し、抵抗値を測定制御部24に供給する。したがって、抵抗測定計26は、コンタクト部材29、ベース板2、コンタクト部材59を有する回路の抵抗を測定する。測定される抵抗は、ほぼ接触抵抗R3と接触抵抗R4の合計である。接触抵抗R3はベース板2とコンタクト部材29との間の接触抵抗であり、接触抵抗R4はベース板2とコンタクト部材59との間の接触抵抗であり、ビーム12、押圧ピン16,18の抵抗は含まれない。但し、ベース板2、コンタクト部材29,59の抵抗も僅かではあるが、測定される抵抗に含まれる。
【0123】
このように、静電容量式変位計14がプローブ14aと回転部材3との距離(あるいは回転部材3の高さ)を計測していない時間に、抵抗測定計26は上記回路の抵抗を測定する。したがって、抵抗測定時に回転部材3とセンサグランド14cとの間に、抵抗測定に伴う電圧が発生しないので、静電容量式変位計14の測定に悪影響が及ぼされない。
【0124】
第3実施形態では、静電容量式変位計14の使用時に、切替部68,69がコンタクト部材29,59を介してベース板2をビーム12に電気的に接続することによって、押圧ピン16,18が汚れていても(
図6の接触抵抗R1,R2が高くても)、静電容量式変位計14のセンサグランド14cがより確実に回転部材3と同電位になる。したがって、押圧ピン16,18の汚れは、静電容量式変位計14の測定精度に顕著に影響しない。押圧ピン16,18の清掃は、第1実施形態よりも頻繁に行わなくてよい。
【0125】
しかし、コンタクト部材29,59は、多数の計測対象であるアッセンブリユニット1のベース板2について使用されるので、コンタクト部材29,59が擦傷し、コンタクト部材29,59から生じた擦傷粉は酸化して絶縁体となりうる。酸化した擦傷粉はコンタクト部材29,59に付着しうる。コンタクト部材29,59に蓄積した酸化した擦傷粉つまり汚れのため、接触抵抗R3,R4が増加する。このため、静電容量式変位計14のセンサグランド14cの電位が回転部材3の電位とは異なってしまう。
【0126】
そこで、抵抗測定計26は、例えば定期的に上記回路の抵抗を測定する。検査装置、特に測定制御部24は、
図4または
図5を参照して説明したように、動作する。
【0127】
ステップS1で、第1実施形態と同様に、測定制御部24は、搬送部22を制御して、計測されるべきアッセンブリユニット1をプラットフォーム10上に搬送し、位置決め治具(図示せず)を制御して、アッセンブリユニット1をプラットフォーム10上の所定の計測位置に位置決めする。測定制御部24は、昇降機構20を制御して、ビーム12とともに押圧ピン16,18および静電容量式変位計14を下降させる。さらに、第3実施形態では、ステップS1で、測定制御部24は、コンタクト部材操作部32を制御して、アッセンブリユニット1のベース板2の下面にコンタクト部材29,59を接触させる。
【0128】
第3実施形態では、ステップS2で、測定制御部24は、高さ計測を指令する測定切替信号を抵抗測定計26と切替部68,69に供給する。
【0129】
第3実施形態では、ステップS5で、測定制御部24は、コンタクト部材操作部32を制御して、計測が終了したアッセンブリユニット1のベース板2の下面からコンタクト部材29,59を遠ざける。そして、第1実施形態と同様に、昇降機構20を制御して、ビーム12とともに押圧ピン16,18および静電容量式変位計14を上昇させる。また、測定制御部24は、位置決め治具(図示せず)と搬送部22を制御して、計測が終了したアッセンブリユニット1をプラットフォーム10から排出位置へ搬送する。
【0130】
ステップS7では、測定制御部24は、抵抗測定を指令する測定切替信号を抵抗測定計26と切替部68,69に供給する。
【0131】
ステップS8(
図4)で使用される「閾値」は、第1実施形態および第2実施形態のそれらと異なる。
【0132】
また、ステップS10で検査装置が停止した後、検査装置の操作者は、コンタクト部材29,59の清掃または交換を行うであろう。この時、押圧ピン16,18を清掃してもよい。
【0133】
図4から明らかなように、上記回路の抵抗が閾値より低い場合(すなわち接触抵抗R3,R4が小さく、静電容量式変位計14の計測結果が正確であると推定される場合)に、測定制御部24は、抵抗の測定前に静電容量式変位計14で計測された計測結果を記録部24aに記録する。他方、抵抗が閾値以上である高い場合(すなわち接触抵抗R3,R4が大きく、静電容量式変位計14の計測結果が不正確であると推定される場合)に、測定制御部24は、抵抗の測定前に静電容量式変位計14で計測された計測結果を記録せず、警告を発する。したがって、信頼性が高い計測結果だけを記録することができる。
【0134】
図21に示すように、第3実施形態の変形例では、コンタクト部材としてコンタクトピン(接続プラグ)30,60を使用する。コンタクトピン30は、ベース板2の孔部31に挿入されて、ベース板2に電気的に接続される。コンタクトピン60は、ベース板2の孔部61に挿入されて、ベース板2に電気的に接続される。アッセンブリユニット1のベース板2の回転部材3が配置された面と反対側の面、すなわち下面には、孔部31,61が形成されている。孔部31,61は、アッセンブリユニット1を他の部品、例えば筐体に取り付けるための孔の2つであってよい。孔部31,61はネジ孔でもよい。孔部31には、コンタクトピン30の一部が挿入され、孔部61には、コンタクトピン60の一部が挿入される。孔部31,61はベース板2の下面に形成されているので、コンタクトピン30,60が孔部31,61の内周面を擦傷しても、損傷は目立たない。コンタクト部材操作部32は、コンタクトピン30,60を孔部31,61に挿入し、孔部31,61から抜き出す。
【0135】
他の特徴は、第3実施形態の検査装置の特徴と同じである。
【0136】
コンタクトピン60はコンタクトピン30と同じタイプであってよい。コンタクトピン30,60の具体例は、
図8から
図11を参照して詳述したコンタクトピン30と同じであってよいし、
図12から
図19を参照して詳述した変形例のコンタクトピン30A,30B,30C,30D,30Eのいずれかであってもよい。
【0137】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示して説明したが、当業者にとって特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、形式および詳細の変更が可能であることが理解されるであろう。このような変更、改変および修正は本発明の範囲に包含されるはずである。
【0138】
例えば、静電容量式変位計14の計測対象は、アッセンブリユニット1の回転部材3に限られない。導電材料製の各種の物体が静電容量式変位計14の計測対象となりうる。具体的な例としては、回転ヘッド装置が挙げられ、他例ではハードディスクドライブ(HDD)などのモータアッセンブリユニットが挙げられる。さらに、平板、段差を有する部品なども計測対象となりうる。
【0139】
測定制御部24は、コンピュータプログラムに従って動作するプロセッサの代わりに、ハードウェアで実行してもよいし、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array),DSP(Digital Signal Processor)等のプログラマブルロジックデバイスで実行してもよい。
【0140】
前記の実施形態および変形例は、矛盾しない限り、組み合わせてもよい。
【0141】
なお、本技術は、以下のような構成をとることが可能である。
(1) 導電材料製の計測対象との距離を計測する静電容量式変位計と、
前記静電容量式変位計のセンサグランドが電気的に接続された接地部と、
前記計測対象が取り付けられた導電材料製の板である支持部を押圧して前記支持部を固定し、前記接地部に接触する2つの押圧ピンと、
前記静電容量式変位計が前記距離を計測していない時間に、前記支持部を含む部分の2つの地点の間の抵抗を測定する抵抗測定計と、
前記抵抗が閾値より低い場合に、前記抵抗の測定前に前記静電容量式変位計で計測された計測結果を記録する測定制御部とを備え、
前記2つの押圧ピンの少なくとも1つは導電材料製である
検査装置。
(2) 前記抵抗が閾値より高い場合に、前記測定制御部は、前記抵抗の測定前に前記静電容量式変位計で計測された前記計測結果を記録せず、警告を発する
ことを特徴とする(1)に記載の検査装置。
(3) 前記抵抗測定計は、前記接地部と前記支持部を含む回路の抵抗を測定する
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の検査装置。
(4) 前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記抵抗測定計を前記支持部に電気的に接続し、前記静電容量式変位計が前記距離を計測する時、前記抵抗測定計を前記支持部から電気的に切り離す切替部をさらに備える
ことを特徴とする(3)に記載の検査装置。
(5) 前記2つの押圧ピンの一方は、前記接地部に接触して前記支持部に接触しない導電材料製の第1の端部と、前記支持部に接触して前記接地部に接触しない導電材料製の第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部の間に介在させられた絶縁材料製の絶縁部を有し、
前記切替部は、前記押圧ピンの前記第2の端部に電気的に接続された共通端子と、前記接地部に電気的に接続された接地端子と、前記抵抗測定計に電気的に接続された抵抗測定端子を有し、
前記抵抗測定計は、前記接地部に電気的に接続された第1の端子と、前記切替部の前記抵抗測定端子に電気的に接続されて、前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記押圧ピンの前記第2の端部に電気的に接続される第2の端子を有する
ことを特徴とする(4)に記載の検査装置。
(6) 前記切替部は、前記支持部に電気的に接続された共通端子と、前記接地部に電気的に接続された接地端子と、前記抵抗測定計に電気的に接続された抵抗測定端子を有し、
前記抵抗測定計は、前記接地部に電気的に接続された第1の端子と、前記切替部の前記抵抗測定端子に電気的に接続されて、前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記支持部に電気的に接続される第2の端子を有する
ことを特徴とする(4)に記載の検査装置。
(7) 前記支持部に接触して前記支持部に電気的に接続される導電材料製のコンタクト部材をさらに備え、
前記切替部の前記共通端子は、前記コンタクト部材に電気的に接続されている
ことを特徴とする(6)に記載の検査装置。
(8) 前記コンタクト部材は、前記支持部の前記計測対象が配置された面と反対の面に接触する
ことを特徴とする(7)に記載の検査装置。
(9) 前記支持部は孔部を有し、
前記コンタクト部材は、前記孔部に挿入されて前記支持部に電気的に接続されるコンタクトピンである
ことを特徴とする(7)に記載の検査装置。
(10) 前記コンタクトピンは、径方向に拡張可能な拡張部を有し、前記拡張部は前記孔部への挿入時に径方向に拡張して前記孔部の内周面に接触し、前記孔部からの抜き出し時に径方向に縮小する
ことを特徴とする(9)に記載の検査装置。
(11) 前記拡張部の前記孔部の前記内周面に対する接触圧を推定するための機構をさらに備えることを特徴とする(10)に記載の検査装置。
(12) 前記抵抗測定計は、前記支持部の2つの地点の間の抵抗を測定する
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の検査装置。
(13) 2つの切替部をさらに備え、
前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記2つの切替部は、前記抵抗測定計を前記支持部の前記2つの地点に電気的に接続し、前記静電容量式変位計が前記距離を計測する時、前記2つの切替部は、前記抵抗測定計を前記支持部から電気的に切り離す
ことを特徴とする(12)に記載の検査装置。
(14) 前記支持部の前記2つの地点にそれぞれ接触して前記支持部に電気的に接続される導電材料製の2つのコンタクト部材をさらに備え、
各切替部は、前記コンタクト部材の1つに電気的に接続された共通端子と、前記接地部に電気的に接続された接地端子と、前記抵抗測定計に電気的に接続された抵抗測定端子を有し、
前記抵抗測定計は、前記2つの切替部の前記抵抗測定端子に電気的にそれぞれ接続されて、前記抵抗測定計が前記抵抗を測定する時、前記2つのコンタクト部材に電気的にそれぞれ接続される2つの端子を有する
ことを特徴とする(13)に記載の検査装置。
(15) 前記2つの地点は、前記支持部の前記計測対象が配置された面と反対側の面にある
ことを特徴とする(14)に記載の検査装置。
(16) 前記支持部は、前記2つの地点のそれぞれに2つの孔部を有し、
前記2つのコンタクト部材は、前記孔部にそれぞれ挿入されて前記支持部に電気的に接続される2つのコンタクトピンである
ことを特徴とする(14)に記載の検査装置。
(17) 各コンタクトピンは、径方向に拡張可能な拡張部を有し、前記拡張部は前記孔部への挿入時に径方向に拡張して前記孔部の内周面に接触し、前記孔部からの抜き出し時に径方向に縮小する
ことを特徴とする(16)に記載の検査装置。
(18) 各コンタクトピンの前記拡張部の対応する孔部の前記内周面に対する接触圧を推定するための機構をさらに備えることを特徴とする(17)に記載の検査装置。
【符号の説明】
【0142】
1 アッセンブリユニット
2 ベース板(支持部)
3 回転部材(計測対象)
12 ビーム(接地部)
14 静電容量式変位計
14c センサグランド
16,17,18 押圧ピン
17a 第1の端部
17b 第2の端部
17c 絶縁部
24 測定制御部
24a 記録部
26 抵抗測定計
26a 第1の端子
26b 第2の端子
28,68,69 切替部
28a,68a,69a 共通端子
28b,68b,69b 接地端子
28c,68c,69c 抵抗測定端子
29,59 コンタクト部材
30,30A,30B,30C,30D,30E,60 コンタクトピン(コンタクト部材)
31,61 孔部
36 拡張部
48 抵抗計(接触圧を推定するための機構)
50,51 感圧センサ(接触圧を推定するための機構)