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特開2024-80967太陽電池モジュール及びこれを用いた電気化学反応デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080967
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール及びこれを用いた電気化学反応デバイス
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/57 20230101AFI20240610BHJP
【FI】
H10K30/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194342
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】山中 健一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直彦
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA10
5F151AA20
5F151DA16
5F251AA02
5F251AA10
5F251AA20
5F251DA16
(57)【要約】
【課題】バンドギャップが従来の最適条件から外れたトップセルを適用しても光電変換効率が高い太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】光入射側から、トップセル10を個数ntop直列接続したトップモジュールと、ミドルセル14とボトムセル12を積層したミドル/ボトム積層セルを個数nmb直列接続したミドル/ボトムモジュールと、を積層し、トップモジュールとミドル/ボトムモジュールを並列接続し、個数ntopと個数nmbの比nmb/ntopは、トップモジュールの最大出力動作電圧VMPP (top)とミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧VMPP (mb)が2|VMPP (top)-VMPP (mb)|/|VMPP (top)+VMPP (mb)|<0.2を満たすように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドギャップが各々異なる太陽電池セルであるトップセル、ミドルセル及びボトムセルを組み合わせた太陽電池モジュールであって、
光入射側から、前記トップセルを個数ntop直列接続したトップモジュールと、前記ミドルセルと前記ボトムセルを積層したミドル/ボトム積層セルを個数nmb直列接続したミドル/ボトムモジュールと、を積層し、
前記トップモジュールと前記ミドル/ボトムモジュールを並列接続し、
前記個数ntopと前記個数nmbの比nmb/ntopは、前記トップモジュールの最大出力動作電圧VMPP (top)と前記ミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧VMPP (mb)が2|VMPP (top)-VMPP (mb)|/|VMPP (top)+VMPP (mb)|<0.2を満たすことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセル及び前記ミドルセルの少なくとも一方は、有機無機ハイブリッドペロブスカイトからなることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記ボトムセルは、結晶シリコン又はCu(In,Ga)Seからなることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセルのバンドギャップE (top)は、1.6eV以上2.4eV以下であることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセルのバンドギャップE (top)に対して、前記ミドルセルのバンドギャップE (mid)は、0.3E (top)+0.88±0.1eVの範囲であることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセルのバンドギャップE (top)に対して、比nmb/ntopは0.44E (top)+0.04±0.15の範囲であることを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールと、
電気化学リアクタ又は複数の電気化学リアクタを直列接続した電気化学リアクタモジュールと、
を組み合わせたことを特徴とする電気化学反応デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタは、水(HO)から水素(H)と酸素(O)を生成するリアクタであることを特徴とする電気化学反応デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタモジュールは、前記電気化学リアクタを個数nEC直列接続して構成され、
前記個数ntopと前記個数nECの比ntop/nECは-0.34E (top)+2.21-0.05以上-0.34E (top)+2.21+0.1以下の範囲であることを特徴とする電気化学反応デバイス。
【請求項10】
請求項7に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタは、二酸化炭素(CO)を還元するリアクタであることを特徴とする電気化学反応デバイス。
【請求項11】
請求項7に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタは、二酸化炭素(CO)と水(HO)から一酸化炭素(CO)又はギ酸(HCOOH)を生成するリアクタであることを特徴とする電気化学反応デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタモジュールは、前記電気化学リアクタを個数nEC直列接続して構成され、
前記個数ntopと前記個数nECの比ntop/nECは-0.38E (top)+2.35-0.05以上-0.38E (top)+2.35+0.1以下の範囲であることを特徴とする電気化学反応デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール及びこれを用いた電気化学反応デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光エネルギーの利用は、カーボンニュートラルを実現するために必須の技術である。太陽電池を用いた太陽光発電は既に世の中に広く普及しているが、全発電量に占める割合は僅かである。したがって、光電変換効率(ηSC)の向上が求められている。
【0003】
さらに、太陽光エネルギーを用いて水(HO)から水素(H)を、二酸化炭素(CO)から一酸化炭素(CO)やギ酸(HCOOH)等を合成する人工光合成の研究が精力的に行われている。現状では、太陽電池と電気化学リアクタを組み合わせたデバイスは、光触媒を用いたデバイスに比べて、太陽光エネルギーから化学エネルギーへの変換効率(ηSTC)が高い。しかしながら、これらのデバイスにおいても変換効率(ηSTC)の向上が要求されており、太陽電池の光電変換効率(ηSC)の向上が必要である。
【0004】
太陽電池の光電変換効率(ηSC)を向上させる最も確実な方法は複数種の太陽電池セルを多接合化する技術である。例えば、バンドギャップが異なる3種類の太陽電池セル(バンドギャップが大きい順にトップセル、ミドルセル、ボトムセル)を積層して直列接続した直列3接合(3S)モジュール、ミドルセルとボトムセルを積層して直列接続した直列2接合(2S)セルとトップセルを積層すると共に並列接続した直列/並列3接合(3S/P)モジュールが提案されている。このようなモジュールの構成とすることによって光電変換効率(ηSC)を高くすることができる。また、これらの太陽電池モジュールと電気化学リアクタを組み合わせることによって、電気化学反応デバイスの太陽光エネルギーから生成物の化学エネルギーへの変換効率(ηSTC)を高めることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.Takeda, et al., J. Appl. Phys. 127, 204503 (2020)
【非特許文献2】T.Takeda, et al., J. Appl. Phys. 132, 075002 (2022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
3Sモジュール、3S/Pモジュールによって太陽電池モジュールの光電変換効率(ηSC)を高め、さらにはその太陽電池モジュールを用いた電気化学反応デバイスの変換効率(ηSTC)を高めるためには、バンドギャップが2.2eV~2.3eV程度の材料を用いた高効率のトップセルが必要である。
【0007】
しかしながら、一般的に、バンドギャップが大きい高効率の太陽電池セルを作製することは困難である。一方、バンドギャップが上記の適切な値よりも小さいトップセルを用いて3Sモジュール、3S/Pモジュールを構成すると、従来の直列2接合(2S)モジュール、電圧整合ダブルタンデム(2VM)モジュールよりも太陽電池モジュールの光電変換効率(ηSC)や電気化学反応デバイスの変換効率(ηSTC)が低くなってしまう。
【0008】
そこで、バンドギャップが上記条件から外れたトップセルを適用しても光電変換効率(ηSC)がより高い太陽電池モジュール及び変換効率(ηSTC)がより高い電気化学反応デバイスを提供できることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様は、バンドギャップが各々異なる太陽電池セルであるトップセル、ミドルセル及びボトムセルを組み合わせた太陽電池モジュールであって、光入射側から、前記トップセルを個数ntop直列接続したトップモジュールと、前記ミドルセルと前記ボトムセルを積層したミドル/ボトム積層セルを個数nmb直列接続したミドル/ボトムモジュールと、を積層し、前記トップモジュールと前記ミドル/ボトムモジュールを並列接続し、前記個数ntopと前記個数nmbの比nmb/ntopは、前記トップモジュールの最大出力動作電圧VMPP (top)と前記ミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧VMPP (mb)が2|VMPP (top)-VMPP (mb)|/|VMPP (top)+VMPP (mb)|<0.2を満たすことを特徴とする太陽電池モジュールである。
【0010】
ここで、前記トップセル及び前記ミドルセルの少なくとも一方は、有機無機ハイブリッドペロブスカイトからなることが好適である。
【0011】
また、前記ボトムセルは、結晶シリコン又はCu(In,Ga)Seからなることが好適である。
【0012】
また、前記トップセルのバンドギャップE (top)は、1.6eV以上2.4eV以下であることが好適である。
【0013】
また、前記トップセルのバンドギャップE (top)に対して、前記ミドルセルのバンドギャップE (mid)は、0.3E (top)+0.88±0.1eVの範囲であることが好適である。
【0014】
また、前記トップセルのバンドギャップE (top)に対して、比nmb/ntopは0.44E (top)+0.04±0.15の範囲であることが好適である。
【0015】
本発明の別の態様は、上記の太陽電池モジュールと、電気化学リアクタ又は複数の電気化学リアクタを直列接続した電気化学リアクタモジュールと、を組み合わせたことを特徴とする電気化学反応デバイスである。
【0016】
ここで、前記電気化学リアクタは、水(HO)から水素(H)と酸素(O)を生成するリアクタであることが好適である。
【0017】
また、前記電気化学リアクタモジュールは、前記電気化学リアクタを個数nEC直列接続して構成され、前記個数ntopと前記個数nECの比ntop/nECは-0.34E (top)+2.21-0.05以上-0.34E (top)+2.21+0.1以下の範囲であることが好適である。
【0018】
また、前記電気化学リアクタは、二酸化炭素(CO)を還元するリアクタであることが好適である。
【0019】
また、前記電気化学リアクタは、二酸化炭素(CO)と水(HO)から一酸化炭素(CO)又はギ酸(HCOOH)を生成するリアクタであることが好適である。
【0020】
また、前記電気化学リアクタモジュールは、前記電気化学リアクタを個数nEC直列接続して構成され、前記個数ntopと前記個数nECの比ntop/nECは-0.38E (top)+2.35-0.05以上-0.38E (top)+2.35+0.1以下の範囲であることが好適である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、バンドギャップが従来の最適条件から外れたトップセルを適用しても光電変換効率(ηSC)が従来より高い太陽電池モジュール及び変換効率(ηSTC)が従来より高い電気化学反応デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態における太陽電池モジュールの構成を示す概念図である。
図2】太陽電池モジュールの年間平均変換効率のトップセルのバンドギャップ依存性を示す図である。
図3】トップセルのバンドギャップに対するミドルセルのバンドギャップの最適値を示す図である。
図4】トップセルのバンドギャップに対するトップセルの直列接続数とミドル/ボトムセルの直列接続数の比の最適値を示す図である。
図5】ミドルセルのバンドギャップが最適値からずれたときの変換効率への影響を示す図である。
図6】トップセルの直列接続数とミドル/ボトムセルの直列接続数の比が最適値からずれたときの変換効率への影響を示す図である。
図7】トップセルの直列接続数とミドル/ボトムセルの直列接続数の比が最適値からずれたときのトップモジュールの最大出力動作電圧とミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧への影響を示す図である。
図8】トップモジュールの最大出力動作電圧とミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧が最適値からずれたときの変換効率への影響を示す図である。
図9】太陽電池モジュールの年間平均変換効率のトップセルのバンドギャップ依存性を示す図である。
図10】太陽電池モジュールの構成を示す概念図である。
図11】本発明の実施の形態における人工光合成デバイスの構成を示す概念図である。
図12】水素(H)生成用の人工光合成デバイスの年間平均変換効率のトップセルのバンドギャップ依存性を示す図である。
図13】水素(H)生成用の人工光合成デバイスのトップセルのバンドギャップに対するミドルセルのバンドギャップの最適値を示す図である。
図14】水素(H)生成用の人工光合成デバイスのトップセルのバンドギャップに対するトップセルの直列接続数とミドル/ボトムセルの直列接続数の比及びECリアクタの直列接続数とトップセルの直列接続数の比の最適値を示す図である。
図15】水素(H)生成用の人工光合成デバイスのECリアクタの直列接続数とトップセルの直列接続数の比が最適値からずれたときの変換効率への影響を示す図である。
図16】一酸化炭素(CO)生成用の人工光合成デバイスの年間平均変換効率のトップセルのバンドギャップ依存性を示す図である。
図17】一酸化炭素(CO)生成用の人工光合成デバイスのトップセルのバンドギャップに対するミドルセルのバンドギャップの最適値を示す図である。
図18】一酸化炭素(CO)生成用の人工光合成デバイスのトップセルのバンドギャップに対するトップセルの直列接続数とミドル/ボトムセルの直列接続数の比及びECリアクタの直列接続数とトップセルの直列接続数の比の最適値を示す図である。
図19】一酸化炭素(CO)生成用の人工光合成デバイスのECリアクタの直列接続数とトップセルの直列接続数の比が最適値からずれたときの変換効率への影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、各種構成を備えた太陽電池モジュールを示す概念構成図である。図1は、(a)直列2接合(2S)モジュール、(b)電圧整合ダブルタンデム(2VM)モジュール、(c)直列3接合(3S)モジュール、(d)直列/並列3接合(3S/P)モジュール、及び(e)電圧整合トリプルタンデム(3VM(2S))モジュールの構成を示している。
【0024】
2Sモジュール及び2VMモジュールは、いずれも光入射側からトップセル10とボトムセル12を重ね合わせた構成である。また、3Sモジュール、3S/Pモジュール及び3VM(2S)モジュールは、いずれも光入射側からトップセル10、ミドルセル14及びボトムセル12を重ね合わせた構成である。
【0025】
2Sモジュールは、トップセル10及びボトムセル12を直接積層した構成を有する太陽電池モジュールである。2VMモジュールは、トップセル10及びボトムセル12を異なる基板上に形成し、ntop個のトップセル10及びnbot個のボトムセル12をそれぞれ直列に接続してトップモジュール及びボトムモジュールを構成し、トップモジュールとボトムモジュールとを並列接続した太陽電池モジュールである。2VMモジュールでは、トップモジュールの個数ntopとボトムモジュールの個数nbotを調整することで、トップモジュールとボトムモジュールの出力電圧を整合させることができる。
【0026】
3Sモジュールは、トップセル10、ミドルセル14及びボトムセル12を直接積層した構成を有する太陽電池モジュールである。3S/Pモジュールは、トップセル10、ミドルセル14及びボトムセル12を直接積層した構成であり、ミドルセル14及びボトムセル12を組み合わせたモジュールとトップセル10のみからなるモジュールを並列接続した太陽電池モジュールである。3VM(2S)モジュールは、トップセル10とミドルセル14及びボトムセル12を異なる基板上に形成し、ntop個のトップセル10とnmb個のミドルセル14及びボトムセル12をそれぞれ直列に接続してトップモジュール及びミドル/ボトムモジュールを構成し、トップモジュールとミドル/ボトムモジュールとを並列接続した太陽電池モジュールである。3VM(2S)モジュールでは、トップモジュールの個数ntopとミドル/ボトムモジュールの個数nmbを調整することで、トップモジュールとミドル/ボトムモジュールの出力電圧を整合させることができる。
【0027】
上記各種の太陽電池モジュールの電流密度-電圧(J-V)特性をモデル化し、光電変換効率ηSCを計算した。
【0028】
太陽電池セル(単セル)の電流密度j(SC)を、定電流源、ダイオード、直列抵抗の組み合わせからなる等価回路から導かれる数式(1)により表す。
【数1】
【0029】
ここで、jph,j,rは、それぞれ光電流密度、ダイオードの逆飽和電流密度、及び直列抵抗である。q,k,Tはそれぞれ電荷素量、Boltzmann定数、素子の温度(300K)である。光電変換の外部量子効率ηEQEが光子エネルギーによらない一定値であると近似すると、光電流密度jphはセルに用いられる光吸収材料のバンドギャップEと太陽光の光子数スペクトルnsun(hバーω)(ただし、hバーはプランク定数hを2πで除した値)により決まる。
【数2】
【0030】
タンデムセルの場合は、数式(2)の積分範囲の上限がセルの位置に応じて変化する。2Sモジュール及び2VMモジュールのボトムセルの場合は、それぞれのトップセルのバンドギャップである。3S、3S/P、及び3VM(2S)モジュールのミドルセルの場合は、それぞれのトップセルのバンドギャップであり、ボトムセルの場合は、それぞれのミドルセルのバンドギャップである。ダイオードの逆飽和電流密度jについては、一般化されたプランクの法則により表される輻射再結合の成分と、輻射、非輻射の両過程を合わせた全再結合電流密度の比である外部発光効率ηEREを導入すると数式(3)が導かれる。
【数3】
【0031】
ただし、Fermi-Dirac分布関数がBoltzmann分布関数により近似されている。なお、h,cはそれぞれプランク定数、及び真空中の光速度である。
【0032】
数式(1)の太陽電池セル(単セル)の電流密度j(SC)により表される特性をもつセルが直列、並列に接続された各タンデム太陽電池モジュールのJ-V特性及び光電変換効率ηSCを求めた。
【0033】
上記各種の太陽電池モジュールの電流密度-電圧(J-V)特性は、以下の連立方程式を解くことにより求められる。jtop[vtop]、jmid[vmid]、jbot[vbot]はそれぞれ数式(1)により表されるトップセル、ミドルセル、ボトムセルの電流-電圧特性である。
<2S太陽電池モジュール>
【数4】
<2VM太陽電池モジュール>
【数5】
<3S太陽電池モジュール>
【数6】
<3S/P太陽電池モジュール>
【数7】
<3VM(2S)太陽電池モジュール>
【数8】
【0034】
ここで、光電変換効率ηSCは電圧Vの関数としての電流密度Jと電圧Vの積の最大値に対する太陽光強度Psunの比であり、数式(9)で表される。
【数9】
【0035】
なお、透明導電基板や配線の抵抗損失、及び光電変換に寄与しない光吸収、反射による損失は無視した。
【0036】
数値計算の際には、有機無機ハイブリッドペロブスカイト(PVK)太陽電池セル、シリコン(Si)太陽電池セル、及びCu(In,Ga)Se太陽電池セルの各々について、数式(1)により得られる発電特性が変換効率の最高値が得られたセルの実測値に近い値となるようにフィッティングにより求めた光電変換の外部量子効率ηEQE,外部発光効率ηERE,直列抵抗rの各値を用いた。
【0037】
表1は、有機無機ハイブリッドペロブスカイト(PVK)、結晶シリコン(Si)、及びCu(In,Ga)Seの各単接合太陽電池セルの電流密度-電圧特性のモデル式(数式(1))に用いられた外部量子効率ηEQE、外部発光効率ηERE、及び直列抵抗rと、短絡電流密度jSC、開放端電圧vOC、形状因子ff、及び光電変換効率ηSCの計算結果と実測値を示す。
【表1】
【0038】
なお、PVK太陽電池セルの実測値はH. Min, D. Y. Lee, J. Kim, G. Kim, K. S. Lee, J. Kim, M. J. Paik, Y. K. Kim, K. S. Kim, M. G. Kim, T. J. Shin, and S. I. Seok, Nature 598, 444 (2021).,Si太陽電池セルの実測値はK. Yoshikawa, H. Kawasaki, W. Yoshida, T. Irie, K. Konishi, K. Nakano, T. Uto, D. Adachi, M. Kanematsu, H. Uzu, and K.i Yamamoto, Nat. Energy 2, 17032 (2017).,CIGS太陽電池セルの実測値はM. Nakamura, K. Yamaguchi, Y. Kimoto, Y. Yasaki, T. Kato, and H. Sugimoto, IEEE J. Photovolt. 9, 1863 (2019).を引用した。
【0039】
まず、標準条件であるAM1.5G光照射(Reference Solar Spectral Irradiance: Air Mass 1.5, National Renewable Energy Laboratory, available from https://rredc.nrel.gov/solar/spectra/am1.5/)、温度300Kにおいて、任意のトップセルのバンドギャップE (top)に対して光電変換効率ηSCが最大となるように、ミドルセルのバンドギャップE (mid)、2VMモジュールについてはボトムセルとトップセルの個数の比nbot/ntop、3VM(2S)モジュールについてはミドル/ボトムセルとトップセルの個数の比nmb/ntopを最適化した。
【0040】
なお、トップセルの個数ntop、ボトムセルの個数nbot及びミドル/ボトムセルの個数nmbは本来整数である。しかしながら、大きいサイズの太陽電池モジュールであってトップセルの個数ntop、ボトムセルの個数nbot及びミドル/ボトムセルの個数nmbが多ければボトムセルとトップセルの個数の比nbot/ntopやミドル/ボトムセルとトップセルの個数の比nmb/ntopを細かい刻みで設定することができる。したがって、これらの比は連続変数として扱った。
【0041】
最適化された構造について、日射スペクトルのデータベース(つくば市、2015年)を用いて(NEDO,日射に関するデータベース)、年間平均の光電変換効率ηSC (annual)を計算した。モジュールの温度は300Kの一定値に設定した。
【0042】
図2は、トップセル及びミドルセルにPVKセルを適用し、ボトムセルに結晶シリコン(Si)セルを適用したときの2Sモジュール、2VMモジュール、3Sモジュール、3S/Pモジュール及び3VM(2S)モジュールについて年間平均の変換効率ηSC (annual)を計算し、そのトップセルのバンドギャップE (top)に対する依存性を求めた結果を示す。図2に示すように、トップセルのバンドギャップE (top)=2.2eV付近を除いて、3VM(2S)モジュールの変換効率ηSC (annual)が最も高い値を示した。3VM(2S)モジュール及び3S/Pモジュールは、共に、トップセルのバンドギャップE (top)=2.2eVにて変換効率ηSC (annual)=40%が得られた。ただし、3S/Pモジュールに比べて3VM(2S)モジュールは変換効率ηSC (annual)のトップセルのバンドギャップE (top)依存性が小さいので、トップセルのバンドギャップE (top)が最適値からずれても変換効率ηSC (annual)が他のモジュールに比べて高い値で維持されることが判明した。一方、3Sモジュールでは、日射スペクトルが変動した時の電流不整合の悪影響が大きく、最適なトップセルのバンドギャップE (top)であっても、3VM(2S)モジュール及び3S/Pモジュールよりも変換効率ηSC (annual)が低い値に留まった。
【0043】
図3及び図4は、3VM(2S)モジュールに用いられるトップセルのバンドギャップE (top)に対するミドルセルのバンドギャップE (mid)、及びモジュール内のトップセルの直列接続数ntopとミドル/ボトムセルの直列接続数nmbの比の最適値を求めた結果を示す。これらの最適値は、数式(10)及び数式(11)の1次式で表すことができる。なお、トップセルのバンドギャップE (top)は、1.6eV以上2.4eV以下の範囲とすることが好適である。
【数10】
【数11】
【0044】
図5及び図6は、それぞれ3VM(2S)モジュールに用いられるミドルセルのバンドギャップE (mid)及びトップセルの直列接続数ntopとミドル/ボトムセルの直列接続数nmbの比nmb/ntopが最適値からずれたときの影響を調べた結果を示す。縦軸は、AM1.5G光を照射した時の変換効率ηSCの相対値である。
【0045】
ミドルセルのバンドギャップE (mid)は最適値からのずれが±0.1eVの範囲にあれば、変換効率ηSCは最大値に対して相対的に約90%の範囲に収まった。また、トップセルの直列接続数ntopとミドル/ボトムセルの直列接続数nmbの比nmb/ntopは最適値からのずれが±0.15の範囲にあれば、変換効率ηSCは最大値に対して相対的に約90%の範囲に収まった。
【0046】
なお、比nmb/ntopが最適値にあるときはトップモジュールの最大出力動作電圧VMPP (top)とミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧VMPP (mb)が略一致する。しかしながら、比nmb/ntopが最適値からずれると、図7に示すように両者に差が生ずる。図8は、トップモジュールの最大出力動作電圧VMPP (top)とミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧VMPP (mb)の相対的な差の関数として変換効率ηSCを求めた結果を示す。図8に示すように、2|VMPP (top)-VMPP (mb)|/|VMPP (top)+VMPP (mb)|<0.2を満たすときに、比nmb/ntopが最適値であるときの変換効率ηSCの最大値に対して変換効率ηSCを約90%以上に維持することができた。
【0047】
図9は、トップセル及びミドルセルにPVKセルを適用し、ボトムセルにCIGSセルを適用したときの2Sモジュール、2VMモジュール、3Sモジュール、3S/Pモジュール及び3VM(2S)モジュールについて年間平均の変換効率ηSC (annual)を計算し、そのトップセルのバンドギャップE (top)に対する依存性を求めた結果を示す。図9に示すように、ボトムセルに結晶シリコン(Si)セルを適用したときと同様の結果が得られた。したがって、上記の最適化に関する各種条件は、ボトムセルにCIGSセルを適用したときもボトムセルに結晶シリコン(Si)セルを適用したとき同様とすることができる。
【0048】
なお、ボトムセルとしてCIGSセルを適用する場合、図10に示すように、透明基板20上に形成された集積型太陽電池モジュールからなる半透光性のトップモジュールと、基板22上に形成された集積型2直列太陽電池モジュールからなるミドルモジュール/ボトムモジュールと、を積層した構成してもよい。
【0049】
図11は、各種の太陽電池モジュールと電気化学(EC)モジュールとを組み合わせた人工光合成デバイスを示す概念構成図である。図11(a)は、直列2接合(2S)モジュールと電気化学(EC)モジュールを組み合わせた人工光合成デバイス(2S-EC)の構成を示す。図11(b)は、電圧整合ダブルタンデム(2VM)モジュールと電気化学(EC)モジュールを組み合わせた人工光合成デバイス(2VM-nEC)の構成を示す。図11(c)は、直列/並列3接合(3S/P)モジュールと電気化学(EC)モジュールを組み合わせた人工光合成デバイス(3S/P-EC)の構成を示す。図11(d)は、電圧整合トリプルタンデム(3VM(2S))モジュールと電気化学(EC)モジュールを組み合わせた人工光合成デバイス(3VM(2S)-nEC)の構成を示す。なお、太陽電池モジュールとして3Sモジュールを用いると変換効率ηSTCが大幅に低下することが既に知られているので比較対象から除いた。
【0050】
太陽電池モジュールの電流密度-電圧(J-V)特性の曲線と、ECモジュールの負荷曲線の交点(電流密度Jop、電圧Vop)が人工光合成デバイスの動作点である。図11に示した各人工光合成デバイスの電流密度Jop及び電圧Vopは以下の連立方程式を解くことにより求められる。ここで、jEC[vEC]は、ECリアクタの負荷曲線である。
<2S-EC人工光合成デバイス>
【数12】
<2VM-nEC人工光合成デバイス>
【数13】
ただし、電流密度Jop、電圧VopはECリアクタ1台当たりの値である。
<3S/P-EC人工光合成デバイス>
【数14】
<3VM(2S)人工光合成デバイス>
【数15】
ただし、電流密度Jop、電圧VopはECリアクタ1台当たりの値である。
【0051】
水(HO)から水素(H)と酸素(O)を生成するECリアクタのファラデー効率ηFEはほぼ1であるとみなすことができる。この反応の熱力学的閾値電圧は1.23Vであるから、太陽光エネルギーから水素(H)の化学エネルギーへの変換効率ηH2は数式(16)で表される。
【数16】
【0052】
一方、二酸化炭素(CO)から一酸化炭素(CO)と酸素(O)を生成するECリアクタのファラデー効率ηFEが1よりも小さく、かつ電圧Vopに依存することを考慮する。この反応の熱力学的閾値電圧は1.34Vであるから、一酸化炭素(CO)の化学エネルギーへの変換効率ηCOは数式(17)により求められる。
【数17】
【0053】
水素(H)を生成するECリアクタの負荷曲線、一酸化炭素(CO)を生成するECリアクタの負荷曲線、及びファラデー効率ηFEには、それぞれS. Wen, T. Yang, N. Zhao, L. Ma, and E. Liu, Appl. Catal. B: Environ. 258, 117953 (2019),S. Verma, Y. Hamasaki, C. Kim, W. Huang, S. Lu, H.-R. M. Jhong, A. A. Gewirth, T. Fujigaya, N. Nakashima, and P. J. A. Kenis, ACS Energy Lett. 4, 193 (2018)のデータを適用した。
【0054】
先に述べたタンデム太陽電池モジュールの場合と同様に、AM1.5G光について最適化を行い、水素(H)及び一酸化炭素(CO)の化学エネルギーへの変換効率ηH2、ηCOを求めた後に、最適化された構造について年間平均の変換効率ηH2 (annual)、ηCO (annual)を計算した。この際、ntop/nEC等も連続変数と見なした。太陽電池モジュール及びECモジュールの温度は300Kの一定値に設定した。
【0055】
図12は、水素(H)を生成するECリアクタを用いた人工光合成デバイスの年間平均の変換効率ηH2 (annual)を計算し、そのトップセルのバンドギャップE (top)依存性を求めた結果を示す。図12に示すように、全領域において3VM(2S)モジュールを適用した人工光合成デバイス3VM(2S)-nECにおいての変換効率ηH2 (annual)が最も高くなった。太陽電池モジュールの年間平均変換効率ηSC (annual)の傾向と異なるのは、2Sモジュールを適用した人工光合成デバイス2S-ECの変換効率ηH2 (annual)が2VMモジュールを適用した人工光合成デバイス2VM-nECに比べて大幅に低い点が挙げられる。これは、人工光合成デバイス2S-ECについて太陽電池モジュールの最大出力動作電圧と人工光合成デバイスの動作電圧の差が大きいからである。また、トップセルのバンドギャップE (top)が小さくなると人工光合成デバイス3S/P-ECの変換効率ηH2 (annual)が急激に低下する点も挙げられる。これは、トップセルのバンドギャップE (top)が小さいと太陽電池モジュールの最大出力動作電圧が低く、人工光合成デバイスの動作電流が小さくなるからである。
【0056】
図13は、人工光合成デバイス3VM(2S)-nECに用いられるモジュール内のトップセルのバンドギャップE (top)に対するミドルセルのバンドギャップE (mid)の最適値を示す。また、図14は、モジュール内のトップセルのバンドギャップE (top)に対するトップセルの直列接続数ntopとミドル/ボトムセルの直列接続数nmbの比nmb/ntopの最適値、及び、ECリアクタの直列接続数nECとトップセルの直列接続数ntopの比ntop/nECの最適値を示す。
【0057】
ミドルセルのバンドギャップE (mid)及び比nmb/ntopの最適値は、ミドルセルとボトムセルの電流整合条件により決まるため、負荷(パワーコンディショナーまたはECリアクタ)には殆ど依存しない。したがって、それぞれ図3及び図4に示した太陽電池の場合とほぼ同じ値となった。一方、比ntop/nECの最適値はECリアクタの特性によって決まり、数式(18)に示される1次式で表すことができる。
【数18】
【0058】
図15は、人工光合成デバイス3VM(2S)-nECに用いられる比ntop/nECが最適値からずれたときの影響を示す。縦軸は、AM1.5G光を照射した時の変換効率ηH2の相対値である。図15では、トップセルのバンドギャップE (top)が1.7eV及び2.0eVの場合について影響を調べた結果を示している。比ntop/nECは、その最適値から-0.05から+0.1の範囲にあれば、最適値の場合における変換効率ηH2の約90%の高い値を維持できる。
【0059】
図16は、一酸化炭素(CO)を生成するECリアクタを用いた人工光合成デバイスの年間平均の変換効率ηCO (annual)を計算し、そのトップセルのバンドギャップE (top)依存性を求めた結果を示す。図16に示すように、変換効率ηCO (annual)の特性は水素(H)を生成するECリアクタを用いた人工光合成デバイスと同様の傾向を示した。トップセルのバンドギャップE (top)=2.2eVを除いて、人工光合成デバイス3VM(2S)-nECの変換効率ηCO (annual)が最も高い値を示した。
【0060】
図17は、人工光合成デバイス3VM(2S)-nECに用いられるモジュール内のトップセルのバンドギャップE (top)に対するミドルセルのバンドギャップE (mid)の最適値を示す。また、図18は、モジュール内のトップセルのバンドギャップE (top)に対するトップセルの直列接続数ntopとミドル/ボトムセルの直列接続数nmbの比nmb/ntopの最適値、及び、ECリアクタの直列接続数nECとトップセルの直列接続数ntopの比ntop/nECの最適値を示す。
【0061】
ミドルセルのバンドギャップE (mid)及び比nmb/ntopの最適値は、ミドルセルとボトムセルの電流整合条件により決まるため、負荷(パワーコンディショナーまたはECリアクタ)には殆ど依存しない。したがって、それぞれ図3及び図4に示した太陽電池の場合とほぼ同じ値となった。一方、比ntop/nECの最適値はECリアクタの特性によって決まり、数式(19)に示される1次式で表すことができる。
【数19】
【0062】
図19は、人工光合成デバイス3VM(2S)-nECに用いられる比ntop/nECが最適値からずれたときの影響を示す。縦軸は、AM1.5G光を照射した時の変換効率ηCOの相対値である。図19では、トップセルのバンドギャップE (top)が1.7eV及び2.0eVの場合について影響を調べた結果を示している。比ntop/nECは、その最適値から-0.05から+0.1の範囲にあれば、最適値の場合における変換効率ηCOの約90%の高い値を維持できる。
【0063】
[本発明の構成]
[構成1]
バンドギャップが各々異なる太陽電池セルであるトップセル、ミドルセル及びボトムセルを組み合わせた太陽電池モジュールであって、
光入射側から、前記トップセルを個数ntop直列接続したトップモジュールと、前記ミドルセルと前記ボトムセルを積層したミドル/ボトム積層セルを個数nmb直列接続したミドル/ボトムモジュールと、を積層し、
前記トップモジュールと前記ミドル/ボトムモジュールを並列接続し、
前記個数ntopと前記個数nmbの比nmb/ntopは、前記トップモジュールの最大出力動作電圧VMPP (top)と前記ミドル/ボトムモジュールの最大出力動作電圧VMPP (mb)が2|VMPP (top)-VMPP (mb)|/|VMPP (top)+VMPP (mb)|<0.2を満たすことを特徴とする太陽電池モジュール。
[構成2]
構成1に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセル及び前記ミドルセルの少なくとも一方は、有機無機ハイブリッドペロブスカイトからなることを特徴とする太陽電池モジュール。
[構成3]
構成1又は2に記載の太陽電池モジュールであって、
前記ボトムセルは、結晶シリコン又はCu(In,Ga)Seからなることを特徴とする太陽電池モジュール。
[構成4]
構成1~3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセルのバンドギャップE (top)は、1.6eV以上2.4eV以下であることを特徴とする太陽電池モジュール。
[構成5]
構成1~3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセルのバンドギャップE (top)に対して、前記ミドルセルのバンドギャップE (mid)は、0.3E (top)+0.88±0.1eVの範囲であることを特徴とする太陽電池モジュール。
[構成6]
構成1~5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールであって、
前記トップセルのバンドギャップE (top)に対して、比nmb/ntopは0.44E (top)+0.04±0.15の範囲であることを特徴とする太陽電池モジュール。
[構成7]
構成1~6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールと、
電気化学リアクタ又は複数の電気化学リアクタを直列接続した電気化学リアクタモジュールと、
を組み合わせたことを特徴とする電気化学反応デバイス。
[構成8]
構成7に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタは、水(HO)から水素(H)と酸素(O)を生成するリアクタであることを特徴とする電気化学反応デバイス。
[構成9]
構成8に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタモジュールは、前記電気化学リアクタを個数nEC直列接続して構成され、
前記個数ntopと前記個数nECの比ntop/nECは-0.34E (top)+2.21-0.05以上-0.34E (top)+2.21+0.1以下の範囲であることを特徴とする電気化学反応デバイス。
[構成10]
構成7に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタは、二酸化炭素(CO)を還元するリアクタであることを特徴とする電気化学反応デバイス。
[構成11]
構成7に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタは、二酸化炭素(CO)と水(HO)から一酸化炭素(CO)又はギ酸(HCOOH)を生成するリアクタであることを特徴とする電気化学反応デバイス。
[構成12]
構成11に記載の電気化学反応デバイスであって、
前記電気化学リアクタモジュールは、前記電気化学リアクタを個数nEC直列接続して構成され、
前記個数ntopと前記個数nECの比ntop/nECは-0.38E (top)+2.35-0.05以上-0.38E (top)+2.35+0.1以下の範囲であることを特徴とする電気化学反応デバイス。
【符号の説明】
【0064】
10 トップセル、12 ボトムセル、14 ミドルセル、20 透明基板、22 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19