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特開2024-80971フルオロオレフィン検知装置、フルオロオレフィン分解装置、フルオロオレフィン検知方法およびフルオロオレフィン分解方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080971
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】フルオロオレフィン検知装置、フルオロオレフィン分解装置、フルオロオレフィン検知方法およびフルオロオレフィン分解方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/755 20060101AFI20240610BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20240610BHJP
   B01J 23/889 20060101ALI20240610BHJP
   B01J 23/46 20060101ALI20240610BHJP
   B01J 23/52 20060101ALI20240610BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B01J23/755 M
B01J23/89 M
B01J23/889 M
B01J23/46 311M
B01J23/46 301M
B01J23/52 M
G01N31/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194348
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
【テーマコード(参考)】
2G042
4G169
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BA03
2G042BA04
2G042BA10
2G042BD02
2G042CA10
2G042CB01
2G042DA07
2G042FA07
2G042GA01
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA03A
4G169BA03B
4G169BA13A
4G169BA13B
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BC62A
4G169BC62B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC71A
4G169BC71B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CD08
4G169DA06
4G169EA01Y
4G169EA02Y
4G169EA03Y
4G169EA06
4G169EA08
4G169EA10
4G169EC21Y
4G169EC22X
4G169EC22Y
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FC08
(57)【要約】
【課題】フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン検知装置を提供する。
【解決手段】このフルオロオレフィン検知装置100は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するためのフルオロオレフィン分解部30と、フルオロオレフィン分解部30によりフルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分を検知する検知部40と、を備える。フルオロオレフィン分解部30は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒31bを有する触媒部31と、触媒反応を引き起こすための加熱機構32と、を含む。触媒31bは、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するためのフルオロオレフィン分解部と、
前記フルオロオレフィン分解部により前記フルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分を検知する検知部と、を備え、
前記フルオロオレフィン分解部は、
前記フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、
触媒反応を引き起こすための加熱機構と、
を含み、
前記触媒は、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む、フルオロオレフィン検知装置。
【請求項2】
前記触媒は、アルミノケイ酸塩鉱物として、ムライトと、α-アルミナとを含む、請求項1に記載のフルオロオレフィン検知装置。
【請求項3】
前記触媒は、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの少なくとも一つをさらに含む、請求項2に記載のフルオロオレフィン検知装置。
【請求項4】
前記触媒は、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの他の一つをさらに含む、請求項3に記載のフルオロオレフィン検知装置。
【請求項5】
前記基材は、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含む、請求項2に記載のフルオロオレフィン検知装置。
【請求項6】
前記ガス検知部は、電気化学式のガス検知部を含む、請求項1に記載のフルオロオレフィン検知装置。
【請求項7】
フルオロオレフィンとしてのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、
触媒反応を引き起こすための加熱機構と、を備え、
前記触媒は、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む、フルオロオレフィン分解装置。
【請求項8】
フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップと、
前記フルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分を検知するステップと、を備え、
触媒反応するステップは、
触媒反応を引き起こすために、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒を加熱するステップと、
前記触媒により、前記フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップと、
を含む、フルオロオレフィン検知方法。
【請求項9】
触媒反応を引き起こすために、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒を加熱するステップと、
前記触媒により、フルオロオレフィンとしてのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップと、を備える、フルオロオレフィン分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フルオロオレフィン検知装置、フルオロオレフィン分解装置、フルオロオレフィン検知方法およびフルオロオレフィン分解方法に関し、特に、触媒によりフルオロオレフィンを触媒反応させるフルオロオレフィン検知装置、フルオロオレフィン分解装置、フルオロオレフィン検知方法およびフルオロオレフィン分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程のドライエッチングガスとして、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(鎖状フルオロオレフィン)やオクタフルオロシクロペンテン(環状フルオロオレフィン)が知られている。ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは、1,3-ブタジエンの水素が全てフッ素に置き換わった分子構造である。1,3-ブタジエンは、日本産業衛生学会において、発がん性分類第1群に分類され、人に対して遺伝毒性の誘発が示唆されており、発がん性があると判断されている。また、ACGIH(アメリカ合衆国産業衛生専門議会)では、TWA(時間加重平均値)は2ppmとなっている。そこで、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンやオクタフルオロシクロペンテンは、電気陰性度の大きいフッ素原子によって、二つの二重結合の電子密度が低い状態にあり、電子供与性物質と反応しやすい性質を持つ。ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンは、1,3-ブタジエンとは化学的性質が異なるが、人に対して毒性を示すことが予想されることから、適切に検知される必要がある。また、同様にオクタフルオロシクロペンテンも適切に検知される必要がある。
【0003】
そこで、従来、触媒によりフルオロオレフィンを触媒反応させるフルオロオレフィン検知装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、触媒によりヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(フルオロオレフィン)を触媒反応させるヘキサフルオロブタジエン測定装置(フルオロオレフィン検知装置)が開示されている。このヘキサフルオロブタジエン測定装置は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを熱分解してフッ化水素を発生させる熱分解炉と、熱分解炉で発生したフッ化水素と反応して呈色する検知紙とを備えている。また、この熱分解炉は、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させるための金および白金などの酸化性触媒を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4789146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを触媒反応させるために白金および金などの酸化性触媒を用いている。ここで、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンなどのフルオロオレフィンの二重結合の電子吸引性を考慮すれば、酸化性触媒では、効率よく触媒反応させることが難しい。そのため、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが望まれる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン検知装置、フルオロオレフィン分解装置、フルオロオレフィン検知方法およびフルオロオレフィン分解方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、本願発明者は、電子を付与する性質を有する塩基性のアルミノケイ酸塩鉱物を基材として含む触媒が、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができるという新たな知見を得た。すなわち、この発明の第1の局面によるフルオロオレフィン検知装置は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するためのフルオロオレフィン分解部と、フルオロオレフィン分解部によりフルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分を検知する検知部と、を備え、フルオロオレフィン分解部は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、触媒反応を引き起こすための加熱機構と、を含み、触媒は、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む。
【0009】
この発明の第1の局面によるフルオロオレフィン検知装置では、上記のように、触媒を、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含むように構成する。これにより、電子を付与する性質を有する塩基性のアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒により、電子不足の二重結合を有するフルオロオレフィンに対して、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0010】
上記第1の局面によるフルオロオレフィン検知装置において、好ましくは、触媒は、アルミノケイ酸塩鉱物として、ムライトと、α-アルミナとを含む。このように構成すれば、ムライトと、α-アルミナとを含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0011】
上記触媒がムライトとα-アルミナとを含む構成において、好ましくは、触媒は、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの少なくとも一つをさらに含む。このように構成すれば、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの少なくとも一つにより、触媒反応を促進させることができるので、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの少なくとも一つを含む触媒により、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0012】
この場合、好ましくは、触媒は、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの他の一つをさらに含む。このように構成すれば、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの他の一つをさらに含むことにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0013】
上記触媒がムライトとα-アルミナとを含む構成において、好ましくは、基材は、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含む。このように構成すれば、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含む基材を含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0014】
上記第1の局面によるフルオロオレフィン検知装置において、好ましくは、ガス検知部は、電気化学式のガス検知部を含む。このように構成すれば、電気化学式のガス検知部により、フルオロオレフィン分解部によりフルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガス中の成分を容易に検知することができる。
【0015】
この発明の第2の局面によるフルオロオレフィン分解装置は、フルオロオレフィンとしてのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するための触媒を有する触媒部と、触媒反応を引き起こすための加熱機構と、を備え、触媒は、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む。
【0016】
この発明の第2の局面によるフルオロオレフィン分解装置では、上記のように、触媒を、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含むように構成する。これにより、第1の局面によるフルオロオレフィン検知装置と同様に、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン分解装置を提供することができる。
【0017】
この発明の第3の局面によるフルオロオレフィン検知方法は、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップと、フルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分を検知するステップと、を備え、触媒反応するステップは、触媒反応を引き起こすために、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒を加熱するステップと、触媒により、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップと、を含む。
【0018】
この発明の第3の局面によるフルオロオレフィン検知方法では、上記のように、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒により、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップを設ける。これにより、第1の局面によるフルオロオレフィン検知装置と同様に、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン検知方法を提供することができる。
【0019】
この発明の第4の局面によるフルオロオレフィン分解方法は、触媒反応を引き起こすために、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒を加熱するステップと、触媒により、フルオロオレフィンとしてのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップと、を備える。
【0020】
この発明の第4の局面によるフルオロオレフィン分解方法では、上記のように、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒により、フルオロオレフィンとしてのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応するステップを設ける。第1の局面によるフルオロオレフィン検知装置と同様に、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることが可能なフルオロオレフィン分解方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上記のように、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態によるフルオロオレフィン検知装置を示した模式図である。
図2】ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンとオクタフルオロシクロペンテンを示した図である。
図3】実施例1による実験結果(Ni/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図4】実施例2による実験結果(Pt-Co/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図5】実施例3による実験結果(Pt-Rh/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図6】実施例4による実験結果(Ru-Rh/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図7】実施例5による実験結果(Pt-Ru/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図8】実施例6による実験結果(Pt-Ru/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図9】実施例7による実験結果(Pt-Ru/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図10】実施例8による実験結果(Pt-Au-Ru/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図11】実施例9による実験結果(Pt-Pd-Ru/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図12】実施例10による実験結果(Pt-Pd-Ru/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図13】実施例11による実験結果(Pt-Ru-Rh/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図14】実施例12による実験結果(Pt-Ru-Mn/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図15】実施例13による実験結果(Pt-Ru-Mn-Co/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図16】実施例14による実験結果(Pt-Ru-Pd-Mn/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図17】実施例15による実験結果(Pt-Ru/アルミノケイ酸塩鉱物)を示したグラフである。
図18】実施例16による実験結果(指示値と触媒温度との関係)を示したグラフである。
図19】実施例17による実験結果(圧力損失とかさ密度との関係)を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、図1を参照して、一実施形態によるフルオロオレフィン検知装置100の構成について説明する。
【0025】
(フルオロオレフィン検知装置の全体構成)
図1に示すように、フルオロオレフィン検知装置100は、フルオロオレフィンを触媒反応させるとともに、フルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガス中の成分を検知する装置である。フルオロオレフィン検知装置100は、たとえば、分析試料中のフルオロオレフィンの検知、雰囲気中のフルオロオレフィンの検知などに用いることができる。具体例としては、フルオロオレフィン検知装置100は、半導体製造工程のドライエッチングガスとして用いられるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C)やオクタフルオロシクロペンテン(C)などのフルオロオレフィンの検知に用いられる。
【0026】
触媒反応対象のフルオロオレフィンは、二重結合で結合された炭素原子にフッ素原子が結合したフッ素化合物であり、アルケンの水素原子が全てもしくは一部フッ素原子で置換された化合物である。また、触媒反応対象のフルオロオレフィンは、鎖状フルオロオレフィンまたは環状フルオロオレフィンである。また、図2に示すように、触媒反応対象のフルオロオレフィンは、電気陰性度が大きいフッ素原子により炭素原子の二重結合の電子が引っ張られているため、炭素原子の二重結合の電子が不足状態(電子密度が低い状態)となっている。また、電子不足の二重結合は、電子を補おうとする化学的性質を有しているため、塩基性触媒に対して反応しやすい。なお、図2では、フルオロオレフィンのうち、鎖状フルオロオレフィンの一例であるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C)を示すとともに、環状フルオロオレフィンの一例であるオクタフルオロシクロペンテン(C)を示している。触媒反応対象のフルオロオレフィンは、特に限られないが、たとえば、C(ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン)、C、C、C、C10、C、および、C66などである。また、C、C、C、C10、C、および、C66は、たとえば、以下の化学式の化合物である。
【化1】
【0027】
ここで、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン(C)およびオクタフルオロシクロペンテン(C)の二重結合の電子密度を量子化学計算により求めて比較すると、オクタフルオロシクロペンテンの二重結合よりもヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの二重結合の方が電子密度が小さい。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンの二重結合の結合次数を量子化学計算により求めて比較すると、オクタフルオロシクロペンテンの二重結合よりもヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの二重結合の結合次数の方が小さい。これらのことは、オクタフルオロシクロペンテンの二重結合よりもヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの二重結合の方が、電子を補おうとする力が強いことを表している。すなわち、オクタフルオロシクロペンテンよりもヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの方が、電子供与性の塩基性触媒により触媒反応しやすく分解しやすい。言い換えると、オクタフルオロシクロペンテンは、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンよりも、塩基性触媒により触媒反応しにくく分解しにくい。このため、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを分解することができる塩基性触媒であっても、オクタフルオロシクロペンテンを分解することができるとは限らない。ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンの両方を容易に分解するためには、活性が高い塩基性触媒が必要である。
【0028】
図1に示すように、フルオロオレフィン検知装置100は、流量制御部10と、ポンプ20と、フルオロオレフィン分解部30と、ガス検知部40とを備えている。流量制御部10と、フルオロオレフィン分解部30と、ガス検知部40と、ポンプ20とは、被検知ガスG(分析試料のガス、雰囲気中のガスなど)の流れ方向の上流側から下流側に向かって、ガス流路50により、この順に流体的に接続されている。なお、各構成の接続順は、フルオロオレフィン分解部30と、ガス検知部40とがこの順に接続されていれば、特に限られない。また、フルオロオレフィン分解部30は、特許請求の範囲の「フルオロオレフィン分解装置」の一例である。
【0029】
流量制御部10は、たとえばマスフローコントローラであり、被検知ガスGの流量を制御するように構成されている。フルオロオレフィン検知装置100は、流量制御部10による被検知ガスGの流量の制御により、定流量の被検知ガスGが流れるように構成されている。ポンプ20は、被検知ガスGがガス流路50を介してフルオロオレフィン分解部30による圧力損失を生じた場合、ガス検知部40の内蔵ポンプを補助するための駆動源である。
【0030】
フルオロオレフィン分解部30は、被検知ガスG中のフルオロオレフィンとしてのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンなどに水素原子を含む分子(水分子など)を関与させて触媒反応させるように構成されている。具体的には、フルオロオレフィン分解部30は、触媒筒31と、加熱機構32とを含んでいる。触媒筒31は、筒本体31aと、触媒31bとを有している。筒本体31aは、たとえば、アルミナ管、石英管などである。筒本体31aは、中空の円筒形状を有している。筒本体31aには、触媒31bが充填されている。触媒31bは、被検知ガスG中のフルオロオレフィンとしてのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびオクタフルオロシクロペンテンなどが水素原子を含む分子(水分子など)が関与した触媒反応するために設けられている。触媒反応は、たとえば、以下の式(1)~(6)に示すようなフルオロオレフィンの水蒸気改質反応を含んでいる。本実施形態のフルオロオレフィン検知装置100は、フルオロオレフィンの水蒸気改質反応により発生するフッ化水素(化学組成:HF)を検知する。なお、以下の式(1)~(3)では、フルオロオレフィンのうちのCの反応を示しており、式(4)~(6)では、フルオロオレフィンのうちのCの反応を示している。また、触媒筒31は、特許請求の範囲の「触媒部」の一例である。
+5HO→8HF+5CO+H ・・・(1)
+10HO→8HF+5CO+6H ・・・(2)
+8HO→8HF+2CO+3CO+4H ・・・(3)
+4HO→6HF+4CO+H ・・・(4)
+8HO→6HF+4CO+5H ・・・(5)
+6HO→6HF+2CO+2CO+3H ・・・(6)
【0031】
ここで、本実施形態では、触媒31bは、塩基性材料であるアルミノケイ酸塩鉱物を基材として含んでいる。触媒31bは、フルオロオレフィンの触媒反応を促進する観点から、塩基性を示す材料であることが好ましい。好ましくは、触媒31bは、アルミノケイ酸塩鉱物として、ムライト(化学組成:Al13Si)と、α-アルミナ(化学組成:Al)とを含んでいる。より好ましくは、触媒31bの基材は、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含んでいる。より好ましくは、触媒31bは、触媒反応を促進する金属添加物として、白金(化学組成:Pt)と、パラジウム(化学組成:Pd)と、ルテニウム(化学組成:Ru)と、金(化学組成:Au)と、ロジウム(化学組成:Rh)と、コバルト(化学組成:Co)と、クロム(化学組成:Cr)と、セリウム(化学組成:Ce)と、ニッケル(化学組成:Ni)と、マンガン(化学組成:Mn)と、鉄(化学組成:Fe)と、ランタン(化学組成:La)とのうちの少なくとも一つを含んでいる。より好ましくは、触媒31bは、触媒反応を促進する金属添加物として、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの他の一つをさらに含んでいる。触媒31bは、アルミノケイ酸塩鉱物を基材とし、アルミノケイ酸塩鉱物の基材に触媒反応を促進させる金属を添加することにより形成されている。なお、アルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒31bによるフルオロオレフィンの触媒反応の実験については、後述する。
【0032】
また、触媒31bは、ムライト中にα-アルミナ結晶を析出させた無機繊維からなる綿状の基材に金属を添加することにより形成されており、全体として綿状である。綿状の触媒31bは、触媒筒31の筒本体31aに充填されている。綿状の触媒31bは、触媒筒31の筒本体31aに充填層を形成するように設けられている。触媒31bの充填層は、両端に配置された触媒31bの保持部材31cにより、触媒筒31の筒本体31aの内部に保持されている。保持部材31cは、たとえば、石英ウールである。なお、保持部材31cは、触媒31bを保持するための部材で、加熱機構32の温度に耐えうる材料であれば限定されることは無い。
【0033】
加熱機構32は、触媒反応を引き起こすために触媒筒31を加熱するように構成されている。具体的には、加熱機構32は、加熱部32aと、断熱部32bとを含んでいる。加熱部32aは、触媒筒31の筒本体31aを介して、触媒31bを加熱するように構成されている。加熱部32aは、たとえば、電熱線である。電熱線である加熱部32aは、たとえば、触媒筒31の筒本体31aを隔てて触媒31bを取り囲むように、コイル状に形成されている。なお、電熱線の形状は、加熱機構32の温度を一定に保つことができれば限定されることは無い。加熱部32aは、触媒31bの充填層の一方端部から他方端部に亘って、触媒31bの充填層と対向するように設けられている。すなわち、加熱部32aは、触媒31bの充填層の一方端部から他方端部に亘って、触媒31bを加熱するように構成されている。断熱部32bは、断熱材料により構成されており、加熱部32aと触媒筒31の触媒31bとを取り囲むように設けられている。
【0034】
加熱機構32は、好ましくは、280℃以上500℃以下の温度範囲において、加熱部32aにより触媒筒31を加熱するように構成されている。また、加熱機構32は、略一定の温度になるように、加熱部32aにより触媒筒31を加熱するように構成されている。触媒筒31が略一定の温度になるような加熱は、特に限られないが、たとえば、図示しない温度検知部による温度の検知結果に基づいて、PID制御などのフィードバック制御により加熱機構32の加熱部32aを制御することにより行うことが可能である。
【0035】
ガス検知部40は、フルオロオレフィン分解部30によりフルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガスG中の成分(フッ化水素)を検知するように構成されている。ガス検知部40は、電気化学式のガス検知部(電気化学式のセンサ)を含んでいる。具体的には、ガス検知部40は、フッ化水素の検知に好適な定電位電解式のガス検知部(定電位電解式のセンサ)を含んでいる。フルオロオレフィン検知装置100は、ガス検知部40によりフルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガスG中の成分(フッ化水素)を検知することにより、フルオロオレフィンを間接的に検知するように構成されている。なお、ガス検知部40は、被検知ガスGを流すためのポンプを内蔵するように構成されている。
【0036】
(フルオロオレフィン検知方法)
フルオロオレフィン検知装置100によるフルオロオレフィン検知方法について説明する。
【0037】
まず、フルオロオレフィン分解部30により、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応される。具体的には、加熱機構32により、触媒反応を引き起こすために、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒31bが加熱されるとともに、触媒31bにより、フルオロオレフィンが水素原子を含む分子が関与して触媒反応される。そして、ガス検知部40により、フルオロオレフィンが触媒反応することにより発生した被検知ガス中の成分(フッ化水素)が検知される。
【0038】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0039】
本実施形態では、上記のように、触媒31bを、基材としてアルミノケイ酸塩鉱物を含むように構成する。これにより、電子を付与する性質を有する塩基性のアルミノケイ酸塩鉱物を含む触媒により、電子不足の二重結合を有するフルオロオレフィンに対して、触媒反応を容易に引き起こすことができる。その結果、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0040】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、アルミノケイ酸塩鉱物として、ムライトと、α-アルミナとを含む。これにより、ムライトと、α-アルミナとを含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0041】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの少なくとも一つをさらに含む。これにより、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの少なくとも一つにより、触媒反応を促進させることができるので、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの少なくとも一つを含む触媒により、フルオロオレフィンを効率よく触媒反応させることができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0042】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bは、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの他の一つをさらに含む。これにより、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、クロムと、セリウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄と、ランタンとのうちの他の一つをさらに含むことにより、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、触媒31bの基材は、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含む。これにより、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含む基材を含む触媒により、触媒反応を容易に引き起こすことができる。なお、この点は、本願発明者による後述する実験において確認済みである。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、ガス検知部40は、電気化学式のガス検知部を含む。これにより、電気化学式のガス検知部により、フルオロオレフィン分解部によりフルオロオレフィンが触媒反応されることにより発生した被検知ガス中の成分を容易に検知することができる。
【0045】
[実施例]
次に、図3図19を参照して、本発明の効果を確認するために行った確認実験(実施例1~17)について説明する。
【0046】
各実施例では、フルオロオレフィン検知装置として、図1に示すフルオロオレフィン検知装置100を用いた。また、触媒反応対象のフルオロオレフィンとして、半導体製造工程のドライエッチングガスとして用いられるヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンおよびヘキサフルオロシクロペンテンを用いた。また、触媒は、次のように作製した。
【0047】
まず、綿状(繊維状)のアルミノケイ酸塩鉱物を基材として準備した。また、基材に添加する金属を含む溶液を調整した。そして、準備した綿状のアルミノケイ酸塩鉱物に、調整した溶液を浸み込ませた。そして、溶液を浸み込ませた綿状のアルミノケイ酸塩鉱物を焼成炉で焼成した。これにより、アルミノケイ酸塩鉱物を基材とし、アルミノケイ酸塩鉱物の基材に触媒反応を促進させる金属を添加した触媒を作製した。
【0048】
また、実施例1~14、16および17では、アルミノケイ酸塩鉱物の基材として、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含んだものを用いた。具体的には、アルミノケイ酸塩鉱物の基材として、デンカ株式会社のデンカアルセンバルクのB80(型番)を用いた。また、実施例15では、アルミノケイ酸塩鉱物の基材として、12質量%以下のムライトと、30質量%以上49質量%以下のα-アルミナとを含んだものを用いた。具体的には、アルミノケイ酸塩鉱物の基材として、デンカ株式会社のデンカアルセンバルクのB97U(型番)を用いた。また、ガス検知部として、定電位電解式のガス検知部を含む、新コスモス電機株式会社のCDS―7(型番)を用いた。
【0049】
(実施例1)
図3に示すように、実施例1の確認実験では、ニッケルと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例1)を用いた。具体的には、24質量%のニッケルを含む触媒を用いた。また、1ppm、2ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値(検知量に応じたガス検知部の出力値に対応する値)を得た。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppmおよび3ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を420℃に加熱しながら行った。図3に示すグラフは、実施例1のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。図3(および図4図17)に示すグラフでは、縦軸がガス検知部の指示値を示し、横軸が時間を示している。なお、図3(および図4図17)に示すグラフにおいて、ガス検知部の指示値が最後に下降しているのは、被検知ガスの流通を停止したためである。
【0050】
図3に示すグラフから分かるように、実施例1のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、ニッケルと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例1の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例1の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0051】
また、図3に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間にも同様の相関が見られた。このことから、実施例1の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度およびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0052】
(実施例2)
図4に示すように、実施例2の確認実験では、白金と、コバルトと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例2)を用いた。具体的には、2質量%の白金と、2質量%のコバルトとを含む触媒を用いた。また、3ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、1ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を350℃に加熱しながら行った。図4に示すグラフは、実施例2のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0053】
図4に示すグラフから分かるように、実施例2のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、コバルトと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例2の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例2の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0054】
(実施例3)
図5に示すように、実施例3の確認実験では、白金と、ロジウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例3)を用いた。具体的には、2質量%の白金と、2質量%のロジウムとを含む触媒を用いた。また、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppmおよび3ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を500℃に加熱しながら行った。図5に示すグラフは、実施例3のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0055】
図5に示すグラフから分かるように、実施例3のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ロジウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例3の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。また、オクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができたことから、オクタフルオロペンテンよりも触媒反応しやすいヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンも触媒反応させることができると考えられる。このことから、実施例3の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0056】
また、図5に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、実施例3の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0057】
(実施例4)
図6に示すように、実施例4の確認実験では、ルテニウムと、ロジウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例4)を用いた。具体的には、15質量%のルテニウムと、5質量%のロジウムとを含む触媒を用いた。また、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppmおよび1ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を330℃に加熱しながら行った。図6に示すグラフは、実施例4のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0058】
図6に示すグラフから分かるように、実施例4のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、ルテニウムと、ロジウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例4の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例4の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0059】
また、図6に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、実施例4の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0060】
(実施例5)
図7に示すように、実施例5の確認実験では、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例5)を用いた。具体的には、10質量%の白金と、9質量%のルテニウムとを含む触媒を用いた。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppm、1ppmおよび1.5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を340℃に加熱しながら行った。図7に示すグラフは、実施例5のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0061】
図7に示すグラフから分かるように、実施例5のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例5の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例5の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0062】
また、図7に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間にも同様の相関が見られた。このことから、実施例5の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度およびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0063】
(実施例6)
図8に示すように、実施例6の確認実験では、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例6)を用いた。具体的には、20質量%の白金と、14質量%のルテニウムとを含む触媒を用いた。また、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppmおよび2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を320℃に加熱しながら行った。図8に示すグラフは、実施例6のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0064】
図8に示すグラフから分かるように、実施例6のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例6の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例6の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0065】
また、図8に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間にも同様の相関が見られた。このことから、実施例6の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度およびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0066】
(実施例7)
図9に示すように、実施例7の確認実験では、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例7)を用いた。具体的には、12質量%の白金と、8質量%のルテニウムとを含む触媒を用いた。また、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppm、1ppmおよび1.5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を360℃に加熱しながら行った。図9に示すグラフは、実施例7のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0067】
図9に示すグラフから分かるように、実施例7のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例7の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例7の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0068】
また、図9に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間にも同様の相関が見られた。このことから、実施例7の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度およびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0069】
(実施例8)
図10に示すように、実施例8の確認実験では、白金と、金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例8)を用いた。具体的には、13質量%の白金と、10質量%の金と、10質量%のルテニウムとを含む触媒を用いた。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を340℃に加熱しながら行った。図10に示すグラフは、実施例8のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0070】
図10に示すグラフから分かるように、実施例8のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例8の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。また、オクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができたことから、オクタフルオロペンテンよりも触媒反応しやすいヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンも触媒反応させることができると考えられる。このことから、実施例8の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0071】
また、図10に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、実施例8の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0072】
(実施例9)
図11に示すように、実施例9の確認実験では、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例9)を用いた。具体的には、6質量%の白金と、6質量%のパラジウムと、6質量%のルテニウムとを含む触媒を用いた。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppm、1ppmおよび1.5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を340℃に加熱しながら行った。図11に示すグラフは、実施例9のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0073】
図11に示すグラフから分かるように、実施例9のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例9の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例9の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0074】
また、図11に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間にも同様の相関が見られた。このことから、実施例9の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度およびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0075】
(実施例10)
図12に示すように、実施例10の確認実験では、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例10)を用いた。具体的には、13質量%の白金と、9質量%のパラジウムと、10質量%のルテニウムとを含む触媒を用いた。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を340℃に加熱しながら行った。図12に示すグラフは、実施例10のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0076】
図12に示すグラフから分かるように、実施例10のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例10の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。また、オクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができたことから、オクタフルオロペンテンよりも触媒反応しやすいヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンも触媒反応させることができると考えられる。このことから、実施例10の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0077】
また、図12に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、実施例10の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0078】
(実施例11)
図13に示すように、実施例11の確認実験では、白金と、ルテニウムと、ロジウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例11)を用いた。具体的には、14質量%の白金と、10質量%のルテニウムと、5質量%のロジウムとを含む触媒を用いた。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppm、2.5ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を340℃に加熱しながら行った。図13に示すグラフは、実施例11のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0079】
図13に示すグラフから分かるように、実施例11のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ルテニウムと、ロジウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例11の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。また、オクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができたことから、オクタフルオロペンテンよりも触媒反応しやすいヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンも触媒反応させることができると考えられる。このことから、実施例11の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0080】
また、図13に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、実施例11の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0081】
(実施例12)
図14に示すように、実施例12の確認実験では、白金と、ルテニウムと、マンガンと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例12)を用いた。具体的には、7質量%の白金と、5質量%のルテニウムと、10質量%のマンガンとを含む触媒を用いた。また、1ppm、2ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppmおよび2ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を400℃に加熱しながら行った。図14に示すグラフは、実施例12のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0082】
図14に示すグラフから分かるように、実施例12のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ルテニウムと、マンガンと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例12の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例12の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0083】
また、図14に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間にも同様の相関が見られた。このことから、実施例12の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度およびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0084】
(実施例13)
図15に示すように、実施例13の確認実験では、白金と、ルテニウムと、マンガンと、コバルトと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例13)を用いた。具体的には、5質量%の白金と、3質量%のルテニウムと、7質量%のマンガンと、8質量%のコバルトとを含む触媒を用いた。また、1ppm、2ppm、3ppm、4ppmおよび5ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を360℃に加熱しながら行った。図15に示すグラフは、実施例13のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0085】
図15に示すグラフから分かるように、実施例13のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、ルテニウムと、ラジウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例13の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例13の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0086】
また、図15に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。このことから、実施例13の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0087】
(実施例14)
図16に示すように、実施例14の確認実験では、白金と、ルテニウムと、パラジウムと、マンガンと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例14)を用いた。具体的には、9質量%の白金と、6質量%のルテニウムと、6質量%のパラジウムと、7質量%のマンガンとを含む触媒を用いた。また、1ppm、2ppm、3ppm、4ppmおよび5ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。また、0.5ppm、1ppm、1.5ppm、2ppmおよび2、5ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を360℃に加熱しながら行った。図16に示すグラフは、実施例14のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0088】
図16に示すグラフから分かるように、実施例14のフルオロオレフィン検知装置では、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ルテニウムと、パラジウムと、マンガンと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例14の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方を触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。このことから、実施例14の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0089】
また、図16に示すグラフから分かるように、オクタフルオロシクロペンテン濃度と、ガス検知部の指示値との間には相関が見られた。具体的には、オクタフルオロシクロペンテン濃度が上昇すると、概ね一定の関係でガス検知部の指示値が上昇する相関が見られた。また、ヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度と、ガス検知部の指示値との間にも同様の相関が見られた。このことから、実施例14の触媒によれば、ガス検知部の指示値に基づいて、オクタフルオロシクロペンテン濃度およびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエン濃度を容易に測定することができると考えられる。
【0090】
(実施例15)
図17に示すように、実施例15の確認実験では、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例15)を用いた。具体的には、11質量%の白金と、8質量%のルテニウムとを含む触媒を用いた。また、1ppm、2ppm、3ppmおよび4ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、ガス検知部の指示値を得た。測定は、加熱機構により触媒を360℃に加熱しながら行った。図17に示すグラフは、実施例15のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の時間変化を示している。
【0091】
また、実施例15では、アルミノケイ酸塩鉱物の基材として、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含んだものを用いた実施例1~14とは異なり、アルミノケイ酸塩鉱物の基材として、12質量%以下のムライトと、30質量%以上49質量%以下のα-アルミナとを含んだものを用いた。
【0092】
図17に示すグラフから分かるように、実施例15のフルオロオレフィン検知装置では、時間が経過するにつれて、ガス検知部の指示値が上昇した。これは、白金と、ルテニウムと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む実施例15の触媒によりオクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができ、触媒反応により発生したフッ化水素を検知することができたためと考えられる。また、オクタフルオロシクロペンテンを触媒反応させることができたことから、オクタフルオロペンテンよりも触媒反応しやすいヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンも触媒反応させることができると考えられる。このことから、実施例15の触媒は、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を容易に引き起こすことができると考えられる。
【0093】
また、実施例15では、実施例1~14に比べて、指示値が低い傾向を示し、オクタフルオロシクロペンテンの触媒反応による分解効率が低い傾向を示した。これは、アルミノケイ酸塩鉱物の基材が異なることが影響していると考えられる。すなわち、実施例15では、ムライトが少なく、α-アルミナが多い基材を用いたが、実施例1~14では、ムライトが多く、α-アルミナが少ない基材を用いたことが影響していると考えられる。すなわち、50質量%以上70質量%以下のムライトと、5質量%以下のα-アルミナとを含む基材を触媒に用いた方が、12質量%以下のムライトと、30質量%以上49質量%以下のα-アルミナとを含む基材を触媒に用いるよりも、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの触媒反応をより容易に引き起こすことができると考えられる。
【0094】
なお、実施例1~15では、白金と、パラジウムと、ルテニウムと、金と、ロジウムと、コバルトと、ニッケルと、マンガンとのうちのいずれかを含む触媒について説明したが、本願発明者は、クロムと、セリウムと、鉄と、ランタンとのうちのいずれかを含む触媒についても、オクタフルオロシクロペンテンの触媒反応を引き起こすことができることを確認している。
【0095】
(実施例16)
図18に示すように、実施例16の確認実験では、白金と、ルテニウムと、パラジウムと、マンガンと、アルミノケイ酸塩鉱物とを含む触媒(上記実施例14の触媒)を用いたフルオロオレフィン検知装置(実施例16)を用いて、指示値と触媒温度との関係を調べた。具体的には、1ppmのオクタフルオロシクロペンテンを含む被検知ガスを流し、250℃以上500℃以下の温度範囲において、10℃間隔でガス検知部の指示値を得た。また、1ppmのヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンを含む被検知ガスを流し、250℃以上500℃以下の温度範囲において、10℃間隔でガス検知部の指示値を得た。図18に示すグラフは、実施例16のフルオロオレフィン検知装置のガス検知部の指示値の温度変化を示している。このグラフでは、縦軸がガス検知部の指示値を示し、横軸が触媒温度を示している。
【0096】
図18に示すグラフから分かるように、実施例16のフルオロオレフィン検知装置では、280℃以上500℃以下の温度範囲において、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの両方の触媒反応を行うことができた。また、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンのいずれの場合にも、触媒温度が大きくなるにつれて、ガス検知部の指示値が増加する傾向を示した。これは、触媒温度が大きくなるにつれて、触媒反応による分解効率が増加したためと考えられる。また、触媒温度が大きくなるにつれて、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの検知に干渉する干渉ガス(半導体製造工程のチラーのフッ素系不活性冷媒など)の触媒反応による分解効率も大きくなると考えられる。干渉ガスが分解されて干渉ガスの影響が大きくなり過ぎることを回避するため、触媒温度は、360℃以下であることが好ましいと考えられる。また、オクタフルオロシクロペンテンおよびヘキサフルオロ-1,3-ブタジエンの指示値の比率が1:1に近い方が好ましいため、触媒温度は、340℃以上360℃以下であることがより好ましく、360℃であることがさらに好ましいと考えられる。
【0097】
(実施例17)
図19に示すように、実施例17の確認実験では、綿状のアルミノケイ酸塩鉱物の基材を触媒筒に充填したフルオロオレフィン検知装置(実施例17)を用いて、圧力損失とかさ密度との関係を調べた。具体的には、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃および500℃において、被検知ガスを流し、圧力損失とかさ密度との関係を得た。図19に示すグラフでは、縦軸が圧力損失を示し、横軸が基材のかさ密度を示している。
【0098】
図19に示すグラフから分かるように、実施例17のフルオロオレフィン検知装置では、200℃以上500℃以下の温度範囲において、かさ密度が増加するにつれて、圧力損失が増加する傾向を示した。また、実施例17のフルオロオレフィン検知装置では、200℃以上500℃以下の温度範囲において、温度が増加するにつれて、圧力損失が増加する傾向を示した。実施例17のフルオロオレフィン検知装置の許容圧力損失を-3kPaとすると、200℃以上500℃以下の温度範囲では、かさ密度は、50kg/m以上102kg/m以下であることが好ましいと考えられる。また、図19に示すグラフ(実測値)から、圧力損失と、温度およびかさ密度との相関を表す近似計算式を求めることができる。近似計算式を用いれば、任意の温度およびかさ密度を入力することで、圧力損失を解析的に求めることができる。
【0099】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0100】
たとえば、上記実施形態では、フルオロオレフィン検知装置が、流量制御部と、ポンプとを備えている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フルオロオレフィン分解部と、ガス検知部とを備えていれば、フルオロオレフィン検知装置が、流量制御部と、ポンプとを必ずしも備えていなくてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、触媒が、綿状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、触媒が、粒状、粉末状、シート状、および、タブレット状などに形成されていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、ガス検知部が、電気化学式のガス検知部を含んでいる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、フルオロオレフィンの触媒反応により発生した成分を検知可能であれば、ガス検知部が、電気化学式以外のガス検知部を含んでいてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、本発明の触媒部が、筒状に形成された触媒筒である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、触媒を配置可能であれば、触媒部の形状は特に限られず、触媒部が、筒状形状以外の形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0104】
30 フルオロオレフィン分解部(フルオロオレフィン分解装置)
31 触媒筒(触媒部)
31b 触媒
32 加熱機構
40 ガス検知部
100 フルオロオレフィン検知装置
G 被検知ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19