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特開2024-80990EF継手の製造方法、EF継手の製造装置、及びEF継手
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080990
(43)【公開日】2024-06-17
(54)【発明の名称】EF継手の製造方法、EF継手の製造装置、及びEF継手
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/68 20060101AFI20240610BHJP
   F16L 47/03 20060101ALI20240610BHJP
   B29C 70/88 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B29C70/68
F16L47/03
B29C70/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194382
(22)【出願日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 安孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛史
(72)【発明者】
【氏名】塩浜 裕一
(72)【発明者】
【氏名】寺地 信治
【テーマコード(参考)】
3H019
4F205
【Fターム(参考)】
3H019GA03
4F205AA03
4F205AD03
4F205AE03
4F205AG08
4F205HA17
4F205HA29
4F205HA34
4F205HA37
4F205HB01
4F205HC02
4F205HF05
4F205HK16
4F205HW02
(57)【要約】
【課題】EF継手が長い場合であっても、製造が容易なEF継手の製造方法を提供する。
【解決手段】EF継手の製造方法S1は、互いに同軸に配置された、長尺の管継手、及び切削部を、軸回りに相対的に回転させる回転移動工程S7と、管継手と切削部とを、軸方向に相対的に移動させる軸移動工程S5と、管継手にワイヤーを埋め込んでEF継手を製造する埋め込み工程S9と、を行う。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同軸に配置された、長尺の管継手、及び切削部を、前記軸回りに相対的に回転させる回転移動工程と、
前記管継手と前記切削部とを、前記軸方向に相対的に移動させる軸移動工程と、
前記管継手にワイヤーを埋め込んでEF継手を製造する埋め込み工程と、
を行う、EF継手の製造方法。
【請求項2】
前記管継手の直管部を前記軸回りに回転可能に保持しつつ、前記回転移動工程、前記軸移動工程、及び前記埋め込み工程の少なくとも一つを行う、請求項1に記載のEF継手の製造方法。
【請求項3】
前記管継手の受口の開口が上方又は下方を向くように、前記管継手を上下方向に沿って配置しつつ、前記回転移動工程、前記軸移動工程、及び前記埋め込み工程の少なくとも一つを行う、請求項1又は2に記載のEF継手の製造方法。
【請求項4】
前記埋め込み工程では、前記管継手の受口の内周面に、前記受口から前記管継手の直管部に向かうに従い、前記軸に近づくように溝を形成する、請求項1又は2に記載のEF継手の製造方法。
【請求項5】
互いに同軸に配置された、長尺の管継手、及び切削部を、前記軸回りに相対的に回転させる回転移動部と、
前記管継手と前記切削部とを、前記軸方向に相対的に移動させる軸移動部と、
前記管継手にワイヤーを埋め込んでEF継手を製造する埋め込み部と、
を備える、EF継手の製造装置。
【請求項6】
前記管継手の直管部を前記軸回りに回転可能に保持する継手保持部を備える、請求項5に記載のEF継手の製造装置。
【請求項7】
前記管継手を受け入れる開口が、前記EF継手の製造装置のフレームの側面に形成されている、請求項5又は6に記載のEF継手の製造装置。
【請求項8】
前記回転移動部は、前記切削部を前記軸回りに回転させ、
前記ワイヤーは、前記切削部の内部を通して供給される、請求項5又は6に記載のEF継手の製造装置。
【請求項9】
前記ワイヤーが巻き付けられて前記ワイヤーを供給するワイヤー保持部を備え、
前記ワイヤー保持部は、前記切削部とともに前記軸回りに回転する、請求項8に記載のEF継手の製造装置。
【請求項10】
直管部と、
前記直管部の端部に設けられた受口と、
前記受口に埋設されたワイヤーと、
を備え、
前記直管部と前記受口との間には接合部が形成されない、EF継手。
【請求項11】
前記受口の外周面に設けられた凹凸部を備える、請求項10に記載のEF継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EF継手の製造方法、EF継手の製造装置、及びEF継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直管部の端部に受口が設けられ、受口にワイヤーが埋設されたEF継手を製造するEF継手の製造方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4527278号公報
【特許文献2】国際公開第2009/001130号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記EF継手の製造方法では、EF継手が長い場合には製造し難いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、EF継手が長い場合であっても、製造が容易なEF継手の製造方法、EF継手の製造装置、及びEF継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、互いに同軸に配置された、長尺の管継手、及び切削部を、前記軸回りに相対的に回転させる回転移動工程と、前記管継手と前記切削部とを、前記軸方向に相対的に移動させる軸移動工程と、前記管継手にワイヤーを埋め込んでEF継手を製造する埋め込み工程と、を行う、EF継手の製造方法である。
【0007】
(2)本発明の態様2は、前記管継手の直管部を前記軸回りに回転可能に保持しつつ、前記回転移動工程、前記軸移動工程、及び前記埋め込み工程の少なくとも一つを行う、(1)に記載のEF継手の製造方法であってもよい。
(3)本発明の態様3は、前記管継手の受口の開口が上方又は下方を向くように、前記管継手を上下方向に沿って配置しつつ、前記回転移動工程、前記軸移動工程、及び前記埋め込み工程の少なくとも一つを行う、(1)又は(2)に記載のEF継手の製造方法であってもよい。
【0008】
(4)本発明の態様4は、前記埋め込み工程では、前記管継手の受口の内周面に、前記受口から前記管継手の直管部に向かうに従い、前記軸に近づくように溝を形成する、(1)から(3)のいずれか一に記載のEF継手の製造方法であってもよい。
(5)本発明の態様5は、互いに同軸に配置された、長尺の管継手、及び切削部を、前記軸回りに相対的に回転させる回転移動部と、前記管継手と前記切削部とを、前記軸方向に相対的に移動させる軸移動部と、前記管継手にワイヤを埋め込んでEF継手を製造する埋め込み部と、を備える、EF継手の製造装置である。
【0009】
(6)本発明の態様6は、前記管継手の直管部を前記軸回りに回転可能に保持する継手保持部を備える、(5)に記載のEF継手の製造装置であってもよい。
(7)本発明の態様7は、前記管継手を受け入れる開口が、前記EF継手の製造装置のフレームの側面に形成されている、(5)又は(6)に記載のEF継手の製造装置であってもよい。
【0010】
(8)本発明の態様8は、前記回転移動部は、前記切削部を前記軸回りに回転させ、前記ワイヤーは、前記切削部の内部を通して供給される、(5)から(7)のいずれか一に記載のEF継手の製造装置であってもよい。
(9)本発明の態様9は、前記ワイヤーが巻き付けられて前記ワイヤーを供給するワイヤー保持部を備え、前記ワイヤー保持部は、前記切削部とともに前記軸回りに回転する、(8)に記載のEF継手の製造装置であってもよい。
【0011】
(10)本発明の態様10は、直管部と、前記直管部の端部に設けられた受口と、前記受口に埋設されたワイヤーと、を備え、前記直管部と前記受口との間には接合部が形成されない、EF継手である。
(11)本発明の態様11は、前記受口の外周面に設けられた凹凸部を備える、(10)に記載のEF継手であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のEF継手の製造方法、EF継手の製造装置、及びEF継手では、EF継手が長い場合であっても、製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態のEF継手の製造装置における一部を破断した正面図である。
図2】同EF継手の製造装置で加工される管継手の要部の断面図である。
図3】同EF継手の製造装置における中空ギア及びモータギアの正面図である。
図4】同EF継手の製造装置における切削部の断面図である。
図5】本発明の一実施形態のEF継手の製造方法を説明する要部の断面図である。
図6】同EF継手の製造方法を説明する要部の断面図である。
図7】同EF継手の製造方法を説明する要部の断面図である。
図8】同EF継手の製造方法を示すフローチャートである。
図9】同EF継手の製造方法を説明する、EF継手の製造装置を側面視した概略断面図である。
図10】同EF継手の製造方法を説明する、EF継手の製造装置を平面視した概略断面図である。
図11】同EF継手の製造方法を説明する、EF継手の製造装置を側面視した概略断面図である。
図12】本発明の一実施形態のEF継手の要部の断面図である。
図13】本発明の一実施形態の第1変形例のEF継手の製造装置を側面視した概略断面図である。
図14】同EF継手の製造方法を説明する、EF継手の製造装置を平面視した概略断面図である。
図15】同EF継手の製造方法を説明する、EF継手の製造装置を側面視した概略断面図である。
図16】同EF継手の製造方法を説明する、EF継手の製造装置を平面視した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るEF継手の製造方法(以下では、単に製造方法とも言う)、EF継手の製造装置(以下では、単に製造装置とも言う)、及びEF継手の一実施形態を、図1から図16を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の製造装置1は、EF(ElectroFusion)継手を製造する。図1には、EF継手を製造する過程で製造される中間生成物である管継手100Aを示す。
以下では、まず管継手100Aについて説明する。
【0015】
図2に示すように、管継手100Aは、直管部101と、受口102と、を備えている。直管部101は管状に形成され、受口102は筒状に形成されている。受口102の内径、外径は、直管部101の内径、外径よりもそれぞれ大きい。受口102は、直管部101の長手方向の端部に設けられている。直管部101及び受口102は、同軸に配置されている。
この例では、受口102には、2つの貫通孔102a,102bが形成されている。貫通孔102a,102bは、長手方向に間隔を空けて配置されている。
なお、貫通孔102a、102bは、受口102の周方向に間隔を空けて配置してもよく、この場合、貫通孔102a、102bは長手方向に同一の位置であってもよく、貫通孔102aを貫通孔102bと同じ受口102の端部外面に設けてもよい。さらに、貫通孔102a、102bを受口の端面に設けてもよい。
【0016】
管継手100Aを構成する直管部101及び受口102は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブデン樹脂等のポリオレフィン系樹脂で一体に形成されている。
なお、ガラス繊維や炭素繊維、無機繊維、金属箔等を含有していてもよく、これらを含有する機能層の内外面が、ポリオレフィン層で覆われた3層構造であってもよい。さらに、管継手の外面または内面には酸素バリア層等他の層を有していてもよい。
【0017】
例えば、管継手100Aの受口102は、押し出し成形された直管の端部を、特開2019-203549号公報に開示された不図示の金型を用いて加工することにより、製造することができる。すなわち、直管部101と受口102との間には、接合部が形成されない。ここで言う接合部とは、直管部101と受口102とを接着剤、バット融着により接合した跡を意味する。なお、管継手100Aとしては、直管部101と受口102とをバット融着により接合したものでもよく、この場合には直管部101と受口102との接合部にバット融着により生じるビードが内外面に形成される。
図1に示すように、管継手100Aは、長手方向に長尺である。例えば、管継手100Aの長さは、4mである。管継手100Aの長さは、2m以上であることが好ましい。
【0018】
図1に示すように、製造装置1は、装置本体10と、補助装置60と、を備える。装置本体10及び補助装置60は、水平面に沿う設置面F上に配置されている。本明細書で言う沿うとは、対象とのなす角度が30°以下であることを意味する。この角度は、20°以下であることが好ましく、10°以下であることがより好ましい。
装置本体10及び補助装置60は、設置面Fに沿う第1方向Xに並べて配置されている。以下では、設置面Fに沿い第1方向Xに直交する方向を、第2方向Yと言う。
【0019】
装置本体10は、本体フレーム(フレーム)11と、中空ギア16と、チャック21と、モータギア26と、チャック駆動モータ31と、切削部36と、刃駆動部41と、入出力部46と、主制御部51と、を備える。
本体フレーム11は、装置本体10の外形を規定する。この例では、本体フレーム11は、第1方向Xに長い中空の箱状である。以下では、本体フレーム11を構成する底板、各側板等のうち、第1側板12及び第2側板13A,13Bに重点をおいて説明する。
【0020】
第1側板12は、本体フレーム11における、第1方向Xのうち第1側X1(以下では、単に第1側X1とも言う)の端部に配置されている。第1側板12は、第1方向Xを向いている。第1側板12における中央部には、開口12aが形成されている。開口12aは、第1側板12を第1方向Xに貫通している。開口12aは、本体フレーム11を第2方向Y及び上下方向にそれぞれ貫通していない。このように、開口12aは、本体フレーム11の側面に形成されている。後述するように、開口12aは、本体フレーム11内に管継手100Aを受け入れる孔である。
第2側板13A,13Bは、本体フレーム11における第2方向Yの各端部に配置されている。第2側板13A,13Bは、第2方向Yを向いている。
なお、装置本体10は、開口12aを開閉可能に覆う扉を備えてもよい。
【0021】
図3に示すように、中空ギア16は、ギア本体17と、複数の歯18と、を有する。
ギア本体17は、円環状に形成されている。ギア本体17の内径は、管継手100Aの受口102の外径よりも大きい。すなわち、ギア本体17内に管継手100Aを通したり、ギア本体17内から管継手100Aを引き抜いたりすることができる。
複数の歯18は、ギア本体17の外周面から、ギア本体17の径方向外側に向かって突出している。複数の歯18は、ギア本体17の周方向に等間隔に配置されている。
中空ギア16は、本体フレーム11内において、軸O1上に配置されている。
【0022】
図1に示すように、チャック21は、チャック本体22と、一対の把持部23A,23Bと、を有する。
チャック本体22は、管状に形成されている。チャック本体22の内径は、管継手100Aの受口102の外径よりも大きい。すなわち、チャック本体22内に管継手100Aを挿入したり、チャック本体22内から管継手100Aを引き抜いたりすることができる。
把持部23A,23Bは、チャック本体22における、第1方向Xのうち第1側X1とは反対側の第2側X2(以下では、単に第2側X2とも言う)の端部に取り付けられている。把持部23A,23Bは、第1方向Xに互いに間隔を空けて配置されている。把持部23A,23Bは、公知の方法により、管継手100Aの受口102を把持したり、この把持を解除したりすることができる。
チャック21は、軸O1上に配置された管継手100Aの第2側X2の部分である受口102を把持する。なお、チャック21は、管継手100Aの直管部101を把持してもよい。
【0023】
チャック21のチャック本体22における第1側X1の部分は、中空ギア16のギア本体17内で、軸O1上に配置されている。チャック本体22は、ギア本体17に固定されている。すなわち、中空ギア16及びチャック21は、一体となって軸O1回りに回転する。
チャック本体22における第1側X1の部分は、軸受け24を介して本体フレーム11等に支持されている。
【0024】
図3に示すように、モータギア26は、ギア本体27と、複数の歯28と、を有する。
ギア本体27は、円環状に形成されている。例えば、ギア本体27は、中空ギア16よりも下方に配置されている。
複数の歯28は、ギア本体27の外周面から、ギア本体27の径方向外側に向かって突出している。複数の歯28は、ギア本体17の周方向に等間隔に配置されている。複数の歯28は、中空ギア16の複数の歯18と噛み合っている。
【0025】
図1に示すように、チャック駆動モータ31は、モータ本体32と、出力軸33と、を有する。モータ本体32は、出力軸33を、出力軸33の軸線回りに回転させる。図3に示すように、出力軸33は、モータギア26はギア本体27に、ギア本体27と同軸に固定されている。
軸受け24は、歯車状のギアを介して出力軸33の回転が伝達される構造に限らず、例えばベルトやチェーン等、出力軸33の回転力を軸受け24に伝達する機構であればよい。
【0026】
図4に示すように、切削部36は、支持部37と、刃部38と、を有する。
例えば、支持部37は直方体状に形成され、軸O1に沿って延びている。支持部37内には、貫通孔37aが形成されている。
貫通孔37aは、第1穴37bと、第2穴37cと、を有する。第1穴37bは、軸O1に沿って延びている。第1穴37bの第1側X1の端部は、支持部37を貫通していない。一方で、第1穴37bの第2側X2の端部は、支持部37を貫通している。
第2穴37cは、第1穴37bの第1側X1の端部から下方に向かって延びている。第2穴37cの下端は、支持部37の外面に達している。
【0027】
例えば、刃部38は、軸38aと、刃先38bと、を有する。
軸38aは、支持部37の外面における第2穴37cよりも第1側X1の部分から下方に向かって延びている。刃先38bは、支持部37の下端から、第2側X2に向かうに従い漸次、下方に向かうように傾斜して延びている。
支持部37の貫通孔37a内には、ワイヤーWの第1端部が通されている。ワイヤーWにおける第1端部とは反対側の端部である第2端部は、ワイヤーホルダ(ワイヤー保持部)39に巻き付けられている。ワイヤーホルダ39は、ワイヤーWを切削部36の第1穴37bに供給する。切削部36に供給されたワイヤーWは、支持部37の第2穴37cから支持部37の外部に送り出される。
以上のように、ワイヤーWは、切削部36の内部を通して供給される。
なお、不図示の回転駆動モータ等により、ワイヤーホルダ39は、切削部36とともに軸O1回りに回転するように構成してもよい。また、支持部37、刃部38、ワイヤーWは、受口102の呼び径に応じて変更可能なように着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0028】
図1に示すように、刃駆動部41は、切削部36よりも第2側X2に配置されている。前記切削部36は、刃駆動部41に着脱可能に取り付けられている。刃駆動部41は、刃回転移動部42と、刃軸移動部43と、刃上下移動部44と、を有する。
刃回転移動部42は、切削部36を軸O1回りに回転させる。刃軸移動部43は、切削部36を軸O1方向に移動させる。刃上下移動部44は、切削部36を上下方向(第1方向X及び第2方向Yと直交する方向)に移動させる。移動部42,43,44は、公知のモータ、リニアガイド等により構成できる。
中空ギア16、チャック21、モータギア26、チャック駆動モータ31、及び刃回転移動部42で、互いに同軸に配置された管継手100A及び切削部36を、軸O1回りに相対的に回転させる回転移動部54を構成する。
【0029】
管継手100AからEF継手を製造する際には、管継手100A及び切削部36は、軸O1上、すなわち同軸に配置される。この例では、軸O1は水平面に沿う。ここで言う同軸に配置されるとは、受口102の半径程度のズレを許容する意味である。
この例では、回転移動部54の刃回転移動部42は、切削部36を軸O1回りに回転させる。
【0030】
なお、刃駆動部41には、切削部36以外にも、後述する部材を取り付けて用いることができる。
例えば、詳しくは後述するが、図5に示すように、管継手100Aの受口102の内周面に切削部36で溝102cを形成した後で、図6に示すように、溝102cの底部にワイヤーWを押し込む。そして、図7に示すように、溝102cを塞ぐ。
図6に示すワイヤーWを押し込むための押し込み具36A、図7に示す溝102cを塞ぐための塞ぎ具36Bは、刃駆動部41に取り付けて用いられる。
押し込み具36A、塞ぎ具36B、及び刃駆動部41で、管継手100AにワイヤーWを埋め込んでEF継手を製造する埋め込み部55を構成する。
【0031】
図1に示すように、例えば、入出力部46は、公知のタッチパネルであり、入力部と表示部とを兼ねている。
主制御部51は、図示はしないが、主制御回路と、メモリと、無線通信部と、電源と、を有する。
主制御回路は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されている。制御回路は、チャック駆動モータ31、刃駆動部41、入出力部46、無線通信部、及びメモリに接続され、これらを制御する。
メモリには、主制御回路を制御するための制御プログラム等が記憶されている。
無線通信部は、無線通信により信号の送受信を行う。
電源は、チャック駆動モータ31、刃駆動部41、入出力部46、主制御回路、メモリ、及び無線通信部に電力を供給する。
【0032】
補助装置60は、補助フレーム61と、軸受け(継手保持部)71と、補助駆動部76と、補助制御部81と、を備える。
補助フレーム61は、ベース62と、第1支持部材63と、芯出し部材64と、第2支持部材65A,65Bと、を有する。
例えば、ベース62は、板状の部材である。ベース62は、自身の厚さ方向が上下方向に沿うように配置されている。
第1支持部材63は、ベース62の第1側X1の端部から上方に向かって延びている。
芯出し部材64は、第1支持部材63から第2側X2に向かって延びる棒状の部材である。芯出し部材64は、管継手100Aの直管部101における第1側X1の端部内に配置される。
【0033】
第2支持部材65A,65Bは、ベース62における第1支持部材63よりも第2側X2の部分から上方に向かって延びている。第2支持部材65A,65Bは、第1方向Xに互いに間隔を空けて配置されている。
軸受け71は、第2支持部材65A,65Bの上端部に固定されている。軸受け71は、軸O1上に配置される。軸受け71内には、管継手100Aの直管部101が配置される。軸受け71は、管継手100Aの直管部101を軸O1回りに回転可能に保持する。
【0034】
例えば、補助駆動部76は、ベース62の下面に固定されている。補助駆動部76には、公知の搬送装置を用いることができる。補助駆動部76は、補助フレーム61を第1方向X及び第2方向Yに移動させることができる。
なお、前記刃軸移動部43及び補助駆動部76で、管継手100Aと切削部36とを、軸O1方向に相対的に移動させる軸移動部84を構成する。
なお、補助駆動部76は、補助フレーム61を第1方向Xに移動させることができればよい。また、補助装置60は上下方向に調整可能な高さ調整機構を有していてもよく、第1支持部材63及び第2支持部材65A,65Bがそれぞれ個別に高さ調整機構を有していることが好ましい。
【0035】
補助制御部81は、主制御部51と同様に構成され、補助制御回路と、メモリと、無線通信部と、電源と、を有する。
補助制御回路は、補助駆動部76に接続され、補助駆動部76を制御する。
無線通信部は、主制御部51の無線通信部と無線通信により信号の送受信を行う。
【0036】
次に、本実施形態の製造方法について説明する。図8は、製造方法S1を示すフローチャートである。
以下では、製造装置1の動作を、図9から図11に示す概略図を用いて説明する。図9から図11では、製造装置1の構成のうち、装置本体10における本体フレーム11、中空ギア16、切削部36、及び刃駆動部41の配置を示している。
図9及び図10に示すように、予め、管継手100Aは、装置本体10の外部に配置されている。管継手100Aの受口102の開口102eは、水平面に沿う方向を向いている。
【0037】
まず、操作者は、入出力部46を操作して、主制御部51に指示を出す。
すると、主制御部51(主制御回路)は、無線通信により補助制御部81に信号を送り、補助装置60の軸受け71により、管継手100Aの直管部101を保持させる。そして、図11に示すように、軸移動部84の補助駆動部76により、管継手100Aを第2側X2に移動させ、管継手100Aの第2側X2の部分を、開口12aを通して本体フレーム11内に配置する。管継手100Aの受口102内に、切削部36の刃部38を配置する。
すなわち、管継手100Aと切削部36とを、軸O1方向に相対的に移動させる軸移動工程S5(図8参照)を行う。
このとき、軸移動部84の刃軸移動部43により、切削部36を第1側X1に移動させてもよい。
【0038】
このとき、管継手100Aは、中空ギア16内を通る。チャック21の把持部23A,23Bにより管継手100Aの受口102を把持する。
【0039】
ここで、互いに同軸に配置された、管継手100A及び切削部36を、軸O1回りに相対的に回転させる回転移動工程S7(図8参照)を規定する。回転移動工程S7を行うには、主制御部51は、回転移動部54のチャック駆動モータ31により、モータギア26、中空ギア16、及びチャック21を介して、管継手100Aを軸O1回りに回転させる。回転移動工程S7を行うときに、軸受け71により、管継手100Aの直管部101を軸O1回りに回転可能に保持しつつ行うことが好ましい。
なお、回転移動工程S7を行うには、回転移動部54の刃回転移動部42により、切削部36を軸O1回りに回転させてもよい。
【0040】
次に、受口仕上げ工程において、刃上下移動部44により受口102の内周面に切削部36の刃部38を接触させる。そして、軸移動工程S5及び回転移動工程S7を同時に行うことにより、受口102の内周面を平坦に仕上げる。
受口仕上げ工程が終了すると、ステップS9に移行する。
【0041】
次に、埋め込み工程S9において、管継手100Aの受口102にワイヤーWを埋め込んでEF継手を製造する。
具体的には、まず、図5に示すように、受口102の内周面に刃部38を強く接触させた状態で、軸移動工程S5及び回転移動工程S7を同時に行うことにより、管継手100Aの受口102の内周面に、螺線状の溝102cを形成する。ここで言う螺線とは、いわゆる螺線階段の概要形状を意味する。この例では、管継手100Aの受口102の内周面に、受口102から直管部101に向かうに従い、軸O1に近づくように溝102cを形成することが好ましい。なお、受口102に形成される溝102cの向きは、限定されない。
このとき、軸O1方向に隣り合う溝102cの間に、舌状部102dが形成される。舌状部102dも、螺線状に形成される。
【0042】
次に、図6に示すように、刃駆動部41に押し込み具36Aを取り付ける。例えば、押し込み具36Aは、刃部38よりも先端が丸い。
ワイヤーホルダ39によりワイヤーWを供給しつつ、押し込み具36Aにより、溝102cの底部にワイヤーWを押し込む。ワイヤーWを押し込む際にも、螺線状の溝102cの形状に沿って、軸移動工程S5及び回転移動工程S7を同時に行う。
次に、図7に示すように、刃駆動部41に塞ぎ具36Bを取り付ける。例えば、塞ぎ具36Bは、押し込み具36Aよりも先端が丸い。
塞ぎ具36Bにより、舌状部102dを受口102の径方向外側に向かって押し付ける。舌状部102dを押し付ける際にも、螺線状の舌状部102dの形状に沿って、軸移動工程S5及び回転移動工程S7を同時に行う。すると、EF継手100が製造される。
【0043】
舌状部102dを押し付けた後で、補助駆動部76により、管継手100Aを第1側X1に移動させ、本体フレーム11からEF継手100を引き抜く。ワイヤーWの両端部を、受口102の貫通孔102a,102bを通して受口102の外部に引き出す。ワイヤーWの両端部に、図示しない端子をそれぞれ接続し、これらの端子を、受口102における貫通孔102a,102bの周縁部に固定する。
埋め込み工程S9が終了すると、製造方法S1の全工程が終了し、図12に示すEF継手100が製造される。
このように、軸移動工程S5、回転移動工程S7、及び埋め込み工程S9の少なくとも一つを行う際には、軸受け71により、管継手100Aの直管部101を軸O1回りに回転可能に保持しつつ行うことが好ましい。
【0044】
以上のように製造されたEF継手100は、管継手100Aの各構成に加えて、受口102に埋設されたワイヤーWを備える。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の製造方法S1では、軸移動工程S5、回転移動工程S7、及び埋め込み工程S9を行う。従って、EF継手100(管継手100A)が長い場合であっても、例えば、管継手100AにワイヤーWを埋め込んでEF継手100を製造する埋め込み工程S9を行う際に、軸移動工程S5及び回転移動工程S7を同時に行うことにより、EF継手100の製造が容易になる。
【0046】
回転移動工程S7を行うときに、管継手100Aの直管部101を軸O1回りに回転可能に保持しつつ行う場合がある。この場合には、直管部101が径方向にブレるのを抑制することができる。
埋め込み工程S9では、受口102の内周面に、受口102から直管部101に向かうに従い、軸O1に近づくように溝102cを形成する場合がある。この場合には、図12に示すように、受口102側から他の管Pを挿入したときに、管Pが溝102cに係止され難くなり、管Pの挿入が容易になる。
【0047】
また、本実施形態の製造装置1は、回転移動部54、埋め込み部55、及び軸移動部84、を備える。従って、EF継手100が長い場合であっても、例えば、管継手100AにワイヤーWを埋め込んでEF継手100を製造する埋め込み部55に加えて、軸移動部84及び回転移動部54を備えることにより、EF継手100の製造が容易になる。
【0048】
製造装置1は、軸受け71を備える。このため、管継手100Aの直管部101を回転可能に保持して、直管部101が径方向にブレるのを抑制することができる。
開口12aが、本体フレーム11の側面に形成されている。これにより、管継手100Aを本体フレーム11内に受け入れることができる。
【0049】
回転移動部54は切削部36を軸O1回りに回転させ、ワイヤーWは切削部36の内部を通して供給される。従って、切削部36が回転した状態でワイヤーWを供給するときに、ワイヤーWが捩れるのを抑えることができる。
ワイヤーホルダ39が、切削部36とともに軸O1回りに回転する場合がある。この場合には、ワイヤーホルダ39の周囲において、ワイヤーWが捩れるのを抑えることができる。
【0050】
また、本実施形態のEF継手100では、直管部101と受口102との間に接合部が形成されない。従って、EF継手100が長い場合であっても、直管部101と受口102とを確実に接続することができる。
【0051】
本実施形態の製造方法S1、製造装置1、及びEF継手100は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図13及び図14に示す第1変形例の製造装置1Aのように、本体フレーム11に形成された開口11aが、本体フレーム11を第2方向Yに貫通していてもよい。開口11aは、本体フレーム11の第1側板12だけでなく、第2側板13A,13Bにも形成されている。
第1変形例の製造装置1Aでは、中空ギア90は、例えば上下方向に分割可能である。すなわち、中空ギア90は、ギア片90aと、ギア片90bとに分割、及び分割後に結合可能である。
【0052】
次に、以上のように構成された製造装置1Aを用いた製造方法について説明する。図13及び図14に示すように、予め、管継手100Aは、装置本体10の外部に配置されている。
主制御部51は、図15に示すように、軸移動部84の補助駆動部76により、管継手100Aを第2方向Yの第1側に移動させ、管継手100Aの第2側X2の部分を、開口11aを通して本体フレーム11内に配置する。このとき、中空ギア90を一度ギア片90a,90bに分割してから結合させ、中空ギア90内に管継手100Aを配置する。
【0053】
この後で、本実施形態の製造方法S1のような工程を行い、EF継手100を製造する。
そして、図16に示すように、補助駆動部76により、管継手100Aを第2方向Yの第1側に移動させ、開口11aを通して本体フレーム11内からEF継手100を取り出す。
【0054】
製造方法S1では、管継手100Aの受口102の開口102eが上方又は下方を向くように、管継手100Aを上下方向に沿って配置しつつ、回転移動工程S7、軸移動工程S5、及び埋め込み工程S9の少なくとも一つを行ってもよい。このように構成することで、軸O1が上下方向に沿うため、管継手100Aに作用する重力による影響が抑えられ、管継手100Aが軸O1回りに回転したときに、管継手100Aが径方向にブレるのを抑制することができる。
【0055】
図12に示すように、EF継手は、EF継手100の各構成に加えて、受口102の外周面に設けられた凹凸部93を備えてもよい。凹凸部93は、受口102の外周面から突出した凸部、又は受口102の外周面から凹んだ凹部である。凸部の突出量及び凹部の凹む量は、3mm以上であることが好ましく、6mm以上であることがより好ましい。
凹凸部93は、受口102の全周にわたって形成されているが、受口102における周方向の一部のみに形成されてもよい。
例えば、凹凸部93は、受口102と同様の方法で製造できる。
このように構成することで、チャック21の把持部23A,23Bで受口102を把持しやすくなる。
【0056】
以上、一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、製造装置1は、回転移動部54であるチャック駆動モータ31及び刃回転移動部42の一方を備えなくてもよい。
製造装置1は、軸移動部84である刃軸移動部43及び補助駆動部76の一方を備えなくてもよい。
また、製造装置1は、軸受け71、さらに補助装置60を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1,1A 製造装置(EF継手の製造装置)
11 本体フレーム(フレーム)
11a,12a,102e 開口
36 切削部
39 ワイヤーホルダ(ワイヤー保持部)
54 回転移動部
55 埋め込み部
71 軸受け(継手保持部)
84 軸移動部
93 凹凸部
100 EF継手
100A 管継手
101 直管部
102 受口
102c 溝
O1 軸
S1 製造方法(EF継手の製造方法)
S5 軸移動工程
S7 回転移動工程
S9 埋め込み工程
W ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16